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  • 特開-予知保全方法、予知保全装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065638
(43)【公開日】2022-04-27
(54)【発明の名称】予知保全方法、予知保全装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167130
(22)【出願日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】63/092222
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100175178
【弁理士】
【氏名又は名称】桑野 敦司
(72)【発明者】
【氏名】大森 拓
(57)【要約】
【課題】本開示は、システムを改善したり、レシピを改善したりすることができる予知保全方法と予知保全装置を提供することを目的とする。
【解決手段】レシピを使用した基板処理で測定されたアナログデータが、該レシピに対応して予め定められた許容閾値を超えているか判定することと、該判定において該アナログデータが該許容閾値を超えていると判定された場合には、該アナログデータに予め関連付けられた関連モジュールが劣化していることを使用者に通知することと、を含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシピを使用した基板処理で測定されたアナログデータが、前記レシピに対応して予め定められた許容閾値を超えているか判定することと、
前記判定において前記アナログデータが前記許容閾値を超えていると判定された場合には、前記アナログデータに予め関連付けられた関連モジュールが劣化していることを使用者に通知することと、を含む予知保全方法。
【請求項2】
前記アナログデータは、マスフローコントローラの流量出力信号であり、
前記関連モジュールは、前記マスフローコントローラである、請求項1に記載の予知保全方法。
【請求項3】
前記アナログデータはオートプレッシャーコントローラの圧力信号であり、
前記関連モジュールは前記オートプレッシャーコントローラである、請求項1に記載の予知保全方法。
【請求項4】
前記アナログデータは、RFジェネレータで測定された信号、フォトディテクタで検出した信号、又は温度測定装置で測定した信号である、請求項1に記載の予知保全方法。
【請求項5】
前記レシピで複数のダミーウエハを処理したことで測定された複数のアナログデータの平均値を求めることと、
前記平均値に基づき前記許容閾値を決めることと、を備えた請求項1から4のいずれか1項に記載の予知保全方法。
【請求項6】
内容の異なる複数のレシピを用いた基板処理のそれぞれについて、前記判定を行うことと、
前記複数のレシピを用いた基板処理で得られた複数のアナログデータのそれぞれが、前記複数のレシピについてそれぞれ予め定められた複数の許容閾値に対してどの程度余裕があるかを示す安全度をそれぞれ算出し、あらかじめ定められた基準よりも低い安全度を与えるレシピである高負荷レシピを特定することと、を備えた請求項1に記載の予知保全方法。
【請求項7】
前記高負荷レシピを変更することを備えた請求項6に記載の予知保全方法。
【請求項8】
前記高負荷レシピの使用頻度を抑制することを備えた請求項6に記載の予知保全方法。
【請求項9】
前記高負荷レシピを与えたアナログデータに予め関連付けられたモジュールを、前記高負荷レシピへの耐性があるものに変更することを備えた請求項6に記載の予知保全方法。
【請求項10】
前記判定を、複数のモジュールのそれぞれについて実行することを備えた請求項1に記載の予知保全方法。
【請求項11】
レシピを使用した基板処理で測定されたアナログデータを受信する受信装置と、
前記アナログデータが、前記レシピについて予め定められた許容閾値を超えているか判定するコントローラと、
前記判定において、前記アナログデータが前記許容閾値を超えていると判定された場合には、前記アナログデータに予め関連付けられた関連モジュールが劣化していることを使用者に報知するディスプレイと、を備えた予知保全装置。
【請求項12】
前記コントローラは、複数のレシピと、前記複数のレシピにそれぞれ対応した前記許容閾値と、を保存した記憶媒体を備えた、請求項11に記載の予知保全装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記複数のレシピに応じて得られた複数のアナログデータのそれぞれが、前記複数のレシピについてそれぞれ予め定められた複数の許容閾値に対してどの程度余裕があるかを示す安全度をそれぞれ算出し、低い安全度を与えるレシピである高負荷レシピを特定する、請求項12に記載の予知保全装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記高負荷レシピを変更すること使用者に通知する請求項13に記載の予知保全装置。
【請求項15】
前記コントローラは、前記高負荷レシピの使用頻度を抑制すること使用者に通知する請求項13に記載の予知保全装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記高負荷レシピが見いだされた場合、前記高負荷レシピを与えたアナログデータに予め関連付けられたモジュールを、前記高負荷レシピへの耐性があるものに変更することを使用者に通知する請求項13に記載の予知保全装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は予知保全方法と予知保全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造装置では様々なモジュールを用いて、プロセスを制御又は監視している。そのようなモジュールの例としては、マスフローコントローラ(MFC)、オートプレッシャ―コントローラ(APC)、RFジェネレータ、フォトディテクタ、温度測定装置を挙げることができる。RFジェネレータでは、所定の波形の高周波電力を生成するとともに、プラズマ発光強度又はプラズマ発光時間を測定し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-252465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モジュールはある程度長期の使用によって経時劣化し得る。モジュールが故障すると、生産活動がストップすることになるので、モジュールの故障前にモジュールの劣化を検知することが必要である。しかしながら、モジュールの劣化対策として、単にモジュールを修理又は交換するだけでは、同様の劣化過程を何度も繰り返すことになる。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、システムを改善したり、レシピを改善したりすることができる予知保全方法と予知保全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る予知保全方法は、レシピを使用した基板処理で測定されたアナログデータが、該レシピに対応して予め定められた許容閾値を超えているか判定することと、該判定において該アナログデータが該許容閾値を超えていると判定された場合には、該アナログデータに予め関連付けられた関連モジュールが劣化していることを使用者に通知することと、を含む。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
システムを改善したり、レシピを改善したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】システム構成例を示す図である。
図2】ラーニングフェーズのフローチャートである。
図3】モニタリングフェーズのフローチャートである。
図4】ハードウェア構成例を示す図である。
図5】別のハードウェア構成例を示す図である。
図6】記憶媒体に保存されたデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態.
図1は、予知保全装置を含むシステムの構成例を示す図である。このシステムは、Unique Platform Controller(UPC)19、Process Module Controller (PMC)20及び記憶媒体21を備えている。一例によれば、UPC19、PMC20及び記憶媒体21が予知保全装置として機能する、
【0011】
このシステムは、チャンバ10と、チャンバ10の中に設けられたステージ12及びシャワーヘッド14を備えている。ステージ12とシャワーヘッド14によって平行平板構造が提供されている。ガス源52から、マスフローコントローラ50によって流量制御されたガスが、シャワーヘッド14のスリットを介して、ステージ12とシャワーヘッド14の間の空間に提供される。ガス源56から、マスフローコントローラ54によって流量制御されたガスが、シャワーヘッド14のスリットを介して、ステージ12とシャワーヘッド14の間の空間に提供される。一例によれば、これらのガスがステージ12の上に設けられた基板の処理に利用される。別の例によれば、別のガスを使用することができる。
【0012】
RFジェネレータ60は、PMC20からの指令に基づき、例えばRFセンサと整合器を介してシャワーヘッド14に高周波電力を印加する。フォトディテクタ30は、ステージ12とシャワーヘッド14の間の空間に生じるプラズマ光を電圧に変換して出力する。Auto pressure controller(APC)34は、基板処理又はチャンバクリーニングに利用されたガスをチャンバ10の外部に排出する。このシステムを用いた基板の処理は、例えば、プラズマを用いた成膜、プラズマを用いたエッチング又はプラズマを用いた膜の改質である。一例によれば、このシステムはPEALD装置又はパルスCVD装置として提供される。
【0013】
一例によれば、基板の処理に用いられるモジュールはPMC20によって制御される。一例によれば、PMC20には複数のレシピが格納され、PMC20はレシピに従い基板処理に用いられるモジュールを制御する。図1の例では、MFC50、54、APC34、RFジェネレータ60、フォトディテクタ30、及び温度測定装置32が、PMC20によって制御されるモジュールである。別の例によれば、別のモジュールが制御され得る。
【0014】
PMC20は例えばマイコンである。一例によれば、PMC20は異常検知用コントローラとして機能する。PMC20は、算出部、記憶部、アラーム判定部、及びセンサ監視部などを備え得る。一例によれば、UPC19はPMC20からアラーム信号を受け、そのアラーム信号を表示又は記録する。
【0015】
PMC20とUPC19には記憶媒体21が接続されている。記憶媒体21は、例えばハードディスクなどに、基板処理装置の動作に必要なデータを記憶した部分である。
【0016】
このように、UPC19、PMC20及び記憶媒体21は、基板処理のコントローラとして機能するとともに、予知保全装置としても機能する。この予知保全装置としての動作は、準備段階であるラーニングフェーズと、予知保全動作を実行するモニタリングフェーズに大別される。
【0017】
図2は、ラーニングフェーズの処理例を示すフローチャートである。ラーニングフェーズでは、最初のステップS1にてラーニング回数を決める。例えば、ここでは5回のラーニングを行うものとする。次いで、ステップS2においてあるレシピでダミーウエハに処理を施し、その処理に伴って得られたアナログデータがリミットアラーム(limit alarm)を生じさせるものであるか判定する。リミットアラームというのは、異常などによって想定される範囲を逸脱したアナログデータを見出すために設定する。
【0018】
ステップS2においてリミットアラームが出された場合におけるアナログデータは異常値なので、ステップS5にてラーニングの対象外としたうえで、ステップS6に進む。
【0019】
ステップS2においてリミットアラームを伴わずに得られたアナログデータは、ステップS3にてデータとして蓄積される。次いで、ステップS4にてカウント数を1回増加させ、ステップS6にて所定のラーニング回数を終えたか判定する。現時点では1回のラーニングを終えたので、2回目のラーニングのために再度ステップS2に戻る。この例では、5回のラーニング処理による5回分のアナログデータが、ステップS3の処理によって蓄積されるまで、同一のレシピで、複数のダミーウエハを処理する。
【0020】
このような要領で、複数回のラーニング処理を行う。特定の同一のレシピで複数のダミーウエハを処理したことで、ステップS3において、測定された複数のアナログデータの平均値を求めるができる。この平均値に基づき、例えば、コントローラにおいて、許容閾値を決める。許容閾値を超えなければモジュールは故障しないが、許容閾値を超えるとモジュールの故障が懸念される。一例によれば、許容閾値は、前述のリミットアラームよりも厳しい基準である。つまり、通常使用に問題ないものの経年劣化によってある程度劣化したモジュールで出されたアナログデータは許容閾値を満たさないことがある。したがって、アナログデータが許容閾値を超えると、モジュールが故障したとは言えないものの、遅かれ早かれ故障が懸念される状態であると言える。
【0021】
続いて、別のレシピについてもこのようなラーニング処理を行い、レシピ毎に許容閾値を決める。そして、コントローラは、複数のレシピと、その複数のレシピにそれぞれ対応した許容閾値と、を記憶媒体に保存する。一例によれば、1つのレシピによる処理において、1つのアナログデータを取得し、そのアナログデータについての許容閾値を決定する。別の例によれば、1つのレシピによる処理において、異なるモジュールから複数のアナログデータを取得し、それぞれのアナログデータに関する許容閾値を決定してもよい。
【0022】
さらに、ラーニングフェーズとは別に、必要に応じて、アナログデータと、それに関連するモジュールである関連モジュールとを関連付けて、記憶媒体に保存する。関連モジュールの劣化が、それと関連付けられたアナログデータに影響する。言いかえると、あるモジュールと、そのモジュールの劣化による影響を受けるアナログデータと、を関連付ける。これにより、アナログデータと、関連モジュールの対応関係が決まる。一例によれば、アナログデータは、MFC50、54の流量出力信号であり、関連モジュールは、それぞれMFC50、54である。別の例によれば、アナログデータはAPC34の圧力信号であり、関連モジュールはAPC34である。さらに別の例によれば、アナログデータは、RFジェネレータ60で測定された信号、フォトディテクタ30で検出した信号、温度測定装置32で測定した信号であり、それぞれの関連モジュールは、RFジェネレータ60、フォトディテクタ30、温度測定装置32である。
【0023】
別の例によれば、このような関連付けの作業を省略し、アナログデータを与えるモジュールをそのアナログデータの関連モジュールとしてもよい。さらに別の例によれば、1つのアナログデータに、複数のモジュールを関連付けてもよい。
【0024】
図3は、モニタリングフェーズの処理例を示すフローチャートである。モニタリングフェーズは、製品基板への処理時又はその後の、モジュールの予知保全を行うフェーズである。製品基板への処理によってモジュールが経時劣化し得る。一例によれば、レシピを特定した上で、この経時劣化をモニタリングする。図3のステップSAでは、特定のレシピを使用した基板処理で測定されたアナログデータが、そのレシピに対応して予め定められた許容閾値を超えているか判定する。アナログデータが許容閾値を超えていると判定された場合には、ステップSCにおいて、アナログデータに予め関連付けられた「関連モジュール」が劣化していることを使用者に通知する。通知を受けた使用者は、ステップSDにて対象となっているモジュールを調査し、必要な対策を講じる。
【0025】
具体例を挙げると、多数の製品基板の処理を通じてMFC50、54が経年劣化し、これらによって測定されたアナログデータが許容閾値を超えた場合、MFC50、54の故障の予兆が検知されたこととなり、予知保全のためにアラームをあげる。一例によれば、アラームの原因となったアナログデータがどのレシピによってもたらされたのかを特定することで、そのレシピによる処理が関連モジュールに大きな負担を与えていたことが分かる。
【0026】
他方、ステップSAにおいて、アナログデータが許容閾値を超えていないと判定された場合には、関連モジュールの故障の予兆はないということになり、ステップSBにて合格判定を出す。この合格判定を受けて、コントローラによる処理は、ステップSAに戻り、次の基板に対する処理を施し、再度アナログデータと許容閾値の比較作業を行う。前回のレシピと同じレシピを使用したのであれば前回と同じ許容閾値を用い、前記のレシピと異なるレシピを使用したのであれば変更後のレシピに対応した許容閾値を用いる。
【0027】
こうしてレシピ毎にアナログデータと許容閾値の比較作業を行うことで、あるレシピではモジュールへの負担が小さいのに、別のレシピでは同モジュールへの負担が大きくなってしまうということが分かる。言いかえると、内容の異なる複数のレシピを用いた基板処理のそれぞれについて、アナログデータが許容閾値を超えたか判定すると、特定のレシピがモジュールを特に劣化させていることが分かる。例えば、特定のガスを流すレシピにおいて、MFC50が大きく劣化してしまうということが分かる。このような場合、予知保全の一環として、モジュールへの負担の小さいレシピへ変更したり、モジュールへの負担が小さくなるようにレシピを調整したりする機会を得ることができる。
【0028】
一例によれば、複数のレシピに応じて得られた複数のアナログデータのそれぞれが、複数のレシピについてそれぞれ予め定められた複数の許容閾値に対して、どの程度余裕があるかを示す安全度を算出し得る。安全度が高いほど、アナログデータと、モニタリングフェーズで得られた平均値が近い。つまり、高い安全度を与えるレシピは、モジュールへの負荷が小さいレシピであると考えられる。そして、一例によれば、コントローラにおいて、特に低い安全度を与えるレシピを「高負荷レシピ」として特定することができる。
【0029】
一例によれば、コントローラは、自動又は手動で、高負荷レシピを変更する。別の例によれば、コントローラは、自動又は手動で、高負荷レシピの使用頻度を抑制する。さらに別の例によれば、高負荷レシピが見いだされた場合、その高負荷レシピを与えたアナログデータに予め関連付けられたモジュールを、高負荷レシピへの耐性があるものに変更することができる。
【0030】
上述した、予知保全は、1つのチャンバに関連するモジュールについて行うこととしてもよいし、複数のチャンバ(例えばQCMの4つのチャンバモジュール)に適用してもよい。QCMを構成する4つのモジュールのそれぞれについて、上述した予知保全を適用することでQCMのチャンバ間差を解消又は緩和することができる。
【0031】
次いで、実施例について説明する。図4は、予知保全装置の構成例を示す図である。この予知保全装置は、前述のすべてまたは少なくとも一部の処理を行うための処理回路70bを備えている。処理回路70bでは、少なくとも前述のラーニングフェーズとモニタリングフェーズを行い得る。処理回路は専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。
【0032】
図4は、処理回路70bが専用のハードウェアである場合の予知保全装置のブロック図である。予知保全装置は、受信装置70aと、処理回路70bと、出力装置70cを備える。受信装置70aは、レシピを使用した基板処理で測定されたアナログデータを受信する。処理回路70bは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。予知保全装置の各機能をそれぞれの処理回路で実現してもよいし各機能をまとめて処理回路で実現してもよい。一例によれば、処理回路は、アナログデータが、レシピについて予め定められた許容閾値を超えているか判定するコントローラとして機能する。出力装置70cは、音声、画像、他機器へのアラーム信号の送信などを行う。出力装置70cは、例えば、モニタリングフェーズにおいて、アナログデータが許容閾値を超えていると判定された場合に、アナログデータに予め関連付けられた関連モジュールが劣化していることを使用者に報知するディスプレイである。
【0033】
図5は、処理回路がCPUである場合の予知保全装置の構成例を示すブロック図である。この場合、上述の一連の処理はプログラム制御される。つまり、図2,3のフローが自動的に遂行される。図5のように処理回路80bがCPUの場合は、予知保全装置の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体80cに格納される。許容閾値と関連モジュールの情報も記憶媒体80cに格納される。このプログラムは、簡単に言えば、レシピを特定した上でアナログデータと許容閾値を比較し、アナログデータが許容閾値を超えていればアラームを出すことをコンピュータに実行させる。
【0034】
図4,5どちらの構成においても、コントローラとして機能する処理回路は、複数のレシピによる処理も応じて得られた複数のアナログデータのそれぞれが、複数のレシピについてそれぞれ定められた複数の許容閾値に対して、どの程度余裕があるかを示す安全度をそれぞれ算出し、基準よりも低い安全度を与えるレシピである高負荷レシピを特定することができる。そして、コントローラは、高負荷レシピを変更することを使用者に通知したり、高負荷レシピの使用頻度を抑制することを使用者に通知したり、高負荷レシピを与えたアナログデータに予め関連付けられたモジュールを高負荷レシピへの耐性があるものに変更したりすることを、使用者に通知する。その通知は出力装置が行う。
【0035】
図6は、実施例を示す表である。図6には、レシピR1、R2、R3について、それぞれ4つのアナログデータをモニタすることが示されている。モニタ対象となるすべてのアナログデータについて、許容閾値と関連モジュールが設定されている。さらに、すべてのアナログデータについて、最新のアナログデータが許容閾値に対してどの程度余裕があるかを示す安全度が表示されている。この例では、バロメータ基準よりも低い安全度を与えるアナログデータについては、高負荷レシピの欄にチェックが記入されている。図6の例に示したとおり、安全度を一覧形式にしておくことで、ユーザの利便性が高まる。
【0036】
ここまでに例示した方法又は装置によれば、アナログデータをレシピと対応させて監視することでモジュールの経年劣化を検出する。そのため、単にモジュールを定期的にメンテナンス又は検査する場合と比べて、システムを改善したりレシピを改善したりするための様々な情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 チャンバ、 12 ステージ、 14 シャワーヘッド、 19 UPC、 20 PMC、 50,54 マスフローコントローラ、 60 RFジェネレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6