(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065374
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、プローブピンおよび試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220420BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/067 B
G01R1/067 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173905
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 稔二
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AD09
2G003AG01
2G003AG03
2G003AG08
2G003AG12
2G003AH05
2G011AA04
2G011AA08
2G011AA09
2G011AA12
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB07
2G011AE01
(57)【要約】
【課題】半導体装置の製造コストを抑制する。
【解決手段】プローブピンPBは、半導体装置PKGのリードLDに接触させるための複数のプランジャPR1と、テスト基板TBの電極ELに接触させるためのプランジャPR2と、複数のプランジャPR1とプランジャPR2との間に配置されたバネSPとを有している。複数のプランジャPR1は、プランジャPR2に設けられた孔部に挿入されている。複数のプランジャPR1の先端部ST1がリードLDと接触し、プランジャPR2の先端部ST2がテスト基板TBの電極ELと接触することにより、半導体装置PKGのリードLDとテスト基板TBの電極ELとがプローブピンPBを介して電気的に接続される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)外部端子を有する半導体装置を準備する工程、
(b)プローブピンを介して前記半導体装置の前記外部端子を試験基板の電極に電気的に接続して、前記半導体装置の電気的試験を行う工程、
を備える、半導体装置の製造方法であって、
前記試験基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第1主面に形成された電極と、を有し、
前記プローブピンは、前記外部端子に接触させるための複数の第1のプランジャと、前記電極に接触させるための第2のプランジャと、前記複数の第1のプランジャと前記第2のプランジャとの間に配置された弾性体部と、を有し、
前記複数の第1のプランジャのそれぞれは、第1先端部と、前記第1先端部とは反対側の第1端部と、を有し、
前記第2のプランジャは、第2先端部と、前記第2先端部とは反対側の第2端部と、を有し、
前記複数の第1のプランジャの前記第1端部は、前記第2のプランジャの前記第2端部に設けられた孔部に挿入され、
前記(b)工程では、前記複数の第1のプランジャのそれぞれの前記第1先端部が前記外部端子と接触し、前記第2のプランジャの前記第2先端部が前記電極と接触することにより、前記半導体装置の前記外部端子と前記試験基板の前記電極とが前記プローブピンを介して電気的に接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第1のプランジャのそれぞれは、第1フランジ部を更に有し、
前記第2のプランジャは、第2フランジ部を更に有し、
前記弾性体部はバネからなり、
前記バネは、前記複数の第1のプランジャの前記第1フランジ部と、前記第2のプランジャの前記第2フランジ部との間に配置されている、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第1のプランジャの数は2つであり、
前記孔部内において、前記2つの第1のプランジャのそれぞれの断面形状は、半円形状である、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記2つの第1のプランジャは、断面形状を構成する半円の円弧同士が互いに対向するように、隣り合っている、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記2つの第1のプランジャは、断面形状を構成する半円の直線の辺同士が互いに対向するように、隣り合っている、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第1のプランジャの数は2つであり、
前記孔部内において、前記2つの第1のプランジャのそれぞれの断面形状は、円弧状に曲がった板形状である、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記2つの第1のプランジャは、断面形状を構成する円弧の外面同士が互いに対向するように、隣り合っている、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記2つの第1のプランジャは、断面形状を構成する円弧の内面同士が互いに対向するように、隣り合っている、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記孔部は、テーパ形状を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記孔部内において、前記複数の第1のプランジャのそれぞれの断面形状は、扇形形状である、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記プローブピンは、ソケットに収容されている、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体装置の外部端子に接触させるプローブピンであって、
前記プローブピンは、
前記外部端子に接触させるための複数の第1のプランジャと、
第2のプランジャと、
前記複数の第1のプランジャと前記第2のプランジャとの間に配置された弾性体部と、
を備え、
前記複数の第1のプランジャのそれぞれは、前記外部端子に接触させるための第1先端部と、前記第1先端部とは反対側の第1端部と、を有し、
前記複数の第1のプランジャの前記第1端部は、前記第2のプランジャの端部に設けられた孔部に挿入されている、プローブピン。
【請求項13】
外部端子を有する半導体装置の電気的試験を行うための試験装置であって、
試験基板と、
プローブピンと、
前記プローブピンを収容するソケットと、
を備え、
前記試験基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第1主面に形成された電極と、を有し、
前記プローブピンは、前記外部端子に接触させるための複数の第1のプランジャと、前記電極に接触させるための第2のプランジャと、前記複数の第1のプランジャと前記第2のプランジャとの間に配置された弾性体部と、を有し、
前記複数の第1のプランジャのそれぞれは、前記外部端子に接触させるための第1先端部と、前記第1先端部とは反対側の第1端部と、を有し、
前記第2のプランジャは、前記電極に接触させるための第2先端部と、前記第2先端部とは反対側の第2端部と、を有し、
前記複数の第1のプランジャの前記第1端部は、前記第2のプランジャの前記第2端部に設けられた孔部に挿入されている、試験装置。
【請求項14】
請求項13記載の試験装置において、
前記複数の第1のプランジャのそれぞれは、第1フランジ部を更に有し、
前記第2のプランジャは、第2フランジ部を更に有し、
前記弾性体部はバネからなり、
前記バネは、前記複数の第1のプランジャの前記第1フランジ部と、前記第2のプランジャの前記第2フランジ部との間に配置されている、試験装置。
【請求項15】
請求項14記載の試験装置において、
前記複数の第1のプランジャは、互いに独立して動くことが可能である、試験装置。
【請求項16】
請求項13記載の試験装置において、
前記複数の第1のプランジャの数は2つであり、
前記孔部内において、前記2つの第1のプランジャのそれぞれの断面形状は、半円形状である、試験装置。
【請求項17】
請求項16記載の試験装置において、
前記2つの第1のプランジャは、断面形状を構成する半円の円弧同士が互いに対向するように、隣り合っている、試験装置。
【請求項18】
請求項13記載の試験装置において、
前記複数の第1のプランジャの数は2つであり、
前記孔部内において、前記2つの第1のプランジャのそれぞれの断面形状は、円弧状に曲がった板形状である、試験装置。
【請求項19】
請求項18記載の試験装置において、
前記2つの第1のプランジャは、断面形状を構成する円弧の外面同士が互いに対向するように、隣り合っている、試験装置。
【請求項20】
請求項13記載の試験装置において、
前記孔部は、テーパ形状を有する、試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、プローブピンおよび試験装置に関し、例えば、プローブピンを使用して半導体装置の検査を行う技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-26505号公報(特許文献1)、特開2019-124566号公報(特許文献2)および特開2019-219350号公報(特許文献3)には、半導体装置の外部端子にプローブピンを接触させて半導体装置の電気的試験を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-26505号公報
【特許文献2】特開2019-124566号公報
【特許文献3】特開2019-219350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の製造工程では、不良品を除外するために、半導体装置の外部端子にプローブピンを接触させて、半導体装置の電気的試験を行っている。この際、プローブピンと半導体装置の外部端子との接触が的確に行われないと、半導体装置の電気的試験の信頼性が低下する虞がある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、プローブピンを介して半導体装置の外部端子を試験基板の電極に電気的に接続して、半導体装置の電気的試験を行う。前記プローブピンは、前記外部端子に接触させるための複数の第1のプランジャと、前記電極に接触させるための第2のプランジャと、前記複数の第1のプランジャと前記第2のプランジャとの間に配置された弾性体部と、を有する。前記複数の第1のプランジャは、前記第2のプランジャに設けられた孔部に挿入されている。
【発明の効果】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置の電気的試験の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施の形態の試験装置の構成を模式的に示す説明図ある。
【
図3】
図2に示される試験装置のソケット周辺を拡大して示す要部拡大断面図である。
【
図4】
図3の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図5】一実施の形態のプローブピンの側面図である。
【
図6】一実施の形態のプローブピンの側面図である。
【
図7】一実施の形態のプローブピンの側面図である。
【
図8】一実施の形態のプローブピンの側面図である。
【
図9】一実施の形態のプローブピンの側面図である。
【
図10】一実施の形態のプローブピンの側面図である。
【
図11】一実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図12】一実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図13】一実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図14】一実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図15】一実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図16】検討例の試験装置の部分拡大断面図である。
【
図19】第1変形例のプローブピンの断面図である。
【
図20】第1変形例のプローブピンの断面図である。
【
図21】プローブピンを構成する複数のプランジャの先端部を示す平面図である。
【
図22】プローブピンを構成する複数のプランジャの先端部を示す平面図である。
【
図23】プローブピンを構成する複数のプランジャの先端部を示す平面図である。
【
図24】プローブピンを構成する複数のプランジャの先端部を示す平面図である。
【
図25】プローブピンを構成する複数のプランジャの先端部を示す平面図である。
【
図26】プローブピンを構成する複数のプランジャの先端部を示す平面図である。
【
図27】他の実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図28】他の実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図29】他の実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図30】他の実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図31】他の実施の形態のプローブピンの断面図である。
【
図32】他の実施の形態のプローブピンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0012】
(実施の形態1)
<半導体装置>
まず、本実施の形態の半導体装置の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置の断面図(側面断面図)である。
【0013】
図1に示されるように、本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCPと、半導体チップCPを搭載するダイパッド(チップ搭載部)DPと、導電体によって形成された複数のリード(リード部)LDと、これらを封止する封止部MRとを有している。
【0014】
封止部(封止樹脂部)MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。
【0015】
複数のリードLDは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。
【0016】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではなく、例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの下面で各リードLDの一部が露出した構成(QFN型の構成)などを採用することもできる。
【0017】
複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面から封止部MR外に突出している。各リードLDのアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの下面とほぼ同一平面上に位置するように折り曲げ加工されている。リードLDのアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。
【0018】
ダイパッドDPは導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。ダイパッドDPの上面上には、半導体チップCPが、その表面を上に向け、かつ、その裏面をダイパッドDPに向けた状態で搭載されている。半導体チップCP1(の裏面)は、接着層(接合材)DBを介してダイパッドDPに接着されて固定されている。半導体チップCPは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0019】
半導体チップCPは、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路を形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造したものである。
【0020】
半導体チップCPの表面には、複数のパッド電極PDが形成されている。半導体チップCP複数のパッド電極PDは、複数のリードLD(のインナリード部)とボンディングワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、各ボンディングワイヤBWの両端のうち、一方の端部は半導体チップCPのパッド電極PDに接続され、他方の端部は、リードLDのインナリード部に接続されている。ボンディングワイヤBWは、導電性を有しており、好ましくは金(Au)線または銅(Cu)線またはアルミニウム(Al)線などの金属細線からなる。ボンディングワイヤBWは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0021】
<半導体装置の製造工程>
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記
図1に示される半導体装置(被検査体)PKGを準備する工程と、上記
図1に示される半導体装置(被検査体)PKGに電気的試験を実施する工程(検査工程)と、を有する。
【0022】
半導体装置KGを準備する工程は、リードフレームのダイパッドDP上に半導体チップCPを搭載する工程(ダイボンディング工程)と、半導体チップCPの複数のパッド電極PDとリードフレームの複数のリードLD(のインナリード部)とを複数のボンディングワイヤBWを介して電気的に接続する工程(ワイヤボンディング工程)と、を含む。半導体装置KGを準備する工程は、半導体チップCP、ダイパッドDP、複数のボンディングワイヤBWおよび複数のリードLD(のインナリード部)を封止部MRで封止する工程(モールド工程)と、リードフレームから複数のリードLDを切断する工程と、複数のリードLDを折り曲げ加工する工程と、を更に含む。
【0023】
半導体装置PKGに電気的試験を実施する工程(検査工程)では、以下に説明する試験装置TSを用いて、半導体装置PKGに対して電気的試験を行う。この工程を、電気的試験工程またはテスト工程と呼ぶ。
【0024】
<試験装置>
図2は、半導体装置PKGに対して電気的試験を行うための試験装置(電気的試験装置、検査装置、テスタ)TSの構成を模式的に示す説明図ある。
図3は、
図2に示される試験装置TSのソケットSK周辺を拡大して示す要部拡大断面図である。
図4は、
図3の一部を拡大して示す部分拡大断面図であり、
図3に示されるプローブピンPBとリードLDとの接続部分の周辺を拡大して示してある。
図5~
図10は、プローブピンPBの側面図であり、
図11~
図15は、プローブピンPBの断面図である。
【0025】
なお、
図5と
図7と
図9とは、プローブピンPBを見る方向が相違している。
図11および
図12に示される矢印YG1の方向からプローブピンPBを見た場合が、
図5に対応し、
図11および
図12に示される矢印YG2の方向からプローブピンPBを見た場合が、
図7に対応し、
図11および
図12に示される矢印YG3の方向からプローブピンPBを見た場合が、
図9に対応している。また、
図6は、
図5のプローブピンPBにおいてバネSPを透視(省略)した場合に対応し、
図8は、
図7のプローブピンPBにおいてバネSPを透視(省略)した場合に対応し、
図10は、
図9のプローブピンPBにおいてバネSPを透視(省略)した場合に対応している。また、
図11は、
図6に示されるA1-A1線の位置での断面図に対応し、
図12は、
図6に示されるA2-A2線の位置での断面図に対応している。また、
図13は、
図11および
図12に示されるB1-B1線の位置での断面図に対応し、
図14は、
図11および
図12に示されるB2-B2線の位置での断面図に対応し、
図15は、
図11および
図12に示されるB3-B3線の位置での断面図に対応している。また、
図12~
図15の断面図では、簡略化のために、バネSPの図示は省略してある。
【0026】
図2に示されるように、本実施の形態の試験装置TSは、半導体装置PKGを収容するソケット(収容部)SK、ソケットSKを介して半導体装置PKGと電気的に接続されるテスト基板(試験基板、配線基板、パフォーマンスボード)TB、およびテスト基板TBと電気的に接続されるテストヘッドHEを備える。テストヘッドHEには、半導体装置PKGとの間で信号や試験電圧の入出力を行うテスト回路が形成され、テスト基板TBおよびソケットSKを介して半導体装置PKGと電気的に接続される。
【0027】
また、本実施の形態では、テストヘッドHEの隣には制御部(テスタ本体)CLが配置され、制御部CLはテストヘッドHEと電気的に接続されている。制御部CLには、電気的試験工程を制御する制御回路が形成されており、制御部CLにより、例えば、テストヘッドHEと半導体装置PKGの相対位置の制御や、あるいは、複数の半導体装置PKGを連続的に試験するための制御などが行われる。他の形態として、テストヘッドHEの内部に制御回路を形成することもできる。
【0028】
図3に示されるように、テスト基板TBは、テストヘッドHEの上面上に固定されている。また、テスト基板TBは、テストヘッドHEの上面上に配置された、複数のコネクタ端子(端子)CTを介してテストヘッドHEに形成されたテスト回路と電気的に接続されている。
【0029】
また、テスト基板TBは、ソケットSKが搭載される上面TBa、および上面TBaの反対側に位置する下面(裏面)TBbを有する配線基板である。テスト基板TBの上面TBaおよび下面TBbには、それぞれ複数の配線WRからなる配線パターンが形成されている。
【0030】
テスト基板TBの上面TBa側に形成された複数の配線WRとテスト基板TBの下面TBb側に形成された複数の配線WRとは、テスト基板TBの上面TBaから下面TBbまで貫通するビア配線(ビア導体部)VAを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、テスト基板TBにはコンデンサやコイルなどの複数の電子部品ECが実装され、上面TBa側に搭載されたソケットSKと、配線WRを介して電気的に接続されている。
図3の場合は、複数の電子部品ECはテスト基板TBの下面TBbに実装されている。
【0031】
また、テスト基板TBは、下面TBbがテストヘッドHEの上面と対向するように、テストヘッドHEと離間してテストヘッドHE上に固定されている。テスト基板TBの固定方法は限定されないが、
図3の場合は、テストヘッドHEの上面に隔壁WLが配置され、テスト基板TBは隔壁WL上に例えばネジ(図示せず)により固定されている。
【0032】
また、半導体装置PKGを固定するソケットSKは、テスト基板TBの上面TBa上のソケット固定領域に固定されている。ソケットSKの固定方法は特に限定されないが、例えばネジ(図示せず)により固定されている。
【0033】
ソケットSKは、主として、例えば樹脂などの絶縁材料からなる。ソケットSKは、半導体装置PKGを固定する面である上面(半導体装置固定面)SKaと、上面SKaの反対側に位置する下面(テスト基板実装面)SKbと、を備えている。半導体装置PKGは、ソケットSKの上面SKa上に配置されて固定される。
【0034】
ソケットSKには、半導体装置PKGの複数のリードLDと電気的に接続する複数のプローブピン(テスト端子、ポゴピン、接触端子、コンタクタ)PBが収容されている。複数のプローブピンPBは、ソケットSKに設けられた複数の貫通孔(プローブ孔)THにそれぞれ挿入(収容)され、テスト基板TBの上面TBaに形成された複数の電極(パッド電極、端子、基板端子)ELとそれぞれ電気的に接続されている。プローブピンPBは、半導体装置PKGのリードLDとテスト基板TBの電極ELとをプローブピンPBを介して電気的に接続するために、設けられている。
【0035】
また、ソケットSK上には、押圧治具(図示せず)を配置することもできる。押圧治具(図示せず)は、半導体装置PKGの封止部MRの上面を押圧することにより、半導体装置PKGをソケットSKの上面SKaに押し付けることができる。あるいは、押圧治具(図示せず)は、半導体装置PKGの複数のリードLD(のアウタリード部)に押圧力を印加することもできる。押圧治具(図示せず)が半導体装置PKGの封止部MRまたは複数のリードLD(のアウタリード部)に押圧力を印加することにより、半導体装置PKGの複数のリードLD(のアウタリード部)がプローブピンPBに向かって押し付けられ、複数のプローブピンPBと複数のリードLD(のアウタリード部)とがそれぞれ接触し、電気的に接続することができる。テスト工程において、複数のプローブピンPBは複数のリードLDのアウタリード部の下面に接続される。
【0036】
図4~
図15を参照しながら、プローブピンPBの構成について、更に説明する。
【0037】
図4~
図15に示されるように、プローブピンPBは、半導体装置の外部端子(ここではリードLD)に接触させるための複数のプランジャ(プランジャ部)PR1と、テスト基板TBの電極ELに接触させるためのプランジャ(プランジャ部)PR2と、複数のプランジャPR1とプランジャPR2との間に配置される弾性体としてのバネ(バネ部、スプリング)SPとを備えている。プローブピンPBは、全体として細長い棒状(針状)の形状を有している。プローブピンPBにおいて、複数のプランジャPR1とプランジャPR2とは、弾性体部(ここではバネSP)を介して互いに対向するように配置されている。
【0038】
図4~
図15には、プローブピンPBを構成するプランジャPR1の数が2つである場合が示されている。プローブピンPBを構成する2つのプランジャPR1のうちの一方をプランジャPR1aと称し、他方をプランジャPR1bと称することとする。他の形態として、プローブピンPBを構成するプランジャPR1の数が3つ以上の場合もあり得る。
【0039】
各プランジャPR1は、半導体装置の外部端子(ここではリードLD)に接触させる側の端部(すなわちリードLDに対向する側の端部)である先端部ST1と、先端部ST1とは反対側の端部である端部ET1と、を備えている。ここで、プランジャPR1aの先端部ST1を先端部ST1aと称し、プランジャPR1aの端部ET1を端部ET1aと称することとする。また、プランジャPR1bの先端部ST1を先端部ST1bと称し、プランジャPR1bの端部ET1を端部ET1bと称することとする。また、プランジャPR2は、テスト基板TBの電極ELに接触させる側の端部(すなわち電極ELに対向する側の端部)である先端部ST2と、先端部ST2とは反対側の端部である端部ET2と、を備えている。プランジャPR1,PR2は、導電性を有しており、それぞれ金属材料からなる。また、
図4の場合は、バネSPは、コイルバネ(コイル状のバネ)である。バネSPは、導電性を有しており、例えば金属材料からなる。
【0040】
プランジャPR2の端部ET2には、孔部PHが設けられており、この孔部PHに、複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)のそれぞれの一部が挿入されている。すなわち、プランジャPR2の端部ET2に設けられた一つの(共通の)孔部PHに、複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)の端部ET1(ET1a,ET1b)が挿入されている。すなわち、プランジャPR2の一部(端部ET2)が、複数のプランジャPR1のそれぞれの一部(端部ET1)を包んでいる。これにより、プランジャPR2と複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)とは孔部PH内において互いに接触した状態になるため、プローブピンPBを構成するプランジャPR2と複数のプランジャPR1とは、電気的に接続される。また、バネSPが導電性を有する場合は、このバネSPがプランジャPR2と複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)との両方に接触することによっても、プランジャPR2と複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)とが電気的に接続され得る。
【0041】
プランジャPR1,PR2のうち、プランジャPR1が上側(リードLD側)で、プランジャPR2が下側(テスト基板TB側)となるような向きで、プローブピンPB(プランジャPR1,PR2およびバネSP)がソケットSKの貫通孔THに収容(挿入)されている。このため、ソケットSKの貫通孔THに収容(挿入)されたプローブPBにおいて、各プランジャPR1の先端部ST1は、上方(リードLD側)を向き、プランジャPR2の先端部ST2は、下方(テスト基板TB側)を向いている。
【0042】
プローブピンPB(プランジャPR1,PR2およびバネSP)は、ソケットSKの貫通孔THに収容(挿入)されているが、プローブピンPBを構成する各プランジャPR1の先端部ST1は、ソケットSKの上面SKaから突出していてもよい。
【0043】
プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)の先端部ST1(ST1a,ST1b)は、半導体装置PKGのリードLD(のアウタリード部)と接触し、それによって、複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)と半導体装置PKGのリードLDとが電気的に接続される。
【0044】
テスト基板TBの上面TBaにおいて、プローブピンPBと整合する位置に電極ELが設けられている。プローブピンPBを構成するプランジャPR2の先端部ST2は、テスト基板TBの電極ELと接触し、それによって、プランジャPR2とテスト基板TBの電極ELとが電気的に接続される。
【0045】
従って、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1がリードLD(のアウタリード部)と接触し、プローブピンPBを構成するプランジャPR2の先端部ST2がテスト基板TBの電極ELと接触することにより、リードLDがプローブピンPBを介してテスト基板TBの電極ELと電気的に接続される。これにより、半導体装置PKGの複数のリードLDは、複数のプローブピンPB、テスト基板TBの導体部(電極EL、配線WRおよびビア配線VAを含む)、および複数のコネクタ端子CTを介して、テストヘッドHEに形成されたテスト回路と電気的に接続される。プローブピンPBは、テスト基板TBの電極ELから入力された信号や電位を半導体装置PKGのリードLDに伝送する伝送経路として利用される。
【0046】
テスト工程では、試験装置TSを用いて半導体装置PKGの電気的試験が行われる。この際、ソケットSKに収容されている複数のプローブピンPBのプランジャPR1の先端部ST1を、半導体装置PKGの複数のリードLDとそれぞれ接触させ、かつ、ソケットSKに収容されている複数のプローブピンPBのプランジャPR2の先端部ST2を、テスト基板TBの複数の電極ELとそれぞれ接触させる。これにより、半導体装置PKGの複数のリードLDとテスト基板TBの複数の電極ELとが、複数のプローブピンPBを介して電気的に接続された状態となる。この状態で、テストヘッドHEに形成されたテスト回路から複数のコネクタ端子CT、テスト基板TBおよび複数のプローブピンPBを介して半導体装置PKG(の半導体チップCP)に所定の電気信号が送信されて、半導体装置PKGの電気的特性が測定される。これにより、半導体装置PKGの電気的特性の良否が検査される。
【0047】
図4~
図15を参照しながら、プローブピンPBを構成するプランジャPR1,PR2の構成について、更に説明する。
【0048】
プランジャPR2の外形は、略円柱状であるが、プランジャPR2の先端部ST2が円錐型の形状を有している場合を例示している。この場合、円錐型の先端部ST2の頂点が、テスト基板TBの電極ELと接触する。また、プランジャPR2の端部ET2には1つの孔部PHが設けられているが、この孔部PHは、円形状の孔部である。このため、プランジャPR2の端部ET2は、円筒状の形状を有している。ここでは、孔部PHがプランジャPR2を貫通していない場合を例示している。
【0049】
また、プランジャPR2は、フランジ部(張り出し部、段差部)FG2を有している。フランジ部FG2は、プランジャPR2において、先端部ST2と端部ET2との間の位置に設けられている。プランジャPR2において、フランジ部FG2は、外側に向かって環状に張り出しいる(すなわち直径が大きくなる方向に張り出している)。すなわち、プランジャPR2は略円柱状の外形を有しているが、フランジ部FG2の直径は、プランジャPR2におけるフランジ部FG2よりも端部ET2側の部分の直径よりも大きく、また、プランジャPR2におけるフランジ部FG2よりも先端部ST2側の部分の直径よりも大きくなっている。
【0050】
プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1のそれぞれは、一方向に延在する略棒状の形状を有しているが、延在方向の途中にフランジ部(張り出し部、段差部)FG1を有している。フランジ部FG1は、プランジャPR1において、先端部ST1と端部ET1との間の位置に設けられている。プランジャPR1において、フランジ部FG1は、横方向(プランジャPR1の延在方向に略垂直な一方向)に張り出しいる。すなわち、プランジャPR1は略棒状の形状を有しているが、フランジ部FG1において横方向の寸法が局所的に大きくなっている。フランジ部FG1の寸法(横方向の寸法)は、プランジャPR1におけるフランジ部FG1よりも端部ET1側の部分の寸法よりも大きく、また、プランジャPR1におけるフランジ部FG1よりも先端部ST1側の部分の寸法よりも大きくなっている。
【0051】
プローブピンPBを構成するプランジャPR2におけるフランジ部FG2よりも端部ET2側の部分は、コイル状のバネSPに挿入されており、バネSPの一方の端部が、フランジ部FG2に接触している。また、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1におけるフランジ部FG1よりも端部ET1側の部分は、バネSPに挿入されており、バネSPの他方の端部が、フランジ部FG1に接触している。このため、バネSPは、プランジャPR2のフランジ部FG2とプランジャPR1のフランジ部FG1との間に介在した状態になっている。半導体装置PKGのリードLDとテスト基板TBの電極ELとをプローブピンPBを介して電気的に接続する際には、リードLDを、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1に押し当てる。このとき、バネSPの伸縮力によって、バネSPの一方の端部がフランジ部FG1を押す押圧力が生じることにより、プランジャPR1の先端部ST1がリードLDに押し付けられ、また、バネSPの他方の端部がフランジ部FG2を押す押圧力が生じることにより、プランジャPR2の先端部ST2が電極ELに押し付けられる。これにより、プランジャPR1の先端部ST1とリードLDとの接触と、プランジャPR2の先端部ST2と電極ELとの接触を的確に確保することができ、半導体装置PKGのリードLDとテスト基板TBの電極ELとをプローブピンPBを介して的確に電気的に接続することができる。
【0052】
プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1は、互いに独立した部材であり、完全に固定されているわけではない。このため、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1は、それぞれのフランジ部FG1がバネ部SPに接触しており、互いに独立して動く(より特定的には上下に動く)ことが可能である。このため、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1にリードLDを押し当てた際に、それら複数のプランジャPR1の先端部ST1が独立して動く(摺動する)ことができるため、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1のそれぞれが、リードLDと接触することができる。これにより、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1とリードLDとの接触箇所(接触点)の数を増やすことができる。また、各プランジャPR1の先端部ST1は、尖った部分(突出部、先鋭部)を複数(好ましくは3つ以上)有しており、この尖った部分の先端SB1がリードLD(より具体的にはリードLDのメッキ膜)に食い込むことにより、リードLD表面の酸化膜を破り、リードLDとプランジャPR1との接触抵抗を低減することができる。
【0053】
プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1は、互いに同じ形状および寸法を有している。このため、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1は、延在方向の長さ(先端部ST1の頂点から端部ET1の頂点までの距離)やフランジ部FG1の位置については、互いに同じである。また、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の断面形状(延在方向に略垂直な断面形状)は、互いに同じである。なお、本願において、プランジャPR1の断面形状に言及する場合、プランジャPR1の延在方向に略垂直な断面の形状を意味する。プランジャPR1,PR2の延在方向は、
図4~
図10および
図13~
図15における上下方向に対応している。
図11および
図12には、プランジャPR1,PR2の延在方向に略垂直な断面が示されている。
【0054】
具体的には、
図11および
図12の場合は、フランジ部FG1以外において、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれの断面形状は、半円形状である。このため、プランジャPR1a,PR1bの先端部ST1a,ST1bおよび端部ET1a,ET1bのそれぞれの断面形状は、半円形状である。プランジャPR1aの断面形状は半円形状であり、プランジャPR1bの断面形状は半円形状であるため、プランジャPR1aの断面形状とプランジャPR1bの断面形状とを合わせると、円形状となり得る。プランジャPR1a,PR1bの断面形状を構成する半円の中心角は、概ね180°であることが好ましい。フランジ部FG1以外において、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれの断面形状の外周は、円弧と円弧の両端を結ぶ直線の辺とで構成され、この形状が半円形状となる。
【0055】
なお、「半円形状」とは、完全な半円が最も好ましいが、完全な半円には限定されず、円弧状の曲線(中心角は180°に限定されない)と、この円弧状の曲線の両端を結ぶ直線の辺とで構成された略円弧状の形状も含むものとする。
【0056】
プランジャPR1aとプランジャPR1bとは、互いに隣り合っている。但し、本実施の形態では、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の円弧と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の円弧とが、互いに対向するように、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが隣り合っている。言い換えると、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の直線の辺と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の直線の辺とが、互いに反対側(対向しない側)に位置するように、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが隣り合っている。
【0057】
なお、後述の実施の形態3の
図30の場合は、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の直線の辺と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の直線の辺とが互いに対向し、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の円弧と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の円弧とが互いに反対側に位置するように、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが隣り合っている。
【0058】
プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)の端部ET1(ET1a,ET1b)は、プランジャPR2の孔部PHに挿入されている。各プランジャPR1a,PR1bにおいて、プランジャPR2の孔部PH内に位置する部分も、断面形状は半円状である。プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の円弧と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の円弧とが、互いに対向するように、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが隣り合っている。
【0059】
プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1aは孔部PHの内壁に接触しているが、プランジャPR1aと孔部PHの内壁との接触箇所は、2か所以上、確保することができる。すなわち、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の2つの角部(円弧と直線の辺とが交わる2つの角部)が、プランジャPR2の孔部PHの内壁と接触することができる。
【0060】
同様に、プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1bは孔部PHの内壁に接触しているが、プランジャPR1bと孔部PHの内壁との接触箇所は、2か所以上、確保することができる。すなわち、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の2つの角部(円弧と直線の辺とが交わる2つの角部)が、プランジャPR2の孔部PHの内壁と接触することができる。プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1a,PR1bが孔部PHの内壁とそれぞれ接触することにより、プランジャPR2とプランジャPR1a,PR1bとを電気的に接続することができる。これにより、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれをプランジャPR2と電気的に接続するとともに、プランジャPR1aとプランジャPR1bとをプランジャPR2を介して電気的に接続することができる。
【0061】
また、プランジャPR1a,PR1b同士は、プランジャPR2を介して電気的に接続され得るが、プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが互いに接触することによっても、電気的に接続され得る。具体的には、プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の円弧と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の円弧とが互いに接触することによっても、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが電気的に接続され得る。
【0062】
<検討例について>
次に、本発明者が検討した検討例の試験装置について、
図16~
図18を参照して説明する。
図16は、本発明者が検討した検討例の試験装置TS101の部分拡大断面図であり、上記
図4に相当する断面が示されている。
図17および
図18は、検討例の試験装置TS101で用いられているプローブPB101の断面図であるが、簡略化のために、バネSP101の図示は省略してある。
図17のC1-C1線の位置での断面図が、
図18に対応している。
【0063】
図16に示される検討例の試験装置TS101においては、ソケットSK101の貫通孔TH101にプローブピンPB101が収容されており、このプローブピンPB101を介して、テスト基板TB101の上面の電極EL101と半導体装置PKG101のリードLD101とが電気的に接続されている。
【0064】
図16~
図18に示されるように、プローブピンPB101は、バネSP101と、バネSP101を介して対向するように配置された一対のプランジャPR101,PR102と、を有している。プランジャPR101の先端部ST101が、リードLD101と接触し、プランジャPR102の先端部ST102が、テスト基板TB101の上面の電極EL101と接触している。プローブピンPB101において、リードLD101側のプランジャPR101の数は1つであり、電極EL101側のプランジャPR102の数も1つである。
【0065】
プランジャPR102の端部(先端部ST102とは反対側の端部)には、孔部PH102が設けられており、この孔部PH102に、プランジャPR101の端部側(先端部ST101とは反対側の端部側)に設けられた細い円柱状の軸部AX101が挿入されている。プランジャPR102の孔部PH102内において、プランジャPR101の軸部AX101が孔部PH102の内壁と接触することにより、プローブピンPB101を構成するプランジャPR101とプランジャPR102とが電気的に接続される。
【0066】
プローブピンPB101を構成するプランジャPR101の先端部ST101がリードLD101と接触し、プローブピンPB101を構成するプランジャPR102の先端部ST102がテスト基板TB101の電極EL101と接触することにより、リードLD101がプローブピンPB101を介してテスト基板TB1の電極EL101と電気的な接続される。テスト回路からテスト基板TB101および複数のプローブピンPB101を介して半導体装置PKG101に所定の電気信号が送信されて、半導体装置PKG101の電気的特性が測定される。
【0067】
プローブピンPB101を構成するプランジャPR101の先端部ST101は、尖った部分(突出部、先鋭部)を複数有しており、この尖った部分の先端SB101がリードLD101(より具体的にはリードLD101のメッキ膜)に食い込むことにより、リードLD101とプランジャPR101との接触抵抗を低減することができる。これにより、リードLD101をプローブピンPB101を介してテスト基板TB1の電極EL101と低抵抗で接続することができるようになる。
【0068】
しかしながら、プランジャPR101の先端部ST101が有する複数の尖った部分の先端ST101うち、一部だけしかリードLD101と接触できない場合がある。例えば、リードLD101の下面が傾斜していると、プランジャPR101の先端部ST101が有する複数の尖った部分の先端SB101には、リードLD101に接触できるものと、リードLD101に接触できないものとが発生する。これにより、プランジャPR101の先端部ST101とリードLD101との接触箇所(接触点)の数が少なくなるため、リードLD101とプランジャPR101との接触抵抗が増加してしまう。これは、リードLD101とプローブピンPB101との接続抵抗の変動要因となり、半導体装置の電気的試験の信頼性を低下させる原因となり得る。
【0069】
また、プローブピンPB101においては、プランジャPR102の円形状の孔部PH102に、プランジャPR101の円柱状の軸部AX101が挿入されている。この軸部AX101の断面形状(延在方向に略垂直な断面形状)は、円形状である(
図18参照)。プランジャPR102の孔部PH102に、プランジャPR101の軸部AX101を挿入可能とするために、軸部AX101の直径は、孔部PH102の直径よりも小さい。このため、プランジャPR102の孔部PH102内において、プランジャPR101の軸部AX101が孔部PH102の内壁に接触しているが、プランジャPR101の軸部AX101と孔部PH102の内壁との接触箇所は、1か所のみとなる。すなわち、軸部AX101の断面形状を構成する円の外周の一点のみが、孔部PH102の内壁と接触することができる。このため、プランジャPR102の孔部PH102内における、プランジャPR101の軸部AX101と孔部PH102の内壁との接触箇所が少なくなり、その結果、プランジャPR102とプランジャPR101との接続抵抗が大きくなる懸念があるが、これは、半導体装置の電気的試験の信頼性を低下させる原因となり得る。
【0070】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態のプローブピンPBは、半導体装置の電気的試験を行うために用いられるプローブピンである。プローブピンPBを介して半導体装置PKGの外部端子(ここではリードLD)をテスト基板TBの電極ELに電気的に接続することにより、半導体装置PKGの電気的試験を行うことができる。
【0071】
本実施の形態のプローブピンPBは、弾性体部(ここではバネSP)と、該弾性体部(バネSP)を介して互いに対向するように配置されたプランジャPR2および複数のプランジャPR1と、を有している。
【0072】
本実施の形態のプローブピンPBの主要な特徴のうちの一つは、プローブピンPBは、半導体装置PKGの外部端子(ここではリードLD)に接触させるためのプランジャPR1を複数有し、それら複数のプランジャPR1が、テスト基板TBの電極ELに接触させるためのプランジャPR2の孔部PHに挿入されていることである。そして、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1を半導体装置PKGの外部端子(ここではリードLD)に接触させ、プローブピンPBを構成するプランジャPR2の先端部ST2をテスト基板TBの電極ELに接触させることにより、半導体装置PKGの外部端子(ここではリードLD)とテスト基板TBの電極ELとをプローブピンPBを介して電気的に接続する。
【0073】
上記検討例(
図16~
図18)に関連して説明したように、プローブピンPB101において、半導体装置の外部端子(リードLD101)に接触させるプランジャPR101が1つの場合には、プランジャPR101の先端部ST101が有する複数の尖った部分の先端SB101うち、一部だけしかリードLD101と接触できない場合がある。例えば、リードLD101の下面が傾斜していると、プランジャPR101の先端部ST101が有する複数の尖った部分の先端SB101には、リードLD101に接触できるものと、リードLD101に接触できないものとが発生する。
【0074】
それに対して本実施の形態では、プローブピンPBは、半導体装置の外部端子(ここではリードLD)に接触させるプランジャPR101を複数有している。このため、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1に半導体装置の外部端子(リードLD)を押し当てた際に、それら複数のプランジャPR1の先端部ST1が独立して動く(摺動する)ことができるため、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1のそれぞれが、半導体装置の外部端子(リードLD)と接触することができる。例えば、リードLDの下面(プローブPBを接触させる面)が傾斜していない場合だけでなく、リードLDの下面(プローブPBを接触させる面)が傾斜している場合でも、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1が独立して動く(摺動する)ことができることから、それら複数のプランジャPR1のそれぞれが、リードLDの下面と接触することができる。これにより、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1と半導体装置の外部端子(リードLD)との接触箇所(接触点)の数を増やすことができるため、半導体装置の外部端子(リードLD)とプローブピンPBとを低抵抗で的確に接続することができ、半導体装置の外部端子(リードLD)とプローブピンPBとの接続抵抗が安定する。これにより、半導体装置の電気的試験の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の端部ET1は、プランジャPR2の孔部PHに挿入されている。これは、複数のプランジャPR1とプランジャPR2との電気的接続を安定させるためである。
【0076】
本実施の形態とは異なり、テスト基板側のプランジャPR2に孔部PHを設けず、従って半導体装置の外部端子側の複数のプランジャPR1をテスト基板側のプランジャPR2の孔部に挿入した構成をとらない場合を仮定する。この場合、テスト基板側のプランジャ(プランジャPR2に相当)と半導体装置の外部端子側の複数のプランジャ(プランジャPR1に相当)とを重ね合わせることにより、それらのプランジャ同士を電気的に接続することができる。しかしながら、この場合は、プランジャ間の接触が不安定となるため、プランジャ同士の電気的接続の信頼性が低下する懸念があるが、これは、半導体装置の電気的試験の信頼性を低下させる原因となり得る。
【0077】
それに対して、本実施の形態では、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の端部ET1は、プランジャPR2の孔部PHに挿入されている。これにより、プランジャPR2の孔部PH内において、複数のプランジャPR1をプランジャPR2と接触させることができるため、複数のプランジャPR1とプランジャPR2との接触を安定させることができる。このため、プローブピンPBにおける複数のプランジャPR1とプランジャPR2との電気的接続の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の電気的試験の信頼性を向上させることができる。
【0078】
本実施の形態の他の特徴について更に説明する。
【0079】
本実施の形態では、プローブピンPBを構成するプランジャPR1の数を2つとし、孔部PH内において、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれの断面形状は、半円形状としている。そして、プランジャPR1a,PR1bは、断面形状を構成する半円の円弧同士が互いに対向するように、隣り合っている。すなわち、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれは、側面として曲面と平坦面とを有しているが、その曲面同士が対向するように、プランジャPR1a,PR1bは隣り合っている。これにより、プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1aと孔部PHの内壁との接触箇所は2か所以上、確保することができ、また、プランジャPR1bと孔部PHの内壁との接触箇所は2か所以上、確保することができる。すなわち、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の2つの角部が、プランジャPR2の孔部PHの内壁と接触することができ、また、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の2つの角部が、プランジャPR2の孔部PHの内壁と接触することができる。本実施の形態とは異なり、孔部PH内において、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれの断面形状が円形状である場合には、孔部PH内において、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれと孔部PHの内壁と接触箇所は、1か所ずつとなる。本実施の形態では、孔部PH内において、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれと孔部PHの内壁と接触箇所は、2か所以上ずつ確保できるため、孔部PH内におけるプランジャPR1a,PR1bと孔部PHの内壁との接触箇所を多くすることができるため、プランジャPR1a,PR1bとプランジャPR2との接続抵抗を小さくすることができる。また、プランジャPR1a,PR1bとプランジャPR2との電気的接続の信頼性を向上させることができる。これにより、半導体装置の電気的試験の信頼性を向上させることができる。
【0080】
また、本実施の形態とは異なり、プランジャPR1a,PR1bが平坦な薄板状の形状を有している場合を仮定する。この場合、プランジャPR1a,PR1bの強度が低くなり、半導体装置の外部端子(リードLD)と接触させたときに、プランジャPR1a,PR1bの先端部が曲がり(撓み)やすくなるが、これは、半導体装置の外部端子(リードLD)とプランジャPR1a,PR1bの先端部ST1a,ST1bとの安定した接続の阻害要因となる懸念がある。それに対して、本実施の形態では、プローブピンPBを構成するプランジャPR1a,PR1bの断面形状は半円状であるため、平坦な薄板状である場合に比べて、プランジャPR1a,PR1bの強度を高めることができ、半導体装置の外部端子(リードLD)と接触させたときに、プランジャPR1a,PR1bの先端部が曲がり(撓み)にくくなる。これにより、半導体装置の外部端子(リードLD)とプランジャPR1a,PR1bの先端部ST1a,ST1bとの接続を安定させることができるため、半導体装置の電気的試験の信頼性を向上させることができる。
【0081】
また、本実施の形態では、プローブピンPBを構成するプランジャPR1a,PR1bの断面形状は半円状とし、その半円の円弧同士が互いに対向するようにプランジャPR1a,PR1bが隣り合っている。これにより、半導体装置の外部端子(リードLD)をプローブピンPBと接触させる際に、半導体装置の外部端子(リードLD)の位置が目標位置から多少ずれた場合に、そのずれの方向がどの方向であっても、プランジャPR1a,PR1bが有する複数の尖った部分(突出部、先鋭部)の先端SB1のいずれかを、半導体装置の外部端子(リードLD)と接触させることができる。このため、半導体装置の外部端子(リードLD)に対するプローブピンPBの接触位置のマージン(許容範囲)を大きくすることができるため、プローブピンPBとリードLDとの接続不良に起因したテスト不良を抑制でき、歩留り低下を抑制することができる。
【0082】
<変形例>
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図19および
図20は、本実施の形態の第1変形例のプローブピンPBを示す断面図である。
図19は、上記
図11に対応するものであり、
図20は、上記
図12に対応するものである。ここで、
図19および
図20に示される第1変形例のプローブピンPBを、符号PB1を付してプローブピンPB1と称することとする。
【0083】
上記
図4~
図15に示されるプローブピンPBに対して、第1変形例のプローブピンPB1が相違する点を、以下に説明する。
【0084】
図19および
図20に示される第1変形例のプローブピンPB1が、上記
図4~
図15に示されるプローブピンPBと相違しているのは、プランジャPR1(PR1a,PR1b)の断面形状である。
【0085】
すなわち、フランジ部FG1以外において、プローブピンPB1を構成する複数のプランジャPR1(ここではプランジャPR1a,PR1b)のそれぞれの断面形状は、円弧状に曲がった板形状である。言い換えると、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)は、断面(延在方向に略垂直な方向の断面)が円弧状の曲面を有する板状部材(厚みがほぼ均一の部材)である。
【0086】
プランジャPR1aとプランジャPR1bとは、互いに隣り合っている。具体的には、
図19および
図20に示されるように、プランジャPR1aとプランジャPR1bとは、断面形状を構成する円弧の外面SF1同士が互いに対向するように、隣り合っている。これは、孔部PH内においても成り立っている。
【0087】
ここで、プランジャPR1の断面形状を構成する円弧の外面SF1とは、その円弧の中心(中心点)が位置する側とは反対側の面に対応している。また、断面形状を構成する円弧の内面SF2とは、その円弧の中心(中心)が位置する側の面に対応している。なお、円弧の中心(中心点)とは、その円弧を含む円の中心(中心点)に対応している。外面SF1と内面SF2とは、それぞれプランジャPR1の側面を構成しているが、互いに反対側に位置している。外面SF1と内面SF2とは、それぞれ曲面であるが、プランジャPR1の延在方向に略垂直な断面においては、外面SF1と内面SF2とは、それぞれ円弧状である。
【0088】
プローブピンPB1においても、プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1aは孔部PHの内壁に接触しているが、プランジャPR1aと孔部PHの内壁との接触箇所は、2か所以上、確保することができる。すなわち、プランジャPR1aの断面形状を構成する円弧状に曲がった板形状の両端(
図20の場合は外面SF1の両端)が、プランジャPR2の孔部PHの内壁と接触することができる。同様に、プランジャPR2の孔部PH内において、プランジャPR1bは孔部PHの内壁に接触しているが、プランジャPR1bと孔部PHの内壁との接触箇所は、2か所以上、確保することができる。すなわち、プランジャPR1bの断面形状を構成する円弧状に曲がった板形状の両端(
図20の場合は外面SF1の両端)が、プランジャPR2の孔部PHの内壁と接触することができる。これにより、プランジャPR1a,PR1bのそれぞれをプランジャPR2と電気的に接続するとともに、プランジャPR1aとプランジャPR1bとをプランジャPR2を介して電気的に接続することができる。
【0089】
図19および
図20に示される第1変形例のプローブピンPB1の他の構成は、上記
図4~
図15に示されるプローブピンPBとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0090】
図19および
図20に示される第1変形例のプローブピンPB1の場合も、上記
図4~
図15に示されるプローブピンPBに関して説明したのとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0091】
また、上述したように、本実施の形態とは異なり、プランジャPR1a,PR1bが平坦な薄板状の形状を有している場合には、プランジャPR1a,PR1bの強度が低くなり、半導体装置の外部端子(リードLD)と接触させたときに、プランジャPR1a,PR1bの先端部が曲がり(撓み)やすくなる。それに対して、本実施の形態では、プローブピンPBを構成するプランジャPR1a,PR1bの断面形状は、円弧状に曲がった板形状であるため、平坦な薄板状である場合に比べて、プランジャPR1a,PR1bの強度を高めることができ、半導体装置の外部端子(リードLD)と接触させたときに、プランジャPR1a,PR1bの先端部が曲がり(撓み)にくくなる。これにより、半導体装置の外部端子(リードLD)とプランジャPR1a,PR1bの先端部ST1a,ST1bとの接続を安定させることができるため、半導体装置の電気的試験の信頼性を向上させることができる。
【0092】
また、上記実施の形態1、上記第1変形例および後述の実施の形態2,3において、プランジャPR1の先端部ST1の形状は、接触させるべき半導体装置の外部端子の形状などに応じて、種々変更可能である。
【0093】
図21~
図26は、プローブピンPBを構成する複数のプランジャPR1の先端部ST1を示す平面図であり、リードLD側からプランジャPR1の先端部ST1を見た場合の平面図が示されている。また、
図21~
図26には、プランジャPR1の先端部ST1が有する尖った部分の先端SB1の位置も示してある。
【0094】
例えば、プランジャPR1の先端部ST1は、尖った部分を複数(好ましくは3つ以上)有しており、この尖った部分の先端SB1がリードLD(より具体的にはリードLDのメッキ膜)に食い込むことにより、リードLDとプランジャPR1との接触抵抗を低減することができるが、この尖った部分の先端SB1の位置は、種々変更可能である。例えば、
図21~
図25の各図に示されるような位置に、先端SB1を配置することができる。
【0095】
(実施の形態2)
図27~
図29は、本実施の形態2のプローブピンPBを示す断面図であり、上記
図13~
図15にそれぞれ対応するものである。ここで、本実施の形態2のプローブピンPBを、符号PB2を付して、プローブピンPB2と称することとする。
【0096】
図27~
図29に示される本実施の形態2のプローブピンPB2が、上記
図4~
図15に示される上記実施の形態1のプローブピンPBと相違しているのは、以下の点である。
【0097】
すなわち、上記実施の形態1のプローブピンPBでは、プランジャPR2の孔部PHの側面は、プランジャPR2の延在方向に略平行である。それに対して、本実施の形態2のプローブピンPB2では、
図27~
図29に示されるように、プランジャPR2の孔部PHは、テーパ形状を有しており、プランジャPR2の孔部PHの側面は、プランジャPR2の延在方向に対して傾斜している。このため、
図27~
図29に示される本実施の形態2のプローブピンPB2では、プランジャPR2の孔部PHの直径は、孔部PHの底部側に進むにしたがって、徐々に小さくなっている。
【0098】
図27~
図29に示される本実施の形態2のプローブピンPB2の他の構成は、上記
図4~
図15に示される上記実施の形態1のプローブピンPBとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0099】
本実施の形態2では、プローブピンPB2を構成するプランジャPR2の孔部PHは、テーパ形状を有している。これにより、プランジャPR2の孔部PHに挿入されている複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)を、孔部PHの内壁に確実に接触させることができる。このため、プローブピンPB2を構成する複数のプランジャPR1(PR1a,PR1b)とプランジャPR2とを確実に電気的に接続することができる。従って、半導体装置の電気的試験の信頼性を、更に向上させることができる。
【0100】
また、本実施の形態2は、上記実施の形態1、上記第1変形例および後述の実施の形態3のそれぞれと組み合わせることができる。
【0101】
(実施の形態3)
図30~
図32は、本実施の形態3のプローブピンPBを示す断面図であり、いずれも、上記
図12に対応するものである。ここで、
図30に示されるプローブピンPBを、符号PB3を付して、プローブピンPB3と称することとする。また、
図31に示されるプローブピンPBを、符号PB4を付して、プローブピンPB4と称することとする。また、
図32に示されるプローブピンPBを、符号PB5を付して、プローブピンPB5と称することとする。
【0102】
図30に示されるプローブピンPB3は、次の点が、上記
図4~
図15のプローブピンPBと相違している。
【0103】
すなわち、
図30に示されるプローブピンPB3においては、プランジャPR1aとプランジャPR1bとは、断面形状を構成する半円の直線の辺同士が互いに対向するように、隣り合っている。言い換えると、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の直線の辺と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の直線の辺とが互いに対向し、プランジャPR1aの断面形状を構成する半円の円弧と、プランジャPR1bの断面形状を構成する半円の円弧とが互いに反対側(対向しない側)に位置するように、プランジャPR1aとプランジャPR1bとが隣り合っている。
図30に示されるプローブピンPB3の他の構成は、上記
図4~
図15に示されるプローブピンPBとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0104】
図31に示されるプローブピンPB4は、次の点が、上記
図30のプローブピンPB3と相違している。
【0105】
すなわち、
図31に示されるプローブピンPB4においては、プローブピンPB4を構成する複数のプランジャPR1の断面形状は、それぞれ扇形形状であり、具体的には、円を4等分した扇形形状である。また、
図31の場合、プローブピンPB4を構成するプランジャPR1の数は、4つである。
図31に示されるプローブピンPB4の他の構成は、上記
図30に示されるプローブピンPB4とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0106】
図32に示されるプローブピンPB5は、次の点が、上記
図19および
図20のプローブピンPB1と相違している。
【0107】
すなわち、
図32に示されるプローブピンPB5においては、プランジャPR1aとプランジャPR1bとは、断面形状を構成する円弧の内面SF2同士が互いに対向するように、隣り合っている。
【0108】
図32に示されるプローブピンPB5の他の構成は、上記
図19および
図20に示されるプローブピンPB1とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0109】
本実施の形態のプローブピンPB3,PB4,PB5の場合も、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0110】
但し、上記実施の形態1(上記第1変形例を含む)は、本実施の形態3に比べて、以下のような利点を有している。
【0111】
すなわち、上記実施の形態1(上記第1変形例を含む)の場合は、プランジャPR2の孔部PH内において、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)は孔部PHの内壁に接触しているが、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)と孔部PHの内壁との接触箇所は、それぞれ2か所以上、確保することができる。一方、本実施の形態3の場合は、プランジャPR2の孔部PH内において、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)は孔部PHの内壁に接触しているが、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)と孔部PHの内壁との接触箇所は、それぞれ1か所となる。
【0112】
このため、上記実施の形態1(上記第1変形例を含む)では、孔部PH内における各プランジャPR1(PR1a,PR1b)と孔部PHの内壁との接触箇所を多くすることができるため、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)とプランジャPR2との接続抵抗を小さくすることができる。また、各プランジャPR1(PR1a,PR1b)とプランジャPR2との電気的接続の信頼性を向上させることができる。これにより、半導体装置の電気的試験の信頼性を、より向上させることができる。
【0113】
一方、本実施の形態3の場合は、各プランジャPR1と孔部PHの内壁との接触箇所は、それぞれ1か所となるが、複数のプランジャPR1間の異物の挟み込みを許容しやすい。このため、プローブピンの取り扱いが容易になり、テスト工程を行いやすくなる利点がある。
【0114】
また、上記実施の形態1,2および本実施の形態3では、プローブピンPBを接触させる半導体装置の外部端子として、リードを適用した場合を例に挙げて説明した。他の形態として、プローブピンPBを接触させる半導体装置の外部端子として、リード以外、例えば半田ボール(半田バンプ)などのボール電極(バンプ電極)を適用することもできる。
【0115】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0116】
AX101 軸部
BW ボンディングワイヤ
CL 制御部
CP 半導体チップ
CT コネクタ端子
DB 接着層
DP ダイパッド
EC 電子部品
EL,EL101 電極
ET1,ET1a,ET1b,ET2 端部
FG1,FG2 フランジ部
HE テストヘッド
LD,LD101 リード
MR 封止部
PB,PB1,PB2,PB3,PB4,PB5,PB101 プローブピン
PD パッド電極
PH,PH102 孔部
PKG,PKG101 半導体装置
PR1,PR1a,PR1b,PR2,PR101,PR102 プランジャ
SB1,SB101 先端
SF1 外面
SF2 内面
SK,SK101 ソケット
SKa 上面
SKb 下面
SP,SP101 バネ
ST1,ST1a,ST1b,ST2,ST101,ST102 先端部
TB テスト基板
TBa 上面
TBb 下面
TH,TH101 貫通孔
TS,TS101 試験装置
VA ビア配線
WL 隔壁
WR 配線