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特開2022-65724交通規制識別マーク確認装置およびそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065724
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】交通規制識別マーク確認装置およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20220421BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220421BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/16 C
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174374
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】598127321
【氏名又は名称】株式会社ドーン
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正伸
(72)【発明者】
【氏名】坂口 良
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB15
2F129BB49
2F129DD09
2F129EE02
2F129EE35
2F129EE65
2F129EE70
2F129GG17
2F129HH18
2F129HH20
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181LL11
5H181MC18
5H181MC19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】公安委員会の意思決定と設置済み交通規制識別マークの合致判断を容易におこなう。
【解決手段】撮像交通規制識別マークデータ記憶手段5は、設置された交通規制識別マークを撮像された撮像データに基づいて生成され、設置位置および撮像された交通規制識別マークが表す交通規制の規制内容を含む撮像交通規制識別マークデータを複数記憶する。標識存在予想領域決定手段4は、交通規制意思決定データ記憶手段2に記憶されたいずれかの交通規制意思決定データを読み出して、標識存在予想領域を決定する。標識存在確認手段7は、前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通規制の規制内容およびその規制位置を含む交通規制意思決定データを道路利用者に認識させる交通規制識別マークが、前記交通規制意思決定データの決定権者の意図に沿った位置に設置されているか否かを判断する交通規制識別マーク確認装置であって、
前記交通規制意思決定データを複数記憶する交通規制意思決定データ記憶手段、
設置された交通規制識別マークを撮像された撮像データに基づいて生成された撮像交通規制識別マークデータであって、設置位置および撮像された交通規制識別マークが表す交通規制の規制内容を含む撮像交通規制識別マークデータを複数記憶する撮像交通規制識別マークデータ記憶手段、
交通規制意思決定データ記憶手段に記憶されたいずれかの交通規制意思決定データを読み出して、当該規制位置に基づいて交通規制識別マークが存在すると予想される標識存在予想領域を決定する標識存在予想領域決定手段、
前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する標識存在確認手段、
を備えた交通規制識別マーク確認装置。
【請求項2】
請求項1の交通規制識別マーク確認装置において、さらに、
道路の特徴点の座標を節点として、前記節点を連結した形状で道路形状を表す辺情報を記憶する道路ネットワークデータを複数記憶する道路ネットワークデータ記憶手段、
を備え、
前記標識存在予想領域決定手段は、読み出した交通規制意思決定データの規制位置と、近接する節点を有する道路ネットワークデータを前記道路ネットワークデータ記憶手段から読み出して、その節点の位置情報に基づいて、前記標識存在予想領域を決定すること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項3】
請求項2の交通規制識別マーク確認装置において、
前記交通規制意思決定データの規制位置は、1点であること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項4】
請求項2の交通規制識別マーク確認装置において、
前記交通規制意思決定データの規制位置は、少なくとも2点であること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項5】
請求項4の交通規制識別マーク確認装置において、
前記交通規制の規制内容は進入方向が定義された点規制であること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項6】
請求項4の交通規制識別マーク確認装置において、
前記交通規制の規制内容は線規制または面規制であること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項7】
請求項2の交通規制識別マーク確認装置において、
前記道路ネットワークデータは、道路幅データを有しており、
前記標識存在予想領域決定手段は、前記標識存在予想領域は、前記近接する節点を有する道路ネットワークデータの辺情報に基づき、前記道路幅の半分ずれた領域を基準として決定される領域を含むように、前記標識存在予想領域を決定すること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項8】
請求項2の交通規制識別マーク確認装置において、
前記道路ネットワークデータは、道路幅データを有しており、
前記標識存在予想領域決定手段は、前記近接する節点を有する道路ネットワークデータの辺情報に基づき、前記道路幅の半分ずれた領域を基準として決定される領域を前記標識存在予想領域として決定すること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項9】
請求項1の交通規制識別マーク確認装置において、
前記標識存在予想領域決定手段は、読み出した交通規制意思決定データの規制位置から決定される所定領域を前記標識存在予想領域として決定すること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項10】
請求項5の交通規制識別マーク確認装置において、
前記2点のうち、進入方向を示す座標を前記標識存在予想領域の中心とすること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項11】
請求項3の交通規制識別マーク確認装置において、
前記規制地点座標を存在領域の中心とすること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかの交通規制識別マーク確認装置において、
前記標識存在確認手段は、
前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制で検討対象を絞り込んでから、前記同じ種類の規制種別の撮像交通規制識別マークデータが存在するかを判断すること、
を特徴とする交通規制識別マーク確認装置。
【請求項13】
請求項12の交通規制識別マーク確認装置において、
同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在しない場合、当該意思決定データを特定する意思決定データ識別子を出力する出力手段、
を備えた交通規制識別マーク確認装置。
【請求項14】
コンピュータを、交通規制の規制内容およびその規制位置を含む交通規制意思決定データを道路利用者に認識させる交通規制識別マークが、前記交通規制意思決定データの決定権者の意図に沿った位置に設置されているか否かを判断する交通規制識別マーク確認装置として機能させるプログラムであって、前記交通規制識別マーク確認装置は、以下の手段を備えていること、
前記交通規制意思決定データを複数記憶する交通規制意思決定データ記憶手段、
設置された交通規制識別マークを撮像された撮像データに基づいて、設置位置および撮像された交通規制識別マークが表す交通規制の規制内容を、撮像交通規制識別マークデータとして記憶する撮像交通規制識別マークデータ記憶手段、
交通規制意思決定データ記憶手段に記憶されたいずれかの交通規制意思決定データを読み出して、当該規制位置に基づいて交通規制識別マークが存在すると予想される標識存在予想領域を決定する標識存在予想領域決定手段、
前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する標識存在確認手段、
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交通規制識別マーク確認装置に関し、特に、標識存在予想領域を決定する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動運転を行う自動車が提唱されている。特許文献1には、道路標識・道路標示(以下、交通規制識別マークという)に従った走行をする自動運転車が開示されている。かかる自動運転には以下のような問題がある。
【0003】
前記設置された交通規制識別マークを自動運転車が読み取って、自動運転をさせるのは、現時点では交通規制識別マークの認識技術が未成熟なため、現実的ではない。
【0004】
ここで、前記交通規制識別マークは、もともと公安委員会の意思決定に基づいて設置されているため、かかる意思決定をデータ化しておき、自動運転車に記憶させて、かかる意思決定に基づく自動運転をさせることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-018852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように意思決定に基づいて自動運転をさせる場合、以下の問題があった。現実に設置されている交通規制識別マークが前記意思決定とずれている場合がある。これは、前記意思決定は、もともとは行政区画の住所で定義されており、これをGPS情報に対応づける際のずれが生じたこと、また、ある意思決定が規制の撤廃などで変更されているにもかかわらず、交通規制識別マークがそのままとなっているなどの理由による。
【0007】
このような状態では、交通規制識別マークを信じた非自動運転車と公安委員会の意思決定を信じた自動運転車との間でずれが生じ、事故が起こる可能性がある。
【0008】
この発明は、上記の問題点を解決して、前記意思決定と現実に設置されている交通規制識別マークの合致判断を容易にできる交通規制識別マーク確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置は、交通規制の規制内容およびその規制位置を含む交通規制意思決定データを道路利用者に認識させる交通規制識別マークが、前記交通規制意思決定データの決定権者の意図に沿った位置に設置されているか否かを判断する交通規制識別マーク確認装置であって、前記交通規制意思決定データを複数記憶する交通規制意思決定データ記憶手段、設置された交通規制識別マークを撮像された撮像データに基づいて生成された撮像交通規制識別マークデータであって、設置位置および撮像された交通規制識別マークが表す交通規制の規制内容を含む撮像交通規制識別マークデータを複数記憶する撮像交通規制識別マークデータ記憶手段、交通規制意思決定データ記憶手段に記憶されたいずれかの交通規制意思決定データを読み出して、当該規制位置に基づいて交通規制識別マークが存在すると予想される標識存在予想領域を決定する標識存在予想領域決定手段、前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する標識存在確認手段、を備えている。
【0010】
したがって、設置された交通規制識別マークと交通規制意思決定データが合致しているかを判断することができる。
【0011】
(2)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、さらに道路の特徴点の座標を節点として、前記節点を連結した形状で道路形状を表す辺情報を記憶する道路ネットワークデータを複数記憶する道路ネットワークデータ記憶手段、を備え、前記標識存在予想領域決定手段は、読み出した交通規制意思決定データの規制位置と、近接する節点を有する道路ネットワークデータを前記道路ネットワークデータ記憶手段から読み出して、その節点の位置情報に基づいて、前記標識存在予想領域を決定する。したがって、前記交通規制意思決定データがずれていても、前記ネットワークデータによって補正された標識存在予想領域を決定することができる。
【0012】
(3)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記交通規制意思決定データの規制位置は1点である。したがって、1点の規制である点規制の場合に、前記標識存在予想領域を決定することができる。
【0013】
(4)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記交通規制意思決定データの規制位置は、少なくとも2点である。したがって、線規制および、進入方向を有する点規制の場合に、前記標識存在予想領域を決定することができる。
【0014】
(5)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記交通規制の規制内容は進入方向が定義された点規制である。したがって、前記道路ネットワークデータの節点の手前の標識存在予想領域を決定することができる。
【0015】
(6)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記交通規制の規制内容は線規制または面規制である。したがって、線規制または面規制の場合に、前記標識存在予想領域を決定することができる。
【0016】
(7)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記道路ネットワークデータは、道路幅データを有しており、前記標識存在予想領域決定手段は、前記標識存在予想領域は、前記近接する節点を有する道路ネットワークデータの辺情報に基づき、前記道路幅の半分ずれた領域を基準として決定される領域を含むように、前記標識存在予想領域を決定する。したがって、道路幅を考慮した標識存在予想領域を決定することができる。
【0017】
(8)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記道路ネットワークデータは、道路幅データを有しており、前記標識存在予想領域決定手段は、前記近接する節点を有する道路ネットワークデータの辺情報に基づき、前記道路幅の半分ずれた領域を基準として決定される領域を前記標識存在予想領域として決定する。したがって、道路幅の外側の標識存在予想領域を決定することができる。
【0018】
(9)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記標識存在予想領域決定手段は、読み出した交通規制意思決定データの規制位置から決定される所定領域を前記標識存在予想領域として決定する。したがって道路ネットワークデータが存在しない道路でも、標識存在予想領域を決定することができる。
【0019】
(10)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記2点のうち、進入方向を示す座標を前記標識存在予想領域の中心とする。したがって、前記進入方向を示す座標を中心とする標識存在予想領域を決定することができる。
【0020】
(11)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記規制地点座標を存在領域の中心とする。したがって、前記節点における意思決定の交通規制識別マークについて、標識存在予想領域を決定することができる。
【0021】
(12)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、前記標識存在確認手段は、前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制で検討対象を絞り込んでから、前記同じ種類の規制種別の撮像交通規制識別マークデータが存在するかを判断する。したがって、演算対象を減らすことができる。
【0022】
(13)本発明にかかる交通規制識別マーク確認装置においては、同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在しない場合、当該意思決定データを特定する意思決定データ識別子を出力する出力手段を備えている。したがって、交通規制識別マークが存在しない、または位置がずれている交通規制意思決定データを得ることができる。
【0023】
(14)本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、交通規制の規制内容およびその規制位置を含む交通規制意思決定データを道路利用者に認識させる交通規制識別マークが、前記交通規制意思決定データの決定権者の意図に沿った位置に設置されているか否かを判断する交通規制識別マーク確認装置として機能させるプログラムであって、前記交通規制識別マーク確認装置は、以下の手段を備えていること、前記交通規制意思決定データを複数記憶する交通規制意思決定データ記憶手段、設置された交通規制識別マークを撮像された撮像データに基づいて、設置位置および撮像された交通規制識別マークが表す交通規制の規制内容を、撮像交通規制識別マークデータとして記憶する撮像交通規制識別マークデータ記憶手段、交通規制意思決定データ記憶手段に記憶されたいずれかの交通規制意思決定データを読み出して、当該規制位置に基づいて交通規制識別マークが存在すると予想される標識存在予想領域を決定する標識存在予想領域決定手段、前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する標識存在確認手段。
【0024】
したがって、設置された交通規制識別マークと交通規制意思決定データが合致しているかを判断することができる。
【0025】
本明細書における用語の意義について説明する。「交通規制意思決定」とは、公安委員会で決定された交通法規に関する意思決定であり、規制内容および規制地点を含む。実施形態では、図4の意思決定データが該当する。「標識等」とは、意思決定を利用者に伝えるに基づき具現化されたものであり、標識および標示を含む。標識等は意思決定を利用者に間接的に伝達する機能を果たす。「交通規制識別マーク」とは、実施形態では標識等が該当する。「節点」とは、実施形態ではノードに該当する。また、「辺情報」とは、実施形態ではリンクに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】交通規制識別マーク確認コンピュータ1の全体構成を示す機能ブロック図である。
図2】交通規制識別マーク確認コンピュータ1を、CPUを用いて実現したハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】道路ネットワークデータのデータ構造を示す図である。
図4】意思決定データおよび撮像データのデータ構造を示す図である。
図5】決定処理のフローチャートである。
図6】標識存在予想領域の決定の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明における実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
(1.機能ブロック図)
図1に本件発明にかかる交通規制識別マーク確認コンピュータ1の機能ブロック図を示す。
【0029】
交通規制識別マーク確認コンピュータ1は、交通規制の規制内容およびその規制位置を含む交通規制意思決定データを道路利用者に認識させる交通規制識別マークが、前記交通規制意思決定データの決定権者の意図に沿った位置に設置されているか否かを判断する交通規制識別マーク確認装置であって、交通規制意思決定データ記憶手段2、GISデータ記憶手段3、撮像交通規制識別マークデータ記憶手段5、道路ネットワークデータ記憶手段6、標識存在予想領域決定手段4、標識存在確認手段7、および出力手段9を備えている。
【0030】
交通規制意思決定データ記憶手段2は、前記交通規制意思決定データを複数記憶する。撮像交通規制識別マークデータ記憶手段5は、設置された交通規制識別マークを撮像された撮像データに基づいて生成された撮像交通規制識別マークデータであって、設置位置および撮像された交通規制識別マークが表す交通規制の規制内容を含む撮像交通規制識別マークデータを複数記憶する。道路ネットワークデータ記憶手段6は、道路の特徴点の座標を節点として、前記節点を連結した形状で道路形状を表す辺情報および道路幅データを有する道路ネットワークデータを複数記憶する。標識存在予想領域決定手段4は、交通規制意思決定データ記憶手段2に記憶されたいずれかの交通規制意思決定データを読み出して、当該規制位置と、近接する節点を有する道路ネットワークデータを道路ネットワークデータ記憶手段6から読み出して、その道路ネットワークデータの辺情報に基づき前記道路幅の半分ずれた領域を基準として決定される領域を前記標識存在予想領域として決定する。標識存在確認手段7は、前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する。GISデータ記憶手段3は、地図描画データを記憶する。出力手段9は同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在しない場合、当該意思決定データを特定する意思決定データ識別子および前記標識存在予想領域の地図描画データを出力する。
【0031】
このように、前記交通規制意思決定データの規制位置と近接する節点を有する道路ネットワークデータの辺情報に基づき、前記標識存在予想領域を決定している。また、標識存在確認手段7は、前記読み出された交通規制意思決定データの交通規制と同じ交通規制を有する撮像交通規制識別マークデータが、前記標識存在予想領域内に存在するか否か判断する。したがって、前記意思決定データと現実の標識等の設置位置が合致しているかを判断できる。また、多少のズレがあっても前記標識等が設置されているかを判断できる。
【0032】
(2.ハードウェア構成)
交通規制識別マーク確認コンピュータ1のハードウェア構成について、図2を用いて説明する。同図は、交通規制識別マーク確認コンピュータ1を、CPUを用いて構成したハードウェア構成の一例である。
【0033】
交通規制識別マーク確認コンピュータ1は、CPU23、メモリ27、ハートディスク26、モニタ30、通信ボード31、入力デバイス28、光学式ドライブ25、およびバスライン29を備えている。CPU23は、ハードディスク26に記憶された各プログラムにしたがいバスライン29を介して、各部を制御する。
【0034】
ハードディスク26は、オペレーティングシステムプログラム26o(以下OSと略す)、メインプログラム26pが記憶される。ハードディスク26は、道路ネットワークデータ記憶部26n、意思決定データ記憶部26K、GISデータを記憶するGISデータ記憶部26g、および撮像データ記憶部26dを有する。
【0035】
道路ネットワークデータ記憶部26nには、道路ネットワークノードデータおよび道路ネットワークリンクデータが記憶されている。
【0036】
道路ネットワークノードデータは図3Aに示すように、オブジェクトID、ポイント名および座標で構成されている。道路ネットワークリンクデータは、図3Bに示すように、リンクID、始点ノードID、終点ノードID、本実施形態においては、「路線情報」(たとえば、国道2号線等)および「道路幅員区分」で構成されている。「道路幅員区分」は、以下の5つの区分とした。「1:幅員3.0m未満」「2:幅員3.0m以上5.5m未満」「3:幅員5.5m以上13.0m未満」「4:幅員13.0m以上」「5:未調査」とした。
【0037】
意思決定データ記憶部26Kは、交通規制の規制内容およびその規制位置を含む意思決定データが複数記憶されている。かかる意思決定データは公安委員会により決定されたものである。交通規制意思決定データは、図4Aに示すように、少なくとも、規制形態(点規制、線規制、面規制)、規制種別(103種別の交通規制)、さらに、当該規制の規制地点、進入方向などの情報を含む。たとえば、意思決定ID「K1」は点規制であるが、規制地点だけでなく、進入方向の座標が記憶されている。これにより、規制地点への進行方向が定義される。すなわち、意思決定ID「K1」は、進入方向の座標「N34.XX63665 E135.YY33884」から、規制地点の座標「N34.XX63665 E135.YY33585」へ進入してくる車が一時停止する規制である。また、意思決定ID「K13」は、規制地点だけでなく、規制地点への進行方向、退出方向を表すために、それぞれの座標が記憶されている。すなわち、意思決定ID「K13」は、規制地点の座標「N34.XX63368 E135.YY33685」へ進入方向の座標「N34.XX63665 E135.YY33685」から、進入してくる車が、退出方向の座標「N34.XX63368 E135.YY33994」および「N34.XX63971 E135.YY33685」へ退出のみに限定される規制である。
【0038】
また、線規制は、始点と終点の座標で開始位置と終了位置が定義される。なお、途中で折れ曲がっている場合、中間地点が定義されていることもある。面規制は、定義された順に座標から座標を結びつける線分が定義され、かかる線分で区切られた領域が規制領域となる。
【0039】
撮像データ記憶部26dは図4Bに示すように、道路に設置された標識・表示を撮像したデータであり、規制種別および設置された位置データ(座標)が記憶されている。例えば、地点「N34.XX12452 E135.YY25114」には、「最高速度40km」の標識が設置されていることを示す。かかる撮像データは、自動車を走行させながら映像したデータから画像認識技術を用いて生成されたものだけでなく、人を現場に派遣して、撮像したデータも含まれる。
【0040】
GISデータ記憶部26gは複数レイヤーから構成された地図描画データを記憶する(図示せず)。これは一般的な地図描画データなので、説明は省略する。
【0041】
メインプログラム26pの処理は、後述する。
【0042】
本実施形態においては、オペレーティングシステムプログラム(OS)26oとして、LINUX(登録商標または商標)を採用したが、これに限定されるものではない。
【0043】
なお、上記各プログラムは、光学式ドライブ25を介して、プログラムが記憶された光学式ディスク(CD-ROM25a等)から読み出されてハードディスク26にインストールされたものである。なお、CD-ROM以外に、フレキシブルディスク(FD)、ICカード等のプログラムをコンピュータ可読の記録媒体から、ハードディスクにインストールさせるようにしてもよい。さらに、通信回線を用いてダウンロードするようにしてもよい。
【0044】
本実施形態においては、プログラムを光学式ディスクからハードディスク26にインストールさせることにより、光学式ディスクに記憶させたプログラムを間接的にコンピュータに実行させるようにしている。しかし、これに限定されることなく、光学式ディスクに記憶させたプログラムを光学式ドライブ25から直接的に実行するようにしてもよい。なお、コンピュータによって、実行可能なプログラムとしては、そのままインストールするだけで直接実行可能なものはもちろん、一旦他の形態等に変換が必要なもの(例えば、データ圧縮されているものを、解凍する等)、さらには、他のモジュール部分と組合して実行可能なものも含む。
【0045】
(3.合致判断処理)
図5を用いて、合致判断処理について説明する。CPU23は、意思決定データ記憶部26k(図2参照)から意思決定データを読み出す(図5ステップS1)。処理番号iを初期化し(ステップS3)、i番目の意思決定データを抽出する(ステップS4)。この場合i=1であるので、1番目の意思決定データである意思決定データk1が抽出される。CPU23は、意思決定データk1の規制種別を判断する(ステップS5)。意思決定データk1の規制種別は、点規制なので、進入方向座標があるか否か判断する(ステップS21)。意思決定データk1は、進入方向座標を有するので、進入方向の座標を当該標識等の仮中心と決定する(ステップS22)。
【0046】
CPU23は、決定した仮中心が道路ネットワークリンクデータと合致するリンクデータを抽出し、リンクデータ上の中心を決定し、さらに、幅員の半分だけずらした中心を求める(ステップS23)。点とリンクデータで定義される線の合致判断は、GISのマッチング技術を用いればよい。なお、「合致する」とは、上記リンクで定義される線上に上記中心がある場合だけでなく、上記中心が前記線分から所定の距離内に存在する場合を含む。
【0047】
図6Aを用いて、ステップS23の処理を説明する。ここでは、仮中心が点P1で、リンクデータL1と点P1が近接する場合とする。点P1とリンクL1とが閾値内に近接しているので、リンクL1が合致する道路ネットワークリンクデータであると判断され、リンクL1上の点P2が中心として決定される。リンクL1の道路幅員区分は、「4」であるので(図3B参照)、幅員13メートルの半分の6.5メートル分、ずれた中心P3が決定される。このずれ方向はリンクL1上の中心である点P2からノードP4方向(進入方向座標から規制中心を見た方向と同じ)の左方向である。
【0048】
CPU23は、当該標識等の存在領域(以下、標識存在領域という)を決定する(ステップS9)。本実施形態においては、点規制の場合は、前記決定した中心からさらに道路から離れる方向にR1、直行する方向にR2の直方体とした。本実施形態においては、R1=2メートル、R2=10メートルとしたが、かかる領域の大きさ、配置位置はこれに限定されない。
【0049】
CPU23は、前記決定した標識存在領域内に座標を有する撮像データが存在するか否か判断する(ステップS11)。これもGISのマッチング技術を用いればよい。
【0050】
CPU23は、前記標識存在領域内に座標を有する撮像データが存在する場合には一致と判断する(ステップS13)。一方、前記標識存在領域内に座標を有する撮像データが存在しない場合は、不一致と判断する(ステップS15)。
【0051】
CPU23は、処理番号iが最終か否か判断し(ステップS17)、最終でなければ、処理番号iをインクリメントし(ステップS18)、i番目の意思決定データを抽出する(ステップS4)。この場合i=2であるので、2番目の意思決定データである意思決定データk2が抽出される。CPU23は、意思決定データk2の規制種別を判断する(ステップS5)。意思決定データk1の規制種別は、線規制なので、道路ネットワークデータにある種類の線規制か否か判断する(ステップS6)。本実施形態においては、規制種別が以下の3つ「歩行者専用道路」、「自転車専用道路」、「自転車及び歩行者歩行者専用道路」である場合には、道路ネットワークデータにないとした。これらの道路は、車が走行できない道路であるので、道路ネットワークデータには道路としてのデータが存在しないからである。
【0052】
この場合、CPU23は、当該意思決定データは、上記の3つではないので、道路ネットワークデータにある種類の線規制であると判断して、意思決定データの始点・終点を結んだ線分から近接するリンクを決定し、かかるリンクの始点・終点からさらに、これを道路幅員の半分ずらす処理を行う(ステップS7)。
【0053】
図6Bを用いて、ステップS7の処理を説明する。ここでは、始点が点P11、終点がP21で、これらの結んだ線分L3がリンクL2と近接する場合とする。線分L3とリンクL2とが閾値内に近接しているので、リンクL2が合致する道路ネットワークリンクデータであると判断され、リンクL2上の始点P12、終点P22が決定される。リンクL2の道路幅員区分は、「3」であるので(図3B参照)、幅員5.5メートルの半分の2.75メートル分、ずれた始点P13、終点P23が決定される。このずれ方向はリンクL2上の始点P12から終点P22方向(進行方向)の左方向である。
【0054】
本実施形態においては、幅員については下限値を用いたが、上限値を用いて、内側も含めるようにしてもよい。また、下限値と上限値の中間値など、道路幅をおおよそ決定できる値であれはどれを採用してもよい。
【0055】
CPU23は、当該標識等が存在するであろう領域(以下、標識存在予想領域という)を決定する(ステップS9)。本実施形態においては、線規制の場合は、前記決定した始点終点を結んだ線分から道路の外側方向にR1離れた線分を定義し、その始点P14、終点P24で定義される直方体を標識存在予想領域とした。実施形態においては、R1=2メートルとしたが、これに限定されない。
【0056】
CPU23は、前記決定した標識存在予想領域内に座標を有する撮像データが存在するか否か判断する(ステップS11)。
【0057】
CPU23は、前記標識存在予想領域内に座標を有する撮像データが存在する場合には一致と判断する(ステップS13)。一方、前記標識存在予想領域内に座標を有する撮像データが存在しない場合は、不一致と判断する(ステップS15)。
【0058】
CPU23は、処理番号iが最終か否か判断し(ステップS17)、最終でなければ、処理番号iをインクリメントし(ステップS18)、以下、ステップS4以下を繰り返す。
【0059】
ステップS17にて、処理番号iが最終であれば、結果を出力する(ステップS19)。本実施形態においては、標識等が標識存在予想領域に存在しない意思決定データを出力するようにした。その際、GISデータ(図2参照)を参照して、地図データに意思決定データの位置を示すようにしてもよい。
【0060】
なお、ステップS5にて面規制の場合は、線規制が4線あるとして標識存在予想領域を求めればよい。その際、面を定義する線の内側および外側の双方を標識存在予想領域とすればよい。
【0061】
また、ステップS6にて、道路ネットワークデータの道路ではない場合は、CPU23は、意思決定データの始点終点を採用し(ステップS8)、標識存在予想領域を決定する(ステップS9)。その際、当該道路の幅が大きい場合もあるので、その場合は、R1を大きくするようにしてもよい
また、ステップS21にて進行方向座標がない場合、CPU23は、規制値座標を仮中心とし(ステップS25)、かかる仮中心が道路ネットワークデータと合致するノードデータを有するリンクデータを抽出し、このリンクデータのノード位置を中心として決定し、さらに、幅員の半分だけずらした中心を求める(ステップS23)。以降は進入方向がある場合と同じである。
【0062】
本実施形態においては、意思決定データどおりに標識等が設置されているのか否かをチェックすることができる。これにより、意思決定データと標識等のずれを検出できる。これにより、意思決定データに基づいて走行する自動運転車と、標識等に基づいて走行する非自動運転車が存在しても、事故などが起こることを防止できる。
【0063】
上記標識等と意思決定データが一致していない場合としては、例えば、以下のような場合がある。公安委員会が決定した意思決定があり、かつ、実際には標識は設置されているにもかかわらず、これが意思決定データには反映されていない場合である。たとえば、優先道路、一方通行、指定方向外進行禁止、車両進入禁止等での事故が想定される。
【0064】
(4.他の実施形態)
本実施形態においては、標識存在予想領域を決定するに当たって、道路幅を考慮して、探索領域を絞り込んでいる。このため、高速で合致判断が可能となる。なお、かかる標識存在予想領域として上記絞り込みをせずに、道路上なども探索範囲としてもよい。
【0065】
本実施形態においては、意思決定データの座標を仮中心として、道路ネットワークデータを用いてノードデータまたはリンクデータによって標識存在予想領域を修正している。これによりずれを修正することができる。これは以下の理由による。公安委員会が決定した意思決定は住所などで特定されており、もともと、実際の交差点とずれているがある。また、かかるずれはなくても、GPS座標に変換する場合にずれが発生するおそれがあるからである。
【0066】
上記実施形態においては、図1に示す機能を実現するために、CPU23を用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部もしくは全てを、ロジック回路などのハードウェアによって実現してもよい。なお、プログラムの一部の処理を、オペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6