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  • 特開-吸着機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065472
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】吸着機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
B25J15/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174077
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000135427
【氏名又は名称】株式会社ハーモ
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】長田 一紀
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT17
(57)【要約】
【課題】所定の固定部材に固定されて使用されるとともに吸着対象物を吸着して保持する吸着機構において、簡易な構成で汎用性を高めることが可能な吸着機構を提供する。
【解決手段】吸着機構1は、吸着対象物2を吸着する吸着部6aを有する吸着部材6と、吸着部材6を往復移動可能に保持するとともに固定部材3に固定される被固定部材7と、吸着部材6を付勢する付勢部材8と、被固定部材7に対する吸着部材6の回動を防止するための回動防止部材9と、固定部材3に被固定部材7を固定するためのナット10と、被固定部材7に回動防止部材9を固定するためのナット11とを備えている。被固定部材7の外周面には、ナット10が係合するオネジ7aが形成されている。回動防止部材9は、メネジ9cが内周面に形成される筒部9aを備えており、筒部9aおよびナット11は、被固定部材7のオネジ7aに係合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の固定部材に固定されるとともに吸着対象物を吸着して保持する吸着機構であって、
前記吸着対象物を吸着する吸着部を有する吸着部材と、前記吸着部材を往復移動可能に保持するとともに前記固定部材に固定される筒状の被固定部材と、前記吸着部材の往復移動方向の一方側に前記吸着部材を付勢する付勢部材と、前記被固定部材に対する前記吸着部材の回動を防止するための回動防止部材と、前記固定部材に前記被固定部材を固定するためのナットである第1ナットと、前記被固定部材に前記回動防止部材を固定するためのナットである第2ナットとを備え、
前記吸着部材の一部は、前記被固定部材の内周側に配置され、
前記被固定部材の外周面には、前記第1ナットが係合するオネジが形成され、
前記回動防止部材は、メネジが内周面に形成される筒状の筒部を備え、
前記筒部および前記第2ナットは、前記被固定部材の前記オネジに係合していることを特徴とする吸着機構。
【請求項2】
前記吸着部材には、前記吸着部材の往復移動方向に平行な平面状の回動防止面が形成され、
前記回動防止部材は、前記回動防止面に対向する平面状の対向面が形成されるとともに前記筒部に繋がる回動防止部を備えることを特徴とする請求項1記載の吸着機構。
【請求項3】
前記回動防止部材は、摺動性の高い樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項2記載の吸着機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着対象物を吸着して保持するための吸着機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを搬送するためにワークを吸着して保持する真空パッドが知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。特許文献1、2に記載の真空パッドは、シリンダロッドに取り付けられた取付用プレートに固定されて使用される。この真空パッドは、吸着パッドと、吸着パッドが先端部に取り付けられるロッドと、ロッドを移動可能に保持するボディと、ボディに対してロッドを付勢するコイルバネとを備えている。円筒状に形成されるボディの外周面にはオネジが形成されている。ボディの外周面のオネジには、2個のナットが係合している。2個のナットは、取付用プレートを挟み込むようにボディのオネジに係合しており、2個のナットの間に取付用プレートが挟み込まれることで真空パッドが取付用プレートに固定されている。
【0003】
特許文献2に記載の真空パッドでは、ロッドの外周面は、六角形状となっている。また、ロッドの一部が配置されるボディの内周面は、ロッドの外周面に対応する六角形状となっている。そのため、特許文献2に記載の真空パッドでは、ロッドの軸心を回動の中心としたボディに対するロッドの回動が防止されている。一方、特許文献1に記載の真空パッドでは、ロッドの軸心を回動の中心としたボディに対するロッドの回動が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4-47989号公報
【特許文献2】実開平4-63384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の真空パッドは、ボディに対するロッドの回動が可能となっているため、ロッドに保持されるワークのボディに対する回動を規制する必要のない用途においては、この真空パッドを使用することができる。一方で、搬送後のワークの向きを一定方向に揃えなければならない等、ロッドに保持されるワークのボディに対する回動を規制しなければならない用途においては、たとえば、特許文献2に記載の真空パッドのようにロッドおよびボディの形状を変更しなければ、特許文献1に記載の真空パッドを使用することはできない。
【0006】
また、特許文献2に記載の真空パッドは、ボディに対するロッドの回動が防止されているため、ロッドに保持されるワークのボディに対する回動を規制したくない用途においては、たとえば、特許文献1に記載の真空パッドのようにロッドおよびボディの形状を変更しなければ、特許文献2に記載の真空パッドを使用することはできない。すなわち、特許文献1、2に記載の真空パッドの汎用性は高くない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、所定の固定部材に固定されて使用されるとともに吸着対象物を吸着して保持する吸着機構において、簡易な構成で汎用性を高めることが可能な吸着機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の吸着機構は、所定の固定部材に固定されるとともに吸着対象物を吸着して保持する吸着機構であって、吸着対象物を吸着する吸着部を有する吸着部材と、吸着部材を往復移動可能に保持するとともに固定部材に固定される筒状の被固定部材と、吸着部材の往復移動方向の一方側に吸着部材を付勢する付勢部材と、被固定部材に対する吸着部材の回動を防止するための回動防止部材と、固定部材に被固定部材を固定するためのナットである第1ナットと、被固定部材に回動防止部材を固定するためのナットである第2ナットとを備え、吸着部材の一部は、被固定部材の内周側に配置され、被固定部材の外周面には、第1ナットが係合するオネジが形成され、回動防止部材は、メネジが内周面に形成される筒状の筒部を備え、筒部および第2ナットは、被固定部材のオネジに係合していることを特徴とする。
【0009】
本発明の吸着機構では、被固定部材に対する吸着部材の回動を防止するための回動防止部材の筒部と、被固定部材に回動防止部材を固定するための第2ナットとが、被固定部材の外周面に形成されるオネジに係合しており、被固定部材に対して回動防止部材が着脱可能となっている。そのため、本発明では、被固定部材に回動防止部材を取り付ければ、被固定部材に対する吸着部材の回動を防止したい用途において吸着機構を使用することが可能になり、かつ、被固定部材から回動防止部材を取り外せば、被固定部材に対する吸着部材の回動を規制したくない用途において吸着機構を使用することが可能になる。したがって、本発明では、吸着機構の汎用性を高めることが可能になる。
【0010】
また、本発明では、固定部材に被固定部材を固定するための第1ナットが係合する被固定部材のオネジを利用して回動防止部材を取り付けているため、回動防止部材を取り付けるための加工を別途、被固定部材に行う必要はない。したがって、本発明では、被固定部材の構成を簡素化しつつ、吸着機構の汎用性を高めることが可能になる。すなわち、本発明では、簡易な構成で吸着機構の汎用性を高めることが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、吸着部材には、吸着部材の往復移動方向に平行な平面状の回動防止面が形成され、回動防止部材は、回動防止面に対向する平面状の対向面が形成されるとともに筒部に繋がる回動防止部を備えている。この場合には、回動防止部材は、摺動性の高い樹脂材料で形成されていることが好ましい。このように構成すると、回動防止面と対向面との接触に起因する吸着部材および回動防止部材の摩耗を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明では、所定の固定部材に固定されて使用されるとともに吸着対象物を吸着して保持する吸着機構において、簡易な構成で吸着機構の汎用性を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態にかかる吸着機構の断面図である。
図2図1に示す吸着機構の斜視図である。
図3】(A)は、図2に示す被固定部材、パッド保持部材および抜け防止部材の斜視図であり、(B)は、図2に示す回動防止部材の斜視図である。
図4】本発明の他の実施の形態にかかる吸着機構の断面図である。
図5図4に示す吸着機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(吸着機構の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる吸着機構1の断面図である。図2は、図1に示す吸着機構1の斜視図である。図3(A)は、図2に示す被固定部材7、パッド保持部材15および抜け防止部材16の斜視図であり、図3(B)は、図2に示す回動防止部材9の斜視図である。
【0016】
本形態の吸着機構1は、吸着対象物である樹脂成形品2(以下、「成形品2」とする)を吸着して保持するための機構であり、樹脂成形を行う成形機から成形品2を取り出す取出装置(取出ロボット)に取り付けられて使用される。成形機は、たとえば、固定金型と、固定金型に対して水平方向に移動する移動金型とを備えている。吸着機構1は、成形機から成形品2を取り出すために、固定金型と移動金型との間に入り込んで成形品2を吸着して保持する。吸着機構1は、取出装置の取出ヘッドのヘッド板3に固定される。ヘッド板3は、平板状に形成されており、ヘッド板3の厚さ方向と水平方向とが一致するように配置されている。本形態のヘッド板3は、吸着機構1が固定される固定部材である。
【0017】
吸着機構1は、成形品2を吸着する吸着部6aを有する吸着部材6と、吸着部材6を往復移動可能に保持するとともにヘッド板3に固定される筒状の被固定部材7と、吸着部材6の往復移動方向の一方側に吸着部材6を付勢する付勢部材としての圧縮コイルバネ8と、吸着部材6の往復移動方向を回動の軸方向とした被固定部材7に対する吸着部材6の回動を防止するための回動防止部材9と、ヘッド板3に被固定部材7を固定するための2個のナット10と、被固定部材7に回動防止部材9を固定するためのナット11とを備えている。本形態のナット10は、第1ナットであり、ナット11は、第2ナットである。
【0018】
被固定部材7は、円筒状に形成されている。被固定部材7は、円筒状に形成される被固定部材7の軸方向と水平方向とが一致するようにヘッド板3に固定されている。吸着部材6の一部は、被固定部材7の内周側に配置されており、吸着部材6は、被固定部材7の軸方向(水平方向)で直線的に往復移動可能となっている。以下の説明では、吸着部材6の往復移動方向である図1等のX方向を前後方向とし、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0019】
被固定部材7は、鉄系材料等の金属材料で形成されている。被固定部材7の外周面には、ナット10が係合するオネジ7aが形成されている。オネジ7aは、被固定部材7の外周面の前後方向の全域に形成されている。被固定部材7の後端部の内径は、被固定部材7の後端部を除いた部分の内径よりも小さくなっている。被固定部材7は、ヘッド板3の貫通穴3aに挿通された状態で2個のナット10によって固定されている。2個のナット10は、ヘッド板3を挟み込むようにオネジ7aに係合しており、2個のナット10の間にヘッド板3が挟み込まれることで被固定部材7がヘッド板3に固定されている。
【0020】
吸着部材6は、吸着パッド14と、吸着パッド14を保持するパッド保持部材15と、被固定部材7からの吸着部材6の抜けを防止するための抜け防止部材16と、吸着パッド14をパッド保持部材15に取り付けるためのパッド取付アダプタ17とを備えている。本形態の吸着部材6は、吸着パッド14とパッド保持部材15と抜け防止部材16とパッド取付アダプタ17とによって構成されている。なお、図2では、吸着パッド14およびパッド取付アダプタ17の図示を省略している。
【0021】
パッド保持部材15は、鉄系材料等の金属材料で形成されている。パッド保持部材15は、円筒状に形成されている。パッド保持部材15は、パッド保持部材15の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。パッド保持部材15の長さ(前後方向の長さ)は、被固定部材7の長さ(前後方向の長さ)よりも長くなっている。パッド保持部材15の一部は、被固定部材7の内周側に配置されている。パッド保持部材15には、前後方向に貫通する貫通穴15aが形成されている。
【0022】
パッド取付アダプタ17は、パッド保持部材15の前端部に取り付けられている。吸着パッド14は、パッド取付アダプタ17に取り付けられている。すなわち、吸着パッド14は、パッド取付アダプタ17を介してパッド保持部材15の前端部に取り付けられている。吸着パッド14は、被固定部材7よりも前側に配置されている。吸着パッド14の前端部は、成形品2を吸着する吸着部6aとなっている。
【0023】
抜け防止部材16は、鉄系材料等の金属材料で形成されている。抜け防止部材16は、円筒状に形成されている。抜け防止部材16の内径は、パッド保持部材15の後端部の外径よりわずかに大きくなっている。抜け防止部材16は、抜け防止部材16の前端部の内周側にパッド保持部材15の後端部が挿入された状態でパッド保持部材15の後端部に固定されている。抜け防止部材16は、被固定部材7よりも後ろ側に配置されている。抜け防止部材16の前端面は、被固定部材7の後端面に接触可能となっており、抜け防止部材16の前端面と被固定部材7の後端面とによって、被固定部材7に対する前側への吸着部材6の抜けが防止されている。
【0024】
抜け防止部材16の外周面には、前後方向に平行な平面状の回動防止面16aが形成されている。すなわち、吸着部材6には、前後方向に平行な平面状の回動防止面16aが形成されている。本形態では、互いに平行な2個の回動防止面16aが抜け防止部材16の外周面に形成されている。回動防止面16aは、抜け防止部材16の前後方向の全域に形成されている。抜け防止部材16の後端部には、配管(図示省略)の一端が接続されている。この配管の他端側は、真空吸引装置(図示省略)に繋がっている。
【0025】
圧縮コイルバネ8には、パッド保持部材15が挿通されている。圧縮コイルバネ8の前端は、パッド保持部材15の外周面に形成される段差面に接触し、圧縮コイルバネ8の後端は、被固定部材7の内周面に形成される段差面に接触している。圧縮コイルバネ8は、被固定部材7に対してパッド保持部材15を前側に付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ8は、被固定部材7に対して吸着部材6を前側に付勢している。
【0026】
回動防止部材9は、樹脂材料で形成されている。具体的には、回動防止部材9は、ポリアセタール、ポリアミドまたはポリエチレン等の摺動性の高い樹脂材料で形成されている。本形態の回動防止部材9は、ポリアセタールで形成されている。回動防止部材9は、筒状をなす筒部9aと、筒部9aに繋がる回動防止部9bとを備えている。本形態の回動防止部材9は、筒部9aと回動防止部9bとから構成されている。
【0027】
筒部9aは、円筒状に形成されている。筒部9aの内周面には、被固定部材7のオネジ7aに係合するメネジ9cが形成されている。回動防止部9bは、筒部9aの後端に繋がっている。回動防止部9bは、筒部9aから後ろ側に向かって突出する2個の突出部9dによって構成されている。筒部9aの周方向における2個の突出部9dの間は、切欠き9eとなっている。2個の突出部9dのそれぞれには、回動防止面16aに対向する平面状の対向面9fが形成されている。すなわち、回動防止部9bには、互いに平行な2個の対向面9fが形成されている。本形態では、2個の回動防止面16aと2個の対向面9fとによって、吸着部材6の軸心を回動中心とした被固定部材7に対する吸着部材6の回動が防止されている。
【0028】
筒部9aおよびナット11は、被固定部材7のオネジ7aに係合している。筒部9aは、ナット11の後ろ側に配置されている。回動防止部材9は、筒部9aの前端面とナット11の後端とが所定の接触圧で接触するように筒部9aおよびナット11をオネジ7aに締め込むことで被固定部材7に固定されている。また、回動防止部材9は、被固定部材7の後端部に固定されている。筒部9aおよびナット11は、2個のナット10よりも後ろ側に配置されている。
【0029】
回動防止部9bは、被固定部材7よりも後ろ側に突出している。本形態では、被固定部材7に対する吸着部材6の可動範囲の全域において、回動防止面16aと対向面9fとが対向している。具体的には、被固定部材7に対して吸着部材6が最も前側まで移動しているときには、対向面9fの全体と回動防止面16aのほぼ全体とが対向し(図1参照)、被固定部材7に対して吸着部材6が最も後ろ側まで移動しているときには、対向面9fの後端部と回動防止面16aの前端部とが対向している(図2(B)参照)。
【0030】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、回動防止部材9の筒部9aとナット11とが被固定部材7のオネジ7aに係合しており、被固定部材7に対して回動防止部材9が着脱可能となっている。そのため、本形態では、被固定部材7に回動防止部材9を取り付ければ、被固定部材7に対する吸着部材6の回動を防止したい用途において吸着機構1を使用することが可能になり、かつ、被固定部材7から回動防止部材9を取り外せば、被固定部材7に対する吸着部材6の回動を規制したくない用途において吸着機構1を使用することが可能になる。したがって、本形態では、吸着機構1の汎用性を高めることが可能になる。
【0031】
また、本形態では、ヘッド板3に被固定部材7を固定するためのナット10が係合するオネジ7aを利用して回動防止部材9を取り付けているため(すなわち、ヘッド板3に被固定部材7を固定するために元々、被固定部材7に形成されているオネジ7aを利用して回動防止部材9を取り付けているため)、回動防止部材9を取り付けるための加工を別途、被固定部材7に行ったり、回動防止部材9を取り付けるための部材を別途、設けたりする必要がない。したがって、本形態では、被固定部材7等の構成を簡素化しつつ、吸着機構1の汎用性を高めることが可能になる。すなわち、本形態では、簡易な構成で吸着機構1の汎用性を高めることが可能になる。
【0032】
本形態では、回動防止部材9は、摺動性の高い樹脂材料で形成されている。そのため、本形態では、回動防止面16aと対向面9fとの接触に起因する回動防止部材9の摩耗を抑制することが可能になる。
【0033】
(他の実施の形態)
上述した形態において、3個以上の回動防止面16aおよび対向面9fによって、被固定部材7に対する吸着部材6の回動が防止されていても良い。この場合には、たとえば、回動防止部9bは筒状に形成されており、回動防止部9bの内周面に3個以上の対向面9fが形成されている。また、1個の回動防止面16aおよび対向面9fによって、被固定部材7に対する吸着部材6の回動が防止されていても良い。また、上述した形態において、回動防止部材9および抜け防止部材16のいずれか一方に形成される凹部と、回動防止部材9および抜け防止部材16のいずれか他方に形成されるとともに凹部に嵌る凸部とによって、被固定部材7に対する吸着部材6の回動が防止されていても良い。
【0034】
上述した形態では、回動防止部材9は、被固定部材7の後端部に固定されているが、図4図5に示すように、回動防止部材9は、被固定部材7の前端部に固定されていても良い。図4図5に示す変形例では、回動防止部9bは、筒部9aの前端に繋がっており、筒部9aから前側に向かって突出している。筒部9aは、ナット11の前側に配置されている。パッド保持部材15の外周面の前側部分には、回動防止面16aに相当する平面状の2個の回動防止面15bが形成されており、対向面9fは、回動防止面15bに対向している。なお、この変形例の抜け防止部材16は、たとえば、六角ナットである。また、図4図5では、上述した形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0035】
上述した形態において、吸着機構1が有するナット10の数は、1個であっても良い。たとえば、ヘッド板3の貫通穴3aにメネジが形成されている場合、ナット10とナット11との間にヘッド板3を挟み込むことで被固定部材7をヘッド板3に固定することができる場合、あるいは、被固定部材7の外周面に形成されるフランジとナット10との間にヘッド板3を挟み込むことで被固定部材7をヘッド板3に固定することができる場合等においては、吸着機構1が有するナット10の数は、1個であっても良い。
【0036】
上述した形態において、吸着部材6を付勢する付勢部材は、圧縮コイルバネ8以外のバネ部材であっても良いし、永久磁石を用いた磁気バネであっても良い。また、上述した形態において、パッド保持部材15は、樹脂材料で形成されていても良い。たとえば、パッド保持部材15は、ポリアセタール等の摺動性の高い樹脂材料で形成されていても良い。また、抜け防止部材16が樹脂材料で形成されていても良い。さらに、上述した形態において、回動防止部材9は、金属材料で形成されていても良い。また、上述した形態において、オネジ7aは、被固定部材7の前後方向の一部に形成されていても良い。
【0037】
上述した形態において、吸着部材6は、パッド取付アダプタ17を備えていなくても良い。この場合には、吸着パッド14は、介してパッド保持部材15の前端部に直接、取り付けられている。また、上述した形態において、吸着部材6は、吸着パッド14を備えていなくても良い。この場合には、パッド保持部材15の前端部が吸着部6aとなる。また、上述した形態において、吸着部材6は、鉛直方向に往復移動可能になっていても良い。また、上述した形態において、吸着機構1は、取出装置以外の装置で使用されても良い。たとえば、吸着機構1は、電子部品の実装装置(チップマウンター)等で使用されても良い。すなわち、吸着機構1は、電子部品等の、成形品2以外の吸着対象物を吸着して保持しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 吸着機構
2 成形品(樹脂成形品、吸着対象物)
3 ヘッド板(固定部材)
6 吸着部材
6a 吸着部
7 被固定部材
7a オネジ
8 圧縮コイルバネ(付勢部材)
9 回動防止部材
9a 筒部
9b 回動防止部
9c メネジ
9f 対向面
10 ナット(第1ナット)
11 ナット(第2ナット)
15b、16a 回動防止面
図1
図2
図3
図4
図5