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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065479
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】不整地走行車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 51/02 20060101AFI20220420BHJP
   B62D 55/06 20060101ALI20220420BHJP
   B62K 5/00 20130101ALI20220420BHJP
【FI】
B62D51/02
B62D55/06
B62K5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174089
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】519394768
【氏名又は名称】株式会社デザイオ
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】青木 英明
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AB01
3D011AD01
(57)【要約】
【課題】 平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などを連続走行が可能であり、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる不整地走行車両を提供する
【解決手段】 車体フレーム10と、車体フレーム10に連結された左右のクローラ2a、2bと、立ち乗り可能な搭乗部3と、車体フレーム10から上方に延びるハンドルポスト43と、ハンドルポスト43の上部に設けられたハンドルバー44とを有し、ハンドルポスト43を、車体フレーム10に前後左右方向に移動自在に支持する支持部50と、ハンドルポスト43の移動を制御するハンドルポスト移動制御手段60と、を備える。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、前記車体フレームに連結された左右のクローラと、立ち乗り可能な搭乗部と、前記車体フレームから上方に延びるハンドルポストと、前記ハンドルポストの上部に設けられたハンドルバーとを有し、
前記ハンドルポストを、前記車体フレームに前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動自在に支持する支持部と、
前記ハンドルポストの移動を制御するハンドルポスト移動制御手段と、を備える、
不整地走行車両。
【請求項2】
前記ハンドルポスト移動制御手段は、前記ハンドルポストを前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動させるアクチュエータ部を備える、
請求項1に記載の不整地走行車両。
【請求項3】
前記支持部は前後左右に回転傾斜するユニバーサルジョイントを有し、前記ハンドルポストを前後左右方向に移動自在に支持し、
前記アクチュエータ部は、前記ハンドルポストを前後方向に移動させる前後アクチュエータと、前記ハンドルポストを左右方向に移動させる左右アクチュエータと、前記前後アクチュエータ及び左右アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを備える、
請求項2に記載の不整地走行車両。
【請求項4】
前記ハンドルバーに設けられ、前記制御装置に指示信号を与えるスイッチ手段を有し、前記スイッチ手段による指示入力により、前記制御装置は、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する、
請求項3に記載の不整地走行車両。
【請求項5】
前記スイッチ手段は、ジョイスティックからなり、
前記ジョイスティックを車両の前後方向に移動させると、前記制御装置は、前記前後アクチュエータの駆動を制御し、前記ハンドルポストが前後方向に移動し、
前記ジョイスティックを車両の左右方向に移動させると、前記制御装置は、前記左右アクチュエータの駆動を制御し、前記ハンドルポストが左右方向に移動させる、
請求項4に記載の不整地走行車両。
【請求項6】
前記ハンドルポストに傾斜センサを設け、
前記制御装置は、前記ハンドルポストが重力方向に沿うように、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する、
請求項3に記載の不整地走行車両。
【請求項7】
前記制御装置は、前記ハンドルポストが重力方向より山側に所定角度オーバーシュートした状態に維持するように、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する、
請求項6に記載の不整地走行車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不整地走行車両に関し、立ち乗りが可能で山林地などの不整地での走行に適した不整地走行車両に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内の森林は、持続可能な環境資源として育成、維持、管理していくことが求められている。しかし、その多くが急峻で起伏が多い山岳にある。このような急峻で起伏が多い山林などの不整地での移動手段が求められている。
【0003】
立ち乗りが可能で山林地などの不整地での走行に適した不整地走行車両が特許文献1に提案されている。上記特許文献1に開示された不整地走行車両は、車体フレームと、前記車体フレームに連結された左右のクローラと、立ち乗り可能な搭乗部と、前記車体フレームから上方に延びるハンドルとを備え、前記車体フレームは、車体の左右方向に延びる第1支軸を介して前記クローラを上下揺動可能に支持するクローラ支持部と、左右の前記クローラを上下方向に背反揺動可能に連動連結する連動連結機構とを有し、左右の前記クローラは、それらのトラックフレームの後部側に備えられた第1連結部が前記第1支軸を介して前記車体フレームに連結され、かつ、前記トラックフレームの前部側に備えられた第2連結部が前記連動連結機構を介して前記車体フレームに連結されている。
【0004】
上記の構成によれば、例えば、左右いずれか一方のクローラが不整地の隆起部などに乗り上げるときは、そのときの乗り上げに応じて、その一方のクローラが車体フレームに対して第1支軸を支点にして上昇揺動するとともに、反対側の他方のクローラが車体フレームに対して第1支軸を支点にして下降揺動する。又、左右いずれか一方のクローラが不整地の沈降部などに入り込むときは、そのときの入り込みに応じて、一方のクローラが車体フレームに対して第1支軸を支点にして下降揺動するとともに、反対側の他方のクローラが車体フレームに対して第1支軸を支点にして上昇揺動する。
【0005】
このように、左右いずれか一方のクローラが隆起部などに乗り上げるときや沈降部などに入り込むときには、左右のクローラが車体フレームに対して背反的に上下揺動することから、各クローラの車体フレームに対する上下揺動を抑制しながら、一方のクローラが隆起部などに乗り上げることや沈降部などに入り込むことに起因した車体の左右傾斜を抑制することができる。
【0006】
ところで、不整地走行車両の車体は、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行で傾くとともに、その重力方向が変化する。乗員は車体の傾きに関わらず、重力軸に身体バランスを合わせるように、体勢を保持しようとする。
【0007】
上記した特許文献1に記載の不整地走行車両においては、ハンドルバーを上端に連結したハンドルポストを前後揺動可能に車体に取り付け、このハンドルポストに角度調整機構を設けて、ハンドルポストの前後方向の角度を調節可能に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-59416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した特許文献1の不整地走行車両における角度調整機構は、複数の凹部と、この凹部と係合する係合爪を備え、操作レバーを操作することにより、凹部と係合爪との係合を解除し、角度を調整した後に、操作レバーの操作を解除して、凹部と係合爪を係合させている。
【0010】
上記した特許文献1に記載の不整地走行車両においては、ハンドルポストの前後方向の角度を調整するためには、車両から降りて操作レバーの操作を行う必要があり、その操作に手間がかかる。このため、平地走行から登坂走行、降坂走行に移行する場合には、その都度車両を停止して、ハンドルポストの前後方向の角度調整を行うことになり、連続走行が行えない。
【0011】
又、斜面横行走行時には、車体の左右方向に重力方向が変化する。しかし、ハンドルポストを前後方向に角度を調整するだけでは、車体の左右方向への重力変化には対応することができず、適切な乗車姿勢がとりづらい。
【0012】
この発明は、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などを連続走行が可能であり、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる不整地走行車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、不整地走行車両の乗車姿勢について検討した。基本乗車姿勢は立位で、不安定な不整地斜面を走行するために、乗員はその体勢をハンドルバーにより把持する。ハンドルバーを把持した状態で、乗員が容易に且つ過剰な労力を必要とせずに乗車姿勢を保てる構成を考えた。
【0014】
車体は、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行で大きくその重力方向が変化する。
【0015】
ところで、人間は、斜面に立つ際、身体が重力軸に沿うようにバランスを取る。不整地走行車両に乗車した乗員は、車体の傾きに関わらず、重力軸に身体バランスを合わせるように体勢を保持するように試みる。
【0016】
しかし、ハンドルポストの角度が車体に垂直に固定されていると、ハンドルポストは斜面に対して垂直に立つことになる。このため、ハンドルポストに取り付けられたハンドルバーに掴まる乗員のバランスを崩すことになる。そこで、本発明者は、ハンドルポストを重力軸に沿った方向に保つことにより、車体が前後左右に傾いた状態においても乗員がバランスを保てることを見出した。
【0017】
本発明者は、このことを考慮し、その姿勢に合わせてハンドルバーを適切な角度で固定することで、適切な乗車姿勢をとることができることを見出した。
【0018】
この発明者は、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0019】
この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、車体フレームと、前記車体フレームに連結された左右のクローラと、立ち乗り可能な搭乗部と、前記車体フレームから上方に延びるハンドルポストと、前記ハンドルポストの上部に設けられたハンドルバーとを有し、
前記ハンドルポストを、前記車体フレームに前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動自在に支持する支持部と、
前記ハンドルポストの移動を制御するハンドルポスト移動制御手段と、を備える。
【0020】
この発明の一実施形態に係る不整地走行車両によれば、前記ハンドルポストを、前記車体フレームに前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動自在に支持し、前記ハンドルポスト移動制御手段によって、前記ハンドルポストを前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に所定量移動した状態で前記ハンドルポストの移動を停止させる。例えば、前記ハンドルポストを重力軸に沿った方向に移動し、その状態で前記ハンドルポストを停止させることにより、乗員がバランスを保てることができる。
【0021】
前記ハンドルポストの移動、停止は、不整地走行車両を停止せずに行える。これにより、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などの連続走行が可能となる。
【0022】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ハンドルポスト移動制御手段は、前記ハンドルポストを前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動させるアクチュエータ部を備える。
【0023】
上記構成によれば、前記ハンドルポストを前記アクチュエータ部により、前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動させることで、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などの連続走行が可能となる。
【0024】
又、前記ハンドルポストを、前記車体フレームに前後左右方向に移動自在に支持し、前記ハンドルポストをアクチュエータ部により、前後左右方向に移動させることで、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【0025】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記支持部は前後左右に回転傾斜するユニバーサルジョイントを有し、前記ハンドルポストを前後左右方向に移動自在に支持し、前記アクチュエータ部は、前記ハンドルポストを前後方向に移動させる前後アクチュエータと、前記ハンドルポストを左右方向に移動させる左右アクチュエータと、前記前後アクチュエータ及び左右アクチュエータの駆動を制御する制御装置とを備える。
【0026】
上記の構成によれば、前記前後アクチュエータ及び左右アクチュエータの駆動を制御することにより、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【0027】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ハンドルバーに設けられ、前記制御装置に指示信号を与えるスイッチ手段を有し、前記スイッチ手段による指示入力により、前記制御装置は、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する。
【0028】
上記の構成によれば、前記ハンドルバーに設けられたスイッチ手段により、前記ハンドルポストを適切な角度に移動させ、乗員が把持する前記ハンドルバーを適切な位置に保つことができる。これにより、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【0029】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記スイッチ手段は、ジョイスティックからなり、前記ジョイスティックを車両の前後方向に移動させると、前記制御装置は、前記前後アクチュエータの駆動を制御し、前記ハンドルポストが前後方向に移動し、前記ジョイスティックを車両の左右方向に移動させると、前記制御装置は、前記左右アクチュエータの駆動を制御し、前記ハンドルポストが左右方向に移動させる。
【0030】
上記のように、前記スイッチ手段をジョイスティックで構成することで、乗員は、所望する前後左右方向への前記ハンドルポストの移動を容易に指示することができる。
【0031】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ハンドルポストに傾斜センサを設け、前記制御装置は、前記ハンドルポストが重力軸方向に沿うように、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する。
【0032】
上記の構成によれば、前記傾斜センサのより、前記ハンドルポストを最適な角度に前後左右に移動させることができる。これにより、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【0033】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御装置は、前記ハンドルポストが重力方向より山側に所定角度オーバーシュートした状態に維持するように、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する。
【0034】
上記の構成によれば、前記ハンドルポストが重力方向より山側に所定角度オーバーシュートした状態に維持することで、操縦に余裕が生まれる。乗員の運転が容易になる。
【0035】
本明細書では、この発明に係る不整地走行車両の実施形態について説明する。
【0036】
以下の説明では、この発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくてもこの発明を実施できることが明らかである。
【0037】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0038】
[ハンドルポスト移動制御手段]
本明細書において、ハンドルポスト移動制御手段は、支持部により、車体フレームに前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動自在に支持されたハンドルポストの前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向の移動を制御する。ハンドルポスト移動制御手段は、メカニカル的にハンドルポストの移動を制御するもの又は電気的にハンドルポストの移動を制御するものを含む。例えば、メカニカル的にハンドルポストの移動を制御するハンドルポスト移動制御手段は、伸び縮み自在の伸縮部材をハンドルポストと車体フレームの間に取り付け、ハンドルポストの前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向の移動によって伸び縮みする前記伸縮部材の伸縮を止めるブレーキなどで構成することができる。例えば、電気的にハンドルポストの移動を制御するハンドルポスト移動制御手段は、前記ハンドルポストを前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動させるアクチュエータ部の移動動作を停止した状態のアクチュエータ部の負荷抵抗成分で構成することができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明の不整地走行車両によれば、ハンドルポストを、前記車体フレームに前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動自在に支持し、前記ハンドルポスト移動制御手段によって、前記ハンドルポストを前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に所定の量移動した状態で前記ハンドルポストの移動を停止させて、乗員がバランスを保てることができる。前記ハンドルポストの移動、停止は、不整地走行車両を停止せずに行える。これにより、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などの連続走行が可能となる。又、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両のクローラカバーを外した状態の側面図である。
図2図2は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の正面図である。
図3図3は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両のハンドルバー部分を示す拡大斜視図である。
図4図4は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の一方のクローラを外した状態を後方側から示す斜視図である。
図5図5は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の一方のクローラを外した状態を前方側から示す斜視図である。
図6図6は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の正面図であり、左右揺動リンクを見える状態にしている。
図7図7は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両のクローラを外した状態の背面図である。
図8図8は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両を示す斜視図であり、ハンドルポストが前方に傾いている状態を示している。
図9図9は、図8の一点鎖線で囲んだA部分の拡大斜視図である。
図10図10は、図8の一点鎖線で囲んだA部分の拡大斜視図であり、車体の後ろ側から見た状態を示している。
図11図11は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、平地走行の状態を示す斜視図である。
図12図12は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、平地走行の状態を示す側面図である。
図13図13は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、平地走行の状態を示す正面図である。
図14図14は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、登坂走行状態を示す側面図である。
図15図15は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、降坂走行状態を示す側面図である。
図16図16は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、斜面横行走行状態を示す正面図である。
図17図17は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の走行状態を示し、斜面を斜めに登る状態を示す斜視図である。
図18図18は、この発明の第2の実施形態に係る不整地走行車両の状態の正面図である。
図19図19は、この発明の第3の実施形態に係る不整地走行車両のハンドルバー部分を示す拡大斜視図である。
図20図20は、この発明の第3の実施形態に係る不整地走行車両の上面図である。
図21図21は、この発明の第3の実施形態に係る不整地走行車両の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0042】
以下、図中の矢印Fは、不整地走行車両の前方向を示す。図中のRRは、不整地走行車両の後方向を示す。図中の矢印Uは、不整地走行車両の上方向を示す。又、前後左右の方向は、それぞれ、不整地走行車両を運転する乗員から見た場合の前後左右の方向を意味する。
【0043】
図1は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両のクローラカバーを外した状態の側面図、図2は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の正面図、図3は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両のハンドルバー部分を示す拡大斜視図である。図4は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の一方のクローラを外した状態を後方側から示す斜視図、図5は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の一方のクローラを外した状態を前方側から示す斜視図、図6は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両の正面図であり、フロント部材を取り外して左右揺動リンクを見える状態にしている。図7は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両のクローラを外した状態の背面図である。
【0044】
図1図7に示すように、この一実施形態における不整地走行車両100は、車体1と、左クローラ2a及び右クローラ2bと、ハンドル部4とを有する。ハンドル部4は、ハンドルポスト43とハンドルバー44とを備えている。
【0045】
左クローラ2a及び右クローラ2bは、駆動スプロケット22により、左右独立して駆動される。左右それぞれの駆動スプロケット22は、それぞれの電動モータ21により駆動される。この実施形態においては、電動モータ21に直接駆動スプロケット22が取り付けられている。左クローラ2a及び右クローラ2bは駆動機構も含め、地上高約30cmに収められ、超低重心の駆動機構を実現している。
【0046】
車体1は、車体フレーム10を有する。左クローラ2a及び右クローラ2bは、それぞれ車体1の後方で車体フレーム10に対してクローラ支持部18a、18bを介して回転自在に支持されている。左クローラ2a及び右クローラ2bは、車体1前部の車体フレーム10に取り付けられた左右揺動リンク17を介して懸架されている。これにより、段差乗り越え性や不整地接地性を高くし、凹凸の激しい不整地走行性を確保している。
【0047】
この一実施形態においては、車体フレーム10に前後左右方向に角度自在にハンドルポスト43が支持部50によって取り付けられている。ハンドルポスト43は、ハンドルポスト移動制御手段60により、前記ハンドルポスト43を重力軸に沿った方向に沿って角度自在に固定することができる。これにより、ハンドルポスト43に取り付けられたハンドルバー44を把持する乗員Dの体重バランスを補助することできる。この結果、斜路走行の必要要件を満足しながら、転倒の不安を感じることがない状態で乗員Dが不整地走行車両100に乗車することができる。以下、この一実施形態に係る不整地走行車両を図面に従いさらに説明する。
【0048】
図1図7に示すように、この一実施形態に係る不整地走行車両100は、車体1の骨組みを形成する車体フレーム10と、車体フレーム10に連結された左クローラ2a及び右クローラと2bと、立ち乗り可能な搭乗部3と、車体フレーム10に取り付けられたハンドル部4とを備えている。
【0049】
ハンドル部4は、車体フレーム10の上方に延びるハンドルポスト43と、ハンドルポスト43の上部に設けられたハンドルバー44とを備えている。ハンドルポスト43は、支持部50を介して車体フレーム10に前後左右に移動自在に支持されている。支持部50とハンドルポスト43については、後述する。
【0050】
図4及び図5に示すように、車体フレーム10は、車体1の前後方向に延びる左右のサイド部材11と、左右のサイド部材11の前部側に亘る第1クロス部材12と、左右のサイド部材11の後端部に亘る第2クロス部材13とが溶接されることで、平面視で略矩形形状に形成されている。第1クロス部材12の上面には、その左右中央から前方に延びる中央部材14が固定されている。
【0051】
中央部材14の上面の前端部には、中央部材14に直交するように固定されたハンドル支持台15が設けられている。中央部材14の下面の前端部には、中央部材14に直交するように固定された下部部材16が設けられている。
【0052】
ハンドル支持台15は、ハンドルポスト43を前後左右の支持する支持部50と、ハンドルポスト移動制御手段60を構成する左右アクチュエータ61と前後アクチュエータ62が取り付けられている。
【0053】
図1図2図4図7に示すように、車体フレーム10は、車体1の左の側方に延びる支軸5a、車体1の右方向に延びる支軸5bを有する。車体フレーム10は、支軸5a、5bを介して左クローラ2a及び右クローラ2bをそれぞれ上下揺動可能に支持するクローラ支持部18a、18bと、左クローラ2a及び右クローラ2bを上下方向に背反揺動可能に連動連結する左右揺動リンク17を有している。
【0054】
左側のクローラ支持部18aは、左側のサイド部材11の後部側から左の横外方に張り出す左側ブラケット180aと、左側ブラケット180aに取り付けられたと支軸5aと、左側のクローラフレーム20に設けられた前記支軸5aを回転自在に支持する軸受部19aとを有する。
【0055】
右側のクローラ支持部18bは、右のサイド部材11の後部側から右の横外方に張り出す右側ブラケット180bと、右側ブラケット180bに取り付けられたと支軸5bと、右側のクローラフレーム20に設けられた前記支軸5bを回転自在に支持する軸受部19bとを有する。
【0056】
図1図2図4図7に示すように、左クローラ2a及び右クローラ2bは、それぞれ車体1の前後方向に延びるクローラフレーム20、クローラフレーム20の後端部に電動モータ21を介して支持された駆動スプロケット22、クローラフレーム20の前端部にテンション機構(図示せず)を介して支持されたテンション式の遊輪23、クローラフレーム20の前後中間部にイコライザアーム24を介して支持された前後の転輪25、26、駆動スプロケット22と遊輪23と前後の転輪25,26とに掛け渡されたクローラベルト27などを有している。各電動モータ21は、駆動スプロケット22に取り付けられたインホイールモータであり、それらの内部にはインバータ(図示せず)と減速機構(図示せず)などが備えられている。
【0057】
又、図1図4及び、図5においては、クローラカバー29の図示は省略している。図8に示すように、左クローラ2a及び右クローラ2bは、クローラカバー29が取り付けられ、駆動スプロケット22、遊輪23、転輪25、26を外部から覆うように構成されている。
【0058】
左クローラ2a及び右クローラ2bは、左右のそれぞれの電動モータ21にて独立駆動される電動式に構成されている。後述するように、ハンドルバー44に取り付けられた運転操作部としてのジョイスティック66の指示により電動モータ21の駆動が制御される。これにより、不整地走行車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向に等速駆動されることで前進方向に直進し、左クローラ2a及び右クローラ2bが逆回転方向に等速駆動されることで後進方向に直進する。
【0059】
不整地走行車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向に不等速駆動されることにより、前進方向の左右どちらかに旋回する。左クローラ2a及び右クローラ2bが逆回転方向に不等速駆動されることにより、後進方向の左右どちらかに旋回する。不整地走行車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bの一方のクローラが駆動停止された状態で他方のクローラ2が駆動されることでピボット旋回し、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向と逆回転方向とに等速駆動されることでスピン旋回する。
【0060】
又、不整地走行車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bを左右のディスクブレーキ(図示せず)にて制動停止させることができ、これにより、急峻な山林地などの不整地で使用した場合においても確実に制動停止状態に維持することができる。
【0061】
図1図2及び図8に示すように、搭乗部3は、車体フレーム10に支持されたフロアパネル30により形成されている。フロアパネル30は、その左右両端側にステップ部30aを有し、かつ、その左右中央側に台座部30bを有するように屈曲形成されている。台座部30bの後部側には、緩衝部材として機能する複数のスプリング7を介して座席8が着脱可能に取り付けられている。フロアパネル30には、その左右両端部から左クローラ2a及び右クローラ2bの上方に向けて延出する左右のフェンダ31が取り付けられている。
【0062】
図1図7に示すように、左クローラ2a及び右クローラ2bは、それらのクローラフレーム20の後部側に備えられた軸受部19a、19bと支軸5a、5bを介して車体フレーム10に連結され、かつ、クローラフレーム20の前部側に備えられた連結部20bが左右揺動リンク17を介して車体フレーム10に連結されている。軸受部19a、19bと支軸5a、5bとの間には、それらの相対回転を許容するベアリングなどが備えられている。
【0063】
図4及び図6に示すように、左右揺動リンク17は、車体1の前後方向に延びる支軸70と、車体フレーム10の第1クロス部材12に支軸70を介して上下方向に天秤揺動可能に支持された天秤アーム71と、天秤アーム71における左右の遊端部からクローラフレーム20の連結部20a、20bにわたる左右のダンパ72とを有している。天秤アーム71における左右の遊端側には、ユニバーサルジョイント73が設けられ、天秤アーム71が車体フレーム10の左右のサイド部材11に連結されている。
【0064】
以上の構成により、この不整地走行車両100は、その車体フレーム10に前述したクローラ支持部18a、18bと左右揺動リンク17とを有することから、例えば、車体左側の左クローラ2aが不整地の隆起部などに乗り上げるときは、そのときの乗り上げに応じて、車体左側の左クローラ2aが車体フレーム10に対して支軸5aを支点にして上昇揺動するとともに、車体右側の右クローラ2bが車体フレーム10に対して支軸5bを支点にして下降揺動する(図4参照)。
【0065】
又、例えば、車体左側の左クローラ2aが不整地の沈降部などに入り込むときは、そのときの入り込みに応じて、車体左側の左クローラ2aが車体フレーム10に対して支軸5aを支点にして下降揺動するとともに、車体右側の右クローラ2bが車体フレーム10に対して支軸5bを支点にして上昇揺動する。
【0066】
このように、左クローラ2a又は右クローラ2bの一方が隆起部などに乗り上げるときや沈降部などに入り込むときには、左クローラ2a又は右クローラ2bが車体フレーム10に対して背反的に上下揺動することから、左クローラ2a又は右クローラ2bの車体フレーム10に対する上下揺動を抑制しながら、左クローラ2a又は右クローラ2bの一方が隆起部などに乗り上げることや沈降部などに入り込むことに起因した車体1の左右傾斜を抑制することができる。その結果、起伏が多い山林地などの不整地での走破性を高めることができるとともに、搭乗部3の乗員Dに安心感を与えることができる。
【0067】
次に、支持部50とハンドルポスト43について、図8図10を参照して説明する。図8は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両を示す斜視図であり、ハンドルポスト43が前方に傾いている状態を示している。図9は、図8の一点鎖線で囲んだA部分の拡大斜視図、図10は、図8の一点鎖線で囲んだA部分の拡大斜視図であり、車体1の後ろ側から見た状態を示している。
【0068】
図8図10に示すように、ハンドルポスト43の下端部は、車体フレーム10の前部側に支持部50を介して前後左右に移動自在に支持されている。ハンドルポスト43の上端部にハンドルバー44が取り付けられている。
【0069】
支持部50は、ユニバーサルジョイントを構成する第1支持部50aと第2支持部50bとを備える。第1支持部50aは、ハンドル支持台15に固定され、第1支持部50aに第2支持部50bが左右方向に移動自在に取り付けられる。第2支持部50bは、ハンドル支持台15に対して、車体フレーム10の左右方向に移動自在に取り付けられる。
【0070】
ハンドルポスト43の下端部は第2支持部50bに固定される。第2支持部50bは,固定されたハンドルポスト43を車体フレーム10に対して前後方向に移動自在に支持する。第2支持部50bは、ハンドル支持台15に対して、車体フレーム10の左右方向に移動自在に取り付けられているので、第2支持部50bに固定されたハンドルポスト43は、第2支持部50bを介して車体フレーム10に対して左右方向に移動自在に支持されることになる。
【0071】
このように、ハンドルポスト43は、支持部50を構成する第1支持部50a、第2支持部50bを介して、車体フレーム10に対して前後左右に移動自在に支持される。
【0072】
ハンドルポスト43は、ハンドルポスト移動制御手段60により、前後左右の移動が制御される。ハンドルポスト移動制御手段60は、ハンドルポスト43を前後方向又は左右方向に所定量移動した状態でハンドルポスト43の移動を停止させる。
【0073】
この実施形態においては、ハンドルポスト移動制御手段60は、ハンドルポスト43を左右方向に移動させる左右アクチュエータ61と、ハンドルポスト43を前後方向に移動させる前後アクチュエータ62とにより構成される。
【0074】
左右アクチュエータ61は、本体部61dと本体部61dに出入するロッド部61aとロッド部61aを本体部61dから伸びる方向又は縮む方向に移動させるアクチュエータ駆動部61bとを有する。アクチュエータ駆動部61bと本体部61dは基部61cに取り付けられている。例えば、左右アクチュエータ61は、本体部61d内に台形ねじで構成されたアクチュエータを有し、モータよりなるアクチュエータ駆動部61bを駆動させることにより。台形ねじを回転させ、台形ねじに接続されたロッド部61aを本体部61dから伸びる方向に移動させ、又は、縮む方向に移動させる。
【0075】
基部61cがハンドル支持台15に揺動自在取り付けられる。ロッド部61aの先端がハンドルポスト43に揺動自在に取り付けられる。
【0076】
アクチュエータ駆動部61bの駆動により、ロッド部61aを本体部61dから伸ばす又は縮めることで、ハンドルポスト43が左右に移動する。ハンドルポスト43が車体1の左右方向に対して、直交する位置のロッド部61aの長さからロッド部61aが伸びるとハンドルポスト43は車体1に対して左方向に傾くように移動する。逆に、ロッド部61aが縮む方向に移動すると、ハンドルポスト43は車体1に対して右方向に傾くように移動する。すなわち、ロッド部61aが伸びるとハンドルポスト43は車体1に対して左方向に移動し、ロッド部61aが縮むとハンドルポスト43は右方向に移動する。
【0077】
前後アクチュエータ62は、本体部62dと本体部62dに出入するロッド部62aとロッド部62aを本体部62dから伸びる方向又は縮む方向に移動させるアクチュエータ駆動部62bとを有する。アクチュエータ駆動部62bと本体部62dは基部62cに取り付けられている。例えば、この前後アクチュエータ62も左右アクチュエータ61と同様に本体部62d内に台形ねじなどを有するアクチュエータ部を備える。
【0078】
基部62cがハンドル支持台15に揺動自在取り付けられる。ロッド部62aの先端がハンドルポスト43に揺動自在に取り付けられる。
【0079】
アクチュエータ駆動部62bの駆動により、ロッド部62aを本体部62dから伸ばす又は縮めることで、ハンドルポスト43が前後に移動する。ハンドルポスト43が車体1の前後方向に対して、直交する位置のロッド部62aの長さからロッド部62aが伸びるとハンドルポスト43は車体1に対して前方に傾くように移動する。逆に、ロッド部62aが縮む方向に移動すると、ハンドルポスト43は車体1に対して後方向に傾くように移動する。すなわち、ロッド部62aが伸びるとハンドルポスト43は車体1に対して前方向に移動し、ロッド部62aが縮むとハンドルポスト43は後方向に移動する。
【0080】
この実施形態においては、ハンドルバー44に取り付けられたスイッチ手段により、ハンドルポスト43を前後又は左右に移動させる指示を出す。この実施形態においては、スイッチ手段は、ジョイスティック67で構成されている。ジョイスティック66は、ハンドルバー44の左側のブレーキレバー69の近傍に取り付けられ、例えば、乗員Dの左手の親指又は人差し指などにより操作される。ジョイスティック66が操作により、後述する制御装置63に信号が与えられ、この指示信号に基づいて、制御装置63がアクチュエータ駆動部61b、62bの駆動を制御し、ロッド部61a、62aを所定の長さだけの本体部61d、62dから出没させてアクチュエータ駆動部61b、62bの駆動を停止する。
【0081】
ハンドルポスト43を前後又は左右方向に所定量移動した状態でハンドルポスト43の移動が停止する。例えば、前記ハンドルポスト43を重力軸に沿った方向に移動し、その状態でハンドルポスト43を停止させることにより、乗員Dがバランスを保てることができる。アクチュエータ駆動部61b、62bの駆動を停止させると、アクチュエータ駆動部61b、62bの負荷抵抗成分、例えば、台形ねじを回転させる負荷抵抗などにより、ハンドルポスト43の移動停止状態が維持される。
【0082】
ハンドルバー44は、乗員Dの身体の傾きをガイドするだけなので、ハンドルポスト43を移動させる左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62の駆動力は僅かでも非駆動時にロック(逆駆動しない)できる構造ならば良い。これにより、アクチュエータ駆動部61b、62bは、出力の小さなモータなどで対応することができる。
【0083】
上述したように、この実施形態においては、スイッチ手段として、左側のブレーキレバー69の近傍に取り付けられたジョイスティック67を用いる。スイッチ手段をジョイスティック67で構成した場合、ジョイスティック67を前後又は左右に移動させた場合には、ハンドルポスト43は前後又は左右に所定量移動した状態で停止させることができる。ジョイスティック67を斜め方向に移動させた場合には、ハンドルポスト43を前後及び左右に所定量移動させた状態で停止させることができる。
【0084】
このように、ジョイスティック67の動作により、ハンドルポスト43を前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に所定量移動した状態で移動を停止させることができる。これにより、ステップ部30aに足を乗せて立ち乗り状態でハンドルバー44を把持する乗員Dは、身体が重力軸に沿うように、ステップ部30a上に立つことになる。これにより、乗員Dは、車体1の傾きに関わらずバランスを保てることができる。又、ハンドルポスト43の移動、停止は、ジョイスティック67を操作させることにより、不整地走行車両100を停止せずに行える。これにより、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などの連続走行が可能となる。又、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【0085】
図4及び図5に示すように、車体フレーム10は、各電動モータ21に電力を供給するバッテリ(図示しない)が搭載されるバッテリ搭載部80を有している。バッテリ搭載部80は、車体フレーム10における左クローラ2aと右クローラ2bの中間位置に備えられている。
【0086】
これにより、比較的重量の大きいバッテリを、車体フレーム10における左クローラ2aと右クローラ2bの中間位置、つまり、不整地走行車両100の左右中央に搭載することができる。その結果、不整地走行車両100の左右バランスを良好にすることができ、車体1の安定性を向上させることができる。
【0087】
図1に示すように、バッテリ搭載部80の後端部には、各電動モータ21と左右アクチュエータ61と前後アクチュエータ62の動作を制御する制御装置63が配置されている。制御装置63は、マイクロプロセッサなどを備えた電子制御ユニットや各種の制御プログラムなどを格納したメモリなどによって構成されている。制御装置63は、バッテリ搭載部80やバッテリとともに、車体フレーム10の左右中間位置に備えられている。バッテリ及び制御装置63は、それらの上方に位置するフロアパネル30の台座部30bによって覆われている。
【0088】
図3に示すように、ハンドルバー44には、バッテリの残量などを表示する表示装置65と、クローラの動作を指示する操作部としてのジョイスティック66と、ハンドルポスト43を前後又は左右に移動させる指示を出すスイッチ手段としてのジョイスティック67と、左右のブレーキレバー69、69とを備えている。
【0089】
操縦動作を指示するジョイスティック66とハンドルポスト43の移動制御を指示するジョイスティック67は、それぞれ通信ケーブル(図示せず)を介して制御装置63に接続されている。
【0090】
制御装置63は、ジョイスティック66の操作に基づく操作指令に応じて各電動モータ21の回転方向と回転速度とを制御することで、不整地走行車両100の車速制御と前後進切り替え制御とステアリング制御などを行う。さらに、制御装置63は、ジョイスティック67の操作指令に基づき、左右アクチュエータ61と前後アクチュエータ62の動作を制御し、ハンドルポスト43を前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動させる。
【0091】
左右のブレーキレバー69、69は、左右のディスクブレーキにケーブル(図示しない)を介して連係され、乗員Dが左右のブレーキレバー69、69を掴むことにより、ディスクブレーキが作用し、不整地走行車両100に制動がかかる。
【0092】
図1図7に示すように、各クローラベルト27は、所定数のベルト構成部品27aが所定数の連結ピン27bにて連結されることで、所定の周長を有する無端状に形成されている。各ベルト構成部品27aの接地側には、滑り止め用の5つの突起部が形成されている。これにより、急峻な山林地や軟弱な不整地などでの各クローラ2の走破性を高めることができる。
【0093】
次に、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の走行状態とハンドルポスト43と乗員Dの姿勢について、図11図18を参照して説明する。尚,図11図18においては、ハンドルバー部分に設けられているバッテリの残量等を表示する表示装置65、クローラの動作指示する操作部としてのジョイスティック66、ハンドルポスト43の移動の指示を行うスイッチ手段としてのジョイスティック67については、図示を省略している。
【0094】
図11図13は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の平地走行の状態を示し、図11は斜視図、図12は側面図、図13は正面図である。
【0095】
図11図13に示すように、乗員Dは、ステップ部30aに足を乗せ、立ち乗り状態でハンドルバー44のグリップを両手で把持する。平地走行の場合は、ハンドルポスト43は、車体1に対して直交状態が重力軸に沿うことになる。乗員Dは、ジョイスティック67を中立状態とする。ジョイスティック67が中立状態の場合には、ハンドルポスト43は、車体1に対して直交状態を保つ。ハンドルポスト移動制御手段60としての左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62は駆動が停止されているので、ハンドルポスト43は、直立状態で固定された状態が維持され、乗員Dは、ハンドルバー44を把持することにより、重力軸に沿った搭乗姿勢を保つことができ、バランスを保った状態で平地走行が行える。
【0096】
次に、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の登坂走行について説明する。図14は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の登坂走行の状態を示す側面図である。
【0097】
平地走行又は降坂走行などから登坂走行に移行する場合には、乗員Dは、ジョイスティック67を前方に移動させ、前後アクチュエータ62を駆動させ、ハンドルポスト43を前方に傾ける。乗員Dは、ハンドルポスト43前方に移動させ、ハンドルポスト43が重力軸に沿うようなるまで前後アクチュエータ62を駆動させる。ハンドルポスト43が重力軸に沿う状態になると、乗員Dは、ジョイスティック67から指を離す。ジョイスティック67から指を離すことで、前後アクチュエータ62の駆動が停止する。
【0098】
ハンドルポスト移動制御手段60としての左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62は駆動が停止されているので、ハンドルポスト43は、重心軸に沿った状態で固定され、乗員Dは、登坂走行において、ハンドルバー44を把持することにより、重力軸に沿った搭乗姿勢を保つことができる。これにより、乗員Dは、ハンドルバー44を把持して斜面Sの傾斜に応じて適切な姿勢がガイドされ、バランスを保った状態で登坂走行が行える。
【0099】
次に、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の降坂走行について説明する。図15は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の降坂走行の状態を示す側面図である。
【0100】
平地走行又は登坂走行などから降坂走行に移行する場合には、乗員Dは、ジョイスティック67を後方に移動させ、前後アクチュエータ62を駆動させ、ハンドルポスト43を後方に傾ける。乗員Dは、ハンドルポスト43が重力軸に沿うような状態になるまで前後アクチュエータ62を駆動させる。前後アクチュエータ62の駆動により、ハンドルポスト43が後方に移動し重力軸に沿う状態になると、乗員Dは、ジョイスティック67から指を離す。ジョイスティック67から指を離すことで、前後アクチュエータ62の駆動が停止する。
【0101】
ハンドルポスト移動制御手段60としての左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62は駆動が停止されているので、ハンドルポスト43は、重心軸に沿った状態で固定され、乗員Dは、降坂走行において、ハンドルバー44を把持することにより、重力軸に沿った搭乗姿勢を保つことができ、バランスを保った状態で降坂走行が行える。
【0102】
次に、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の斜面横行走行状態について説明する。図16は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の斜面横行走行状態を示す側面図である。
【0103】
平地走行又は登坂走行若しくは降坂走行などから斜面横行走行に移行する場合には、乗員Dは、ジョイスティック67を横方向、図16に示す状態においては、左方向に移動させ、左右アクチュエータ61を駆動させ、ハンドルポスト43を左方向に傾ける。乗員Dは、ハンドルポスト43が重力軸に沿うようなるまで左右アクチュエータ61を駆動させる。ハンドルポスト43が重力軸に沿う状態になると、乗員Dは、ジョイスティック67から指を離す。ジョイスティック67から指を離すことで、左右アクチュエータ61の駆動が停止する。
【0104】
ハンドルポスト移動制御手段60としての左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62は駆動が停止されているので、ハンドルポスト43は、重心軸に沿った状態で固定され、乗員Dは、斜面横行走行において、ハンドルバー44を把持することにより、重力軸に沿った搭乗姿勢を保つことができ、バランスを保った状態で斜面Sに対して横行走行が行える。
【0105】
次に、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の斜面Sを斜め方向に登板する走行について説明する。図17は、この発明の一実施形態に係る不整地走行車両100の斜面Sを斜め方向に登板する走行の状態示す斜視図である。
【0106】
平地走行又は登坂走行若しくは降坂走行などから斜面を斜め方向に登板する走行に移行する場合には、乗員Dは、ジョイスティック67を斜め前方に移動させ、左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62を駆動させ、ハンドルポスト43を斜め前方に傾ける。乗員Dは、ハンドルポスト43が重力軸に沿うようになるまで左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62を駆動させる。ハンドルポスト43が斜め前方に移動し重力軸に沿う状態になると、乗員Dは、ジョイスティック67から指を離す。ジョイスティック67から指を離すことで、左右アクチュエータ61および前後アクチュエータ62の駆動が停止する。
【0107】
ハンドルポスト移動制御手段60としての左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62は駆動が停止されているので、ハンドルポスト43は、重心軸に沿った状態で固定され、乗員Dは、斜面を斜め方向に登板する走行において、ハンドルバー44を把持することにより、重力軸に沿った搭乗姿勢を保つことができ、バランスを保った状態で走行が行える。
【0108】
上述したように、人間は、斜面に立つ際、身体が重力軸に沿うようにバランスを取る。不整地走行車両100に乗車した乗員は、車体の傾きに関わらず、重力軸に身体バランスを合わせるように体勢を保持するように試みる。
【0109】
上述したように、この実施形態の不整地走行車両100においては、ジョイスティック67を用いて乗員Dがハンドルポスト43を所望の方向に移動させることにより、ハンドルポスト43を重力軸に沿った方向に保つことができる。これにより、車体1が前後左右に傾いた状態においても乗員Dがバランスを保てる。
【0110】
ハンドルポスト43の角度は、重力軸に完全に一致させる必要はなく、乗員Dがバランスを保つことができると認識した状態でジョイスティック67から指をはなせばよい。従って、ハンドルポスト43の車体1に対する角度は、乗員Dが好む角度で停止させればよい。
【0111】
図18は、この発明の第2の実施形態に係る不整地走行車両100の正面図である。尚、第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0112】
この第2の実施形態は、ハンドルポスト43に傾斜センサ91を設けている。また、車体1にも傾斜センサ92を設けている。この傾斜センサ91、92の出力が制御装置63に与えられる。
【0113】
制御装置63は、車体1に設けられた傾斜センサ92により、車体1の傾きから不整地走行車両100の走行状態を判断する。制御装置63は、走行状態が平地走行、登板走行、降坂走行、斜面横行走行などの状態を判断し、その状態に応じて、ハンドルポスト43の前後左右の角度を算出し、その算出した角度に応じて左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62の駆動を制御し、ハンドルポスト43の角度を所定角度に移動させた後、左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62の駆動を停止させる。ハンドルポスト43を所定角度に維持させる。
【0114】
このように構成することで、乗員Dは、ジョイスティック67を操作することなく、最適なハンドルバー44の位置で走行することができる。
【0115】
さらに、制御装置63は、ハンドルポスト43が重力方向Pより山側に所定角度(α)分オーバーシュートした状態に維持するように、左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62の駆動を制御するように構成してもよい。
【0116】
ハンドルポスト46が重力方向より山側に所定角度オーバーシュートした状態に維持することで、操縦に余裕が生まれる。乗員Dの運転が容易になる。ハンドルバーは鉛直への固定でバランス的には問題ない。ところで、傾斜地に立つ際、人間は谷側への傾斜は恐怖感が発生する。本発明者は、山側への傾斜は安心感が生まれることを見出した。そこで、鉛直よりも、ハンドルポスト43を山側に傾けることで、乗員Dの斜面走行安定感、安心感を高められ、操縦に余裕が生まれるので、この実施形態では、山側に例えば、15度の角度分オーバシュートさせて、安心感を持たせて操縦に余裕を持たせている。
【0117】
オフセットする角度は、斜面Sの傾斜角度により、制御装置63が算出し、その算出結果に応じた角度になるように、ハンドルポスト43に設けた傾斜センサ91の出力に応じて、制御装置63が左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62の駆動を制御すればよい。
【0118】
なお、ハンドルポスト43を重力軸に沿った位置に自動的に制御する場合には、ハンドルポスト43に傾斜センサ91を設け、車体1の傾斜センサ92は省略することができる。
【0119】
次に、この発明の第3の実施形態について図19図21を参照して説明する。図19は、この発明の第3の実施形態に係る不整地走行車両のハンドルバー部分を示す拡大斜視図、図20は、この発明の第3の実施形態に係る不整地走行車両の上面図、図21は、この発明の第3の実施形態に係る不整地走行車両の正面図である。尚、第1の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0120】
上記した実施形態おいては、左クローラ2a及び右クローラ2bの駆動指示をジョイスティック66の操作により行っている。これに対して、第3の実施形態にいては、ジョイスティック66の代わりに、ハンドルバー44の左右のグリップ近傍に左用スイッチ66L及び右用スイッチ66Rを設けている。
【0121】
左用スイッチ66L及び右用スイッチ66Rは、それぞれ前後に移動可能なレバー66LD、66RDを備える。左用スイッチ66L及び右用スイッチ66Rにより、左クローラ2a及び右クローラ2bの駆動を制御する。
【0122】
乗員Dは、ハンドルバー44の左右のグリップ部をそれぞれ右手、左手で把持し、左手の人差し指又は親指により、左用スイッチ66Lのレバー66LDを操作する。同様に、右手の人差し指又は親指により、右用スイッチ66Rのレバー66RDを操作する。
【0123】
左用スイッチ66Lのレバー66LDを指により後に引き込むと、左クローラ2aが前方に移動するように電動モータ21が回転する。また、左用スイッチ66Lのレバー66LDを指により前に押し出すと、左クローラ2aが後方に移動するように電動モータ21が回転する。
【0124】
同様に、右用スイッチ66Rのレバー66RDを指により後に引き込むと、右クローラ2bが前方に移動するように電動モータ21が回転する。また、右用スイッチ66Rのレバー66RDを指により前に押し出すと、右クローラ2bが後方に移動するように電動モータ21が回転する。
【0125】
左クローラ2a及び右クローラ2bを駆動するそれぞれの電動モータ21の回転速度はレバー66LD、66RDを引き込む大きさ又は押し出す大きさにより制御される。レバー66LD、66RDの引き込み量又は押し出し量を指で調整することにより、不整地走行車両100の走行速度、前進、後進、左折、右折などが制御される。
【0126】
また、レバー66LD、66RDから指を離すと電動モータ21は停止し、左クローラ2a、右クローラ2bの回転を停止する。すなわち、レバー66LD、66RDを前に押さない又は後に引き込まない場合には、左クローラ2a、右クローラ2bは停止してブレーキがかかった状態と同じ状態に維持される。このため、この第3の実施形態においては、ディスクブレーキ及びディスクブレーキを駆動させるブレーキレバーは設けていない。
【0127】
ハンドルポスト43の前後左右に移動させるための左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62の駆動を制御するジョイスティック67aは右用スイッチ66Rの上に設けている。
【0128】
ジョイスティック67aを用いて、乗員Dは、ハンドルポスト43の移動を制御する。
【0129】
左用スイッチ66Lのレバー66LD操作、右用スイッチ66Rのレバー6666RDの操作と、ジョイスティック67aの操作により、不整地走行車両100を停止せずに、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などの連続走行が可能となる。又、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【0130】
〔別実施形態]
この発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0131】
上記した不整地走行車両100は、搭乗部3に座席8を設けているが、座席8を備えない立ち乗り専用に構成されていてもよい。
【0132】
又、不整地走行車両100に、台車を取り付けてもよい。
【0133】
又、上記した実施形態においては、ハンドルポスト43は支持部50により、車体1に対して前後左右に移動自在に支持されているが、ハンドルポスト43は、車体1に対して前後だけ又は左右だけ移動可能に支持するように構成してもよい。前後だけの場合には、登坂走行又は降坂走行の際に最適な乗車姿勢を容易にとることができ、左右だけの場合には、斜面横行走行の際に最適な乗車姿勢を容易にとることができる。
【0134】
上記した実施形態においては、ハンドルポスト移動制御手段60は、ハンドルポスト43を前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に電気的に移動させる左右アクチュエータ61及び前後アクチュエータ62が停止しているときの負荷抵抗成分で構成しているが、ハンドルポスト移動制御手段60は、電気的な手段には限られない。例えば、メカニカル的にハンドルポストの移動を制御するハンドルポスト移動制御手段60は、伸び縮み自在の伸縮部材をハンドルポストと車体フレームの間に取り付け、ハンドルポストの前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向の移動によって伸び縮みする前記伸縮部材の伸縮を止めるブレーキなどで構成することができる。
【0135】
上記した第3の実施形態においては、ハンドルバー44の左右のグリップ近傍に左用スイッチ66L及び右用スイッチ66Rを設け、左用スイッチ66Lにより、左クローラ2aの駆動を制御し、右用スイッチ66Rにより、右クローラ2bの駆動を制御する。左用スイッチ66L及び右用スイッチ66Rを用いて、第3の実施形態とは異なる不整地走行車両100の走行制御を行うように構成することもできる。例えば、右用スイッチ66Rをアクセルスイッチ、左用スイッチ66Lをステアリングスイッチとして用いることができる。
【0136】
右用スイッチ66Rをアクセススイッチとして用いる場合には、例えば、レバー66RDを指により後に引き込むと、電動モータ21が正方向に回転し、左クローラ2a、右クローラ2bが正回転方向に等速駆動されることで前進方向に直進する。レバー66RDを指に前に押し込むと、電動モータ21が逆方向に回転し、左クローラ2a、右クローラ2bが逆回転方向に等速駆動されることで後進方向に直進する。
【0137】
左クローラ2a及び右クローラ2bを駆動するそれぞれの電動モータ21の回転速度はレバー66RDを引き込む大きさ又は押し出す大きさにより制御される。レバー66RDの引き込み量又は押し出し量を指で調整することにより、不整地走行車両100の走行速度、前進、後進が制御される。
【0138】
左用スイッチ66Lをステアリングススイッチとして用いる場合には、例えば、レバー66LDを指により後に引き込む又は前に押し出すことにより、不整地走行車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向に不等速駆動される。例えば、レバー66LDを指により後に引き込むことにより、左クローラ2aの方が右クローラ2bより速く回転し、不整地走行車両100は左方向に旋回する。逆に、レバー66LDを指により前に押し込むことにより、右クローラ2bの方が左クローラ2aより速く回転し、不整地走行車両100は右方向に旋回する。左クローラ2a及び右クローラ2bの速度差は、レバー66LDを引き込む大きさ又は押し出す大きさにより制御される。レバー66LDの引き込み量又は押し出し量を指で調整することにより、不整地走行車両100の旋回角度を制御することができる。
【0139】
また、レバー66LD、66RDから指を離すと電動モータ21は停止し、左クローラ2a、右クローラ2bの回転を停止する。
【符号の説明】
【0140】
1 :車体
2a :左クローラ
2b :右クローラ
3 :搭乗部
4 :ハンドル部
5a :支軸
5b :支軸
10 :車体フレーム
15 :ハンドル支持台
17 :左右揺動リンク
18a :クローラ支持部
18b :クローラ支持部
20 :クローラフレーム
21 :電動モータ
22 :駆動スプロケット
23 :遊輪
43 :ハンドルポスト
44 :ハンドルバー
50 :支持部
50a :第1支持部
50b :第2支持部
60 :ハンドルポスト移動制御手段
61 :左右アクチュエータ
62 :前後アクチュエータ
63 :制御装置
66 :ジョイスティック
66L :左用スイッチ
66LD :レバー
66R :右用スイッチ
66RD :レバー
67 :ジョイスティック
67a :ジョイスティック
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