(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065299
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】レゾルバステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20220420BHJP
H02K 24/00 20060101ALI20220420BHJP
H02K 3/52 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K24/00
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173781
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 信吾
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604QB03
5H604QB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端子部を簡素な構成としたレゾルバステータを提供する。
【解決手段】レゾルバステータ100は、複数の突出磁極(11a)を有する輪状のステータコア(11)と、ステータコア(11)に覆って取り付けられ、複数の接続部材(31)が設けられている端子部(14)を有する輪状絶縁カバー(12)と、複数の突出磁極(11a)にそれぞれ巻回されてステータコイル(52)を形成するとともに、一端部(53)が端子部(14)に配置されている複数のマグネットワイヤ(51)と、を備えるレゾルバステータであって、端子部(14)には、端子部(14)と一体的、かつ、突起状に形成されている、複数の第1ワイヤ保持部(17a、17b)が設けられており、複数のマグネットワイヤ(51)の一端部(53)は、対応する複数の第1ワイヤ保持部(17a、17b)にそれぞれ巻回されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の突出磁極(11a)を有する輪状のステータコア(11)と、
前記ステータコア(11)に覆って取り付けられ、複数の接続部材(31)が設けられている端子部(14)を有する輪状絶縁カバー(12)と、
前記複数の突出磁極(11a)にそれぞれ巻回されてステータコイル(52)を形成するとともに、一端部(53)が前記端子部(14)に配置されている複数のマグネットワイヤ(51)と、を備えるレゾルバステータであって、
前記端子部(14)には、前記端子部(14)と一体的、かつ、突起状に形成されている、複数の第1ワイヤ保持部(17a、17b)が設けられており、
前記複数のマグネットワイヤ(51)の一端部(53)は、対応する前記複数の第1ワイヤ保持部(17a、17b)にそれぞれ巻回されている、レゾルバステータ。
【請求項2】
前記第1ワイヤ保持部(17a、17b)は、前記端子部(14)に固定されている基端部(18a、18b)と、前記基端部(18a、18b)から突出している先端部(19a、19b)とを含み、
前記基端部(18a、18b)には、前記第1ワイヤ保持部(17a、17b)の突出方向に沿った中心軸に対し垂直方向における断面積が、前記先端部(19a、19b)の前記中心軸に対し垂直方向における最大の断面積より小さく形成されている凹部(21a、21b)が設けられており、
前記複数のマグネットワイヤ(51)の一端部(53)は、対応する前記複数の第1ワイヤ保持部(17a、17b)の前記凹部(21a、21b)にそれぞれ巻回されている、請求項1に記載のレゾルバステータ。
【請求項3】
前記複数のマグネットワイヤ(51)は、前記ステータコイル(52)と、前記一端部(53)との間において、対応する前記複数の接続部材(31)にそれぞれ電気的に接続されている、請求項1又は2に記載のレゾルバステータ。
【請求項4】
前記端子部(14)に一方端(72)が配置されている複数のリード線(71)を備え、
前記複数のリード線(71)の一方端(72)は、前記接続部材(31)にそれぞれ電気的に接続されている、請求項1~3の何れか一項に記載のレゾルバステータ。
【請求項5】
前記接続部材(31)は、前記複数のマグネットワイヤ(51)の前記一端部(53)が接続される平坦部(35)を有する金属部材である、請求項1~4の何れか一項に記載のレゾルバステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバステータの端子構造に関し、特に改良されたレゾルバの端子構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転角度を検出するセンサとして、レゾルバが用いられている。特許文献1に開示されているように、レゾルバには、環状部の内周に一定間隔で設けられた複数の突出磁極に、それぞれマグネットワイヤが巻回されてステータコイルが形成されている。マグネットワイヤは、ステータの端子部に設けられた端子ピンの一端部に接続されており、端子ピンの他端部にはリード線が接続され、信号が入出力される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、端子ピンは、端子部の形状に合わせて折り曲げ加工していた。また、端子ピンの端部は、マグネットワイヤが外れないような形状とする必要があった。すなわち、端子ピンを備える従来のステータは、構造が複雑であり、作製上手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためにされたものである。すなわち、本発明は、マグネットワイヤが容易に外れず、かつ、より製作容易なレゾルバを提供することを目的としている。また、従来のTig溶接に代わりボンディング接続を成立させるための構造とすることも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレゾルバステータは、複数の突出磁極を有する輪状のステータコアと、ステータコアに覆って取り付けられ、複数の接続部材が設けられている端子部を有する絶縁カバーと、複数の突出磁極にそれぞれ巻回されてステータコイルを形成するとともに、一端部が端子部に配置されている複数のマグネットワイヤと、を備え、端子部には、端子部と一体的、かつ、突起状に形成されている、複数の第1ワイヤ保持部が設けられており、複数のマグネットワイヤの一端部は、対応する複数の第1ワイヤ保持部にそれぞれ巻回されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1ワイヤ保持部は、別部品を用いることなく端子部と一体的に形成でき、第1ワイヤ保持部を簡素に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るレゾルバの端子部を示した正面図である。
【
図2】
図1における接続部材を示した正面図である。
【
図3】
図1におけるA部を示した部分拡大図である。
【
図4】
図3における矢視Bによる第1ワイヤ保持部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態>
本発明の実施の形態を以下に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るレゾルバのレゾルバステータ100の端子部周辺を示した拡大正面図である。
図2は、
図1の接続部材を示した正面図である。
図3は、
図1におけるA部を示した部分拡大図である。
図4は、
図3における矢視Bによる第1ワイヤ保持部17a、17bの側面図である。なお、
図1では、マグネットワイヤ、及び、リード線は、それぞれ1本のみ示され、他は省略されている。
【0010】
本発明の実施の形態に係るレゾルバステータ100は、周知のように、複数の突出磁極11aを有する輪状のステータコア11と、前記ステータコア11に覆うように取り付けられている輪状部13、及び、端子部14を有する輪状絶縁カバー12と、複数の突出磁極11aにそれぞれ巻回されてステータコイル52を形成し、一端部53が端子部14に配置されている複数のマグネットワイヤ51と、端子部14に一方端72が配置されている複数のリード線71と、を備えている。
【0011】
ステータコア11は環状に形成されており、内周面には複数の突出磁極11aが一定の角度間隔で形成されている。ステータコア11は、薄板の電磁鋼板を積層させて一体的に形成されている。
【0012】
輪状絶縁カバー12は、突出磁極11aにステータコイル52を巻回する前に、インサート成形によってステータコア11の所要部分を覆うように設けられている部材である。輪状絶縁カバー12は、輪状のステータコア11を覆っている輪状部13と、輪状部13の外周部において外方に突出して形成され、輪状部13と一体成型されている端子部14と、を有している。端子部14は、
図1に示されているように、複数の接続部材31がインサート成形されている。端子部14は、接続部材31が配置されている複数の接続部材収容部15と、接続部材31の一部を覆うように保持している接続部材保持部16とを有している。輪状絶縁カバー12は、樹脂材で一体的に形成されている。
【0013】
図2には、接続部材31が示されている。接続部材31は、マグネットワイヤ51の一端部53と、リード線71の一方端72とがそれぞれボンディング接続される平坦部35を有する板状の金属部材である。接続部材31は、内側端部32と、外側端部33と、内側端部32と外側端部33との間に位置する中央部34と、を有している。内側端部32、及び、外側端部33は、接続部材31が端子部14の接続部材収容部15に配置された時に、ステータコア11の内側、及び、外側にそれぞれ位置する。
図1に示されているように、接続部材31が端子部14の接続部材収容部15に配置されている状態では、接続部材31のそれぞれの中央部34が、接続部材保持部16に覆われて保持されている。接続部材保持部16に覆われている中央部34以外の平坦部35は、樹脂材で覆われておらず、平坦部35が露出している。接続部材31は、ニッケルメッキが施された銅板である。
【0014】
図3には、
図1におけるA部の拡大図であって、接続部材保持部16と接続部材31との部分拡大図が示されている。端子部14には、マグネットワイヤ51を保持する複数の第1ワイヤ保持部17a、17bと、複数の第2ワイヤ保持部22とが、端子部14と一体的に設けられている。
【0015】
第1ワイヤ保持部17a、17bは、マグネットワイヤ51の一端部53が巻回されて固定される部材である。第1ワイヤ保持部17a、17bは、複数の接続部材31の直上の接続部材保持部16に、それぞれ1組づつ設けられている。第1ワイヤ保持部17a、17bは、1つの接続部材31の直上の接続部材保持部16に、第1ワイヤ保持部17aと、第1ワイヤ保持部17bとの1組が、接続部材保持部16から突出し、かつ互いに隣接して、形成されている。第1ワイヤ保持部17aと、第1ワイヤ保持部17bとは、互いの間の中間線に対して対称形である。第1ワイヤ保持部17a、17bは、断面が長丸形状の円柱であり、それぞれ接続部材保持部16に固定されている基端部18a、18bと、先端部19a、19bとを有している。
【0016】
図4には、
図3における矢視Bによる、第1ワイヤ保持部17a、17bの側面形状が示されている。基端部18a、18bには、前記第1ワイヤ保持部17a、17bの突出方向に沿った中心軸Xa、Xbに対し垂直方向における断面積が、先端部19a、19bの前記中心軸Xa、Xbに対し垂直方向における最大の断面積より小さくなるように、凹部21a、21bが設けられている。前記複数のマグネットワイヤ51の一端部53は、対応する複数の第1ワイヤ保持部17a、17bの凹部21a、21bにそれぞれ巻回されている。凹部21a、21bは、巻き回されるマグネットワイヤ51の一端部53を外れにくく、又は抜けにくくする。凹部21a、21bは、第1ワイヤ保持部17a、17bにおいて、いわゆるアンダーカット形状を形成している。凹部21a、21bは、
図4に示されているように、接続部材保持部16面から基端部18a、18bの全体にわたって形成されている。また、凹部21a、21bは、基端部18a、18bの先端部19a、19b側にのみ凹部21a、21bが形成されているような、スリットとして形成することもできる。
【0017】
図3を参照して、第2ワイヤ保持部22を説明する。端子部14の各接続部材31の内側端部32のステータコア11の中心側には、それぞれ第2ワイヤ保持部22が形成されている。第2ワイヤ保持部22は、ステータコイル52と、一端部53との間において、マグネットワイヤ51が引っ掛けられる部位である。第2ワイヤ保持部22は、マグネットワイヤ51に過大なテンションがかからないようにするとともに、マグネットワイヤ51を接続部材31の平坦部35上に導き、マグネットワイヤ51を接続部材31に電気的に接続しやすくする。第2ワイヤ保持部22は、端子部14から、突出して形成されている円柱部材であり、端子部14と一体的に形成されている。
【0018】
マグネットワイヤ51は、突出磁極11aに巻回されてステータコイル52を形成する部材である。周知のように、複数のステータコイル52は、励磁用コイル部と、出力用コイル部とを含んでいる。マグネットワイヤ51の一端部53は、対応する1組の第1ワイヤ保持部17a、17bの何れかに巻回されている。
図3では、マグネットワイヤ51の一端部53は、図中右側の第1ワイヤ保持部17bに巻回されている。
【0019】
マグネットワイヤ51は、ステータコイル52から端子部14に向かい、対応する第2ワイヤ保持部22に引っ掛けられてから、第1ワイヤ保持部17a、17bの対応する何れかに巻回される。マグネットワイヤ51は、第2ワイヤ保持部22から第1ワイヤ保持部17a、17bに向かう途中で、接続部材31の平坦部35上を通るように配索されており、
図1のC部において接続部材31に電気的に接続されている。マグネットワイヤ51は、接続部材31の平坦部35に超音波接合されて、電気的に接続されている。
【0020】
リード線71は、リード線71の一方端72が端子部14に配置されている。
図1に示されているように、リード線71の一方端72はリード線71の被覆を設けられておらず、接続部材31の平坦部35上に電気的に接続されている。
図1のD部に示されているように、リード線71の一方端72は、接続部材31の平坦部35にはんだ付けされて、電気的に接続されている。
【0021】
本発明のレゾルバステータ100では、複数のマグネットワイヤ51の一端部53が巻回されている第1ワイヤ保持部17a、17bは、端子部14に一体的に形成されている。
【0022】
上記構成によれば、第1ワイヤ保持部17a、17bは、別部品を用いることなく形成されている。従って、第1ワイヤ保持部17a、17bを簡素に構成することができる。
【0023】
本発明のレゾルバステータ100では、複数のマグネットワイヤ51の一端部53を巻回して保持する第1ワイヤ保持部17a、17bは、いわゆるアンダーカット形状に形成されている。
【0024】
上記構成によれば、第1ワイヤ保持部17a、17bに巻回されているマグネットワイヤ51の一端部53は、第1ワイヤ保持部17a、17bに巻回するという容易な方法で、外れにくく固定することができる。
【0025】
本発明のレゾルバステータ100では、マグネットワイヤ51は接続部材31の平坦部35上に電気的に接続されている。
【0026】
上記構成によれば、マグネットワイヤ51と、接続部材31とを簡素な構成で接続することができる。
【0027】
本発明のレゾルバステータ100では、リード線71は接続部材31の平坦部35上に電気的に接続されている。
【0028】
上記構成によれば、リード線71と、接続部材31とを簡素な構成で接続することができる。
【0029】
本発明のレゾルバステータ100では、マグネットワイヤ51と、リード線71とを電気的に接続する接続部材31は、板状部材で形成されている。
【0030】
上記構成によれば、マグネットワイヤ51と、リード線71とを、電気的に接続する接続部材31を簡素な構成で製作することができる。
【符号の説明】
【0031】
11 ステータコア、11a 突出磁極、12 輪状絶縁カバー、14 端子部、
17a,17b 第1ワイヤ保持部、18a,18b 基端部、
19a,19b 先端部、21a,21b 凹部、31 接続部材、
35 平坦部、51 マグネットワイヤ、52 ステータコイル、
53 一端部、71 リード線、72 一方端、100 レゾルバステータ。