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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065376
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】駆動装置、清掃装置、及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20220420BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220420BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220420BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20220420BHJP
   G03B 17/04 20210101ALI20220420BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20220420BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G02B7/02 E
G03B17/02
B60S1/62 110A
B60S1/62 120A
G03B17/04
G03B11/04 B
G03B17/56 H
G02B7/02 D
H04N5/225 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173910
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 正嗣
【テーマコード(参考)】
2H044
2H083
2H100
2H101
2H105
3D025
3D225
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AE09
2H083CC07
2H083CC12
2H083CC26
2H083CC63
2H100CC04
2H100EE06
2H101BB04
2H101BB08
2H105AA03
2H105AA06
3D025AA04
3D025AC01
3D025AD11
3D225AA04
3D225AA11
3D225AC01
3D225AD11
3D225AD22
5C122DA11
5C122DA14
5C122EA36
5C122FB03
5C122FB08
5C122FB09
5C122GE04
5C122GE06
5C122GE11
5C122HA82
5C122HA84
(57)【要約】
【課題】本発明は、カメラ等の受光部の汚れを防止することを目的とする。
【解決手段】駆動装置の円筒ギア1は、その円筒面の外周に第1の軸線に沿う方向C、および、円周方向の各々に凸部1aを有する。この円筒ギア1は、軸線(第1の軸線に沿う)Cの方向の一端側に第1の移動体2を有する。前記第1の移動体2から前記一端側より外方となる位置には、第2の移動体3が配置されている。変換機構4は、これら第1の移動体2と第2の移動体3との間で前記円筒ギア1の第1の軸線方向Cへの移動を前記第2の移動体3の移動に変換する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒面の外周に第1の軸線に沿う方向、円周方向の各々に凸部を有する円筒ギアと、
この円筒ギアの軸方向一端側に設けられた第1の移動体と、
前記第1の移動体から前記一端側より外方となる位置に設けられた第2の移動体と、
これら第1の移動体と第2の移動体との間で前記円筒ギアの第1の軸線方向への移動を前記第2の移動体の移動に変換する変換機構と、
を有する駆動装置。
【請求項2】
前記変換機構は、前記第1の軸線と交差する方向へ向けられた第2の軸線を中心として回転自在に支持されたアームを有し、
該アームの前記第2の軸線から一の方向へ離れた一端部は、前記第2の移動体に連結され、
前記アームの前記第2の軸線から他の方向へ離れた他端部は、前記第2の軸線と略平行に設けられた第3の軸線を中心として回転自在に前記円筒ギアに連結された、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1の移動体は、前記一端側より外方へ向かって撮影するカメラであって、
前記第2の移動体は、前記カメラの前面を覆うカバーである、
請求項1または2のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第2の移動体の内面に前記カメラの前面と接触可能な拭き取り部材を設けた、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記円筒ギアは、前記第1の軸線を中心として1回転未満の角度にわたって正方向の回転と逆方向の回転とを繰り返す、
請求項1~4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記円筒ギアは、前記第1の軸線を中心として1回転以上の角度にわたって一方向に回転する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
請求項1の駆動装置に設けられる前記第2の移動体の前記第1の移動体に向く面に、前記第2の移動体の移動に伴って前記第1の移動体に接触する清掃部材を設けた清掃装置。
【請求項8】
円筒面の外周に第1の軸線に沿う方向、円周方向の各々に凸部を有する円筒ギアを前記第1の軸線を中心として回転させることにより、この円筒ギアの軸方向一端側に設けられた第1の移動体を回転させる工程と、
前記円筒ギアを前記第1の軸線に沿って移動させる工程と、
前記円筒ギアの前記第1の軸線に沿う方向への移動を、前記第1の移動体から前記一端側より外方となる位置に設けられた第2の移動体の移動に変換する工程と、
を有する駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、清掃装置、及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、監視カメラのような屋外で使用される光学機器、光学素子にあっては、光が入射する面へ付着した雨水、泥、木の葉等(以下汚れと総称する)を除去する必要がある。
このような目的を有する関連技術として、特許文献1~3がある。
特許文献1に記載された可動式車載カメラ装置は、カメラが収容された筐体を回転させることにより、レンズが外を向く撮影位置と、レンズが装置内を向く収納位置とに切り替える構成を採用している。
特許文献2に記載されたカメラ用防塵シャッタは、カメラの前面ガラスの前をスライド移動するシャッタによって、前面ガラスの表面をシャッタにより覆い、あるいはこの位置から退避させる構成を採用している。
特許文献3に記載された光学センサを保護する装置、その洗浄方法は、光学カメラをその光軸を中心として回転させる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-338492号公報
【特許文献2】特開平10-294886号公報
【特許文献3】特表2019-535580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、撮影をしていない不使用状態ではレンズへの汚れの付着を防止することができるものの、撮影状態では、レンズが外部に露出しているため、屋外での使用の際等における雨水や粉じん等の汚れの付着を防止することができない。したがって、一旦レンズに汚れが付着してしまうと、付着した汚れを人手によらず適切に除去することができないという問題がある。
また特許文献2にあっても、シャッタを開いた状態で一旦前面ガラスに汚れが付着してしまうと、付着した汚れを人手によらず適切に除去することができないという問題がある。
また特許文献3にあっては、回転による遠心力の作用によって常時汚れを除去することができるものの、カメラ全体を継続的に回転させるために電力を要し、また、遠心力を利用して間接的な汚れの除去を行う方式であることから、例えば、汚れが乾燥して強固に付着してしまうと、人手に頼らない限り、十分に汚れを除去することが難しいという問題がある。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、受光部の汚れを防止すること、より具体的には、汚れの付着を未然に防止し、およびまたは付着した汚れを除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1の態様にかかる駆動装置は、円筒面の外周に第1の軸線に沿う方向、円周方向の各々に凸部を有する円筒ギアと、この円筒ギアの軸方向一端側に設けられた第1の移動体と、 前記第1の移動体から前記一端側より外方となる位置に設けられた第2の移動体と、これら第1の移動体と第2の移動体との間で前記円筒ギアの第1の軸線方向への移動を前記第2の移動体の移動に変換する変換機構とを有する。
【0007】
本発明の第2の態様にかかる駆動方法は、円筒面の外周に第1の軸線に沿う方向、円周方向の各々に凸部を有する円筒ギアを前記第1の軸線を中心として回転させることにより、この円筒ギアの軸方向一端側に設けられた第1の移動体を回転させる工程と、前記円筒ギアを前記第1の軸線に沿って移動させる工程と、前記円筒ギアの前記第1の軸線に沿う方向への移動を、前記第1の移動体から前記一端側より外方となる位置に設けられた第2の移動体の移動に変換する工程とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、前記駆動装置、駆動方法を用いることによって、光学装置等の対象物への汚れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の最小構成例の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかる駆動装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態にかかる駆動装置の動作を説明するもので、(a)は蓋体を閉じた状態の内部の斜視図、(b)は、(a)の状態の内部の側面図、(c)は(a)の状態で閉じていた蓋体を開いた状態の斜視図である。
図4図2、3に示す蓋体を内側から見た斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態にかかる駆動装置の外観を示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態にかかる駆動装置の側面図である。
図7】本発明の第2実施形態にかかる駆動装置の平面図である。
図8】本発明の第3実施形態にかかる駆動装置の動作を説明するもので、(a)は蓋体を閉じた状態の内部の斜視図、(b)は蓋体を開いた状態の内部の斜視図である。
図9】(a)は、図8(a)の駆動装置の蓋体を閉じた状態の内部の側面図、(b)は、(a)の駆動装置の蓋体を開いた状態の内部の側面図である。
図10】第1、第3実施形態の駆動装置の動作例の説明図であって、(a)は回転による清掃動作、(b)は直線動作、(c)は回転動作の範囲、(d)は蓋体を閉鎖して停止した状態を示すものである。
図11】円筒ギアの支持構造の変形例1を示す斜視図である。
図12】変形例1の支持構造の正面図である。
図13】円筒ギアと伝動部材との伝動部を変更した変形例2の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る駆動装置の最小構成例について図1を参照して説明する。
符号1は円筒ギアであって、この円筒ギア1は、その円筒面の外周に第1の軸線に沿う方向C、および、円周方向の各々に沿って配列された凸部1aを有する。この円筒ギア1は、軸線(第1の軸線に沿う)Cの方向の一端側に第1の移動体2を有する。前記第1の移動体2から前記一端側より外方となる位置には、第2の移動体3が配置されている。変換機構4は、これら第1の移動体2と第2の移動体3との間で前記円筒ギア1の第1の軸線方向Cへの移動を前記第2の移動体3の移動に変換する。なお図1における第1の移動体2は、図中実線で示す、前記円筒ギア1の内側に設けられて一体に移動するカメラ等の装置、あるいは、図中破線で示す円筒ギア1と一体に回転して他の部材に回転を伝達する部材(図示例では変換機構)である。すなわち、カメラ等の装置は、第1の移動体2として円筒ギア1に一体に固定されていたり、もしくは、円筒ギア1とは独立して固定されている。
【0011】
上記構成の駆動装置にあっては、前記円筒ギア1を第1の軸線Cに沿う直線方向、および第1の軸線Cを中心とする回転方向へ移動させることにより、第1の移動体2、第2の移動体3の移動に変換することができる。
【0012】
本発明の第2の態様にかかる駆動方法は、例えば図1に示す駆動装置により実施することができる。すなわち、円筒面の外周に第1の軸線Cに沿う方向、円周方向の各々に凸部を有する円筒ギア1を前記第1の軸線を中心として回転させることにより、この円筒ギア1の軸(第1の軸線C)方向の一端側に設けられた第1の移動体2を回転させる工程と、前記円筒ギア1を前記第1の軸線Cに沿って移動させる工程と、前記円筒ギア1の前記第1の軸線Cに沿う方向への移動を、前記第1の移動体2から前記一端側より外方となる位置に設けられた第2の移動体3の移動に変換する工程とを有する。
【0013】
上記構成の駆動方法にあっては、前記円筒ギア1を第1の軸線Cに沿う直線方向、および第1の軸線Cを中心とする回転方向へ移動させることにより、第2の移動体3を移動させることができる。
【0014】
(第1実施形態)
図1を具体化した本発明の第1実施形態に係る構成について図2図4を参照して説明する。なお、図2図4において、図1と共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
図2は、駆動装置を備えたカメラ5の外観を示すもので、符号6は、カメラ5の外観をなし、装置全体を収容する筐体である。
この筐体6は、全体として直方体状をなし、一端に円形状の開口部6aを有する。この開口部6aは、第2の移動体としての蓋体21によって開閉される。なお前記蓋体21の詳細な構成については後述する。
【0015】
前記筐体6の内部のカメラ本体5aは、筐体6の内部において、図3(a)~(c)に符号11で示す円筒ギアの内側であって、円筒ギア11の移動軌跡と緩衝しない位置に配置され、図示しない連結部材によって筐体6内で支持されている。また前記カメラ本体5aは、図示しないばね等を介して図3の左右方向(円筒ギア11の軸線方向)へ移動可能に支持されている。
前記円筒ギア11は、第1の軸線C1を中心とする円筒状をなし、その表面には、半径方向外方へ突出するギアの歯状の凸部1aが前記第1の軸線C1を中心とする円周方向へ所定の等間隔をおいて設けられ、また、前記第1の軸線C1と平行な直線方向へ所定の等間隔をおいて設けられている。なお前記凸部1aの前記円周方向への相互間隔(いわゆる歯車のピッチ)と第1の軸線C1と平行な直線方向への相互間隔とは、同一であっても異なっていても良い。なお図3(a)~(c)の例にあっては、円筒ギア11の回動範囲を軸線C1回りに180度(半回転)前後としたので、円筒ギア11を構成する凸部1aが、円筒ギア11の表面の約半周を超える程度の範囲に形成されている。
【0016】
前記円筒ギア11の前記開口部6a側の端部(図3(a)~(c)の左端)には、円筒ギア11と一体に移動可能な案内部材41が設けられている。この案内部材41には、上下方向への長穴状の案内部41aが形成されていて、L字状のクランク状をなす伝動部材42の一端に一体に設けられたピン43をスライドさせて直線状に案内する。
前記伝動部材42の中央(L字の角に相当する部分)には、第2の軸線C2方向へ向けて、ピン44が一体に設けられている。前記筐体6の底面には、第1の支持部材6bが設けられており、この第1の支持部材6bの上部に設けられた環状溝6cは、第2の支持部材45を前記環状溝6cに沿って前記第1の軸線C1を中心として回転自在に支持している。なお前記第2の支持部材45は、前記伝動部材42のピン44を第2の軸線C2を中心として回転自在に支持する。
【0017】
前記筐体6の内部の底板部6dには、例えば電動モータにより構成された第1の駆動装置7と、第2の駆動装置8とが設けられている。前記第1の駆動装置7は、前記第1の軸線C1と平行な軸を中心として歯車7aを回転させることにより、前記円筒ギア11を前記第1の軸線C1を中心として回転させる。また前記第2の駆動装置8は、前記第1の軸線C1と直交する第2の軸線C2と平行な軸線を中心として歯車8aを回転させることにより、前記円筒ギア11を前記第1の軸線C1に沿う直線方向へ移動させる。
すなわち前記第1の駆動装置7は、前記円筒ギア11を軸線C1を中心として図3(a)の矢印A方向に回転させ、前記第2の駆動装置8は、前記円筒ギア11を図3(a)の矢印B方向に直線移動させる。
【0018】
前記筐体6の開口部6aから一部を露出させて設けられた蓋体21は、全体として、球殻の一部をなす形状を有し、その内側には、図4に示すように、ブラシ、布等の柔軟な材料により構成された清掃部材22が環状に配置されて設けられている。第1実施形態における前記清掃部材22は、前記筐体6の内側(カメラ本体5a)へ向かって、突出して設けられていて、カメラ本体5aの前面に接触するよう構成されている。なおカメラ本体5aの前面は、前記清掃部材22の先端の移動軌跡と交差する位置より前方であって、清掃部材22の根本、あるいは蓋体21の内面の移動軌跡と交差する位置より後方となる位置に、図示しないばね等の付勢によって図3の右方への移動の際に左方への弾性力により復元可能な状態で支持されているものとする。
また、前記伝動部材42は、前記蓋体21の裏側(円筒ギア11に向く側)に、蓋体21の円周方向へ180度位置をずらして一対設けられている。
【0019】
第1実施形態の駆動装置を構成する各部材の作用を全体の動作とともに説明する。
第1実施形態のカメラ5は、図2図3(a)に示すように、蓋体21が筐体6の開口部6aを閉じた位置にある。前記蓋体21は、カメラ本体5aにおける、光が入射する光学レンズの表面を覆って、これを保護している。
【0020】
図3(a)の状態で第1の駆動装置7を繰り返し正逆(時計回りおよび反時計回りに)回転させると、歯車7aが円筒ギア11に噛み合って第1の軸線C1を中心に回転させる。この回転に伴い、円筒ギア11とともに、案内部材41、伝動部材42が軸線C1を中心として回転し、これらと一体の蓋体21を回転させると、前記蓋体21の内側の清掃部材22がカメラ本体5aの表面に接触しながら回転し、カメラ本体5aの表面に付着した汚れを除去することができる。なお第1実施形態にあっては、円筒ギア1の表面の約半周にわたる範囲に凸部1aが形成されていることから、前記駆動装置7は、図3(a)の矢印方向へ約半周にわたって軸線C1を中心とする正方向~逆方向への回転を繰り返す。
【0021】
図3(a)の状態において、第2の駆動装置8により、歯車8aを図中反時計回りへ回転させると、歯車8aが円筒ギア11に噛み合い、該円筒ギア11を第1の軸線C1に沿って図3(a)、(b)の左方へ移動させる。この移動に伴い、ピン43が案内部材41の案内部41aに沿って滑りながら、ピン44(軸線C2)を中心として伝動部材42を時計回りに回転させ、伝動部材42の一端に取り付けられた蓋体21を図3(b)に示すように上方位置へ移動させる。この移動により、第1の移動体2の前面が筐体6の開口部6aを介して筐体6の外部を臨む状態となり、開口部6aを介したカメラ本体5aへの受光が可能となる。すなわち、カメラ5による撮影可能な状態となる。
【0022】
また、図3(b)の状態で、第2の駆動装置8により歯車8aを図中時計回りに回転させると、前記円筒ギア11が第1の軸線C1に沿って図3(b)から(c)のように、第1の移動体2が円筒ギア11とともに右方へ移動する。この移動に伴い、ピン43が案内部41a内を下方へ移動しながら、伝動部材42がピン44(軸線C2)を中心として図3(b)の反時計回りに回転し、伝動部材42の先端の蓋体21が図3(b)から(c)のように、矢印A方向へ回転して、蓋体21が第1の移動体2および円筒ギア1の前方へ移動し、カメラ本体5aの前面が蓋体21により覆われる。
【0023】
上記構成によれば、円筒ギア11の回転に伴い、蓋体21の内側の清掃部材22をカメラ本体5aの表面に接触させて清掃することができる。また円筒ギア11の軸線方向への移動に伴い、蓋体21を上方へ回動させて筐体6の開口部6aを開放し、カメラ本体5aへの外光の入射を可能とすることができる。
【0024】
(第2実施形態)
図5図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。なお図中第1実施形態と共通の構成要素には同一符号を付し、説明を簡略化する。
この第2実施形態は、カメラ本体5aを円筒ギア11内に収容し、固定して一体に移動可能な構成としたものである。
前記円筒ギア11は、先端(図6の左端)に環状部11aを有し、床板部6dに沿って図6の左右方向への移動および円筒ギア11の軸線を中心とする回転可能に支持されている。
また円筒ギア11の環状部11aに対応する凹部(環状の溝)を有し、底板部6d上に載置されて軸線C1方向へスライド移動可能な受け部材(図示略)が円筒ギア11を支持している。
また、前記環状部11aには、半径方向外方へ突出する突起11bが設けられている。この突起11bは、前記環状部11aの円周方向における前記受け部材(図示略)により支持範囲を避ける位置に配置されている。なお該突起11bの作用については、後述する。
【0025】
前記筐体6の底板部6d上の前記円筒ギア11より先端側(図6左側)に離れた位置には、前記蓋体21を支持する蓋体支持部材6eが上方へ向けて設けられている。
前記蓋体支持部材6eの上部には、水平方向に向くピン44が設けられている。このピン44には、側面視でL字状をなすクランク状の伝動部材42Aが回動自在に支持されている。また前記伝動部材42Aは、ねじりばね6gの巻きが緩む方向への弾性変形後の戻り力によって、図6の時計回りへの回転からの復元力が与えられるようになっている。なお前記伝動部材42Aは、その回転軌跡の一部で前記突起11bの図6左右方向への移動軌跡と交差する位置に配置されている。
【0026】
前記伝動部材42Aの端部には前記蓋体21が設けられている。図5~7における図示を省略したが、この蓋体21の内側には、第1実施形態を示す図4の清掃部材22が設けられている。また前記清掃部材22の長さとカメラ5aとの相対位置は、蓋体21が閉じた状態(突起11bが伝動部材42Aを押していない状態)となる円筒ギア11の移動範囲のいずれかで、カメラ本体5aの前面が、前記蓋体21の内側の清掃部材22の先端より前方であって、清掃部材22の根本、あるいは蓋体21の内面より後方に配置されているものとする。
【0027】
上記第2実施形態にあっては、第1の駆動装置7によって円筒ギア11を図6の状態から左方へ移動させると、突起11bが伝動部材42Aに接触する。
突起11bがさらに左方へ移動すると、突起11bが伝動部材42Aを押しながら、図6の時計回りに回転させる。この回転に伴い、ねじりばね6gが弾性変形しながら、伝動部材42Aに図6の反時計回りの復元力を与える。この伝動部材42Aの回転に伴い、蓋体21が上方へ移動して筐体6の開口部6aを開放する。また、円筒ギア11の移動とともに、カメラ本体5aが開口部6aの位置あるいはその外側の位置まで移動し、外光の入射が可能な撮影状態となる。カメラ本体5aを図6の左方へ所定量だけ移動させると、第1の駆動装置7による円筒ギア11の移動を停止させる。
【0028】
その後、撮影しない状態(例えばカメラが搭載された車両のイグニッションキーがオフになった状態)となると、第1の駆動装置7を逆回転させて円筒ギア11を図中右方へ移動させる。この移動に伴い、突起11bが伝動部材42Aから離れるとともに、ねじりばね6gの復元力によって伝動部材42Aが図6の反時計回りに回転し、蓋体6が開口部6aを閉じる。
【0029】
図6に示す状態で、第2の駆動装置8によって円筒ギア11を回転させると、蓋体6の内側の清掃部材(図5~7において図示略)がカメラ本体5aの前面に接触して汚れ、水滴等を拭き取る。
前記円筒ギア11の回転は、例えば、円筒ギア11の環状部11aの突出11bの突出範囲と干渉しないように正逆回転を繰り返すよう構成されている。なお回転範囲を大きくしたい場合、ケーブルの擦れ等を考慮して、スリップリング等をカメラ本体5aとの接続部に採用して回転自在な構成としても良い。
【0030】
前記円筒ギア11を一方向へ連続回転させる場合の該円筒ギア11の支持構造の変形例について、図11から13を参照して説明する。
図11、12の変形例1は、円筒ギア11Bとして、凸部1aが形成された領域の両側に平滑な円筒面11cを設けた構成を採用している。
この円筒面は、図12に示す支持部9によって支持されている。
前記支持部9は、円筒ギア11Bの円筒面と摺動可能な環状部9aを有し、この環状部9aの下部は、筐体6の床板部6dから立ち上がる支柱9bを有する。
前記環状部9aは、円筒ギア11Bの円筒面の領域と摺動することにより、該円筒ギア11Bを回転方向および軸線方向への移動を許容しつつ支持する。
【0031】
図13の変形例2は、前記第2実施形態の環状部11aに設けられていた突起11bに代えて、伝動部材42Aにピン44と平行な突起46を設けた構成を有する。なお環状部11aは、突起11bを有していないことから、全周にわたって平滑な円筒面を有し、この円筒面を支持することにより、円筒ギア11の一方向への連続回転が可能となる。
【0032】
(第3実施形態)
図8図9を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。この第3実施形態は、第1実施形態において交互に正転と反転とを繰り返していた円筒ギア11の一方向への連続回転を可能としたものである。なお、図において、図1~7と共通の構成要素には同一符号を付し、説明を簡略化する。
符号11Aは円筒ギアであって、この円筒ギア11Aは、第1の軸線C1を中心とする円筒状をなし、その表面の全周には、半径方向外方へ突出するギアの歯状の凸部1aが前記第1の軸線C1を中心とする円周方向へ所定の等間隔をおいて設けられ、また、前記第1の軸線C1と平行な直線方向へ所定の等間隔をおいて、表面全体に設けられている。なお前記凸部1aの前記円周方向への相互間隔と第1の軸線C1と平行な直線方向への相互間隔とは、同一であっても異なっていても良い。
【0033】
筐体6の内側には、第1の支持部材6bが第1の軸線C1を中心とする円周方向に180度の間隔をおいて2個所に設けられていて、これら第1の支持部材6bに設けられた環状溝6cは、環状の第2の支持部材45Aを回転自在に支持している。この第2の支持部材45Aの内周側であって、軸線C1の方向から見て前記円筒ギア11Aの内周面より内側となる位置には、前記第2の支持部材45Aと一体の支持片45aによってピン44が支持されている。そして、このピン44を中心として回転自在に、前記伝動部材42が設けられている。なおカメラ本体5aの前面は、前記清掃部材22の先端の移動軌跡と交差する位置より前方であって、清掃部材22の根本、あるいは蓋体21の内面の移動軌跡と交差する位置より後方となる位置に、図示しないばね等の付勢によって図3の右方への移動の際に左方への弾性力により復元可能な状態で支持されているものとする。
【0034】
前記円筒ギア11Aの内側には、長穴状の案内部41aを有する案内部材41が設けられている。前記案内部41aには、前記伝動部材42の一端に設けられたピン43が挿入されている。このピン43は、前記伝動部材42の回転とともに、前記案内部41a内をスライド移動することができる。
【0035】
上記第3実施形態にあっては、円筒ギア11Aの軸線方向への移動によって蓋体21を開閉することができるとともに、円筒ギア11Aの回転によって蓋体21の内側の清掃部材(図8において図示を省略)をカメラ本体5aの前面に接触させて清掃することができる。
【0036】
前記第1実施形態または第3実施形態において、カメラ本体5aに対して蓋体21を回転させて清掃するための円筒ギア11(11A)の動作例について、図10を参照して説明する。
カメラ本体5aは、前記第1実施形態と同様に、円筒ギア11Aの内側に所定の隙間をおいてかつ図示しないばね等によって円筒ギア11Aの軸線方向に沿って付勢されて配置されている。また通常の不使用状態では、図10(a)に示すように、蓋体21が筐体6の開口部6aを閉じた位置にあって、前記カメラ本体5aの前面を覆っている。
図10(a)の状態で第1の駆動装置7を軸線C1を中心に一方向へ回転させると、歯車7aが円筒ギア11Aに噛み合って第1の軸線C1を中心に回転させる。この回転に伴い、円筒ギア11Aとともに、案内部材41、伝動部材42が軸線C2を中心として回転し、これらと一体の蓋体21を回転させると、前記蓋体21の内側の清掃部材22(図8、9において図示略)によって、カメラ本体5aの表面の汚れが除去される。なおカメラ本体5aは、図示しないばねによって図中左側へ付勢されているので、この付勢により、蓋体21の内面の清掃部材(図8、9において図示略)とに清掃に必要な圧力で接触することができる。
また、蓋体21の曲率半径、開口部6aの内径、およびこれらに対するカメラ本体5aの寸法、移動範囲は、カメラ本体5aがその用途上要求される撮影方向、視野範囲の広さ、さらには、円筒ギア11(11A)の内径、外径等の条件に応じて適宜変更しても良い。
【0037】
また、第2の駆動装置8によって歯車8aを図8、9の反時計回りに回転させると、案内部材41の案内部41a内をピン43が移動し、この移動によって伝動部材42をピン44を中心として時計回りに回転させる。この伝動部材42の回転により、これと一体の蓋体21が第1の移動体2の表面に接触しながら、図10(b)に示すように上方へ回転し、この回転に伴い、蓋体21の内側に設けられた清掃部材(図8,9において図示略)を接触させることにより、第1の移動体2の表面に付着した汚れを除去することができる。
【0038】
すなわち、第1の駆動装置7の回転により、図10(a)に示すように、蓋体21を軸線C1を中心として回転させて第1の移動体2の先端の汚れを除去することができる。次いで、第2の駆動装置8の回転により、図10(b)に示すように蓋体21を上方へ移動させ、カメラ本体5aへ開口部6aから光線を入射させて撮影等を行うことができる。
第1の移動体2による撮影が終了した後、第2の駆動装置8を逆転させることにより、図10(c)に示すように、ピン44を中心として蓋体21を回転させて開口部6aを閉じながら、カメラ本体5aを押し、図示しないばねを変形させながら引き込ませる、さらに、第2の駆動装置8を逆転させると、円筒ギア11Aがさらに開口部6aから離れた位置は引っ込み、次の撮影等への待機状態となる。この回転において、蓋体21の各部は、図10(c)に破線r1,r2で示す回転軌跡に沿って移動することから、第1の移動体2の先端と干渉することはない。
【0039】
上記第1、第2、第3実施形態では、第1の移動体が円筒ギア(あるいはこれに支持されたカメラ本体)である場合について説明したが、本発明による第1の移動体、第2の移動体の駆動装置は、エアーコンディショナーの吹き出し口、空気流通経路における風量、風向の調整、遊技機におけるギミックの動作等にも利用することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、駆動装置、清掃装置、および駆動方法に関する。
【符号の説明】
【0042】
1 円筒ギア
1a 凸部
2 第1の移動体
2a ケーブル
3 第2の移動体
4 変換機構
5 カメラ
5a カメラ本体
6 筐体
6a 開口部
6b 第1の支持部材
6c 環状溝
6d 床板部
6e 蓋体支持部材
6g ねじりばね
7 第1の駆動装置
7a 歯車
8 第2の駆動装置
8a 歯車
9 支持部
9a 環状部
9b 支柱
11、11A、11B 円筒ギア
11a 環状部
11b 突起
11c 円筒面
21 蓋体
22 清掃部材
41 案内部材
41a 案内部
42、42A 伝動部材
43 ピン
44 ピン
45、45A 第2の支持部材
45a 支持片
46 突起
C、C1 第1の軸線(軸線)
C2 第2の軸線(軸線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13