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  • 特開-磁力装置 図1
  • 特開-磁力装置 図2
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  • 特開-磁力装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006547
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】磁力装置
(51)【国際特許分類】
   F03G 3/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
F03G3/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108830
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000244316
【氏名又は名称】鳴瀬 益幸
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】鳴瀬 益幸
(57)【要約】
【課題】従来の磁力装置より優れた運動維持機能を発揮する磁力装置を提供する。
【解決手段】磁力装置100は、所定の固定手段に取り付けられた固定磁石10と、固定磁石10の磁力影響領域内を一定方向(矢線A方向)に沿って移動可能に配置された可動磁石20と、を備え、固定磁石10及び可動磁石20の形状は、それぞれのN極とS極との間の変曲部11,21を境にしてN極とS極とが互いに接近する方向に折曲した形状(固定磁石10が「<」形状、可動磁石20が「>」形状)をなすように配置されて、可動磁石20がそのN極とS極とを結ぶ仮想直線22側を先頭にして、且つ、固定磁石10のN極とS極とを結ぶ仮想直線12側から固定磁石10の変曲部11に向かって移動するように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の固定手段に取り付けられた固定磁石と、前記固定磁石の磁力影響領域内を一定方向に移動可能に配置された可動磁石と、を備え、
前記固定磁石及び前記可動磁石の形状が、それぞれのN極とS極との間の変曲部を境にしてN極とS極とが互いに接近する方向に折曲若しくは湾曲した形状であって、
前記可動磁石がそのN極とS極とを結ぶ仮想直線側を先頭にして、且つ、前記固定磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線側から前記固定磁石の変曲部に向かって移動するように配置した磁力装置。
【請求項2】
前記固定磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線を仮想底辺とし前記変曲部を仮想頂点とする仮想固定三角形と、前記可動磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線を仮想底辺とし前記変曲部を仮想頂点とする仮想可動三角形と、が互いに平行をなすように配置した請求項1記載の磁力装置。
【請求項3】
前記固定磁石及び前記可動磁石の横断面が円形状であり、その両端部が凸曲面形状である請求項1または2記載の磁力装置。
【請求項4】
前記固定磁石若しくは前記可動磁石の端部の少なくとも一つに磁性材料で形成された中空体を配置した請求項1~3の何れかの項に記載の磁力装置。
【請求項5】
前記固定磁石及び前記可動磁石の形状が「<」形状若しくは「⊂」形状である請求項1~4の何れかの項に記載の磁力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力を利用して、所定の運動状態を長期間に亘って維持することができる磁力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、長年に亘って、磁力を利用した運動装置について研究、開発を行い、様々な特許出願を行っているが、本発明に関連する先行出願として、例えば、特許文献1に記載された「磁力装置」がある。
【0003】
特許文献1に記載された「磁力装置」は、円板状の固定手段に取り付けられた柱状の固定磁石と、支軸を中心に固定磁石の磁力影響領域内を仮想円に沿って一定方向に回転可能に配置された柱状の可動磁石と、を備え、支軸と可動磁石とがアームで連結されている。
【0004】
可動磁石に仮想円に沿って一定方向に回転する力を加えると、可動磁石は固定磁石の磁力影響領域内を通過することによって固定磁石から付勢力を付与されるので、可動磁石は長時間に亘って回転運動を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-218967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された「磁力装置」は優れた運動維持機能を発揮するのであるが、更なる運動維持機能の向上は、今後も重要な解決課題であり、それを実現するためには、一定方向に運動する可動磁石が固定磁石に接近する過程において可動磁石が固定磁石から受ける反発力を弱めるとともに、可動磁石が固定磁石から離れる過程において可動磁石が固定磁石から受ける付勢力を高める必要がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来の磁力装置より優れた運動維持機能を発揮する磁力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る磁力措置は、所定の固定手段に取り付けられた固定磁石と、前記固定磁石の磁力影響領域内を一定方向に移動可能に配置された可動磁石と、を備え、
前記固定磁石及び前記可動磁石の形状が、それぞれのN極とS極との間の変曲部を境にしてN極とS極とが互いに接近する方向に折曲若しくは湾曲した形状であって、
前記可動磁石がそのN極とS極とを結ぶ仮想直線側を先頭にして、且つ、前記固定磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線側から前記固定磁石の変曲部に向かって移動するように配置したことを特徴とする。
【0009】
前記磁力装置においては、前記固定磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線を仮想底辺とし前記変曲部を仮想頂点とする仮想固定三角形と、前記可動磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線を仮想底辺とし前記変曲部を仮想頂点とする仮想可動三角形と、が互いに平行をなすように配置することができる。
【0010】
前記磁力装置においては、前記固定磁石及び前記可動磁石の横断面が円形状をなし、その両端部が凸曲面形状をなすようにすることができる。
【0011】
前記磁力装置においては、前記固定磁石若しくは前記可動磁石の端部の少なくとも一つに磁性材料で形成された中空体を配置することができる。
【0012】
前記磁力装置においては、前記固定磁石及び前記可動磁石の形状を「<」形状若しくは「⊂」形状とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、従来の磁力装置より優れた運動維持機能を発揮する磁力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態である磁力装置を示す一部省略平面図である。
図2図1に示す磁力装置を使用した回転維持装置を示す一部省略平面図である。
図3】その他の実施形態である磁力装置を示す一部省略平面図である。
図4】その他の実施形態である磁力装置を示す一部省略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図4に基づいて、本発明の実施形態である磁力装置100,200,300について説明する。なお、図1図4中に示す符号N,Sはそれぞれの磁極の極性を示している。
【0016】
初めに、図1に基づいて磁力装置100について説明する。図1に示すように、磁力装置100は、所定の固定手段に取り付けられた固定磁石10と、固定磁石10の磁力影響領域内を一定方向(矢線A方向)に沿って移動可能に配置された可動磁石20と、を備えている。固定磁石10及び可動磁石20は、それぞれのN極とS極との間の変曲部11,21を境にしてN極とS極とが互いに接近する方向に折曲した形状をなしている。
【0017】
具体的には、固定磁石10が「<」形状をなし、可動磁石20が「>」形状をなすように配置されている。また、可動磁石20がそのN極とS極とを結ぶ仮想直線22側を先頭にして、且つ、固定磁石10のN極とS極とを結ぶ仮想直線12側から固定磁石10の変曲部11に向かって移動するように配置されている。
【0018】
また、固定磁石10のN極とS極とを結ぶ仮想直線12を仮想底辺とし変曲部11を仮想頂点とする仮想固定三角形13と、可動磁石のN極とS極とを結ぶ仮想直線22を仮想底辺とし変曲部21を仮想頂点とする仮想可動三角形23と、が互いに平行をなすように配置されている。また、固定磁石10及び可動磁石20の横断面形状はそれぞれ円形状をなし、それぞれの両端部14,15,24,25は凸曲面形状(半球状)をなしている。
【0019】
固定磁石10及び可動磁石20は、複数の円板磁石1を積層状に吸着させて円柱状とし、その両端に半球磁石2,2を吸着させて形成した二つの磁石ユニット3,3を「<」形状または「>」形状を成すように配置し、磁性材料で形成された接合部材4で接合することによって形成されているが、これに限定するものではない。なお、磁性材料とは磁石に吸着される性質を有する材料である。
【0020】
図1に示す磁力装置100において、固定磁石10の右側に位置する可動磁石20に矢線A方向の力を加えると、可動磁石20は仮想直線22を先頭にして固定磁石10に向かって接近していくが、固定磁石10が「<」形状をなし、可動磁石20が「>」形状をなすように配置されているので、可動磁石20が固定磁石10から受ける反発力は極めて小さく、可動磁石20は誘引ゾーンに沿って固定磁石10に向かってスムーズに誘引されていく。
【0021】
固定磁石10に向かって移動してきた可動磁石20の端部24,25がそれぞれ固定磁石10の端部14,15上を通過すると、可動磁石20は反発ゾーンに進入し、固定磁石10から強力な反発力(付勢力)を受けるので、可動磁石20は矢線Aの延長方向に沿って固定磁石10から離隔する方向へ移動していく。従って、固定磁石10を所定距離を隔てて複数配列しておけば、可動磁石20は固定磁石10の配列方向に沿って移動する運動を長時間に亘って維持することができる。
【0022】
図2は、図1に示す磁力装置100を使用した回転維持装置50を示している。平板状の固定部材51に立設された支軸52を中心にて複数の固定磁石10が一定距離を隔てて円形を成すように配列され、支軸52に回転自在に支えられた軸受け部材53の周囲に複数のバー材54が放射状に取り付けられ、それぞれのバー材54の先端に可動磁石20が取り付けられている。
【0023】
複数の可動磁石20は、支軸52を中心とする仮想円(図示せず)に沿って等間隔に配列された複数の固定磁石10の磁力影響領域内を、複数の固定磁石10の配列方向に沿って支軸52を中心にして回転可能である。従って、可動磁石20に矢線B方向の回転力を加えると、図1に示す作用により、可動磁石20が固定磁石10の磁力影響領域内を通過するたびに矢線B方向の付勢力を受けるので、複数の可動磁石20は支軸52を中心にして長時間に亘って回転運動を維持することができる。
【0024】
次に、図3に基づいて、磁力装置200について説明する。なお、図3に示す磁力装置200において図1に示す磁力装置100の構成部分と共通する部分については図1中の符号と同符号を付して説明を省略する。
【0025】
磁力装置200においては、固定磁石10の一方の端部14(磁極N側の端部)に磁性材料で形成された球状の中空体16が配置され、可動磁石20の一方の端部25(磁極S側の端部)に磁性材料で形成された球状の中空体26が配置されている。
固定磁石10の端部14に中空体16を配置し、可動磁石20の端部25に中空体26を配置したことにより、可動磁石20が固定磁石10に向かって接近するときに端部14並びに端部25から生じる反付勢方向の磁力を緩和することができるので、運動維持作用の向上に有効である。
【0026】
次に、図4に基づいて、磁力装置300について説明する。なお、図4に示す磁力装置300において図1に示す磁力装置100の構成部分と共通する部分については図1中の符号と同符号を付して説明を省略する。
【0027】
磁力装置300においては、「⊂」形状を成す固定磁石30と、「>」形状を成す可動磁石20と、を備えている。可動磁石20並びに固定磁石30の外周の一部には、それぞれ非磁性材料で形成された孔付き突片状の取付板31が複数設けられている。固定磁石30は、N極とS極との間の変曲部32を境にしてN極とS極とが互いに接近する方向に湾曲した形状をなしている。
【0028】
「⊂」形状をなす固定磁石30の直線部分(端部34,35寄りの部分)はそれぞれ複数の円板磁石1及び半球磁石2からなる磁石ユニット7,7で形成され、固定磁石30の湾曲部分は半円形に湾曲した円筒状の接合部材6の内部に、湾曲卵形状をした複数の磁石ユニット5,5を接合部材6の湾曲形状に沿って密着配置することによって形成されている。接合部材6は磁性材料で形成され、接合部材6の両端の開口部分を閉塞するように磁石ユニット7,7の端部36,37側を固着することにより、「⊂」形状をなす固定磁石30が形成されている。
【0029】
図4に示す磁力装置300において、固定磁石30の右側に位置する可動磁石20に矢線A方向の力を加えると、可動磁石20は固定磁石30に向かって接近していくが、固定磁石30が「⊂」形状をなし、可動磁石20が「>」形状をなすように配置されているので、可動磁石20が固定磁石30から受ける反発力は極めて小さく、可動磁石20は誘引ゾーンに沿って固定磁石30によってスムーズに誘引されていく。
【0030】
固定磁石30に向かって移動してきた可動磁石20の端部24,25がそれぞれ固定磁石30の端部34,35上を通過すると、可動磁石20は反発ゾーンに進入し、固定磁石30から強力な反発力(付勢力)を受けるので、可動磁石20は矢線Aの延長方向に沿って固定磁石30から離隔する方向へ移動していく。従って、固定磁石30を所定距離を隔てて複数配列しておけば、可動磁石20は固定磁石30の配列方向に沿って移動する運動を長時間に亘って維持することができる。
【0031】
なお、図1図4に基づいて説明した磁力装置100,200,300は、本発明に係る磁力装置を例示するものであり、本発明に係る磁力装置は前述した磁力装置100,200,300に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る磁力装置は、長期間に亘って一定の運動状態を維持することを必要とする各種産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 円板磁石
2 半球磁石
3,5,7 磁石ユニット
4,6 接合部材
10,30 固定磁石
11,21,32 変曲部
12,22 仮想直線
13 仮想固定三角形
23 仮想可動三角形
14,15,24,25,34,35,36,37 端部
16,26 中空体
31 取付板
20 可動磁石
50 回転維持装置
51 固定部材
52 支軸
53 軸受け部材
54 バー材
100,200,300 磁力装置
図1
図2
図3
図4