(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065702
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】二次電池及び二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/543 20210101AFI20220421BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20220421BHJP
【FI】
H01M2/30 D
H01M2/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174336
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500484180
【氏名又は名称】バイメタル・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】町田 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅利 和彦
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA07
5H043AA13
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA05
5H043DA16
5H043HA04D
5H043HA05D
5H043JA01D
5H043JA02D
5H043LA02D
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】電蝕の発生を防止することが可能な二次電池及び二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池1は、集電端子40と、集電端子40を形成する金属で形成された頭部及び胴部を有する接続部41aを用いて集電端子40に接続された外部端子100とを備える。外部端子100は、集電端子40を形成する金属が含まれた第1の金属と、第1の金属と異なる第2の金属とを含むインレイクラッド材10で形成される。外部端子100は、接続部41aの頭部410が配置された凹部110と、接続部41aの胴部411が挿入された貫通孔120とを有する。外部端子100のうち凹部110及び貫通孔120を画定する部分は、第1の金属で形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電端子と、前記集電端子を形成する金属で形成された頭部及び胴部を有する接続部を用いて前記集電端子に接続された外部端子とを備えた二次電池であって、
前記外部端子は、前記集電端子を形成する金属が含まれた第1の金属と、前記第1の金属と異なる第2の金属とを含むインレイクラッド材で形成され、
前記外部端子は、前記接続部の頭部が配置された凹部と、前記接続部の胴部が挿入された貫通孔とを有しており、
前記外部端子のうち前記凹部及び前記貫通孔を画定する部分が、前記第1の金属で形成された、二次電池。
【請求項2】
前記接続部の前記頭部の下方に位置する前記外部端子の部分が、前記第1の金属で構成された、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記接続部の前記頭部の上面の高さ位置は、前記外部端子の上面の高さ位置以下である、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記集電端子及び前記接続部が一体的に形成された、請求項1~3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
集電端子と、前記集電端子を形成する金属で形成された頭部及び胴部を有する接続部を用いて前記集電端子に接続される外部端子とを備える二次電池の製造方法であって、
前記集電端子を形成する金属が含まれた第1の金属と、前記第1の金属と異なる第2の金属とを含むインレイクラッド材のうち、前記第1の金属を上層とし前記第2の金属を下層とする積層部分を、前記上層側からプレス加工して、前記接続部の頭部が配置される凹部を形成する工程と、
前記凹部の下方に位置する前記積層部分の前記下層の前記第2の金属を除去する工程と、
前記接続部の胴部が挿入される貫通孔を前記凹部に形成して、前記外部端子を形成する工程と
を含む、二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記第2の金属を除去する工程は、前記接続部の前記頭部が前記凹部に配置されたときに前記頭部の下方に位置することとなる前記積層部分が、前記第1の金属で構成され、前記第2の金属を含まないように、前記第2の金属を除去する、請求項5に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記凹部を形成する工程は、前記接続部の前記頭部が前記凹部に配置されたときの前記頭部の上面の高さ位置が、前記外部端子の上面の高さ位置以下となるように、前記凹部を形成する、請求項5又は6に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及び二次電池の製造方法に関する。
【0002】
現在、電力を駆動力として利用するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車等の車両では、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池が利用されている。二次電池は、外部端子を備えており、外部端子を介して、隣接する他の二次電池と接続される。このような二次電池の一例として、特許文献1は、接続端子によって集電部材と接続された外部端子を備える二次電池を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が開示する二次電池の負極側では、銅で形成された接続端子の胴部と、外部端子の加締め固定部のアルミニウム部分が近接するため、これらの間に水等の液体が浸入して、外部端子が電蝕する虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電蝕の発生を防止することが可能な二次電池及び二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池は、
集電端子と、集電端子を形成する金属で形成された頭部及び胴部を有する接続部を用いて集電端子に接続された外部端子とを備え、
外部端子は、集電端子を形成する金属が含まれた第1の金属と、第1の金属と異なる第2の金属とを含むインレイクラッド材で形成され、
外部端子は、接続部の頭部が配置された凹部と、接続部の胴部が挿入された貫通孔とを有しており、
外部端子のうち凹部及び貫通孔を画定する部分が、第1の金属で形成される。
【0007】
また、接続部の頭部の下方に位置する外部端子の部分が、第1の金属で構成される。
【0008】
さらに、接続部の頭部の上面の高さ位置は、外部端子の上面の高さ位置以下であることが好ましい。
【0009】
さらに、集電端子及び接続部が一体的に形成することができる。
【0010】
本発明の例示的な一実施形態に係る集電端子と、集電端子を形成する金属で形成された頭部及び胴部を有する接続部を用いて集電端子に接続される外部端子とを備える二次電池の製造方法は、
集電端子を形成する金属が含まれた第1の金属と、第1の金属と異なる第2の金属とを含むインレイクラッド材のうち、第1の金属を上層とし第2の金属を下層とする積層部分を、上層側からプレス加工して、接続部の頭部が配置される凹部を形成する工程と、
凹部の下方に位置する積層部分の下層の第2の金属を除去する工程と、
接続部の胴部が挿入される貫通孔を凹部に形成して、外部端子を形成する工程とを含む。
【0011】
また、第2の金属を除去する工程は、接続部の頭部が凹部に配置されたときに頭部の下方に位置することとなる積層部分が、第1の金属で構成され、第2の金属を含まないように、第2の金属を除去する。
【0012】
さらに、凹部を形成する工程は、接続部の頭部が凹部に配置されたときの頭部の上面の高さ位置が、外部端子の上面の高さ位置以下となるように、凹部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電蝕の発生を防止することが可能な二次電池及び二次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。
【
図2】本発明の例示的な一実施形態に係る外部端子の製造工程を示す図である。
【
図3】本発明の例示的な一実施形態に係る外部端子の製造工程を示す図である。
【
図4】本発明の例示的な一実施形態に係る外部端子の底面を示す図である。
【
図5】本発明の例示的な一実施形態に係る外部端子と集電端子の接続工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について説明する。
図1は、本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池1を示す斜視図である。二次電池1は、上部に負極外部端子100aと、正極外部端子100bとを備える。負極外部端子100aは、隣接して配置される二次電池(図示せず)の正極外部端子に、バスバー(図示せず)を介して接続される。同様に、正極外部端子100bは、隣接して配置される二次電池の負極外部端子に、バスバーを介して接続される。
【0016】
図2及び
図3は、本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池の製造方法に含まれる負極外部端子100aの製造工程を示す図である。先ず、
図2に示すように、第1の金属11と第2の金属20とを含むインレイクラッド材10が、切断位置で切断される。第1の金属11は、負極集電端子を形成する主要な金属(例えば、銅等)である。第2の金属は、第1の金属と異なる金属(例えば、アルミニウム等)である。第2の金属は、負極外部端子100aに溶接されるバスバーを形成する金属と同一であることが好ましい。
【0017】
次に、
図3に示すように、切断されたインレイクラッド材10のうち、第1の金属11を上層とし第2の金属20を下層とする積層部分を、上層側からプレス加工して、凹部110を形成する。このとき、押圧された第2の金属20の部分が、プレス加工によって変形が生じないインレイクラッド材10の底面のレベルよりも下側に押し出されるように、プレス加工を行う。
【0018】
凹部110には、負極外部端子100aと負極集電端子とを接続する接続部の頭部が配置される。凹部110を形成する工程では、接続部の頭部が凹部110に配置されたときの頭部の上面の高さ位置が、負極外部端子100aの上面の高さ位置以下となるように、凹部110を形成することが好ましい。また、凹部110の深さは、第1の金属11の厚さ以上とすることが好ましい。負極集電端子及び接続部については、
図5を参照して詳述する。
【0019】
次に、凹部110の下方に位置する積層部分の下層の第2の金属20を除去する。このとき、プレス加工によって変形が生じないインレイクラッド材10の底面のレベルよりも下側に位置する積層部分を除去する。換言すると、第2の金属20を除去する工程は、接続部の頭部が凹部110に配置されたときに接続部の頭部の下方に位置する部分が、第2の金属20を含まないように、第2の金属20を除去する。これにより、凹部110及び貫通孔120を画定する部分が、第1の金属11で形成され、第2の金属20で形成されないこととなる。また、凹部110を画定する部分の板厚が薄くなる。
【0020】
次いで、貫通孔120を凹部110に形成する。貫通孔120には、接続部の胴部が挿入されるため、貫通孔120の直径は、接続部の胴部の直径以上とする。貫通孔120は、凹部110の中心に形成することが好ましい。
図4は、このようにして形成された負極外部端子100aの底面を示す。
【0021】
図5は、二次電池の製造方法に含まれる負極外部端子100aと負極集電端子40aとを接続する工程を示す図である。本実施形態では、接続部41aが一体的に形成された負極集電端子40aを使用する。接続部41aは、負極集電端子40aの上部において突出する部材である。負極外部端子100aは、二次電池1のカバー60に設置されたインシュレータ50に配置される。負極集電端子40aの周囲には、二次電池1を密封するためのガスケット70が配置される。なお、負極集電端子40aの下部には、電極体(図示せず)が接続される。
【0022】
先ず、負極集電端子40aの接続部41aを、負極外部端子100aの底面側から負極外部端子100aの貫通孔120に挿入する。次に、負極集電端子40aの接続部41aを負極外部端子100aの上面側から押圧する。これにより、接続部41aの頭部410が形成され、負極外部端子100aと負極集電端子40aが加締められる。
【0023】
図5に示すように、接続部41aの頭部410の下方に位置する負極外部端子100aの部分は、第1の金属11で構成され、第2の金属20が含まれない。また、接続部41aの頭部410の上面の高さ位置は、負極外部端子100aの上面の高さ位置以下である。
【0024】
この後、負極外部端子100aの上面の第2の金属20部分にバスバーが溶接される。
【0025】
上述した実施形態では、二次電池1は、集電端子40と、集電端子40を形成する頭部410及び胴部411を有する金属で形成された接続部41aを用いて集電端子40に接続された外部端子100とを備える。外部端子100は、集電端子40を形成する金属を含む第1の金属と、第1の金属と異なる第2の金属とを含むインレイクラッド材で形成される。外部端子100は、接続部41aの頭部410が配置された凹部110と、接続部41aの胴部411が挿入された貫通孔120とを有する。外部端子100のうち凹部110及び貫通孔120を画定する部分は、第1の金属で形成される。
【0026】
これにより、接続部41aと、接続部41aの近傍の凹部110及び貫通孔120を画定する部分が、同一の金属を含んで形成されるため、接続部41aと、凹部110及び貫通孔120を画定する部分が電蝕するのを防ぐことができる。
【0027】
また、外部端子100と集電端子40を接続する際に圧力が加わる凹部110及び貫通孔120を画定する部分が、同一の金属で形成され、硬度が均一になる。そのため、当該圧力によって、外部端子100の凹部110及び貫通孔120を画定する部分が変形するのを抑制できる。
【0028】
さらに、外部端子100では、凹部110を画定する部分のうち、接続部41aの頭部410の直下に位置する部分の板厚が薄くなる。これにより、外部端子100の貫通孔120に挿入される接続部41aの胴部411の長さを短縮することができる。そのため、接続部41aの成形を容易にすることができると共に、充放電時に接続部41aに生じる電気抵抗を減らすことができる。
【0029】
さらに、接続部41aの頭部410の下方に位置する外部端子100の部分が、第1の金属で構成される。これにより、接続部41aの頭部410の下方に位置する外部端子100の部分の硬度が均一になる。そのため、外部端子100と集電端子40を接続する際に加わる圧力によって、接続部41aの頭部410の下方に位置する外部端子100の部分が変形するのを抑制できる。
【0030】
さらに、接続部41aの頭部410の上面の高さ位置は、外部端子100の上面の高さ位置以下である。これにより、平らなバスバーの一方の端部を接続部41aの上側に配置した状態で、バスバーの他方の端部を外部端子100の上面の第2の金属20部分に溶接することができる。そのため、平らなバスバーを接続部41aの上側にも配置することができ、二次電池1の省スペース化を実現することができる。
【0031】
他の実施形態では、負極集電端子40a及び接続部41aを個別の部品として構成してもよい。また、他の実施形態では、アルミニウムを第1の金属とし、銅を第2の金属とするインレイクラッド材を用いて正極外部端子100bを形成してもよい。この場合、銅で形成されたバスバーを正極外部端子100bの第2の金属部分に溶接することができる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 二次電池
10 インレイクラッド材
11 第1の金属
20 第2の金属
40 集電端子
40a 負極集電端子
41a 接続部
410 頭部
411 胴部
50 インシュレータ
60 カバー
70 ガスケット
100 外部端子
100a 負極外部端子
100b 正極外部端子
110 凹部
120 貫通孔