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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065672
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】距離センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/10 20060101AFI20220421BHJP
   G01S 7/56 20060101ALI20220421BHJP
   G01S 15/62 20060101ALI20220421BHJP
   G01S 7/58 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G01S15/10
G01S7/56
G01S15/62
G01S7/58
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174291
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(71)【出願人】
【識別番号】517157433
【氏名又は名称】株式会社エイ・エム
(71)【出願人】
【識別番号】520403679
【氏名又は名称】株式会社テクニカルアイ
(71)【出願人】
【識別番号】516331834
【氏名又は名称】アルスコンサルタンツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹中 將雄
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】山下 伊智朗
(72)【発明者】
【氏名】川島 信幸
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AC29
5J083AD04
5J083AG05
5J083EB06
5J083EB09
5J083EB10
5J083EB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】距離センサ装置に必要な機能と距離範囲と遠近の知覚を与える距離センサ装置を提供する。
【解決手段】距離センサ110と、前記距離センサ110にバースト波を与え測定信号を送信させるバースト波発生手段121と、前記被検出体が反射した前記測定信号を受信して、前記送信及び前記受信の波形の時間遅れから、前記距離センサ110と前記被検出体との距離を計算する距離計算手段122と、前記測定のための条件、前記距離に関する対応処理の条件を設定する設定モード/動作モード選択手段126と、設定された条件を保持する条件設定データ記憶手段127と、出力手段130と、前記条件設定データ記憶手段127のデータに基づき、前記距離に関する前記対応処理を前記出力手段130に行わせる処理を行う距離範囲対応処理手段124と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離センサと、前記距離センサと被検出体との距離を測定するために前記距離センサにバースト波を与え測定信号を送信させるバースト波発生手段と、前記被検出体が反射した前記測定信号を受信して、前記送信及び前記受信の波形の時間遅れから、前記距離センサと前記被検出体との距離を計算する距離計算手段と、前記測定のための条件、前記距離に関する対応処理の条件を設定する設定モード/動作モード選択手段と、設定された条件を保持する条件設定データ記憶手段と、出力手段と、前記条件設定データ記憶手段のデータに基づき、前記距離に関する前記対応処理を前記出力手段に行わせる処理を行う距離範囲対応処理手段と、を備えることを特徴とする距離センサ装置。
【請求項2】
前記設定モード/動作モード選択手段の設定モードで、電源onから前記送信または前記距離計算の開始までの間に待ちの時間である待機時間を設定し、動作モードにおいて、前記待機時間だけ遅らせて、前記測定又は前記計算を開始する処理を行う待機時間処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の距離センサ装置。
【請求項3】
前記測定のための条件は、前記測定を繰り返し行うための時間間隔を定めるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の距離センサ装置。
【請求項4】
前記出力手段として、別体に存在する出力手段を用いるために、通信のための通信手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【請求項5】
前記出力手段は、視覚出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【請求項6】
前記距離に関する対応処理の条件は、前記出力手段から報知出力するための単一距離であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【請求項7】
前記距離に関する対応処理の条件は、前記出力手段から報知出力するための複数距離であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【請求項8】
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離視覚出力を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記視覚出力手段に行わせる前記処理において、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを知覚させることを可能としたことを特徴とする請求項7記載の距離センサ装置。
【請求項9】
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離知覚報知音を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記出力手段に行わせる前記処理において、前記接近/遠離知覚報知音の1つの手段のみで、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを同時に知覚させることを可能とし、前記接近/遠離知覚報知音は、少なくとも楽音でいう半音の2/3以上の周波数差を互いに有する3個以上の複数音を周波数に沿って上昇又は下降の向き、又は、周波数不変で、順次発生させるものであることを特徴とする請求項7記載の距離センサ装置。
【請求項10】
前記複数距離で定まる複数の前記距離範囲で、前記距離センサから遠い側の前記距離範囲で前記測定に掛からずに、前記距離センサから近い側の前記距離範囲で前記被検出体が前記測定された場合に、一時停止又は減速指示報知を行うことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【請求項11】
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記距離のいずれか1つに関連付けて、カメラ起動を設定することで、前記動作モードにおいて、前記距離測定に、注視能力を補強することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【請求項12】
前記距離センサは、超音波センサであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の距離センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離センサ、特に、超音波センサを用いた距離センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の超音波センサの動作を示す図である。9-1は、特許文献1に示され、所定内の距離に接近した場合に、測定時間間隔を短くして観測する技術がある。9-2-A、9-2-Bは、特許文献2に示され、図面上に〇枠で示すように、警報音発生用周波数変更部があって、障害物を検知すると、超音波送信機に可聴音(20kHz以下)に変更した信号を送り、人の耳に聞こえない超音波の代わりに可聴音を発生させることで、警報音にしてしまう提案がある。超音波と可聴音を交互に発生するのであるが、この提案の欠点は、可聴音を発生している時間は、(人の耳が聞くある程度長い時間)超音波の発生がないので、距離検出ができないことがある。
9-3は、特許文献3に示され、距離区間ごとに、長い断続音、短い断続音、連続音を発生させることで、距離区間の知覚を可能としている。長い断続音、短い断続音、連続音により、区間の区別はできるが、この技術だけでは、接近・遠離の知覚はできず、他の手段が別に必要である。
9-4は、特許文献4に示される。
一般に知られていることとして、救急車や消防車などがサイレンを鳴らしながら走ってくると、近くなるにつれて、サイレンの音の周波数が高い方へシフトし、音圧(音の強さ)が大きくなる、遠ざかるにつれて、サイレンの音の周波数が低い方へシフトし、音圧が小さくなる。
特に、周波数のシフトは、人の感性にあい、これだけで接近・遠離の知覚特性にマッチしている。これは、一般には、ドップラー効果として理論つけられ、よく知られている。
理論上又は自然現象に基づくドップラー効果に基づかなくとも、人為的に作った周波数のシフトがあるだけで、人は、接近・遠離を知覚してしまう。
特許文献4では、エンジン音がしない電気自動車で、エンジン音の代わりにドップラー効果をまねた疑似音を発生させて本来無音の自動車を知覚させることがかかれ、進行方向には、周波数が高い方にシフトさせ、進行方向とは反対方向には、周波数が低い方にシフトさせる二つ音列を作成する音発生装置と二つのスピーカを備えている。無音の電気自動車の接近・遠離を歩行者が知覚するにはこれで十分である。しかしながら、この提案では、距離センサと違い距離範囲の知覚を行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-128278
【特許文献2】特開2009-83743
【特許文献3】特開2003-11757
【特許文献4】特許第5214071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題、測定開始までの待機動作、距離に関連付けた報知出力、一つの手段で、接近・遠離の知覚と距離範囲の知覚を同時に行わせる等が可能な距離センサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、距離センサ装置であって、
距離センサと、前記距離センサと被検出体との距離を測定するために前記距離センサにバースト波を与え測定信号を送信させるバースト波発生手段と、前記被検出体が反射した前記測定信号を受信して、前記送信及び前記受信の波形の時間遅れから、前記距離センサと前記被検出体との距離を計算する距離計算手段と、前記測定のための条件、前記距離に関する対応処理の条件を設定する設定モード/動作モード選択手段と、設定された条件を保持する条件設定データ記憶手段と、出力手段と、前記条件設定データ記憶手段のデータに基づき、前記距離に関する前記対応処理を前記出力手段に行わせる処理を行う距離範囲対応処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の距離センサ装置において、
前記設定モード/動作モード選択手段の設定モードで、電源onから前記送信または前記距離計算の開始までの間に待ちの時間である待機時間を設定し、動作モードにおいて、前記待機時間だけ遅らせて、前記測定又は前記計算を開始する処理を行う待機時間処理手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の距離センサ装置において、
前記測定のための条件は、前記測定を繰り返し行うための時間間隔を定めるものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記出力手段として、別体に存在する出力手段を用いるために、通信のための通信手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記出力手段は、視覚出力手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記距離に関する対応処理の条件は、前記出力手段から報知出力するための単一距離であることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記距離に関する対応処理の条件は、前記出力手段から報知出力するための複数距離であることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の距離センサ装置において、
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離視覚出力を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記視覚出力手段に行わせる前記処理において、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを知覚させることを可能としたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7記載の距離センサ装置において、
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離知覚報知音を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記出力手段に行わせる前記処理において、前記接近/遠離知覚報知音の1つの手段のみで、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを同時に知覚させることを可能とし、前記接近/遠離知覚報知音は、少なくとも楽音でいう半音の2/3以上の周波数差を互いに有する3個以上の複数音を周波数に沿って上昇又は下降の向き、又は、周波数不変で、順次発生させるものであることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項7から請求項9のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記複数距離で定まる複数の前記距離範囲で、前記距離センサから遠い側の前記距離範囲で前記測定に掛からずに、前記距離センサから近い側の前記距離範囲で前記被検出体が前記測定された場合に、一時停止又は減速指示報知を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記距離のいずれか1つに関連付けて、カメラ起動を設定することで、前記動作モードにおいて、前記距離測定に、注視能力を補強することを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の距離センサ装置において、前記距離センサは、超音波センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上の様に構成されているので、本発明による距離センサ装置では、測定開始までの待機動作、距離に関連付けた報知出力、一つの手段で、接近・遠離の知覚と距離範囲の知覚を同時に行わせる等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかる距離センサ装置の構成の一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかる距離センサ装置の待機時間についての一実施態様を示す図である。
図3】本発明にかかる距離センサ装置の測定時間間隔についての一実施態様を示す図である。
図4】本発明にかかる距離センサ装置の監視距離についての一実施態様を示す図である。
図5】人が知覚できる周波数シフトの量的関係を示す図である。
図6】本発明にかかる距離センサ装置の監視距離とこれに関連付けた接近・遠離知覚報知処理、接近・遠離知覚音の一実施態様を示す図である。
図7】本発明にかかる距離センサ装置の設定モードの一実施態様を示す図である。
図8】本発明にかかる距離センサ装置の動作フロー図の一実施態様を示す図である。
図9】従来の距離センサ又は警報音利用形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明にかかる距離センサ装置の構成の一実施態様を示す図である。
距離センサ装置100は、距離センサ110、処理手段120、処理手段の処理に基づき出力する出力手段130、これらの動作を制御する制御手段140を備えている。距離センサ110は、光センサも使えるが、超音波センサ110Aが使用できる。
先ず、処理手段120内の各手段の動作について言及する。
超音波センサ110Aでは、例えば0.1秒間隔で40kHz(範囲で30kHz~80kHzが使われることが多い)のバースト波をバースト波発生手段121から発生させ、被検出体が存在した場合、これによる反射波を超音波センサ110Aで受けて、距離計算手段122において、その遅延時間から被検出体との間の距離(遅れ時間×音速÷2)を求める。待機時間手段123は、装置の電源が投入された開始から設定された待機時間だけ計時し、直接または、制御手段140を介して、バースト波発生を遅らすか、又は、距離計算をしないように計らうことで、実質的に待機時間は距離測定を行わない。待機時間設定値が0の場合のみ、測定が電源ONとともに行われる。
距離範囲対応処理手段124は、距離範囲に関連付けた条件で出力処理の信号を接近/遠離知覚報知音データ125を用いて作成し、出力手段130の音報知手段131等に出力する。この詳細は、図3から図7の説明において、明らかにする。
設定モード/動作モード選択手段126は、設定モードを選択した場合には、後述する各種の条件設定を行うことができ、設定した条件は、条件設定データ記憶手段127に保存される。この詳細は、同様に、図3から図7の説明において、明らかにする。
出力手段130としては、スピーカ等の音報知手段131以外に、画像や設定画面を表示する表示手段132、場合によっては、通信手段133を有して、通信を介して外部の出力手段135に出力することができる。さらに、場合によっては、出力端子134を備えて、他の機器と接続することもできる。又、入力手段としてカメラ111を備えてもよい。
尚、表示手段132は、画像や設定画面を表示するもの以外に、報知出力として視覚出力を出すものも可能であり、例えば、発光素子LEDも使用できる。例えば、図4で詳述する距離p0、p1、p2、p3でいずれかにおいて、発光して報知出力することも可能である。さらに、p1、p2、p3において、発光による報知出力で、距離範囲と進行方向に関連した出力をすることも可能であり、図6の6-3において記述する。
【0020】
図2は、本発明にかかる距離センサ装置の待機時間についての一実施態様を示す図である。
2-1において、電源onすると、設定モード/動作モード選択手段126で設定モードが選択されている時には、各種の設定動作が行える。設定が完了すると、
2-3において、選択した待機時間、例えば、40秒の経過を待って、動作モードになり、測定と報知が行われる。2-2のように、設定モード/動作モード選択手段126で動作モードが選択されている時には、選択した待機時間、例えば、40秒の経過を待って、動作モードになり、測定と報知が行われる。
【0021】
図3は、本発明にかかる距離センサ装置の測定時間間隔についての一実施態様を示す図である。任意を選択すると、任意の測定時間間隔を指定できる。この例では、0.20秒となっている。選択時間のどれかを選択すると、例えば、0.10秒、この欄が選択された色表示され、任意の欄は選択から外れる。
【0022】
図4は、本発明にかかる距離センサ装置の監視距離についての一実施態様を示す図である。
4-1では、単一の注意距離p0を設定することができる。p0では、注意報を出し停止を指示したりさせることができる。p0の値は、この表から選択でき、例えば、条件A2の3mを選ぶと、被検出体が3mの距離に入ると注意報が出せる。また、任意の距離を指定するやり方でもよい。
4-2では、複数の距離を選択または指定でき、この例では、p1、p2、p3の3つの距離の場合を示す。このような場合には、例えば、以下のような使い方ができる。
p3を弱監視区間距離として、p3より遠距離側では、測定はするが、監視等の注意は不要とし、p2を注視開始距離として、p2からp3間は弱監視(注意小)する区間とし、p1を停止指令距離として、p1とp2間は、強監視(注意大)する区間とする。表において、条件B2を選択すると、p1、p2、p3は、各々、0.5m、1m、4mとなる。
また、任意指定してもよい。
【0023】
図5は、人が知覚できる周波数シフトの量的関係を示す図である。
図5の表の聴覚という欄に示すのは、人の聴覚で差があるとして区別して知覚できる周波数シフトのデータであり、半音の2/3まで、差が知覚できる状態にあり、楽曲が半音を最低楽音差として成り立っている理由がよくわかる。さらに、この表は、音を出しながら動く物体の移動速度vsと音速344m/sの比が0.06(6%)だと、ドップラー効果による半音の周波数シフト、0.12(12%)だと、全音の周波数シフトを与えることを示し、実際、移動物体の距離を観測する場合に、移動速度が25km/s以下では、周波数シフトは実際には聴覚で知覚できない。このような低速度においても接近・遠離を感覚として知覚することが望ましい。
【0024】
図6は、本発明にかかる距離センサ装置の監視距離とこれに関連付けた接近・遠離知覚報知処理、接近・遠離知覚音の一実施態様を示す図である。
6-1において、4-2で複数の距離(この場合は、p1、p2、p3)を選択または指定した場合で、この例では、p2からp3の距離範囲に接近/遠離知覚報知処理が割り当てられて関連付けされている。距離範囲対応処理手段124では、これらの割り当てられた関連データを基に、接近/遠離知覚報知音データ125の具体的データにて音報知手段131に出力する。従って、接近/遠離知覚報知処理の1つの手段により同時に、被検出体が近接しているのか、遠のいていっているのかの知覚と、被検出体が関連の付いているp2とp3の間にいる知覚とが可能となる。すなわち、距離―報知音対応表では、設定により、p3で「4mです」、p2では、「1mです」、p3では、「停止です」となっているので、測定された距離がp3に入ると、「4mです」と報知され、p3からp2の間にある時は、
接近/遠離知覚報知処理により、例えば、「ドミソ、ドミソ、・・・」と繰り返した報知音により、p3とp2の間で近づいていると知覚され、例えば、周波数の変化がなくなると、停止中と分かり、例えば、「ソミド、ソミド・・」と繰り返した報知音により、p3とp2の間で遠のいていると知覚される。尚、この例では、接近/遠離知覚報知処理は、p3とp2の間に適用しているが、これと同じく、p2からp1の間にも、接近/遠離知覚報知処理を適用して、「ソラシ、ソラシ、・・・」や、1オクターブ上又は下で「ドミソ、ドミソ、・・・」とすることで、p2からp1の間でp2とp1の間で近づいていると知覚される。尚、この例のように、p2からp1の間に、「短時間間隔断続音」を割り当てて、この範囲は、停止が近いので、要注意であることを示すことができる。尚、この例のように、p2に入ったことにより、要注意に対応する処理として、カメラ起動など注意処理を行うのもよい。図のように、p2では、「1mです」、p1では、「停止です」などの報知が出ると好都合である。この例のように、複数距離の監視を行うと、いきなり停止の報知とせずに、注意の重大さの程度で監視でき、この例のように、p3からp2では、弱監視、p2以下になって、強監視、要注意、p1で、「停止」報知となる。
接近/遠離知覚報知処理の一つの手段を距離範囲に割り当て関連付けたことで、現在、どの距離範囲に被検出体があり、近づいているか、遠ざかっているか、停止しているかが同時に知覚できるので、極めて現実的な有効な処理が行える。
【0025】
6-2には、接近/遠離知覚報知処理の例を示す。C、D、E、F,G、A、Bは、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの音階記号 #:半音上げを表す。書いてはいないが、♭は、半音下げを表す。
接近(近づいている)と遠離(遠ざかっている)の違いを表すには、前述のように、人の聴覚で半音の2/3以上の音の周波数シフトがあれば、知覚できる。そのため、この違い以上の音を3個以上の音を順次、発音すればよい。2個では、周波数が上昇か下降かわからない。例えば、「ドレミ、ドレミ、・・」や「ドミソ、ドミソ・・」は、上昇が分かるが、同じ3個でも、「ドレミ、ミレド、ドレミ、ミレド・・・」は、上昇と下降があるので、接近と遠離は知覚できないので、3個以上の音でも、このような上下両方の繰り返しは行わない。周波数シフトは、半音の2/3以上で知覚できるが、分かりやすいように、半音以上で接近と遠離の繰り返し音の例を6-2に示す。
接近方向では、例1では、半音3個では、C、C#、D、の繰り返し、勿論、G、G#、Aなど他にいくらでも可能である。遠離方向の例も同様に示される。
なお、距離センサでは、距離しかわからない。この性質から、距離センサは、まだ初動的な安心な状態での見守りによいといえる。これに加えて、カメラ起動では、空間が認識できて、監視範囲が拡大する。そこで、画像空間の中での被検出体に追跡マーク(目印)を付けて、以後の移動予測と追跡を行うようにすると、強監視範囲の監視として効果的である。
移動予測により、延長部において、衝突の可能性が予測される場合は、即刻減速や停止を指示できる。
【0026】
6-3は、距離センサ装置の一例であり、鳥の形の筐体で、片目に距離センサ、他方の目に表示手段としての警報用LED、又は、及び、腹部に表示手段としての距離範囲と接近・遠離知覚のための視覚表示出力を備えた例である。
【0027】
図7は、本発明にかかる距離センサ装置の設定モードの一実施態様を示す図である。
電源onすると、設定モード/動作モード選択手段126により、モード選択ができる。各モード間の切替が可能である。設定モードにおいては、図2の2-3で説明した待機時間の設定があり、この例では、○の値が選択されている。全部●か、待機時間が◆では、待機時間無しを表す。次に、管理距離では、単一管理距離Aの場合と、(段階的)複数管理距離Bのいずれかが選択できる。まず、単一管理距離では、例えば、〇や●で表された距離、○が選択されていることを示す。
図4の4-1を見ると、p0は4、3、2、1、0.5、0、3mの中から選択できる。例えば、0.3を選択すると、0.3に選択色がつく。
音構成では、○の三番目の音が選択され、音間隔では、□が付いているので、断続音(間隔〇秒)、音圧〇dbが指定されている。しかしながら、単一管理距離に◆になっていて、複数管理距離に◇になっているので、選択され実行されるのは、(段階的)複数管理距離の方となる。
(段階的)複数管理距離では、4-2で説明した例では、p1、p2、p3が指定されていた。図7の中では、□のついた値が選択されていることを表している。さらに、複数管理距離での詳細の設定について、枠内の接近・遠離知覚音の指定ができる。例えば、
音数は、〇、例えば3、音種で□の付いた〇、〇、〇、ここは、例として、ド、レ、ミ、等に対応する。報知距離範囲は□の付いた、p2<L≦p3が指定されている。図6の6-1に対応している。接近・遠離知覚音が割り当て関連付けられたp2<L≦p3では、接近又は遠離が知覚できるが、停止した場合は、停止時報知音を設定しておくことができる。図7の例では、□の付いた全音同時が選ばれているので、例えば、ドレミの全音が同時に、音間隔は□のついた断続(間隔〇秒)、音圧〇dbで報知される。
尚、設定完了ボタンを押すことで、いつでも動作モードに切り替えができ、逆に、動作モードから設定モードにも切替できる。
尚、設定モードの設定は、装置本体で行うほかに、他のpcなどで行い、データを装置本体に転送或いは、送信して使用に供することも可能であり、本装置の提案の範囲である。
【0028】
図8は、本発明にかかる距離センサ装置の動作フロー図の一実施態様を示す図である。
電源0Nから順次説明する。設定をする場合は、設定モードへいき、図2から図7で示した設定がなされる。設定しない場合は、動作モードに行く。8-2に動作モードのフローが示される。
1)計時開始
2)時間が待機時間になったら(待機時間が0では、すぐ3)へ)
3)電源offの指令があるかを見て、あれば、終了。なければ、
4)距離測定し5)へ
5)条件により警報出力し、3)に戻り、繰り返し。

5)の警報出力フローを見ると、測定距離をLとして、
A:単一距離管理モードでは、L≦p0で警報発生、3)へ。そうでない場合は、3)へ。
B:(段階的)複数管理距離モードでは、L>p3では、警報なしで、3)へ
p2<L≦p3では、接近・遠離知覚報知音を出力し、3)へ
p1<L≦p2では、この例では短間隔要注意音を出力し、3)へ。勿論、前述のように、ここも接近・遠離知覚報知音を出力でもよい。その場合は、 p2<L≦p3とは音を変える方がよい。
L≦p1では、停止指示音を出力し、3)へ
【0029】
尚、距離範囲ごとに、報知音(場合によっては、表示のための文字)を指定した距離範囲報知音(文字)対応(変換)表を作成して、これに基づき報知出力することも可能で本願の範囲である。
いずれの時点でも、電源OFF指令をすると、3)でこれを感知して終了になる。
尚フローでは、待機時間は、計時手段を用いてディジタル的に行ったが、時定数によるアナログ的タイマーでも行えることは当然である。
尚、p2より外側で検出せずに、いきなりp1とp2間で検出された場合は、一時停止又は減速指示報知を行うなどの手段も可能である。又、起動したカメラ画像により、被検出体を追跡又は移動経路予測を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように本発明にかかる距離センサ装置は、測定開始までの待機動作、距離に関連付けた報知出力の他、接近/遠離知覚報知処理の1つの手段により同時に、被検出体が近接しているのか、遠のいていっているのかの知覚と、被検出体が関連の付いている距離範囲の知覚と、が可能なので、少ない構成で実現でき、産業上利用して極めて好都合である。
【0031】
100 距離センサ装置
110 距離センサ
110A 超音波センサ
111 カメラ
120 処理手段
121 バースト波発生手段
122 距離計算手段
123 待機時間手段
124 距離範囲対応処理手段
125 接近/遠離知覚報知音データ
126 設定モード/動作モード選択手段
127 条件設定データ記憶手段
130 出力手段
131 音報知手段
132 表示手段
133 通信手段
134 出力端子
135 外部の出力手段
140 制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離センサと、前記距離センサと被検出体との距離を測定するために前記距離センサにバースト波を与え測定信号を送信させるバースト波発生手段と、前記被検出体が反射した前記測定信号を受信して、前記送信及び前記受信の波形の時間遅れから、前記距離センサと前記被検出体との距離を計算する距離計算手段と、前記測定のための条件、前記距離に関する対応処理の条件を設定する設定モード/動作モード選択手段と、設定された条件を保持する条件設定データ記憶手段と、出力手段と、前記条件設定データ記憶手段のデータに基づき、前記距離に関する前記対応処理を前記出力手段に行わせる処理を行う距離範囲対応処理手段と、前記出力手段として視覚出力手段と、を備え、
前記距離に関する対応処理の条件は、前記出力手段から報知出力するための複数距離に対応し、前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離視覚出力を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記視覚出力手段に行わせる前記処理において、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを知覚させることを可能としたことを特徴とする距離センサ装置。
【請求項2】
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離知覚報知音を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記出力手段に行わせる前記処理において、前記接近/遠離知覚報知音の1つの手段のみで、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを同時に知覚させることを可能とし、前記接近/遠離知覚報知音は、少なくとも楽音でいう半音の2/3以上の周波数差を互いに有する3個以上の複数音を周波数に沿って上昇又は下降の向き、又は、周波数不変で、順次発生させるものであることを特徴とする請求項記載の距離センサ装置。
【請求項3】
前記複数距離で定まる複数の前記距離範囲で、前記距離センサから遠い側の前記距離範囲で前記測定に掛からずに、前記距離センサから近い側の前記距離範囲で前記被検出体が前記測定された場合に、一時停止又は減速指示報知を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の距離センサ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離センサ、特に、超音波センサを用いた距離センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の超音波センサの動作を示す図である。9-1は、特許文献1に示され、所定内の距離に接近した場合に、測定時間間隔を短くして観測する技術がある。9-2-A、9-2-Bは、特許文献2に示され、図面上に〇枠で示すように、警報音発生用周波数変更部があって、障害物を検知すると、超音波送信機に可聴音(20kHz以下)に変更した信号を送り、人の耳に聞こえない超音波の代わりに可聴音を発生させることで、警報音にしてしまう提案がある。超音波と可聴音を交互に発生するのであるが、この提案の欠点は、可聴音を発生している時間は、(人の耳が聞くある程度長い時間)超音波の発生がないので、距離検出ができないことがある。
9-3は、特許文献3に示され、距離区間ごとに、長い断続音、短い断続音、連続音を発生させることで、距離区間の知覚を可能としている。長い断続音、短い断続音、連続音により、区間の区別はできるが、この技術だけでは、接近・遠離の知覚はできず、他の手段が別に必要である。
9-4は、特許文献4に示される。
一般に知られていることとして、救急車や消防車などがサイレンを鳴らしながら走ってくると、近くなるにつれて、サイレンの音の周波数が高い方へシフトし、音圧(音の強さ)が大きくなる、遠ざかるにつれて、サイレンの音の周波数が低い方へシフトし、音圧が小さくなる。
特に、周波数のシフトは、人の感性にあい、これだけで接近・遠離の知覚特性にマッチしている。これは、一般には、ドップラー効果として理論つけられ、よく知られている。
理論上又は自然現象に基づくドップラー効果に基づかなくとも、人為的に作った周波数のシフトがあるだけで、人は、接近・遠離を知覚してしまう。
特許文献4では、エンジン音がしない電気自動車で、エンジン音の代わりにドップラー効果をまねた疑似音を発生させて本来無音の自動車を知覚させることがかかれ、進行方向には、周波数が高い方にシフトさせ、進行方向とは反対方向には、周波数が低い方にシフトさせる二つ音列を作成する音発生装置と二つのスピーカを備えている。無音の電気自動車の接近・遠離を歩行者が知覚するにはこれで十分である。しかしながら、この提案では、距離センサと違い距離範囲の知覚を行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-128278
【特許文献2】特開2009-83743
【特許文献3】特開2003-11757
【特許文献4】特許第5214071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題、測定開始までの待機動作、距離に関連付けた報知出力、一つの手段で、接近・遠離の知覚と距離範囲の知覚を同時に行わせる等が可能な距離センサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1に記載の発明は、距離センサ装置であって、
距離センサと、前記距離センサと被検出体との距離を測定するために前記距離センサにバースト波を与え測定信号を送信させるバースト波発生手段と、前記被検出体が反射した前記測定信号を受信して、前記送信及び前記受信の波形の時間遅れから、前記距離センサと前記被検出体との距離を計算する距離計算手段と、前記測定のための条件、前記距離に関する対応処理の条件を設定する設定モード/動作モード選択手段と、設定された条件を保持する条件設定データ記憶手段と、出力手段と、前記条件設定データ記憶手段のデータに基づき、前記距離に関する前記対応処理を前記出力手段に行わせる処理を行う距離範囲対応処理手段と、前記出力手段として視覚出力手段と、を備え、
前記距離に関する対応処理の条件は、前記出力手段から報知出力するための複数距離に対応し、前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離視覚出力を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記視覚出力手段に行わせる前記処理において、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを知覚させることを可能としたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項記載の距離センサ装置において、
前記設定モード/動作モード選択手段の前記設定モードで、
前記複数距離に対する複数の範囲の少なくとも1つの範囲に接近/遠離知覚報知音を関連付けることで、前記動作モードにおいて、前記距離範囲対応処理手段が前記出力手段に行わせる前記処理において、前記接近/遠離知覚報知音の1つの手段のみで、前記被検出体が、接近しているか、又は、遠ざかっているか、又は、停止しているかを人に知覚させることと、前記被検出体が、前記関連付けた範囲に存在することを同時に知覚させることを可能とし、前記接近/遠離知覚報知音は、少なくとも楽音でいう半音の2/3以上の周波数差を互いに有する3個以上の複数音を周波数に沿って上昇又は下降の向き、又は、周波数不変で、順次発生させるものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の距離センサ装置において、
前記複数距離で定まる複数の前記距離範囲で、前記距離センサから遠い側の前記距離範囲で前記測定に掛からずに、前記距離センサから近い側の前記距離範囲で前記被検出体が前記測定された場合に、一時停止又は減速指示報知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の様に構成されているので、本発明による距離センサ装置では、測定開始までの待機動作、距離に関連付けた報知出力、一つの手段で、接近・遠離の知覚と距離範囲の知覚を同時に行わせる等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかる距離センサ装置の構成の一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかる距離センサ装置の待機時間についての一実施態様を示す図である。
図3】本発明にかかる距離センサ装置の測定時間間隔についての一実施態様を示す図である。
図4】本発明にかかる距離センサ装置の監視距離についての一実施態様を示す図である。
図5】人が知覚できる周波数シフトの量的関係を示す図である。
図6】本発明にかかる距離センサ装置の監視距離とこれに関連付けた接近・遠離知覚報知処理、接近・遠離知覚音の一実施態様を示す図である。
図7】本発明にかかる距離センサ装置の設定モードの一実施態様を示す図である。
図8】本発明にかかる距離センサ装置の動作フロー図の一実施態様を示す図である。
図9】従来の距離センサ又は警報音利用形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明にかかる距離センサ装置の構成の一実施態様を示す図である。
距離センサ装置100は、距離センサ110、処理手段120、処理手段の処理に基づき出力する出力手段130、これらの動作を制御する制御手段140を備えている。距離センサ110は、光センサも使えるが、超音波センサ110Aが使用できる。
先ず、処理手段120内の各手段の動作について言及する。
超音波センサ110Aでは、例えば0.1秒間隔で40kHz(範囲で30kHz~80kHzが使われることが多い)のバースト波をバースト波発生手段121から発生させ、被検出体が存在した場合、これによる反射波を超音波センサ110Aで受けて、距離計算手段122において、その遅延時間から被検出体との間の距離(遅れ時間×音速÷2)を求める。待機時間手段123は、装置の電源が投入された開始から設定された待機時間だけ計時し、直接または、制御手段140を介して、バースト波発生を遅らすか、又は、距離計算をしないように計らうことで、実質的に待機時間は距離測定を行わない。待機時間設定値が0の場合のみ、測定が電源ONとともに行われる。
距離範囲対応処理手段124は、距離範囲に関連付けた条件で出力処理の信号を接近/遠離知覚報知音データ125を用いて作成し、出力手段130の音報知手段131等に出力する。この詳細は、図3から図7の説明において、明らかにする。
設定モード/動作モード選択手段126は、設定モードを選択した場合には、後述する各種の条件設定を行うことができ、設定した条件は、条件設定データ記憶手段127に保存される。この詳細は、同様に、図3から図7の説明において、明らかにする。
出力手段130としては、スピーカ等の音報知手段131以外に、画像や設定画面を表示する表示手段132、場合によっては、通信手段133を有して、通信を介して外部の出力手段135に出力することができる。さらに、場合によっては、出力端子134を備えて、他の機器と接続することもできる。又、入力手段としてカメラ111を備えてもよい。
尚、表示手段132は、画像や設定画面を表示するもの以外に、報知出力として視覚出力を出すものも可能であり、例えば、発光素子LEDも使用できる。例えば、図4で詳述する距離p0、p1、p2、p3でいずれかにおいて、発光して報知出力することも可能である。さらに、p1、p2、p3において、発光による報知出力で、距離範囲と進行方向に関連した出力をすることも可能であり、図6の6-3において記述する。
【0011】
図2は、本発明にかかる距離センサ装置の待機時間についての一実施態様を示す図である。
2-1において、電源onすると、設定モード/動作モード選択手段126で設定モードが選択されている時には、各種の設定動作が行える。設定が完了すると、
2-3において、選択した待機時間、例えば、40秒の経過を待って、動作モードになり、測定と報知が行われる。2-2のように、設定モード/動作モード選択手段126で動作モードが選択されている時には、選択した待機時間、例えば、40秒の経過を待って、動作モードになり、測定と報知が行われる。
【0012】
図3は、本発明にかかる距離センサ装置の測定時間間隔についての一実施態様を示す図である。任意を選択すると、任意の測定時間間隔を指定できる。この例では、0.20秒となっている。選択時間のどれかを選択すると、例えば、0.10秒、この欄が選択された色表示され、任意の欄は選択から外れる。
【0013】
図4は、本発明にかかる距離センサ装置の監視距離についての一実施態様を示す図である。
4-1では、単一の注意距離p0を設定することができる。p0では、注意報を出し停止を指示したりさせることができる。p0の値は、この表から選択でき、例えば、条件A2の3mを選ぶと、被検出体が3mの距離に入ると注意報が出せる。また、任意の距離を指定するやり方でもよい。
4-2では、複数の距離を選択または指定でき、この例では、p1、p2、p3の3つの距離の場合を示す。このような場合には、例えば、以下のような使い方ができる。
p3を弱監視区間距離として、p3より遠距離側では、測定はするが、監視等の注意は不要とし、p2を注視開始距離として、p2からp3間は弱監視(注意小)する区間とし、p1を停止指令距離として、p1とp2間は、強監視(注意大)する区間とする。表において、条件B2を選択すると、p1、p2、p3は、各々、0.5m、1m、4mとなる。
また、任意指定してもよい。
【0014】
図5は、人が知覚できる周波数シフトの量的関係を示す図である。
図5の表の聴覚という欄に示すのは、人の聴覚で差があるとして区別して知覚できる周波数シフトのデータであり、半音の2/3まで、差が知覚できる状態にあり、楽曲が半音を最低楽音差として成り立っている理由がよくわかる。さらに、この表は、音を出しながら動く物体の移動速度vsと音速344m/sの比が0.06(6%)だと、ドップラー効果による半音の周波数シフト、0.12(12%)だと、全音の周波数シフトを与えることを示し、実際、移動物体の距離を観測する場合に、移動速度が25km/s以下では、周波数シフトは実際には聴覚で知覚できない。このような低速度においても接近・遠離を感覚として知覚することが望ましい。
【0015】
図6は、本発明にかかる距離センサ装置の監視距離とこれに関連付けた接近・遠離知覚報知処理、接近・遠離知覚音の一実施態様を示す図である。
6-1において、4-2で複数の距離(この場合は、p1、p2、p3)を選択または指定した場合で、この例では、p2からp3の距離範囲に接近/遠離知覚報知処理が割り当てられて関連付けされている。距離範囲対応処理手段124では、これらの割り当てられた関連データを基に、接近/遠離知覚報知音データ125の具体的データにて音報知手段131に出力する。従って、接近/遠離知覚報知処理の1つの手段により同時に、被検出体が近接しているのか、遠のいていっているのかの知覚と、被検出体が関連の付いているp2とp3の間にいる知覚とが可能となる。すなわち、距離―報知音対応表では、設定により、p3で「4mです」、p2では、「1mです」、p3では、「停止です」となっているので、測定された距離がp3に入ると、「4mです」と報知され、p3からp2の間にある時は、
接近/遠離知覚報知処理により、例えば、「ドミソ、ドミソ、・・・」と繰り返した報知音により、p3とp2の間で近づいていると知覚され、例えば、周波数の変化がなくなると、停止中と分かり、例えば、「ソミド、ソミド・・」と繰り返した報知音により、p3とp2の間で遠のいていると知覚される。尚、この例では、接近/遠離知覚報知処理は、p3とp2の間に適用しているが、これと同じく、p2からp1の間にも、接近/遠離知覚報知処理を適用して、「ソラシ、ソラシ、・・・」や、1オクターブ上又は下で「ドミソ、ドミソ、・・・」とすることで、p2からp1の間でp2とp1の間で近づいていると知覚される。尚、この例のように、p2からp1の間に、「短時間間隔断続音」を割り当てて、この範囲は、停止が近いので、要注意であることを示すことができる。尚、この例のように、p2に入ったことにより、要注意に対応する処理として、カメラ起動など注意処理を行うのもよい。図のように、p2では、「1mです」、p1では、「停止です」などの報知が出ると好都合である。この例のように、複数距離の監視を行うと、いきなり停止の報知とせずに、注意の重大さの程度で監視でき、この例のように、p3からp2では、弱監視、p2以下になって、強監視、要注意、p1で、「停止」報知となる。
接近/遠離知覚報知処理の一つの手段を距離範囲に割り当て関連付けたことで、現在、どの距離範囲に被検出体があり、近づいているか、遠ざかっているか、停止しているかが同時に知覚できるので、極めて現実的な有効な処理が行える。
【0016】
6-2には、接近/遠離知覚報知処理の例を示す。C、D、E、F,G、A、Bは、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの音階記号 #:半音上げを表す。書いてはいないが、♭は、半音下げを表す。
接近(近づいている)と遠離(遠ざかっている)の違いを表すには、前述のように、人の聴覚で半音の2/3以上の音の周波数シフトがあれば、知覚できる。そのため、この違い以上の音を3個以上の音を順次、発音すればよい。2個では、周波数が上昇か下降かわからない。例えば、「ドレミ、ドレミ、・・」や「ドミソ、ドミソ・・」は、上昇が分かるが、同じ3個でも、「ドレミ、ミレド、ドレミ、ミレド・・・」は、上昇と下降があるので、接近と遠離は知覚できないので、3個以上の音でも、このような上下両方の繰り返しは行わない。周波数シフトは、半音の2/3以上で知覚できるが、分かりやすいように、半音以上で接近と遠離の繰り返し音の例を6-2に示す。
接近方向では、例1では、半音3個では、C、C#、D、の繰り返し、勿論、G、G#、Aなど他にいくらでも可能である。遠離方向の例も同様に示される。
なお、距離センサでは、距離しかわからない。この性質から、距離センサは、まだ初動的な安心な状態での見守りによいといえる。これに加えて、カメラ起動では、空間が認識できて、監視範囲が拡大する。そこで、画像空間の中での被検出体に追跡マーク(目印)を付けて、以後の移動予測と追跡を行うようにすると、強監視範囲の監視として効果的である。
移動予測により、延長部において、衝突の可能性が予測される場合は、即刻減速や停止を指示できる。
【0017】
6-3は、距離センサ装置の一例であり、鳥の形の筐体で、片目に距離センサ、他方の目に表示手段としての警報用LED、又は、及び、腹部に表示手段としての距離範囲と接近・遠離知覚のための視覚表示出力を備えた例である。
【0018】
図7は、本発明にかかる距離センサ装置の設定モードの一実施態様を示す図である。
電源onすると、設定モード/動作モード選択手段126により、モード選択ができる。各モード間の切替が可能である。設定モードにおいては、図2の2-3で説明した待機時間の設定があり、この例では、○の値が選択されている。全部●か、待機時間が◆では、待機時間無しを表す。次に、管理距離では、単一管理距離Aの場合と、(段階的)複数管理距離Bのいずれかが選択できる。まず、単一管理距離では、例えば、〇や●で表された距離、○が選択されていることを示す。
図4の4-1を見ると、p0は4、3、2、1、0.5、0、3mの中から選択できる。例えば、0.3を選択すると、0.3に選択色がつく。
音構成では、○の三番目の音が選択され、音間隔では、□が付いているので、断続音(間隔〇秒)、音圧〇dbが指定されている。しかしながら、単一管理距離に◆になっていて、複数管理距離に◇になっているので、選択され実行されるのは、(段階的)複数管理距離の方となる。
(段階的)複数管理距離では、4-2で説明した例では、p1、p2、p3が指定されていた。図7の中では、□のついた値が選択されていることを表している。さらに、複数管理距離での詳細の設定について、枠内の接近・遠離知覚音の指定ができる。例えば、
音数は、〇、例えば3、音種で□の付いた〇、〇、〇、ここは、例として、ド、レ、ミ、等に対応する。報知距離範囲は□の付いた、p2<L≦p3が指定されている。図6の6-1に対応している。接近・遠離知覚音が割り当て関連付けられたp2<L≦p3では、接近又は遠離が知覚できるが、停止した場合は、停止時報知音を設定しておくことができる。図7の例では、□の付いた全音同時が選ばれているので、例えば、ドレミの全音が同時に、音間隔は□のついた断続(間隔〇秒)、音圧〇dbで報知される。
尚、設定完了ボタンを押すことで、いつでも動作モードに切り替えができ、逆に、動作モードから設定モードにも切替できる。
尚、設定モードの設定は、装置本体で行うほかに、他のpcなどで行い、データを装置本体に転送或いは、送信して使用に供することも可能であり、本装置の提案の範囲である。
【0019】
図8は、本発明にかかる距離センサ装置の動作フロー図の一実施態様を示す図である。
電源0Nから順次説明する。設定をする場合は、設定モードへいき、図2から図7で示した設定がなされる。設定しない場合は、動作モードに行く。8-2に動作モードのフローが示される。
1)計時開始
2)時間が待機時間になったら(待機時間が0では、すぐ3)へ)
3)電源offの指令があるかを見て、あれば、終了。なければ、
4)距離測定し5)へ
5)条件により警報出力し、3)に戻り、繰り返し。

5)の警報出力フローを見ると、測定距離をLとして、
A:単一距離管理モードでは、L≦p0で警報発生、3)へ。そうでない場合は、3)へ。
B:(段階的)複数管理距離モードでは、L>p3では、警報なしで、3)へ
p2<L≦p3では、接近・遠離知覚報知音を出力し、3)へ
p1<L≦p2では、この例では短間隔要注意音を出力し、3)へ。勿論、前述のように、ここも接近・遠離知覚報知音を出力でもよい。その場合は、 p2<L≦p3とは音を変える方がよい。
L≦p1では、停止指示音を出力し、3)へ
【0020】
尚、距離範囲ごとに、報知音(場合によっては、表示のための文字)を指定した距離範囲報知音(文字)対応(変換)表を作成して、これに基づき報知出力することも可能で本願の範囲である。
いずれの時点でも、電源OFF指令をすると、3)でこれを感知して終了になる。
尚フローでは、待機時間は、計時手段を用いてディジタル的に行ったが、時定数によるアナログ的タイマーでも行えることは当然である。
尚、p2より外側で検出せずに、いきなりp1とp2間で検出された場合は、一時停止又は減速指示報知を行うなどの手段も可能である。又、起動したカメラ画像により、被検出体を追跡又は移動経路予測を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように本発明にかかる距離センサ装置は、測定開始までの待機動作、距離に関連付けた報知出力の他、接近/遠離知覚報知処理の1つの手段により同時に、被検出体が近接しているのか、遠のいていっているのかの知覚と、被検出体が関連の付いている距離範囲の知覚と、が可能なので、少ない構成で実現でき、産業上利用して極めて好都合である。
【0022】
100 距離センサ装置
110 距離センサ
110A 超音波センサ
111 カメラ
120 処理手段
121 バースト波発生手段
122 距離計算手段
123 待機時間手段
124 距離範囲対応処理手段
125 接近/遠離知覚報知音データ
126 設定モード/動作モード選択手段
127 条件設定データ記憶手段
130 出力手段
131 音報知手段
132 表示手段
133 通信手段
134 出力端子
135 外部の出力手段
140 制御手段