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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065287
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】搬送加熱装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/008 20060101AFI20220420BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20220420BHJP
   H05K 3/34 20060101ALN20220420BHJP
【FI】
B23K1/008 C
B23K1/00 330E
H05K3/34 507G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173763
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】特許業務法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】田森 信章
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AC01
5E319CC36
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】ゾーン間のバッファ部における温度低下を防止する。
【解決手段】複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、加熱炉間に存在するバッファ部と、被加熱物を搬送する搬送コンベアと、搬送方向の前方側の加熱炉に設けられ、後方側のバッファ部に対して熱風を導入する開口とを備えた搬送加熱装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱炉が配列され、前記加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、
前記加熱炉間に存在するバッファ部と、
前記被加熱物を搬送する搬送コンベアと、
搬送方向の前方側の加熱炉に設けられ、後方側の前記バッファ部に対して熱風を導入する開口と
からなる搬送加熱装置。
【請求項2】
前記バッファ部に導入された熱風を前記搬送コンベア側に吹き出す孔又はスリットを有する請求項1に記載の搬送加熱装置。
【請求項3】
前記加熱炉は、被加熱物に対して突出する複数の噴射ノズルを有する加熱パネルと、前記加熱パネルとほぼ平行に配され、前記噴射ノズルが被加熱物に吹き付けた熱風の戻りガスを通過させる孔又はスリットを有する回収板とを備える請求項1又は2に記載の搬送加熱装置。
【請求項4】
前記回収板の前記バッファ部に近接する位置に孔又はスリットが形成された請求項3に記載の搬送加熱装置。
【請求項5】
前記開口が前記加熱パネルの位置よりヒータ側に形成される請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板のリフローを行うリフロー装置に対して適用できる搬送加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品またはプリント基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送コンベアで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置は、基板を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアによって被加熱物例えばプリント基板が供給されるリフロー炉本体とを備えている。リフロー炉は、例えば、搬入口から搬出口に至る搬送経路に沿って、複数のゾーンに対応する複数の加熱炉(加熱炉)が順に配置された構成とされている。複数のゾーンは、その機能によって、加熱ゾーン、冷却ゾーンなどの役割を有する。
【0003】
加熱ゾーンでは、基板に対して熱風が吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させてプリント基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。リフロー装置では、加熱時の温度を所望の温度プロファイルにしたがって制御することによって、所望のはんだ付けがなされる。
【0004】
このようなリフロー装置において、ゾーン間(加熱炉間)では、熱風が供給されないために、温度が低下し、温度プロファイル上で温度ドロップが生じる問題があった。かかる問題に対処するために、特許文献1に記載のリフロー装置では、リフローゾーンの間のバッファ部に対して、輻射パネルを通過する熱風の一部を熱風案内羽根によって導くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-000905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、輻射パネルの吹き出し孔に対して熱風案内羽根を設けるために、自身のゾーンに対して供給されるべき熱風の一部を使用するため、特に車載基板等大型部品が混載されたワークの各部品に対し、より充分な加熱を与えるために、更なる改良が求められていた。
【0007】
したがって、本発明の目的は、加熱能力を維持しつつ、ゾーン間における温度低下を防止できる搬送加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、
加熱炉間に存在するバッファ部と、
被加熱物を搬送する搬送コンベアと、
搬送方向の前方側の加熱炉に設けられ、後方側のバッファ部に対して熱風を導入する開口と
からなる搬送加熱装置である。
【発明の効果】
【0009】
少なくとも一つの実施形態によれば、搬送方向の前方側の加熱炉内の熱風の一部をバッファ部に導入することによって、バッファ部における温度低下を抑えることができるため、はんだ付け品質を更に向上することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれの効果であってもよい。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略を示す略線図である。
図2図2は、リフロー時の温度プロファイルの例を示すグラフである。
図3図3は、本発明の説明に使用する略線図である。
図4図4は、本発明の一実施の形態の説明に用いるリフロー装置の断面を示す断面図である。
図5図5A及び図5Bは、リフロー装置の一例及び他の例の説明に使用する略線図である。
図6図6A及び図6Bは、本発明の一実施の形態の説明に用いる一部断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態の説明に使用する斜視図である。
図8図8は、本発明の一実施形態の一部の構成の説明に使用する平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.リフロー装置の一例>
<2.一実施の形態>
<3.変形例>
なお、以下に説明する一実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0012】
<1.リフロー装置の一例>
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略的構成を示す。プリント配線板の両面に表面実装用電子部品が搭載された被加熱物が搬送コンベヤの上に置かれ、搬入口11からリフロー装置の加熱装置内に搬入される。搬送コンベヤが所定速度で矢印方向(図1に向かって左から右方向)へ被加熱物を搬送し、被加熱物が搬出口12から取り出される。搬送コンベアの搬送方向が水平方向とされている。
【0013】
加熱装置は、搬入口11から搬出口12に至る搬送経路に沿って、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を吹きつけるように構成されている。各加熱炉がゾーンと称され、複数のゾーンがインライン状に配列されている。入口側から7個のゾーンZ1~Z7が加熱ゾーンであり、出口側の2個のゾーンZ8及びZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8及びZ9に関連して強制冷却ユニット14が設けられている。加熱ゾーンZ1~Z7のそれぞれは、それぞれ送風機、ヒータ、吹き出しパネルなどを含む上部加熱炉及び下部加熱炉を有する。なお、このゾーン数は、一例であり、異なる数のゾーンを有する構成としてもよい。
【0014】
上述した複数のゾーンZ1~Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがって被加熱物の温度を制御する。図2に温度プロファイルの一例の概略を示す。横軸が時間であり、縦軸が被加熱物例えば電子部品が実装されたプリント配線板の表面温度である。最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間がほぼ一定温度のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間がリフロー(本加熱)部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。
【0015】
昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150℃~170℃)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、例えば等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント配線板の加熱ムラをなくすための期間である。リフロー部R3(例えばピーク温度で220℃~240℃)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。リフロー部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。リフロー部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント配線板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。なお、無鉛ハンダの場合では、リフロー部における温度は、より高温(例えば240℃~260℃)となる。
【0016】
図2において、曲線1は、鉛フリーはんだの温度プロファイルの一例を示す。Sn-Pb共晶はんだの場合の温度プロファイルの一例は、曲線2で示すものとなる。鉛フリーはんだの融点は、共晶はんだの融点より高いので、プリヒート部R2及びリフロー部R3における設定温度が共晶はんだに比して高いものとされている。
【0017】
図1に示すリフロー装置では、図2における昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1及びZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4及びZ5が受け持つ。リフロー部R3の温度制御は、ゾーンZ6及びZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8及びゾーンZ9が受け持つ。
【0018】
上述した複数の加熱炉間(ゾーン間)には、熱風が供給されない隙間(バッファ部と適宜称する)が存在する。ゾーンZ1からゾーンZ7までの間に存在するバッファ部では、熱風が供給されないために、温度低下が生じる。本発明は、かかる温度低下を抑えるものである。
【0019】
<2.一実施の形態>
図3は、複数のゾーンからなる加熱装置の一部を概略的に示す。すなわち、被加熱物Wの搬送方向に沿ってゾーンZ(n-1)、ゾーンZn、ゾーンZ(n+1)が設けられており、ゾーンZ(n-1)の搬送方向の前側にバッファ部B(n-1)が存在し、ゾーンZ(n-1)及びZnの間にバッファ部Bnが存在し、ゾーンZn及びZ(n+1)の間にバッファ部B(n+1)が存在している。各ゾーンの設定温度は、T(n-1)<Tn<T(n+1)の関係とされている。
【0020】
本発明では、搬送方向に対して前方のゾーンの熱風の一部を開口を通じてバッファ部に対して供給する。すなわち、図3において矢印で示すように、バッファ部B(n-1)に対して前方のゾーンZ(n-1)で生成される熱風の一部をゾーンZ(n-1)の後側の壁に形成された開口を通じて導入し、バッファ部Bnに対して前方のゾーンZnで生成される熱風の一部をゾーンZnの後側の壁に形成された開口を通じて導入し、バッファ部B(n+1)に対して前方のゾーンZ(n+1)で生成される熱風の一部をゾーンZ(n+1)の後側の壁に形成された開口を通じて導入する。前方のゾーンからバッファ部に対して熱風を導入することによって、温度プロファイル上で温度変化の逆方向の変化を生じない利点がある。本発明の構成によって、各バッファ部における温度低下を抑制することができる。なお、全てのバッファ部に対して熱風を導入する必要はなく、例えば設定温度が高いプリヒート部及びリフロー部のゾーンのバッファ部の一部に熱風を導入する構成を設けてもよい。さらに、上下に加熱炉を設ける構成においては、上部加熱炉の間に存在するバッファ部に対してのみ熱風を導入する構成を設けてもよい。
【0021】
図4を参照して本発明の一実施形態について説明する。図4は、リフロー部に含まれる二つのゾーンZ6及びZ7の構成の概略を示す。各ゾーンには、上部加熱炉及び下部加熱炉が対向して設けられ、上部加熱炉と下部加熱炉との対向間隙内で、プリント回路基板の片面又は両面に表面実装用電子部品が搭載された被加熱物が搬送コンベア21上に置かれて搬送される。上部加熱炉内及び下部加熱炉内は、雰囲気ガスである例えば窒素(N2)ガスが充満している。上部加熱炉及び下部加熱炉は、被加熱物に対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を噴出して被加熱物を加熱する。なお、熱風と共に赤外線を照射しても良い。
【0022】
各加熱炉の上側および下側に取付けられたモータ22により回転されるファン23が上下に配置され、これらのファン23から送風された雰囲気を加熱して熱風を発生させるヒータ24が配置されている。熱風は、パネル25に形成されている孔を通じて被加熱物に対して吹きつけられる。モータ22及びファン23は、例えばターボファンの構成とされる。さらに、図示しないが、各加熱炉には、ファン23からの風を分散させて加熱炉内の温度分布の均一化を図るために整流機構が設けられている。
【0023】
ゾーンZ6の上部加熱炉及びゾーンZ7の上部加熱炉間にバッファ部B7が存在する。図4において、矢印で示すように、このバッファ部B7に対してゾーンZ7の上部加熱炉の内部で生成された熱風の一部を導入する。この結果、バッファ部B7における温度低下を防止することができる。
【0024】
さらに本発明の一実施形態について説明する。加熱炉の構成の一例として、図5Aに示すように、加熱パネル26の小孔を通じて熱風を被加熱物Wに吹きつける構成が知られている。加熱炉内のガスの流れを矢印で示す。この構成の場合、被加熱物Wに吹き付けられることにより冷却されたガスが被加熱物Wに沿って流れ、加熱パネル26の周辺から上部のファンに向かって戻るために、被加熱物Wに対し効率よく熱供給が行われない場合もある。
【0025】
一方、図5Bに示す構成は、加熱パネル27と、所定の間隙を介して加熱パネル27と平行に設けられている回収板28を有する。加熱パネル27の支持板から回収板28を貫通する多数の噴射ノズルが突出され、噴射ノズルの先端の開口から熱風が被加熱物Wに対して吹きつけられる。加熱パネル27は、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどを材料とするダイカスト法を含む鋳造法、または絞り加工法により成形されている。
【0026】
回収板28は、加熱パネル27が被加熱物Wに吹き付けた熱風の戻りガスを回収するために、噴射ノズルの近傍に形成された孔又はスリットを有する。加熱パネル27の噴射ノズルから噴出された熱風は、被加熱物Wを加熱後に回収板28の孔又はスリットを通じて、加熱パネル27及び回収板28の対向間隙を通り、さらに回収通路を通って送風機23の中心部の吸い込み口から吸い込まれ、下方に吹き出される。吹き出されたガスがヒータ24により加熱される。
【0027】
図5Bに示す構成は、加熱後のガスが被加熱物Wに沿って流れず、回収板28の孔又はスリットを通じて加熱パネル27及び回収板28の対向間隙に取り込まれ、さらに、加熱パネル27の周辺から上部に戻るので、冷熱が被加熱物W上に滞留する時間を短縮することができ、図5Aに示す構成と比較して被加熱物Wに対し、より効率よく熱供給が可能となる。
【0028】
本発明は、バッファ部における温度低下を抑えるもので、被加熱物Wに対し、効率よく熱供給が可能となる図5Bに示す構成に対して適用することがより効果的である。すなわち、図5Bに示すような加熱能力の高い構成において、バッファ部における被加熱物Wの温度低下を抑制することで、更なる被加熱物Wの品質向上が見込まれる。
【0029】
図6A及び図6Bは、本発明の一実施形態の一部の構成を拡大して示し、図6A及び図6Bは、それぞれ一部断面図である。ゾーンZ6及びZ7がそれぞれ図5Bに示す構成とされている。すなわち、加熱パネル27と回収板28が所定の間隙でもって対向配置され、加熱パネル27の噴射ノズルが回収板28の孔又はスリットを通じて被加熱物W側に突出している。噴射ノズルの先端のノズル開口29の近傍に、スリット30が形成されている。スリット30は、孔であってもよい。ノズル開口29から被加熱物に対して熱風が吹きつけられ、被加熱物を加熱後のガスが回収板28のスリット30を介して加熱パネル27と回収板28の間隙に戻る。
【0030】
バッファ部B7に対して搬送方向で前側のゾーンZ7の後ろ側の壁31に開口32が形成され、この開口32を通じて矢印で示すように、バッファ部B7に対して熱風が導入される。図7は、バッファ部B7を搬送方向と直交する上下方向に切断した断面図である。図6A図6B及び図7に示すように、開口32は、加熱パネル27の上面の位置よりヒータ側の位置に例えば2箇所に形成される。
【0031】
さらに、バッファ部B7の下部には、回収板28とほぼ同じ高さの位置にバッファ部パネル33が設けられている。このバッファ部パネル33に複数の孔34が形成され、孔34を通じてバッファ部B7に導入された熱風が搬送コンベア21の被加熱物に向けて下方に吹き出される。孔34に限らずスリットを形成してもよい。吹き出された熱風の戻り経路を形成するために、回収板28のバッファ部B7の壁31に近接する位置にスリット30が形成されている。この壁31に近接して形成されたスリット30によって、ゾーンZ6及びZ7おいてバッファ部B7からの熱風が被加熱物表面に滞留することを抑制できる。
【0032】
図8は、図5Bに示す構成の加熱炉における回収板28の一例の一部を示す。図8の水平方向が被加熱物搬送方向であり、垂直方向が加熱炉の幅方向を示す。図8は、加熱炉の後側に位置する回収板28のエッジから加熱炉の中央位置(1点鎖線で示す)までの一部を示している。また、図8において、千鳥状に配置された回収板28を貫通する噴射ノズルの先端のノズル開口29を斜線で示している。但し、参照符号29は一部のノズル開口のみに対して付加されている。
【0033】
噴射ノズルは、回収板28より突起状に突設されたものであり、突起状の噴射ノズルにより加熱用の熱風に方向性を与えることで、この加熱用の熱風と、回収板28の回収口部としてのスリット30a~30eによって強制回収される温度低下した熱風とを明確に区別して、互いの干渉を効果的に防止できる。
【0034】
上部の噴射ノズルのノズル開口29から噴出した熱風が被加熱物Wに衝突した後、熱交換を終えて冷えた熱風は、回収板28に配設されたスリット30a~30eによって強制的に吸引され、被加熱物Wの表面から速やかに排除される。噴射ノズルのノズル開口29の形状は、円形、長円形、長方形型スリット形状など特に形状は問わない。熱交換を終えて冷えた熱風は、ファンの吸い込み側に連結された回収通路に吸い込まれる。
【0035】
また、図8に示されるように、複数のスリット30a~30eは、回収通路の出口(冷えた熱風の吸い込まれる側)から遠い場所(すなわち、回収板28の中央部)に配置されたもの(スリット30e)より回収通路出口側に配置されたもの(スリット30a)ほど小さな開口面積を有するようにされている。このように、回収通路の出口側ほどスリット30の開口面積を絞ることにより、熱風吸引力が作用しやすい出口側から回収される熱風流量と、そうでない場所から回収される熱風流量とを等しくすることができ、場所による熱風回収流量のばらつきを防止できる。図8に示されるスリット開口面積差を設ける技術を図5Bに示す構造に採用すればより加熱能力を向上した状態で、バッファ部における温度低下を抑制できるため、より被加熱物Wの品質向上が見込まれる。
【0036】
なお、図5B及び図8は、上部に加熱炉が配されている場合を示すが、下部に加熱炉が配されている場合も同様に本発明を適用できる。下部の加熱炉の構成は、上部の加熱炉と同様であるため、その説明を省略する。
【0037】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば上側加熱炉と下側加熱炉の一方のみを有する構成としてもよい。また、この発明は、プリント基板に限らず、フレキシブル基板、リジッド基板とフレキシブル基板とを貼り合わせた基板、これらを組み合わせたリジッドフレキ基板のリフローに対しても適用できる。さらに、リフロー装置に限らず、樹脂の硬化のための加熱装置等に対しても適用できる。また、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。また、上述の実施の形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
B(n-1),Bn,B(n+1)、B7・・・バッファ部、
11・・・搬入口、12・・・搬出口、14・・・強制冷却ユニット、
15・・・上部加熱炉、23・・・ファン、24・・・ヒータ、25・・・パネル、
27・・・加熱パネル、28・・・回収板、29・・・ノズル開口、
30・・・回収板に形成されたスリット、32・・・開口、35・・・下部加熱炉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8