(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065417
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】シート収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220420BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20220420BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D83/08 G
A47K10/20 B
A47K10/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020173995
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】520403277
【氏名又は名称】伊藤 理
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】特許業務法人 Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 理
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB02
3E014MC07
(57)【要約】
【課題】1枚または1組のシートを取り出しときに後続のシートが重なって取り出されるのを防止できて1枚または1組ずつの取出しを可能とし、また、収容したシートの残数が少なくなったときでも、容器内にシートが落ち込み難いこと。
【解決手段】シート用カートン10は、上面部11に設けた取出部21の切り取りにより形成された取出口210が、取出口210の長手方向に対して直角な幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、上面部11には、取出口210の開口広部210L及び開口狭部210S間でくびれ形状を形成する互いに隣接する短辺220L
2及び斜辺220S
1を有して短辺220L
2及び斜辺220S
1の交差する角度θが0°<θ<90°であり取出口210の開口端縁にそれぞれ突設して互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部16を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられたシートを収容し、上面部に前記シートを取り出すための取出部を設けた直方体の箱状のシート収納容器であって、
前記取出部は、その形状に沿って形成された切取線の画成によって前記シート収納容器の長手方向に長く形成され、前記切取線に沿った切り取りにより前記上面部を開口して前記シートを取り出す取出口を形成し、
前記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成され開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記各開口狭部の間で前記取出口の前記長手方向に対して直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、
前記取出口が形成された前記上面部は、前記取出口の長手方向の各端部側の前記開口広部及び前記各開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有して前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°であり、前記取出口のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部を有することを特徴とするシート収納容器。
【請求項2】
内部にポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられたシートを収容し、上面部に前記シートを取り出すための取出部を設けた直方体の箱状のシート収納容器であって、
前記取出部は、その形状に沿って形成された外側切取線及び折線の画成によって前記シート収納容器の長手方向に長く形成され、かつ、前記取出部の長手方向に延び当該長手方向対して直角な幅方向を2分する内側切取線が設けられ、前記外側切取線及び前記内側切取線に沿った切断及び前記折線に沿った折筋の形成により前記上面部を開口して前記シートを取り出す取出口を形成し、
前記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成され開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記各開口狭部の間で前記取出口の前記長手方向に対して直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、
前記取出口が形成された前記上面部は、前記取出口の長手方向の各端部側の前記開口広部及び前記各開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有して前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°であり、前記取出口のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部を有することを特徴とするシート収納容器。
【請求項3】
内部にポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられたシートを収容し、上面部に前記シートを取り出すための取出口及び前記取出口を開閉自在な蓋体を設けた直方体または直方形の袋状のシート収納容器であって、
前記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成され開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記各開口狭部の間で前記取出口の前記長手方向に対して直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、
前記取出口が形成された前記上面部は、前記取出口の長手方向の各端部側の前記開口広部及び前記各開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有して前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°であり、前記取出口のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部を有することを特徴とするシート収納容器。
【請求項4】
前記取出口の前記各開口狭部は、前記取出口の長手方向の各端部側に向かって幅広くした台形状に形成され、前記上面部は、前記開口狭部の台形形状を形成する互いに隣接する2辺の成す内角(底角)δが鋭角状である鋭角端部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のシート収納容器。
【請求項5】
前記取出口の前記開口広部及び前記各開口狭部の間の最も幅狭くした境界における前記取出口の長手方向に対して直角方向の幅は、前記開口広部の最大幅に対して、5%~35%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のシート収納容器。
【請求項6】
前記取出口は、前記開口広部の前記取出口の前記長手方向の最大長に対し、前記各開口狭部の前記長手方向の最大長が、2%~15%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のシート収納容器。
【請求項7】
前記取出口の前記各開口狭部の開口周縁、及び/または、前記開口広部及び前記各開口狭部の間の前記くびれを形成する開口周縁を凹凸状としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のシート収納容器。
【請求項8】
前記上面部の前記鋭角突起部を形成する部材は、長さ100mm×幅25mmの試験片において、前記試験片の長手方向の半分を試料台に固定し、残りの半分の長さを前記試料台から突出させてその端部に20gの荷重を負荷した際に、前記試験片から突出させた長さ部分が下方に撓んだその撓み量hが0<h≦45mmの範囲内であるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載のシート収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシューペーパー(鼻紙)、ウエットティシュー、キッチンタオル、キッチンペーパー、キッチンシート、ペーパータオル、タオルペーパー、ワイパー、塵紙等の使い捨ての紙若しくは不織布または樹脂等のフィルムからなるシートを収容するシート収納容器であって、特に、1枚(1プライ)または1組(複数プライ)ずつのシートの取出しやすさを確保したシート収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手や顔周りの拭き取り、鼻かみ用途、身の回りの汚れ等を拭き取ったり包んだりする用途や小物の包装用途等として多用され、日常生活に広く普及しているものにボックスティシューがある。このボックスティシューでは、一般的に、直方体状の紙製の箱にティシューペーパーがポップアップ方式で取り出されるよう1組2~3プライで複数組が重ね合わせられ積層して収容されており、ティシューペーパーを取出口から取り出すと、連続的にティシューペーパーが取出口に引き出されるようになっている。
【0003】
ここで、従来のボックスティシューにおいては、その上面中央に設けた開口に、スリットが入った透明なエチレン製のフィルムが内側から貼設されており、そのフィルムのスリットからティシューペーパーが取り出されるようになっている。これより、1組のティシューペーパーを取り出した際に後続のティシューペーパーが追従し重なって共に取り出されてしまうのを防止し、ティシューペーパー1組ずつが取り出されるのを容易にしている。また、ティシューペーパーの残数が少なくなったときでも、スリットから出されているティシューペーパーを保持してティシューペーパーが箱内に落ち込むのを防止している。
【0004】
しかしながら、そのような樹脂フィルムを貼付した構造のボックスティシューにおいては、紙製の箱の製造に加え、樹脂フィルムの製造及び貼付け加工等の工程が必要であることから、製造に手間とコストがかかるものである。
加えて、この種の従来のボックスティシューの箱が紙製であるのに対し、取出口の樹脂フィルムはプラスチック(樹脂)製であるから、廃棄時に分別する必要があり、ボックスティシューの箱からフィルムを剥がす手間、別々に破棄する手間を要する。
特に、近年は、環境問題により脱プラスチックの動きが急速に進み、脱プラスチックの社会的要望も高まっており、ボックスティシューにおけるプラスチック製フィルムの使用は、脱プラスチックのトレンドに対応できないでいる。
【0005】
ところで、プラスチック製フィルムを使用しないカートンの取出構造に関する技術として、例えば、特許文献1がある。特許文献1では、ティシューペーパーの取出口の開口を略菱形形状とし、その長手方向の端部の2辺の間の開口角度を60~170度に設定する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の技術では、ティシューペーパーの取出口の端部に向かって幅小としている左右1か所ずつの60~170度の角部との接触でティシューペーパーに摩擦を生じさせるものであるから、ティシューペーパーの残りの枚数が少なくなって、カートン内に積層されたティシューペーパーが幅方向に動きやすくなると、人がティシューペーパーを把持し引き出す方向によっては、その所定の角部にティシューペーパーが当たることなく取出口から引き出され、後続のティシューペーパーが、取出口から出ることなく箱の中に落ち込んでしまう恐れがある。
一方、ティシューペーパーとは別に、手や顔周りの汚れの拭き取りや、身の回りの物品等の汚れの拭き取り用途等として使用されているものにウェットティシュー等があるが、このウェットティシューにおいても、1枚ずつの取出しやすさの要望がある。即ち、ウェットティシューでは水分を多く含んでいることから、ティシューペーパー等のドライのシートと比較し、シート同士が密着しやすく、1枚のシートを取り出しときに後続のシートが重なって取り出されやすいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートを取り出しときに後続のシートが重なって取り出されるのを防止できて1枚または1組ずつの取出しを可能とし、収容したシートの残数が少なくなったときでも、容器内にシートが落ち込み難いシート収納容器の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明のシート収納容器は、略直方体状の箱体の上面部に、ポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられて前記箱体内に収容されたシートを取り出す取出口を前記箱体の長手方向に長く形成する切取線で画成された取出部を有し、前記取出部の前記切取線に沿った切り取りにより前記上面部に形成された前記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続して前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成された開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記開口狭部との間で前記長手方向に対して略直角な幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、前記取出口が形成された前記上面部は、前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記取出口のその長手方向に対して略直角な幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角突起部を有し、前記1対の鋭角突起部は、前記取出口の長手方向の各端部側の前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有して前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内であるものである。
【0010】
ここで、上記シートは、ティシューペーパー(鼻紙)、ウェットティシュー、おしりふき、キッチンタオル、キッチンペーパー、キッチンシート、ペーパータオル、タオルペーパー、塵紙、ワイパー等の使い捨ての紙または不織布や、樹脂等のフィルムからなるものであり、ドライ状態(乾燥状態)またはウェット状態(湿潤状態)は問われない。
また、上記シートのポップアップ方式で取り出されるように折り重ねられて収容とは、シート収納容器の取出口から1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートを取り出した時点で、それに追随して後続のシートが取出口から引き出されるように、即ち、連続的にシートが1枚(1プライ)または1組(複数プライ)ずつ取出口から取り出せるように、各シートがV字状(2つ折り)またはZ状(3つ折り)に折られ、かつ、隣接するシート同士が互い違いにかみ合うように折重ねられて、シート収納容器に収容されることを意味する。
そして、上記直方体の箱状のシート収納容器は、ティシューペーパー等を収容するボックスティッシューのような略直方体状の紙製等の箱体(カートン)を意味するものである。なお、上記直方体状とは、長方形(矩形)の面のみならず、正方形の面をも含む概念であり、立方体状のもの含まれる。
【0011】
上記取出部は、その形状に沿って形成された切取線(切込線)の画成によってシート収納容器の長手方向に長く形成され、前記切取線に沿った切り取り(切り離し)により上面部を開口し、シートが取り出される取出口を形成するものである。この切取部は、全体を一体に切り取る(切り離す)ことで上面部に開口を形成するものであってもよいし、一部を上面部から切り取って(切り離して)、扉状に開くことで上面部に開口を形成するものであってもよい。
上記切取線は、取出部を上面部から切り取り(切り離し)自在とするためのミシン目であり、連続した小孔を意味する。
【0012】
ここで、上記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成され開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記各開口狭部との間で取出口の長手方向に対して直角な略幅方向が部分的に狭くなったくびれ形状を呈するものである。
上記開口広部と各開口狭部は、取出口の長手方向における長さが、開口広部の方が長く、開口狭部の方が短いものであり、また、開口面積が、開口広部の方が広く、開口狭部の方が狭いものであり、それら開口長さの長短及び開口面積の大小は、開口広部と開口狭部の比較での相対的なものである。
即ち、上記取出口は、開口長さが長く及び開口面積が広い1つの開口広部と、その開口広部の長手方向端部の両側に形成され開口長さが短く開口面積が狭い2つの開口狭部とからなり、取出口の長手方向の端部側の開口広部及び各開口狭部の間で部分的に開口幅が狭くなったくびれが形成されたものである。
【0013】
そして、このようなくびれ状の取出口が形成された上面部は、取出口のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁の両方に突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部を有するものである。
ここで、上記1対の鋭角突起部は、前記取出口の長手方向の各端部側で前記くびれに対応する2個所ずつ設けられ、各鋭角突起部は、前記取出口の前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有し、前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内であるものである。この鋭角突起部の隣接する2辺は略V字状に鋭利に交差していることまでは要求されず、略U字状に面取りされた形状であってもよい。
【0014】
請求項2の発明のシート収納容器は、略直方体状の箱体上面部に、ポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられて前記箱体内に収容されたシートを取り出す取出口を形成する外側切取線及び折線で画成され、かつ、長手方向に対して略直角な幅方向を2分する内側切取線を設けた取出部を有し、前記取出部の前記外側切取線及び前記内側切取線に沿った切断及び前記折線に沿った折筋の形成で前記上面部に開口した前記取出口は、その長手方向の中央部側前記長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記開口狭部との間で前記長手方向に対して略直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、前記取出口が形成された前記上面部は、前記取出口のその長手方向に対して略直角な幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角突起部を有し、1対の鋭角突起部は、前記取出口の長手方向の各端部側の前記取出口の前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有して前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内であるものである。
【0015】
ここで、上記シートは、ティシューペーパー(鼻紙)、ウェットティシュー、おしりふき、キッチンタオル、キッチンペーパー、キッチンシート、ペーパータオル、タオルペーパー、塵紙、ワイパー等の使い捨ての紙または不織布や、樹脂等のフィルムからなるものであり、ドライ状態(乾燥状態)またはウェット状態(湿潤状態)は問われない。
また、上記シートのポップアップ方式で取り出されるように折り重ねられて収容とは、シート収納容器の取出口から1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートを取り出した時点で、それに追随して後続のシートが取出口から引き出されるように、即ち、連続的にシートが1枚(1プライ)または1組(複数プライ)ずつ取出口から取り出せるように、各シートがV字状(2つ折り)またはZ状(3つ折り)に折られ、かつ、隣接するシート同士が互い違いにかみ合うように折重ねられて、シート収納容器に収容されることを意味する。
そして、上記直方体の箱状のシート収納容器は、ティシューペーパー等を収容するボックスティッシューのような略直方体状の紙製等の箱体(カートン)を意味するものである。なお、上記直方体状とは、長方形(矩形)の面のみならず、正方形の面をも含む概念であり、立方体状のもの含まれる。
【0016】
また、上記取出部は、その形状に沿って形成された外側切取線(切込線)及び折線の画成によって前記シート収納容器の長手方向に長く形成され、かつ、前記外側切取線(切込線)及び前記折線で画成された領域内で前記取出部の長手方向の全長に沿って延びる内側切取線を設けた取出部を有し、前記外側切取線及び前記内側切取線に沿った切断並びに前記折線に沿った折筋を付すことで取出部を2分割し観音開き状に開けて前記上面部を開口し、シートを取り出す取出口を形成するものである。
上記外側切取線は、取出部を上面部から部分的に切り取り(切り離し)自在とするためのミシン目であり、連続した小孔を意味する。
また、上記折線とは、取出部を上面部の面に対し折曲げやすくする線を意味する。
更に、上記内側切取線は、前記外側切取線及び前記折線に囲まれた領域内で取出部の長手方向に対して略直角な幅方向を2分して、取出部を分割自在とするためのミシン目であり、連続した小孔を意味し、通常、取出部の長手方向に対して略直角な幅方向を2等分する中心線に沿って設けられるものである。
【0017】
ここで、上記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成され開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記各開口狭部との間で取出口の長手方向に対して直角な略幅方向が部分的に狭くなったくびれ形状を呈するものである。
上記開口広部と各開口狭部は、取出口の長手方向における長さが、開口広部の方が長く、開口狭部の方が短いものであり、また、開口面積が、開口広部の方が広く、開口狭部の方が狭いものであり、それら開口長さの長短及び開口面積の大小は、開口広部と開口狭部の比較での相対的なものである。
即ち、上記取出口は、開口長さが長く及び開口面積が広い1つの開口広部と、その開口広部の長手方向端部の両側に形成され開口長さが短く開口面積が狭い2つの開口狭部とからなり、取出口の長手方向の端部側の開口広部及び各開口狭部の間で部分的に開口幅が狭くなったくびれが形成されたものである。
【0018】
そして、このようなくびれ状の取出口が形成された上面部は、取出口のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁の両方に突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部を有するものである。
ここで、上記1対の鋭角突起部は、前記取出口の長手方向の各端部側で前記くびれに対応する2個所ずつ設けられ、各鋭角突起部は、前記取出口の前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有し、前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内であるものである。この鋭角突起部の隣接する2辺は略V字状に鋭利に交差していることまでは要求されず、略U字状に面取りされた形状であってもよい。
【0019】
請求項3の発明のシート収納容器は、略直方体状または略長方形状の袋体の上面部に、ポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられて前記袋体内に収容されたシートを取り出す取出口及び前記取出口を開閉自在な蓋体を有し、前記袋体の前記上面部の長手方向に長く形成された前記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続して前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成された開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記開口狭部との間で前記長手方向に対して略直角な幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、前記取出口が形成された前記上面部は、前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記取出口のその長手方向に対して略直角な幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角突起部を有し、前記1対の鋭角突起部は、前記取出口の長手方向の各端部側の前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有して前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内であるものである。
【0020】
ここで、上記シートは、ティシューペーパー(鼻紙)、ウェットティシュー、おしりふき、キッチンタオル、キッチンペーパー、キッチンシート、ペーパータオル、タオルペーパー、塵紙、ワイパー等の使い捨ての紙または不織布や、樹脂等のフィルムからなるものであり、ドライ状態(乾燥状態)またはウェット状態(湿潤状態)は問われない。
また、上記シートのポップアップ方式で取り出されるように折り重ねられて収容とは、シート収納容器の取出口から1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートを取り出した時点で、それに追随して後続のシートが取出口から引き出されるように、即ち、連続的にシートが1枚(1プライ)または1組(複数プライ)ずつ取出口から取り出せるように、各シートがV字状(2つ折り)またはZ状(3つ折り)に折られ、かつ、隣接するシート同士が互い違いにかみ合うように折重ねられて、シート収納容器に収容されることを意味する。
【0021】
そして、上記直方体または直方形の袋状のシート収納容器は、ウェットティッシューのような水分を含むシート等を収容するプラスチック製等の略直方体状の略長方形状の袋体を意味する。この直方体または直方形の袋状のシート収納容器では、例えば、ウェットティッシューのように水分を含むシートを収容していてもその水分の蒸発を防止できるように前記取出口を開閉自在とする蓋体を前記上面部に設けている。上記蓋体は、一般的には、前記取出口を開閉自在にするシールである。
なお、上記直方体状とは、長方形(矩形)の面のみならず、正方形の面をも含む概念であり、立方体状のもの含まれる。また、上記長方形状も、正方形状を含む概念である。
【0022】
ここで、上記取出口は、その長手方向の中央部側で前記長手方向に長く形成され開口面積の広い開口広部と前記開口広部の前記長手方向の各端部から連続し前記開口広部よりも前記長手方向に短く形成されて開口面積が小さい1対の開口狭部とからなり、前記開口広部と前記各開口狭部との間で取出口の長手方向に対して直角な略幅方向が部分的に狭くなったくびれ形状を呈するものである。
上記開口広部と各開口狭部は、取出口の長手方向における長さが、開口広部の方が長く、開口狭部の方が短いものであり、また、開口面積が、開口広部の方が広く、開口狭部の方が狭いものであり、それら開口長さの長短及び開口面積の大小は、開口広部と開口狭部の比較での相対的なものである。
即ち、上記取出口は、開口長さが長く及び開口面積が広い1つの開口広部と、その開口広部の長手方向端部の両側に形成され開口長さが短く開口面積が狭い2つの開口狭部とからなり、取出口の長手方向の端部側の開口広部及び各開口狭部の間で部分的に開口幅が狭くなったくびれが形成されたものである。
【0023】
そして、このようなくびれ状の取出口が形成された上面部は、取出口のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁の両方に突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部を有するものである。
ここで、上記1対の鋭角突起部は、前記取出口の長手方向の各端部側で前記くびれに対応する2個所ずつ設けられ、各鋭角突起部は、前記取出口の前記開口広部及び前記開口狭部の間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有し、前記2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内であるものである。この鋭角突起部の隣接する2辺は略V字状に鋭利に交差していることまでは要求されず、略U字状に面取りされた形状であってもよい。
【0024】
請求項4の発明のシート収納容器は、前記取出口の前記1対の開口狭部が、前記取出口の長手方向の各端部側に向かって幅広くした略台形状に形成され、前記上面部に、前記開口狭部の台形形状を形成する互いに隣接する2辺の成す角度が鋭角状である各1対の鋭角端部を有するものである。
即ち、上記開口狭部は、略台形形状に形成され、その台形の幅広側の底辺とその両側に斜交する辺との間の角度(底角、内角)が共に鋭角状であり、前記上面部には、その所定の鋭角状を形成する開口周縁である互いに隣接する2辺の成す角度が鋭角の1対の鋭角端部を有するものである。この鋭角端部の隣接する2辺も、略V字状に鋭利に交差していることまでは要求されず、略U字状に面取りされた形状であってもよい。
【0025】
請求項5の発明のシート収納容器は、前記取出口の前記開口広部及び前記開口狭部の間のくびれの最も幅狭くした境界における前記取出口の長手方向に対して略直角方向の幅が、前記開口広部の前記取出口の長手方向に対して略直角方向の最大幅に対して、5%~35%の範囲内、好ましくは、6%~32%の範囲内、より好ましくは、8%~30%の範囲内のものである。
【0026】
請求項6の発明のシート収納容器は、前記開口広部の前記取出口の前記長手方向の最大長に対し、前記各開口狭部の前記長手方向の最大長が、2%~15%の範囲内、好ましくは、2%~12%の範囲内、より好ましくは、2%~10%の範囲内であるものである。
【0027】
請求項7の発明のシート収納容器は、前記取出口の前記各開口狭部の開口周縁及び/または前記開口広部及び前記各開口狭部の間の前記くびれを形成する開口周縁が凹凸状であるものである。
上記凹凸の形成は、例えば、前記切取線の切れ目を波形状またはのこぎり状に形成したり、或いは、並行する長短の異なる2列の切れ目を千鳥状に配置したり、切れ目を鉤形に屈曲した形状にしたりし、係る切取線に沿って前記切取部を切り取る(切り離す)ことで形成することができる。
【0028】
請求項8の発明のシート収納容器は、前記上面部の前記鋭角突起部を形成する部材が、長さ100mm×幅25mmの試験片において、前記試験片の長手方向の半分を試料台に固定し、残りの半分の長さを前記試料台から突出させてその端部に20gの荷重をかけたときに、前記試験片から突出させた長さ部分が下方に撓んだその撓み量hが0<h≦45mmの範囲内、好ましくは、10mm≦h≦45mmの範囲内、より好ましくは、15mm≦h≦45mmであるものである。
上記鋭角突起部を形成する部材は、紙製の箱体(カートン)の場合には紙がベースとなるが紙以外の材質で補強されていてもよい。また、プラスチック製の袋体の場合には、プラスチックがベースとなるが、それ以外の材質、例えば、プラスチックにアルミニウム等の金属箔が蒸着されてなるものであってもよい。
ここで、上記撓み量とは、略直角な端部を有する試料台に長さ100mm×幅25mmの試験片の半分長さを固定し、残りの半分長さは、前記試料台の端部から突出(張設)させるように設置して、前記試料台の端部から突出させた前記試験片の先端部に20gの荷重を負荷したときの、前記試験片前記試料台の端部から突出させた部分の折曲変形した撓み量であり、前記紙製の材質の強度、剛性の指標であり、強度、剛性が高いものほど撓み量が小さくなるものである。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明に係るシート収納容器によれば、その上面部に形成した切取線に沿って取出部を切り取ることで開口した取出口は、その長手方向の中央側で前記長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部とその長手方向の両端部側に形成された開口面積の狭い1対の開口狭部とを有し、前記開口広部と前記各開口狭部の間で前記取出口の長手方向に対して略直角方向の幅を狭くしたくびれ形状を呈しており、前記上面部には前記取出口の長手方向の各端部側で前記開口広部と前記開口狭部との間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内であり、前記取出口のその長手方向に対して略直角な幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角突起部を有する。
【0030】
こうして請求項1の発明に係るシート収納容器によれば、その上面部においてシートが取り出される取出口の長手方向の両端部側で取出口の長手方向に対して略直角な幅を部分的に狭くした取出口のくびれた形状を形成する各1対の鋭角突起部を設けたことにより、シートが取出口から取り出されるときにその鋭角突起部にシートが接触し、鋭角突起部によってシートにその動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。特に、鋭角突起部は、取出口の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対とし、かつ、取出口の長手方向の両端部で設けて、合計4か所に形成されている。よって、シートが何れの方向に引き出されても、何れかの鋭角突起部にシートが接触し、シートにその動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。したがって、取出口から引き出した1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートとそれに後続するシートが連なって(重なって)取り出される事態を防止でき、特に、収容したシートの残数が少なくなったときでも、何れかの鋭角突起部にシートが接触しシートの動きに対する摩擦(抵抗)が生じるから、箱内にシートが落ち込むのを防止できる。
【0031】
このように請求項1の発明に係るシート収納容器によれば、鋭角突起部によって収容したシートの残数が少なくなったときでもシートが落ち込むのを防止できて、1枚ずつまたは1組ずつのシートの連続的な引き出しを可能とするから、樹脂フィルムの貼付を必要としない。よって、製造工程を簡略化できて製造コストも低減でき、また、破棄時に分別の手間も必要としない。
【0032】
請求項2の発明に係るシート収納容器によれば、上面部に形成した長手方向に対して略直角な幅方向を2分する内側切取線に沿った取出部の切断によりその幅方向を2分割し、また、前記上面部に形成した外側切取線に沿って前記上面部から前記取出部を部分的に切断し、更に、前記上面部に形成した折線に沿って前記取出部を折曲げ折筋を付すことにより前記上面部が開口して形成された取出口は、その長手方向の中央側で前記長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部とその長手方向の両端部側に形成された開口面積の狭い1対の開口狭部とを有し、前記開口広部と前記各開口狭部の間で前記取出口の長手方向に対して略直角方向の幅を狭くしたくびれ形状を呈しており、前記上面部には前記取出口の長手方向の各端部側で前記開口広部と前記開口狭部との間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内であり、前記取出口のその長手方向に対して略直角な幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角突起部を有する。
【0033】
こうして請求項2の発明に係るシート収納容器によれば、その上面部においてシートが取り出される取出口の長手方向の両端部側で取出口の長手方向に対して略直角な幅を部分的に狭くした取出口のくびれた形状を形成する各1対の鋭角突起部を設けたことにより、シートが取出口から取り出されるときにその鋭角突起部にシートが接触し、鋭角突起部によってシートにその動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。特に、鋭角突起部は、取出口の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対とし、かつ、取出口の長手方向の両端部で設けて、合計4か所に形成されている。よって、シートが何れの方向に引き出されても、何れかの鋭角突起部にシートが接触し、シートにその動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。したがって、取出口から引き出した1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートとそれに後続するシートが連なって(重なって)取り出される事態を防止でき、特に、収容したシートの残数が少なくなったときでも、何れかの鋭角突起部にシートが接触しシートの動きに対する摩擦(抵抗)が生じるから、箱内にシートが落ち込むのを防止できる。
【0034】
このように請求項2の発明に係るシート収納容器によれば、鋭角突起部によって収容したシートの残数が少なくなったときでもシートが落ち込むのを防止できて、1枚ずつまたは1組ずつのシートの連続的な引き出しを可能とするから、樹脂フィルムの貼付を必要としない。よって、製造工程を簡略化できて製造コストも低減でき、また、破棄時に分別の手間も必要としない。
【0035】
請求項3の発明に係るシート収納容器によれば、その上面部に設けた蓋体により開閉自在な取出口は、その長手方向の中央側で前記長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部とその長手方向の両端部側に形成された開口面積の狭い1対の開口狭部とを有し、前記開口広部と前記各開口狭部の間で前記取出口の長手方向に対して略直角方向の幅を狭くしたくびれ形状を呈しており、前記上面部には前記取出口の長手方向の各端部側で前記開口広部と前記開口狭部との間で前記くびれ形状を形成する互いに隣接する2辺の交差する角度θが0°<θ<90°の範囲内であり、前記取出口のその長手方向に対して略直角な幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角突起部を有する。
【0036】
こうして請求項1の発明に係るシート収納容器によれば、その上面部においてシートが取り出される取出口の長手方向の両端部側で取出口の長手方向に対して略直角な幅を部分的に狭くした取出口のくびれた形状を形成する各1対の鋭角突起部を設けたことにより、シートが取出口から取り出されるときにその鋭角突起部にシートが接触し、鋭角突起部によってシートにその動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。特に、鋭角突起部は、取出口の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対とし、かつ、取出口の長手方向の両端部で設けて、合計4か所に形成されている。よって、シートが何れの方向に引き出されても、何れかの鋭角突起部にシートが接触し、シートにその動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。したがって、ウェットティシュー等のように水分を含むことでシート同士が密着しやすいものであっても、取出口から引き出した1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシートとそれに後続するシートが連なって(重なって)取り出される事態を防止できる。また、収容したシートの残数が少なくなったときでも、何れかの鋭角突起部にシートが接触しシートの動きに対する摩擦(抵抗)が生じるから、蓋体を空けたまで、連続して複数枚のシートを取り出すときでも、袋内にシートが落ち込むのを防止でき、取出し操作性がよい。
【0037】
このように請求項3の発明に係るシート収納容器によれば、ウェットティシュー等のように水分を含むことでシート同士が密着しやすいものであっても、1枚ずつまたは1組ずつのシートの連続的な引き出しを可能とする。
【0038】
請求項4の発明に係るシート収納容器によれば、前記取出口の前記開口狭部は、前記取出口の長手方向の各端部側に向かって幅広くした台形形状に形成され、前記上面部の前記各開口幅部の開口周縁には前記開口幅部の前記幅広側で互いに隣接する2辺が鋭角状に交差した各1対の鋭角端部を有することから、シートが取出口から取り出されるときに、それら鋭角端部にシートが接触すると、その鋭角端部によってもシートの動きに対する摩擦(抵抗)を与えることができる。したがって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、シートの取出抵抗を高めることが可能となる。
【0039】
請求項5の発明に係るシート収納容器によれば、前記取出口の前記開口広部と前記開口狭部との間で前記くびれた境界における前記取出口の長手方向に対して略直角方向の幅は、前記開口広部の前記取出口の長手方向に対して略直角方向の最大幅に対して、5%~35%の範囲内であるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記取出部の前記開口狭部を前記開口広部と共に一体に切取りやすく、開封時の切取り操作性、作業性がよいものとなる。
【0040】
請求項6の発明に係るシート収納容器によれば、前記取出口は、前記開口広部の前記取出口の前記長手方向の最大長に対し、1対の前記開口狭部の前記長手方向の最大長が、2%~15%の範囲内であるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、シートが取り出しやすいものとなる。
【0041】
請求項7の発明に係るシート収納容器によれば、前記取出口の前記開口狭部の開口周縁及び/または前記開口広部及び前記開口狭部の間の前記くびれを形成する開口周縁を凹凸状としたものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、シートの取出抵抗を高めることができる。
【0042】
請求項8の発明に係るシート収納容器によれば、前記上面部の前記鋭角突起部を形成する部材は、長さ100mm×幅25mmの試験片において、前記試験片の長手方向の半分を試料台に固定し、残りの半分の長さを前記試料台から突出させてその端部に20gの荷重をかけたときに、前記試験片から突出させた長さ部分が下方に撓んだその撓み量hが0<h≦45mmの範囲内であるものであるから、繰り返し引き出されるシートとの繰り返しの接触でも鋭角突起部が撓み難く、また、破れ難いものである。したがって、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、シート残数が少なくなったときでも、鋭角突起部によるシートの動きに対する高い摩擦効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートンに収容されるシートのポップアップ方式で取り出される積層状態を説明する説明斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートンの斜視図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上から見た平面図(上面図)である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上面部にシートの取出口が形成された状態の斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上面部にシートの取出口が形成された状態を上から見た正面図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上面部の取出口からシートが出された状態の斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態2に係るシート収納容器としてのシート用カートンの斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態2に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上から見た平面図(上面図)である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態2に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上面部にシートの取出口が形成された状態の斜視図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態2に係るシート収納容器としてのシート用カートンの上面部の取出口からシートが出された状態の斜視図である。
【
図11】
図11(a)は取出口の開口広部の変形例を説明する説明図であり、
図11(b)は取出口の開口狭部の変形例を説明する説明図である。
【
図12】
図12(a)は取出口の開口広部及び開口狭部間の1対の鋭角突起部の隣接する2辺の交差部分がR形状である変形例を説明する部分拡大図であり、
図12(B)は取出口の開口広部及び開口狭部間の1対の鋭角突起部の隣接する2辺の交差部分がR形状である別の変形例を説明する部分拡大図である。
【
図13】
図13はシート収納容器の別の形状の変形例を説明する説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態3に係るシート収納容器としてのシート用包装体の斜視図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態3に係るシート収納容器としてのシート用包装体の上から見た平面図(上面図)である。
【
図16】
図16はシート収納容器の鋭角突起部を形成する部材の強度、剛性の指標としての撓み量の測定方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0045】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係るシート収納容器としてのシート用カートン10について、
図1乃至
図6を参照して説明する。本発明の実施の形態1は、本発明のシート収納容器を紙製の略直方体状の箱体であるシート用カートン10に適用した場合を例示するものである。
本実施の形態1のシート用カートン10は、ティシューペーパー等の紙や不織布からなるシート1が、ポップアップ方式で1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)ずつ取り出せるように折り畳まれて積み重ねられた状態で収容される直方体状の箱であり、上面部11に形成される取出口210からシート1がポップアップ方式で取り出されるものである。
【0046】
本実施の形態1のシート用カートン10は、例えば、300μm~650μm厚、好ましくは、350μm~600μm厚の木材パルプ、古紙、段ボール紙、コートボール紙等からなり、底面部(下面部)12と、その底面部12から立ち上がる側面部13と、側面部13の上に形成され底面部12と対向する上面部11とからなる直方体状に組み立てられたものである。即ち、木材パルプ、古紙、段ボール紙、コートボール紙等からなる厚紙を直方体の展開形状に打ち抜き、直方体状に組み立てる所定の折れ線やシートの取出口210を形成するための後述する所定の切取線22を入れたのち、所定の折れ線に沿って折曲げ、直方体状に組み立てられたものである。なお、木材パルプ、古紙、段ボール紙、コートボール紙等の厚紙は、折り曲げやすさ等の加工性や強度等の観点から、例えば、坪量が、200g/m2~550g/m2の範囲内のもの、強度が、JISP8116-2000に準拠した引裂強度の測定で縦方向2500~3000mN、横方向3000~3500mN程度のものが使用される。
【0047】
そして、直方体状に組み立てられたシート用カートン10の上面部11には、箱内に収容されるシート1を取り出すための取出部21が形成されている。
本実施の形態1の取出部21は、上面部11に開口を形成するための切取線22の画成によりシート用カートン10の長手方向に長く形成されたものであり、切取線22に沿った切り取り(切り離し)により上面部11を開口して、箱内に収容されているシート1が取り出される取出口210を形成するものである。
【0048】
切取線22は、手で切り離せるミシン目状であれば、ミシン目の形態は特に限定されず、1列の切れ目であってもよいし、並行する2列の切れ目であってもよいし、変形Y字型の切れ目(所謂、ジッパーと称されるミシン目)等であってもよい。後述するように、部分的に、切れ目を波形状またはのこぎり状としたり、並行する長短の異なる2列の切れ目を千鳥状に配置したり、切れ目を鉤形に屈曲した形状にしたりしてもよい。そのような切れ目によれば、上面部11の取出部21を切り離して取出口210を形成したときの開口周縁は、凹凸状になる。したがって、シート1が接触して動いたとき(摺動したとき)の摩擦(抵抗)を大きくすることができる。
【0049】
ここで、切取線22で画成されシート用カートン10の長手方向に長く形成された本実施の形態1の取出部21は、シート用カートン10の長手方向の中央部側でシート用カートン10の長手方向に長く形成され面積が広い広部21Lと、取出部21の長手方向の両端部に広部21Lの長手方向の両端部から連続形成され広部21Lよりも取出部21の長手方向の長さが短くて面積が狭い1対の狭部21Sとから構成され、取出部21の長手方向の各端部側における広部21Lと狭部21Sとの間で取出部21の長手方向に対する略直角方向の幅を部分的に狭くしたくびれ形状を呈するものである。つまり、本実施の形態1の取出部21は、その長手方向の両端部側がくびれた長尺形状を呈するものである。
【0050】
詳細には、本実施の形態1の広部21Lは、シート用カートン10の長手方向に長くその長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の長辺切取線22L1と、長辺切取線22L1の長手方向の各端部から連続し長辺切取線22L1に対して略直角方向に形成されシート用カートン10の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の短辺切取線22L2とによって画成された略矩形状を呈し、1対の長辺切取線22L1側が外側に凸状に僅かに湾曲して、シート用カートン10の長手方向の中央部でその長手方向に対する幅が最も幅広く、長手方向の両端部側に向かって幅狭に形成されたものである。
【0051】
また、広部21Lの長手方向の両端部側から連続する本実施の形態1の狭部21Sは、広部21Lの短辺切取線22L2に対して所定の鋭角状に配置(斜交)し取出部21の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の斜辺切取線22S1と、1対の斜辺切取線22S1間でそれらに対し所定の鋭角状に配置(斜交)され斜辺切取線22S1の端部間を連結する底辺切取線22S2とによって画成され、取出部21の長手方向の両端部側に向かって幅広に形成された略台形状を呈したものである。特に、本実施の形態1の狭部21Sは、底辺切取線22S2の両端側で各斜辺切取線22S1と成す角(底角、内角)が等しく鋭角状の略等脚台形状である。
【0052】
なお、これら広部21L及び狭部21Sからなる本実施の形態1の取出部21は、その長手方向の長さについて、各狭部21Sの長さLSと広部21Lの長さLLとの比率が、0.02≦LS/LL≦0.15の範囲内、好ましくは、0.02≦LS/LL≦0.12の範囲内、より好ましくは、0.02≦LS/LL≦0.1の範囲内である。
また、本実施の形態1の取出部21は、その長手方向に対して直角方向の幅について、広部21Lの最大幅WLと、狭部21Sの最大幅WSとの比率が、0.1≦WL/WS≦1.1の範囲内、好ましくは、0.15≦WL/WS≦1.0の範囲内、より好ましくは、0.15≦WL/WS≦0.8の範囲内である。
【0053】
そして、本実施の形態1の取出部21では、広部21Lを画成する1対の短辺切取線22L2と狭部21Sを画成する1対の切取線22S1とによって、取出部21の長手方向の各端部側において広部21Lと狭部21Sと間で部分的に幅を狭くしたくびれ形状に形成され、くびれ形状に形成する各短辺切取線22L2と各斜辺切取線22S1とが成す角度θは0°<θ<90°の鋭角である。好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内の鋭角状である。
【0054】
特に、本実施の形態の取出部21では、それを画成する切取線22がシート用カートン10の長手方向及びそれに直角な幅方向に線対称の形状である。即ち、取出部21の長手方向の各端部側で、取出部21の長手方向に対して直角方向の幅を部分的に狭くした広部21Lと狭部21Sと間のくびれは、取出部21の長手方向に対して直角方向の幅方向で互いに対向する各2個所とし、幅方向の両側で切取線22の入れ方をくびれ状に変化させて左右対称としている。また、上述したように、狭部21Sは、底辺切取線22S2に対し、その両側で斜交した2つの斜辺切取線22S1とのなす角(内角、底角)を互いに等しくしている。
つまり、広部21L及び狭部21Sからなる本実施の形態1の切取部21はシート用カートン10の長手方向及びそれに直角な幅方向に線対称の形状としている。
【0055】
さらに、本実施の形態1の取出部21では、その長手方向の各端部側において広部21Lと狭部21Sと間でくびれ状に幅狭くした広部21L及び狭部21S間の境界の幅WW(取出部21の長手方向に対して略直角方向の幅)は、広部21の最大開口幅WLに対し、5%~35%の範囲内である。当該範囲内であれば、取出部21の狭部21Sを上面部11から切り取り(切り離し)やすく、取出部21の全体を一体に上面部11から切取る作業性、操作性が良いものとなる。好ましくは、6%~32%の範囲内、より好ましくは、8%~30%の範囲内である。
【0056】
このような形状の取出部21が上面部11に形成されたシート用カートン10の寸法は、中に収容されるシート1の寸法等によって決定され、例えば、シート用カートン10の長手方向の長さは、シート1の折り畳み方向に対して直角な方向の長さに対し1.1~1.3倍の範囲内に設定され、シート用カートン10の長手方向に対し直角方向の幅は、シート1の折り畳まれた半分の長さに対し1.08~1.2倍の範囲内に設定される。例えば、15~20mm×15~20mmのティシューペーパーや不織布からなるシート1であれば、それを収容するシート用カートン10の寸法は、例えば、その長さが210mm~250mmの範囲内に設定され、幅が110mm~125mmの範囲内に設定される。また、内寸高さは、例えば、45mm~100mmの範囲内に設定される。
【0057】
このときのシート用カートン10の上面部に形成された取出部21の全体長さは、例えば、160mm~190mmの範囲内、広部21Lの長さは、例えば、150mm~180mmの範囲内、狭部21Sの長さは、例えば、30mm~100mmの範囲内に設定される。また、広部21Lの最大幅WLは、例えば、40mm~50mmの範囲内に設定され、広部21Lと狭部21Sと間でくびれ状に幅狭くした広部21Lと狭部21Sと間の境界の幅WWは、0.25cm~1.8cmの範囲内、より好ましくは、0.28cm~1.5cmの範囲内、更に好ましくは、0.30cm~1.5cmの範囲内に設定される。当該範囲内であれば、シート1を傷付ける恐れもない。
【0058】
こうして、本実施の形態1のシート用カートン10は、その上面部11に長手方向の両端部側がくびれた長尺状を呈する取出部21が切取線22で区画されて形成されていることで、その切取線22に沿って取出部21の全体を上面部11から切り取る(切り離す)ことにより、長手方向の両端部側がくびれた長尺状の開口である取出口210が形成される。
【0059】
即ち、取出部21の長手方向の中央部側で長手方向に長く形成された面積の広い広部21Lと広部21Lの長手方向の端部から連続形成され広部21Lよりも長手方向の長さが短く面積が狭い狭部21Sとを有し、広部21Lと狭部21Sと間で取出部21の長手方向に対する直角方向の幅を部分的に狭くしたくびれ形状を呈する取出部21の切り取りによって形成された取出口210は、その長手方向の中央部側で長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部210Lと開口広部210Lの長手方向の端部から連続形成され開口広部210Lよりも長手方向の長さが短く開口面積が狭い開口狭部210Sとを有し、それら開口広部210Lと開口狭部210Sと間で取出口210の長手方向に対する直角方向の幅を部分的に狭くしたくびれ形状を呈するものである。
【0060】
詳細には、本実施の形態1の取出口210の開口広部210Lは、取出部21の広部21Lに対応し、1対の長辺切取線22L1に対応する長手方向に長い1対の長辺220L1と、長辺切取線22L1の両端部側の各1対の短辺切取線22L2に対応し、長辺220L1の両端部側でその長手方向に対し略直角方向に形成された各1対の短辺220L2とで囲まれた略矩形状を呈し、対向する長辺220L1側が外側に凸状に僅かに湾曲して、シート用カートン10の長手方向の中央部でその長手方向に対する幅が最も幅広く、長手方向の両端部側に向かって幅狭に形成されたものである。
【0061】
また、本実施の形態1の取出口210の開口狭部210Sは、取出部21の狭部21Sに対応し、長辺220L1の両端部側の各1対の短辺220L2に対して所定の鋭角状に配置(斜交)し互いに幅方向で対向した、1対の斜辺切取線22S1,22S2に対応する1対の斜辺220S1と、底辺切取線22S2に対応し1対の斜辺220S1に対して所定の鋭角状に配置(斜交)してそれら両端部間を連結した底辺220S2とで囲まれ、取出口210の長手方向の両端部側に向かって幅広に形成された略台形状を呈したものである。特に、本実施の形態1の開口狭部210Sは、底辺220S2の両端部側で各斜辺220S1と成す角(底角、内角)が等しく鋭角状の略等脚台形状である。
【0062】
これら開口広部210L及び開口狭部210Sからなる本実施の形態1の取出口210では、その長手方向の長さについて、各開口狭部210Sの長さLSと開口広部210Lの長さLLとの比率が、0.02≦LS/LL≦0.15の範囲内である。即ち、開口広部210Lの最大長LLに対し、各開口狭部210Sの最大長LSが、2%~15%の範囲内である。当該範囲内であれば、シート1が取り出しやすくなる。好ましくは、0.02≦LS/LL≦0.12の範囲内、より好ましくは、0.02≦LS/LL≦0.1の範囲内である。
【0063】
そして、上述したように取出部21の広部21Lを画成する短辺切取線22L2と狭部21Sを画成する斜辺切取線22S1とがなす角度θが0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内であることから、このように長手方向の両端部側がくびれた長尺状の開口である取出口210が形成された上面部11では、取出口210の長手方向の各端部側において開口広部210Lと開口狭部210Sと間でくびれを形成する、開口広部210L側の端縁である短辺220L2と、開口狭部210S側の端縁である斜辺220S1とが成す角度θは0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内である。
【0064】
即ち、本実施の形態1のシート用カートン10は、その上面部11に、取出部21の切り取りにより形成された取出口210の開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する鋭角突起部16を有し、鋭角突起部16は、開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺である短辺220L2及び斜辺220S1を有し、短辺220L2及び斜辺220S1の成す角度θが、0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内であるものである。
【0065】
なお、本実施の形態1の取出口210は、その長手方向の各端部側で長手方向に対して直角方向の幅を部分的に狭くした開口広部210Lと開口狭部210Sと間のくびれ部分を幅方向で互いに対向する2個所とし対称的な配置としている。また、上述したように、開口狭部210Sは、底辺220S2に対し、その両側で斜交した2つの斜辺220S1とのなす角(内角、底角)を互いに等しくしている。つまり、本実施の形態1の取出口210は、その長手方向及びそれに直角な幅方向に線対称の形状である。
【0066】
特に、本実施の形態1では、上面部11の各鋭角突起部16を含む取出口210の開口周縁を形成する部材は、長さ100mm×幅25mmの試験片Aにおいて、
図14に示すように、試験片Aの長手方向の半分を試料台Bに固定し、残りの半分の長さを試料台Bから突出させてその端部に20gの荷重(W)をかけたときに、試験片Aから突出させた長さ部分が下方に撓んだその撓み量hが0<h≦45mmの範囲内である強度、剛性を有するものである。これにより、繰り返し引き出されるシート1との繰り返しの接触でも鋭角突起部16が撓み難く、また、破れ難いものとなる。したがって、シート1の残数が少なくなったときでも、鋭角突起部16によるシートの動きに対する高い摩擦効果を発揮できる。好ましくは、10mm≦h≦45mmの範囲内、より好ましくは、15mm≦h≦45mmであるものである。なお、通常、上面部11は鋭角突起部16と一体に形成され、また、下面部12及び側面部13も上面部11と一体に形成される。したがって、シート用カートン10を構成する紙の強度、剛性が、上記の試験片Aを使用した測定で、その撓み量hが0<h≦45mmの範囲内、好ましくは、10mm≦h≦45mmの範囲内、より好ましくは、15mm≦h≦45mmでとされるものである。
なお、本発明を実施する場合には、取出口210の開口周縁の全体が上述の特定の撓み量hであることに限定されず、少なくとも各鋭角突起部16を形成する部材が、上述の特定の撓み量hであれば、鋭角突起部16が撓み難く、また、破れ難いものとなる。
【0067】
また、本実施の形態1の取出口210は、取出口210の長手方向の各端部側において開口広部210Lと開口狭部210Sと間でくびれ状に幅狭くした開口広部210Lと開口狭部210Sと間の境界の幅WWは、開口広部210Lの最大開口幅WLに対し、5%~35%の範囲内である。当該範囲内であれば、上述したように、取出部21の狭部21Sが上面部11から切り離しやすく、取出部21の全体を一体に上面部から切り取りやすいものである。更に、シート1が鋭角突起部16に引っ掛かり難くシート1が取り出しやすく、また、破れにくいものとなる。好ましくは、6%~32%の範囲内、より好ましくは、8%~30%の範囲内である。
【0068】
特に、本実施の形態1の取出口210は、開口広部210Lと開口狭部210Sと間の境界の幅WW、即ち、対向する1対の鋭角突起部16間の取出口210の長手方向に対して略直角な幅方向の間隔WWが、2mm以上、20mm以下の範囲内である。当該範囲内であれば、取出部21の狭部21Sが上面部11から切り離しやすく、取出部21の全体を一体に上面部から切り取りやすいものである。更に、シート1が鋭角突起部16に引っ掛かり難くてシート1が取り出しやすく、また、破れにくいものとなる。好ましくは、2.5mm以上、19.5mm以下の範囲内、より好ましくは、3mm以上、19mm以下の範囲内である。
【0069】
このように本実施の形態1のシート用カートン10は、その上面部11に長手方向の両端部側がくびれた長尺状を呈する取出部21が切取線22で区画されて形成されたものであり、その切取線22に沿って取出部21を切り取る(切り離す)ことにより、長手方向の両端部側がくびれた長尺状の開口である取出口210が形成されるものである。
【0070】
このような形状の取出口210によれば、長手方向の両端部側がくびれ形状であることで、シート1が取出口210から出されるときに、上面部11において取出口210の開口広部210L及び開口狭部210S間のくびれを形成する鋭角突起部16にシート1が接触し、シート1の動きに対する摩擦(抵抗)を生じさせるから、取出口210から引き出す1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)のシート1とそれに後続するシート1が連なって(重なって)必要以上に取り出される事態が防止される。
【0071】
特に、シート用カートン10の内部には、シート1がポップアップ方式で端部の位置が交互に変化するように互い違いに重ねられ、即ち、端部の引き出し方向が交互に入れ替わるように積み重ねられるが、本実施の形態1のシート用カートン10の取出口210では、その長手方向の各端部において、開口広部210Lと開口狭部210Sと間のくびれを形成している鋭角突起部16が幅方向に対向して2個所ずつ形成され合計4箇所存在するから、何れの方向にシート1が引き出されても、何れかの鋭角突起部16にシート1が接触する。このため、枚数が少なくなって箱の中のシート1に偏りが生じたときでも、シート1が取出口210から出されるときに何れかの鋭角突起部16に接触し、シート1の動きに対して摩擦(抵抗)を生じさせるから、シート1が箱内に落ち込み難いものとなる。よって、残数が少なくなった時でもシート1の取出性が低下せず、シート1を1枚または1組ずつ連続的にスムースに取出すことが可能である。
【0072】
更に、本実施の形態1のシート用カートン10では、取出口210の開口狭部210Sの形状が、取出口210の端部側に向かって幅広くした台形状に形成されており、上面部11において開口狭部210Sの形状を形成する開口側端縁の斜辺220S1と底辺220S2が成す内角(底角)δが鋭角状である1対の鋭角端部17を有する。したがって、この鋭角状に斜交する斜辺220S1と底辺220S2を有する鋭角端部17によっても、そこにシート1が接触するとシート1の動きに対する摩擦(抵抗)を大きくし、シート1の取出抵抗が高まる。よって、取出口210から引き出しだ1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)のシート1とそれに後続するシート1が連なって(重なって)取り出される事態をより防止でき、初期のシート1と上面部11との間の空間に余裕がなく緻密な状態でも、1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)ずつの取り出しを可能とする。特に、本実施の形態1のシート用カートン10では、鋭角端部17が取出口210の長手方向の各端部側において、略幅方向に対向して2個所ずつ設けられ合計4箇所存在するから、残数が少なくなったときに何れの方向にシート1が引き出されても、鋭角突起部16に加え、鋭角端部17でもシート1の動きに対する摩擦(抵抗)を生じさせることが可能であるから、シート1が中に落ち込む事態をより一層防止し、取出性の向上が可能となる。
【0073】
また、このとき本実施の形態1の取出口210では、その長手方向に対する直角方向の幅について、開口広部210Lの最大幅WLと、開口狭部210Sの最大幅WSとの比率が、0.1≦WL/WS≦1.1の範囲内である。これにより、シート1を取出口210から引き出すときに、開口狭部210Sの開口側端縁の斜辺220S1と底辺220S2との間にシート1が入りやすく、鋭角端部17による摩擦(抵抗)を受けやすくなる。よって、シート1が重なって取り出される事態及び枚数が少なくなったときでも、シート1が箱内に落下する事態を防止でき、シート1の取出性の向上を可能とする。好ましくは、0.15≦WL/WS≦1.0の範囲内、より好ましくは、0.15≦WL/WS≦0.8の範囲内である。
【0074】
更に、本発明を実施する場合には、シート1の取出口210を形成する広部21L及び狭部21S間のくびれを画成する短辺切取線22L2、斜辺切取線22S1や、狭部21Sを画成する底辺切取線22S2は、切れ目を波形状またはのこぎり状としたり、並行する長短の異なる2列の切れ目を千鳥状に配置したり、切れ目を鉤形に屈曲した形状にしたりしてもよい。そのような切れ目にすると、上面部11の取出部21を切り離して取出口210を形成したときの端縁、即ち、短辺220L2、斜辺220S1や、底辺220S2は、凹凸状になるから、シート1が接触して動いたとき(摺動したとき)の摩擦(抵抗)を大きくすることができる。したがって、シート1が重なって取り出される事態及び枚数が少なくなったときでも、シート1が箱内に落下する事態をより一層防止でき、シート1の取出性の向上を可能とする。
【0075】
こうして、本実施の形態1のシート用カートン10によれば、取出口210の内面側を被覆するスリット入りの樹脂フィルムを設けることなく、長手方向の両端部側でくびれ形状を有する切取口210の形状によって、即ち、上面部11に、取出部21の切り取りにより形成された取出口210の開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺である短辺220L2及び斜辺220S1を有し、短辺220L2及び斜辺220S1とが成す角度θが、0°<θ<90°の範囲内、好ましくは、好ましくは、5°<θ<90°の範囲内、より好ましくは、10°<θ<80°の範囲内、更に好ましくは、20°<θ<70°の範囲内である鋭角突起部16によって、取出口210から引き出した1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)のシート1とそれに後続するシート1が連なって(重なって)取り出されるのを防止し、かつ、枚数が少なくなったときでも、シート1が箱の中に落ち込み難くするものである。
【0076】
よって、上面部11に対し所定形状に切込みを入れる型による切込加工を行うのみで所定形状の取出部21を形成でき、取出口210の内面側を被覆するスリット入りの樹脂フィルムを設けないから、フィルムの製造及び貼付加工等の工程が不要で製造が簡略化し生産性を向上でき、また、製造コストを低減できる。樹脂フィルム及びそれを接着するための高価な接着剤も不要であるから、材料コストも低減できる。よって、安価に製造できる。
加えて、樹脂フィルムを用いないから廃棄時の分別も必要なく、分別の手間なく古紙としてのリサイクル回収を可能とし、プラスチックによる環境負荷の恐れもない。
【0077】
ところで、実施の形態1においては、内部が密閉されたシート用カートン10からシート1を取り出すために取出部21を開封して取出口210を形成する際には、取出部21の任意の部分を指で押圧すると、その部分で取出部21が切取線22で切り取られて(切り離されて)押下がり部分的に開口するから、その開口に指を入れ取出部21を上に引き上げ、残りの部分を切取線22に沿って切り取る(切り離す)ことで、取出部21全体を一体に上面部11から切り取る(切り離す)ことができる。このとき、狭部21Sを押し下げると軽い力で開口するから、その開口に指を入れ取出部21を容易に切り取ることが可能である。
【0078】
しかし、本発明を実施する場合には、軽い力での開封を容易とするために、別途、広部21Lの長手方向の端部において環状に切込線を入れた摘まみ部を設け、開封時にその摘まみ部を指で押圧して内側に押込むことで、切込線に沿って摘まみ部を部分的に切断して開口し、その開口に指を挿入して取出部21を引きあげて取出部21の全体を一体に切り取る(切り離す)ようにしてもよい。
【0079】
以上説明してきたように、本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10は、内部にポップアップ方式で取り出されるように複数枚が折り重ねられたシート1が収容され、上面部11にシート1を取り出すための取出部21を設けた直方体状のシート用カートン10であって、取出部21は、その形状に沿って形成された切取線22の画成によってシート包装箱1の長手方向に長く形成され、切取線22に沿った切り取りにより上面部11を開口してシート1を取り出す取出口210を形成し、取出口210は、その長手方向の中央部側で長手方向に長く開口面積の広い開口広部210Lと開口広部210Lの長手方向の各端部から連続し開口広部210Lよりも取出口210の長手方向の長さが短く形成され開口面積が小さい1対の開口狭部210Sとからなり、開口広部210L及び開口狭部210S間で取出口210の長手方向に対して略直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、上面部11は、取出口210の長手方向の各端部側で取出口210の開口広部210L及び開口狭部210S間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺である短辺220L2及び斜辺220S1を有してその2辺の短辺220L2及び斜辺220S1の交差する角度θが0°<θ<90°であり取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設して互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部16を有するものである。
【0080】
即ち、本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10によれば、その上面部11に形成した切取線22に沿って取出部21を切り取ることで開口した取出口210は、その長手方向の中央側で取出口210に長く形成された開口面積の広い開口広部21Sとその長手方向の各端部から連続形成された開口面積の狭い1対の開口狭部21Sとを有し、開口広部21Lと各開口狭部21Sの間で取出口210の長手方向に対して直角方向の幅を部分的に狭くしたくびれ形状を呈しており、上面部11には、取出口210の長手方向の各端部側で開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺である短辺220L2及び斜辺220S1を有してそれら2辺の短辺220L2及び斜辺220S1の交差する角度θが0°<θ<90°であり、取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部16を有する。
【0081】
したがって、本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10によれば、その上面部11においてシート1が取り出される取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延び、取出口210の長手方向の各端部側で開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有し、それら2辺の短辺220L2及び斜辺220S1の交差する角度θが0°<θ<90°である1対の鋭角突起部16を有することにより、シート1が取出口210から取り出されるときに鋭角突起部16にシート1が接触してシート1の動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。特に、鋭角突起部16は、取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設されており、かつ、取出口210の長手方向の両端部に形成され、合計4か所に設けられているから、シート1が何れの方向に引き出されても、何れかの鋭角突起部16にシート1が接触し、シート1に対しその動きに対する摩擦(抵抗)を生じさせる。よって、取出口210から引き出す1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)のシート1とそれに後続するシート1が連なって(重なって)必要以上に取り出される事態を防止できる。特に、収容したシート1の残数が少なくなったときでも、何れかの鋭角突起部16にシート1が接触し鋭角突起部16によってシート1の動きに対する摩擦(抵抗)を生じさせるから、箱内にシート1が落ち込むのを防止できる。
【0082】
このように本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10によれば、樹脂フィルムを取出口21に貼付することなく所定の鋭角突起部16を有することにより、収容したシート1の残数が少なくなったときでもシート1が箱内に落ち込むのを防止できて、1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)ずつのシート1の連続的な引き出しを可能とする。したがって、樹脂フィルムの貼付を必要としないことで製造工程を簡略化できて製造及び材料コストも低減でき、また、破棄時に分別の手間の必要もない。
【0083】
特に、本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10によれば、取出口210の開口狭部210Sは、取出口210の長手方向の各端部側に向かって幅広くした略台形状に形成され、上面部11において開口狭部210Sの形状を形成する開口周縁の互いに隣接する2辺である斜辺220S1と底辺220S2が成す内角(底角)δが鋭角状である1対の鋭角端部17を有する。したがって、シート1が取出口210から取り出されるときに、鋭角端部17にシート1が接触すると、鋭角端部17によってもシート1の動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。よって、シート1の取出抵抗を高めることができる。
【0084】
加えて、取出部21を画成する切取線22のうち、狭部210Sを画成する切取線である斜辺切取線22S1と底辺切取線22S2、及び/または、取出部21のくびれを画成する短辺切取線22L2と斜辺切取線22S1の切れ目を波形状またはのこぎり状としたり、並行する長短の異なる2列の切れ目を千鳥状に配置したり、切れ目を鉤形に屈曲した形状にしたりすると、上面部11の取出部21を切り離して取出口210を形成したときの開口狭部210Sの開口周縁である斜辺220S1と底辺220S2、及び/または、取出口210のくびれを形成する開口周縁である短辺220L2と斜辺220S1は凹凸状になる。このように、開口狭部210Sの開口周縁である斜辺220S1と底辺220S2、及び/または、取出口210のくびれを形成する開口周縁である短辺220L2と斜辺220S1を凹凸状としたものでも、シート1の取出抵抗を高めることが可能である。
【0085】
また、本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10によれば、取出口210の開口広部210L及び開口狭部210S間のくびれた境界における取出口210の長手方向に対して直角方向の幅WWは、開口広部210Sの最大幅WLに対して、5%~35%の範囲内であるから、取出部210を一体に切取りやすく、開封時の切取り操作性、作業性がよいものとなる。特に、本実施の形態1の取出口210は、開口広部210Lと開口狭部210Sと間の境界の幅WW、即ち、対向する1対の鋭角突起部16間の取出口210の長手方向に対して略直角な幅方向の間隔WWが、2mm以上、20mm以下の範囲内であるから、シート1が鋭角突起部16に引っ掛かり難くてシート1が取り出しやすく、また、破れにくいものとなる。
【0086】
更に、本実施の形態1のシート収納容器としてのシート用カートン10によれば、取出口210は、開口広部210Lの取出口210の長手方向における最大長さLLに対して、各開口狭部210Sの取出口210の長手方向における最大長さLSが、25%~40%の範囲内であるから、シート1が取り出しやすいものとなる。
【0087】
そして、本実施の形態1のシート収納容器では、上面部11の各鋭角突起部16を形成する部材は、長さ100mm×幅25mmの試験片Aにおいて、試験片Aの長手方向の半分を試料台Bに固定し、残りの半分の長さを試料台Bから突出させてその端部に20gの荷重(W)をかけたときに、試験片Aから突出させた長さ部分が下方に撓んだその撓み量hが0<h≦45mmの範囲内であるから、繰り返し引き出されるシート1との繰り返しの接触でも鋭角突起部16が撓み難く、また、破れ難いものとなる。したがって、シート1の残数が少なくなったときでも、鋭角突起部16によるシートの動きに対する高い摩擦効果を発揮できる。
なお、シート用カートン10は、紙製のものであるが、本発明を実施する場合には、部分的に、樹脂、金属等のフィルム、シート、成形品等で補強し強度、剛性を高めることも可能である。例えば、上面部11の内面側または外面側で取出口210の開口周縁の紙にポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂フィルムまたはシート、或いは、それらにアルミニウム等の金属箔がラミネートされたものを接着剤等で貼着することによって、紙を補強して取出口210の開口周縁の強度、剛性を高めてもよく、紙とそれらの補強材を含めて、鋭角突起部16を上述した特定の撓み量としてもよい。
【0088】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係るシート収納容器としてのシート用カートン100について、
図7乃至
図10を参照して説明する。本発明の実施の形態2も、本発明のシート収納容器を紙製の略直方体状の箱体であるシート用カートン100に適用した場合を例示するものである。
上記実施の形態1に係るシート用カートン10では、その上面部11に形成した取出部21は、その形状を画成する切取線22に沿って上面部11から一体に全体を切り取る(切り離す)ことで上面部11を開口して上面部11に取出口210を形成するものである。
【0089】
これに対し、本実施の形態2に係るシート用カートン100では、上記実施の形態1の取出部21とその形状は同一とするも、上記実施の形態1の切取線22の画成に変えて、外側切取線32及び折線33による画成とし、更に、外側切取線32及び折線33で画成された領域内で取出部21の長手方向に対して幅方向を2分する中心線(図示せず)に沿って内側切取線31を入れており、取出部21を2分する内側切取線31に沿って取出部21を2分割し、更に2分割された取出部21をそれぞれ周囲の外側切取線32に沿って部分的に上面部11から切り離し、そして、周囲の折線33に沿って折筋を付し起立自在にさせることで、上面部11に2分割された取出部21が折線33の部分で接続されたまま、上面部11が開口し切取口210が形成される。
【0090】
このように上記実施の形態1のシート用カートン10は、その上面部11に形成された取出部21は、その全体が上面部11から一体に切り取られてシート1の取出口210を形成するものであるに対し、本実施の形態2のシート用カートン100は、シート1の取出口210を形成する取出部21は、その全体が一体に上面部11から切り取られることなく、取出部21を2分割し、部分的に上面部11から切断することで上面部11を開口してシート1の取出口210を形成するものである点で相違する。その他の構成は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみを説明する。
【0091】
具体的には、本実施の形態2のシート用カートン100では、上記実施の形態1と同様に、その上面部11において箱内に収容されたシート1を取り出すための取出部21が形成されているが、本実施の形態2の取出部21は、ミシン目状の外側切取線32及び折線33の画成によりシート用カートン10の長手方向に長く形成されたものであり、外側切取線32及び折線33で囲まれた領域内には、取出部21の長手方向に対して直角な幅方向を2分する内側切取線31が長手方向の全長に沿って形成されている。
【0092】
したがって、本実施の形態2の取出部21においては、その長手方向に対して幅方向を2分割する中心線に沿って形成した内側切取線31の切断により2分割され、更に、2分割された取出部21の各々の一部を外側切取線32に沿って上面部11から切り離し、そして、2分割された取出部21の各々を折線33に沿って折ることで、上面部11が開口して中のシート1が取り出される取出口210を形成するものである。
【0093】
ここで、本実施の形態2においても、取出部21はその長手方向の中央部側で長手方向に長く形成された面積の広い広部21Lと広部21Lの長手方向の端部から連続形成された面積の狭い狭部21Sとから構成され、広部21Lと狭部21Sと間で取出部21の長手方向に対する直角方向の幅を部分的に狭くしたくびれ形状を呈するものである。つまり、本実施の形態2の取出部21も、その長手方向の両端部側がくびれた長尺状である。
【0094】
そして、本実施の形態2の広部21Lでは、取出部21の長手方向に長くその長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の長辺折線33と、長辺折線33の長手方向の各端部から連続し長辺折線33に対して略直角方向に形成されシート用カートン10の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の短辺外側切取線32Lとによって画成された略矩形状を呈し、1対の長辺折線33側が外側に凸状に僅かに湾曲して、シート用カートン10の長手方向の中央部でその長手方向に対する幅が最も幅広く、長手方向の両端部側に向かって幅狭に形成されたものである。
【0095】
また、本実施の形態2の狭部21Sでは、広部21Lの短辺外側切取線32Lに対して所定の鋭角状に配置(斜交)し取出部21の長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の斜辺外側切取線32S1と、1対の斜辺外側切取線32S1間でそれらに対し所定の鋭角状に配置(斜交)され斜辺外側切取線32S1の端部間を連結する底辺外側切取線32S2とによって画成され、取出部21の長手方向の両端部側に向かって幅広に形成された略台形状を呈したものである。本実施の形態2の狭部21Sにおいても、上記実施の形態1と同様、底辺外側切取線32S2の両端側で各斜辺外側切取線32S1と成す角(底角、内角)が等しく鋭角状の略等脚台形状である。
【0096】
こうして、本実施の形態2においては、取出部21を画成する折線33は、取出部21の長手方向に延び幅方向で互いに対向して広部21Lを画成する1対の長辺折線33からなり、また、取出部21を画成する外側切取線32は、長辺折線33の長手方向の各端部において1対の長辺折線33に対して略直角方向に形成して広部21Lを画成する1対の短辺外側切取線32Lと、各1対の短辺外側切取線32Lに対して斜交し狭部21Sを画成する1対の斜辺外側切取線32S1と、各1対の斜辺外側切取線32S1の端部間を連結し狭部21Sを画成するする底辺外側切取線32S2とから構成されている。
【0097】
そして、本実施の形態2の取出部21には、更に、これら外側切取線32及び折線33で画成された広部21L及び狭部21Sの領域内に、その長手方向に対した直角方向の幅を等分する内側切取線31が形成されている。
【0098】
ここで、外側切取線32及び内側切取線31は、手で切り離せるミシン目状であれば、ミシン目の形態は特に限定されず、1列の切れ目であってもよいし、並行する2列の切れ目であってもよいし、変形Y字型の切れ目(所謂、ジッパーと称されるミシン目)等であってもよい。特に、外側切取線32においては、切れ目を波形状またはのこぎり状としたり、並行する長短の異なる2列の切れ目を千鳥状に配置したり、切れ目を鉤形に屈曲した形状にしたりしてもよい。そのような切れ目によれば、上面部11の取出部21を切り離して取出口210を形成したときの端縁は、凹凸状になる。したがって、シート1が接触して動いたとき(摺動したとき)の摩擦(抵抗)を大きくすることができる。更に、少ない力で切断(裂開)しやすいから、切り取りやすく、切取り時の作業性、操作性を良くできる。
また、折線33は、手で折れる程度に、紙厚の深さの切込みの刻設であってもよいし、外側切取線32及び内側切取線31と同様のミシン目であってもよい。
【0099】
こうして、本実施の形態2のシート用カートン100は、その上面部11にシート用カートン10の長手方向の両端部側がくびれた長尺状を呈する取出部21が外側切取線33及び折線32で区画されて形成されており、また、取出部21の幅方向を2分する内側切取線32が設けられていることで、内側切取線32に沿った取出部21の切断により2分割し(裂開し)、更に、2分割された各取出部21の一部を外側切取線32に沿って上面部11から切り離し、そして、折線33に沿って折曲し取出部21を起立自在とすることにより、上面部11において長手方向の両端部側がくびれた長尺状の開口である取出口210が形成される。
【0100】
即ち、本実施の形態2のシート用カートン100では、取出部21を2分する内側切取線31に沿って取出部21を2分割し、更に2分割された取出部21をそれぞれ周囲の外側切取線32に沿って部分的に上面部11から切り離し、そして、周囲の折線33に沿って折筋を付し起立自在にさせることで、2分割された取出部21が折線33の部分で接続されたまま、観音開状に開いて、上面部11が開口し切取口210が形成される。
【0101】
こうした本実施の形態2の取出部21の開封によって形成された取出口210も、上記実施の形態1と同様、長手方向の中央部側で長手方向に長く形成された開口面積の広い開口広部210Lと開口広部210Lの長手方向の端部から連続形成され開口広部210Lよりも長手方向の長さが短く開口面積が狭い開口狭部210Sとを有し、開口広部210Lと開口狭部210Sと間で取出口210の長手方向に対する直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈するものである。そして、上記実施の形態1と同様、その上面部11に、取出部21の切り取りにより形成された取出口210の開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する鋭角突起部16を有するものである。
【0102】
したがって、本実施の形態2のシート用カートン100においても、取出口210の内面側を被覆するスリット入りの樹脂フィルムを設けることなく、長手方向の両端部側でくびれた切取口210の形状によって、即ち、取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設して互いに対向する方向に延びた各1対の鋭角部16によって、取出口210から引き出した1枚(1プライ)または1組(例えば、2~3プライ)のシート1とそれに後続するシートが連なって(重なって)取り出される事態を防止し、かつ、枚数が少なくなったときでも、シート1が箱の中に落ち込み難くしたものである。
【0103】
そして、特に、本実施の形態2のシート用カートン100では、取出部21の全体を一体に切り取る(切り離す)ことなく、取出部21を観音開状に開口して取出口210を形成するものであるから、シート1を最初に取り出す使用開始時、即ち、開封時にゴミを出さない。特に観音開き状に開く構成であれば、省スペースで開ける。更に、分割され起立自在とされた取出部21が取出口210を部分的に覆うから、外部からの塵、埃や異物の侵入を防止できる。加えて、分割された1対の取出部21の開き状態、起立状態を変化させることで、シート1の取出抵抗を変化させることが可能でありシートの取出性の調節が可能となる。
【0104】
なお、本発明を実施する場合には、取出口210の開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する鋭角突起部16によって、シート1の動きに対する摩擦(抵抗)を与えることができれば、取出部21を画成する外側切取部32及び折線33の範囲、配分、長短は、上記実施の形態2に限定されるものではなく、適宜設定できる。例えば、上記実施の形態2においては、広部21Lを画成する長手方向に対して略直角な幅方向で互いに対向する1対の辺の全長を折線33で構成しているが、折線33及び切込線32で構成してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態2においては、取出部21の長手方向に対して直角な幅方向に2等分する内側切取線31を設けることによって取出部21を2分割し、取出部21を観音開き状に開くものであるが、本発明を実施する場合には、取出部21の分割は、不等分であってもよい。即ち、線対称でなくてもよい。
【0106】
更に、取出部21について、上記実施の形態1では取出部21の全体を一体に切り取る構成とし、また、上記実施の形態2では取出部21を観音開き状に開く構成として説明したが、本発明を実施する場合には、上面部11を開口する形態はそれらに限定されず、取出部21の他の変形例として、取出部21を分割することなく、上面部11から部分的に切り離して開口するようにしてもよい。即ち、上記実施の形態1で示した切取線22の一部分を折線とし、その折線部分で上面部11と接合した状態に開くようにしてもよい。これによっても、シート1を最初に取り出す使用開始時、即ち、開封時にゴミを出さないものとなる。
【0107】
また、本発明を実施する場合には、上面部11に対向する下面部12にも取出部21を設けてもよい。これにより両面からシートを取り出せるようになり、例えば、側面を下にして垂直に立てて使用するときに便利である。また、上下の両面に取出部21を設けた場合、実施の形態2においては、下面を下にして使用するときでも、その下面側の取出部21を箱の内側に向けて折り曲げることで取出部21によってシート1を押し上げることが可能となる。したがって、残り枚数が少なくなってときでも、シート1の取出性が向上する。
【0108】
ところで、上記実施の形態1及び実施の形態2では、取出口210の開口広部210Lは、取出口21の長手方向の中央部側で幅広く、端部に向かって幅狭くて、その長さ方向に長くその略直角な幅方向で互いに対向した1対の長辺220L
1が曲線状に形成されているが、本発明を実施する場合には、この形状に限定されず、例えば、
図11(a)に示すように取出口21の長手方向の中央部側で長手方向に延びる直線状とし、その左右の両側では端部側に向かって斜めに直線状に対称形状としてもよい。或いは、取出口21の長手方向の幅を一定の形状としてもよい。特に、取出口210の長手方向及び幅方向に対称形状であれば、シートの引き出し方向に限定されず、取出性を良くできる。しかし、本発明を実施する場合には、対称形状でなくともよい。
【0109】
また、上記実施の形態1及び実施の形態2では、取出口210の開口狭部210Sは、取出口21の長手方向の各端部側に向かって幅広くした略台形状に形成されたものであるが、本発明を実施する場合には、この形状に限定されず、例えば、
図11(b)に示すように略楕円形状や略円形状であってもよい。また、その他の略多角形状であってもよい。
【0110】
更に、本発明を実施する場合には、鋭角突起部16の隣接する2辺は略V字状に鋭利に交差しているものに限定されず、例えば、
図12(a)及び
図12(b)に示すように略U字状に面取りされた形状であってもよい。
図12(a)では、取出口21の開口狭部210Sが略台形状に形成されており、鋭角突起部16の隣接する2辺の交点がR形状に形成されて、また、鋭角端部17でも隣接する2辺の交点がR形状に形成されたものである。このような形状であれば、シート1の厚みが薄くても、シート1が引っ掛かり難く、シート1が傷付いたり破れたりし難いものとなる。
また、
図12(b)では、取出口21の開口狭部210Sが略楕円形状に形成されており、鋭角突起部16の隣接する2辺の交点がR形状に形成されたものである。このような形状であれば、シート1の厚みが薄くても、シート1がより引っ掛かり難く、シート1が傷付いたり破れたりする恐れが少ない。
なお、このときの鋭角突起部16の隣接する2辺の成す角度θは、隣接する2辺の各辺から直線状に延長する仮想線を引いたときのその仮想線間の成す角度から求めることができる。鋭角端部17でも隣接する2辺の角度δについても同様である。
【0111】
そして、上記実施の形態1及び実施の形態2では、シート収納容器の六面の全部が長方形(矩形)状であるが、本発明を実施する場合には、
図13に示すように、略立方体形状のものであってもよい。
さらに、上記実施の形態1及び実施の形態2では、本発明のシート収納容器を紙製の略直方体状の箱体であるシート用カートン10,100に適用した場合を例示したが、本発明を実施する場合には、例えば、ウェットティッシューやワイパー等を収容するプラスチック製の略直方体状または略長方形状の袋体に適用することもできる。
【0112】
[実施の形態3]
ここで、本発明の実施の形態3に係るシート収納容器としてのシート用包装体300について、
図14及び
図15を参照して説明する。本実施の形態3は、本発明のシート収納容器をウェットティッシュー等が収容されるプラスチック製の略直方体の袋体のものに適用した場合の例示である。
【0113】
本実施の形態3に係るシート用包装体300は、プラスチック製の略直方体状の袋体からなるものであり、上記実施の形態1,2と同様の所定形状の取出口210を上面部11に有し、その取出口210は、蓋体310によって開閉自在とされているものである。その他の構成は、上記実施の形態1,2と同様であるため、ここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみを説明する。
【0114】
本実施の形態3に係るシート用包装体300は、例えば、その外側(表面側)から内側(内面側)にかけて、ポチエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム、アルミニウム箔等の金属箔及びヒートシール性の2軸延伸ポリプロピレン(CPP)等の樹脂フィルムが順に積層され互いに接着された積層フィルムで形成されるものである。樹脂フィルムには、更に、アルミニウム、アルミナ、シリカ等が蒸着されていてもよい。
そして、本実施の形態3に係るシート用包装体300では、上述した積層フィルムが、長さ方向端部の側面部13側及び底面部12側でヒートシールにより接合されて、略長方体状に形成されたものである。
【0115】
本実施の形態3のシート用包装体300の上面部には、上記実施の形態1,2と同様の所定形状の開口である取出口210が形成され、更に、その取出口210を開閉自在とする蓋体310が粘着されている。これより、シート1を使用しないときには、蓋体310で取出口210を塞ぐことで内部を密閉し、内部のシート1がウェット状態(湿潤状態)のものでも、その水分の乾燥を防止することが可能となっている。そして、シート1を使用する際には、蓋体310の一部または全体を上面部11から剥がすことで、取出口210が表出しその取出口210からシート1を取り出すことができる。
【0116】
こうした本実施の形態3のシート用包装体300においても、その上面部11に形成した取出口210は、その長手方向の中央側で取出口210に長く形成された開口面積の広い開口広部210Sとその長手方向の各端部から連続形成された開口面積の狭い1対の開口狭部210Sとを有し、開口広部210Lと各開口狭部210Sの間で取出口210の長手方向に対して直角方向の幅を部分的に狭くしたくびれ形状を呈しており、上面部11には、取出口210の長手方向の各端部側で開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有してそれら2辺の交差する角度θが0°<θ<90°であり、取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部16を有する。
【0117】
即ち、本実施の形態3に係るシート収納容器としてのシート用包装体300は、上面部11にシート1を取り出すための取出口210及び取出口210を開閉自在な蓋体310を設けた直方体の袋状のシート用包装体300であって、取出口210は、その長手方向の中央部側で長手方向に長く開口面積の広い開口広部210Lと開口広部210Lの長手方向の各端部から連続し開口広部210Lよりも取出口210の長手方向の長さが短く形成され開口面積が小さい1対の開口狭部210Sとからなり、開口広部210L及び開口狭部210S間で取出口210の長手方向に対して略直角方向の幅が部分的に狭くなったくびれ形状を呈し、上面部11は、取出口210の長手方向の各端部側で取出口210の開口広部210L及び開口狭部210S間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有してその2辺の短辺220L2及び斜辺220S1の交差する角度θが0°<θ<90°であり取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設して互いに対向する方向に延びた1対の鋭角突起部16を有するものである。
【0118】
したがって、本実施の形態3のシート用包装体300においても、その上面部11においてシート1が取り出される取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設され互いに対向する方向に延び、取出口210の長手方向の各端部側で開口広部210Lと開口狭部210Sとの間でくびれ形状を形成する互いに隣接する2辺を有し、それら2辺の交差する角度θが0°<θ<90°である1対の鋭角突起部16を有することにより、シート1が取出口210から取り出されるときに鋭角突起部16にシート1が接触してシート1の動きに対する摩擦(抵抗)が生じる。特に、鋭角突起部16は、取出口210のその長手方向に対して略直角方向の幅方向で対向する開口周縁にそれぞれ突設されており、かつ、取出口210の長手方向の両端部に形成され、合計4か所に設けられているから、シート1が何れの方向に引き出されても、何れかの鋭角突起部16にシート1が接触し、シート1に対しその動きに対する摩擦(抵抗)を生じさせる。よって、ウェットティシュー等のように水分を含むことでシート1同士が密着しやすいものであっても、取出口210から引き出した1枚(1プライ)または1組(複数プライ)のシート1とそれに後続するシート1が連なって(重なって)取り出される事態を防止できる。特に、鋭角突起部16を有することで、取出口210からシートを1枚または1組取出したときに、それに後続するシート1が取出口210から長く引き出される事態を防止できる。これより、シート1の取出し後に、蓋体310で取出口210を塞ぐときでも、取出口210から引き出たシート1が蓋体310から食み出し難く、蓋体310のシール性を妨げ難い。更に、収容したシート1の残数が少なくなったときでも、何れかの鋭角突起部16にシート1が接触しシート1の動きに対する摩擦(抵抗)が生じるから、蓋体310を空けたままで、連続して複数枚のシート1を取り出すときでも、袋内にシート1が落ち込むのを防止でき、取出し操作性がよい。
【0119】
このように本実施の形態3のシート用包装体300では、ウェットティシュー等のように水分を含むことでシート1同士が密着しやすいものを収容する場合であっても、1枚ずつまたは1組ずつのシートの連続的な引き出しを可能とする。勿論、本発明を実施する場合には、本実施の形態3のシート用包装体300においてドライのシート1を収容することも可能である。
【0120】
なお、上記実施の形態3のシート用包装体300は、
図14に示すような6面を有する直方体状の袋体としたが、本発明を実施する場合には、収容するシート1の枚数によっては、上面部11及び下面部12の2面で形成される長方形状の袋体であってもよい。
【0121】
なお、本発明を実施するに際しては、シート収納容器10,100,300のその他の部分の構成、製造工程等について、上記実施の形態1,2の説明に限定されるものではない。また、上記実施の形態1,2,3で上げている数値は、実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更しても実施を否定するものではない。
【符号の説明】
【0122】
1 シート
10,100 シート用カートン(シート収納容器)
11 上面部
16 鋭角突起部
17 鋭角端部
21 取出部
22 切取線
31 内側切取線
32 外側切取線
33 折線
210 取出口
210L 開口広部
210S 開口狭部
300 シート用包装体(シート収納容器)
310 蓋体