(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065520
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】コンクリート型枠判定支援システム及びコンクリート型枠判定支援方法
(51)【国際特許分類】
E04G 9/00 20060101AFI20220420BHJP
E04B 2/84 20060101ALI20220420BHJP
E04B 5/32 20060101ALI20220420BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20220420BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20220420BHJP
【FI】
E04G9/00 Z
E04B2/84 Z ESW
E04B5/32 Z
G10L15/22 300Z
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174150
(22)【出願日】2020-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309041111
【氏名又は名称】グローバルワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】杉橋 直行
(72)【発明者】
【氏名】矢ノ倉 ひろみ
(72)【発明者】
【氏名】川村 和湖
(72)【発明者】
【氏名】新田 智博
(72)【発明者】
【氏名】峰村 佳男
【テーマコード(参考)】
2E150
5L049
【Fターム(参考)】
2E150AA01
2E150AA27
2E150BA00
2E150FA00
2E150GA00
2E150GB00
2E150HB00
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】現場の技術者が型枠に適用する型枠部材の仕様及びその配置間隔が、所定の品質を満たすか否かを示す情報を通知するコンクリート型枠判定支援システムを提供する。
【解決手段】本発明は、コンクリートの打設に用いる型枠の品質を判定する支援データを会話形式によってユーザに通知するコンクリート型枠判定支援システムであり、音声で入力されたコンクリートの打設に用いる型枠の設計データを示す会話データを、音声認識によりテキスト化するアシスタント部と、質問テキストデータから型枠を形成する型枠部材及び配置間隔を含む設計データを抽出するチャット部と、設計データにより生成される型枠の出来形を所定の品質判定ルールと比較して、品質の判定を行って確認支援データとして出力する型枠品質判定部とを備え、チャット部が確認支援データから自然言語としての回答テキストデータを生成し、支援データとしてユーザに提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの打設に用いる型枠の品質を判定する支援データを会話形式によってユーザに通知するコンクリート型枠判定支援システムであり、
前記ユーザが音声で入力したコンクリートの打設に用いる前記型枠の設計データを示す会話データを、音声認識によりテキスト化するアシスタント部と、
自然言語処理により前記質問テキストデータから、少なくとも型枠を形成する型枠部材及び当該型枠部材の配置間隔を含む型枠設計データを抽出するチャット部と、
前記型枠設計データにより生成される前記型枠の出来形を所定の品質判定ルールと比較して、前記品質の判定を行い、判定結果を確認支援データとして出力する型枠品質判定部と
を備え、
前記チャット部が前記自然言語処理により、前記確認支援データから自然言語としての回答テキストデータを生成し、前記支援データとして前記アシスタント部を介して前記ユーザに通知する
ことを特徴とするコンクリート型枠判定支援システム。
【請求項2】
前記型枠品質判定部が、
前記型枠設計データの型枠部材及び当該型枠部材の配置間隔により生成される前記型枠の強度が、前記型枠設計データの型枠サイズ及びコンクリートの打ち込み速さに対応して設定された前記品質判定ルールを満たしているか否かの判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート型枠判定支援システム。
【請求項3】
前記型枠が壁型枠の場合、前記型枠サイズが当該型枠の高さ、厚さ、長さであり、
前記型枠品質判定部が、
前記型枠部材がせき板、セパレーター、縦端太、横端太の仕様を含み、前記配置間隔により前記型枠サイズ及びコンクリートの打ち込み速さに対して、コンクリートが当該型枠部材に与える荷重を計算する
ことを特徴とする請求項2に記載のコンクリート型枠判定支援システム。
【請求項4】
前記品質判定ルールが前記せき板、縦端太及び横端太の各々の許容曲げ応力、許容たわみ量、前記セパレーターの許容引張力を示しており、
前記型枠品質判定部が、
前記荷重による前記せき板、縦端太及び横端太の各々の曲げ応力及びたわみ量を算出し、当該曲げ応力及びたわみ量の各々と前記許容曲げ応力、前記許容たわみ量それぞれとを比較し、また前記荷重による前記セパレーターの引張力を算出し、当該引張力と前記許容引張力とを比較し、前記品質を判定する
ことを特徴とする請求項3に記載のコンクリート型枠判定支援システム。
【請求項5】
前記型枠が上床版型枠の場合、前記型枠サイズが当該型枠のスラブ厚、長さ、幅であり、
前記型枠品質判定部が、
前記型枠部材がせき板、根太、大引、支柱の仕様を含み、前記配置間隔により前記型枠サイズ及びコンクリートの打ち込み速さに対して、コンクリートが当該型枠部材に与える荷重を計算する
ことを特徴とする請求項4に記載のコンクリート型枠判定支援システム。
【請求項6】
前記品質判定ルールが前記せき板、根太及び大引の各々の許容曲げ応力、許容たわみ量、また、前記支柱の許容圧縮力及び許容水平力を示しており、
前記型枠品質判定部が、
前記荷重による前記せき板、根太及び大引の各々の曲げ応力及びたわみ量を算出し、当該曲げ応力及びたわみ量の各々と前記許容曲げ応力、前記許容たわみ量それぞれとを比較し、また前記荷重による前記支柱の圧縮力及び水平力の各々を算出し、前記圧縮力、前記水平力と、前記許容圧縮力、前記許容水平力とをそれぞれ比較し、前記品質を判定する
ことを特徴とする請求項5に記載のコンクリート型枠判定支援システム。
【請求項7】
コンクリートの打設に用いる型枠の品質を判定する支援データを会話形式によってユーザに通知するコンクリート型枠判定支援方法であり、
アシスタント部が、前記ユーザが音声で入力したコンクリートの打設に用いる前記型枠の設計データを示す会話データを、音声認識によりテキスト化するアシスタント過程と、
チャット部が、自然言語処理により前記質問テキストデータから、少なくとも型枠を形成する型枠部材及び当該型枠部材の配置間隔を含む型枠設計データを抽出する第1チャット過程と、
型枠品質判定部が、前記型枠設計データにより生成される前記型枠の出来形を所定の品質判定ルールと比較して、前記品質の判定を行い、判定結果を確認支援データとして出力する型枠品質判定過程と、
前記チャット部が前記自然言語処理により、前記確認支援データから自然言語としての回答テキストデータを生成し、前記支援データとして前記アシスタント部を介して前記ユーザに通知する第2チャット過程と
を含むことを特徴とするコンクリート型枠判定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート型枠判定支援システム及びコンクリート型枠判定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、コンクリートの打設を行う際、コンクリート部材の形状を形成するための型枠支保工(以下、単に型枠と示す)を作成する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
コンクリートの打設に用いる型枠は、壁型枠及び上床版型枠の2種類があり、それぞれ形成するコンクリート部材によって使い分けられている。
【0003】
コンクリート部材の仕上がり状態や位置、形状および寸法は、型枠の組み立て精度や剛性に大きく影響されることが知られている。
そのため、例えば、壁型枠を形成する際、この壁型枠がコンクリートを注入することで変形などが起こらないように、壁高H、壁厚T、壁長さL、コンクリートの打込み速さSなどに対応させて、型枠の形成に用いる使用部材(型枠部材)の仕様及びその設置間隔を設定する必要がある。
【0004】
また、熟練した技術者であれば多くの現場におけるコンクリートの打設を経験しているため、壁高H、壁厚T、壁長さL、コンクリートの打込み速さSから、型枠に適用しようとしている型枠部材の仕様及びその設置間隔が適切か否かの判断を即座に判定することができる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、技術者が作業を行いつつ、コンクリートの型枠の形成に用いる型枠部材の仕様及びその設置間隔が所定の精度及び剛性を満たすか否かを即座に判断することは、作業状況によっては困難な場合がある。
【0007】
一方、型枠に適用しようとしている使用部材の仕様及びその設置間隔が適切か否かの判断を行なう時間や、他の技術者に相談する余裕があったとしても、コンクリートを打設する現場の規模などによっては、コンクリートの打設の監督経験の少ない技術者には、型枠に適用しようとしている使用部材の仕様及びその設置間隔が適切か否かの判断を行うことができない場合がある。
【0008】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、現場の技術者が型枠に適用しようとしている型枠部材の仕様及びその設置間隔が、必要とする所定の強度及び剛性などの品質を満たすか否かを容易に判断できる情報を通知するコンクリート型枠判定支援システム及びコンクリート型枠判定支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のコンクリート型枠判定支援システムは、コンクリートの打設に用いる型枠の品質を判定する支援データを会話形式によってユーザに通知するコンクリート型枠判定支援システムであり、前記ユーザが音声で入力したコンクリートの打設に用いる前記型枠の設計データを示す会話データを、音声認識によりテキスト化するアシスタント部と、自然言語処理により前記質問テキストデータから、少なくとも型枠を形成する型枠部材及び当該型枠部材の配置間隔を含む型枠設計データを抽出するチャット部と、前記型枠設計データにより生成される前記型枠の出来形を所定の品質判定ルールと比較して、前記品質の判定を行い、判定結果を確認支援データとして出力する型枠品質判定部とを備え、前記チャット部が前記自然言語処理により、前記確認支援データから自然言語としての回答テキストデータを生成し、前記支援データとして前記アシスタント部を介して前記ユーザに通知することを特徴とする。
【0010】
本発明のコンクリート型枠判定支援方法は、コンクリートの打設に用いる型枠の品質を判定する支援データを会話形式によってユーザに通知するコンクリート型枠判定支援方法であり、アシスタント部が、前記ユーザが音声で入力したコンクリートの打設に用いる前記型枠の設計データを示す会話データを、音声認識によりテキスト化するアシスタント過程と、チャット部が、自然言語処理により前記質問テキストデータから、少なくとも型枠を形成する型枠部材及び当該型枠部材の配置間隔を含む型枠設計データを抽出する第1チャット過程と、型枠品質判定部が、前記型枠設計データにより生成される前記型枠の出来形を所定の品質判定ルールと比較して、前記品質の判定を行い、判定結果を確認支援データとして出力する型枠品質判定過程と、前記チャット部が前記自然言語処理により、前記確認支援データから自然言語としての回答テキストデータを生成し、前記支援データとして前記アシスタント部を介して前記ユーザに通知する第2チャット過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現場の技術者が型枠に適用しようとしている型枠部材の仕様及びその設置間隔が、必要とする所定の強度及び剛性などの品質を満たすか否かを容易に判断できる情報を通知するコンクリート型枠判定支援システム及びコンクリート型枠判定支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態によるコンクリート型枠判定支援システムの構成例を示す概略構成図である。
【
図2】ユーザデバイス2の表示画面であり、アシスタントサーバ3を介してチャットサーバ4によるユーザとの型枠の品質の判定を行うための対話処理の概念を説明する図である。
【
図3】コンクリートの打設に用いられる型枠の種類毎の構造を示す概念図である。
【
図4】本実施形態によるコンクリート型枠判定支援システムのコンクリートの打設に用いる型枠の品質の判定処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の他の実施形態によるコンクリート型枠判定支援システムの構成例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一態様は、ユーザがコンクリートの打設に用いる型枠の品質(剛性や強度など)を確認する際、会話形式によって、型枠の品質を確認したいユーザに対して品質の確認を行うための支援データを提供するコンクリート型枠判定支援システムである。
型枠の品質は、コンクリートを打設する型枠を、設計データにより生成した場合の型枠がコンクリートの荷重に対して耐えられる剛性を有しているか否かを示している。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるコンクリート型枠判定支援システムの構成例を示す概略構成図である。
図1において、コンクリート型枠判定支援システムは、ユーザデバイス2、アシスタントサーバ3、チャットサーバ4及び型枠品質判定サーバ5の各々を備えている。ユーザデバイス2、アシスタントサーバ3、チャットサーバ4及び型枠品質判定サーバ5の各々は、インターネットを含む情報通信網6を介してデータの送受信を行なう。
本実施形態においては、コンクリートの打設に用いる型枠の品質を判定結果の提供を一例として説明するが、コンクリートの型枠の形成に関する他の複数の質問に対しても対応可能である。
【0015】
ユーザデバイス2は、例えばタブレット端末やスマートフォンなどの携帯端末であり、作業現場の現場監督(作業を指示する技術者)が使用するデバイスである。また、ユーザデバイス2は、ノートパソコン(パーソナルコンピュータ)などを用いてもよい。ユーザデバイス2は、チャットボットと会話するためのアプリケーションのプログラムがインストールされており、このプログラムを起動することにより、コンクリート打設に関する質問情報の入力、及び当該質問情報の示す質問に対する回答である品質判定情報を現場監督あるいは型枠の施工管理を行う技術者(以下、ユーザと示す)に対して、音声あるいは表示画面に対する表示により通知する。
【0016】
アシスタントサーバ3は、音声認識エンジンを備えており、ユーザが入力する音声情報の音声認識の処理を行ってテキストデータを作成し、チャットサーバ4に対して送信する。アシスタントサーバ3は、音声合成エンジンを備えており、質問情報に対応して判定された型枠の設計データの可否を示す品質判定情報のテキストデータを、音声信号に変換してユーザデバイス2に通知する。アシスタントサーバ3は、音声信号に換えて、あるいは音声信号に加えて、ユーザデバイス2の表示画面に表示する品質判定情報を、このユーザデバイス2に対して送信する。また、アシスタントサーバ3は、対話型AI(artificial intelligence)エンジンを備えている。
【0017】
チャットサーバ4は、例えばクラウドベースのプラットフォームで動作するソフトウェアロボットである自然言語処理のアプリケーションプログラムを搭載している。チャットサーバ4は、アシスタントサーバ3から供給される質問情報のテキストデータ(以下、質問テキストデータ)に対して後述する自然言語処理を行う。
【0018】
そして、本実施形態において、コンクリートを打設する際に用いる型枠の構築に関連する質問及び回答に対応した対話をユーザとの間で行なうため、チャットサーバ4は、型枠の設計データに関するワードの抽出及び質問の意味の解析など(形態素解析、構文解析、意味解析及び文脈解析などを含む一般的な自然言語処理)を、コンクリートの型枠に関する機械可読目録やコーパスなどを用いて行なう。チャットサーバ4は、質問テキストデータから少なくとも型枠部材の仕様及びこの型枠部材の配置間隔をなどを含む、型枠の品質を判定するために必要な、型枠の形成に用いる設計データを抽出する。
【0019】
また、チャットサーバ4は、型枠の出来形及びコンクリートの打ち込み速さに対する型枠の品質を判定するために必要な設計データを順次取得する。このとき、チャットサーバ4は、型枠の出来形及びコンクリートの打ち込み速さや、設計データをユーザに質問して取得するため、ユーザに対して質問する質問情報のテキストデータ(以下、質問テキストデータ)を、上記コーパスを利用して生成し、アシスタントサーバ3に送信する。チャットサーバ4は、型枠の品質を判定するために必要な型枠の出来形及びコンクリートの打ち込み速さに対する型枠の品質を判定するために必要な設計データを、型枠品質判定サーバ5に対して出力する。
【0020】
図2は、ユーザデバイス2の表示画面であり、アシスタントサーバ3を介したチャットサーバ4によるユーザとの型枠の品質の判定を行うための対話処理の概念を説明する図である。
図2における
図2(a)及び
図2(b)の各々に示すように、ユーザがコンクリートの打設に用いる型枠の品質の情報を得るための質問として、「型枠チェックしたい」を、ユーザデバイス2に対して発声する。ユーザデバイス2は、ユーザの音声を入力し音声データ(音声波形)を、アシスタントサーバ3に対して送信する。
アシスタントサーバ3は、音声認識エンジンにより、ユーザの音声の音声認識を行ない、質問テキストデータ「型枠チェックしたい」を生成し、生成した質問テキストデータを、チャットサーバ4及びユーザデバイス2に対して送信する。
【0021】
ユーザデバイス2は、供給された質問テキストデータ「型枠チェックしたい」を、自身の表示画面2Sにおいて、文字列画像501として表示する。
また、チャットサーバ4は、質問テキストデータ「型枠チェックしたい」を自然言語処理を行い、コンクリートを打設する際に用いる型枠の品質を知るための質問であることを認識する。チャットサーバ4は、型枠の品質を判定するための情報として、型枠の設計データ、コンクリートの打込み速さのデータを得るための質問を以下のように順次行う。
【0022】
チャットサーバ4は、型枠の品質を求めるためのデータとして、初めに型枠の種類を取得するための質問テキストデータ「型枠の種類は?」を自然言語処理により生成し、生成した質問テキストデータをアシスタントサーバ3に対して送信する。本実施形態においては、型枠の種類として、壁型枠及び上床版型枠の2種類について説明する。
これにより、アシスタントサーバ3は、質問テキストデータ「型枠の種類は?」を音声合成エンジンにより音声データに変換し、質問テキストデータ及び音声データをユーザデバイス2に対して送信する。
【0023】
ユーザデバイス2は、供給された質問テキストデータ「型枠の種類は?」を、自身の表示画面2Sにおいて、文字列画像502として表示し、スピーカ(不図示)から音声として出力する。
ユーザは、ユーザデバイス2の表示画面2Sにおける文字列画像502にて通知される「型枠の種類は?」の型枠の種類を求める質問を見て、この回答として型枠の種類として、例えば「壁型枠」と音声で回答する(文字により入力してもよい)。
そして、ユーザデバイス2は、ユーザの音声を入力して、「壁型枠」に対応する音声データ(音声波形)として、アシスタントサーバ3に対して送信する。
【0024】
アシスタントサーバ3は、音声認識エンジンにより、ユーザの音声データの音声認識を行ない、回答テキストデータ「壁型枠」を生成し、生成した回答テキストデータ「壁型枠」を、チャットサーバ4及びユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、供給された回答テキストデータ「壁型枠」を、自身の表示画面2Sに文字列画像503として表示する。
【0025】
そして、チャットサーバ4は、回答テキストデータ「壁型枠」に対する自然言語処理を行い、文字列「壁型枠」が型枠における一つの種類である壁型枠であることを認識し、以降、壁型枠の品質を判定するための設計データ、コンクリートの打込み速さなどのデータを順次取得する。
チャットサーバ4は、壁型枠の出来形における高さ、厚さ及び長さの各々を取得するため、
図2(a)における文字列画像504の「高さは何メートル?」、文字列画像506の「厚さは何メートル?」、文字列画像508の「長さは何メートル?」の各々を、予め設定たされた順序に従い、質問テキストデータとして自然言語処理により生成してアシスタントサーバ3に送信する。
【0026】
アシスタントサーバ3は、質問テキストデータ「高さは何メートル?」、「厚さは何メートル?」、及び「長さは何メートル?」の各々を、音声合成した音声データや、質問テキストデータをユーザデバイス2に送信する。
そして、ユーザは、ユーザデバイス2の表示画面2に表示される文字列画像504、文字列画像506及び文字列画像508と、音声で通知される「高さは何メートル?」、「厚さは何メートル?」、「長さは何メートル?」それぞれに対して、音声で回答する。
アシスタントサーバ3は、ユーザの上述した質問テキストデータに対する回答である文字列画像505「2m」、文字列画像507「0.9m」、文字列画像509「4m」の各々の回答テキストデータを、チャットサーバ4に送信する。
【0027】
チャットサーバ4は、壁型枠の設計データによる出来形である高さ、厚さ及び長さを得たのち、コンクリートの打込み速さを取得するため、自然言語処理により質問テキストデータ「打込み速さは毎秒何メートル?」(文字列画像510に対応)を生成し、アシスタントサーバ3を介してユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザは、ユーザデバイス2が表示画面2Sに表示する文字列画像510「打込み速さは毎秒何メートル?」、あるいは音声データに対する回答を行う。
例えば、ユーザが音声で「8メートル」と回答した場合、アシスタントサーバ3は、回答テキストデータとして、チャットサーバ4へ送信する。
【0028】
チャットサーバ4は、コンクリートの打込み速さを取得した後、型枠部材の仕様と型枠部材の配置間隔のデータを取得するため、
図2(b)における文字列画像512の「セパレーターの配置間隔は高さは何ミリメートル?」、文字列画像514の「縦端太の配置間隔は何ミリメートル?」、文字列画像516の「横端太の配置間隔は何ミリメートル?」の各々を、予め設定たされた順序に従い、質問テキストデータとして自然言語処理により生成してアシスタントサーバ3に送信する。
【0029】
アシスタントサーバ3は、質問テキストデータ「セパレーターの配置間隔は高さは何ミリメートル?」、「縦端太の配置間隔は何ミリメートル?」、及び「横端太の配置間隔は何ミリメートル?」の各々を、音声合成した音声データや、質問テキストデータをユーザデバイス2に送信する。
そして、ユーザは、ユーザデバイス2の表示画面2に表示される文字列画像504、文字列画像506及び文字列画像508と、音声で通知される「セパレーターの配置間隔は高さは何ミリメートル?」、「縦端太の配置間隔は何ミリメートル?」、及び「横端太の配置間隔は何ミリメートル?」それぞれに対して、音声で回答する。
アシスタントサーバ3は、ユーザの上述した質問テキストデータに対する回答である文字列画像513「450mm」、文字列画像515「225mm」、文字列画像517の「600mm」の各々の回答テキストデータを、チャットサーバ4に送信する。
【0030】
これにより、チャットサーバは4、取得した壁型枠の設計データ、コンクリートの打込み速さの各々を型枠品質判定サーバ5に対して送信する。
ここで、
図2には示されていないが、設計データにおける型枠部材の仕様として、例えば、打込むコンクリートが普通コンクリートかあるいは高流動コンクリートのいずれかか、またせき板の仕様として厚さt(=12mm)の合板、W5/16(2分5厘)のセパレーター、単管パイプ(φ48.6)の縦端太、単管パイプ(φ48.6)の横端太のデータも、上述したように対話形式により取得している。
【0031】
これにより、型枠品質判定サーバ5は、送信された設計データ及びコンクリートの打込み速さのデータを用いて、この設計データにより形成した場合の型枠の品質の判定を行う(後に詳述)。
そして、型枠品質判定サーバ5は、判定結果を示す回答情報をチャットサーバ4に対して送信する。
上記回答情報は、例えば、判定に用いた設計データ及びコンクリートの打込み速さのデータと、「型枠判定」と、「OK」との各々である。
【0032】
そして、チャットサーバ4は、供給される回答情報に対して、自然言語処理を行い、回答テキストデータ「型枠判定はOKです。 計算条件は以下の通りです。 普通コンクリート、せき板:合板W15/16(2分5厘)、縦端太・横端太:単管パイプ(φ48.6)、許容たわみ量3mmとして、下記条件で壁型枠計算します。 高さ:2m、厚さ:0.9m、長さ:4.0m、打込み速さ:8.0m/s、配置間隔 セパレーター間隔:450mm、縦端太間隔225.0mm、横端太間隔600.0mm、コンクリート単位体積重量:2.3tf/立米(立方m)」を生成し、アシスタントサーバ3に送信する。ここで、tf=9.81×103N(ニュートン)である。
【0033】
アシスタントサーバ3は、回答テキストデータを音声合成エンジンにより音声データに変換し、質問テキストデータ及びこの回答テキストデータに対応する音声データをユーザデバイス2に送信する。ユーザデバイス2は、供給された回答テキストデータを、自身の表示画面Sにおいて、文字列画像518として表示するとともに、スピーカ(不図示)から音声として出力する。
これにより、ユーザは、これから型枠を形成するための設計データ及びコンクリートの打込み速さが的確であると判定する情報を得ることができる。
【0034】
図3は、コンクリートの打設に用いられる型枠の種類毎の構造を示す概念図である。
図3(a)は、型枠の種類の一つである壁型枠の構造を示している。
図3(a)において、せき板601は、型枠の壁として設けられ、縦端太602と横端太603と支えられ、型枠の内部に打込まれるコンクリートの圧力を受ける。また、セパレーター604は、せき板601が型枠の外部方向に押される圧力を受ける。せき板601は、仕様の例として、合板(t=13mm)、メタルフォームなどがある。セパレーター604は、仕様の例として、W5/12(2分5厘)、W3/8(3分)、W1/2(4分)などがある。縦端太602及び横端太603の各々は、仕様の例として、単管パイプ(φ48.6)、60角パイプなどがある。
【0035】
図3(b)は、型枠の種類の一つである上床版型枠の構造を示している。
図3(b)において、せき板701は、上床(上部に配置される床形状)として設けられ、大引702と根太703とで支えられ、型枠の内部に打込まれるコンクリートの圧力を受ける。また、支柱704は、せき板701で形成される上床を支える型枠部材であり、せき板701から下部方向に押される圧力を受ける。せき板701は、仕様の例として、合板(t=13mm)、メタルフォームなどがある。大引702は、仕様の例として、角パイプ(100×100)などがある。根太703は、仕様の例として、単管パイプ(φ48.6)、60角パイプなどがある。支柱704は、建枠などがある。
【0036】
図1に戻り、型枠品質判定サーバ5は、上述したように、設計データ及びコンクリートの打込み速さにより形成される型枠の品質を判定する。
型枠品質判定サーバ5は、型枠が壁型枠または上床型枠のいずれであるかにより、品質の判定が異なるため、それぞれの品質判定ルールによって判定の処理を行う。
品質判定ルールは、型枠品質判定サーバ5における記憶部501に予め書き込まれて記憶されており、以下に示すように、壁型枠に対する品質判定ルールAと、上床版型枠に対する品質判定ルールBとがある。
【0037】
品質判定ルールAは、以下の手順の品質の判定処理を示している。
A1:設計データにおける壁型枠の壁高H、壁厚T、壁長さL、打込み速さSの各々により、コンクリートの側圧(せき板に印加される荷重)を計算する。
ここで、打込み速さSが10[m/h]以下の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッド(すなわち、厚さ)H[m]が1.5m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、W0H[N/mm2](固まらない単位容積重量であり、2.3[tf/m3])とする。
また、打込み速さSが10[m/h]以下の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッド(すなわち、厚さ)H[m]が1.5mを超え、3m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、1.5W0H+0.2W0×(H-1.5)[N/mm2]とする。
また、打込み速さSが10[m/h]以下の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッドH[m]が3mを超え、4m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、1.5W0[N/mm2]とする。
また、打込み速さSが10[m/h]を超えて20[m/h]以下の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッドH[m]が2m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、W0H[N/mm2]とする。
また、打込み速さSが10[m/h]を超えて20[m/h]以下の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッドH[m]が2mを超え、3m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、2W0H+0.4W0×(H-2)[N/mm2]とする。
また、打込み速さSが10[m/h]を超えて20[m/h]以下の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッドH[m]が3mを超え、4m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、2W0[N/mm2]とする。
また、打込み速さSが20[m/h]以上の際、型枠の中で固まらないコンクリートのヘッドH[m]が4m以下の場合、側圧P[N/mm2]は、W0H[N/mm2]とする。
【0038】
A2:型枠部材であるせき板、縦端太、横端太及びセパレーターの各々の曲げ応力及びたわみ量とを、それぞれの仕様と、上記側圧から求めた荷重とから、せき板、縦端太、横端太及びセパレーターに印加される荷重を算出する。また、型枠部材であるセパレーターの引張力を、仕様と側圧から求めたセパレーターに印加される荷重とから算出する。
ここで、せき板に働く単位幅1mm当たりの荷重w(N/mm)は、上記側圧P[N/mm2]×10[mm]から求める。
そして、せき板の曲げ応力σb[N/mm2]は、M[N・mm]/Zで求める。ここで、M[N・mm]=(1/8)wL2である。L[mm]は縦端太の間隔であり、Z(=240[mm2])は断面係数である。
また、せき板に働くたわみ量δMAXは、5wL4/(384×E×I)として求める。ここで、L[mm]は縦端太の配置間隔であり、E(=5.6×103)[N/mm2]はヤング率であり、I(=1440[mm4])は断面2次モーメントである。
【0039】
また、セパレーターの各々が負担する負担面積A[mm2]は、セパレーターの配置間隔[mm]×横端太の配置間隔[mm]により求まる。
引張力T[N]は、側圧P[N/mm2]×負担面積A[mm2]により求まる。
また、縦端太の各々にかかる荷重w[N/mm]は、側圧P[N/mm2]×縦端太の配置間隔[mm]により求まる。
そして、縦端太の曲げ応力σb[N/mm2]は、M[N・mm]/(断面係数Z)で求まる。ここで、M[N・mm](=(1/8)×w[N/mm]×(横端太の配置間隔[mm])2は、縦端太にかかる曲げモーメントである。
縦端太に働くたわみ量δMAXは、5w(横端太の配置間隔)2/(384×E×I)として求める。
【0040】
また、横端太の各々にかかる荷重w[N/mm]は、側圧P[N/mm2]×横端太の配置間隔[mm]により求まる。
そして、横端太の曲げ応力σb[N/mm2]は、M[N・mm]/(断面係数Z×2)で求まる。ここで、M[N・mm](=(1/8)×w[N/mm]×(セパレーターの配置間隔[mm])2は、縦端太にかかる曲げモーメントである。
横端太に働くたわみ量δMAXは、5w(セパレーターの配置間隔)4/(384×E×I×2)として求める。
【0041】
A3:型枠部材であるせき板、縦端太及び横端太の各々の仕様と、配置間隔との組み合わせから、せき板、縦端太、横端太それぞれに対する許容曲げ応力、許容たわみ量を、記憶部502の壁型枠使用テーブルから読み出す。また、型枠部材であるセパレーターの仕様と配置間隔との組み合わせとから、セパレーターに対する許容引張力を、記憶部502の壁型枠使用テーブルから読み出す。
A4:せき板、縦端太及び横端太の各々の曲げ応力がそれぞれに対する許容曲げ応力を超えているか否か、せき板、縦端太及び横端太の各々のたわみ量がそれぞれの許容たわみ量を超えているか否かの判定を行い、超えてなければOK(品質が良い)、超えていればNG(品質が良くない)と判定する。また、セパレーターの引張力が許容引張力を超えているか否かの判定を行い、超えてなければOK(品質が良い)、超えていればNG(品質が良くない)と判定する。
【0042】
品質判定ルールBは、以下の手順の品質の判定処理を示している。
B1:設計データにおける上床版型枠のスラブ厚さH、長さT、幅L、打込み速さSの各々により、コンクリート及び型枠の固定荷重と積載荷重とから、上床版型枠に印加される鉛直荷重P[N/mm2]を求める。ここで、固定荷重とは、型枠部材の自重及び鉄筋コンクリートの荷重とを加算した荷重である。また、積載荷重とは、打ち込みに用いる器具、作業員の荷重、及び打込みに伴う衝撃荷重などを加算した荷重である。
B2:型枠部材であるせき板、根太及び大引の各々の曲げ応力及びたわみ量とを、それぞれの仕様と、上記鉛直荷重P[N/mm2]から求めた荷重とから、せき板、根太及び大引の各々に印加される荷重を算出する。また、型枠部材である支柱の圧縮力及び水平力の各々を、仕様と上記鉛直荷重P[N/mm2]から求めた支柱に印加される荷重とから算出する。
ここで、せき板に働く単位幅1mm当たりの荷重w(N/mm)は、上記鉛直荷重P[N/mm2]×1000[mm]から求める。
そして、せき板の曲げ応力σb[N/mm2]は、M[N・mm]/Zで求める。ここで、M[N・mm]=(1/8)wL2である。L[mm]は根太の間隔であり、Zは断面係数である。
また、せき板に働くたわみ量δMAXは、5wL4/(384×E×I)として求める。ここで、L[mm]は根太の配置間隔であり、Eはヤング率であり、Iは断面2次モーメントである。
【0043】
また、根太の各々にかかる荷重w[N/mm]は、鉛直荷重P[N/mm2]×大引の配置間隔[mm]により求まる。
そして、根太の曲げ応力σb[N/mm2]は、M[N・mm]/(断面係数Z)で求まる。ここで、M[N・mm](=(1/8)×w[N/mm]×(横端太の配置間隔[mm])2は、根太にかかる曲げモーメントである。
根太に働くたわみ量δMAXは、5w(大引の配置間隔)2/(384×E×I)として求める。
【0044】
また、大引の各々にかかる荷重w[N/mm]は、鉛直荷重P[N/mm2]×支柱の配置間隔[mm]により求まる。
そして、大引の曲げ応力σb[N/mm2]は、M[N・mm]/(断面係数Z×2)で求まる。ここで、M[N・mm](=(1/8)×w[N/mm]×(支柱の配置間隔[mm])2は、大引にかかる曲げモーメントである。
大引に働くたわみ量δMAXは、5w(支柱の配置間隔)4/(384×E×I×2)として求める。
また、支柱の各々が負担する負担面積A[mm2]は、支柱の配置間隔[mm]×大引の配置間隔[mm]により求まる。
圧縮力T[N]は、鉛直荷重P[N/mm2]×負担面積A[mm2]により求まる。
また、水平力H[N]は、鉛直荷重P[N/mm2]×負担面積A[mm2]×0.025(2.5%)より求まる。縦枠の水平力H[N]からブレスの引張照査及びブレス取付クランプの必要個数を検討する。
【0045】
B3:型枠部材であるせき板、根太及び大引の各々の仕様と、配置間隔との組み合わせから、せき板、根太、大引それぞれに対する許容曲げ応力、許容たわみ量を、記憶部502の上床版型枠使用テーブルから読み出す。また、型枠部材である支柱の仕様と配置間隔との組み合わせとから、支柱に対する許容圧縮力及び許容水平力を、記憶部502の上床版型枠使用テーブルから読み出す。
B4:せき板、根太及び大引の各々の曲げ応力がそれぞれに対する許容曲げ応力を超えているか否か、せき板、根太及び大引の各々のたわみ量がそれぞれの許容たわみ量を超えているか否かの判定を行い、超えてなければOK(品質が良い)、超えていればNG(品質が良くない)と判定する。また、支柱の圧縮力及び水平力の各々が、許容圧縮力、許容水平力を超えているか否かの判定を行い、超えてなければOK(品質が良い)、超えていればNG(品質が良くない)と判定する。
【0046】
図4は、本実施形態によるコンクリート型枠判定支援システムのコンクリートの打設に用いる型枠の品質の判定処理の動作例を示すフローチャートである。以下の説明において、ユーザは、予めユーザデバイス2において、アプリケーションを起動している。
ステップS101:ユーザは、コンクリートの打設に用いる型枠の品質の判定を行う質問として、「型枠チェックしたい」を、ユーザデバイス2に対して発声する。ユーザデバイス2は、ユーザの音声データを、アシスタントサーバ3に対して送信する。アシスタントサーバ3は、音声データを質問テキストデータに変換して、チャットサーバ4に対して送信する。チャットサーバ4は、供給される質問テキストデータ「型枠チェックしたい」が、型枠の品質を判定を行う質問であることを認識する。
【0047】
そして、チャットサーバ4は、品質判定を行う型枠が壁型枠または上床版型枠のいずれかであるかを検出するための質問として、質問テキストデータ「チェックするのは壁型枠ですか?」を生成し、アシスタントサーバ3に対して送信する。
アシスタントサーバ3は、質問テキストデータを音声合成により音声データに変換し、変換した音声データと質問テキストデータとをユーザデバイス2に対して送信する。
そして、アシスタントサーバ3は、ユーザが回答として発声する音声を音声認識し、回答テキストデータとしてチャットサーバに対して送信する。
【0048】
ステップS102:チャットサーバ4は、回答テキストデータから型枠に対応するワードを抽出し、抽出したワードが「壁型枠」か否かの判定を行う。チャットサーバ4は、ワードが「壁型枠」である場合、処理をステップS103Aへ進め、一方、ワードが「壁型枠」でない場合(すなわち、上床版型枠の場合)、処理をステップS103Bへ進める。
【0049】
ステップS103A:チャットサーバ4は、コンクリートの打設に用いる壁型枠の品質の判定に用いる設計データ及びコンクリートの打込み速さの全てを取得するため、
図2において説明した会話形式におけるユーザとの質問及び回答のやり取りを行い、取得した設計データ及びコンクリートの打込み速さの各々を型枠品質判定サーバ5に対して送信する。
【0050】
ステップS104A:型枠品質判定サーバ5は、品質判定ルールAに従い、設計データにおける壁型枠の壁高H、壁厚T、壁長さL、打込み速さSの各々により、壁型枠の壁に印加されるコンクリートによる側圧を計算する。型枠品質判定サーバ5は、せき板の仕様、配置間隔及び壁に印加される側圧から、壁を構成するせき板の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重によるせき板における曲げ応力及びたわみ量を求める。
【0051】
ステップS105A:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の壁型枠使用テーブルから、型枠部材のせき板の許容曲げ応力及び許容たわみ量の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、せき板の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、せき板の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えていない場合、処理をステップS106Aに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、せき板の曲げ応力が許容曲げ応力を超えている場合、あるいはせき板のたわみ量が許容たわみ量を超えている場合、または曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えている場合、処理をステップS113Aへ進める。
【0052】
ステップS106A:型枠品質判定サーバ5は、セパレーターの仕様、配置間隔及び壁に印加される側圧から、せき板を押さえるセパレーターの各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重によるセパレーターにおける引張力を求める。
【0053】
ステップS107A:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の壁型枠使用テーブルから、型枠部材のセパレーターの許容引張力を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、セパレーターの引張力が、許容曲げ応力、許容引張力を超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、セパレーターの引張力が、許容引張力を超えていない場合、処理をステップS108Aに進め、セパレーターの引張力が許容引張力を超えている場合、処理をステップS114Aへ進める。
【0054】
ステップS108A:型枠品質判定サーバ5は、縦端太の仕様、配置間隔及び壁に印加される側圧から、せき板を押さえる縦端太の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重による縦端太における曲げ応力及びたわみ量を求める。
【0055】
ステップS109A:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の壁型枠使用テーブルから、型枠部材の縦端太の許容曲げ応力及び許容たわみ量の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、縦端太の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、縦端太の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えていない場合、処理をステップS110Aに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、縦端太の曲げ応力が許容曲げ応力を超えている場合、あるいはたわみ量が許容たわみ量を超えている場合、または曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えている場合、処理をステップS115Aへ進める。
【0056】
ステップS110A:型枠品質判定サーバ5は、横端太の仕様、配置間隔及び壁に印加される側圧から、せき板を押さえる横端太の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重による横端太における曲げ応力及びたわみ量を求める。
【0057】
ステップS111A:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の壁型枠使用テーブルから、型枠部材の横端太の許容曲げ応力及び許容たわみ量の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、横端太の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、横端太の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えていない場合、処理をステップS112Aに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、横端太の曲げ応力が許容曲げ応力を超えている場合、あるいはたわみ量が許容たわみ量を超えている場合、または曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えている場合、処理をステップS116Aへ進める。
【0058】
ステップS112A:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおけるせき板、セパレーター、縦端太及び横端太の各々の仕様が、壁型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「OK」であるとして、「型枠判定」及び「OK」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと、「型枠判定」及び「OK」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して壁型枠の品質の判定結果を通知する。
【0059】
ステップS113A:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおけるせき板の仕様が、壁型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「せき板」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「せき板」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくともせき板の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して壁型枠の品質の判定結果を通知する。
【0060】
ステップS114A:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおけるセパレーターの仕様が、壁型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「セパレーター」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「セパレーター」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくともセパレーターの強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して壁型枠の品質の判定結果を通知する。
【0061】
ステップS115A:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおける縦端太の仕様が、壁型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「縦端太」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「縦端太」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくとも縦端太の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して壁型枠の品質の判定結果を通知する。
【0062】
ステップS116A:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおける横端太の仕様が、壁型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「横端太」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「横端太」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくとも横端太の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して壁型枠の品質の判定結果を通知する。
【0063】
ステップS103B:チャットサーバ4は、コンクリートの打設に用いる上床版型枠の品質の判定に用いる設計データ及びコンクリートの打込み速さの全てを取得するため、
図2において説明した会話形式におけるユーザとの質問及び回答のやり取りを行い、取得した設計データ及びコンクリートの打込み速さの各々を型枠品質判定サーバ5に対して送信する。
【0064】
ステップS104B:型枠品質判定サーバ5は、品質判定ルールBに従い、設計データにおける上床型枠のスラブ圧H、長さT、幅L、打込み速さSの各々により、上床版型枠の上床に印加されるコンクリートによる積載荷重を計算する。型枠品質判定サーバ5は、せき板の仕様、配置間隔及び上床に印加される積載荷重から、上床を構成するせき板の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重によるせき板における曲げ応力及びたわみ量を求める。
【0065】
ステップS105B:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の上床版型枠使用テーブルから、型枠部材のせき板の許容曲げ応力及び許容たわみ量の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、せき板の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、せき板の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えていない場合、処理をステップS106Bに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、せき板の曲げ応力が許容曲げ応力を超えている場合、あるいはせき板のたわみ量が許容たわみ量を超えている場合、または曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えている場合、処理をステップS113Bへ進める。
【0066】
ステップS106B:型枠品質判定サーバ5は、支柱の仕様、配置間隔及び上床に印加される積載荷重から、せき板を支える支柱の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重による支柱における圧縮力及び水平力を求める。
【0067】
ステップS107B:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の上床版型枠使用テーブルから、型枠部材の支柱の許容圧縮力及び許容水平力の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、支柱の圧縮力及び水平力が、許容圧縮力、許容水平力それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、支柱の圧縮力及び水平力が、許容圧縮力、許容水平力それぞれを超えていない場合、処理をステップS108Bに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、支柱の圧縮力が許容圧縮力を超えている場合、あるいは支柱の水平力が許容水平力を超えている場合、または圧縮力及び水平力が、許容圧縮力、許容水平力それぞれを超えている場合、処理をステップS115Bへ進める。
【0068】
ステップS108B:型枠品質判定サーバ5は、根太の仕様、配置間隔及び上床に印加される積載荷重から、上床を押さえる根太の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重による根太における曲げ応力及びたわみ量を求める。
【0069】
ステップS109B:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の上床版型枠使用テーブルから、型枠部材の根太の許容曲げ応力及び許容たわみ量の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、根太の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、根太の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えていない場合、処理をステップS110Bに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、根太の曲げ応力が許容曲げ応力を超えている場合、あるいはたわみ量が許容たわみ量を超えている場合、または曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えている場合、処理をステップS115Bへ進める。
【0070】
ステップS110B:型枠品質判定サーバ5は、大引の仕様、配置間隔及び壁に印加される側圧から、せき板を押さえる大引の各々に対して印加される荷重を算出し、この荷重による大引における曲げ応力及びたわみ量を求める。
【0071】
ステップS111B:型枠品質判定サーバ5は、記憶部501の壁型枠使用テーブルから、型枠部材の大引の許容曲げ応力及び許容たわみ量の各々を読み出す。型枠品質判定サーバ5は、大引の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えているか否かの判定を行う。型枠品質判定サーバ5は、大引の曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えていない場合、処理をステップS112Bに進める。一方、型枠品質判定サーバ5は、大引の曲げ応力が許容曲げ応力を超えている場合、あるいはたわみ量が許容たわみ量を超えている場合、または曲げ応力及びたわみ量が、許容曲げ応力、許容たわみ量それぞれを超えている場合、処理をステップS116Bへ進める。
【0072】
ステップS112B:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおけるせき板、支柱、根太及び大引の各々の仕様が、上床版型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「OK」であるとして、「型枠判定」及び「OK」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと、「型枠判定」及び「OK」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して上床版型枠の品質の判定結果を通知する。
【0073】
ステップS113B:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおけるせき板の仕様が、上床版型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「せき板」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「せき板」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくともせき板の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して上床版型枠の品質の判定結果を通知する。
【0074】
ステップS114B:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおける支柱の仕様が、上床版型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「支柱」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「支柱」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくとも支柱の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して上床版型枠の品質の判定結果を通知する。
【0075】
ステップS115B:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおける根太の仕様が、上床版型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「根太」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「根太」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくとも根太の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して上床版型枠の品質の判定結果を通知する。
【0076】
ステップS116B:型枠品質判定サーバ5は、設計データにおける大引の仕様が、上床版型枠に打込むコンクリートの量及び打込み速さに対する品質が「NG」であるとして、「型枠判定」、「大引」及び「NG」のワードとともに、設計データ及び打込み速さのデータをチャットサーバ4に対して送信する。
チャットサーバ4は、設計データ及び打込み速さと「型枠判定」、「大引」及び「NG」のワードとから、
図2における文字列画像518に示す回答テキストデータにおける「型枠判定はOKです。」の文字列が「型枠判定はNGです。少なくとも大引の強度が足りません」とされた回答テキストデータを生成し、アシスタントサーバ3を介して、ユーザデバイス2に対して送信する。
ユーザデバイス2は、表示画面2Sに文字列画像518表示し、またその音声データを出力することにより、ユーザに対して上床版型枠の品質の判定結果を通知する。
【0077】
上述したように、本実施形態によれば、現場の技術者がコンクリートの打設に用いる型枠を形成する際、型枠の設計データ及びコンクリートの打込み速さのデータで形成した場合、この型枠の品質が良いか否かの判定を行う際、型枠の設計データ及びコンクリートの打込み速さを入力するのみで、型枠の品質の判定を支援する情報が提供されるため、現場におけるコンクリートの打設に用いる型枠を形成する作業における経験の少ない現場監督であっても、型枠の品質の判定を容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、型枠部材におけるいずれの型枠部材の強度が足りないかを示す情報が得られるため、その型枠部材の仕様あるいは配置間隔を変更して、再度、型枠の品質の判定の質問を行うことにより、型枠の品質を満たすための設計データを容易に取得することができる。
【0078】
上述した本実施形態においては、型枠として壁型枠と上床版型枠との各々の品質を判定する構成となっているが、壁型枠と上床版型枠いずれか一方のみの品質の判定を行う構成としてもよい。
また、本実施形態においては、型枠の品質がNGの場合、いずれの型枠部材の強度が不足しているかを示す構成としているが、型枠の品質がNGであることのみを通知する構成としてもよい。
また、本実施形態においては、壁型枠の場合における品質の判定処理を、せき板、セパレーター、縦端太、横端太の順番で行い、上床版型枠の場合における品質の判定処理を、せき板、支柱、根太、大引の順番で行っているが、これらの判定の順番を変更した構成としてもよい。
【0079】
図5は、本発明の他の実施形態によるコンクリート型枠判定支援システムの構成例を示す概略構成図である。
図1のコンクリート打設支援システムに対して、文書検索サーバ7がさらに備えられた構成となっている。
文書検索サーバ7は、ユーザの質問がコンクリートの打設に用いる型枠の判定ではなく、型枠の作業の方法や言葉の意味などの検索を行う。
ユーザが作業の方法や言葉の意味などを知りたい場合、例えば、「上床版型枠とはどんな構成か?」の質問を音声で行った場合、アシスタントサーバ3が音声のテキスト化を行い、チャットサーバ4が自然言語処理を行う。
【0080】
チャットサーバ4は、ユーザの質問がコンクリートの打設に用いる型枠の品質の判定と認識した場合、設計データ及びコンクリートの打込み速さのデータを型枠品質判定サーバ5に送信し、一方、型枠の構造、型枠を形成する作業の方法や言葉の意味などと認識した場合、質問のキーワードを抽出して文書検索サーバ7に送信する。
そして、文書検索サーバ7は、チャットサーバ4から供給されるキーワードの検索を所定の検索サイトによって行い、検索結果をチャットサーバ4に対して送信する。
これにより、チャットサーバ4は、検索結果を自然言語処理により回答テキストデータに変換し、アシスタントサーバ3を介してユーザデバイス2に対して送信する。
【符号の説明】
【0081】
2…ユーザデバイス 3…アシスタントサーバ 4…チャットサーバ 5…型枠品質判定サーバ 6…情報通信網 7…文書検索サーバ 501…記憶部