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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065682
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20220421BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220421BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H01L21/90 A
H01L27/04 P
H01L21/88 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174303
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】満生 彰
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5F033HH26
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ21
5F033JJ32
5F033JJ33
5F033KK11
5F033KK26
5F033KK33
5F033MM01
5F033MM15
5F033MM17
5F033NN06
5F033NN07
5F033NN12
5F033NN15
5F033NN32
5F033PP06
5F033PP15
5F033QQ09
5F033QQ16
5F033QQ25
5F033QQ34
5F033QQ37
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033SS11
5F033TT02
5F033TT07
5F033VV09
5F033WW00
5F033XX02
5F038AR06
5F038AR08
5F038AR16
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体基板SUB上に、層間絶縁膜3と、層間絶縁膜3を介して互いに離間する一対の導電性層4とが形成されている。ここで、一対の導電性層4の各々の上面の位置は、層間絶縁膜3の上面の位置と異なり、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間には、絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5は、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aを有する。抵抗素子7bは、一対の導電性層4の各々に接続され、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記半導体基板上に形成され、且つ、前記層間絶縁膜を介して互いに離間する一対の導電性層と、
前記一対の導電性層の各々に接続されるように、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面上に形成された抵抗素子と、
を備え、
前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置と異なり、
前記一対の導電性層の各々の上面と前記層間絶縁膜の上面との間には、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面に対して傾斜している傾斜面を有する第1絶縁膜が形成され、
前記抵抗素子は、前記第1絶縁膜を覆うように、前記傾斜面に沿って形成されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記一対の導電性層の各々は、前記層間絶縁膜中に形成された第1孔の内部に埋め込まれている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置よりも低く、
前記第1絶縁膜は、少なくとも前記一対の導電性層の各々の上面の一部を覆うように形成され、
前記傾斜面は、前記一対の導電性層の各々から前記層間絶縁膜へ向かって高くなるように傾斜している、半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置よりも高く、
前記第1絶縁膜は、前記一対の導電性層の各々の上面の一部と、前記層間絶縁膜の上面とを覆うように形成され、
前記傾斜面は、前記一対の導電性層の各々から前記層間絶縁膜へ向かって高くなるように傾斜している、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置よりも高く、
前記第1絶縁膜は、前記層間絶縁膜の上面の一部を覆うように形成され、
前記傾斜面は、前記一対の導電性層の各々から前記層間絶縁膜へ向かって低くなるように傾斜している、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記傾斜面と前記一対の導電性層の各々の上面とが成す角度、または、前記傾斜面と前記層間絶縁膜の上面とが成す角度は、40~50度の範囲内である、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記抵抗素子は、SiCrからなる、半導体装置。
【請求項8】
(a)半導体基板上に、層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を介して互いに離間する一対の導電性層とを形成する工程、
(b)前記(a)工程後、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、少なくとも前記一対の導電性層の各々の上面の一部を露出させる工程、
(d)前記(c)工程後、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面上に、スパッタリング法によって抵抗材料膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記抵抗材料膜を選択的にパターニングすることで、前記一対の導電性層の各々に接続される抵抗素子を形成する工程、
を備え、
前記(a)工程において、前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置と異なり、
前記(c)工程によって、前記第1絶縁膜が、前記一対の導電性層の各々の上面と前記層間絶縁膜の上面との間に残され、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面に対して傾斜している傾斜面が、前記第1絶縁膜に設けられ、
前記(e)工程において、前記抵抗素子は、前記第1絶縁膜を覆うように、前記傾斜面に沿って形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程は、
(a1)前記半導体基板上に前記層間絶縁膜を形成する工程、
(a2)前記(a1)工程後、前記層間絶縁膜中に、互いに離間する一対の第1孔を形成する工程、
(a3)前記(a2)工程後、前記一対の第1孔の各々の内部に、前記導電性層を埋め込む工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a3)工程において、前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置よりも低くなり、
前記(c)工程において、前記第1絶縁膜は、少なくとも前記一対の導電性層の各々の上面の一部を覆うように残され、
前記傾斜面は、前記一対の導電性層の各々から前記層間絶縁膜へ向かって高くなるように傾斜している、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a3)工程において、前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置よりも高くなり、
前記(c)工程において、前記第1絶縁膜は、前記一対の導電性層の各々の上面の一部と、前記層間絶縁膜の上面とを覆うように残され、
前記傾斜面は、前記一対の導電性層の各々から前記層間絶縁膜へ向かって高くなるように傾斜している、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
(f)前記(b)工程と前記(c)工程との間に、前記第1絶縁膜上に、前記第1絶縁膜を構成する材料と異なる材料からなる第2絶縁膜を形成する工程、
を更に備え、
前記(c)工程は、
(c1)平面視において前記一対の導電性層に重なるように、前記第2絶縁膜中に一対の第2孔を形成する工程、
(c2)前記(c1)工程後、前記第1絶縁膜上に形成されていた前記第2絶縁膜が除去され、前記第1絶縁膜が露出されるまで、前記第2絶縁膜および前記第1絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行う工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記一対の第2孔の各々の口径は、前記一対の第1孔の各々の口径よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程は、
(a4)前記半導体基板上に前記層間絶縁膜を形成する工程、
(a5)前記(a4)工程後、前記層間絶縁膜の上面上に、前記一対の導電性層を形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a5)工程において、前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置よりも高くなり、
前記(c)工程において、前記第1絶縁膜は、前記層間絶縁膜の上面の一部を覆うように残され、
前記傾斜面は、前記一対の導電性層の各々から前記層間絶縁膜へ向かって低くなるように傾斜している、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
(g)前記(b)工程と前記(c)工程との間に、前記第1絶縁膜上に、前記第1絶縁膜を構成する材料と異なる材料からなる第2絶縁膜を形成する工程、
を更に備え、
前記(c)工程は、
(c3)前記一対の導電性層の間に位置する前記第2絶縁膜中に、第3孔を形成する工程、
(c4)前記(c3)工程後、前記一対の導電性層の各々の上面上に形成されていた前記第2絶縁膜および前記第1絶縁膜が除去され、前記一対の導電性層の各々の上面が露出されるまで、前記第2絶縁膜および前記第1絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行う工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記傾斜面と前記一対の導電性層の各々の上面とが成す角度、または、前記傾斜面と前記層間絶縁膜の上面とが成す角度は、40~50度の範囲内である、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記抵抗材料膜は、SiCrからなる、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、層間絶縁膜上に形成された抵抗素子を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デバイスのアナログ性能を向上させるために、シート抵抗が大きく、且つ、温度特性の小さい抵抗素子が必要となっている。このような抵抗素子として、例えばSiCrのような抵抗材料が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜中に形成された一対のプラグ層と、これらのプラグ層に接続されるように、層間絶縁膜上に形成された抵抗素子とが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に形成された一対の配線と、これらの配線に接続されるように、層間絶縁膜上に形成された抵抗素子とが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-165458号公報
【特許文献2】特開2015-115408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SiCrのような抵抗材料を、例えばスパッタリング法によって成膜させる場合、高抵抗を得るために、抵抗材料が薄膜である必要がある。しかし、抵抗材料の下地の状態によっては、成膜された抵抗材料が途切れるという問題があることが、本願発明者の検討によって明らかになった。
【0007】
図1図4は、本願発明者が上記問題について検討した検討例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0008】
図1に示されるように、半導体基板SUB上に層間絶縁膜1が形成され、層間絶縁膜1中に配線のような導電性層2が形成されている。また、層間絶縁膜1上に層間絶縁膜3が形成され、層間絶縁膜3中に孔CH1が形成されている。孔CH1の内部には、導電性層2に接続するためのプラグとして、導電性層4が埋め込まれている。
【0009】
孔CH1の内部に導電性層4を埋め込む際には、例えばCMP法による研磨処理が行われるが、この研磨処理によって導電性層4の上面が層間絶縁膜3の上面よりも後退する場合がある。例えば、導電性層4と層間絶縁膜3との境界において、導電性層4の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、段差が発生している場合がある。
【0010】
次に、図2に示されるように、層間絶縁膜3および導電性層4の各々の上面上に、スパッタリング法によって、例えばSiCrからなる抵抗材料膜7aを形成する。次に、図3に示されるように、抵抗材料膜7a上にレジストパターンRP1を形成する。次に、図4に示されるように、レジストパターンRP1をマスクとして抵抗材料膜7aをパターニングすることで、一対の導電性層4の各々に接続される抵抗素子7bが形成される。
【0011】
抵抗材料膜7aは、抵抗素子7bが高抵抗となるように薄膜として形成され、例えば3~10nmの厚さを有する。また、抵抗材料膜7aはスパッタリング法によって形成されるが、上記段差の高低差が大きい場合、段差の垂直部分において抵抗材料膜7aの厚さが薄くなり易い。それ故、抵抗素子7bの抵抗値がばらつくという問題があり、最悪の場合、抵抗素子7bが断線するという問題がある。従って、半導体装置の信頼性が低下する恐れがある。
【0012】
本願の主な目的は、上記段差が発生している箇所において抵抗材料膜7aの厚さを維持し、抵抗素子7bの抵抗値のばらつき、または、抵抗素子7bの断線を抑制することで、半導体装置の信頼性を向上させることにある。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施の形態によれば、半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、前記半導体基板上に形成された一対の導電性層と、前記一対の導電性層の各々に接続された抵抗素子と、を備える。ここで、前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置と異なり、前記一対の導電性層の各々の上面と前記層間絶縁膜の上面との間には、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面に対して傾斜している傾斜面を有する第1絶縁膜が形成され、前記抵抗素子は、前記第1絶縁膜を覆うように、前記傾斜面に沿って形成されている。
【0014】
また、一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上に、層間絶縁膜と、一対の導電性層とを形成する工程、(b)前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面上に、第1絶縁膜を形成する工程、(c)前記第1絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、少なくとも前記一対の導電性層の各々の上面の一部を露出させる工程、(d)前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面上に、抵抗材料膜を形成する工程、(e)前記抵抗材料膜を選択的にパターニングすることで、前記一対の導電性層の各々に接続される抵抗素子を形成する工程、を備える。ここで、前記(a)工程において、前記一対の導電性層の各々の上面の位置は、前記層間絶縁膜の上面の位置と異なり、前記(c)工程によって、前記第1絶縁膜が、前記一対の導電性層の各々の上面と前記層間絶縁膜の上面との間に残され、前記一対の導電性層および前記層間絶縁膜の各々の上面に対して傾斜している傾斜面が、前記第1絶縁膜に設けられ、前記(e)工程において、前記抵抗素子は、前記第1絶縁膜を覆うように、前記傾斜面に沿って形成される。
【発明の効果】
【0015】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】検討例における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図2図1に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図3図2に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図4図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図6】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図7】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図15】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図16】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図19図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図20図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図21図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図22図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図23図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図24】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
図25】実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図26図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図27図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図28図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図29図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図30図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図31図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図32】実施の形態4における半導体装置を示す断面図である。
図33】実施の形態4における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図34図33に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図35図34に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図36図35に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、本願で用いられる図面では、図面を見易くするために、断面図であってもハッチングが省略されている場合があり、平面図であってもハッチングが付されている場合がある。
【0019】
また、本願で説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面視」という表現は、X方向およびY方向によって構成される面を、Z方向から見ることを意味する。
【0020】
(実施の形態1)
以下に図5図14を用いて、実施の形態1における半導体装置およびその製造方法について説明する。
【0021】
<実施の形態1における半導体装置の構造>
まず、図5および図6を用いて半導体装置の構造について説明する。図6は、半導体装置を示す平面図である。図5は、図6のA-A線に沿った断面図である。
【0022】
図5に示されるように、実施の形態1における半導体装置は、半導体基板SUBと、層間絶縁膜1と、複数の導電性層2と、層間絶縁膜3と、複数の導電性層4と、絶縁膜5と、抵抗素子7bとを備える。
【0023】
半導体基板SUBは、好ましくは1~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコン(Si)からなり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。図示はしないが、半導体基板SUBには、電界効果トランジスタなどの半導体素子が形成されている。
【0024】
半導体基板SUB上には、例えば酸化シリコン(SiO)からなる層間絶縁膜1が形成されている。層間絶縁膜1中には、複数の導電性層2が形成されている。導電性層2は、例えばダマシン技術によって形成された配線である。ここでは、1層分の層間絶縁膜1および導電性層2が図示されているが、このような層間絶縁膜1および導電性層2が複数層に渡って形成されることで、多層配線層が形成されていてもよい。
【0025】
層間絶縁膜1上には、例えば酸化シリコン(SiO)からなる層間絶縁膜3と、複数の導電性層4とが形成されている。ここでは、複数の導電性層4のうち、それぞれ下層の導電性層2に接続され、層間絶縁膜3を介して互いに離間する一対の導電性層4が図示されている。
【0026】
実施の形態1における導電性層4は、層間絶縁膜3中に形成された孔CH1の内部に埋め込まれている。また、導電性層4は、以下に示すバリアメタル膜および導電性膜を含んでいる。上記バリアメタル膜は、孔CH1の側面および底面に形成され、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化チタン(TiN)若しくは窒化タンタル(TaN)、または、これらを適宜積層させた積層膜である。上記導電性膜は、上記バリアメタル膜を介して孔CH1の内部に埋め込まれ、例えばタングステン(W)からなる。
【0027】
一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間には、段差が発生している。すなわち、一対の導電性層4の各々の上面の位置は、層間絶縁膜3の上面の位置と異なり、層間絶縁膜3の上面の位置よりも低くなっている。
【0028】
また、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間には、絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5は、例えば酸窒化シリコン(SiON)または窒化シリコン(SiN)からなる。
【0029】
実施の形態1において、絶縁膜5は、一対の導電性層4の各々の上面の一部を覆うように形成されている箇所と、層間絶縁膜3の上面を覆うように形成されている箇所とを含む。これらの箇所の絶縁膜5は、互いに分離されていてもよいが、一体化していてもよい。少なくとも段差が発生している箇所に、絶縁膜5が形成されていることが重要となる。
【0030】
一対の導電性層4の各々の上面上と、絶縁膜5を介した層間絶縁膜3の上面上とには、抵抗素子7bが形成されている。抵抗素子7bは、後述するような抵抗材料膜7aからなり、抵抗材料膜7aは、好ましくは導電性層2または導電性層4を構成する材料よりも高いシート抵抗を有する金属材料からなり、例えばシリコンクロム(SiCr)からなる。
【0031】
抵抗素子7bは、一対の導電性層4の各々に接続されている。これにより抵抗素子7bの下層に形成されている導電性層4および導電性層2を介して、抵抗素子7bと、半導体基板SUBの他の領域に形成されている半導体素子などとを電気的に接続させることができる。なお、図6の平面図に示されるように、平面視において、一対の導電性層4は、抵抗素子7bに重なるように設けられ、抵抗素子7bに内包されるように設けられている。
【0032】
また、絶縁膜5は、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aを有する。傾斜面5aと導電性層4の上面とが成す角度、または、傾斜面5aと層間絶縁膜3の上面とが成す角度は、40~50度の範囲内であり、好ましくは45度である。
【0033】
また、段差が発生している箇所(一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間)において、抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成されている。実施の形態1では、傾斜面5aは、一対の導電性層4の各々から層間絶縁膜3へ向かって高くなるように傾斜している。
【0034】
上述の図1図4で説明したように、検討例では、段差が発生している箇所おいて、抵抗材料膜7aの厚さが薄くなり易いという問題があった。それ故、抵抗素子7bの抵抗値がばらつくという問題、または、抵抗素子7bが断線するという問題があった。
【0035】
実施の形態1では、段差が発生している箇所に、傾斜面5aを有する絶縁膜5が形成されている。これにより、段差の高低差が大きい場合でも、抵抗素子7bの基になる抵抗材料膜7aをスパッタリング法によって形成した際、抵抗材料膜7aの厚さが維持される。このため、検討例で発生する問題を解消することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0036】
<実施の形態1における半導体装置の製造方法>
以下に図7図14を用いて、半導体装置の製造方法について説明する。なお、各構造体の材料などは上述の通りであるので、以下ではそれらの説明を省略する。
【0037】
まず、図7に示されるように、半導体基板SUBを用意する。次に、図示はしないが、半導体基板SUBに電界効果トランジスタなどの半導体素子を形成する。
【0038】
次に、上記半導体素子を覆うように、半導体基板SUB上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、層間絶縁膜1を形成する。次に、層間絶縁膜1中に複数の導電性層2を形成する。層間絶縁膜1内に溝を形成し、この溝の内部に、銅を主体とする導電性膜を埋め込み、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、溝外の余分な上記導電性膜を除去することで、導電性層2が形成される。
【0039】
次に、複数の導電性層2を覆うように、層間絶縁膜1上に、例えばCVD法によって、層間絶縁膜3を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング処理によって、層間絶縁膜3中に、複数の導電性層2に達し、且つ、互いに離間する複数の孔CH1を形成する。次に、複数の孔CH1内に、それぞれ導電性層4を埋め込む。
【0040】
導電性層4は、以下のようにして形成される。まず、層間絶縁膜3の上面上および孔CH1の内部に、例えばCVD法またはスパッタリング法によって、バリアメタル膜を形成する。次に、孔CH1内を埋め込むように、上記バリアメタル膜上に、例えばCVD法によって、導電性膜を形成する。次に、CMP法による研磨処理を行うことで、孔CH1の外部に形成されている上記導電性膜および上記バリアメタル膜を除去する。このようにして、孔CH1の内部に、上記導電性膜および上記バリアメタル膜を含む導電性層4が埋め込まれる。
【0041】
ここで、孔CH1の外部の層間絶縁膜3の上面上に、上記導電性膜および上記バリアメタル膜が残されていると、各導電性層4の間にリークパスが形成される恐れがある。それ故、実施の形態1では、層間絶縁膜3に対して導電性層4のエッチングレートが高い条件で、若干オーバーエッチングとなるように、上記研磨処理を行っている。
【0042】
上記研磨処理によって、導電性層4の上面の位置が、層間絶縁膜3の上面の位置と異なっており、層間絶縁膜3の上面の位置よりも低くなる。すなわち、導電性層4の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、段差が発生する。
【0043】
次に、図8に示されるように、上記段差を覆うように、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面上に、例えばCVD法によって絶縁膜5を形成する。この時点での絶縁膜5の厚さは、例えば10~50nmである。
【0044】
次に、絶縁膜5上に、例えばCVD法によって絶縁膜6を形成する。絶縁膜6は、絶縁膜5を構成する材料と異なる材料からなり、例えば酸化シリコン(SiO)からなる。また、この時点での絶縁膜5の厚さは、例えば30~100nmである。
【0045】
なお、実施の形態1では、絶縁膜5として酸窒化シリコン(SiON)または窒化シリコン(SiN)を例示し、絶縁膜6として酸化シリコン(SiO)を例示した。しかし、絶縁膜5および絶縁膜6の各々の材料は、これらに限られず、互いに異なる材料であればよい。
【0046】
次に、図9に示されるように、絶縁膜6上に、一対の導電性層4の各々の上面の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。
【0047】
次に、図10に示されるように、レジストパターンRP2をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、絶縁膜6中に一対の孔CH2を形成する。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP2を除去する。
【0048】
この異方性エッチング処理は、絶縁膜5がエッチングされ難く、絶縁膜6がエッチングされ易い条件で行われる。すなわち、絶縁膜6のエッチング処理中に、絶縁膜5がエッチングストッパとして機能する。
【0049】
図11は、図10の製造工程時における半導体装置の平面図を示している。図11に示されるように、図10のようにして形成された一対の孔CH2は、それぞれ平面視において孔CH1(導電性層4)に重なるように形成され、それぞれ平面視において孔CH1(導電性層4)に内包されている。言い換えれば、一対の孔CH2は、それぞれ断面視において孔CH1(導電性層4)の直上に形成される。
【0050】
また、孔CH2の口径は、孔CH1の口径よりも小さくなっている。仮に、孔CH2の口径が孔CH1の口径よりも大きいと、後の製造工程において、段差が発生している箇所に絶縁膜5を残すことが困難になってしまう。
【0051】
次に、図12に示されるように、絶縁膜5および絶縁膜6に対して、異方性エッチング処理を行う。この異方性エッチング処理は、絶縁膜5および絶縁膜6のエッチングレートがほぼ同じ条件で行われる。また、上記異方性エッチング処理は、終点検出(EPD:End Point Detector)技術を用いて行われ、エッチング装置が、絶縁膜6の成分から絶縁膜5の成分への変化を検出できる。すなわち、絶縁膜5上に形成されていた絶縁膜6が除去され、絶縁膜5が露出されるまで、上記異方性エッチング処理が行われる。
【0052】
また、この異方性エッチング処理によって、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、絶縁膜5が残される。実施の形態1では、絶縁膜5は、少なくとも一対の導電性層4の各々の上面の一部を覆うように残され、層間絶縁膜3の上面も覆うように残される。そして、絶縁膜5によって覆われていない箇所において、導電性層4の上面の一部が露出される。
【0053】
また、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に残された絶縁膜5には、上記異方性エッチング処理によって、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aが設けられる。
【0054】
次に、図13に示されるように、一対の導電性層4の各々の上面上と、層間絶縁膜3の上面上に形成されている絶縁膜5の上面上に、スパッタリング法によって抵抗材料膜7aを形成する。この時点での抵抗材料膜7aの厚さは、例えば3~10nmである。
【0055】
次に、図14に示されるように、抵抗材料膜7a上に、少なくとも一対の導電性層4の上面と、一対の導電性層4の間とを覆うようなパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。
【0056】
次に、レジストパターンRP3をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、抵抗材料膜7aを選択的にパターニングする。これにより、図5および図6に示されるように、一対の導電性層4に接続される抵抗素子7bが形成される。抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成される。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP3を除去する。
【0057】
その後、図示はしないが、抵抗素子7b上に、上層の配線構造として、層間絶縁膜と、プラグおよび配線などの導電性層とが形成され、実施の形態1における半導体装置が製造される。
【0058】
(実施の形態2)
以下に図15図23を用いて、実施の形態2における半導体装置およびその製造方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0059】
<実施の形態2における半導体装置の構造>
実施の形態1では、一対の導電性層4が層間絶縁膜3中に形成されていた。実施の形態2では、図15に示されるように、層間絶縁膜3を介して互いに離間する一対の導電性層8が、層間絶縁膜3の上面上に形成されている。一対の導電性層8は、抵抗素子7bを上層の配線に接続させるためのローカル配線であり、例えば窒化チタン(TiN)からなる。
【0060】
抵抗素子7bおよび一対の導電性層8を覆うように、層間絶縁膜3の上面上には、例えば酸化シリコン(SiO)からなる層間絶縁膜9が形成されている。層間絶縁膜9中には、一対の導電性層8に達する孔CH4が形成され、孔CH4の内部には、導電性層8に接続するためのプラグとして、導電性層10が埋め込まれている。導電性層10を構成する材料は、実施の形態1の導電性層3と同様である。
【0061】
実施の形態2においても、一対の導電性層8の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間には、段差が発生している。すなわち、一対の導電性層8の各々の上面の位置は、層間絶縁膜3の上面の位置と異なり、層間絶縁膜3の上面の位置よりも高くなっている。
【0062】
そして、段差が発生している箇所には、絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5は、層間絶縁膜3の上面の一部を覆うように形成され、一対の導電性層8および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aを有する。
【0063】
実施の形態2では、傾斜面5aは、一対の導電性層8の各々から層間絶縁膜3へ向かって低くなるように傾斜している。傾斜面5aと導電性層8の上面とが成す角度、または、傾斜面5aと層間絶縁膜3の上面とが成す角度は、実施の形態1と同様であり、40~50度の範囲内であり、好ましくは45度である。
【0064】
抵抗素子7bは、一対の導電性層8の各々に接続されるように、一対の導電性層8および層間絶縁膜3の各々の上面上に形成されている。また、段差が発生している箇所において、抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成されている。このため、実施の形態2においても、検討例で発生する問題を解消することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0065】
<実施の形態2における半導体装置の製造方法>
まず、図16に示されるように、半導体基板SUB上に層間絶縁膜1および層間絶縁膜3を形成する。層間絶縁膜1および層間絶縁膜3の製造工程は、実施の形態1と同様である。
【0066】
次に、層間絶縁膜3の上面上に、例えばCVD法によって、窒化チタン(TiN)のような導電性膜を形成する。この時点での上記導電性膜の厚さは、例えば20~40nmである。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング処理によって、上記導電性膜を選択的にパターニングすることで、一対の導電性層8が形成される。
【0067】
なお、上記パターニング時には、層間絶縁膜3の上面上に上記導電性膜を残さないようにするため、オーバーエッチングが行われるので、導電性層8に覆われていない層間絶縁膜3の上面が、若干後退する。
【0068】
このように、図16の製造工程によって、一対の導電性層8の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、段差が発生する。すなわち、一対の導電性層8の各々の上面の位置は、層間絶縁膜3の上面の位置と異なり、層間絶縁膜3の上面の位置よりも高くなる。
【0069】
次に、図17に示されるように、上記段差を覆うように、一対の導電性層8および層間絶縁膜3の各々の上面上に絶縁膜5を形成し、絶縁膜5上に絶縁膜6を形成する。
【0070】
次に、図18に示されるように、絶縁膜6上に、一対の導電性層4の間を開口するパターンを有するレジストパターンRP4を形成する。
【0071】
次に、図19に示されるように、レジストパターンRP4をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、一対の導電性層4の間に位置する絶縁膜6中に孔CH3を形成する。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP4を除去する。
【0072】
次に、図20に示されるように、絶縁膜5および絶縁膜6に対して、異方性エッチング処理を行う。この異方性エッチング処理は、絶縁膜5および絶縁膜6のエッチングレートがほぼ同じ条件で行われる。また、上記異方性エッチング処理は、終点検出(EPD)技術を用いて行われる。すなわち、一対の導電性層8の各々の上面上に形成されていた絶縁膜6および絶縁膜5が除去され、一対の導電性層8の各々の上面が露出されるまで、上記異方性エッチング処理が行われる。
【0073】
また、この異方性エッチング処理によって、一対の導電性層8の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、絶縁膜5が残される。実施の形態2では、絶縁膜5は、層間絶縁膜3の上面の一部を覆うように残される。
【0074】
また、残された絶縁膜5には、上記異方性エッチング処理によって、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aが設けられる。
【0075】
次に、図21に示されるように、絶縁膜5を覆うように、一対の導電性層8および層間絶縁膜3の各々の上面上に、スパッタリング法によって抵抗材料膜7aを形成する。
【0076】
次に、図22に示されるように、抵抗材料膜7a上に、一対の導電性層4の上面の一部と、一対の導電性層4の間とを覆うようなパターンを有するレジストパターンRP5を形成する。
【0077】
次に、図23に示されるように、レジストパターンRP5をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、抵抗材料膜7aを選択的にパターニングする。これにより、一対の導電性層8に接続される抵抗素子7bが形成される。抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成される。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP5を除去する。
【0078】
その後、以下の製造工程を経て、図15に示される半導体装置が製造される。抵抗素子7bおよび一対の導電性層8を覆うように、層間絶縁膜3の上面上に、例えばCVD法によって層間絶縁膜9を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング処理によって、層間絶縁膜9中に、一対の導電性層8に達する孔CH4を形成する。次に、実施の形態1の導電性層3と同様の製造工程によって、孔CH4の内部に、導電性層10を埋め込む。
【0079】
(実施の形態3)
以下に図24図31を用いて、実施の形態3における半導体装置およびその製造方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0080】
<実施の形態3における半導体装置の構造>
実施の形態1では、導電性膜4の上面が層間絶縁膜3の上面よりも後退していた。実施の形態3では、図24に示されるように、導電性膜4の一部が層間絶縁膜3の上面から突出している。
【0081】
実施の形態3においても、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間には、段差が発生している。すなわち、一対の導電性層4の各々の上面の位置は、層間絶縁膜3の上面の位置と異なり、層間絶縁膜3の上面の位置よりも高くなっている。
【0082】
そして、段差が発生している箇所には、絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5は、一対の導電性層4の各々の上面の一部と、層間絶縁膜3の上面とを覆うように形成され、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aを有する。
【0083】
実施の形態3では、傾斜面5aは、一対の導電性層4の各々から層間絶縁膜3へ向かって高くなるように傾斜している。傾斜面5aと導電性層4の上面とが成す角度、または、傾斜面5aと層間絶縁膜3の上面とが成す角度は、実施の形態1と同様であり、40~50度の範囲内であり、好ましくは45度である。
【0084】
抵抗素子7bは、一対の導電性層4の各々に接続されるように、一対の導電性層4の各々の上面上と、層間絶縁膜3の上面上に形成された絶縁膜5の上面上に形成されている。また、段差が発生している箇所において、抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成されている。このため、実施の形態3においても、検討例で発生する問題を解消することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0085】
<実施の形態3における半導体装置の製造方法>
まず、図25に示されるように、半導体基板SUB上に層間絶縁膜1、導電性層2、層間絶縁膜3および導電性層4を形成する。これらの製造工程は、実施の形態1と同様である。ただし、実施の形態3では、導電性層4に対して層間絶縁膜3のエッチングレートが高い条件で、若干オーバーエッチングとなるように、CMP法による研磨処理が行われている。
【0086】
上記研磨処理によって、導電性層4の上面の位置が、層間絶縁膜3の上面の位置と異なっており、層間絶縁膜3の上面の位置よりも高くなる。すなわち、導電性層4の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、段差が発生する。
【0087】
次に、図26に示されるように、上記段差を覆うように、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面上に絶縁膜5を形成し、絶縁膜5上に絶縁膜6を形成する。
【0088】
次に、図27に示されるように、絶縁膜6上に、一対の導電性層4の各々の上面の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。
【0089】
次に、図28に示されるように、レジストパターンRP2をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、絶縁膜6中に一対の孔CH2を形成する。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP2を除去する。
【0090】
次に、図29に示されるように、絶縁膜5および絶縁膜6に対して、異方性エッチング処理を行う。この異方性エッチング処理は、絶縁膜5および絶縁膜6のエッチングレートがほぼ同じ条件で行われる。また、上記異方性エッチング処理は、終点検出(EPD)技術を用いて行われる。すなわち、絶縁膜5上に形成されていた絶縁膜6が除去され、絶縁膜5が露出されるまで、上記異方性エッチング処理が行われる。
【0091】
また、この異方性エッチング処理によって、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、絶縁膜5が残される。実施の形態3では、絶縁膜5は、一対の導電性層4の各々の上面の一部と、層間絶縁膜3の上面とを覆うように残される。そして、絶縁膜5によって覆われていない箇所において、導電性層4の上面の一部が露出される。
【0092】
また、上記異方性エッチング処理によって、絶縁膜5には、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5aが設けられる。
【0093】
次に、図30に示されるように、一対の導電性層4の各々の上面上と、層間絶縁膜3の上面上に形成されている絶縁膜5の上面上に、スパッタリング法によって抵抗材料膜7aを形成する。
【0094】
次に、図31に示されるように、抵抗材料膜7a上に、少なくとも一対の導電性層4の上面と、一対の導電性層4の間とを覆うようなパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。
【0095】
次に、レジストパターンRP3をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、抵抗材料膜7aを選択的にパターニングする。これにより、図24に示されるように、一対の導電性層4に接続される抵抗素子7bが形成される。抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5aに沿って形成される。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP3を除去する。
【0096】
(実施の形態4)
以下に図32図36を用いて、実施の形態4における半導体装置およびその製造方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0097】
<実施の形態4における半導体装置の構造>
実施の形態1では、絶縁膜5および絶縁膜6を使用する製造工程によって、最終的に、段差が発生している箇所に絶縁膜5を設けていた。実施の形態4では、絶縁膜5のみが使用される。
【0098】
図32に示されるように、実施の形態4においても、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間には、段差が発生している。すなわち、一対の導電性層4の各々の上面の位置は、層間絶縁膜3の上面の位置と異なり、層間絶縁膜3の上面の位置よりも高くなっている。
【0099】
そして、段差が発生している箇所には、絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5は、一対の導電性層4の各々の上面の一部を覆うように形成され、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5bを有する。
【0100】
抵抗素子7bは、一対の導電性層4の各々に接続されるように、一対の導電性層4の各々の上面上と、層間絶縁膜3の上面上に形成された絶縁膜5の上面上に形成されている。また、段差が発生している箇所において、抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5bに沿って形成されている。
【0101】
傾斜面5bは、一対の導電性層4の各々から層間絶縁膜3へ向かって高くなるように傾斜している。この点については、傾斜面5bは、傾斜面5aと同様である。このため、実施の形態4でも実施の形態1と同様に、検討例と比較して、段差の高低差が大きい場合でも、抵抗素子7bの抵抗値がばらつくという問題、または、抵抗素子7bが断線するという問題を解消することができる。従って、実施の形態4においても、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0102】
ここで、実施の形態1の傾斜面5aは、例えば40~50度の範囲内で直線的に傾斜していたが、実施の形態4の傾斜面5bは、サイドウォールスペーサ状に加工されている。すなわち、実施の形態4の傾斜面5bは、曲面を成し、導電性層4に近い箇所ではほぼ垂直であり、層間絶縁膜3に近づくに連れて水平に近づく。
【0103】
それ故、導電性層4に近い箇所のように、傾斜面5bは、傾斜面5aと比較して、抵抗材料膜7aの厚さが薄くなり易い箇所を含む。従って、半導体装置の信頼性を向上させるという点においては、実施の形態1の方が実施の形態4よりも優れている。
【0104】
しかしながら、実施の形態4では、半導体装置の製造工程数およびマスク枚数などが、実施の形態1よりも少ないので、製造コストを抑制できるという効果を有する。以下に、実施の形態4における半導体装置の製造方法について説明する。
【0105】
<実施の形態4における半導体装置の製造方法>
図33は、実施の形態1の図5に続く製造工程を示している。まず、図33に示されるように、導電性層4の上面と層間絶縁膜3の上面との間に発生している段差を覆うように、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面上に、絶縁膜5を形成する。
【0106】
次に、図34に示されるように、絶縁膜5に対して、異方性エッチング処理を行うことで、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に、サイドウォールスペーサ状の絶縁膜5が残される。実施の形態4では、絶縁膜5は、一対の導電性層4の各々の上面の一部を覆うように残される。そして、絶縁膜5によって覆われていない箇所において、導電性層4の上面の一部が露出される。
【0107】
また、上記異方性エッチング処理によって、絶縁膜5には、一対の導電性層4および層間絶縁膜3の各々の上面に対して傾斜している傾斜面5bが設けられる。
【0108】
次に、図35に示されるように、一対の導電性層4の各々の上面上と、層間絶縁膜3の上面上に形成されている絶縁膜5の上面上に、スパッタリング法によって抵抗材料膜7aを形成する。
【0109】
次に、図36に示されるように、抵抗材料膜7a上に、少なくとも一対の導電性層4の上面と、一対の導電性層4の間とを覆うようなパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。
【0110】
次に、レジストパターンRP3をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、抵抗材料膜7aを選択的にパターニングする。これにより、図32に示されるように、一対の導電性層4に接続される抵抗素子7bが形成される。抵抗素子7bは、絶縁膜5を覆うように、傾斜面5bに沿って形成される。その後、アッシング処理によって、レジストパターンRP3を除去する。
【0111】
このように、実施の形態4では、実施の形態1で説明した絶縁膜6、レジストパターンRP2および孔CH2を形成する工程が無い分、これらに関連する製造コストを抑制することができる。
【0112】
なお、実施の形態4で開示した技術を、実施の形態2に適用することもできる。その場合、傾斜面5bを有する絶縁膜5は、一対の導電性層8の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に形成され、層間絶縁膜3の上面の一部を覆うように形成される。そして、その場合、傾斜面5bは、一対の導電性層8の各々から層間絶縁膜3へ向かって低くなるように傾斜する。
【0113】
また、実施の形態4で開示した技術を、実施の形態3に適用することもできる。その場合、傾斜面5bを有する絶縁膜5は、一対の導電性層4の各々の上面と層間絶縁膜3の上面との間に形成され、層間絶縁膜3の上面の一部を覆うように形成される。そして、その場合、傾斜面5bは、一対の導電性層4の各々から層間絶縁膜3へ向かって低くなるように傾斜する。
【0114】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 層間絶縁膜
2 導電性層
3 層間絶縁膜
4 導電性層
5 絶縁膜
5a、5b 傾斜面
6 絶縁膜
7a 抵抗材料膜
7b 抵抗素子
8 導電性層
9 層間絶縁膜
10 導電性層
CH1~CH4 孔
RP1~RP5 レジストパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36