(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065450
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】原反搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 7/02 20060101AFI20220420BHJP
B65H 19/00 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B65G7/02 Z
B65H19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174047
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】503361813
【氏名又は名称】学校法人 中村産業学園
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】村田 光昭
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064EA01
3F064EA04
(57)【要約】
【課題】非力な作業者であっても、一人で簡単に原反を搬送することが可能な原反搬送装置を提供する。
【解決手段】原反搬送装置10は、ロール状の樹脂フィルムの軸心に軸部が設けられた原反が配置される載置台30と、載置台30の両側に配置された平行な一対のレール部40と、レール部40を移動可能な走行部51、および走行部51に設けられ、原反の軸部を持ち上げる位置まで上昇可能な昇降部52を有する一対の搬送部50とを備えている。搬送部50は、昇降部52が軸部を上昇させて、載置台30から原反を持ち上げた状態で、載置台30から、樹脂フィルムが繰り出される位置まで、走行部51がレール部40を移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の樹脂フィルムの軸心に軸部が設けられた原反が配置される載置台と、
前記載置台の両側に配置された平行な一対のレール部と、
前記レール部を移動可能な走行部、および前記走行部に設けられ、前記原反の軸部を持ち上げる位置まで上昇可能な昇降部を有する一対の搬送部とを備え、
前記搬送部は、前記昇降部が前記軸部を上昇させて、前記載置台から前記原反を持ち上げた状態で、前記載置台から、前記樹脂フィルムが繰り出される位置まで、前記走行部が前記レール部を移動する原反搬送装置。
【請求項2】
前記昇降部は、前記軸部に接近する位置と、前記軸部を持ち上げた位置との2段階で上昇する請求項1記載の原反搬送装置。
【請求項3】
前記昇降部は、空気圧により伸縮するエアシリンダにより形成され、
前記エアシリンダに圧縮空気を送気するためのコンプレッサと、前記コンプレッサからの圧縮空気の送気、または前記エアシリンダからの脱気を指示する操作盤とを備えた請求項1または2記載の原反搬送装置。
【請求項4】
前記昇降部の先端部は、水平方向に並ぶ一対のローラーにより形成され、一対のローラーによる凹部で、前記軸部を保持する請求項1から3のいずれかの項に記載の原反搬送装置。
【請求項5】
前記レール部に移動可能に配置された一対の可動部と、前記搬送部を後押しするために、前記可動部から前記レール部と直交する方向に延びて前記可動部同士を連結する連結部とを備えた手押し部が設けられた請求項1から4のいずれかの項に記載の原反搬送装置。
【請求項6】
前記レール部には、前記一対の搬送部が2組配置された請求項1から5のいずれかの項に記載の原反搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置により成形されたロール状の樹脂フィルムによる原反を、樹脂フィルムを繰り出して加工する加工装置まで搬送する原反搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン樹脂や塩化ビニール樹脂等の熱可塑性樹脂から成形される樹脂袋は、ゴミ袋やレジ袋に加工される。
この樹脂袋は、まず、成形装置にて、インフレーション法により成形された樹脂フィルムが巻き取られてロール状の原反が製造される。そして、加工装置にて、原反から樹脂フィルムが繰り出されて袋状に加工される。
【0003】
この原反を繰り出すための架台が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載の原反架台装置は、シート状体をカセ巻してなる原反を支持するものであり、支持体に水平に取付軸を固定し、この取付軸の基部において一方のフランジ板を固定し、この一方のフランジ板に向けて取付軸の先端より原反の内周面を支持した筒体を同心円状に回動自在に嵌入し、この筒体に向けて取付軸の先端より他方のフランジ板を嵌入して着脱可能に固定し、筒体は原反内径よりも小径に形成したものである。
【0004】
また、ロール巻の合成樹脂フィルムまたはシートを切断する装置が特許文献2に記載されている。
この特許文献2に記載の合成樹脂フィルムの切断装置は、切断しようとするロール巻の合成樹脂フィルムをその上に載せて回転を与える2本のローラーより成る原反架台と、空気シリンダと2本の小ローラーより成る一対のロール巻フィルム抑え装置と、丸刃とその支持、回転装置より成る切断装置で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭56-173548号公報
【特許文献2】実開平7-40090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の原反架台装置は、原反からシートを繰り出すために、原反を支持するものである。
一方、ロール状の樹脂フィルムを原反として成形する成形装置から、原反から樹脂フィルムを繰り出して加工する加工装置まで、原反を運ぶ場合、原反の軸心に設けられた軸部を二人の作業者が両側から手で持ち上げ運ぶ。
原反は、重量が約30kg~60kgあり、大きさも直径が約50cm~70cmにもなる。従って、作業者は、ある程度の力がある者でなければ務まらない。また、作業者は、運搬を続けると、疲労が増すだけでなく、腰や背中などを痛めてしまうことが心配される。更に、二人が一組になって原反を運ぶために、人手が必要である。
【0007】
そこで本発明は、非力な作業者であっても、一人で簡単に原反を搬送することが可能な原反搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の原反搬送装置は、ロール状の樹脂フィルムの軸心に軸部が設けられた原反が配置される載置台と、前記載置台の両側に配置された平行な一対のレール部と、前記レール部を移動可能な走行部、および前記走行部に設けられ、前記原反の軸部を持ち上げる位置まで上昇可能な昇降部を有する一対の搬送部とを備え、前記搬送部は、前記昇降部が前記軸部を上昇させて、前記載置台から前記原反を持ち上げた状態で、前記載置台から、前記樹脂フィルムが繰り出される位置まで、前記走行部が前記レール部を移動することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の原反搬送装置によれば、搬送部は、昇降部が原反の軸部を上昇させて、載置台から原反を持ち上げた状態で、載置台から樹脂フィルムが繰り出される位置まで、走行部がレール部を移動するので、重量のある原反であっても、作業者一人で搬送部を移動させれば、軸部に支持された原反を移動させることができる。
【0010】
前記昇降部は、前記軸部に接近する位置と、前記軸部を持ち上げた位置との2段階で上昇するものとすることができる。
まずは、昇降部を軸部の下方となる位置まで移動させた後に、昇降部を軸部に接近する位置まで上昇させることで、位置合わせを微調整することができる。そして、更に、昇降部を上昇させることで軸部を持ち上げた位置まで上昇させることができる。
【0011】
前記昇降部は、空気圧により伸縮するエアシリンダにより形成され、前記エアシリンダに圧縮空気を送気するためのコンプレッサと、前記コンプレッサからの圧縮空気の送気、または前記エアシリンダからの脱気を指示する操作盤とを備えたものとすることができる。昇降部をエアシリンダにより形成することで、電気配線が不要であり、油圧を使用しないため油漏れなど無いので衛生的である。
【0012】
前記昇降部の先端部は、水平方向に並ぶ一対のローラーにより形成され、一対のローラーによる凹部で、前記軸部を保持するものとすることができる。
軸部とローラーとの位置合わせの際に、どちらかが少し位置ずれして、軸部がローラーの上昇に伴い一方のローラーだけに接触しても、軸部が一方のローラーを回転させながら押すことで、走行部が押された方向に移動するので、軸部を一対のローラーの中心に位置させることができる。
【0013】
前記レール部に移動可能に配置された一対の可動部と、前記搬送部を後押しするために、前記可動部から前記レール部と直交する方向に延びて前記可動部同士を連結する連結部とを備えた手押し部が設けられたものとすることができる。
作業者は、レール部と直交する方向に延びる連結部を押して搬送部を後押しすることで、一対の搬送部が互いにずれることなく進めることができるので、搬送部を樹脂フィルムが繰り出される位置まで移動させたときに、軸部をレール部に対して直交する方向に沿った状態に配置することができる。
【0014】
前記レール部には、前記一対の搬送部が2組配置されたものとすることができる。
一対の搬送部が2組配置されていることで、原反を2つ搬送することができる。従って、2つの原反について、樹脂フィルムを上側から繰り出す原反と、下から繰り出す原反とから同時に樹脂フィルムを加工装置に繰り出すことができるので、効率よく加工装置に樹脂フィルムを供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の原反搬送装置は、重量のある原反であっても、作業者一人で搬送部を移動させれば、軸部に支持された原反を移動させることができるので、非力な作業者であっても、一人で簡単に原反を搬送することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る原反搬送装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す原反搬送装置のレール部を説明するための下側から見た断面斜視図である。
【
図3】
図1に示す原反搬送装置の搬送部を説明するための図であり、(A)は搬送部を斜め上側から見た斜視図、(B)は搬送部を斜め下側から見た斜視図である。
【
図4】
図3に示す搬送部を説明するための図であり、(A)は伸縮部を説明するための断面図、(B)は第2伸縮部のシリンダを省略した状態の図である。
【
図5】
図1に示す原反搬送装置の手押し部を説明するための図であり、(A)は手押し部の斜視図、(B)は裏側から見た一部拡大斜視図である。
【
図6】操作盤と伸縮部との接続を説明するための図である。
【
図7】
図1に示す原反搬送装置の動作および使用状態を説明するための図であり、(A)は初期状態を示す図、(B)は搬送部を軸部の下方に位置させることを説明するための図である。
【
図8】前方の昇降部の第1伸縮部を延ばして担持部を軸部に接近させた状態を示す図である。
【
図9】前方の昇降部の第2伸縮部を延ばして担持部により軸部を持ち上げた状態を示す図である。
【
図10】
図9に続く原反搬送装置の動作および使用状態を説明するための図であり、(A)は両方の搬送部が軸部を持ち上げた状態を示す図、(B)は搬送部を移動させることで原反を移動させることを説明するための図である。
【
図11】
図10に続く原反搬送装置の動作および使用状態を説明するための図であり、(A)は原反から樹脂フィルムを繰り出す位置まで搬送部を移動させた状態を説明するための図、(B)は伸縮部を縮小させ、原反を下降させた状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る原反搬送装置を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、原反から樹脂フィルムを繰り出す加工装置側を前方、原反が当初載置される原反搬送装置側を後方として説明する。
【0018】
[原反搬送装置の構成の説明]
図1に示す原反搬送装置10は、ロール状の樹脂フィルムを原反として成形する成形装置(図示せず)から、原反から樹脂フィルムを繰り出して加工する加工装置(図示せず)まで、原反を搬送するものである。
原反搬送装置10は、基台部20と、載置台30と、一対のレール部40と、一対の搬送部50と、手押し部60と、操作盤70および駆動部80(
図6参照)とを備えている。
【0019】
基台部20は、矩形状の枠部21のうち、長さ方向D1に沿った平行な二辺(第1枠部211,211)の間に、複数の補強部材22が所定間隔ごとに並列して配置されている。
枠部21の前部には、第1枠部211,211の間に跨るローラー23が2本設けられている。このローラー23は、2組の搬送部50のうち、後方側の搬送部50(搬送部50A)が持ち上げた状態の原反から樹脂フィルムを繰り出すときに、加工装置に向かう樹脂フィルムが巻かれて案内するためのものである。
【0020】
また、枠部21の前端には、加工装置へ樹脂フィルムが繰り出されるときに、繰り出しを補助する付属品(図字せず)が取り付けられる支持枠24が設けられている。
【0021】
載置台30は、基台部20に配置されている。載置台30は、ロール状の樹脂フィルムの軸心に軸部が設けられた原反が搭載される。載置台30は、平面板により形成されたステージ部31と、ステージ部31を支える脚部32とを備えている。
本実施の形態のステージ部31は、2台の貨物搭載用のパレットを並べることにより形成されている。脚部32は、枠部21の補強部材22に立設されている。
【0022】
レール部40は、載置台30の両側に位置する枠部21のうち、長さ方向D1に沿った二辺上に配置されている。
図2に示すように、レール部40は、長さ方向D1に沿ったレール本体41の側面411には、搬送部50の後述する車輪部のリング溝状の凹部に嵌合する半円直線状の凸部42が形成されている。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態では、一対の搬送部50は、後方側の搬送部50Aと前方側の搬送部50Bとの2組が配置されている。
図3および
図4に示すように、搬送部50は、レール部40(
図2参照)を移動可能な走行部51と、走行部51に設けられ、原反の軸部を持ち上げる位置まで上昇可能な昇降部52とを備えている。
走行部51は、矩形状の基盤部511と、基盤部511の裏面に設けられた車輪部512とを備えている。
【0024】
車輪部512は、レール部40(
図2参照)を挟み、一対の車輪5121を3組備えている。3組の車輪5121は、車軸が上下方向に沿って配置されることで、車輪5121が横向きに取り付けられている。車輪5121は、基盤部511の裏面に設けられた取付部材5122により車輪5121の車軸が保持されている。
車輪5121の周面には、レール部40の半円直線状の凸部42(
図2参照)に嵌合するリング溝状の凹部5121aが形成されている。
【0025】
昇降部52は、原反の軸部を下方から持ち上げるための担持部521と、担持部521を昇降させる伸縮部522と、制動部523とを備えている。
担持部521は、昇降部52の先端部に形成されている。担持部521は、水平方向に並ぶ一対のローラー5211,5211により形成されている。
伸縮部522は、基盤部511上に配置された一対の第1伸縮部5221,5221と、一対の第1伸縮部5221,5221の間に配置され、上部に担持部521が設けられた第2伸縮部5222とを備えている。
第1伸縮部5221と第2伸縮部5222とは、ピストンがシリンダから進退して伸長したり縮小したりするエアシリンダにより形成されている。本実施の形態では、第1伸縮部5221と第2伸縮部5222とは、3本のエアシリンダにより形成されている。
【0026】
制動部523は、操作盤70による指示によりレール部40(
図2参照)を押圧することで、搬送部50の移動を抑止するものである。制動部523は、空気圧によりレール部40を押圧するキャスタアジャスタにより形成されている。
【0027】
図5に示す手押し部60は、一対のレール部40(
図1参照)を走行する一対の可動部61と、一対の可動部61同士に跨る連結部62とを備えている。
一対の可動部61は、それぞれのレール部40に、前後方向に並ぶ2台の走行部611,612を備えている。
走行部611,612は、
図3に示す搬送部50の走行部51と同様な構造を有しており、矩形状の基盤部6111と、基盤部6111の裏面に設けられた車輪部6112とを備えている。車輪部6112は、一対の車輪6112aを2組備えている。
【0028】
連結部62は、前側の走行部611,611に跨り、下向きのコ字状に形成されたアーチ部621と、アーチ部621の上部の角部を補強するための補強部材622と、前後の走行部611,612を連結しつつ、アーチ部621を後ろ側から支える横向きコ字状の支持補助部623とを備えている。
アーチ部621は、基盤部6111に立設された支柱部6211と、レール部と直交する方向に延びて支柱部6211の上端同士に跨り連結する梁部6212とを備えている。
【0029】
図6に示すように、操作盤70は、昇降部52(
図3および
図4参照)における伸縮部522および制動部523への圧縮空気の送気と、伸縮部522および制動部523からの脱気とを指示するものである。操作盤70には、伸縮部522における第1伸縮部5221と第2伸縮部5222と制動部523とに繋がる配管の開閉を行うための手動開閉弁701~712と、手動開閉弁701~712を操作する操作レバー(図示せず)とが配置されている。操作盤70により送気と脱気とが指示されることで、第1伸縮部5221と第2伸縮部5222とが伸長したり、縮小したり、制動部523がレール部40(
図2参照)を押圧したりする。
【0030】
駆動部80は、コンプレッサ81と、FRLユニット82とを備えている。駆動部80は、配管を介して操作盤70に接続されている。コンプレッサ81は圧縮空気を送気するものである。FRLユニット82は、エアフィルタ、レギュレータ、ルブリケータを備え、圧縮空気に混入した不純物などを除去して、バルブやシリンダ等を保護するものである。
【0031】
[原反搬送装置の動作および使用状態の説明]
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る原反搬送装置10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
まず、
図7(A)に示すように、作業者は、載置台30のステージ部31に原反F1~F5を前後方向(長さ方向D1)に沿って並べる。そして、作業者は、載置台30に並べられた原反F1~F5)の最前の原反F1と次の原反F2に、軸部Aを貫通させて配置する。
【0032】
図7(B)に示すように、次に、作業者は、搬送部50A,50Bを押して、走行部51をレール部40に走行させて、最前の原反F1および次の原反F2のそれぞれの軸部Aの下方に、それぞれの昇降部52を位置させる。そして、
図6に示す操作盤70を操作して、制動部523を動作させ、搬送部50Aを制動状態とする。
【0033】
次に、作業者は、
図6に示す操作盤70を操作して、まず、搬送部50Aにおける昇降部52の伸縮部522に対して上昇を指示する。
操作盤70からの指示によりコンプレッサからの圧縮空気が送気され、
図8に示すように、伸縮部522の第1伸縮部5221が伸長する。第1伸縮部5221が伸長することで、昇降部52の先端部であるローラー5211が、軸部Aに接近した位置となる。
【0034】
このとき、作業者が、搬送部50Aを前後させることで、ローラー5211と軸部Aの位置合わせの微調整を行うことができる。微調整を行うときには、制動部523により制動を解除する。
【0035】
次に、作業者は、
図6に示す操作盤70を操作して、
図9に示すように、第2伸縮部5222を伸長させる。
昇降部52の先端部が、一対のローラー5211により形成されている。そのため、軸部Aと接触する位置が、一対のローラー5211の円弧による凹部となっている。従って、軸部Aとローラー5211との位置合わせの際に、どちらかが前後方向に少し位置ずれして、軸部Aがローラー5211の上昇に伴い一方のローラー5211だけに接触しても、軸部Aが一方のローラー5211を回転させながら押すことで、走行部51が押された方向に移動するので、軸部Aを一対のローラー5211の中心に位置させることができる。
【0036】
そして、第2伸縮部5222が延びることで軸部Aを持ち上げ、原反F1が載置台30から離れる。
昇降部52の伸縮部522が、軸部Aに接近する位置と、軸部Aを持ち上げた位置との2段階で上昇するため、ローラー5211と軸部Aの位置合わせにて、微調整を行うことができる。
【0037】
例えば、伸縮部522を1つのエアシリンダにより1段階で伸長させると、伸縮部522が最短状態から最長状態に一気に延びて、担持部521が軸部Aを持ち上げようとするため、担持部521に一度に重量が掛かり、双方の搬送部50Aでのバランスが悪いと、搬送部50Aが転倒してしまうおそれがある。しかし、伸縮部522が2段階で上昇するため、途中で担持部521の位置を調整することができるので、転倒を防止することができる。
【0038】
また、第1伸縮部5221でのエアシリンダが延びてから、第2伸縮部5222でのエアシリンダが延びるため、担持部521を、第1伸縮部5221分の低い位置から、第1伸縮部5221と第2伸縮部5222との長さを足し合わせた高い位置まで上昇させ、また、下降させることができる。
【0039】
このようにして、
図10(A)に示すように、搬送部50A,50Bが原反F1,F2を持ち上げ、制動部523(
図3参照)による制動が解除されると、作業者が、後方の原反F2の軸心に設けられた軸部Aの一方の端部を押すことで、一対の搬送部50Bのうち、一方の搬送部50Bが前方に移動し始めると共に、軸部Aの他方の端部が搭載された他方の搬送部50Bも移動し始める。
そして、前方の原反F1を担持する一対の搬送部50A,50Aも、後方の搬送部50Bの走行部51が、前方の搬送部50Aの走行部51を押すことで、移動する。このようにして、原反F1,F2を前方に移動させることができる。
【0040】
また、
図10(B)に示すように、原反F1,F2は、手押し部60により移動させることが可能である。
作業者は、手押し部60を押して前方に移動させると、手押し部60の基盤部6111が、2組の搬送部50A,50Bのうち、後方の搬送部50Bの基盤部511に当たる。そして、作業者が手押し部60を押すことで、搬送部50Bの走行部51がレール部40を移動して、基盤部511が前方の搬送部50Aの基盤部511に当たる。更に、作業者が手押し部60を押すことで、後方の搬送部50Bと前方の搬送部50Aとが一緒に後押しされ、前方へ移動する。
【0041】
このように、作業者が、手押し部60を押して搬送部50A,50Bを後押しすることで、幅方向に並ぶ一対の搬送部50A,50Bが互いに前後方向にずれることなく進めることができるので、搬送部50A,50Bを樹脂フィルムが繰り出される位置まで移動させたときに、軸部Aをレール部40に対して直交する方向に沿った状態に配置することができる。
【0042】
そして、
図11(A)に示すように、樹脂フィルムが繰り出される位置まで2組の搬送部50A,50Bが移動すると、作業者は、
図6に示す操作盤70を操作して伸縮部522の縮小を指示する。この指示により伸縮部522は脱気を指示する。
図11(B)に示すように、この伸縮部522の縮小により、原反F1,F2の樹脂フィルムが繰り出せる状態になる。
【0043】
そして、原反F1,F2から繰り出した樹脂フィルムを加工装置に装着して加工を開始することで、軸部Aを中心に原反F1,F2が回転しながら樹脂フィルムが加工装置に繰り出される。
【0044】
一対の搬送部50が2組配置されていることで、原反F1,F2を2つ搬送することができるので、2つの原反F1,F2について、樹脂フィルムを上側から繰り出す原反と、下から繰り出す原反とから同時に樹脂フィルムを加工装置に繰り出すことができるので、効率よく加工装置に樹脂フィルムを供給することができる。
【0045】
このように、
図7から
図11に示すように搬送部50は、昇降部52が原反F1,F2の軸部Aを上昇させて、載置台30から原反F1,F2を持ち上げた状態で、載置台30から樹脂フィルムが繰り出される位置まで、走行部51がレール部40を移動するので、作業者一人で重量のある原反であっても、簡単に移動させることができる。
よって、原反搬送装置10は、非力な作業者であっても、一人で簡単に原反を搬送することが可能である。
【0046】
また、
図3および
図4に示す昇降部52がエアシリンダにより形成されている。従って、電気配線が不要であり、油圧を使用しないため油漏れなど無いので衛生的である。
【0047】
また、本実施の形態では、
図1に示すように、搬送部50をレール部40に手動により移動させているが、モータなどの駆動部により電気的に移動させることも可能である。しかし、モータで搬送部を駆動させると始動時と走行時と停止時との制御が必要であり、始動時にゆっくり移動させ始める必要がある。従って、作業者が手軽にかつ迅速に移動させるためには、搬送部50は手動により移動させる方が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、ロール状の樹脂フィルムの軸心に軸部が設けられた原反から、加工装置に繰り出して製品を加工する工場などに好適である。
【符号の説明】
【0049】
10 原反搬送装置
20 基台部
21 枠部
211 第1枠部
22 補強部材
23 ローラー
24 支持枠
30 載置台
31 ステージ部
32 脚部
40 レール部
41 レール本体
411 側面
42 凸部
50,50A,50B 搬送部
51 走行部
511 基盤部
512 車輪部
5121 車輪
5121a 凹部
5122 取付部材
52 昇降部
521 担持部
5211ローラー
522 伸縮部
5221 第1伸縮部
5222 第2伸縮部
523 制動部
60 手押し部
61 可動部
611,612 走行部
6111 基盤部
6112 車輪部
6112a 車輪
62 連結部
621 アーチ部
6211 支柱部
6212 梁部
622 補強部材
623 支持補助部
70 操作盤
701~712 手動開閉弁
80 駆動部
81 コンプレッサ
82 FRLユニット
F1,F2~F5 原反
A 軸部
D1 長さ方向