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特開2022-65772凝集沈殿材の製造方法および凝集沈殿水の製造方法
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  • 特開-凝集沈殿材の製造方法および凝集沈殿水の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065772
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】凝集沈殿材の製造方法および凝集沈殿水の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/10 20060101AFI20220421BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G21F9/10 Z
B01D21/01 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174468
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】520404872
【氏名又は名称】杉田 秀一
(71)【出願人】
【識別番号】596060192
【氏名又は名称】南出 喜久治
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 秀一
【テーマコード(参考)】
4D015
【Fターム(参考)】
4D015BA01
4D015BA10
4D015BA11
4D015BA16
4D015BA17
4D015BA19
4D015BB05
4D015CA20
4D015DA12
4D015DA19
4D015DA30
4D015DA31
4D015DA40
4D015DB31
4D015DC02
(57)【要約】
【課題】微粒子状の放射性物質を安価かつ容易に凝集および沈殿させることができる凝集沈殿材の製造方法、および、凝集沈殿水の製造方法を提供する。
【解決手段】放射性物質を水中で沈殿させるための凝集沈殿材の製造方法は、少なくとも鉄鉱石、酸化チタン、紅柄、酸化クロム、マグネシウム、針葉樹、および、広葉樹のそれぞれの粉粒体が混合された混合粉を生成する混合粉生成工程S1と、混合粉と水とを混合して懸濁体を生成する懸濁体生成工程S2と、懸濁体を発酵させて釉薬を生成する発酵工程S4と、釉薬を基材に塗布する塗布工程S5と、釉薬が塗布された基材を乾燥させる乾燥工程S6と、乾燥させた基材を焼成する焼成工程S7とを備える。凝集沈殿水の製造方法は、製造された凝集沈殿材を水中に投入する投入工程S8を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を水中で沈殿させるための凝集沈殿材の製造方法であって、
少なくとも鉄鉱石、酸化チタン、紅柄、酸化クロム、マグネシウム、針葉樹、および、広葉樹のそれぞれの粉粒体が混合された混合粉を生成する混合粉生成工程と、
前記混合粉と水とを混合して懸濁体を生成する懸濁体生成工程と、
前記懸濁体を発酵させて釉薬を生成する発酵工程と、
前記釉薬を基材に塗布する塗布工程と、
前記釉薬が塗布された前記基材を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥させた前記基材を焼成する焼成工程とを備える
ことを特徴とする凝集沈殿材の製造方法。
【請求項2】
前記混合粉生成工程で、前記混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体を400Wt%としたとき、酸化チタンの粉粒体が4Wt%、紅柄の粉粒体が3Wt%、酸化クロムの粉粒体が1Wt%、マグネシウムの粉粒体が2Wt%、針葉樹の粉粒体が15Wt%、および、広葉樹の粉粒体が50Wt%となるように前記混合粉を生成し、
前記懸濁体生成工程で、前記懸濁体に占める鉄鉱石の粉粒体の質量と水の質量とが同じになるように前記懸濁体を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の凝集沈殿材の製造方法。
【請求項3】
前記混合粉生成工程で、マンガンの粉粒体がさらに混合された前記混合粉を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の凝集沈殿材の製造方法。
【請求項4】
前記混合粉生成工程で、前記混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体を400Wt%としたとき、酸化チタンの粉粒体が4Wt%、紅柄の粉粒体が3Wt%、酸化クロムの粉粒体が1Wt%、マグネシウムの粉粒体が2Wt%、マンガンの粉粒体が2Wt%、針葉樹の粉粒体が15Wt%、および、広葉樹の粉粒体が50Wt%となるように前記混合粉を生成し、
前記懸濁体生成工程で、前記混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体の質量と水の質量とが同じになるように前記懸濁体を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の凝集沈殿材の製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程で、前記基材として球状に形成されている陶器片を用いる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の凝集沈殿材の製造方法。
【請求項6】
前記混合粉または前記懸濁体に粉粒状のストロマトライトを添加する添加工程をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の凝集沈殿材の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の凝集沈殿材の製造方法により製造された凝集沈殿材を水中に投入する投入工程を備える
ことを特徴とする凝集沈殿水の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の放射性物質を凝集および沈殿させるための凝集沈殿材の製造方法、および、凝集沈殿水の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2011年の東日本大震災の津波による原子力発電所の事故によって、原子炉の冷却水に放射性物質が混じった汚染水が大量に発生し、2020年現在、多数の貯蔵タンクに汚染水が保管されている。汚染水を放流するには、放射性物質の濃度を所定値以下にすることが求められている。
【0003】
特許文献1には、汚染水から放射性物質を除去する放射性物質除去システムが記載されている。当該システムは、汚染水中の懸濁物質を凝集沈殿処理により除去する凝集沈殿処理装置と、懸濁物質を生物膜濾過処理により除去する生物膜濾過処理装置と、汚染水中の放射性物質を吸着材で捕集して除去する放射性物質除去装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-25464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のシステムは、3つの装置からなる非常に大掛かりなものであるため、設備導入コストが高いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、微粒子状の放射性物質を安価かつ容易に凝集および沈殿させることができる凝集沈殿材の製造方法、および、凝集沈殿水の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の凝集沈殿材の製造方法は、放射性物質を水中で沈殿させるための凝集沈殿材の製造方法であって、少なくとも鉄鉱石、酸化チタン、紅柄、酸化クロム、マグネシウム、針葉樹、および、広葉樹のそれぞれの粉粒体が混合された混合粉を生成する混合粉生成工程と、前記混合粉と水とを混合して懸濁体を生成する懸濁体生成工程と、前記懸濁体を発酵させて釉薬を生成する発酵工程と、前記釉薬を基材に塗布する塗布工程と、前記釉薬が塗布された前記基材を乾燥させる乾燥工程と、乾燥させた前記基材を焼成する焼成工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の凝集沈殿材の製造方法は、請求項1に記載の凝集沈殿材の製造方法において、前記混合粉生成工程で、前記混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体を400Wt%としたとき、酸化チタンの粉粒体が4Wt%、紅柄の粉粒体が3Wt%、酸化クロムの粉粒体が1Wt%、マグネシウムの粉粒体が2Wt%、針葉樹の粉粒体が15Wt%、および、広葉樹の粉粒体が50Wt%となるように前記混合粉を生成し、前記懸濁体生成工程で、前記懸濁体に占める鉄鉱石の粉粒体の質量と水の質量とが同じになるように前記懸濁体を生成することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の凝集沈殿材の製造方法は、請求項1に記載の凝集沈殿材の製造方法において、前記混合粉生成工程で、マンガンの粉粒体がさらに混合された前記混合粉を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の凝集沈殿材の製造方法は、請求項3に記載の凝集沈殿材の製造方法において、前記混合粉生成工程で、前記混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体を400Wt%としたとき、酸化チタンの粉粒体が4Wt%、紅柄の粉粒体が3Wt%、酸化クロムの粉粒体が1Wt%、マグネシウムの粉粒体が2Wt%、マンガンの粉粒体が2Wt%、針葉樹の粉粒体が15Wt%、および、広葉樹の粉粒体が50Wt%となるように前記混合粉を生成し、前記懸濁体生成工程で、前記混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体の質量と水の質量とが同じになるように前記懸濁体を生成することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の凝集沈殿材の製造方法は、請求項1~4のいずれか一項に記載の凝集沈殿材の製造方法において、前記塗布工程で、前記基材として球状に形成されている陶器片を用いることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の凝集沈殿材の製造方法は、請求項1~5のいずれか一項に記載の凝集沈殿材の製造方法において、前記混合粉または前記懸濁体に粉粒状のストロマトライトを添加する添加工程をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の凝集沈殿水の製造方法は、請求項1~6のいずれか一項に記載の凝集沈殿材の製造方法により製造された凝集沈殿材を水中に投入する投入工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、微粒子状の放射性物質を安価かつ容易に凝集および沈殿させることができる凝集沈殿材の製造方法、および、凝集沈殿水の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る凝集沈殿材および凝集沈殿水の製造工程を示すフローチャートである。
図2】放射性物質を含んだ水の放射線量の測定方法を示す概要図である。
図3】凝集沈殿水を用いた実施例に係る放射線量の測定結果を示すグラフである。
図4】水道水を用いた比較例に係る放射線量の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る凝集沈殿材の製造方法を説明する。
図1に示すように、凝集沈殿材の製造方法は、混合粉生成工程S1と、懸濁体生成工程S2と、添加工程S3と、発酵工程S4と、塗布工程S5と、乾燥工程S6と、焼成工程S7とを備えている。混合粉生成工程S1と懸濁体生成工程S2と添加工程S3と発酵工程S4は、釉薬生成工程に含まれる。
【0017】
混合粉生成工程S1では、鉄鉱石、酸化チタン、紅柄、酸化クロム、マグネシウム、マンガン、針葉樹、および、広葉樹のそれぞれの粉粒体が混合された混合粉を生成する。具体的には、例えば、鉄鉱石をボールミルに投入して粉砕し、粉粒状に予め形成された酸化チタン、紅柄、酸化クロム、マグネシウム、およびマンガンをボールミルに投入し、さらに、針葉樹および広葉樹をボールミルに投入して粉砕することで、ボールミル内で混合粉を生成する。
【0018】
混合粉生成工程S1では、例えば200kgの鉄鉱石を用いる場合は、2kgの酸化チタン、1.5kgの紅柄(弁柄)、500gの酸化クロム、1kgのマグネシウム、1kgのマンガン、7.5kgの針葉樹、および、25kgの広葉樹を用いる。すなわち、混合粉に占める鉄鉱石の粉粒体を400Wt%としたとき、酸化チタンの粉粒体が4Wt%、紅柄の粉粒体が3Wt%、酸化クロムの粉粒体が1Wt%、マグネシウムの粉粒体が2Wt%、マンガンの粉粒体が2Wt%、針葉樹の粉粒体が15Wt%、および、広葉樹の粉粒体が50Wt%となるように混合粉を生成することが好ましい。針葉樹および広葉樹の粉粒体としては、例えば、胚芽を含む部位の粉粒体、春先に発芽してミネラルを十分に吸収した新芽を含む部位の粉粒体、または、これらが混ざった粉粒体を用いることが好ましい。
【0019】
次に、懸濁体生成工程S2では、混合粉生成工程S1で生成された混合粉と水とを混合して懸濁体を生成する。懸濁体生成工程S2では、例えば混合粉生成工程S1で200kgの鉄鉱石を用いた場合は、同量である200kgの水を用いる。すなわち、懸濁体に占める鉄鉱石の粉粒体の質量と水の質量とが同じになるように懸濁体を生成することが好ましい。懸濁体に用いる水としては、例えば水道水が挙げられる。
【0020】
次に、添加工程S3では、懸濁体生成工程S2で生成された懸濁体に、粉粒状に予め形成されたストロマトライト(シアノバクテリア化石)を添加する。
【0021】
次に、発酵工程S4では、添加工程S3でストロマトライトが添加された懸濁体を発酵させて釉薬を生成する。発酵工程S4では、例えば、懸濁体に酵母(具体的には、自然空中浮遊のシアノバクテリアおよび自然空中浮遊の好気性発酵酵母)を添加し、10℃~35℃の外気に触れるように放置して1カ月~2カ月程度かけて自然発酵させることで釉薬を生成する。
【0022】
次に、塗布工程S5では、発酵工程S4で生成された釉薬を基材に塗布する。基材としては、例えば、直径が10mmの球状に形成された多数の陶器片を用いる。陶器片は、多数の細孔が形成されている多孔体である。釉薬が塗布される陶器片の形状は、表面積が大きいものほど好ましい。
【0023】
次に、乾燥工程S6では、塗布工程S5で釉薬が塗布された基材を乾燥させる。具体的には、例えば、2日間程度の天日干しにより基材を乾燥させる。
【0024】
そして、焼成工程S7では、乾燥工程S6で乾燥させた基材を焼成する。具体的には、例えば、1300℃の高温で基材を1時間程度加熱する。こうして、鉄鉱石等に由来する酸化ミネラルや針葉樹および広葉樹に由来するミネラルを含んだ凝集沈殿材が製造される。水中でミネラルは微粒子を凝集させて沈殿させることができるため、放射性物質を含んだ汚染水の中に凝集沈殿材を投入することにより、汚染水中で凝集沈殿材からミネラルを溶出させることができ、汚染水に含まれる微粒子状の放射性物質を凝集および沈殿させることができる。
【0025】
凝集沈殿水の製造方法は、上記の凝集沈殿材を水中に投入する投入工程S8を備えている。こうして、凝集沈殿材に含まれるミネラルが水中に溶出した凝集沈殿水が製造される。このため、凝集沈殿水の中に放射性物質を含んだ汚染土を投入することにより、汚染土に含まれる微粒子状の放射性物質を凝集および沈殿させることができる。
【0026】
したがって、本願発明の製造方法により製造された凝集沈殿材または凝集沈殿水を用いることで、微粒子状の放射性物質を安価かつ容易に水中で凝集および沈殿させることができる。
【0027】
また、水中に投入した陶器球の周囲では、天然空中浮遊のシアノバクテリア類や天然発酵酵母(漬物等の発酵に用いられる浮遊発酵菌と同じ種類の発酵酵母)が多数繁殖することが顕微鏡により確認されている。このため、凝集沈殿材で繁殖するシアノバクテリア類の光合成により凝集沈殿水の酸素濃度が上昇したり、発酵酵母による好気性発酵により有機物が分解されたりすることで、消臭効果、殺菌効果、および、水質浄化効果等が期待できる。
【0028】
[空間線量率の測定]
(実施例)
200kgの鉄鉱石、2kgの酸化チタン、1.5kgの紅柄、500gの酸化クロム、1kgのマグネシウム、1kgのマンガン、7.5kgの針葉樹、および、25kgの広葉樹を用いて、上記の実施形態に記載の方法で混合粉を生成し、その混合粉と200kgの水とを混合して懸濁体を生成した。次いで、その懸濁体に、適量の粉粒状のストロマトライトを添加し、さらに酵母を添加して発酵させることで釉薬を生成した。次いで、その釉薬を直径が10mmの球状の陶器片に塗布し、乾燥させ、焼成して凝集沈殿材を製造した。次いで、水道水に適量の凝集沈殿材を投入して凝集沈殿水を製造し、200mLの凝集沈殿水と放射性物質を含んだ20gの放射能汚染土(表面での線量率が2.096μSv/h)とをビーカーT1(容量が500mL)に入れて30秒間撹拌し、ビーカーT1から45mLの上澄み液を採取し、この上澄み液を長さが18cmで外径が1.8cmの測定用試験管T2(以下「試験管T2」という)に入れた。こうして試験管T2に入れられた上澄み液には、ビーカーT1で沈殿しなかった放射性物質、すなわち微粒子状の放射性物質が含まれている。
【0029】
そして、図2に示すように、線量計D(堀場製作所、PA-1000 Radi)により、試験管T2の上部近傍の空間線量率(以下「上部線量率」という)を測定するとともに、試験管T2の下部近傍の空間線量率(以下「下部線量率」という)を測定した。このとき、試験管T2の中央部近傍には、試験管T2の上部近傍と下部近傍とを区切るために、放射線を遮蔽する鉛ブロックBを設けるとともに、線量計Dの側方にも、鉛ブロック(図示略)を設けた。実施例による試験管T2の上部線量率および下部線量率の測定結果を図3に示す。
【0030】
(比較例)
200mLの水道水と実施例で用いた放射能汚染土とを実施例とは異なるビーカーT1に入れて30秒間撹拌し、このビーカーT1から45mLの上澄み液を採取し、この上澄み液を実施例とは異なる試験管T2に入れ、線量計Dにより試験管T2の上部近傍および下部近傍の空間線量率(すなわち上部線量率および下部線量率)を測定した。比較例による試験管T2の上部線量率および下部線量率の測定結果を図4に示す。
【0031】
図3中および図4中の実線で示すグラフは、上部線量率の経時的変化を示しており、図3中および図4中の破線で示すグラフは、下部線量率の経時的変化を示している。なお、これらのグラフは、15分毎に測定された空間線量率を補間する曲線である。
【0032】
図3に示すように、実施例の上部線量率は、時間の経過とともに低下する傾向を示しており、自然放射線量率(BG)に近くなった。また、実施例の下部線量率は、測定開始とともに上昇した。このことから、微粒子状の放射性物質が、試験管T2内で凝集して沈殿したと推定される。
【0033】
一方で、図4に示すように、比較例の上部線量率は、変動の幅が狭く、実施例の上部線量率より低くなることはなかった。また、比較例の下部線量率は、試験管T2内での対流によると思われる変動が発生しているものの、実施例の下部線量率より高くなることはなかった。
【0034】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の構成は、上記の実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明は、例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0035】
・混合粉を構成する粉粒体の構成比を適宜変更することもできる。例えば、混合粉生成工程S1で、マンガンの粉粒体を用いずに混合粉を生成してもよい。また、混合粉が、鉄鉱石、酸化チタン、紅柄、酸化クロム、マグネシウム、マンガン、針葉樹、および、広葉樹以外の粉粒体を含んでいてもよい。
【0036】
・添加工程S3を、懸濁体生成工程S2前にすることもできる。すなわち、添加工程S3は、発酵工程S4前であればよく、例えば、混合粉生成工程S1後かつ懸濁体生成工程S2前に、混合粉に粉粒状のストロマトライトを添加してもよい。
【0037】
・基材の形状および大きさを適宜変更することもできる。すなわち、基材は球体に限られず、例えば、基材が、楕円体または直方体であってもよく、微粒子状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
B 鉛ブロック
D 線量計
T2 測定用試験管
図1
図2
図3
図4