(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065681
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11573 20170101AFI20220421BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220421BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20220421BHJP
H01L 27/1157 20170101ALI20220421BHJP
H01L 27/11546 20170101ALI20220421BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220421BHJP
H01L 27/11536 20170101ALI20220421BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H01L27/11573
H01L27/088 H
H01L27/088 C
H01L27/088 331E
H01L27/1157
H01L27/11546
H01L29/78 371
H01L27/11536
H01L21/316 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174301
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大水 祐人
【テーマコード(参考)】
5F048
5F058
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA07
5F048AA09
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
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5F048BB05
5F048BB08
5F048BB11
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5F048BB17
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5F048BG06
5F048BG13
5F048DA27
5F058BC02
5F058BF62
5F058BF63
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP50
5F083EP77
5F083ER22
5F083GA27
5F083GA28
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA35
5F083NA01
5F083PR05
5F083PR13
5F083PR43
5F083PR44
5F083PR53
5F083PR54
5F083ZA07
5F083ZA12
5F083ZA13
5F083ZA14
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD02
5F101BD22
5F101BD27
5F101BD32
5F101BH03
5F101BH15
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させ、半導体装置の製造コストの増加を抑制する。
【解決手段】まず、メモリトランジスタが形成される領域1Aと、選択トランジスタが形成される領域2Aと、高耐圧トランジスタが形成される領域3Aと、低耐圧トランジスタが形成される領域4Aとにおいて、半導体基板SUB上に、絶縁膜IF1を形成する。次に、領域1Aおよび領域2Aの絶縁膜IF1を選択的に除去する。次に、領域1Aおよび領域2Aの半導体基板SUB上に、絶縁膜IF2を形成する。次に、絶縁膜IF2上と、絶縁膜IF1上とに、トラップ準位を有する絶縁膜CSLを形成する。次に、領域2Aの絶縁膜CSLおよび絶縁膜IF2を選択的に除去する。次に、絶縁膜CSL上に絶縁膜IF4を形成すると共に、領域2Aの半導体基板SUB上にも絶縁膜IF4を形成する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリトランジスタが形成される第1領域と、前記メモリトランジスタを選択するための選択トランジスタが形成され、且つ、前記第1領域に隣接する第2領域と、第1電界効果トランジスタが形成される第3領域と、第2電界効果トランジスタが形成される第4領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域および前記第4領域において、半導体基板上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記半導体基板上に、第2絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第2絶縁膜上と、前記第3領域および前記第4領域の前記第1絶縁膜上とに、トラップ準位を有する第3絶縁膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記第2領域の前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第3絶縁膜上と、前記第2領域の前記半導体基板上とに、第4絶縁膜を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第3領域および前記第4領域の前記第4絶縁膜および前記第3絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(h)前記(g)工程後、前記第4領域の前記第1絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(i)前記(h)工程後、前記第4領域の前記半導体基板上に、第5絶縁膜を形成する工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1領域の前記第4絶縁膜上に前記メモリトランジスタ用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域の前記第4絶縁膜上に前記選択トランジスタ用の第2ゲート電極を形成し、前記第3領域の前記第1絶縁膜上に前記第1電界効果トランジスタ用の第3ゲート電極を形成し、前記第4領域の前記第5絶縁膜上に前記第2電界効果トランジスタ用の第4ゲート電極を形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(j)工程時に、前記第3領域の前記第1絶縁膜の厚さは、前記第2領域の前記第4絶縁膜の厚さおよび前記第4領域の前記第5絶縁膜の厚さよりも厚く、前記第2領域の前記第4絶縁膜の厚さは、前記第4領域の前記第5絶縁膜の厚さよりも厚い、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜、前記第4絶縁膜および前記第5絶縁膜は、酸化シリコン膜であり、
前記第3絶縁膜は、窒化シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程において、前記第4絶縁膜は、ISSG酸化法によって形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程において、前記第1絶縁膜は、RTO法によって形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
(k)前記(d)工程後であって前記(e)工程前に、前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第3絶縁膜上に、酸化シリコン膜である第6絶縁膜を形成する工程、
更に備え、
前記(e)工程は、
(e1)前記第2領域の前記第6絶縁膜を選択的に除去する工程、
(e2)前記(e1)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第6絶縁膜をマスクとして、前記第2領域の前記第3絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(e3)前記(e2)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第6絶縁膜と、前記第2領域の前記第2絶縁膜とを、除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e1)工程は、
(e11)前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域を覆い、且つ、前記第2領域を露出するような開口パターンを有するレジストパターンを形成する工程、
(e12)前記(e11)工程後、前記レジストパターンをマスクとして、前記第2領域の前記半導体基板に、前記選択トランジスタの閾値調整用のイオン注入を行う工程、
(e13)前記(e11)工程後、前記レジストパターンをマスクとして、前記第2領域の前記第6絶縁膜を選択的に除去する工程、
(e14)前記(e12)工程および前記(e13)工程後、前記レジストパターンを除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
(l)前記(a)工程前に、前記半導体基板と、前記半導体基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層とを有するSOI基板を用意する工程、
(m)前記(l)工程後であって前記(a)工程前に、前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域の前記半導体層および前記絶縁層を、選択的に除去する工程、
を更に備え、
前記(a)工程で形成される前記第4領域の前記第1絶縁膜、および、前記(i)工程で形成される前記第4領域の前記第5絶縁膜は、前記半導体層上に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
メモリトランジスタが形成される第1領域と、前記メモリトランジスタを選択するための選択トランジスタが形成され、且つ、前記第1領域に隣接する第2領域と、第1電界効果トランジスタが形成される第3領域と、第2電界効果トランジスタが形成される第4領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域および前記第4領域において、半導体基板上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1領域、前記第2領域および前記第4領域の前記第1絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域、前記第2領域および前記第4領域の前記半導体基板上に、第2絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1領域、前記第2領域および前記第4領域の前記第2絶縁膜上と、前記第3領域の前記第1絶縁膜上とに、トラップ準位を有する第3絶縁膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記第2領域の前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第3絶縁膜上と、前記第2領域の前記半導体基板上とに、第4絶縁膜を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第3領域および前記第4領域の前記第4絶縁膜および前記第3絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記第4絶縁膜上に前記メモリトランジスタ用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域の前記第4絶縁膜上に前記選択トランジスタ用の第2ゲート電極を形成し、前記第3領域の前記第1絶縁膜上に前記第1電界効果トランジスタ用の第3ゲート電極を形成し、前記第4領域の前記第2絶縁膜上に前記第2電界効果トランジスタ用の第4ゲート電極を形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程時に、前記第3領域の前記第1絶縁膜の厚さは、前記第2領域の前記第4絶縁膜の厚さおよび前記第4領域の前記第2絶縁膜の厚さよりも厚く、前記第2領域の前記第4絶縁膜の厚さは、前記第4領域の前記第2絶縁膜の厚さよりも厚い、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第4絶縁膜は、酸化シリコン膜であり、
前記第3絶縁膜は、窒化シリコン膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程において、前記第4絶縁膜は、ISSG酸化法によって形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程において、前記第1絶縁膜は、RTO法によって形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
(i)前記(d)工程後であって前記(e)工程前に、前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第3絶縁膜上に、酸化シリコン膜である第5絶縁膜を形成する工程、
更に備え、
前記(e)工程は、
(e1)前記第2領域の前記第5絶縁膜を選択的に除去する工程、
(e2)前記(e1)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第5絶縁膜をマスクとして、前記第2領域の前記第3絶縁膜を、選択的に除去する工程、
(e3)前記(e2)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第5絶縁膜と、前記第2領域の前記第2絶縁膜とを、除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e1)工程は、
(e11)前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域を覆い、且つ、前記第2領域を露出するような開口パターンを有するレジストパターンを形成する工程、
(e12)前記(e11)工程後、前記レジストパターンをマスクとして、前記第2領域の前記半導体基板に、前記選択トランジスタの閾値調整用のイオン注入を行う工程、
(e13)前記(e11)工程後、前記レジストパターンをマスクとして、前記第2領域の前記第5絶縁膜を選択的に除去する工程、
(e14)前記(e12)工程および前記(e13)工程後、前記レジストパターンを除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
(j)前記(a)工程前に、前記半導体基板と、前記半導体基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層とを有するSOI基板を用意する工程、
(k)前記(j)工程後であって前記(a)工程前に、前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域の前記半導体層および前記絶縁層を、選択的に除去する工程、
を更に備え、
前記(a)工程で形成される前記第4領域の前記第1絶縁膜、および、前記(c)工程で形成される前記第4領域の前記第2絶縁膜は、前記半導体層上に形成される、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えば、不揮発性メモリセルを有する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に書込および消去が可能な不揮発性メモリセルとして、フラッシュメモリおよびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が広く使用されている。これらの不揮発性メモリセルは、電界効果トランジスタのゲート電極下に、酸化膜などの絶縁膜で挟まれた浮遊ゲート電極またはトラップ性絶縁膜を有しており、この浮遊ゲート電極またはトラップ性絶縁膜に蓄積された電荷状態を記憶情報としている。このトラップ性絶縁膜は、電荷の蓄積可能な絶縁層を言い、一例として、窒化シリコン膜などが挙げられる。このような不揮発性メモリセルとして、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)型トランジスタが広く用いられている。
【0003】
また、半導体装置には、不揮発性メモリセルの他に、高耐圧トランジスタおよび低耐圧トランジスタなどの他の電界効果トランジスタも設けられている。これらの電界効果トランジスタに要求されるゲート絶縁膜の厚さは、それぞれ異なるので、各ゲート絶縁膜を作り分ける必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1および特許文献2には、半導体基板上に、耐圧の異なる2種類のトランジスタと、MONOS型のメモリトランジスタおよび選択トランジスタを有する不揮発性メモリセルとを形成する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献1では、特許文献1の
図6~
図13に示されるように、まず、高耐圧トランジスタ用の第1ゲート絶縁膜が形成され、次に、メモリトランジスタ用の第2ゲート絶縁膜(ONO膜)が形成され、次に、低耐圧トランジスタ用の第3ゲート絶縁膜が形成される。ここで、選択トランジスタ用のゲート絶縁膜は、高耐圧トランジスタ用のゲート絶縁膜と同じ工程で形成される。
【0006】
一方で、特許文献2では、特許文献1と異なる製造工程が開示されている。特許文献2の
図18~
図23に示されるように、まず、メモリトランジスタ用の第2ゲート絶縁膜(ONO膜)が形成され、次に、高耐圧トランジスタ用の第1ゲート絶縁膜が形成され、次に、低耐圧トランジスタ用の第3ゲート絶縁膜が形成される。ここで、選択トランジスタ用のゲート絶縁膜は、高耐圧トランジスタ用のゲート絶縁膜と同じ工程で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-79845号公報
【特許文献2】特開2019-102520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示される製造工程の場合、メモリトランジスタ形成領域の第1ゲート絶縁膜を除去する工程(特許文献1の
図7)、および、選択トランジスタ形成領域の第2ゲート絶縁膜を除去する工程(特許文献1の
図10)において、メモリトランジスタと選択トランジスタとの境界部を加工している。
【0009】
しかし、これらの工程では、マスクの合わせずれのマージンが少ないので、メモリトランジスタ形成領域に第1ゲート絶縁膜が残される、または、選択トランジスタ形成領域に第2ゲート絶縁膜が残されるという恐れがある。このような恐れは、半導体装置の微細化が促進されるに連れて顕著になってくる。
【0010】
このような恐れを解消すると共に半導体装置の微細化を促進させるためには、例えばArFエキシマレーザを使用し、境界部の加工を精度よく行う必要がある。しかし、ArFエキシマレーザの使用は、高額な露光装置および高額な露光処理を必要とするという問題が、本願発明者の検討により明らかになった。
【0011】
特許文献2に示される製造工程の場合、第1絶縁膜を形成する工程ではRTO(Rapid Thermal Oxidation)法が用いられ、第2絶縁膜のトップ酸化膜を形成する工程ではISSG(In-Situ Steam Generation)酸化法が用いられる(特許文献2の
図21)。
【0012】
しかし、第1絶縁膜の厚さは、トップ酸化膜の厚さよりも厚く、RTO法による酸化温度は、ISSG酸化法による酸化温度よりも高温となる。それ故、第2ゲート絶縁膜の後に形成される第1ゲート絶縁膜の形成時に、熱負荷が発生するので、この熱負荷によってメモリトランジスタの保持特性が劣化するという問題が、本願発明者の検討により明らかになった。
【0013】
これらの問題を考慮して、本願では、半導体装置の製造コストの増加を抑制することと、半導体装置の信頼性を向上させることとを主な目的とする。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、メモリトランジスタが形成される第1領域と、前記メモリトランジスタを選択するための選択トランジスタが形成され、且つ、前記第1領域に隣接する第2領域と、第1電界効果トランジスタが形成される第3領域と、第2電界効果トランジスタが形成される第4領域とを有する。また、半導体装置の製造方法は、(a)前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域および前記第4領域において、半導体基板上に、第1絶縁膜を形成する工程、(b)前記(a)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜を、選択的に除去する工程、(c)前記(b)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記半導体基板上に、第2絶縁膜を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第2絶縁膜上と、前記第3領域および前記第4領域の前記第1絶縁膜上とに、トラップ準位を有する第3絶縁膜を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記第2領域の前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を、選択的に除去する工程、(f)前記(e)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第3絶縁膜上と、前記第2領域の前記半導体基板上とに、第4絶縁膜を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記第3領域および前記第4領域の前記第4絶縁膜および前記第3絶縁膜を、選択的に除去する工程、(h)前記(g)工程後、前記第4領域の前記第1絶縁膜を、選択的に除去する工程、(i)前記(h)工程後、前記第4領域の前記半導体基板上に、第5絶縁膜を形成する工程、(j)前記(i)工程後、前記第1領域の前記第4絶縁膜上に前記メモリトランジスタ用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域の前記第4絶縁膜上に前記選択トランジスタ用の第2ゲート電極を形成し、前記第3領域の前記第1絶縁膜上に前記第1電界効果トランジスタ用の第3ゲート電極を形成し、前記第4領域の前記第5絶縁膜上に前記第2電界効果トランジスタ用の第4ゲート電極を形成する工程、を備える。
【0015】
また、一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、メモリトランジスタが形成される第1領域と、前記メモリトランジスタを選択するための選択トランジスタが形成され、且つ、前記第1領域に隣接する第2領域と、第1電界効果トランジスタが形成される第3領域と、第2電界効果トランジスタが形成される第4領域とを有する。また、半導体装置の製造方法は、(a)前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域および前記第4領域において、半導体基板上に、第1絶縁膜を形成する工程、(b)前記(a)工程後、前記第1領域、前記第2領域および前記第4領域の前記第1絶縁膜を、選択的に除去する工程、(c)前記(b)工程後、前記第1領域、前記第2領域および前記第4領域の前記半導体基板上に、第2絶縁膜を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記第1領域、前記第2領域および前記第4領域の前記第2絶縁膜上と、前記第3領域の前記第1絶縁膜上とに、トラップ準位を有する第3絶縁膜を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記第2領域の前記第3絶縁膜および前記第2縁膜を、選択的に除去する工程、(f)前記(e)工程後、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域の前記第3絶縁膜上と、前記第2領域の前記半導体基板上とに、第4絶縁膜を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記第3領域および前記第4領域の前記第4絶縁膜および前記第3絶縁膜を、選択的に除去する工程、(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記第4絶縁膜上に前記メモリトランジスタ用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域の前記第4絶縁膜上に前記選択トランジスタ用の第2ゲート電極を形成し、前記第3領域の前記第1絶縁膜上に前記第1電界効果トランジスタ用の第3ゲート電極を形成し、前記第4領域の前記第2絶縁膜上に前記第2電界効果トランジスタ用の第4ゲート電極を形成する工程、を備える。
【発明の効果】
【0016】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上でき、半導体装置の製造コストの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1における半導体装置の簡易的な平面図である。
【
図2】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3】
図2に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4】
図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図5】
図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6】
図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図7】
図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図8】
図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図9】
図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図16】
図13における半導体装置の他の方向から見た断面図である。
【
図17】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図18】
図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図19】
図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図20】
図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図21】
図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図22】
図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図23】
図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図24】
図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図25】
図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図26】
図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図27】変形例1における半導体装置を示す断面図である。
【
図28】変形例2における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
また、本願では、図面を見易くするために、断面図であってもハッチングが省略されている場合があり、平面図であってもハッチングが付されている場合もある。
【0020】
また、本願で説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する場合もある。
【0021】
(実施の形態1)
以下に
図1~
図16を用いて、実施の形態1における半導体装置およびその製造方法について説明する。まず、
図1および
図15を用いて半導体装置の構造について説明し、その後、
図2~
図15を用いて半導体装置の製造方法について説明する。
【0022】
<半導体装置の主な構造>
図1は、実施の形態1における半導体装置の簡易的な平面図を示している。
図1に示されるように、半導体装置は、メモリトランジスタ1Qが形成される領域1Aと、メモリトランジスタ1Qを選択するための選択トランジスタ2Qが形成され、且つ、領域1Aに隣接する領域2Aと、高耐圧トランジスタ3Qが形成される領域3Aと、低耐圧トランジスタ4Qが形成される領域4Aとを有する。
【0023】
領域1Aおよび領域2Aと、領域3Aと、領域4Aとは、素子分離部STIによって区画されている。各トランジスタ1Q~4Qは、素子分離部STIに囲まれた半導体基板の活性領域に形成される。
図1では、活性領域の一部として、各トランジスタ1Q~4Qのソース領域またはドレイン領域を構成する拡散領域DRが示されている。なお、領域1Aと領域2Aとの間には、素子分離部STIが設けられておらず、拡散領域DRが形成されている。この拡散領域DRによって、メモリトランジスタ1Qおよび選択トランジスタ2Qは、電気的に接続されている。
【0024】
実施の形態1におけるメモリトランジスタ1Qは、MONOS型のトランジスタである。1組のメモリトランジスタ1Qおよび選択トランジスタ2Qは、不揮発性メモリセル(メモリセル)MCを構成し、領域1Aおよび領域2Aには、複数のメモリセルMCが形成されている。メモリトランジスタ1Q用のゲート電極GE1および選択トランジスタ2Q用のゲート電極GE2は、Y方向に延在し、Y方向において隣接する複数のメモリセルMCで共通に使用される。
【0025】
高耐圧トランジスタ3Qは、例えばI/O(Input/Output)回路の一部を構成する電界効果トランジスタである。低耐圧トランジスタ4Qは、例えばCPU(Central Processing Unit)を含むロジック回路、および、SRAM(Static Random Access Memory)を構成する電界効果トランジスタである。低耐圧トランジスタ4Qは、高耐圧トランジスタ3Qよりも低い電圧で駆動し、高耐圧トランジスタ3Q用のゲート絶縁膜よりも厚さの薄いゲート絶縁膜を有する。
【0026】
また、
図1では、高耐圧トランジスタ3Q用のゲート電極GE3および低耐圧トランジスタ4Q用のゲート電極GE4もY方向に延在しているが、これらの延在方向は、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2と同様である必要は無く、他の方向であってもよい。
【0027】
なお、各トランジスタ1Q~4Qは、n型の電界効果トランジスタである。実際には、領域3Aおよび領域4Aには、p型の電界効果トランジスタも形成されるが、以降の説明では、p型の電界効果トランジスタの説明を省略する。
【0028】
図15は、実施の形態1における各トランジスタ1Q~4Qが形成された断面図を示している。
【0029】
メモリトランジスタ1Qは、ゲート絶縁膜GI1、ゲート電極GE1およびチャネル領域CH1を有する。選択トランジスタ2Qは、ゲート絶縁膜GI2、ゲート電極GE2およびチャネル領域CH2を有する。高耐圧トランジスタ3Qは、ゲート絶縁膜GI3、ゲート電極GE3およびチャネル領域CH3を有する。低耐圧トランジスタ4Qは、ゲート絶縁膜GI4、ゲート電極GE4およびチャネル領域CH4を有する。
【0030】
また、各トランジスタ1Q~4Qは、サイドウォールスペーサSW、エクステンション領域(不純物領域)EX、拡散領域(不純物領域)DRおよびシリサイド層SIを有する。
【0031】
ゲート絶縁膜GI1は、半導体基板SUB上に形成された絶縁膜IF2、絶縁膜IF2上に形成された絶縁膜CSL、および、絶縁膜CSL上に形成された絶縁膜IF4を含む。絶縁膜CSLは、トラップ準位を有する絶縁膜であり、メモリトランジスタ1Qの電荷蓄積層として機能する。
【0032】
ゲート絶縁膜GI2は、半導体基板SUB上に形成された絶縁膜IF4を含む。ゲート絶縁膜GI3は、半導体基板SUB上に形成された絶縁膜IF1を含む。ゲート絶縁膜GI4は、半導体基板SUB上に形成された絶縁膜IF5を含む。
【0033】
各ゲート電極GE1~GE4は、各ゲート絶縁膜GI1~GI4上に形成されている。サイドウォールスペーサSWは、各ゲート電極GE1~GE4の両側面上に形成されている。
【0034】
エクステンション領域EXは、各ゲート電極GE1~GE4の両側に位置する半導体基板SUBに形成され、拡散領域DRは、サイドウォールスペーサSWを介して各ゲート電極GE1~GE4の両側に位置する半導体基板SUBに形成されている。拡散領域DRは、エクステンション領域EXよりも高い不純物濃度を有し、エクステンション領域EXと共に各トランジスタ1Q~4Qのソース領域またはドレイン領域を構成する。
【0035】
各チャネル領域CH1~CH4は、各ゲート電極GE1~GE4下に位置する半導体基板SUBに形成され、各領域1A~4Aのエクステンション領域EXの間に形成されている。
【0036】
シリサイド層SIは、ゲート電極GE1~GE4および拡散領域DRの各々の上面に形成されている。
【0037】
本願の主な特徴は、各ゲート絶縁膜GI1~GI4を形成するための製造工程にある。以下に、各ゲート絶縁膜GI1~GI4を含む各構成の形成方法、厚さおよび材料などについて説明を行う。
【0038】
<半導体装置の製造方法>
以下に
図2~
図15を用いて、実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明する。
図2~
図15は、
図1に示されるA-A線、B-B線、C-C線およびD-D線に沿った各断面図を示し、各トランジスタ1Q~4Qが形成されるまでの各製造工程を示している。
【0039】
まず、
図2に示されるように、半導体基板SUBを用意する。半導体基板SUBは、好ましくは1~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンからなり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。次に、ここでは図示していないが、半導体基板SUBに溝を形成し、上記溝内に、例えば酸化シリコン膜などの絶縁膜を埋め込むことによって、素子分離部STIを形成する。
【0040】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、半導体基板SUBにp型のウェル領域PW1~PW3を形成する。まず、領域1Aおよび領域2Aの半導体基板SUBにウェル領域PW1を形成する。次に、領域3Aの半導体基板SUBにウェル領域PW2を形成し、続けて、高耐圧トランジスタ3Qの閾値調整用のイオン注入を行うことで、ウェル領域PW2の表面にチャネル領域CH3を形成する。次に、領域4Aの半導体基板SUBにウェル領域PW3を形成し、続けて、低耐圧トランジスタ4Qの閾値調整用のイオン注入を行うことで、ウェル領域PW3の表面にチャネル領域CH4を形成する。
【0041】
なお、各ウェル領域PW1~PW3を形成する順番は、特に限定されず、何れが先であってもよい。
【0042】
次に、
図3に示されるように、RTO法によって、半導体基板SUB上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1の厚さは、例えば6nm~10nmである。
【0043】
なお、実施の形態1におけるRTO法は、加熱装置の容器内に半導体基板SUBを設置し、上記容器内に酸素ガスを導入しながら、多数のランプを照射することで半導体基板SUBを加熱し、酸化シリコン膜を形成する方法である。絶縁膜IF1の形成のための酸化処理は、例えば、1050℃~1100℃、10秒~20秒の条件で行われる。
【0044】
また、以降の説明で単に「熱酸化法によって」などと説明した場合、「熱酸化法」は、一般的にドライ酸化またはスチーム酸化と呼ばれる方法である。これらの酸化処理は、形成される絶縁膜の厚さにもよるが、800℃~950℃、数分~数十分の条件で行われる。
【0045】
次に、
図4に示されるように、絶縁膜IF1上に、領域3Aおよび領域4Aを覆い、且つ、領域1Aおよび領域2Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして、メモリトランジスタ1Qの閾値調整用のイオン注入を行うことで、領域1Aおよび領域2Aのウェル領域PW1の表面にチャネル領域CH1を形成する。
【0046】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP1をマスクとして、領域1Aおよび領域2Aの絶縁膜IF1を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP1を除去する。
【0047】
ここで、チャネル領域CH1の形成工程と、絶縁膜IF1の除去工程とに、レジストパターンRP1を共用できるので、マスク枚数の削減を図ることができる。
【0048】
次に、
図5に示されるように、例えば熱酸化法によって、領域1Aおよび領域2Aの半導体基板SUB上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF2の厚さは、例えば1nm~3nmである。なお、この酸化処理によって、領域3Aおよび領域4Aの半導体基板SUBも若干酸化され、絶縁膜IF1の厚さが若干増加する。
【0049】
次に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはALD(Atomic Layer Deposition)法によって、領域1Aおよび領域2Aの絶縁膜IF2上と、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF1上とに、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜CSLを形成する。絶縁膜CSLの厚さは、例えば7nm~10nmである。
【0050】
次に、例えばCVD法によって、各領域1A~4Aの絶縁膜CSL上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF3を形成する。絶縁膜IF3の厚さは、例えば4nm~6nmである。なお、絶縁膜IF3は、主に、後の製造工程で絶縁膜CSLを除去する際に、絶縁膜IF3の下に形成されている各絶縁膜を保護するための保護膜(マスク)として機能させるために形成される。
【0051】
次に、
図6に示されるように、絶縁膜IF3上に、領域1A、領域3Aおよび領域4Aを覆い、且つ、領域2Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP2を形成する。次に、レジストパターンRP2をマスクとして、選択トランジスタ2Qの閾値調整用のイオン注入を行うことで、領域2Aのウェル領域PW1の表面にチャネル領域CH2を形成する。
【0052】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP2をマスクとして、領域2Aの絶縁膜IF3を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP2を除去する。
【0053】
ここで、チャネル領域CH2の形成工程と、絶縁膜IF3の除去工程とに、レジストパターンRP2を共用できるので、マスク枚数の削減を図ることができる。なお、チャネル領域CH2の形成工程と、絶縁膜IF3の除去工程とは、何れが先に行われてもよい。
【0054】
次に、
図7に示されるように、例えばリン酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF3をマスクとして、領域2Aの絶縁膜CSLを選択的に除去する。
【0055】
次に、
図8に示されるように、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、領域2Aの絶縁膜IF2を選択的に除去する。この時、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF3も除去される。
【0056】
次に、
図9に示されるように、例えばISSG酸化法によって、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜CSL上と、領域2Aの半導体基板SUB上とに、絶縁膜IF4を形成する。絶縁膜IF4の厚さは、例えば4nm~5nmである。
【0057】
なお、実施の形態1におけるISSG酸化法は、加熱装置のチャンバー内に半導体基板SUBを設置し、チャンバー内に水素および酸素を直接導入し、加熱した半導体基板SUB上で水蒸気を発生させ、ラジカル酸化反応を行うことで、酸化シリコン膜を形成する方法である。絶縁膜IF4の形成のための酸化処理は、例えば900℃、10%以上の水素濃度の条件で行われる。
【0058】
また、ISSG酸化法では、シリコンからなる半導体基板SUBの表面だけでなく、窒化シリコンからなる絶縁膜CSLの表面も酸化することができる。これらの酸化速度は若干異なるので、領域2Aの絶縁膜IF4の厚さは、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF4の厚さよりも厚くなる。
【0059】
次に、
図10に示されるように、絶縁膜IF4上に、領域1Aおよび領域2Aを覆い、且つ、領域3Aおよび領域4Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP3を形成する。
【0060】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP3をマスクとして、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF4を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP3を除去する。
【0061】
次に、
図11に示されるように、例えばリン酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、領域1Aおよび領域2Aの絶縁膜IF4をマスクとして、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜CSLを選択的に除去する。
【0062】
次に、
図12に示されるように、各領域1A~3Aを覆い、且つ、領域4Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP4を形成する。
【0063】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP4をマスクとして、領域4Aの絶縁膜IF1を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP4を除去する。
【0064】
次に、
図13に示されるように、例えば熱酸化法によって、領域4Aの半導体基板SUB上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF5を形成する。絶縁膜IF5の厚さは、例えば1nm~3nmである。なお、この酸化処理によって、領域2Aの絶縁膜IF4の厚さおよび領域3Aの絶縁膜IF1の厚さが若干増加する。
【0065】
次に、
図14に示されるように、各領域1A~4Aに、各ゲート電極GE1~GE4を形成する。まず、各領域1A~領域4Aを覆うように、例えばCVD法によって、各ゲート電極用の導電性膜として、例えば多結晶シリコン膜を堆積する。次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、上記導電性膜にn型の不純物を導入する。次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法によって、上記導電性膜をパターニングする。
【0066】
これにより、領域1Aの絶縁膜IF4上にメモリトランジスタ1Q用のゲート電極GE1が形成され、領域2Aの絶縁膜IF4上に選択トランジスタ2Q用のゲート電極GE2が形成され、領域3Aの絶縁膜IF1上に高耐圧トランジスタ3Q用のゲート電極GE3が形成され、領域4Aの絶縁膜IF5上に低耐圧トランジスタ4Q用のゲート電極GE4が形成される。
【0067】
その後、以下の種々の工程を経て、
図15に示される各トランジスタ1Q~4Qが形成される。
【0068】
まず、各ゲート電極GE1~GE4から露出している各絶縁膜に対して、ドライエッチング処理およびウェットエッチング処理などを行うことで、露出していた各絶縁膜を除去する。
【0069】
これにより、領域1Aにおいてゲート電極GE1下に残された絶縁膜IF4、絶縁膜CSLおよび絶縁膜IF2が、ゲート絶縁膜GI1となる。また、領域2Aにおいてゲート電極GE2下に残された絶縁膜IF4が、ゲート絶縁膜GI2となり、領域3Aにおいてゲート電極GE3下に残された絶縁膜IF1が、ゲート絶縁膜GI3となり、領域4Aにおいてゲート電極GE4下に残された絶縁膜IF5が、ゲート絶縁膜GI4となる。
【0070】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、各ゲート電極GE1~GE4の両側の半導体基板SUBに、n型のエクステンション領域EXを形成する。
【0071】
次に、各領域1A~領域4Aの各ゲート電極GE1~GE4を覆うように、例えばCVD法により、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜を形成する。続いて、この絶縁膜に対して異方性エッチングを行うことにより、各ゲート電極GE1~GE4の各々の側面に、サイドウォールスペーサSWを形成する。
【0072】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、サイドウォールスペーサSWを介して各ゲート電極GE1~GE4の両側の半導体基板SUBに、n型の拡散領域DRを形成する。
【0073】
次に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術によって、各ゲート電極GE1~GE4および拡散領域DRの各々の上面上に、シリサイド層SIを形成する。シリサイド層SIは、各ゲート電極GE1~GE4および半導体基板SUBを構成する材料と、金属膜とを反応させることで形成できる。そのような金属膜は、例えばコバルト、ニッケルまたはニッケル-プラチナ合金からなり、シリサイド層SIは、例えばコバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi)またはニッケルプラチナシリサイド(NiPtSi)からなる。
【0074】
以上のようにして、実施の形態1の半導体装置が製造される。
【0075】
ここで、各ゲート絶縁膜GI2~GI4の厚さ関係について纏めておく。実施の形態1では、
図14の製造工程時において、領域3Aの絶縁膜IF1の厚さは、領域2Aの絶縁膜IF4の厚さおよび領域4Aの絶縁膜IF5の厚さよりも厚い。そして、領域2Aの絶縁膜IF4の厚さは、領域4Aの絶縁膜IF5の厚さよりも厚い。すなわち、ゲート絶縁膜GI3の厚さは、ゲート絶縁膜GI2の厚さおよびゲート絶縁膜GI4の厚さよりも厚く、ゲート絶縁膜GI2の厚さは、ゲート絶縁膜GI4の厚さよりも厚い。
【0076】
<実施の形態1の主な特徴>
上述の特許文献1では、メモリトランジスタ1Q(領域1A)と選択トランジスタ2Q(領域2A)との境界部において、ゲート絶縁膜GI1およびゲート絶縁膜GI2を加工しているが、上記境界部において、ゲート絶縁膜GI1またはゲート絶縁膜GI2が残されるという恐れがあった。すなわち、上述の特許文献1では、メモリトランジスタ用のゲート絶縁膜と、選択トランジスタ用のゲート絶縁膜とは、互いに別の製造工程で完成していた。そして、このような恐れを解消すると共に半導体装置の微細化を促進させるためには、例えばArFエキシマレーザの使用が必要となり、高額な露光装置および高額な露光処理を必要とするという問題があった。
【0077】
これに対して、実施の形態1では、
図6~
図8の製造工程によって領域2Aの絶縁膜IF3、絶縁膜CSLおよび絶縁膜IF2を除去した後、
図9の製造工程によって領域1Aの絶縁膜CSL上および領域2Aの半導体基板SUB上に、絶縁膜IF4を形成している。すなわち、実施の形態1では、メモリトランジスタ1Q(領域1A)のゲート絶縁膜GI1と、選択トランジスタ2Q(領域2A)のゲート絶縁膜GI2とは、互いに同じ工程で完成している。言い換えると、上記境界部における加工は、1度のみである。このため、上記境界部にゲート絶縁膜GI1またはゲート絶縁膜GI2を構成する絶縁膜が残されるという恐れを低減することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0078】
また、そのような恐れを解消するために、高額なArFエキシマレーザの使用を必要としない。例えば、実施の形態1で使用されるレジストパターンRP1~RP4は、KrFエキシマレーザを使用して形成される。従って、半導体装置の製造コストの増加を抑制することができる。また、
図2~
図15で説明した製造方法によれば、高額な露光装置および高額な露光処理でなくとも、半導体装置の微細化を図ることができる。
【0079】
また、上述の特許文献2では、ISSG酸化法による酸化処理の後(ゲート絶縁膜GI2の形成の後)にRTO法による酸化処理が行われるので、RTO法による酸化処理の熱負荷によって、メモリトランジスタ1Qの保持特性が劣化するという問題があった。
【0080】
これに対して、実施の形態1では、
図3の絶縁膜IF1の形成時にRTO法が用いられた後に、ゲート絶縁膜GI1形成される。従って、特許文献2のような問題が発生しないので、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0081】
また、実施の形態1における製造方法によれば、
図9に示されるように、ゲート絶縁膜GI1の一部となる絶縁膜IF4を形成する工程で、領域2Aにおいてゲート絶縁膜GI2となる絶縁膜IF4が同時に形成される。このため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0082】
ところで、半導体装置の微細化に伴って、メモリセルMC(メモリトランジスタ1Q、選択トランジスタ2Q)および低耐圧トランジスタ4Qには、高速動作および低消費電力などの性能の向上が求められてくる。一方で、高耐圧トランジスタ3Qには、I/O回路などに使用されるという性質上、高速動作および低消費電力などよりも、耐圧の確保が求められる。
【0083】
特許文献1および特許文献2では、選択トランジスタ2Qのゲート絶縁膜GI2は、高耐圧トランジスタ3Qのゲート絶縁膜GI3と同じ工程で形成されるので、ゲート絶縁膜GI2は、相対的に厚い絶縁膜となっている。なお、特許文献1および特許文献2では、選択トランジスタ2Qのゲート絶縁膜GI2の厚さは、高耐圧トランジスタ3Qのゲート絶縁膜GI3の厚さと同じ厚さである。従って、選択トランジスタ2Qの性能の向上を図ることが難しい。
【0084】
これに対して、実施の形態1では、選択トランジスタ2Qのゲート絶縁膜GI2は、絶縁膜IF4であり、相対的に薄い絶縁膜となっている。すなわち、選択トランジスタ2Qのゲート絶縁膜GI2の厚さは、高耐圧トランジスタ3Qのゲート絶縁膜GI3の厚さよりも薄い。ここで、近年では、半導体装置の微細化だけでなく、低消費電力化の要求もある。例えば、電界効果トランジスタのゲート長は45nm以下であり(従来は、45nmより長い)、また、動作電圧は2.5V以下である(従来は、2.5Vより高い)。そのため、低消費電力対策を考慮した半導体装置においては、特許文献1および特許文献2のように、必ずしも、選択トランジスタ2Qのゲート絶縁膜GI2の厚さを相対的に厚く形成しておかなくても良い。これにより、高速動作および低消費電力などの性能の向上という観点において、実施の形態1の半導体装置は、特許文献1および特許文献2の半導体装置よりも優れている。
【0085】
図16は、
図13の製造工程が終了した時点における半導体装置の断面図であり、
図1に示されるE-E線、F-F線およびG-G線に沿った各断面図を示している。
【0086】
特に詳細に説明を行わなかったが、
図2~
図15の各製造工程中には、半導体基板SUBの主面を洗浄する工程が何度も行われる。例えば、イオン注入後またはレジストパターンRP1~RP4の除去後には、フッ酸および過酸化水素水などを含む洗浄液によって、半導体基板SUBの主面が洗浄される。また、酸化シリコン膜の除去工程では、フッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理が行われる。
【0087】
これらの洗浄工程およびウェットエッチング処理によって、素子分離部STIの上面が徐々に後退する。また、素子分離部STIの上面のうち、素子分離部STIと、半導体基板SUBの活性領域との境界付近には、素子分離部STIの形成時に設けられるディボット(窪み)DVが存在する。
【0088】
図2~
図15の各製造工程では、ディボットDVを覆う絶縁膜の状態が、各領域1A~3Aで異なっている。それ故、
図16に破線で示されるように、ディボットDVの深さが、各領域1A~3Aで異なっている。実施の形態1の製造方法を適用すると、ディボットDVの深さは、領域3A、領域1A、領域2Aの順に、深くなっていることが判る。
【0089】
(実施の形態2)
以下に
図17~
図26を用いて、実施の形態2における半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0090】
実施の形態2では、実施の形態1と異なる製造工程によって、各トランジスタ1Q~4Qが製造される。実施の形態2の製造工程は、
図3までは実施の形態1と同じである。
図3の製造工程に続いて、
図17の製造工程が実施される。
【0091】
なお、実施の形態2における絶縁膜IF1~IF4および絶縁膜CSLの厚さは、実施の形態1と同じであるので、これらの説明については省略する。
【0092】
図17に示されるように、絶縁膜IF1上に、領域3Aを覆い、且つ、領域1A、領域2Aおよび領域4Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP5を形成する。次に、レジストパターンRP5をマスクとして、メモリトランジスタ1Qの閾値調整用のイオン注入を行うことで、領域1Aおよび領域2Aのウェル領域PW1の表面にチャネル領域CH1を形成する。
【0093】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP5をマスクとして、領域1A、領域2Aおよび領域4Aの絶縁膜IF1を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP5を除去する。
【0094】
ここで、チャネル領域CH1の形成工程と、絶縁膜IF1の除去工程とに、レジストパターンRP5を共用できるので、マスク枚数の削減を図ることができる。
【0095】
次に、
図18に示されるように、例えば熱酸化法によって、領域1A、領域2Aおよび領域4Aの半導体基板SUB上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF2を形成する。なお、この酸化処理によって、領域3Aの半導体基板SUBも若干酸化され、絶縁膜IF1の厚さが若干増加する。
【0096】
次に、例えばCVD法またはALD法によって、領域1A、領域2Aおよび領域4Aの絶縁膜IF2上と、領域3Aの絶縁膜IF1上とに、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜CSLを形成する。次に、例えばCVD法によって、各領域1A~4Aの絶縁膜CSL上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF3を形成する。
【0097】
次に、
図19に示されるように、絶縁膜IF3上に、領域1A、領域3Aおよび領域4Aを覆い、且つ、領域2Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP6を形成する。次に、レジストパターンRP6をマスクとして、選択トランジスタ2Qの閾値調整用のイオン注入を行うことで、領域2Aのウェル領域PW1の表面にチャネル領域CH2を形成する。
【0098】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP6をマスクとして、領域2Aの絶縁膜IF3を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP6を除去する。
【0099】
ここで、チャネル領域CH2の形成工程と、絶縁膜IF3の除去工程とに、レジストパターンRP6を共用できるので、マスク枚数の削減を図ることができる。なお、チャネル領域CH2の形成工程と、絶縁膜IF3の除去工程とは、何れが先に行われてもよい。
【0100】
次に、
図20に示されるように、例えばリン酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF3をマスクとして、領域2Aの絶縁膜CSLを選択的に除去する。
【0101】
次に、
図21に示されるように、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、領域2Aの絶縁膜IF2を選択的に除去する。この時、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF3も除去される。
【0102】
次に、
図22に示されるように、例えばISSG酸化法によって、領域1A、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜CSL上と、領域2Aの半導体基板SUB上とに、絶縁膜IF4を形成する。
【0103】
次に、
図23に示されるように、絶縁膜IF4上に、領域1Aおよび領域2Aを覆い、且つ、領域3Aおよび領域4Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンRP7を形成する。
【0104】
次に、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、レジストパターンRP7をマスクとして、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜IF4を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、レジストパターンRP7を除去する。
【0105】
次に、
図24に示されるように、例えばリン酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、領域1Aおよび領域2Aの絶縁膜IF4をマスクとして、領域3Aおよび領域4Aの絶縁膜CSLを選択的に除去する。
【0106】
次に、
図25に示されるように、各領域1A~4Aに、実施の形態1と同様の方法によって、各ゲート電極GE1~GE4を形成する。
【0107】
これにより、領域1Aの絶縁膜IF4上にメモリトランジスタ1Q用のゲート電極GE1が形成され、領域2Aの絶縁膜IF4上に選択トランジスタ2Q用のゲート電極GE2が形成され、領域3Aの絶縁膜IF1上に高耐圧トランジスタ3Q用のゲート電極GE3が形成され、領域4Aの絶縁膜IF2上に低耐圧トランジスタ4Q用のゲート電極GE4が形成される。
【0108】
その後、実施の形態1の
図15で行われる製造工程と同様の製造工程を経て、
図26に示されるような各トランジスタ1Q~4Qが形成される。
【0109】
以下に、実施の形態2における各ゲート絶縁膜GI2~GI4の厚さ関係を記す。実施の形態2では、
図25の製造工程時において、領域3Aの絶縁膜IF1の厚さは、領域2Aの絶縁膜IF4の厚さおよび領域4Aの絶縁膜IF2の厚さよりも厚い。そして、領域2Aの絶縁膜IF4の厚さは、領域4Aの絶縁膜IF2の厚さよりも厚い。すなわち、ゲート絶縁膜GI3の厚さは、ゲート絶縁膜GI2の厚さおよびゲート絶縁膜GI4の厚さよりも厚く、ゲート絶縁膜GI2の厚さは、ゲート絶縁膜GI4の厚さよりも厚い。
【0110】
実施の形態2における半導体装置の製造方法は、実施の形態1と同様の効果を得られると共に、製造工程の簡略化を図ることができる。なぜなら、本実施の形態2における領域4Aのゲート絶縁膜GI4は、実施の形態1と異なり、メモリトランジスタ1Qのゲート絶縁膜GI1を構成する絶縁膜IF2によって構成されているからである。すなわち、領域1Aのゲート絶縁膜GI1の一部である絶縁膜IF2を形成する工程と同じ工程によって、領域4Aのゲート絶縁膜GI4を形成することができる。
【0111】
また、絶縁膜IF2の厚さは、メモリトランジスタ1Qの特性を優先して設計されることが好ましい。それ故、例えば、ゲート絶縁膜GI4の厚さが薄すぎて、低耐圧トランジスタ4Qに求められる特性を満たさないような場合も想定される。しかし、そのような場合には、領域4Aの絶縁膜IF2上に高誘電率膜を形成し、絶縁膜IF2および上記高誘電率膜によって、ゲート絶縁膜GI4を構成することができる。
【0112】
上記高誘電率膜は、例えば以下のような製造工程を経ることで形成できる。
【0113】
まず、
図24の製造工程後、領域1Aおよび領域2Aの絶縁膜IF4上と、領域3Aの絶縁膜IF1上と、領域4Aの絶縁膜IF2上とに、例えばCVD法またはALD法によって、上記高誘電率膜を形成する。次に、領域4Aを覆い、且つ、領域1A、領域2Aおよび領域3Aを露出するような開口パターンを有するレジストパターンを形成する。
【0114】
次に、例えばドライエッチング処理によって、上記レジストパターンをマスクとして、領域1A、領域2Aおよび領域3Aの上記高誘電率膜を選択的に除去する。その後、例えばアッシング処理によって、上記レジストパターンを除去する。その後の製造工程は、
図25以降と同じである。
【0115】
なお、上記高誘電率膜は、酸化シリコン膜よりも高い誘電率を有し、金属酸化膜からなる。上記金属酸化膜としては、例えば、酸化ハフニウム膜(HfO2膜)、ハフニウムシリケート膜(HfSiO膜)、酸化アルミニウム膜(Al2O3膜)、酸化タンタル膜(Ta2O5膜)若しくは酸化ジルコニウム膜(ZrO2膜)、または、これらの積層膜を適用できる。
【0116】
(変形例1)
実施の形態1および実施の形態2の変形例1として、領域4AにSOI(Silicon On Insulator)基板を採用する技術が挙げられる。この場合、低耐圧トランジスタ4Qは、SOI基板上に形成される。
【0117】
SOI基板は、支持基板である半導体基板SUBと、半導体基板SUB上に形成された絶縁層BOXと、絶縁層BOXの上に形成された半導体層SLとを有する。絶縁層BOXは、例えば酸化シリコンからなり、絶縁層BOXの厚さは、例えば10nm~20nmである。半導体層SLは、単結晶シリコンからなり、半導体層SLの厚さは、例えば10nm~20nmである。
【0118】
このようなSOI基板を採用する場合の製造方法は、以下のようになる。
【0119】
まず、
図2の製造工程前に、上記SOI基板を用意する。次に、
図27に示されるように、フォトリソグラフィ技術と、ドライエッチング処理またはウェットエッチング処理などのエッチング処理とによって、領域1A、領域2Aおよび領域3Aの半導体層SLおよび絶縁層BOXを、選択的に除去する。これによって、領域1A、領域2Aおよび領域3Aの半導体基板SUBは露出し、領域4Aの半導体基板SUB上には、半導体層SLおよび絶縁層BOXが残される。
【0120】
その後、実施の形態1の
図2~
図15の製造工程、または、実施の形態2の
図17~
図26の製造工程が行われる。従って、領域4Aにおいて形成される各絶縁膜は、半導体基板SUBの上方に位置する半導体層SL上に形成される。例えば、
図3の製造工程では、領域4Aの半導体層SL上に絶縁膜IF1が形成され、
図13の製造工程では、領域4Aの半導体層SL上に絶縁膜IF5が形成され、
図18の製造工程では、領域4Aの半導体層SL上に絶縁膜IF2が形成される。
【0121】
(変形例2)
実施の形態1および実施の形態2の変形例2として、メモリトランジスタ1Qが、MONOS型のトランジスタではなく、他のメモリ素子で構成される技術が挙げられる。
【0122】
他のメモリ素子として、電荷蓄積層である絶縁膜CSLを含むゲート絶縁膜GI1の代わりに、例えば、
図28に示されるような保存膜MFを有するメモリ素子を適用できる。
【0123】
保存膜MFは、トラップ準位を有する高誘電率膜であり、上記高誘電率膜は、例えばハフニウムシリケート膜(HfSiO膜)である。保存膜MFの他の例としては、強誘電体膜が挙げられる。上記強誘電体膜は、例えば(Ba,Ca)TiO3のように構成されたBZT膜、または、PbZrTiO3のように構成されたPLZT膜である。
【0124】
このような保存膜MFは、絶縁膜CSLを形成する工程に置き換えて形成することができる。また、各ゲート絶縁膜GI2~GI4の厚さ関係は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0125】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0126】
例えば、上記した実施の形態1、実施の形態2、変形例1および変形例2では、絶縁膜IF1をRTO法によって形成されると説明したが、この絶縁膜IF1は、ISSG酸化法によって形成されてもよく、RTO法とISSG酸化法との併用により形成されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1A 領域(メモリトランジスタの形成領域)
2A 領域(選択トランジスタの形成領域)
3A 領域(高耐圧トランジスタの形成領域)
4A 領域(低耐圧トランジスタの形成領域)
1Q メモリトランジスタ
2Q 選択トランジスタ
3Q 高耐圧トランジスタ
4Q 低耐圧トランジスタ
BOX 絶縁層
CH1~CH4 チャネル領域
CSL 絶縁膜(電荷蓄積層)
DR 拡散領域(不純物領域)
DV ディボット(窪み)
EX エクステンション領域(不純物領域)
GE1~GE4 ゲート電極
GI1~GI4 ゲート絶縁膜
IF1~IF5 絶縁膜
MF 保存膜
PR1~PR7 レジストパターン
PW1~PW3 ウェル領域
SI シリサイド層
SL 半導体層
STI 素子分離部
SUB 半導体基板
SW サイドウォールスペーサ