(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065440
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】半田バンプを有するプリント配線板の製造方法およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
H05K3/34 503A
H05K3/34 505A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174036
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】臼井 学
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AC02
5E319BB04
5E319CC33
5E319CD21
5E319CD26
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】電子部品と半田バンプとの接続性を良好にする。
【解決手段】半田バンプ20を有するプリント配線板の製造方法であって、基部絶縁層12を形成することと、基部絶縁層上に部品実装パッド14aを含む導体層14を形成することと、基部絶縁層上および導体層上にソルダーレジスト層16を形成することと、ソルダーレジスト層に、部品実装パッドを露出させる開口16aを形成することと、ソルダーレジスト層の表面上と開口内と部品実装パッド上にフラックス22を塗布することと、開口内の部品実装パッド上に半田ボール14を配置することと、半田ボールをリフローして開口内の部品実装パッド上に半田バンプ20を形成することと、ソルダーレジスト層の表面上および半田バンプのソルダーレジスト層から露出した表面に残存するフラックスを洗浄して除去することと、半田バンプのソルダーレジスト層から露出した表面に新たにフラックスを塗布してフラックス皮膜26を形成することと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田バンプを有するプリント配線板の製造方法であって、
基部絶縁層を形成することと、
前記基部絶縁層上に部品実装パッドを含む導体層を形成することと、
前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記部品実装パッドを露出させる開口を形成することと、
前記ソルダーレジスト層の表面上と前記開口内と前記部品実装パッド上にフラックスを塗布することと、
前記開口内の部品実装パッド上に半田ボールを配置することと、
前記半田ボールをリフローして前記開口内の前記部品実装パッド上に半田バンプを形成することと、
前記ソルダーレジスト層の表面上および半田バンプのソルダーレジスト層から露出した表面に残存するフラックスを洗浄して除去することと、
前記半田バンプの前記ソルダーレジスト層から露出した表面に新たにフラックスを塗布してフラックス皮膜を形成することと、を含む。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記フラックス皮膜の膜厚を0.001μm以上1μm以下とする。
【請求項3】
半田バンプを有するプリント配線板であって、
基部絶縁層と、
前記基部絶縁層上に形成された部品実装パッドを含む導体層と、
前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記部品実装パッドを露出させる開口を有するソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層の開口内の前記部品実装パッド上に形成された半田バンプと、
前記半田バンプの前記ソルダーレジスト層から露出した表面上に形成されたフラックス皮膜と、を含む。
【請求項4】
請求項3に記載のプリント配線板であって、前記フラックス皮膜の膜厚が0.001μm以上1μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装用の半田バンプを有するプリント配線板の製造方法およびプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装用の半田バンプを有するプリント配線板が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
図3は、従来の部品実装用半田バンプを有するプリント配線板の一実施形態を示す図である。
図3において、プリント配線板51は、基部絶縁層52と、基部絶縁層52上に形成された部品実装パッド53aを含む導体層53と、基部絶縁層52および導体層53上に形成されたソルダーレジスト層54と、ソルダーレジスト層54に形成された部品実装パッド53aを露出させる開口55と、開口55内の部品実装パッド53a上に形成された半田バンプ56と、から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に示す例では、半田バンプ56をリフローにて形成するため、リフロー前に、部品実装パッド53a、ソルダーレジスト層54の表面、開口55の内部、にフラックスを塗布している。そして、リフローにより半田バンプ56を形成後、ソルダーレジスト層54の表面上および半田バンプ56のソルダーレジスト層54から露出した表面に残存するフラックスを洗浄して除去している。
【0005】
この場合、半田バンプ56の表面が外部雰囲気に直接露出しているため、フラックス洗浄から電子部品実装までに時間がたつと、半田バンプ56の表面に酸化膜が形成されていた。そのため、半田バンプ56表面の酸化膜により、電子部品と半田バンプ56との接続性が悪化していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半田バンプを有するプリント配線板の製造方法は、基部絶縁層を形成することと、前記基部絶縁層上に部品実装パッドを含む導体層を形成することと、前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記部品実装パッドを露出させる開口を形成することと、前記ソルダーレジスト層の表面上と前記開口内と前記部品実装パッド上にフラックスを塗布することと、前記開口内の前記部品実装パッド上に半田ボールを配置することと、前記半田ボールをリフローして前記開口内の前記部品実装パッド上に半田バンプを形成することと、前記ソルダーレジスト層の表面上および半田バンプのソルダーレジスト層から露出した表面に残存するフラックスを洗浄して除去することと、前記半田バンプの前記ソルダーレジスト層から露出した表面に新たにフラックスを塗布してフラックス皮膜を形成することと、を含む。
【0007】
本発明に係る半田バンプを有するプリント配線板は、基部絶縁層と、前記基部絶縁層上に形成された部品実装パッドを含む導体層と、前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記部品実装パッドを露出させる開口を有するソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口内の前記部品実装パッド上に形成された半田バンプと、前記半田バンプの前記ソルダーレジスト層から露出した表面上に形成されたフラックス皮膜と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板を説明するための断面図である。
【
図2】(a)~(h)は、それぞれ、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。
【
図3】従来のプリント配線板の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、
図1および
図2(a)~(h)に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0010】
図1には、実施形態のプリント配線板10の一部が拡大して示されている。プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。
【0011】
いずれにせよ、プリント配線板10は、
図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基部絶縁層12と、基部絶縁層12上に形成された、所定の回路パターンを有する導体層14と、基部絶縁層12および導体層14上に形成されたソルダーレジスト層16とを備えている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。しかし、プリント配線板10は、1層の基部絶縁層12と1層の導体層14とからなるものでもよい。
【0012】
基部絶縁層12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成することができる。導体層14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。ソルダーレジスト層16は、部品実装パッド14aを露出させる開口16aを有している。部品実装パッド14a上には下地層(図示せず)が形成されていてもよい。
【0013】
プリント配線板10はさらに、部品実装パッド14a上に形成された半田バンプ20を備えている。半田バンプ20は電源もしくはグランド線との接続あるいは信号線との接続に用いることができる。半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面には、フラックス皮膜26を形成する。
【0014】
フラックス皮膜26の膜厚は、0.001μm以上1μm以下とすることが好ましい。ここで、フラックス皮膜26の膜厚が0.001μm未満であると、半田バンプ20の表面に酸化膜が形成されることがある。また、フラックス皮膜26の膜厚が1μmを超えると、マイグレーションを発生しやすくなる。
【0015】
本発明に係るプリント配線板では、半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面にフラックス皮膜26が存在する。そのため、電子部品実装までに時間がたった場合でも、半田バンプ20の表面に酸化膜が形成されない。よって、半田バンプ20表面の酸化膜により、電子部品と半田バンプ20との接続性が悪化することはなく、良好な接続性を得ることができる。
【0016】
以下、本発明に係る
図1に示すプリント配線板10の製造方法を、
図2(a)~(h)を参照して説明する。
【0017】
まず、
図2(a)に示すように、公知の方法を用いて、基部絶縁層12上に、所定の回路パターンを有する部品実装パッド14aを含む導体層14を形成する。基部絶縁層12には、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。また、導体層14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。
【0018】
次に、
図2(b)に示すように、基部絶縁層12上および導体層14上にソルダーレジスト層16を形成する。そして、
図2(c)に示すように、ソルダーレジスト層16に、部品実装パッド14aを露出させる開口16aを形成する。開口16aは、例えば炭酸ガスレーザまたはUV-YAGレーザ等を用いて形成することができる。
【0019】
次に、
図2(d)に示すように、ソルダーレジスト層16の表面上と開口16a内と部品実装パッド14a上にフラックス22を塗布する。フラックス22としては、市販されているフラックス、例えば、ロジン、チクソ剤、アミン、ハロゲン、有機酸、溶剤を含むフラックスを用いることができる。
【0020】
次に、
図2(e)に示すように、開口16a内のフラックス22が塗布された部品実装パッド14a上に半田ボール24を配置する。そして、
図2(f)に示すように、半田ボール24をリフロー(加熱溶融)して、開口16a内の部品実装パッド14a上に半田バンプ20を形成する。半田ボール24をリフローすることで、フラックス22はソルダーレジスト層16の表面上と、半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面上に残存し、開口16a内および部品実装パッド14a上には残らない。
【0021】
次に、
図2(g)に示すように、ソルダーレジスト層16の表面上および半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面に残存するフラックス22を洗浄して除去する。フラックス22の洗浄除去は、アルコール系の洗浄剤、例えばIPA(イソプロピルアルコール)を用いることにより行うことができる。
【0022】
最後に、
図2(h)に示すように、半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面に新たにフラックスを塗布して、フラックス皮膜26を形成する。なお、フラックス皮膜26の膜厚が、0.001μm以上1μm以下となるよう形成することが好ましい。ここで用いるフラックスも上述した市販のフラックスを用いることができる。また、フラックスの塗布方法は、印刷法などを用いることができる。以上の工程により、本発明のプリント配線板を得ることができる。
【0023】
上述した
図2(a)~(h)に一実施形態を示す本発明のプリント配線板の製造方法の特徴は、従来と同様に、ソルダーレジスト層16の表面上および半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面に残存するフラックス22を洗浄して除去した後、半田バンプ20のソルダーレジスト層16から露出した表面に新たにフラックスを塗布して、フラックス皮膜26を形成する点にある。
【0024】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、フラックス洗浄後に新たにフラックスを塗布して半田バンプ表面にフラックス皮膜26を形成することにより、半田バンプ20表面の酸化膜の形成が抑制される。これにより、電子部品実装時の電子部品と半田バンプ20との接続性が良好となる。また、新たにフラックスを塗布して半田バンプ表面にフラックス皮膜26を形成しているため、フラックス皮膜26の膜厚が制御し易くなる。さらに、半田バンプ20の表面にフラックス皮膜26を薄く(好ましくは、0.001μm以上1μm以下)残留させることにより、マイグレーションを発生し難くなる。
【符号の説明】
【0025】
10 プリント配線板
12 基部絶縁層
14 導体層
14a 部品実装パッド
16 ソルダーレジスト層
16a 開口
20 半田バンプ
22 フラックス
24 半田ボール
26 フラックス皮膜