(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065500
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】液体洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20220420BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220420BHJP
C11D 1/83 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D3/20
C11D1/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174123
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 智貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 達哉
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003BA12
4H003BA18
4H003EA12
4H003EA16
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB14
4H003EC02
4H003EC03
4H003ED02
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA06
4H003FA07
4H003FA12
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】経時による水溶性フィルム製容器の軟化や脆化が抑制された液体洗浄剤物品を提供する。
【解決手段】水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品であって、前記液体洗浄剤組成物は、下記(A1)成分、下記(A2)成分、及び下記(A3)成分からなる(A)成分を含有する、液体洗浄剤物品。
(A1)成分:グリセリン、(A2)成分:プロピレングリコール、(A3)成分:ソルビトール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品であって、
前記液体洗浄剤組成物は、下記(A1)成分、下記(A2)成分、及び下記(A3)成分からなる(A)成分を含有する、液体洗浄剤物品。
(A1)成分:グリセリン。
(A2)成分:プロピレングリコール。
(A3)成分:ソルビトール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
【請求項2】
水の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して20質量%未満である、請求項1に記載の液体洗浄剤物品。
【請求項3】
前記(A1)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%であり、
前記(A2)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~30質量%であり、
前記(A3)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%である、請求項1または2に記載の液体洗浄剤物品。
【請求項4】
前記(A)成分の総含有量に対する前記(A1)成分の含有量の比[(A1)/(A)]が0.02~0.6であり、
前記(A)成分の総含有量に対する前記(A2)成分の含有量の比[(A2)/(A)]が0.3~0.7であり、
前記(A)成分の総含有量に対する前記(A3)成分の含有量の比[(A3)/(A)]が0.02~0.6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体洗浄剤物品。
【請求項5】
前記液体洗浄剤組成物が、さらに、(B)成分:界面活性剤を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体洗浄剤物品。
【請求項6】
前記液体洗浄剤組成物が、前記(B)成分として、少なくともノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含む、請求項5に記載の液体洗浄剤物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品(いわゆる液体タブレット型洗剤)は、使用者が液体洗浄剤組成物を計量する手間を省けると共に、計量時に液体洗浄剤組成物をこぼしてしまう懸念もない。そのため、衣料等の繊維製品を洗浄する際の利便性の高い液体洗浄剤物品として注目されている。
【0003】
液体洗浄剤物品の容器を構成する水溶性フィルムには、弾力性を与えるため、可塑剤が配合されている。また、その容器に封入される液体洗浄剤組成物にも可塑剤を含有させ、水溶性フィルム内の可塑剤が液体洗浄剤組成物に移行して水溶性フィルムが脆化し脆弱になることの防止が図られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液体洗浄剤組成物に含有させる可塑剤の種類や量についての検討は、未だ充分に成されていない。そのため、容器を構成する水溶性フィルムが脆化、又は液体洗浄剤組成物中の可塑剤により、容器を構成する水溶性フィルムの軟化が進行し、経時により外観が見窄らしくなると共に、触感も貧弱となる場合があった。
そこで、本発明は、経時による水溶性フィルム製容器の軟化や脆化が抑制された液体洗浄剤物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品であって、
前記液体洗浄剤組成物は、下記(A1)成分、下記(A2)成分、及び下記(A3)成分からなる(A)成分を含有する、液体洗浄剤物品。
(A1)成分:グリセリン。
(A2)成分:プロピレングリコール。
(A3)成分:ソルビトール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
[2]水の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して20質量%未満である、[1]に記載の液体洗浄剤物品。
[3]前記(A1)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%であり、
前記(A2)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~30質量%であり、
前記(A3)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%である、[1]または[2]に記載の液体洗浄剤物品。
[4]前記(A)成分の総含有量に対する前記(A1)成分の含有量の比[(A1)/(A)]が0.02~0.6であり、
前記(A)成分の総含有量に対する前記(A2)成分の含有量の比[(A2)/(A)]が0.3~0.7であり、
前記(A)成分の総含有量に対する前記(A3)成分の含有量の比[(A3)/(A)]が0.02~0.6である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の液体洗浄剤物品。
[5]前記液体洗浄剤組成物が、さらに、(B)成分:界面活性剤を含有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の液体洗浄剤物品。
[6]前記液体洗浄剤組成物が、前記(B)成分として、少なくともノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含む、[5]に記載の液体洗浄剤物品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、経時による水溶性フィルム製容器の軟化や脆化が抑制された液体洗浄剤物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体洗浄剤物品は、水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入されたものである。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、水溶性とは25℃の水300mLに30mm四方の水溶性フィルム試験片を入れ撹拌し、120秒以内に完全に溶解する性質を意味する。
【0009】
[水溶性フィルム]
容器を構成する水溶性フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸もしくはその塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸とアクリル酸とのコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンもしくはカラゴム等の天然ゴム類などが挙げられる。これらの材料の中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0010】
水溶性フィルムは可塑剤を含有している。可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,3-ブタンジオールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ポリビニルピロリドンなどのポリビニルアミド類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水などが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0011】
水溶性を向上させる目的には、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが好ましく、特に可塑剤のブリードアウトによるフィルムの水溶性低下を抑制する効果の点から、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが特に好ましい。
【0012】
水溶性フィルムに含有させる可塑剤の含有量は、ポリビニルアルコール質量部に対して1~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。
水溶性フィルムに含有させる可塑剤の含有量が上記好ましい範囲であれば、容器に適度な柔軟性を付与することができる。
【0013】
水溶性フィルムには、必要に応じて無機フィラー(例えば、シリカ、重質、軽質または表面処理された炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、マイカ、炭酸マグネシウム、カオリン、ハロイサイト、パイロフィライト、セリサイトなどのクレー、タルクなど)、や着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、 カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸またはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性高分子等の添加剤を含有させてもよい。
【0014】
水溶性フィルムの市販品としては、例えば、Monosol LLC社(米国インディアナ州メリルビル)によって販売されるような商品名がモノゾルM8310、M8312、M8630、M7061、M8900等が挙げられる。
【0015】
[液体洗浄剤組成物]
液体洗浄剤組成物は(A)成分を含む。また、界面活性剤((B)成分)、酵素((C)成分)、及びキレート剤、抗菌剤、酸化防止剤、その他の成分を必要に応じて含有することができる。本発明の液体洗浄剤組成物に含有される水は、通常の洗浄剤組成物より少ないことが好ましい。
【0016】
<(A)成分>
本発明における液体洗浄剤物品は、液体洗浄剤組成物が(A)成分を含む。(A)成分は可塑剤として機能する成分である。これにより、容器を構成する水溶性フィルム内の可塑剤が液体洗浄剤組成物に移行して水溶性フィルムが脆化し脆弱になることを防止できる。
【0017】
(A)成分は、下記(A1)成分、下記(A2)成分、及び下記(A3)成分からなる。
(A1)成分:グリセリン。
(A2)成分:プロピレングリコール。
(A3)成分:ソルビトール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
【0018】
炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノールなどが挙げられる。
【0019】
炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類としては、1,3-ジメチルグリセリルエーテル、エチルグリセリルエーテル、1,3-ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、又は2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
(A)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して25~45質量%が好ましく、30~42質量%がより好ましく、35~40質量%がさらに好ましい。
(A)成分の総含有量が上記好ましい下限値以上であれば、水溶性フィルムの脆化が抑制されるため、液体洗浄剤包装体として壊れにくく、また水溶性フィルムの溶解性も向上する。
一方、上記好ましい上限値超としても、それに見合う脆化の改善効果は見られないので、経済的に不利である。また、上記好ましい上限値以下とすることにより、水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0021】
(A1)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましく、5~8質量%がさらに好ましい。
(A)成分の総含有量に対する(A1)成分の含有量の比[(A1)/(A)]は、0.02~0.6が好ましく、0.07~0.3がより好ましく、0.12~0.23がさらに好ましい。
(A1)成分の含有量又は(A)成分の総含有量に対する比が上記好ましい下限値以上であれば水溶性フィルムの脆化が抑制される。
(A1)成分の含有量又は(A)成分の総含有量に対する比が上記好ましい上限値以下であれば水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0022】
(A2)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~30質量%が好ましく、10~28質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。
(A)成分の総含有量に対する(A2)成分の含有量の比[(A2)/(A)]は、0.3~0.7が好ましく、0.4~0.7がより好ましく、0.4~0.6がさらに好ましい。
(A2)成分の含有量又は(A)成分の総含有量に対する比が上記好ましい下限値以上であれば外観安定性及び良好な流動性を担保でき、水溶性フィルムの脆化が抑制される。
(A2)成分の含有量又は(A)成分の総含有量に対する比が上記好ましい上限値以下であれば水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0023】
(A3)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%が好ましく、3~12質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。
(A)成分の総含有量に対する(A3)成分の含有量の比[(A3)/(A)]は、0.02~0.6が好ましく、0.07~0.4がより好ましく、0.12~0.29がさらに好ましい。
(A3)成分の含有量又は(A)成分の総含有量に対する比が上記好ましい下限値以上であれば水溶性フィルムの脆化が抑制される。
(A3)成分の含有量又は(A)成分の総含有量に対する比が上記好ましい上限値以下であれば水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。また低温安定性が良好となる。
【0024】
(A2)成分と(A3)成分の合計量に対する(A1)成分の含有量の比[(A1)/((A2)+(A3))]は、0.05~1が好ましく、0.1~0.5がより好ましく、0.1~0.3が特に好ましい。[(A1)/((A2)+(A3))]がこの範囲であると、水溶性フィルムの脆化が抑制され、また、水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0025】
本発明の効果を損なわない範囲で、上記(A)成分以外の可塑剤として機能する他の成分を含んでいてもよい。
可塑剤として機能する他の成分としては、2-メチル―1,3―プロパンジオール、メタノール、ジグリセロール、1,4-ブタンジオール、尿素が挙げられる。
【0026】
<(B)成分:界面活性剤>
(B)成分としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
(B)成分として、1種の界面活性剤を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
洗浄力がより高まる観点から、(B)成分はノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
また、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤に加えて、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤の1つ以上を併用してもよい。
【0027】
(ノニオン界面活性剤)
ノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
なかでも、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましく、そのなかでも特に、下記一般式(B1)で表される化合物(以下、「化合物(B1)」ともいう。)、下記一般式(B2)で表される化合物(以下、「化合物(B2)」ともいう。)がより好ましい。
【0028】
化合物(B1)は、下記一般式(B1)で表される直鎖の炭化水素基を有する化合物である。
R11-O-[(EO)s/(A11O)t]-(EO)u-R12 ・・・(B1)
(一般式(B1)中、R11は炭素数8~22の直鎖の炭化水素基である。R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。tはA11Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0029】
一般式(B1)中、R11の炭化水素基の炭素数は、8~22であり、10~18が好ましく、12~18がより好ましい。R11の炭化水素基は直鎖である。また、R11の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
-O-に結合するR11の炭素原子は、第一級炭素原子でも第二級炭素原子でもよい。
R12がアルキル基の場合、炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
R12がアルケニル基の場合、炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
R12は水素原子が特に好ましい。
sは3~25であり、5~25が好ましく、7~20がより好ましく、7~18がさらに好ましく、9~18が特に好ましく、11~18が最も好ましい。
tは0~6であり、0~3が好ましい。
uは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
s+uは3~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、7~20が特に好ましく、9~18が最も好ましく、11~18が非常に好ましい。
【0030】
tが0でない場合、つまり化合物(B1)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)s/(A11O)t]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R11-O-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R11-O-」に結合してもよい。ただし、uが0でない場合、[(EO)s/(A11O)t]の末端で-(EO)uに結合するのはA11O、すなわち、PO又はBOである。
tが0でない場合、化合物(B1)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
【0031】
化合物(B1)の市販品としては、例えば、ライオン社製、商品名「LMAL-90」(一般式(B1)中、R11が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり(質量比でC12:C14=75:25)、酸素原子に結合するR11の炭素原子は第一級炭素原子であり、R12が水素原子であり、sが12であり、tが0であり、uが0である化合物(B1))等が挙げられる。
【0032】
化合物(B2)は、下記一般式(B2)で表される分岐鎖の炭化水素基を有する化合物である。
R13-O-[(EO)v/(A12O)w]-(EO)x-R14 ・・・(B2)
(一般式(B2)中、R13は炭素数8~22の分岐鎖の炭化水素基である。R14は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。vはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A12OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。wはA12Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。xはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0033】
一般式(B2)中、R13の炭化水素基の炭素数は、8~22であり、10~18が好ましく、12~18がより好ましい。R13の炭化水素基は分岐鎖である。また、R13の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
-O-に結合するR13の炭素原子は、第一級炭素原子でも第二級炭素原子でもよい。
R14がアルキル基の場合、炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
R14がアルケニル基の場合、炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
R14は水素原子が特に好ましい。
【0034】
vは3~25であり、5~18が好ましく、5~15がより好ましく、5~10がさらに好ましく、5~8が特に好ましい。
wは0~6であり、0~3が好ましい。
xは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
v+xは3~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、5~15が特に好ましく、5~10が最も好ましく、5~8が非常に好ましい。
【0035】
wが0でない場合、つまり化合物(B2)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)v/(A12O)w]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R13-O-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R13-O-」に結合してもよい。ただし、xが0でない場合、[(EO)v/(A12O)w]の末端で-(EO)xに結合するのはA12O、すなわち、PO又はBOである。
wが0でない場合、化合物(B2)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
【0036】
化合物(B2)の市販品としては、例えば、三菱化学社製のダイヤドール(登録商標)(C13、Cの次の数字は、アルコールの炭素数を示す。以下同様。)、Shell社製のNeodol(登録商標)(C12とC13との混合物)、Sasol社製のSafol(登録商標)23(C12とC13との混合物)、EXXAL(登録商標)13(C13)等のアルコールに対して、3~10モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;
ブテンを3量化して得られる炭素数12のアルケンをオキソ法に供して得られるC13のアルコールに対して、3又は5モル相当、もしくは7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol(登録商標) TO3、Lutensol TO5、Lutensol TO7、BASF社製);
ブテンを3量化して得られる炭素数12のアルケンをオキソ法に供して得られるC13のアルコールに対して、12モル相当又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol(登録商標) TO12、Lutensol TO15等、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XP90、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XL70、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XA60、BASF社製)などが挙げられる。
【0037】
これらの中で、Sasol社製の商品名Safol23(分岐率:50質量%)(石炭のガス化から得られるオレフィンをオキソ法によりアルコールを得て、更に水素化したもの)や、シェルケミカルズ社製の商品名ネオドール23(分岐率:20質量%)(n-オレフィンから改良オキソ法により生成し、精留したもの)は、化合物(B2)単独ではなく、化合物(B1)と化合物(B2)の混合物となっている。なお、「分岐率」とは、化合物(B1)のR11-O-を有するR11-OHと、化合物(B2)のR13-O-を有するR13-OHの合計量に対するR13-OHの割合(質量%)を示す。
【0038】
ノニオン界面活性剤は、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤として、下記一般式(B3)で表される化合物(以下、「化合物(B3)」ともいう。)を含んでもよい。
R15-X-[(EO)p/(A13O)q]-(EO)r-R16 ・・・(B3)
(一般式(B3)中、R15は炭素数7~21の炭化水素基である。-X-は、-COO-又は-CONH-である。R16は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。pはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A13はPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。qはA13Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。rはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0039】
一般式(B3)中、R15の炭化水素基の炭素数は、7~21であり、9~19が好ましく、11~19がより好ましい。R15の炭化水素基は直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。また、R15の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
-X-に結合するR15の炭素原子は、第二級炭素原子である。
【0040】
R16がアルキル基の場合、炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
R16がアルケニル基の場合、炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
R16はアルキル基が特に好ましい。
【0041】
pは3~25であり、5~20が好ましく、10~18がより好ましく、12~18がさらに好ましい。
qは0~6であり、0~3が好ましい。
rは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
p+rは5~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、10~20が特に好ましい。
【0042】
qが0でない場合、つまり化合物(B3)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)p/(A13O)q]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R15-X-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R15-X-」に結合してもよい。ただし、rが0でない場合、[(EO)p/(A13O)q]の末端で-(EO)rに結合するのはA13O、すなわち、PO又はBOである。
qが0でない場合、化合物(B3)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
【0043】
(アニオン界面活性剤)
アニオン界面活性剤としては、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(HAS)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
アニオン界面活性剤としては、LAS、AOS、AS、AESが好ましく、なかでも、洗浄力がより高まる観点から、LAS、AESがより好ましい。液体洗浄剤は少なくともAESを含むことが好ましく、LASとAESの両方を含むことがより好ましい。
【0044】
ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)は、下記一般式(B4)で表される。
R17-O-[(EO)m/(PO)n]-SO3
-M+ ・・・(B4)
(一般式(B4)中、R17は、炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。POはオキシプロピレン基である。mはEOの平均繰り返し数を表す0.1以上の数である。nはPOの平均繰り返し数を表す0~6の数である。[(EO)m/(PO)n]は、EOとPOの配列順に限定がないことを示し、M+は対カチオンである。)
【0045】
AESとしては、炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均1~5モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数としては、10~20が好ましく、12~14がより好ましい。特に、炭素数10~20の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖のアルキル基がより好ましい。具体的には、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。
【0046】
mは0.1~5が好ましく、0.1~3がより好ましく、0.5~2がさらに好ましく、0.5~1.5が特に好ましい。
nは0~6であり、0~3が好ましく、0がより好ましい。
m+nは0超が好ましく、1~5がより好ましい。
【0047】
nが0でない場合、つまりAESが、EOとPOを有する場合、[(EO)m/(PO)n]においてEOとPOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R17-O-」に結合してもよいし、POが「R17-O-」に結合してもよい。
EOとPOとをブロック状に配列させる方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入し、さらに、エチレンオキシドを導入する方法等が挙げられる。
【0048】
(高級脂肪酸)
「高級脂肪酸」とは、炭素数8~22の脂肪酸である。高級脂肪酸(塩)を含有することで、液体洗浄剤組成物は、すすぎ性を高められる。すすぎ性を高めると、洗浄処理後のすすぎ処理の回数を減らすことができる。
高級脂肪酸(塩)を配合すると、液安定性が低下しやすい。液体洗浄剤組成物のpHを7超にすることで液安定性を高められる。
高級脂肪酸としては、炭素数8~18の鎖状モノカルボン酸が好ましい。
【0049】
高級脂肪酸は、下記一般式(B5)で表される。
R1-COOH・・・(B5)
(式一般(B5)中、R1は炭素数7~17の脂肪族炭化水素基である。)
一般式(B5)中、R1の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。R1としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が好ましい。
R1の炭素数は、7~17であり、11~17が好ましい。R1の炭素数が上記下限値以上であれば、再汚染防止効果が高まる。R1の炭素数が上記上限値以下であれば、水への溶解性が高まる。
【0050】
高級脂肪酸(塩)における塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩又はマグネシウム塩等が挙げられる。アミン塩としては、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、又はトリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
これらの高級脂肪酸(塩)は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。 また、高級脂肪酸(塩)は、単一鎖長の混合物でもよく、2以上の鎖長の混合物でもよい。
高級脂肪酸(塩)としては、ヤシ脂肪酸又はその塩を含むことが好ましい。
【0051】
(カチオン界面活性剤)
カチオン界面活性剤としては、例えばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の第4級化物などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらのカチオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
これらの両性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
(半極性界面活性剤)
半極性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
これらの半極性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
(B)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して40質量%以上であり、45質量%以上が好ましい。また、(B)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。すなわち、(B)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して40~75質量%が好ましく、45~70質量%がより好ましい。
(B)成分の総含有量が上記下限値以上であれば、充分な洗浄力が得られる。
【0055】
(B)成分がノニオン界面活性剤を含む場合、ノニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して20~65質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。ノニオン界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物に高い洗浄性能を付与することができる。一方、ノニオン界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の安定性を確保できる。
【0056】
(B)成分がアニオン界面活性剤を含む場合、アニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~40質量%が好ましく、5~35質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。アニオン界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、タンパク洗浄力を確保できる。アニオン界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の安定性を確保できる。
【0057】
アニオン界面活性剤がLASを含む場合、LASの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。LASの含有量が上記下限値以上であれば、衣類の再汚染を防ぐ。LASの含有量が上記上限値以下であれば、配合安定性を確保できる。
アニオン界面活性剤がAESを含む場合、AESの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。AESの含有量が上記下限値以上であれば、皮脂洗浄力を確保できる。AESの含有量が上記上限値以下であれば、外観安定性を確保できる。
【0058】
(B)成分が高級脂肪酸(塩)を含む場合、高級脂肪酸(塩)の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。高級脂肪酸(塩)の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ性をより高められる。高級脂肪酸(塩)の含有量が上記上限値以下であると液安定性をより高められる。
【0059】
ノニオン界面活性剤/アニオン界面活性剤で表される質量比(以下、「ノニオン/アニオン比」ともいう。)は1超が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましい。また、ノニオン/アニオン比は、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。すなわち、ノニオン/アニオン比は、1超が好ましく、1.2~10が好ましく、1.5~7がより好ましく、2~5がさらに好ましい。ノニオン/アニオン比が上記下限値超であれば、皮脂洗浄力を確保できる。
【0060】
(B)成分がカチオン界面活性剤を含む場合、カチオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
(B)成分が両性界面活性剤を含む場合、両性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
(B)成分が半極性界面活性剤を含む場合、半極性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0061】
<(C)成分:酵素>
本発明における液体洗浄剤組成物は、酵素を含んでもよい。
酵素としては、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼなどが挙げられる。
酵素は、一般に、酵素を含有する製剤(酵素製剤)として市販されている。液体洗浄剤を調製する際、通常、酵素は酵素製剤の形態で配合される。
【0062】
(プロテアーゼ)
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼを含有する酵素製剤(プロテアーゼ製剤)は市販されている。液体洗浄剤を調製する際、プロテアーゼは、通常、このプロテアーゼ製剤を用いて配合される。
プロテアーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L Progress Uno 100L;ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX、Properase Lなどが挙げられる。
中でも、Everlase 16L、Alcalase 2.5L、Coronase 48L、Progress Uno 100Lが好ましく、Progress Uno 100Lがより好ましい。
プロテアーゼの含有量は、酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5.0質量%であることが好ましく、1.0~3.0質量%であることがより好ましい。
【0063】
(アミラーゼ)
α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-グルコシターゼ、グルコアミラーゼ;デンプンやグリコーゲン等のα-1,6結合を加水分解するグルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、アミロ-1,6グルコシターゼ/4-αグルカノトランスフェラーゼ、オリゴ-1,6-グルコシターゼ等が好ましい。
アミラーゼを含有する酵素製剤(アミラーゼ製剤)は市販されている。液体洗浄剤を調製する際、アミラーゼは、通常、このアミラーゼ製剤を用いて配合される。
アミラーゼ製剤としては、例えば、ターマミルウルトラ(Termamyl Ultra)300L、デュラミル(Duramyl)16L、ステインザイム(Stainzyme)12L、プロモザイム(Promozyme)200L、アンプリファイプライム(Amplify Prime)100L、Medley(登録商標)Core210L(プロテアーゼとアミラーゼとの混合酵素。以上、商品名;ノボザイムズ社製);マキサミル(Maxamyl)(商品名、ジェネンコア社製)、プルラナーゼアマノ(商品名、天野製薬社製)、DB-250(商品名、Aerobacter aerogenes ATCC9621由来のプルラナーゼ、クルード又は結晶化品、生化学工業社製)等が挙げられる。
中でも、デュラミル16L、ステインザイム12L、ターマミルウルトラ300L、アンプリファイプライム100L(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、アンプリファイプライム100Lがより好ましい。
アミラーゼの含有量は、酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0,05~3質量%であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましい。
【0064】
(リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ)
リパーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100Lなどが挙げられる。
セルラーゼ製剤としては、例えば、ケアザイム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、ケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、エンドラーゼ5000L(商品名、ノボザイムズ社製)、セルクリーン4500T(商品名、ノボザイムズ社製)、Medley Glow 200L(商品名、ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
マンナナーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L等が挙げられる。
これらの酵素製剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロテアーゼ及びアミラーゼ以外の酵素の総含有量は、酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~1.5質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることがより好ましい。
【0065】
<キレート剤(金属封鎖剤)>
本発明における液体洗浄剤組成物は、金属イオンにキレートできるキレート剤を含んでもよい。
キレート剤としては有機キレート剤が挙げられ、具体的には、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキシメチレンスルホン酸等の有機ホスホン酸誘導体またはそれらの塩などが挙げられる。
これらの中でも、クエン酸、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウムが低温安定性の観点からより好ましい。キレート剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
<抗菌剤>
本発明における液体洗浄剤組成物は抗菌剤を含んでもよい。抗菌剤を含有することで、抗菌性能を付与することができる。
抗菌剤としては、公知の第4級アンモニウム塩、フェノール誘導体又はジフェニル化合物が挙げられる。抗菌剤としては、例えば、塩化アルキル(炭素数12~16)トリメチルアンモニウム、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(慣用名:ダイクロサン)等が挙げられる。
抗菌剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.05~5.0質量%が好ましい。抗菌剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0067】
<酸化防止剤>
本発明における液体洗浄剤組成物は酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)(住友化学株式会社製、商品名:SUMILZER BHT-R)、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~3質量%が好ましい。
【0068】
<その他の成分>
本発明における液体洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分以外に、必要に応じて、液体洗浄剤に通常用いられる成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば酵素安定化剤、ハイドロトロープ剤、pH調整剤、漂白剤、移染防止剤、蛍光増白剤、ソイルリリース剤、分散剤、消泡剤、構造粘性付与剤、シリコーン等の風合い向上剤、防腐剤、香料、パール剤、乳濁化剤、着色剤として汎用の色素又は顔料などが挙げられる。
【0069】
酵素安定化剤としては、例えばホウ酸、ホウ砂、ギ酸又はその塩、安息香酸、乳酸又はその塩、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類などが挙げられる。
これらの酵素安定化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酵素安定化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~2質量%が好ましく、0.1~1.5質量%がより好ましい。
【0070】
ハイドロトロープ剤としては、例えばパラトルエンスルホン酸又はその塩、クメンスルホン酸又はその塩、安息香酸塩、尿素などが挙げられる。
これらのハイドロトロープ剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~15質量%が好ましい。
【0071】
pH調整剤としては、例えば無機酸(塩酸、硫酸、リン酸等)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)、アンモニアなどが挙げられる。
これらのpH調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
漂白剤としては、過酸化水素などが挙げられる。
漂白剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~10質量%が好ましい。
【0073】
蛍光増白剤としては、例えば4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩等のビフェニル型の蛍光増白剤;4,4’-ビス((4-アミノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-2)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩等のスチルベン型の蛍光増白剤などが挙げられる。
これらの蛍光増白剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。蛍光増白剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~10質量%が好ましい。
【0074】
ソイルリリース剤(SR剤)としては、例えばアルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位、並びにオキシアルキレン単位を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、例えば国際公開第2017/142012号に記載されているものが挙げられる。ソイルリリース剤の市販品としては、例えばクラリアント社製の商品名「TexCare SRN -170」などが挙げられる。
【0075】
また、ソイルリリース剤としては、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体等の高分子が挙げられる。
ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体としては、例えば国際公開第2017/142012号や特表2017-514967号公報に記載されているものが挙げられる。市販品としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan HP20」などが挙げられる。
【0076】
また、ソイルリリース剤としては、特開2019-90057号公報に記載されているカチオン化セルロースが挙げられる。
これらのソイルリリース剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ソイルリリース剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~20質量%が好ましい。
【0077】
分散剤としては、例えばポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、高分子ポリカルボン酸またはそれらの塩等が挙げられる。
これらの分散剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0078】
消泡剤としては、例えば脂肪酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸エステルとして具体的には、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル(別称:イソオクチル酸2-エチルヘキシル、2H08)などが挙げられる。
これらの消泡剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
消泡剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0079】
構造粘性付与剤は、液体洗浄剤組成物に構造粘性を付与するものである。液体洗浄剤組成物は、構造粘性付与剤を含有することで、機能性付与粒子の分散性を向上し、保存安定性をより高めやすい。
構造粘性付与剤としては、アクリル系ポリマー、分子量が100以上であり分子内にウレア基を有する化合物、トリグリセリドが挙げられる。
【0080】
アクリル系ポリマーとしては、具体的には、特開2017-222789号公報記載の(E)成分が挙げられる。市販品としては、架橋タイプのものとして、Lubrizol社製の「Carbopol Aqua30」、「Carbopol Aqua SF-1」、「Carbopol EZ-4」、DOW社製の「ACUSOL 830」等が挙げられる。非架橋タイプのものとして、Lubrizol社製の「Novethix HC200」等が挙げられる。アクリル系ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
分子量が100以上であり、分子内にウレア基を有する化合物としては、具体的には、特開2018-59096号公報記載の(B)成分が挙げられる。市販品としては、例えば、ビッグケミー社のBYK-410、BYK-411、BYK-420、BYK-425、BYK-428、BYK-7411ES、BYK-7420ET、BYK-D410等が挙げられる。分子量が100以上であり、分子内にウレア基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0082】
トリグリセリドとしては、具体的には、国際公開第2014/171476号公報記載の(B1)成分が挙げられる。市販品としては、日油株式会社製の「カスターワックスAフレーク」(商品名)等が挙げられる。トリグリセリドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
構造粘性付与剤としては、アクリル系ポリマー、トリグリセリドが好ましく、アクリル系ポリマーがより好ましい。
構造粘性付与剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.5~2.5質量%がより好ましい。構造粘性付与剤の含有量が上記下限値以上であると、液体洗浄剤組成物の液体安定性を向上しやすい。構造粘性付与剤の含有量が上記上限値以下であると、増粘が抑制され、液体洗浄剤組成物の保存安定性をより良好に維持できる。
【0084】
風合い向上剤としては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンなどが挙げられる。これらのシリコーンとしては、例えばオイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルション型、自己乳化型等が挙げられる。
これらの風合い向上剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。風合い向上剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~20質量%が好ましい。
【0085】
防腐剤としては、例えばダウ・ケミカル社製の商品名「ケーソンCG」、ソー・ジャパン社製の商品名「アクチサイドMBS」、クラリアント社製の商品名「NIPACIDE BIT 20」などが挙げられる。
これらの防腐剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
防腐剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~1質量%が好ましい。
【0086】
香料としては、例えば1996年化学工業日報社刊、印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」;1969年MONTCLAIR,N.J.刊、STEFFEN ARCTANDER著「Perfume and Flavor Chemicals」等に記載のものが挙げられる。より具体的には、合成香料、動物もしくは植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料や、例えば特開2002-146399号公報に記載の香料成分などが挙げられる。
香料は、高分子化合物で形成されたカプセルに内包されたカプセル香料として、配合されてもよい。
香料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。
香料の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~2質量%が好ましい。
【0087】
乳濁剤としては、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30~50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製:商品名サイビノールRPX-196 PE-3、固形分40質量%)等が挙げられる。
乳濁剤の配合量、すなわち、液体洗浄剤組成物100質量%中の乳濁剤の含有量は、0.01~0.5質量%が好ましい。
【0088】
着色剤としては、例えばキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、キノリン系色素、ピレン系色素などが挙げられる。なお、本明細書において、下記の「C.I.」は、カラーインデックスの略である。各色素の構造は「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連絡会編)、染料便覧(有機合成化学協会編)に記載されている。
キノン系色素としては、例えばC.I.Solvent Blue 63(C.I.ソルベント ブルー 63、青色403号)、ミリケン社製のLiquitint Blue HP、Liquitint Blue BL,Liquitint Blue MC等の商品名が挙げられる。
トリフェニルメタン系色素としては、例えば緑色3号(C.I.42053)等が挙げられる。
キノリン系色素としては、例えば黄色203号(C.I.Acid Yellow 3)、ミリケン社製のLiquitint YELLOW SY等が挙げられる。
色素の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~100質量ppmが好ましい。
【0089】
<溶剤>
本発明における液体洗浄剤組成物は、溶剤として、水又は水及び(A)成分以外の有機溶剤を使用することができる。
水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して20質量%未満であることが好ましく、0質量%超10質量%以下がより好ましく、1~9質量%がさらに好ましく、3~9質量%が特に好ましく、5~8質量%が最も好ましい。
【0090】
水の含有量が上記好ましい上限値以下であることにより、容器を構成する水溶性フィルムが破れて充填が不可能になる事態を回避できる。水の含有量が上記好ましい下限値以上であることにより、容器に充填する際に必要な流動性を確保しやすい。
本発明における液体洗浄剤組成物は、水の含有量が通常の洗浄剤組成物より少なくとも、水の代替として(A)成分を用いることで粘度の著しい増大(ゲル化)を抑えるため流動性に優れる。
【0091】
(A)成分以外の有機溶剤としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、ベンジルアルコール等のアルカノール類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の炭素数2~3のアルキレングリコール単位を有する(ポリ)アルキレングリコールの芳香族エーテル類、が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤組成物が、前記(A)成分以外の有機溶剤を含有する場合、(A)成分以外の有機溶剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましい。水溶性溶剤の含有量が上記下限値以上であれば、液安定性のさらなる向上が図れる。
【0092】
<物性>
(pH)
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは4~10が好ましく、5~9が好ましく、6~8がより好ましい。
液体洗浄剤組成物のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
本明細書におけるpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(東亜ディーケーケー社製、製品名「HM-30G」)により測定される値である。
【0093】
(粘度)
液体洗浄剤組成物の25℃における粘度は10~1000mPa・sが好ましく、10~500mPa・sがより好ましく、10~300mPa・sがさらに好ましい。
液体洗浄剤組成物の粘度は、B型粘度計を用い、下記条件で測定した値である。
<<測定条件>>
・ローター:2番ローター。
・回転数:60rpm。
・測定温度:25℃。
・粘度の読み取り:ローターの回転開始30秒後。
【0094】
[製造方法]
液体洗浄剤物品は、例えば、平面視四角形の凹部が複数形成された金型を用い、以下のようにして製造される。
水溶性フィルムを、前記凹部の開口部を塞ぐように配置する。凹部内を減圧し、凹部に水溶性フィルムを引き込んで、上面が開口した収容部を形成する。1つの収容部の大きさは、20~30mL程度である。
次いで、液体洗浄剤組成物を、前記収容部に充填する。その後、濡らした別の水溶性フィルムを、収容部の開口部を塞ぐように配置して封じる。その後、個々に切り出すことによって、液体洗浄剤組成物が水溶性フィルム製の容器に充填された液体洗浄剤包装体を得ることができる。
【0095】
液体洗浄剤組成物は、従来公知の液体洗浄剤組成物の製造方法に準じて製造することができる。例えば、水の一部に、pH調整剤を除く各成分を加えて混合した後、必要に応じてpH調整剤を添加してpHを調整した後、水の残部を加えて全体量を100質量%とすることにより製造できる。
【0096】
[使用方法]
本発明の液体洗浄剤物品は、衣料用洗浄剤として用いた場合、従来のように洗剤を計り取る必要がなく、1個の液体洗浄剤物品を洗濯槽に投入するだけでよい。そのため、簡便性、利便性が高い。
【実施例0097】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0098】
[使用原料]
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
【0099】
<水溶性フィルム>
・ポリビニルアルコール製水溶性フィルム、商品名「M8312」、Monosol LLC社製。
・ポリビニルアルコール製水溶性フィルム、商品名「M7030」、Monosol LLC社製。
【0100】
<(A)成分:可塑剤>
(A1)成分
・グリセリン:商品名「グリセリン」、LG Houshold & Healthcare。
(A2)成分
・プロピレングリコール:商品名「Propylene glycol Industry PG-I」、SKC製。
(A3)成分
・ソルビトール:商品名「D-Sorbitol」、PAIK KWANG Industrial社製。
【0101】
<(B)成分:界面活性剤>
・AE(7mol):天然アルコール(質量比で炭素数12アルコール/炭素数14アルコール=7/3)1モルに、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。式(B1)において、R11が炭素数12の直鎖アルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖アルキル基(C14)(質量比でC12:C14=70:30)、R12が水素原子、-O-が結合するR11の炭素原子が第一級炭素原子、sが5、tが0、uが0である化合物。商品名「MONOPOL LAE7」、東南合成社製。
【0102】
・AES(2mol):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(EOの平均付加モル数1)。商品名「ASCO 24-2/70」、AK Chemtech社製。
【0103】
・LAS:炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「ライポン(登録商標)LH-200」。
・ヤシ脂肪酸:商品名「椰子脂肪酸」、P.T.Musim Mas社製。
【0104】
<(C)成分:酵素>
・酵素1:プロテアーゼ製剤、商品名「Savinase Ultra 16L」ノボザイムズ社製。
・酵素2:セルラーゼ製剤、商品名「Medley Glow 200L」ノボザイムズ社製。
【0105】
<キレート剤(金属封鎖剤)>
・クエン酸:商品名「Citric Acid」、Jthus社製。
<酸化防止剤>
・亜硫酸ナトリウム:商品名「Sodium Sulfite, Anhydrous」、Poohung Photo Chemical社製。
【0106】
<香料>
・香料1:TEA Tree Floral Fragrance、商品名「TEA TREE FLORAL」、symrise社製。
・香料2:シトロネラ油、商品名「Citronella java oil」、ETERIS Enterprise PTE社製。
・香料3:シンナムアルデヒド、商品名「Cinnamic Aldehyde」、Shanghai Pu-jie Fragrance社製。
【0107】
<色素>
・色素1:黄色染料、商品名「LIQUITINT YELLOW SY」、Milliken社製。
・色素2:青色染料、商品名「LIQUITINT BLUE HP」、Milliken社製。
・色素3:緑色染料、商品名「LIQUITINT YELLOW SY」と商品名「LIQUITINT GLACIER BLUE MC」の混合色素(混合比4:1)、Milliken社製。
【0108】
<その他>
・炭酸水素ナトリウム:商品名「Sodium Bicarbonate」、OCI社製。
・MEA(pH調整剤):商品名「モノエタノールアミン」、MIWON Chemical社製。
・抗菌剤:5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(慣用名:ダイクロサン)(BASF社製、商品名「Tinosan HP100」)。
・SR剤:HP20(ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体(BASF株式会社製、商品名「HP20」))又はSRN -170(ポリエチレングリコールとジメチルテレフタラートの重縮合体(クラリアント株式会社製、商品名「TexCare SRN -170C」)。
・水:商品名「精製水」、関東化学社製。
【0109】
[実施例1~10、比較例1]
<洗浄剤組成物の調製>
500mLのビーカーに、表1~3の配合量に従い、水の一部と他の成分全体を投入し、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に攪拌した。
次いで、25℃でのpHが7.0になるように、モノエタノールアミンを適量添加した後、全体量が100質量%になるように水を加えて、液体洗浄剤組成物を得た。
【0110】
<液体洗浄剤物品1の製造>
表1~3に記載した水溶性フィルム原反を、55mm×90mmのフィルム片としたものを2枚用意し、それらを重ね合わせて3辺をヒートシールし袋状の収容部を形成した。
次いで、各例の液体洗浄剤組成物の30mLを、封をしていない最後の一辺から前記収容部に充填した。その後、最後の1辺の封をして液体洗浄剤物品1を得た。
【0111】
<液体洗浄剤物品2の製造>
金型としては、平面視四角形の凹部(縦45mm、横45mm、深さ12mm)が複数形成された金型を用いた。
表1~3に記載した水溶性フィルム原反を、金型の凹部の開口部を塞ぐように配置し、凹部内を減圧し、凹部に水溶性フィルムを引き込んで、上面が開口した収容部を形成した。
次いで、各例の液体洗浄剤組成物の20mLを、前記収容部に充填した。その後、濡らした別の水溶性フィルムを、収容部の開口部を塞ぐように配置して封じた。
その後、個々に切り出すことによって、液体洗浄剤組成物が水溶性フィルム製の容器に充填された各例の液体洗浄剤物品2を得た。
【0112】
[評価]
<引張伸度比>
液体洗浄剤物品1を、表1~3に示す温度及び相対湿度の条件下で1ヶ月保存した後、1片をカットして内部の液体洗浄剤組成物を抜き出した。
液体洗浄剤組成物を抜き出した後の液体洗浄剤物品1から、30mm×80mmの長方形型の試験片を得た。
得られた試験片についてASTM D882に準じて、温度23℃、湿度50%、試験速度100mm/分の条件で引張伸度を測定した。水溶性フィルム原反の引張伸度を100[%]とした際の各例の引張伸度の比[%]と判定結果を表1~3に示す。
引張伸度の比が100[%]より大きいほど、経時による水溶性フィルムの軟化が進行したことを意味する。引張伸度の比が100[%]より小さいほど、経時による水溶性フィルムの脆化が進行したことを意味する。
【0113】
(判定基準)
〇:引張伸度比が80%~140%未満。
×:引張伸度比が80%未満又は140%以上。
【0114】
<触感>
各例の液体洗浄剤物品2を、表1~3に示す温度及び相対湿度の条件下で1ヶ月保存した後の柔らかさ及び弾力(ハリ)についての触感評価をパネラー10人で実施し、下記の評価基準に従って官能評価した。10人の採点の平均点を表1~3に示す。△又は〇であれば合格とした。
【0115】
(評価基準)
1点:外観上見窄らしく、触った際に柔らかく脆弱。
2点:どちらでもなく、実使用上は問題なく使用できる。
3点:ハリがあり、安心して使用できる。
【0116】
(判定基準)
〇:2.5点以上。
△:2.0点~2.5点未満。
×:2.0点未満。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
表1~3に示すように各実施例では、いずれも経時による水溶性フィルム製容器の軟化や脆化が抑制されていた。また、保存後も、容器の柔らかさや弾力(ハリ)が保たれていた。