(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065368
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】干し芋の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/10 20160101AFI20220420BHJP
【FI】
A23L19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173897
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】520402100
【氏名又は名称】株式会社ナニワやきいも本舗
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】西岡 武
【テーマコード(参考)】
4B016
【Fターム(参考)】
4B016LE03
4B016LG06
4B016LP03
4B016LP05
4B016LP08
4B016LP11
(57)【要約】
【課題】切断器具を使用せずに干し芋を製造する方法を提供すること
【解決手段】干し芋の製造方法は、皮付きサツマイモを加熱する加熱工程と、加熱した前記皮付きサツマイモを冷蔵する冷蔵工程と、冷蔵した前記皮付きサツマイモを再加熱して前記皮付きサツマイモの中身を軟化させる再加熱工程と、前記皮付きサツマイモの皮を介して軟化した前記皮付きサツマイモの中身を圧縮し、前記皮付きサツマイモの全体を略平板状にする圧縮工程と、圧縮された前記皮付きサツマイモを乾燥させる乾燥工程と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮付きサツマイモを加熱する加熱工程と、
加熱した前記皮付きサツマイモを冷蔵する冷蔵工程と、
冷蔵した前記皮付きサツマイモを再加熱して前記皮付きサツマイモの中身を軟化させる再加熱工程と、
前記皮付きサツマイモの皮を介して軟化した前記皮付きサツマイモの中身を圧縮し、前記皮付きサツマイモの全体を略平板状にする圧縮工程と、
圧縮された前記皮付きサツマイモを乾燥させる乾燥工程と、
を含む、
干し芋の製造方法。
【請求項2】
前記再加熱工程で前記皮付きサツマイモを加熱する温度は、前記冷蔵工程で前記皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、前記加熱工程で前記皮付きサツマイモを加熱する温度よりも低い、
請求項1に記載の干し芋の製造方法。
【請求項3】
前記乾燥工程で前記皮付きサツマイモを乾燥させる温度は、前記冷蔵工程で前記皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、前記再加熱工程で前記皮付きサツマイモを再加熱する温度以下である、
請求項1又は2に記載の干し芋の製造方法。
【請求項4】
前記乾燥工程にかかる時間は、前記冷蔵工程にかかる時間よりも短い、
請求項3に記載の干し芋の製造方法。
【請求項5】
前記乾燥工程の後に、前記皮付きサツマイモを整形する整形工程を行う、
請求項1~4のいずれか1つに記載の干し芋の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥工程及び前記整形工程を複数回行う、
請求項5に記載の干し芋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サツマイモの干し芋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、干し芋は、皮付きサツマイモを加熱した後、皮付きサツマイモの皮をむき、サツマイモを切断又は圧縮するなどしてサツマイモの形状を整え、サツマイモを乾燥させて製造されるのが一般的である。この種の干し芋の製造方法として、例えば、特許文献1(特許第5810360号公報)に記載される製造方法が知られている。特許文献1では、皮付きサツマイモを加熱した後、皮付きサツマイモの皮をむき、サツマイモを予備乾燥し、サツマイモを圧縮してサツマイモの形状を整え、サツマイモを本乾燥させて干し芋を製造する方法が開示されている。特許文献1における予備乾燥は、0~15℃で行われる。また、特許文献1における本乾燥は、前記予備乾燥と同様の温度で、2~3週間天日干しすることで行われる。
【0003】
従来、干し芋の製造においてサツマイモの皮をむく工程(すなわち、皮むき工程)及びサツマイモを切断する工程(すなわち、切断工程)では、刃物又はピアノ線などの鋭利な部分を有する切断器具が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
切断器具を使用する場合、作業者が鋭利な部分で怪我をするおそれがある。また、切断器具の使用を続けると、切断器具にサツマイモの皮及び中身が付着することがある。切断器具にサツマイモの皮及び中身が付着したまま作業を続けると、皮むき工程又は切断工程を行いにくくなることがある。また、切断器具には、様々な菌が付着するおそれがある。切断器具に菌に付着した状態で作業を続けると、菌がサツマイモの中身に付着するおそれがある。そのため、切断器具に付着したサツマイモの皮、中身、及び菌を除去するために切断器具を適宜清掃する必要がある。この切断器具の清掃の際にも、作業者が鋭利な部分で怪我をするおそれがある。
【0006】
従って、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、切断器具を使用せずに干し芋を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る干し芋の製造方法は、
皮付きサツマイモを加熱する加熱工程と、
加熱した前記皮付きサツマイモを冷蔵する冷蔵工程と、
冷蔵した前記皮付きサツマイモを再加熱して前記皮付きサツマイモの中身を軟化させる再加熱工程と、
前記皮付きサツマイモの皮を介して軟化した前記皮付きサツマイモの中身を圧縮し、前記皮付きサツマイモの全体を略平板状にする圧縮工程と、
圧縮された前記皮付きサツマイモを乾燥させる乾燥工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る干し芋の製造方法によれば、切断器具を使用せずに干し芋を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る干し芋の製造方法によって製造された干し芋の全体斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る干し芋の製造方法を示すフローチャート図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る干し芋の製造方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、
皮付きサツマイモを加熱する加熱工程と、
加熱した前記皮付きサツマイモを冷蔵する冷蔵工程と、
冷蔵した前記皮付きサツマイモを再加熱して前記皮付きサツマイモの中身を軟化させる再加熱工程と、
前記皮付きサツマイモの皮を介して軟化した前記皮付きサツマイモの中身を圧縮し、前記皮付きサツマイモの全体を略平板状にする圧縮工程と、
圧縮された前記皮付きサツマイモを乾燥させる乾燥工程と、
を含む、
干し芋の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、
前記再加熱工程で前記皮付きサツマイモを加熱する温度は、前記冷蔵工程で前記皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、前記加熱工程で前記皮付きサツマイモを加熱する温度よりも低い、
第1態様に記載の干し芋の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、
前記乾燥工程で前記皮付きサツマイモを乾燥させる温度は、前記冷蔵工程で前記皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、前記再加熱工程で前記皮付きサツマイモを再加熱する温度以下である、
第1態様又は第2態様に記載の干し芋の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、
前記乾燥工程にかかる時間は、前記冷蔵工程にかかる時間よりも短い、
第3態様に記載の干し芋の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、
前記乾燥工程の後に、前記皮付きサツマイモを整形する整形工程を行う、
第1態様~第4態様のいずれか1つに記載の干し芋の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、
前記乾燥工程及び前記整形工程を複数回行う、
第5態様に記載の干し芋の製造方法を提供する。
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の工程については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る干し芋の製造方法によって製造される干し芋を模式的に示した全体斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本第1実施形態に係る干し芋の製造方法によって製造される干し芋は、全体が皮で覆われた略平板状(偏平状)の干し芋である。この干し芋は、刃物などの切断器具を用いることなく、製造工程の開始から終了まで全体が皮で覆われたまま製造される。
【0019】
従って、製造時や清掃時に作業者が切断器具で怪我をすることを抑えることができる。また、切断器具を用いないので、切断器具にサツマイモの皮及び中身が付着することもなく、菌がサツマイモに付着することも抑えることができる。また、切断器具を清掃する必要もない。
【0020】
また、原料となる皮付きサツマイモの皮には、様々な栄養素が含まれている。
図1に示す干し芋は、全体が皮で覆われているため、
図1に示す干し芋を食べることで、皮に含まれた栄養素を摂取することができる。
【0021】
以下、
図1及び
図2を参照しながら、本第1実施形態に係る干し芋の製造方法について説明する。
図2は、本第1実施形態に係る干し芋の製造方法を示すフローチャート図である。
【0022】
[原料]
本第1実施形態においては、原料となるサツマイモとして、全体が皮で覆われた皮付きサツマイモを用いる。本第1実施形態に係る干し芋の製造方法は、サツマイモの全体が皮で覆われたまま、加熱工程S1、冷蔵工程S2、再加熱工程S3、圧縮工程S4、乾燥工程S5を順に行うことを含む。
【0023】
[加熱工程S1]
加熱工程S1は、皮付きサツマイモを加熱することで、サツマイモの糖度を向上させる工程である。加熱工程S1では、例えば、180℃以上の温度で、予め決められた時間、皮付きサツマイモを加熱する。予め決められた時間は、サツマイモの種類、形状などによって異なるが、例えば、90分である。加熱工程S1における皮付きサツマイモの加熱は、例えば、火力による加熱(焼成)であってもよいし、過熱蒸気による加熱(蒸し焼き)であってもよい。但し、過熱蒸気によって皮付きサツマイモを加熱する場合、皮に水分が付着して、皮が破損しやすくなる。このため、本第1実施形態では、火力によって皮付きサツマイモを加熱する。火力によって皮付きサツマイモを加熱する場合、皮が焦げたり、焼きムラが生じやすい。このため、火力によって皮付きサツマイモを加熱する場合、加熱工程S1は、皮付きサツマイモが火力を直接受ける位置を変えながら行うことが好ましい。
【0024】
[冷蔵工程S2]
冷蔵工程S2は、加熱工程S1で加熱した皮付きサツマイモを冷蔵して、皮付きサツマイモの中身を熟成させるとともに、皮を硬くする工程である。冷蔵工程S2で皮付きサツマイモを冷蔵する温度は、例えば、0℃以上15℃以下である。冷蔵工程S2で皮付きサツマイモを冷蔵する時間は、サツマイモの種類、形状などによって異なるが、例えば、24時間以上48時間以下である。
【0025】
[再加熱工程S3]
再加熱工程S3は、冷蔵工程S2で冷蔵された皮付きサツマイモを再加熱して、皮付きサツマイモの中身を軟化させる工程である。再加熱工程S3は、皮が焦げるなどして破損しないように、弱火で皮付きサツマイモを加熱することが好ましい。本第1実施形態において、再加熱工程S3で皮付きサツマイモを再加熱する温度は、冷蔵工程S2で皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、加熱工程S1で皮付きサツマイモを加熱する温度よりも低い温度である。再加熱工程S3で皮付きサツマイモを加熱する温度は、例えば、60℃以上70℃以下である。また、再加熱工程S3で皮付きサツマイモを加熱する時間は、サツマイモの種類、形状などによって異なるが、例えば、2時間以上3時間以下である。本第1実施形態においては、再加熱工程S3と後述する乾燥工程S5とを、同じ食品乾燥機を用いて行う。
【0026】
[圧縮工程S4]
圧縮工程S4は、皮付きサツマイモの皮を介して再加熱工程S3で軟化した皮付きサツマイモの中身を圧縮し、皮付きサツマイモの全体を略平板状にする圧縮工程である。圧縮工程S4で皮付きサツマイモを圧縮して所望の厚さにすることで、干し芋を食べるときの食感及び外観を調整することができる。また、従来の干し芋よりも薄く(例えば、15mm~20mm)することで、後続の乾燥工程S5を短縮することができる。圧縮工程S4は、例えば、手指で皮付きサツマイモの全体を順次押圧することにより行われる。手指で皮付きサツマイモの圧縮を行うことで、皮付きサツマイモの皮がより破損しないように圧縮力を調整しやすくなる。
【0027】
[乾燥工程S5]
乾燥工程S5は、圧縮工程S4で圧縮した皮付きサツマイモを乾燥して、
図1の干し芋の製造を完了する工程である。本第1実施形態において、乾燥工程S5で皮付きサツマイモを乾燥させる温度は、冷蔵工程S2で皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、再加熱工程S3で皮付きサツマイモを再加熱する温度以下である。乾燥工程S5で皮付きサツマイモを乾燥する温度は、例えば、60℃以上70℃以下である。この温度範囲で皮付きサツマイモを乾燥することで、サツマイモの乾燥を促進して短時間で行うことができる。乾燥工程S5で皮付きサツマイモを乾燥する時間は、サツマイモの種類、形状などによって異なるが、冷蔵工程S2にかかる時間より短い時間、例えば、20時間である。なお、従来の干し芋の製造方法では、冷蔵工程S2と同様の温度条件下である冬期自然温度条件下(0℃~15℃)で本乾燥工程を行うので、2~3週間の乾燥時間がかかる。
【0028】
また、従来の干し芋の製造方法では、天日干しによって本乾燥工程が行われる。このため、本乾燥工程の間(2~3週間)、多数の干し芋が外気に触れるように、広いスペースを確保する必要がある。これに対して、本第1実施形態において、乾燥工程S5は、再加熱工程S3と同じ食品乾燥機を使用して行われる。このため、乾燥工程S5を行うために、広いスペースを確保する必要がなく、小さな店舗でも本第1実施形態に係る干し芋の製造方法を完結することができる。
【0029】
乾燥工程S5を完了することで、
図1に示す本干し芋の製造が完了する。
【0030】
本第1実施形態に係る干し芋の製造方法によれば、製造工程の開始から完了まで皮付きサツマイモの皮を除去することなく製造することができるので、刃物などの切断器具を使用せずに干し芋を製造することができる。その結果、製造時や清掃時に作業者が切断器具で怪我をすることを抑えることができる。また、切断器具を用いないので、切断器具にサツマイモの皮及び中身が付着することもなく、菌がサツマイモに付着することも抑えることができる。また、切断器具を清掃する必要もない。
【0031】
また、本第1実施形態に係る干し芋の製造方法によれば、再加熱工程S3で皮付きサツマイモを加熱する温度は、冷蔵工程S2で皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、加熱工程S1で皮付きサツマイモを加熱する温度よりも低い。この製造方法によれば、皮が焦げるなどして破損することを抑えつつ、皮付きサツマイモの中身を軟化させることができる。これにより、後続の圧縮工程S4において、皮付きサツマイモの中身を容易に圧縮しやすい状態にする一方で、皮が破損し難い状態にすることができる。
【0032】
また、本第1実施形態に係る干し芋の製造方法によれば、乾燥工程S5で皮付きサツマイモを乾燥させる温度は、冷蔵工程S2で皮付きサツマイモを冷蔵する温度よりも高く、再加熱工程S3で前記皮付きサツマイモを再加熱する温度以下である。この製造方法によれば、従来の製造方法に比べて、サツマイモの乾燥を促進して短時間で行うことができる。また、短時間で皮付きサツマイモを乾燥させられるため、例えば、再加熱工程S3と乾燥工程S5とで同じ食品乾燥機を使用することができる。これにより、乾燥工程S5を行うために、広いスペースを確保する必要がなく、小さな店舗でも本第1実施形態に係る干し芋の製造方法を完結することができる。
【0033】
また、本第1実施形態に係る干し芋の製造方法によれば、乾燥工程S5にかかる時間が、冷蔵工程S2にかかる時間よりも短い。この製造方法によれば、より短時間で皮付きサツマイモを乾燥させるため、乾燥工程S5を行うために、広いスペースを確保する必要がなく、小さな店舗でも本第1実施形態に係る干し芋の製造方法を完結することができる。
【0034】
なお、本発明は前記第1実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0035】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る干し芋の製造方法について、
図3を用いて説明する。
図3は、本第2実施形態に係る干し芋の製造方法を示すフローチャート図である。本第2実施形態に係る干し芋の製造方法が、前記第1実施形態に係る干し芋の製造方法と異なる点は、乾燥工程S5の後に、皮付きサツマイモを整形する整形工程S6と、皮付きサツマイモの乾燥状態及び厚さを確認する確認工程S7とを行う点である。
【0036】
[整形工程S6]
整形工程S6は、乾燥工程S5で乾燥した皮付きサツマイモを、皮が破損しないよう圧縮して整形する工程である。整形工程S6は、例えば、手指で皮付きサツマイモの全体を順次押圧することにより行われる。手指で皮付きサツマイモの押圧を行うことで、皮がより破損しないように圧縮力を調整しやすくなるとともに、皮付きサツマイモの乾燥状態を確認することができる。圧縮工程S4で皮付きサツマイモを所望の干し芋の厚さ(例えば、15mm~20mm厚)まで圧縮しようとすると、皮付きサツマイモにかかる力が大きくなり、皮付きサツマイモの皮が破損しやすくなる。そのため、圧縮工程S4と整形工程S6との2つの工程に分けて皮付きサツマイモを圧縮することで、皮付きサツマイモの皮を破損しにくくすることができる。
【0037】
なお、整形工程S6は乾燥工程S5の後に行うので、整形工程S6における皮付きサツマイモは、圧縮工程S4における皮付きサツマイモに比べて硬い。そのため、圧縮工程S4と整形工程S6とにおいて、皮付きサツマイモを同じ力で圧縮すると、整形工程S6における皮付きサツマイモの方が圧縮工程S6における皮付きサツマイモよりも、皮が破損しやすい。したがって、整形工程S6で皮付きサツマイモを圧縮(整形)する力及び量は、圧縮工程S4で皮付きサツマイモを圧縮する力及び量よりも小さいことが好ましい。
【0038】
[確認工程S7]
確認工程S7は、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモが、本第2実施形態に係る干し芋として完成したか否かを確認する工程である。確認工程S7は、例えば、手指で皮付きサツマイモを押圧することにより行われる。確認工程S7における確認は、整形工程S6における手指での押圧で得られた感触に基づいて行われてもよい。確認工程S7では、例えば、皮付きサツマイモの乾燥状態が所望のレベルに達しており、皮付きサツマイモが所望の干し芋の厚さになっているときに、皮付きサツマイモが、本第2実施形態に係る干し芋として完成したと判断される。
【0039】
確認工程S7において、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモが本第2実施形態に係る干し芋として完成したことを確認した場合(確認工程S7でYESの場合)は、干し芋の製造が完了する。
【0040】
例えば、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモの乾燥状態が所望のレベルに達していないとき、又は皮付きサツマイモが所望の干し芋の厚さになっていないときは、本第2実施形態に係る干し芋として完成したとはいえない。このように、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモが、本第2実施形態に係る干し芋として完成したとはいえない場合(確認工程S7でNOの場合)は、再び、乾燥工程S5を行った後、整形工程S6を行う。すなわち、乾燥工程S5及び整形工程S6を複数回(繰り返し)行ってもよい。
【0041】
本第2実施形態に係る干し芋の製造方法によれば、皮付きサツマイモを1つの工程で圧縮する圧縮力をより抑えて、皮付きサツマイモの皮をより破損しにくくすることができる。その結果、様々な種類、大きさの皮付きサツマイモであっても、皮付きサツマイモの皮が破損することを抑えつつ、より均一な乾燥状態及び厚さにすることができる。
【0042】
なお、本発明は前記第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記では、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモが、本第2実施形態に係る干し芋として完成したとはいえない場合(確認工程S7でNOの場合)、乾燥工程S5及び整形工程S6を行うとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモの乾燥状態が所望のレベルに達していないときは、乾燥工程S5のみを再度行ってもよい。また、例えば、整形工程S6で整形した皮付きサツマイモの厚さが所望の干し芋の厚さでないときは、整形工程S6のみを再度行ってもよい。
【0043】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0044】
1 皮付きサツマイモの干し芋