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特開2022-65283シールド掘進機とカッタビットの交換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065283
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】シールド掘進機とカッタビットの交換方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
E21D9/087 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173754
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
(72)【発明者】
【氏名】志田 智之
(72)【発明者】
【氏名】野田 節
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 譲治
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC02
2D054BA04
2D054BA07
2D054BB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的シンプルな構成にて、機内からの広範囲で安全かつスムーズなカッタビットの交換を実現することのできる、シールド掘進機とカッタビットの交換方法を提供する。
【解決手段】隔壁11の前方にチャンバ13を備えているシールド本体10と、チャンバ13の前方に回転自在に配設され、複数のカッタビット30が装着されているカッタスポーク22を複数備えているカッタヘッド20とを有するシールド掘進機50であり、隔壁11には、前方ハッチと後方出入り口を備えている作業ピット40が設けられ、作業ピット40は移動機構によりカッタスポーク22まで移動自在であり、移動機構により前方に移動された作業ピット40がカッタスポーク22に圧接され、前方ハッチが開放されてカッタビット30が作業ピット40に回収されるようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁の前方にチャンバを備えているシールド本体と、該チャンバの前方に回転自在に配設され、複数のカッタビットが装着されているカッタスポークを複数備えているカッタヘッドとを有する、シールド掘進機であって、
前記隔壁には、前方ハッチと後方出入り口を備えている作業ピットが設けられ、該作業ピットは、移動機構により前記カッタスポークまで移動自在であり、
前記移動機構により前方に移動された前記作業ピットが、前記カッタスポークに圧接され、前記前方ハッチが開放されて前記カッタビットが該作業ピットに回収されるようになっていることを特徴とする、シールド掘進機。
【請求項2】
前記カッタスポークは背面蓋を備え、該背面蓋に前記前方ハッチが位置合わせされるようになっており、該背面蓋と該前方ハッチを開くことにより、前記カッタスポークに装着されている前記カッタビットが前記作業ピットに回収自在であることを特徴とする、請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記カッタスポークは、前記カッタビットが出入りするビット開口を備えている前面板と、該前面板の後方においてスライド自在に配設されているビット収容箱とを有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記ビット収容箱は、前記ビット開口に対応する前方開口を備える箱前方板と、該箱前方板に着脱自在に取り付けられている箱本体とを有し、該箱本体には、前記カッタビットもしくは該カッタビットを固定するビット固定治具が後方に引き込まれる後方開口が設けられており、
前記ビット開口と前記前方開口が位置合わせされて前記カッタビットが前記箱本体に回収された後、前記ビット収容箱が前記前面板の後方でスライドすることにより、前記ビット開口が前記箱前方板により閉塞されるようになっていることを特徴とする、請求項3に記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前記カッタスポークが掘削時の姿勢を維持した状態で、前記カッタビットが前記ビット収容箱に引き込まれて回収されるようになっていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のシールド掘進機。
【請求項6】
前記作業ピットがその前方に洗浄機構を備えており、該洗浄機構により、前記カッタスポークと該作業ピットの圧接箇所が圧接前洗浄されるようになっていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシールド掘進機。
【請求項7】
隔壁の前方にチャンバを備えているシールド本体と、該チャンバの前方に回転自在に配設され、複数のカッタビットが装着されているカッタスポークを複数備えているカッタヘッドとを有するシールド掘進機において、前記カッタビットを交換する、カッタビットの交換方法であって、
前記カッタスポークまで作業ピットを移動させ、該カッタスポークに対して該作業ピットを圧接させる、作業ピット移動設置工程と、
前記作業ピットの内部に前記カッタビットを回収し、該作業ピットから新規のカッタビットを前記カッタスポークに装着する、ビット交換工程と、を有することを特徴とする、カッタビットの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機とカッタビットの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法では、例えばシールド掘進機による掘進長が長い場合に、地中においてカッタヘッドに装着されているカッタビットの交換が行われる場合がある。このカッタビットの交換に際しては、シールド掘進機におけるカッタヘッド後方のチャンバ内から切羽とカッタヘッドの間に作業員が入り、カッタヘッド前方からカッタビットの交換を行う方法や、カッタスポーク内から直接カッタビットの交換を行う方法が適用される。
上記するカッタスポーク内からのカッタビットの交換方法によれば、凍土の造成等を含む地盤改良を行うことなくカッタビットの交換が可能になることから、工費の削減と工期の短縮を図ることができる。ところで、カッタスポーク内からのカッタビットの交換方法には、シールド本体の軸芯にあるセンターシャフトに作業員が入り、センターシャフトから各カッタスポークの背面側に作業員が移動し、カッタビットを収容するカッタホルダを背面側に移動させてカッタビットの交換を行う方法や、カッタスポークに沿ってガイドレールに収納されたビットホルダを引き抜くことにより、カッタビットを機内に一度に取り込んでカッタビットの交換を行う方法などがある。しかしながら、これらの機内交換工法では、センターシャフトが自ずと大口径化し易く、例えば、カッタヘッドの口径が2m乃至8m程度の中・小口径のシールド掘進機への適用は困難と言える。
従って、大口径は勿論のこと、中・小口径のシールド掘進機に対しても、機内からのカッタビットの交換を行うことのできるシールド掘進機の開発やカッタビットの交換方法が望まれている。
【0003】
ここで、特許文献1には、機内からの広範囲なカッタビットの交換を可能にした、シールド掘進機とカッタビット交換方法が提案されている。具体的には、シールド本体において、カッタスポークを有するカッタヘッドをシールド軸心方向に沿ってチャンバ内に後退可能なカッタ後退機構と、伸縮スポークを収容してカッタビットの交換作業が可能な作業区画体と、作業区画体の前部に伸縮スポークを挿入可能な前面開口部と、伸縮スポークの収容前または収容後にそれぞれ前面開口部を開閉可能な前面開閉装置とが設けられ、半径方向の軸心周りに回動自在な円弧形断面の前面ゲートが前面開閉装置に設けられているシールド掘進機である。このシールド掘進機を適用したカッタビット交換方法は、上記シールド掘進機のカッタスポークに設けられているカッタビットの交換に際して、シールド本体前部の隔壁に設置されている作業区画体と、カッタヘッドとの少なくとも一方をシールド軸心方向に移動させてカッタスポークを作業区画体に収容し、カッタビットの交換作業を行う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-266592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシールド掘進機とカッタビット交換方法によれば、機内からの広範囲なカッタビットの交換が可能になる。
ところで、特許文献1に記載のシールド掘進機では、カッタビットの交換に際してカッタスポークをチャンバ側へ後退させることとしているが、カッタスポークを後退させることにより、カッタスポークにて支持されていた切羽に対する支持力の低下が危惧される。
また、作業区画体をカッタスポーク側に移動させ、作業区画体の前面開口部を開閉可能な円弧形断面の前面ゲートを半径方向の軸心周りに回動させることにより前面開口部を開放し、カッタスポークを作業区画体の内部に収容するに当たり、この前面ゲートの回動の際に前面ゲートを切羽や周辺地盤に食い込ませ、カッタスポークの収容後は、切羽等に食い込ませた前面ゲートを閉合することになる。そのため、切羽等に食い込ませた前面ゲートの閉合が困難になる事態が危惧される。
さらに、前面開閉装置、区画体突出機構等、複数の駆動装置を要することから、シールド掘進機の内部構造が複雑になり易い。
【0006】
本発明は、比較的シンプルな構成にて、機内からの広範囲で安全かつスムーズなカッタビットの交換を実現することのできる、シールド掘進機とカッタビットの交換方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明によるシールド掘進機の一態様は、
隔壁の前方にチャンバを備えているシールド本体と、該チャンバの前方に回転自在に配設され、複数のカッタビットが装着されているカッタスポークを複数備えているカッタヘッドとを有する、シールド掘進機であって、
前記隔壁には、前方ハッチと後方出入り口を備えている作業ピットが設けられ、該作業ピットは、移動機構により前記カッタスポークまで移動自在であり、
前記移動機構により前方に移動された前記作業ピットが、前記カッタスポークに圧接され、前記前方ハッチが開放されて前記カッタビットが該作業ピットに回収されるようになっていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、シールド本体の隔壁に設けられている作業ピットがカッタスポークまで移動され、カッタスポークに対して圧接されることにより、相互に圧接された状態のカッタスポークから作業ピットへカッタビットをスムーズに回収でき、新規のカッタビットを作業ピットを介してカッタスポークにスムーズに装着することができる。
また、作業ピットの内部にカッタスポークを収容する構成でないことから、作業ピットの前方にカッタスポークを収容するための前面ゲートは不要であり、作業ピットに関する駆動装置としては作業ピットを移動させる移動機構のみで十分であることから、シールド本体の構造が可及的にシンプルになる。
さらに、作業ピットをシールド本体の外周側に配設するとともに、作業ピットの寸法を例えばカッタスポークの軸方向に広げる等の調整により、カッタヘッドの中心から径方向に延設するカッタスポークの広範な範囲をカバーすることができ、広範囲なカッタビットの交換を実現できる。
本態様のシールド掘進機は、小口径から大口径までの様々な規模のシールド掘進機に適用可能であるが、作業員が入るスペースの作業ピットが隔壁とカッタスポークの間を移動するのみでカッタビットの交換ができ、センターシャフトの大口径化も不要であることから、特に中・小口径のシールド掘進機に好適である。尚、中・小口径のシールド掘進機においては、例えば隔壁の上部に一台の作業ピットが移動自在に設けられていればよく、大口径のシールド掘進機においては、複数台の作業ピットを隔壁に設けることができる。
【0009】
ここで、「作業ピットがカッタスポークに圧接される」形態としては、カッタスポークの背面と作業ピットの前面が相互に圧接される形態や、カッタスポークの天端面と作業ピットから前方に張り出す庇が相互に圧接される形態、さらには、カッタスポークと作業ピットが膨張性の止水材を介して間接的に圧接される形態等が挙げられる。
作業ピットとカッタスポークの圧接箇所においては、双方がメタルタッチされることにより、もしくは少なくとも一方に取り付けられている止水材が介在して双方が圧接されること等により、高い止水性を確保した状態で作業ピットとカッタスポークの圧接姿勢が形成される。
【0010】
また、本発明によるシールド掘進機の他の態様において、前記カッタスポークは背面蓋を備え、該背面蓋に前記前方ハッチが位置合わせされるようになっており、該背面蓋と該前方ハッチを開くことにより、前記カッタスポークに装着されている前記カッタビットが前記作業ピットに回収自在であることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、カッタスポークの背面蓋と作業ピットの前方ハッチが位置合わせされ、例えば、前方ハッチを開放して圧接箇所の止水性を確認した後に、背面蓋を開放してカッタスポークと作業ピットを連通させることにより、作業ピットを利用した施工安全性の高いカッタビットの交換が実現される。
【0012】
また、本発明によるシールド掘進機の他の態様において、前記カッタスポークは、前記カッタビットが出入りするビット開口を備えている前面板と、該前面板の後方においてスライド自在に配設されているビット収容箱とを有していることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、カッタスポークが前面板とその後方においてスライド自在に配設されているビット収容箱とを有していることにより、カッタビットが収容されたビット収容箱を作業ピット内に回収し、ビット収容箱からカッタビットを回収して新規なカッタビットと交換することができる。ここで、ビット収容箱のスライド形態は、カッタスポークの軸方向(カッタヘッドの径方向)にスライドする、所謂縦スライド形態と、カッタスポークの軸直交方向にスライドする、所謂横スライド形態、さらには、円弧状にスライドする形態等が含まれる。
【0014】
また、本発明によるシールド掘進機の他の態様において、前記ビット収容箱は、前記ビット開口に対応する前方開口を備える箱前方板と、該箱前方板に着脱自在に取り付けられている箱本体とを有し、該箱本体には、前記カッタビットもしくは該カッタビットを固定するビット固定治具が後方に引き込まれる後方開口が設けられており、
前記ビット開口と前記前方開口が位置合わせされて前記カッタビットが前記箱本体に回収された後、前記ビット収容箱が前記前面板の後方でスライドすることにより、前記ビット開口が前記箱前方板により閉塞されるようになっていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、カッタスポークが前面板とその後方においてスライド自在に配設されているビット収容箱とを有し、ビット収容箱が箱前方板と箱本体とを有していることから、カッタビットが箱本体に回収された後、ビット収容箱が前面板の後方でスライドすることによりビット開口を箱前方板にて閉塞することができ、切羽に露出しているビット開口を閉塞した状態で作業ピット内にてカッタビットの交換を行うことができる。ここで、ビット収容箱の箱前方板と箱本体は相互に分離自在に組み付けられており、箱本体にカッタビットが回収された後、箱前方板から箱本体を分離し、箱本体を作業ピット内に取り込んでカッタビットを回収することができる。
【0016】
また、本発明によるシールド掘進機の他の態様は、前記カッタスポークが掘削時の姿勢を維持した状態で、前記カッタビットが前記ビット収容箱に引き込まれて回収されるようになっていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、カッタスポークの掘削時の姿勢を維持した状態でカッタビットをビット収容箱に引き込んで回収すること(所謂、背面引き抜き回収方式)により、より一層スムーズなカッタビットの回収と交換を実現できる。尚、カッタスポークを軸方向に伸縮自在に構成しておくことにより、例えば最外周や最外周近傍のカッタビットの交換が困難な場合には、カッタスポークを縮めた後にカッタビットをビット収容箱に引き込むことにより、カッタビットの交換が可能になる。
【0018】
また、本発明によるシールド掘進機の他の態様は、前記作業ピットがその前方に洗浄機構を備えており、該洗浄機構により、前記カッタスポークと該作業ピットの圧接箇所が圧接前洗浄されるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、作業ピットの前方にある洗浄機構によって、カッタスポークと作業ピットの圧接箇所が圧接前洗浄されることにより、圧接箇所に土砂や礫等が介在して圧接箇所における止水性(シール性)が低下することを抑制できる。
【0019】
また、本発明によるカッタビットの交換方法の一態様は、
隔壁の前方にチャンバを備えているシールド本体と、該チャンバの前方に回転自在に配設され、複数のカッタビットが装着されているカッタスポークを複数備えているカッタヘッドとを有するシールド掘進機において、前記カッタビットを交換する、カッタビットの交換方法であって、
前記カッタスポークまで作業ピットを移動させ、該カッタスポークに対して該作業ピットを圧接させる、作業ピット移動設置工程と、
前記作業ピットの内部に前記カッタビットを回収し、該作業ピットから新規のカッタビットを前記カッタスポークに装着する、ビット交換工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、作業ピット移動設置工程にて作業ピットをカッタスポークまで移動させ、カッタスポークに対して作業ピットを圧接させることにより、切羽を含む周辺地山から影響を受けることなく、シールド本体の内部においてカッタビットの交換準備を行うことができる。
作業ピット移動設置工程に続くビット交換工程において、相互に圧接された状態のカッタスポークから作業ピットの内部にカッタビットを回収し、作業ピットから新規のカッタビットをカッタスポークに装着することにより、高い施工安全性の下で効率的なカッタビットの交換を行うことができる。
尚、本態様の交換方法においても、必要に応じて、カッタスポークと作業ピットの圧接箇所を圧接前洗浄するのが好ましい。
一つのカッタスポークにおけるカッタビットの交換が終了した後、カッタヘッドを所定角度回動させ、次に交換されるカッタビットを備えているカッタスポークを作業ピットの前面に位置合わせし、作業ピット移動設置工程とビット交換工程を行い、これを全てのカッタスポークに対して順次実行することにより、例えば一台の作業ピットにより全てのカッタスポークにおけるカッタビットの交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のシールド掘進機とカッタビットの交換方法によれば、比較的シンプルな構成にて、機内からの広範囲で安全かつスムーズなカッタビットの交換を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るシールド掘進機の一例の縦断面図である。
図2図1のII方向矢視図である。
図3図1のIII方向矢視図である。
図4図1のIV方向矢視図である。
図5A】実施形態に係るカッタビットの交換方法の一例の工程図であって、(a)は、カッタスポークと作業ピットを上方から見た平面図であり、(b)は、カッタスポークと作業ピットの縦断面図である。
図5B図5Aに続いて、実施形態に係るカッタビットの交換方法の一例の工程図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
図5C図5Bに続いて、実施形態に係るカッタビットの交換方法の一例の工程図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
図5D図5Cに続いて、実施形態に係るカッタビットの交換方法の一例の工程図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
図6A】カッタビットの取り外し方法の一例を示す工程図であって、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb-b矢視図である。
図6B図6Aに続いて、カッタビットの取り外し方法の一例を示す工程図であって、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb-b矢視図である。
図6C図6Bに続いて、カッタビットの取り外し方法の一例を示す工程図であって、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb方向矢視図である。
図7A】カッタビットの取り外し方法の他の例を示す工程図であって、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb-b矢視図である。
図7B図7Aに続いて、カッタビットの取り外し方法の他の例を示す工程図であって、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb-b矢視図である。
図7C図7Bに続いて、カッタビットの取り外し方法の他の例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係るシールド掘進機とカッタビットの交換方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0024】
[実施形態に係るシールド掘進機]
はじめに、図1乃至図4を参照して、実施形態に係るシールド掘進機の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るシールド掘進機の一例の縦断面図であり、図2乃至図4はそれぞれ、図1のII方向矢視図、III方向矢視図、及びIV方向矢視図である。
【0025】
図示するシールド掘進機50は中折れ式のシールド掘進機であり、前胴10Aと後胴10Bにより構成されるシールド本体10と、シールド本体10の掘進方向前方に回転自在に取り付けられているカッタヘッド20とを有する、泥土圧式シールド掘進機である。尚、シールド掘進機50は、泥土圧式シールド掘進機の他にも、泥水式シールド掘進機や土圧式シールド掘進機であってもよい。また、シールド掘進機としては、中折れ式のシールド掘進機の他、中折れ機構を備えていない一般のシールド掘進機であってもよい。さらに、図示例のシールド掘進機50は、口径が2m乃至8m程度の中・小口径のシールド掘進機であるが、大口径のシールド掘進機であってもよい。
【0026】
シールド本体10は、カッタヘッド20の後方に隔壁11を備え、隔壁11とカッタヘッド20の間には、掘削された土砂を取り込むチャンバ13を備えており、隔壁11のチャンバ13に面する側面に複数の固定翼12が設けられ、カッタヘッド20のチャンバ13に面する背面に撹拌翼25が設けられている。チャンバ13の内部に取り込まれた土砂に対して加泥材が供給され、カッタヘッド20の回転に応じて撹拌翼25を回転させることにより、固定翼12と回転する撹拌翼25にて土砂が塑性流動化される。
【0027】
隔壁11の背面の中央近傍には、複数(図示例は五基)のカッタヘッド駆動用油圧モータ14が設けられ、隔壁11の背面の下方から後胴10Bに亘り、チャンバ13に連通するスクリュコンベア15が傾斜した姿勢で延設しており、チャンバ13の内部において塑性流動化された混合土砂は、スクリュコンベア15にてシールド掘進機50の後方に搬送されるようになっている。
【0028】
前胴10Aには中折れジャッキ18が取り付けられており、中折れジャッキ18の一端が後胴10Bの前方に固定されている。尚、図1には、一基の中折れジャッキ18のみを示しているが、複数の中折れジャッキ18が前胴10Aの内部においてその周方向に間隔を置いて配設され、それらの一端が後胴10Bに固定されている。
【0029】
シールド本体10の内周面には、複数のシールドジャッキ16が取り付けられており(図1では一基のシールドジャッキのみを図示)、後胴10Bにあるエレクタ装置17により複数のセグメントSがリング状に組み付けられたセグメントリングに対して、シールドジャッキ16を伸張させ、セグメントリングを押圧することにより、シールド掘進機50が掘進方向に掘進されるようになっている。また、後胴10Bの後方内側には、複数箇所において、周方向に亘るテールシール(図示せず)が設けられており、設置されたセグメントリングに対してテールシールが常時摺接することにより、後胴10Bの止水性が確保される。
【0030】
カッタヘッド20は、中央のボス部材24から径方向(放射状)に延設する複数のカッタスポーク22を備える。また、ボス部材24にはフィッシュテール21が備えられ、図2に示すように、フィッシュテール21にはカッタビット30Eが装着されている。また、カッタスポーク22の内部には、その長手方向に亘り間隔を置いて複数のカッタビット30A,30Bが装着され、カッタスポーク22の左右側面には別途の複数のカッタビット30Cが装着されており、カッタスポーク22の外周端にはコピーカッタ30Dが出没自在に装着されている。
【0031】
図示例のシールド掘進機50において、カッタスポーク22の内部にあるカッタビット30のうち、最外縁にあるカッタビット30Bと、径方向内側にある複数のカッタビット30Aはいずれも、シールド本体10の内部(機内側)から交換自在となっている。尚、カッタスポーク22の左右側面にあるカッタビット30Cと、フィッシュテール21にあるカッタビット30Eも、シールド本体10の内部から交換自在に構成されてもよい。
【0032】
図1及び図3に示すように、正面視円形の隔壁11の中央の上方位置には、一台の作業ピット40がカッタスポーク22の背面と隔壁11の間をX1方向に移動自在に配設されており、カッタビットの交換に際してカッタスポーク22側に移動された作業ピット40は、カッタスポーク22と圧接されるようになっている。図示例のシールド掘進機50は中・小口径のシールド掘進機であるため、スペースの関係から、作業員Pが屈んだ姿勢で入り込める程度の内部空間を備えた一台の作業ピット40を有するが、大口径のシールド掘進機の場合には、正面視円形の隔壁の周方向に、広い内部空間を備えた複数の作業ピットが設けられてもよい。
【0033】
チャンバ13の内部に取り込まれた土砂はチャンバ13の下方から溜まることから、隔壁11の中央の上部に作業ピット40が配設されていることにより、チャンバ13内における作業ピット40の移動がチャンバ13内にある土砂により阻害されることが抑制される。
【0034】
図示する作業ピット40は、隔壁11とカッタスポーク22の間をX1方向に移動自在に構成されているが、例えばチャンバ13内に移動された作業ピット40が、カッタスポーク22の長手方向(カッタヘッド20の径方向)にも移動できる形態であってもよい。このように、作業ピットが、カッタスポーク22へ近接する移動とカッタスポーク22の長手方向に沿う移動の双方の移動を行うことにより、カッタスポーク22の全域のカッタビットの交換が可能になる。
【0035】
図4に示すように、作業ピット40は箱形のピット本体41を備えており、ピット本体41の前方には前方ハッチ42が設けられ、ピット本体41の後方には作業員Pが出入り自在な後方出入り口43が設けられている。ピット本体41の左右の側面には移動機構である伸縮ジャッキ44が取り付けられており、伸縮ジャッキ44を構成するシリンダ44aの一部が固定翼12の中空部に挿入され、固定翼12により防護されている。このように、作業ピット40を構成する移動機構44の一部が固定翼12の内部に挿通された状態で隔壁11の後方に固定されていることにより、スペースの狭いシールド本体10においてその内部に露出する機器を可及的に削減することができ、シンプルな内部構成を形成できる。
【0036】
ピット本体41の前方ハッチ42の周囲には、洗浄機構45を構成する複数の注入管が取り付けられており、洗浄機構45により、カッタスポーク22と作業ピット40の圧接箇所が圧接前洗浄されるようになっている。
【0037】
カッタスポーク22は、矩形枠状のスポークフレーム23を備え、スポークフレーム23の前面には交換用カッタビット30が着脱自在に取り付けられており、スポークフレーム23のチャンバ13側に面する背面には背面蓋23aが着脱自在に取り付けられている。移動機構44によりカッタスポーク22側に作業ピット40が移動された際に、背面蓋23aに前方ハッチ42が位置合わせされるようになっており、背面蓋23aと前方ハッチ42を開くことにより、カッタスポーク22に装着されている交換用カッタビット30が作業ピット40に回収自在となっている。
【0038】
図示を省略するが、シールド掘進機50には、各種機器の動作を制御する制御盤が設けられている。制御盤は、シールド掘進機50の後続台車(図示せず)内に装備されてもよいし、地上の遠隔操作室(図示せず)に装備されてもよいし、シールド掘進機50の機内に装備されてもよく、シールド掘進機50の運転操作装置の一部である。制御盤はコンピュータにより構成されており、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、無線通信装置、表示装置、及び入力装置等を有し、それらがシステムバスにてデータ通信可能に接続されている。ROMには、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAMは、ROMに記憶されているプログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。
【0039】
例えば、カッタスポーク22に対して作業ピット40の前面が圧接する際の好適な圧力値レンジ(止水性が保証され、圧接箇所を破損させない圧力値レンジ)が設定されていて、作業ピット40がカッタスポーク22に対して圧力値レンジ内に入った段階で作業ピット40の移動を停止するプログラムが記憶されている。CPUは、RAMにロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。制御盤はその他、インストールされたプログラム等を記憶する補助記憶装置(図示せず)を有していてもよい。
【0040】
[実施形態に係るカッタビットの交換方法]
次に、図5乃至図7を参照して、実施形態に係るカッタビットの交換方法の一例について説明する。ここで、図5A乃至図5Dは順に、実施形態に係るカッタビットの交換方法の一例の工程図であり、各図ともに、(a)は、カッタスポークと作業ピットを上方から見た平面図であり、(b)は、カッタスポークと作業ピットの縦断面図である。
【0041】
図5に示すカッタビットの交換方法は、カッタスポーク22の姿勢を維持した状態で、カッタビット30をスポークフレーム23の背面から引き抜き、作業ピット40に引き込んで回収する、所謂背面引き抜き方式の交換方法である。
【0042】
図5Aに示すように、作業ピット40は隔壁11の上方に載置され、作業ピット40の前方ハッチ42がチャンバ13の内部に突出しない位置に位置決めされている。図5A(a)に示すように、伸縮ジャッキ44を構成するロッド44bの一端がピット本体41の後方出入り口43側の端部に取り付けられており、作業ピット40が移動する前の状態では、ロッド44bが後方に最大限に張り出すことにより、作業ピット40は最後方位置に位置決めされる。
【0043】
図5A(a)、(b)に示すように、スポークフレーム23の背面にある背面蓋23aと、ピット本体41の前方にある前方ハッチ42は相互に対向しており、前方ハッチ42の周囲の四箇所には洗浄機構45を構成する四つの注入管が取り付けられている。
【0044】
制御盤によりカッタヘッド20を回動させ、図5A(a)、(b)に示すように、交換対象のカッタビット30を備えるカッタスポーク22を作業ピット40の正面位置に停止させ、作業ピット40の各伸縮ジャッキ44を不図示の油圧ラインに接続する。
【0045】
次に、図5Bに示すように、制御盤により伸縮ジャッキ44を作動させることにより、ピット本体41をカッタスポーク22側へX2方向に移動させる。ピット本体41の移動に際し、図5B(b)に示すように、ピット本体41の内部には作業員Pが屈んだ姿勢で乗り込んでいる。
【0046】
ピット本体41が移動して、スポークフレーム23の背面とピット本体41の前面がある程度近接した時点で、ピット本体41の移動を停止する。図5B(a)、(b)においては、スポークフレーム23の背面とピット本体41の前面の間の距離がt1となった状態でピット本体41が停止しており、この距離t1は、洗浄機構45により洗浄対象エリアが十分に洗浄できる距離に設定されている。
【0047】
スポークフレーム23の背面とピット本体41の前面はいずれもチャンバ13に面していることから、双方にはチャンバ13内の土砂が付着しており、場合によっては双方の間に礫が介在している。スポークフレーム23の背面とピット本体41の前面の双方に土砂が付着したり、礫が介在した状態で双方を圧接すると、圧接箇所に介在する土砂や礫によって圧接箇所の止水性が損なわれる。そこで、図5B(a)、(b)の状態で、作業員Pは洗浄機構45を作動し、ピット本体41の圧接箇所A1とスポークフレーム23の圧接箇所A2の双方を洗浄する。
【0048】
ここで、圧接箇所A1,A2の具体的な圧接形態として、スポークフレーム23の背面の背面蓋23aの周囲と、ピット本体41の前面の前方ハッチ42の周囲の少なくとも一方に、無端状の止水ゴム(図示せず)が取り付けられ、無端状の止水ゴムを双方の圧接箇所A1,A2が挟んで相互に圧接される形態が挙げられる。また、圧接箇所A1,A2の他の圧接形態として、背面蓋23aの周囲と前方ハッチ42の周囲が相互にメタルタッチされ、圧接される形態であってもよい。このメタルタッチによる圧接形態では、背面蓋23aの周囲と前方ハッチ42の一方に無端状の凹部が設けられ、他方に無端状の凸部が設けられていて、無端状の凹部に対して凸部が嵌まり込んでメタルタッチされてもよい。
【0049】
次に、図5Cに示すように、伸縮ジャッキ44を作動させてピット本体41をさらにカッタスポーク22側へX3方向に移動させることにより、スポークフレーム23の背面にピット本体41の前面を圧接させる(以上、作業ピット移動設置工程)。スポークフレーム23とピット本体41を圧接させた後、作業員Pはピット本体41の前方ハッチ42を開放し、スポークフレーム23の背面蓋23aは閉じたままの状態で、圧接箇所の止水性を確認する。
【0050】
ピット本体41とスポークフレーム23の双方の圧接箇所A1,A2における止水性が確認されたら、次に、図5Dに示すように、スポークフレーム23の背面蓋23aを開放して、スポークフレーム23の内部とピット本体41の内部を連通させる。この連通により、作業員Pは、スポークフレーム23の前面に装着されている交換用カッタビット30の取り外しを行うことが可能になる。
【0051】
ここで、図6を参照して、スポークフレーム23から交換用カッタビット30を具体的に取り外す方法について説明する。ここで、図6A乃至図6Cは順に、カッタビットの取り外し方法の一例を示す工程図であり、各図ともに、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb-b矢視図である。
【0052】
図6A(a)、(b)に示すように、交換用カッタビット30は、スポークフレーム23の前面に取り付けられている前面板31と、前面板31の背面に着脱自在に取り付けられているビット収容箱32と、ビット収容箱32の内部に摺動自在に配設されているビット固定治具35と、ビット固定治具35に固定されているカッタビット36とを有する。
【0053】
前面板31にはビット開口31aが開設されており、カッタビット36は、ビット開口31aを介してスポークフレーム23の外側(地盤側)へ突出され、また、スポークフレーム23の内部に取り込まれるようになっている。
【0054】
ビット収容箱32は、前面板31のビット開口31aに対応する前方開口33aを備える箱前方板33と、箱前方板33に着脱自在に取り付けられている箱本体34とを有し、箱前方板33は、前面板31の背面において横方向(スポークフレーム23の長手方向に直交する方向)にスライド自在に係合している。図示例では、箱前方板33に対して箱本体34が複数のボルト38によりボルト接合されている。
【0055】
箱本体34の後方には後方開口34aが設けられており、後方開口34aからビット固定治具35の後方フランジ35aが係合している。ビット収容箱32の内壁とビット固定治具35の間には、摺動部材37や止水部材(図示せず)等が介在しており、ビット交換においては、作業員Pがビット固定治具35の後方フランジ35aを後方に引き込むことにより、箱本体34に対してビット固定治具35がスムーズに摺動するようになっている。また、前面板31の開口31aの周囲には無端状の密封部材31bが取り付けられ、さらに、箱前方板33の外縁には無端状の密封部材33bが取り付けられている。この構成により、カッタビット36が突出する際や、カッタビット36がスライドして収容される際、さらにはカッタビット36を回収する際に、前面板31と箱前方板33の間で、カッタスポーク22の前面と内部を遮断することができる。
【0056】
図6Aは、供用時(掘進時)の交換用カッタビット30の状態を示している。交換用カッタビット30の交換に際し、図5Dに示すようにスポークフレーム23の背面蓋23aを開放し、作業員Pは、図6Bに示すようにビット固定治具35を後方へX4方向に引き込むことにより、カッタビット36は前面板31のビット開口31aを介してビット収容箱32の内部に収容される。
【0057】
次に、図6Cに示すように、前面板31の背面において箱前方板33を横方向へX5方向にスライドさせることにより、前面板31のビット開口31aが箱前方板33により完全に閉塞される。ビット開口31aが箱前方板33にて完全に閉塞されることにより、ビット開口31aを介して地下水がビット収容箱32の内部に流れ込むことを抑止できる。
【0058】
前面板31のビット開口31aを箱前方板33にて閉塞した後、箱前方板33と箱本体34とのボルト接合を解除し、内部にカッタビット36が収容されている箱本体34を作業員Pがピット本体41に取り込んで回収する。
【0059】
作業員Pは、箱本体34に収容されているビット固定治具35からカッタビット36を取り外し、新規のカッタビット36をビット固定治具35に取り付けた後、箱本体34を箱前方板33にボルト接合し、前面板31の背面において、図6Cとは逆の向きに箱前方板33を横方向へスライドさせることにより、前面板31のビット開口31aと新規のカッタビット36を位置合わせする。その後、図6Bと逆の向きにビット固定治具35を前方へ引き出すことにより、カッタビット36を前面板31のビット開口31aを介して前方の地山側へ突出させ、カッタビット36の交換が完了する。
【0060】
このように、図6A乃至図6Cに示すカッタビットの交換方法は、前面板31の背面においてビット収容箱32を横方向にスライドさせることによりカッタビット36の交換を行う、横スライド式の交換方法である(以上、ビット交換工程)。
【0061】
次に、図7を参照して、上記横スライド式の交換方法に対して、他の交換方法を説明する。ここで、図7A乃至図7Cは順に、カッタビットの取り外し方法の他の例を示す工程図であり、図7A図7Bにおいて、(a)は、カッタビットを前方から見た斜視図であり、(b)は、(a)のb-b矢視図である。
【0062】
図7に示す交換用カッタビット30'の基本構成は、図6に示す交換用カッタビット30と同様であり、交換用カッタビット30との相違点は、前面板31の背面において、ビット収容箱32が縦方向(スポークフレーム23の長手方向)にスライド自在に係合している点である。
【0063】
図7Aは、供用時(掘進時)の交換用カッタビット30'の状態を示している。交換用カッタビット30'の交換に際し、図5Dに示すようにスポークフレーム23の背面蓋23aを開放し、作業員Pは、図7Bに示すようにビット固定治具35を後方へX6方向に引き込むことにより、カッタビット36は前面板31のビット開口31aを介してビット収容箱32の内部に収容される。
【0064】
次に、図7Cに示すように、前面板31の背面において箱前方板33を縦方向へX7方向にスライドさせることにより、前面板31のビット開口31aが箱前方板33により完全に閉塞される。
【0065】
前面板31のビット開口31aを箱前方板33にて閉塞した後、箱前方板33と箱本体34とのボルト接合を解除し、内部にカッタビット36が収容されている箱本体34を作業員Pがピット本体41に取り込んで回収する。
【0066】
作業員Pは、箱本体34に収容されているビット固定治具35からカッタビット36を取り外し、新規のカッタビット36をビット固定治具35に取り付けた後、箱本体34を箱前方板33にボルト接合し、前面板31の背面において、図7Cとは逆の向きに箱前方板33を縦方向下方へスライドさせることにより、前面板31のビット開口31aと新規のカッタビット36を位置合わせする。
【0067】
その後、図7Bと逆の向きにビット固定治具35を前方へ引き出すことにより、カッタビット36を前面板31のビット開口31aを介して前方の地山側へ突出させ、カッタビット36の交換が完了する。
【0068】
このように、図7A乃至図7Cに示すカッタビットの交換方法は、前面板31の背面においてビット収容箱32を縦方向にスライドさせることによりカッタビット36の交換を行う、縦スライド式の交換方法である(以上、ビット交換工程)。
【0069】
カッタヘッド20を所定角度回動させることにより、次に交換されるカッタビット30を備えているカッタスポーク22を作業ピット40の正面位置に停止させ、図5A乃至図5Dの交換方法と、図6A乃至図6Cもしくは図7A乃至図7Cの取り外し方法を行い、これを各カッタスポーク22に対して順次行うことにより、全てのカッタスポーク22の備える交換用カッタビット30の交換が行われる。
【0070】
図示するカッタビットの交換方法によれば、比較的シンプルな内部構成のシールド掘進機50を適用することにより、機内からの広範囲で安全かつスムーズなカッタビットの交換を実現することができる。
【0071】
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0072】
10:シールド本体
10A:前胴
10B:後胴
11:隔壁
12:固定翼
13:チャンバ
14:カッタヘッド駆動用油圧モータ
15:スクリュコンベア
16:シールドジャッキ
17:エレクタ装置
18:中折れジャッキ
20;カッタヘッド
21:フィッシュテール
22:カッタスポーク
23:スポークフレーム
23a:背面蓋
24:ボス部材
30,30',30A,30B:交換用カッタビット(カッタビット)
30C:カッタビット
30D:コピーカッタ
31:前面板
31a:ビット開口
31b:密封部材
32:ビット収容箱
33:箱前方板
33a:前方開口
33b:密封部材
34:箱本体
34a:後方開口
35:ビット固定治具
36:カッタビット
37:摺動部材
38:ボルト
40:作業ピット
41:ピット本体
42:前方ハッチ
43:後方出入り口
44:移動機構(伸縮ジャッキ)
45:洗浄機構
50:シールド掘進機
A1,A2:圧接箇所(洗浄箇所)
S:セグメント
P:作業員
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C