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  • 特開-モータ及びそのモータカバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065340
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】モータ及びそのモータカバー
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173857
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優佑
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605AA03
5H605BB05
5H605CC02
5H605DD32
(57)【要約】
【課題】本発明は、モータの外面に塵等が付着して、外観が悪くなることを防止することである。
【解決手段】本発明によるモータ及びそのモータカバーは、軸方向(P)に沿って前部(100)から後部(12)にわたり設けられた複数のモータ部品(6,7,9)を、Oリング(101)及びネジ(15,16)を介して一体状に結合するようにしたモータにおいて、前記複数のモータ部品(6,7,9)の外面(7A)に接し、かつ、全体形状が断面でU字型又はV字型又は角柱型をなすモータカバー部(14)を有し、前記Oリング(101)及びネジ(15)は、前記モータカバー部(14)の内側に位置している構成である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向(P)に沿って前部(100)から後部(12)にわたり設けられた複数のモータ部品(6,7,9)を、Oリング(101)及びネジ(15,16)を介して一体状に結合するようにしたモータにおいて、
前記複数のモータ部品(6,7,9)の外面(7A)に接し、かつ、全体形状が断面でU字型又はV字型又は角柱型をなすモータカバー部(14)を有し、前記Oリング(101)及びネジ(15)は、前記モータカバー部(14)の内側に位置していることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記モータカバー部(14)の一端(14D)には開口(14E)が形成され、前記一端(14D)に対する他端(14F)には、前記各モータ部品(6,7,9)の後方(4A)に配設された回転検出器(13)を覆うためのドーム状のドーム部(102)が形成されていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記モータカバー部(14)の内面(14C)が接する外面(7A)を有する前記複数のモータ部品(6,7,9)は、前蓋(6)、輪状ステータ(7)及び後蓋(9)よりなることを特徴とする請求項1又は2記載のモータ。
【請求項4】
全体形状が縦断面でU字型又はV字型又は角型をなすモータカバー部(14)と、前記モータカバー部(14)の一端(14D)に形成された開口(14E)と、前記モータカバー部(14)の一端(14D)に対向する他端(14F)と、前記他端(14F)に形成されドーム状をなすドーム部(102)と、からなり、
前記モータカバー部(14)内にモータ(4)を収納することができる構成としたことを特徴とするモータカバー。
【請求項5】
前記ドーム部(102)の形状は、円筒、球形及び多角形の何れかからなると共に、前記モータカバー部(14)の前記開口(14E)の開口端(14G)は、前記前蓋(6)の前端面(6A)と面一であることを特徴とする請求項4記載のモータカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びそのモータカバーに関し、特に複数のモータ部品からなるモータの外面全体を、断面U字型又はV字型又は角柱型をなすモータカバー部で覆うことにより、モータの外面のOリング及びネジをモータカバー部の内側に位置させ、Oリング及びネジを用いた接続部等への汚れの付着を防止するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のモータ等の装置としては、例えば、排水ポンプ及び空気調和機を図4として挙げることができる。
すなわち、図4において、符号1で示されるものは、モータ4によって作動する排水ポンプであり、この排水ポンプ1の外周には、ブラケット54、弾性係合片55、係合受け部25、吸込み口23、排出口24、ポンプ室ケース2等が設けられている。
従って、前記モータ4の作動によって、吸込み口23で吸込まれた液体は、前記排出口24から外部に排出される。
【0003】
次に、図3で示される構成は、本出願人の製作によるもので、特に、この構成を示す特許文献等は開示されていない。
図3において、符号4で示されるものは、モータであり、このモータ4は、第1軸受5を有する第1モータ部品としての前蓋6と、この前蓋6に隣接する第2モータ部品としての輪状ステータ7と、この輪状ステータ7に隣接し第2軸受8を有する第nモータ部品としての後蓋9と、前記各軸受5、8間に回転自在に設けられロータ10を有する回転軸11と、から構成され、この回転軸11の後部12には、レゾルバ等からなる回転検出器13が接続されている。
【0004】
前記後蓋9の端部には、断面形状で凹状をなすセンサカバー18が前記回転検出器13を覆うように設けられている。
前記センサカバー18のフランジ部18aは、第1ネジ15及び第2ネジ16を介して、前記後蓋9の端面9Aに固定されている。
また、前蓋6、輪状ステータ7、及び後蓋9は、Oリング101及び第1、第2ネジ15、16によって互いに隣接して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-91190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のモータは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図4の排水ポンプ1の場合、ポンプ室ケース2の本体の外周に、弾性係合片55、及び係合受け部25が設けられており、ポンプ室ケース2の外周には、これらを覆うような手段は何ら設けられていなかったため、長時間使用すると、ホコリや異物が付着し、美観を損ねるだけでなく、ポンプ室ケース2の内部にもホコリ等が入り、故障等の原因にもなっていた。
また、図3のモータ4の場合、各モータ部品6、7、9の嵌合部毎に、防水及び防塵のためのシール構造が必要であり、各モータ部品のつなぎ目が外観上に露出していた。
従って、このつなぎ目に汚れが付着、堆積する等、美観上優れないため、防水性及び防塵性を有し、かつ、美観を有するモータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるモータは、軸方向に沿って前部から後部にかけて設けられた複数のモータ部品を、Oリング及びネジを介して一体状に結合するようにしたモータにおいて、前記複数のモータ部品の外面に接し、かつ、全体形状が断面でU字型又はV字型又は角型をなすモータカバー部を有し、前記Oリング及びネジは、前記モータカバー部の内側に位置している構成であり、また、前記モータカバー部の一端には開口が形成され、前記一端に対する他端には、前記各モータ部品の後方に配設された回転検出器を覆うためのドーム状のドーム部が形成されている構成であり、また、前記モータカバー部の内面が接する外面を有する前記複数のモータ部品は、前蓋、輪状ステータ及び後蓋よりなる構成であり、また、本発明によるモータカバーは、全体形状が断面でU字型又はV字型又は角型をなすモータカバー部と、前記モータカバー部の一端に形成された開口と、前記モータカバー部の一端に対向する他端と、前記他端に形成されドーム状をなすドーム部と、からなり、前記モータカバー部内にモータを収納することができる構成であり、また、前記ドーム部の形状は、円筒、球形及び多角形の何れかからなると共に、前記モータカバー部の前記開口の開口端は、前記前蓋の前端面と面一である構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるモータ及びそのモータカバーは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、軸方向に沿って前部から後部にかけて設けられた複数のモータ部品を、Oリング及びネジを介して一体状に結合するようにしたモータにおいて、前記複数のモータ部品の外面に接し、かつ、全体形状が断面でU字型又はV字型又は角柱型をなすモータカバー部を有し、前記Oリング及びネジは、前記モータカバー部の内側に位置していることにより、モータを構成する各モータ部品間に設けられているOリング及びネジ等を覆いかくすことができ、モータ自体の外面を清潔に保ち、モータの長寿命化に貢献できる。
また、モータカバー部の一端には開口が形成され、前記一端に対する他端には、前記各モータ部品の後方に配設された回転検出器を覆うためのドーム状のドーム部が形成されていることにより、ACサーボモータ等の全てのモータの外面を清潔に保ち、モータの寿命を従来よりも長くすることができる。
また、前記モータカバー部の内面が接する外面を有する前記複数のモータ部品は、前蓋、輪状ステータ及び後蓋よりなることにより、モータ自体が外部からの塵等の侵入を防止することになり、長寿命化につながることになる。
また、本発明によるモータカバーは、全体形状が断面でU字型又はV字型又は角柱型をなすモータカバー部と、前記モータカバー部の一端に形成された開口と、前記モータカバー部の一端に対向する他端と、前記他端に形成されドーム状をなすドーム部と、からなり、前記モータカバー部内にモータを収納することができる構成としたことにより、ACサーボモータに限ることなく全てのモータに対して、モータの外面への塵等の付着を防止することができる。
また、前記ドーム部の形状は、円筒、球形及び多角形の何れかからなると共に、前記モータカバー部の前記開口の開口端は、前記前蓋の前端面と面一であることにより、モータカバーをモータに装着後でもモータの外見を美しく保つことができる。
また、前述の本発明によるモータ及びそのモータカバーの効果について、さらに説明する。
すなわち、モータ構成部品の勘合部毎のシールが不要となり、リード線部を除けば、モータカバーのみでモータ全体の防水性・防塵性を有することができるため、シールに必要な部品点数の削減、構造の簡素化を図ることができる。
また、モータカバーの材質、形状、装飾などにより、モータをロボットや装置内に収めずに露出して使用することもできる。
また、耐薬品性を有する材質、防水構造により、汚れが付着した際も容易に清掃できるモータである。
また、モータカバーはネジを用いない取付け構造にすることで、突起がなく、接触しても安全なモータを提供することができる。
また、モータ本体の組立上ネジが露出している部分についてもモータカバーにより覆うことで、安全なモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態によるモータ及びモータカバー部を示す断面図である。
図2図1の要部の拡大断面図である。
図3図1の従来構成を示す断面図である。
図4】従来構成としての排水ポンプの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるモータ及びそのモータカバーは、複数のモータ部品からなるモータの外面全体を、断面U字型又はV型又は角柱型をなすモータカバー部で覆うことにより、モータの外面のOリング及びネジをモータカバー部の内側に位置させ、Oリング及びネジを用いた接続部等への汚れの付着を防止する構成である。
【実施例0011】
以下、図面と共に本発明によるモータ及びそのモータカバーの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例としての図3及び図4と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号4で示されるものは、モータであり、このモータ4は、第1軸受5を有する第1モータ部品としての前蓋6と、この前蓋6に隣接する第2モータ部品としての輪状ステータ7と、この輪状ステータ7に隣接し第2軸受8を有する第nモータ部品としての後蓋9と、前記各軸受5、8間に回転自在に設けられロータ10を有する回転軸11と、から構成され、この回転軸11の後部12には、レゾルバ等からなる回転検出器13が接続されている。
前記第1、第2及び第nモータ部品6、7及び9は、前記回転軸11の軸方向Pに沿って前部100から前記後部12にかけて設けられ、複数のモータ部品6、7、9は、Oリング101及び第1、第2ネジ15、16によって互いに隣接して接続されている。また、前記回転軸11の後部12には、レゾルバ等の回転検出器13が設けられ、この回転検出器13により、前記回転軸11の回転を検出するように構成されている。
【0012】
前記モータ4の各モータ部品6、7及び9の外周は面一に構成され、前記後蓋9の後端9aから前記前蓋6側へ向けて螺入された第2ネジ16によって、前記モータ4が一体状に結合されている。
【0013】
前記各モータ部品6、7及び9からなる前記モータ4の外面7Aには、縦断面でU字型に形成されたモータカバー部14の内面14Cが嵌め込まれて設けられ、その一部に形成されモータカバー部14を後蓋9に取り付けるための保持部14Aがシールワッシャ15Aが設けられている第1ネジ15を介して前記後蓋9の後端9aに固定されている。
【0014】
前記モータカバー部14の一端14Dには、開口14Eが形成され、この一端14Dに対する他端14Fには、前記各モータ部品6、7及び9からなるモータ4の後方4A、すなわち、前記回転軸11の後部12に配設された回転検出器13を覆うためのドーム状のドーム部102が形成されている。
【0015】
前記モータカバー部14は、縦断図で全体形状がU字型をなしているが、U字型に限ることなく、V字型又は角柱型等とすることができる。
また、前記ドーム部102の形状は、円筒、球形及び多角形の何れかからなると共に、前記モータカバー部14の前記開口14Eの開口端14Gは前記前蓋6の前端面6Aと面一である。
尚、前記開口端14Gは、前記前端面6Aよりも短く形成することもできる。
【0016】
また、前述の実施の形態に関し、さらに、モータカバー部14はモータ4の外面7A全体を覆う構造である。センサカバーとして共通化することもできる。モータ外面7AにOリング溝を設け、Oリング101を嵌めることで防水性、防塵性を付与できる。Oリング101は1本でも2本でも構わない。また、シール方法は液状ガスケットを用いることもできる。モータカバー部14の固定はカバー口元部、または途中、底部を問わずスナップフィット、またはネジにより固定することができる。モータカバー部14の材質は樹脂、アルミ、ステンレス等材質は問わない。デザイン性、放熱性、清潔性など様々な観点で材質を選ぶことができる。モータカバー部14には図示していないが、動力線、センサ線、ブレーキ線等のリード線、またはコネクタを通すための穴や切欠きを有する。モータカバー部14形状は円筒、球形、角柱型など問わない。例として、袋状のモータカバー部14を実施の形態として示すが、モータ4の外面7Aのみを覆うモータドーム部102が設けられていない円筒状の形態のカバー部14でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によるモータ及びそのモータカバーは、モータの各部品を積み重ねてモータを構成した時に、モータの外周に位置する継ぎ目、Oリングの突部及びネジの突起等の外側に、例えば、円筒状のモータカバーを設けることにより、簡単に外周を覆うことができ、ホコリ等の付着によるモータの汚れを防止し、美しいモータを維持することができる。
【符号の説明】
【0018】
4 モータ
4A 後方
5 第1軸受
6 前蓋(第1モータ部品)
6A 前端面
7 輪状ステータ(第2モータ部品)
7A 外面
8 第2軸受
9 後蓋(第nモータ部品)
9a 後端
10 ロータ
11 回転軸
12 後部
13 回転検出器
14 モータカバー部
14A 保持部
14C 内面
14D 一端
14E 開口
14F 他端
14G 開口端
15 第1ネジ
15A シールワッシャ
16 第2ネジ
100 前部
101 Oリング
102 ドーム部
P 軸方向
図1
図2
図3
図4