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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065839
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/02 20060101AFI20220421BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H02K33/02 A
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174577
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕士
【テーマコード(参考)】
5D107
5H633
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
5H633BB08
5H633GG02
5H633GG05
5H633GG06
5H633GG09
5H633HH03
5H633HH05
5H633HH07
5H633JA02
5H633JA04
5H633JA07
5H633JB09
(57)【要約】
【課題】可動体が振動する際に発生するビビリ音を抑制する。
【解決手段】可動体3を支持体2に対して振動させるアクチュエータ1において、可動体3は、支軸30と、支軸30に固定される第1内枠部材36および第2内枠部材37を備える。支持体2は、筒状のケース20と、ケース20の端部に固定される第1蓋部材21および第2蓋部材22と、ケース20の内側に配置される第1外枠部材51および第2外枠部材52を備える。第1内枠部材36と第1外枠部材51は第1接続体11により接続され、第2内枠部材37と第2外枠部材52は第2接続体12により接続される。第1蓋部材21は、第1外枠部材51に当接する押さえ用凸部210を備える、第2蓋部材22は、第2外枠部材52に当接する押さえ用凸部220を備える。押さえ用凸部210、220の配置は、周方向に離間した2箇所または3箇所に限定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および可動体と、
前記支持体および前記可動体に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える接続体と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記可動体および前記支持体の一方は、前記可動体および前記支持体の他方の内周側で前記磁石および前記コイルのうちの一方を支持する支軸と、前記支軸の外周側を囲む内枠と、を備え、
前記可動体および前記支持体のうちの他方は、前記内枠と径方向で対向する外枠と、前記外枠の外周側を囲む筒状のケースと、前記ケースの端部を塞ぐ蓋部材と、を備え、
前記内枠と前記外枠は、前記内枠と前記外枠との隙間に配置される筒状の前記接続体により接続され、
前記蓋部材は、前記外枠に当接する押さえ用凸部を備え、
前記押さえ用凸部は、周方向に離間した2箇所または3箇所に配置されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記ケースは、前記蓋部材に設けられた係止部に当接して前記蓋部材が前記ケースから外れることを規制する規制部を備え、
前記押さえ用凸部と前記係止部は、周方向の位置が異なることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記ケースの端部に圧入され、
前記係止部は、径方向に弾性変形する爪部であり、前記ケースの内周面に弾性接触することを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記係止部は、周方向に離間した複数位置に設けられ、
前記押さえ用凸部は、周方向で隣り合う前記係止部の中間位置に配置されることを特徴とする請求項2または3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記押さえ用凸部は、周方向で等間隔に配置されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記押さえ用凸部の先端面から突出する塑性変形部を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を支持体に対して相対移動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータとして、支持体および可動体と、支持体に対して可動体を振動させる磁気駆動機構を備えるとともに、可動体と支持体とを弾性および粘弾性を備えた接続体によって接続したものがある。特許文献1には、直方体状のカバーの内部に可動体を配置し、可動体をカバーの長手方向に振動させるアクチュエータが開示される。特許文献1のアクチュエータでは、接続体は、シート状ゲルを矩形に切断したゲル状部材である。可動体は、磁石が固定されたヨークを備えており、ゲル状部材は、厚さ方向の一方の面がヨークに接着され、他方の面がカバー部材に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-13086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成は、切断したゲル状部材を単体で部品として取り扱うため、取り扱いが難しい。そこで、本発明者らは、筒状のケースの内側に可動体を収容し、可動体を軸線方向に振動させるアクチュエータにおいて、環状の内枠と外枠との隙間に筒状のゲル状部材を配置し、筒状のゲル状部材(接続体)によって内枠と外枠とを接続した部品をダンパー部材として用いることを提案している。ゲル状部材は、内枠と外枠の間にゲル材料を充填して固化させる方法(注型)により製造される。
【0005】
本発明者らのアクチュエータでは、支持体は、外枠の外周を囲む筒状のケースと、ケースの両端を塞ぐ蓋部材とを備えている。アクチュエータを組み立てる際、ダンパー部材の内枠を可動体側の部品であるシャフトに固定し、外枠をケースに固定する。ケースに外枠を固定する構造は、ケースの内周に外枠が軸線方向に当接する段部を設けておき、蓋部材によって外枠を段部に押し付けて固定する構造を採用する。
【0006】
しかしながら、蓋部材によって外枠を段部に押し付ける構造では、部品精度や組立精度によっては、蓋部材が均等に外枠に接触していない状態に組み立てられることがある。このような場合、接触していない部分が可動体の振動時に当たってビビリ音が発生するという問題がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、可動体が振動する際に発生する音を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体および可動体と、前記支持体および前記可動体に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える接続体と、磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記可動体および前記支持体の一方は、前記可動体および前記支持体の他方の内周側で前記磁石および前記コイルのうちの一方を支持する支軸と、前記支軸の外周側を囲む内枠と、を備え、前記可動体および前記支持体のうちの他方は、前記内枠と径方向で対向する外枠と、前記外枠の外周側を囲む筒状のケースと、前記ケースの端部
を塞ぐ蓋部材と、を備え、前記内枠と前記外枠は、前記内枠と前記外枠との隙間に配置される筒状の前記接続体により接続され、前記蓋部材は、前記外枠に当接する押さえ用凸部を備え、前記押さえ用凸部は、周方向に離間した2箇所または3箇所に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明では、可動体および支持体の一方が支軸を備え、可動体および支持体の他方が筒状のケースおよび蓋部材を備えている。可動体と支持体とを接続する接続体は、外枠を介してケースに固定される。ケースの端部を塞ぐ蓋部材は、外枠に当接する押さえ用凸部を備えており、押さえ用凸部は、周方向に離間した2箇所または3箇所に配置される。このように、押さえ用凸部の数を2箇所または3箇所に限定することにより、蓋部材によって外枠をケースに固定する際、全ての押さえ用凸部が外枠に当接する。これにより、可動体が振動する際、蓋部材が外枠に衝突することを回避できるので、ビビリ音を抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記ケースは、前記蓋部材に設けられた係止部に当接して前記蓋部材が前記ケースから外れることを規制する規制部を備え、前記押さえ用凸部と前記係止部は、周方向の位置が異なることが好ましい。押さえ用凸部が外枠に当接すると当接した部位が撓みにくくなるので、押さえ用凸部と係止部の位置をずらすことによって、係止部が設けられた部位が撓みにくくなることを避けることができる。これにより、蓋部材をケースに固定する際に、係止部を規制部に係止する作業が困難になるという事態を避けることができる。従って、蓋部材をケースに固定することが困難になるという事態を避けることができる。
【0011】
本発明において、前記蓋部材は、前記ケースの端部に圧入され、前記係止部は、径方向に弾性変形する爪部であり、前記ケースの内周面に弾性接触することが好ましい。このように、爪部を弾性変形させて組み立てる構造では、爪部が押さえ用凸部と同一位置に設けられていると、押さえ用凸部が外枠に当接することによってその部位が撓みにくくなり、爪部をケースに圧入することが困難になってしまう。本発明では、押さえ用凸部と爪部の位置をずらしているので、蓋部材をケースに固定することが困難になるという事態を避けることができる。
【0012】
本発明において、前記係止部は、周方向に離間した複数位置に設けられ、前記押さえ用凸部は、周方向で隣り合う前記係止部の中間位置に配置されることが好ましい。このようにすると、押さえ用凸部と係止部との距離を最も大きくすることができるので、係止部が設けられた部位が撓みにくくなりにくい。従って、係止部を規制部に係止する作業が困難になるという事態を避けることができ、蓋部材をケースに固定できなくなるという事態を避けることができる。
【0013】
本発明において、前記押さえ用凸部は、周方向で等間隔に配置されることが好ましい。このようにすると、周方向で隣り合う押さえ用凸部の間に係止部を配置する際、押さえ用凸部と係止部との間隔が狭くなりにくい。従って、係止部が設けられた部位が撓みにくくなりにくい。
【0014】
本発明において、前記蓋部材は、前記押さえ用凸部の先端面から突出する塑性変形部を備えることが好ましい。このようにすると、蓋部材を取り付ける際、蓋部材と外枠との間で塑性変形部を押圧して潰すことができる。従って、部品精度や組立精度が低くても、押さえ用凸部を外枠に当接させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可動体および支持体の一方が支軸を備え、可動体および支持体の他方
が筒状のケースおよび蓋部材を備えている。可動体と支持体とを接続する接続体は、外枠を介してケースに固定される。ケースの端部を塞ぐ蓋部材は、外枠に当接する押さえ用凸部を備えており、押さえ用凸部は、周方向に離間した2箇所または3箇所に配置される。このように、押さえ用凸部の数を2箇所または3箇所に限定することにより、蓋部材によって外枠をケースに固定する際、全ての押さえ用凸部が外枠に当接する。これにより、可動体が振動する際、蓋部材が外枠に衝突することを回避できるので、ビビリ音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
図2図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
図3図1に示すアクチュエータの断面図(図1のA-A断面図)である。
図4図1に示すアクチュエータを図3と直交する方向で切断した断面図(図1のB-B断面図)である。
図5】第1蓋部材の斜視図である。
図6】第1蓋部材の平面図である。
図7】第2蓋部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、可動体3の中心軸線Lが延在する方向を軸線方向とし、軸線方向の一方側をL1とし、軸線方向の他方側をL2とする。本発明を適用したアクチュエータ1は、可動体3が支持体2に対して軸線方向に振動する。
【0018】
以下に説明する実施形態では、可動体3は、支持体2の内周側に配置されるが、本発明では、可動体3が支持体2の外周側に配置される態様を採用してもよい。また、以下に説明する実施形態では、可動体3は、軸線方向の一方側L1、および他方側L2の2箇所において、接続体10によって支持体2と接続されるが、本発明では、接続体10が1箇所もしくは3箇所以上に配置される態様を採用してもよい。また、以下に説明する実施形態では、可動体3を支持体2に対して振動させる磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えているが、本発明では、磁石61とコイル62の配置を逆にした構成を採用してもよい。すなわち、磁気駆動機構6は、可動体3に配置されるコイル62と、支持体2に配置される磁石61とを備えている態様であってもよい。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の斜視図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。図3図4は、図1に示すアクチュエータ1の断面図である。図3は、図1のA-A位置で切断した断面図である。図4は、図1のB-B位置で切断した断面図であり、図3と直交する方向で切断した断面図である。
【0020】
図1図4に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2および可動体3に接続された接続体10と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6とを備える。接続体10は、弾性および粘弾性のうちの少なくとも一方を備える。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えており、支持体2に対して可動体3を軸線方向に相対移動させる。図3図4に示すように、可動体3は、軸線方向の一方側L1の端部、および軸線方向の他方側L2の端部の各位置において、接続体10を介して支持体2と接続される。
【0021】
(支持体)
図2図4に示すように、支持体2は、筒状のケース20と、ケース20の軸線方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1蓋部材21と、ケース20の軸線方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2蓋部材22と、ケース20の内周側で第1蓋部材21と第2蓋部材22との間に配置されるコイルホルダ4を有する。本形態では、ケース20、第1蓋部材21、第2蓋部材22、およびコイルホルダ4は樹脂製である。また、支持体2は、コイルホルダ4の内周側に嵌まる第1外枠部材51と、第1外枠部材51に対して軸線方向の他方側L2に離間した位置でケース20の内周側に嵌まる第2外枠部材52を有する。第1外枠部材51と第2外枠部材52とは同一形状であり、軸線方向で逆向きに配置される。
【0022】
(接続体)
接続体10は、第1外枠部材51の内周面に接合された環状の第1接続体11と、第2外枠部材52の内周面に接合された環状の第2接続体12を備える。可動体3の軸線方向の一端側に第1接続体11が配置され、可動体3の軸線方向の一端側に第2接続体12が配置される。後述するように、第1接続体11および第2接続体12はゲル材料を成形したゲル状部材であり、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1外枠部材51および第2外枠部材52に接合される。本形態では、第1外枠部材51をコイルホルダ4に圧入して固定することにより、第1接続体11が支持体2に接続される。また、第2外枠部材52をケース20に圧入して固定することにより、第2接続体12が支持体2に接続される。
【0023】
(コイルホルダ)
図2に示すように、コイルホルダ4は、環状の第1外枠部材固定部41と、第1外枠部材固定部41から軸線方向の他方側L2へ突出する胴部42とを備えており、胴部42の周りにコイル62が配置される。コイル62から引き出されたコイル線63の端部は、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41から径方向外側へ突出する2本の端子ピン64に絡げられている。図1に示すように、端子ピン64はケース20の外部へ突出しており、配線基板7に接続される。
【0024】
図4に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材51を軸線方向に位置決めする第1段部44を備える。第1外枠部材固定部41は第1外枠部材51の外周側を囲んでいる。第1外枠部材固定部41の内周面には、軸線方向の他方側L2に凹む第1凹部43が設けられ、第1外枠部材51は、第1凹部43に圧入される。第1段部44は、第1凹部43の軸線方向の他方側L2の端部に設けられている。本形態では、第1外枠部材51の外周面に形成された環状段部511が第1段部44に対して軸線方向に当接する。
【0025】
(ケース)
ケース20は、円筒状のケース本体24と、ケース本体24の内周側に配置される第2外枠部材固定部25を備える。第2外枠部材固定部25は、コイルホルダ4に対して軸線方向の他方側L2に離間した位置に配置される。図2図4に示すように、第2外枠部材固定部25は、ケース本体24の内周面から内周側に突出しており、ケース本体24と一体に成形される。
【0026】
ケース20は、第2外枠部材52を軸線方向に位置決めする第2段部45を備える。図3図4に示すように、第2外枠部材固定部25の内周面には、軸線方向の一方側L1に凹む第2凹部46が設けられ、第2外枠部材52は、第2凹部46に圧入される。第2段部45は、第2凹部46の軸線方向の一方側L1の端部に設けられている。本形態では、第2外枠部材52の外周面に形成された環状段部521が第2段部45に対して軸線方向に当接する。
【0027】
また、ケース20は、コイルホルダ4を軸線方向に位置決めする第3段部47を備える。図4に示すように、第3段部47は、ケース本体24の内周面に形成される。図1、図
4に示すように、コイルホルダ4が嵌まるケース本体24の内周面には、軸線方向に延びる複数の溝部29が形成され、各溝部29の軸線方向の他方側L2の端部に第3段部47が形成されている。図2に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材固定部41の外周面から突出する複数の凸部49を備える。支持体2を組み立てる際、コイルホルダ4の各凸部49は、ケース本体24の各溝部29に軸線方向の一方側L1から嵌め込まれ、第3段部47に対して軸線方向に当接する。これにより、コイルホルダ4がケース本体24に圧入されて固定されるとともに、コイルホルダ4が軸線方向に位置決めされる。
【0028】
(蓋部材)
図3図4に示すように、第1蓋部材21は、コイルホルダ4に設けられた第1外枠部材固定部41の軸線方向の一方側L1からケース本体24に固定される。また、第2蓋部材22は、第2外枠部材固定部25の軸線方向の他方側L2からケース本体24に固定される。図2に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、軸線方向から見て円形の蓋部26と、蓋部26の外周縁に周方向で等間隔で配置された複数の係止部27を備える。本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、3箇所の係止部27を備える。係止部27は、蓋部26から外周側へ拡がる方向に傾斜して延びる爪部である。
【0029】
係止部27は、径方向に弾性変形して蓋部26と共にケース本体24の内周側に押し込まれる。ケース20は、係止部27がケース20の内側から外れることを規制する規制部28を備える。規制部28は、ケース本体24の端部から内周側に突出する凸部である。図1図2に示すように、規制部28は、ケース本体24の軸線方向の一方側L1および他方側L2の端部に、それぞれ、3箇所ずつ等間隔で配置される。規制部28は、係止部27の先端に対して軸線方向に当接する。
【0030】
第1蓋部材21は、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と併用してケース20に固定される。接着剤は、硬化後にケース20の一方側L1の端部と第1蓋部材21との隙間を封止する封止材となるように塗布される。従って、組立後の支持体2では、第1蓋部材21とケース20との隙間は、接着剤(図示せず)によって封止される。
【0031】
第2蓋部材22は、第1蓋部材21と同様に、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定とを併用してケース20に固定される。接着剤は、硬化後にケース20の他方側L2の端部と第2蓋部材22との隙間を封止する封止材となるように塗布される。従って、組立後の支持体2では、第2蓋部材22とケース20との隙間は、接着剤(図示せず)によって封止される。
【0032】
図2に示すように、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41は、ケース本体24に設けられた3箇所の規制部28と軸線方向で重なる部分を内周側に切り欠いた溝部48を備える。従って、コイルホルダ4をケース本体24の内部に挿入する際に、第1外枠部材固定部41と規制部28とが干渉することが回避される。
【0033】
(蓋部材による外枠の固定構造)
本形態では、接続体10(第1接続体11および第2接続体12)は、内枠と、内枠の外周側を囲む外枠との径方向の隙間に配置され、内枠と外枠とを接続する。上記のように、支持体2は、外枠として、第1接続体11の外周部に接合される第1外枠部材51、および、第2接続体12の外周部に接合される第2外枠部材52を備えている。ケース20に第1蓋部材21および第2蓋部材22を取り付けることにより、第1外枠部材51および第2外枠部材52は、軸線方向に押圧されて保持される。
【0034】
図2図4に示すように、第1蓋部材21は、第1外枠部材51に対して軸線方向の一方側L1から当接する押さえ用凸部210を備える。上記のように、第1外枠部材51は、コイルホルダ4を介してケース20に固定され、コイルホルダ4の第1段部44に対して軸線方向の一方側L1から当接する。図4に示すように、ケース20の一方側L1の端部に第1蓋部材21を圧入して固定すると、第1外枠部材51は、第1蓋部材21の押さえ用凸部210によって押圧される。
【0035】
図3図4に示すように、第2蓋部材22は、第2外枠部材52に対して軸線方向の他方側L2から当接する押さえ用凸部220を備える。上記のように、第2外枠部材52は、ケース20と一体に形成された第2外枠部材固定部25の第2段部45に対して軸線方向の他方側L2から当接する。ケース20の他方側L2の端部に第2蓋部材22を圧入して固定すると、第2外枠部材52は、第2蓋部材22の押さえ用凸部220によって押圧される。
【0036】
図5は、第1蓋部材21の斜視図であり、図6は、第1蓋部材21の平面図である。図5図6は、軸線方向の他方側L2から見た図である。図7は、第2蓋部材22の斜視図であり、軸線方向の一方側L1から見た図である。図5図7に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22において、蓋部26は、円形の板部261と、板部261の外周縁から外周側へ向かって軸線方向に対して傾斜する方向へ延びた後に軸線方向へ延びる縁部262を備える。
【0037】
図5に示すように、第1蓋部材21は、縁部262の内周側において板部261から軸線方向の他方側L2へ突出する第1環状リブ263および第2環状リブ264を備える。第1環状リブ263は、板部261の中央に配置され、第2環状リブ264は、第1環状リブ263と縁部262の間に配置される。第2環状リブ264は、放射状に延びる径方向リブ265、266によって第1環状リブ263および縁部262と繋がっている。図7に示すように、第2蓋部材22は、縁部262の内周側において板部261から軸線方向の一方側L1へ突出する第2環状リブ264を備えており、第2環状リブ264は、放射状に延びる径方向リブ266によって縁部262と繋がっている。また、第2環状リブ264から内周側へ向かって放射状に径方向リブ265が延びている。
【0038】
図4に示すように、第1蓋部材21において、第2環状リブ264は、軸線方向から見て第1外枠部材51と重なる位置に配置される。図5に示すように、第1蓋部材21は、第2環状リブ264の先端面から軸線方向の他方側L2へ突出する複数の押さえ用凸部210を備える。本形態では、第1蓋部材21には3箇所の押さえ用凸部210が周方向で等間隔に設けられている。各押さえ用凸部210は台形状であり、先端側に向かうに従って周方向の幅が狭まる形状である。各押さえ用凸部210は、先端面から突出する半球状の塑性変形部267を備える。押さえ用凸部210が第1外枠部材51に押し付けられると、塑性変形部267が第1外枠部材51の端面によって押圧されて潰れる。
【0039】
図3に示すように、第2蓋部材22において、第2環状リブ264は、軸線方向から見て第2外枠部材52と重なる位置に配置される。図7に示すように、第2蓋部材22は、第2環状リブ264の先端面から軸線方向の一方側L1へ突出する複数の押さえ用凸部220を備える。本形態では、3箇所の押さえ用凸部220が周方向で等間隔に配置される。各押さえ用凸部220は、第1蓋部材21の押さえ用凸部210と同一形状であり、先端側に向かうに従って周方向の幅が狭まる台形状である。各押さえ用凸部220は、先端面から突出する半球状の塑性変形部267を備える。押さえ用凸部220が第2外枠部材52に押し付けられると、塑性変形部267が第2外枠部材52の端面によって押圧されて潰れる。
【0040】
上記のように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、周方向に等間隔で配置された3箇所の係止部27を備える。図5図6に示すように、第1蓋部材21では、3箇所の係止部27と3箇所の押さえ用凸部210は、周方向の位置が異なる。一方、図7に示すように、第2蓋部材22では、3箇所の係止部27と3箇所の押さえ用凸部220は、周方向の位置が一致している。
【0041】
図5図6に示すように、第1蓋部材21では、第2環状リブ264と縁部262とを接続する径方向リブ266が周方向に等間隔で6箇所に配置され、6箇所のうちの3箇所は、押さえ用凸部210と周方向の位置が一致する。一方、係止部27は、径方向リブ266と周方向の位置が異なる。第1蓋部材21では、3箇所の係止部27は、いずれも、周方向で隣り合う径方向リブ266の中間位置に配置される。
【0042】
図7に示すように、第2蓋部材22では、第2環状リブ264と縁部262とを接続する径方向リブ266が周方向に等間隔で6箇所に配置され、6箇所のうちの3箇所は、押さえ用凸部220と周方向の位置が一致する。従って、第2蓋部材22では、押さえ用凸部220および係止部27は、径方向リブ266と周方向の位置が一致する。
【0043】
(配線引き出し部)
図1図3に示すように、支持体2は、磁気駆動機構6のコイル62から引き出したコイル線63を絡げた端子ピン64を外部に引き出すための配線引き出し部60を備える。配線引き出し部60は、ケース20の軸線方向の一方側L1の縁を軸線方向の他方側L2に切り欠いた切欠き部65(図2参照)と、第1蓋部材21の外周縁の周方向の一部から軸線方向の他方側L2に延びるカバー66との間に設けられた隙間である。第1蓋部材21をケース20に固定する際、切欠き部65に対して軸線方向の一方側からカバー66が挿入される。
【0044】
切欠き部65の内周側には、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41が配置される。本形態では、第1外枠部材固定部41から外周側に延びる2本の端子ピン64が配線引き出し部60に配置される。各端子ピン64の根本には、コイル62から引き出されたコイル線63が絡げられている。
【0045】
ケース20は、切欠き部65の他方側L2に形成された基板固定部69を備える。配線引き出し部60には、基板固定部69に固定される配線基板7の端部が配置される。端子ピン64は、配線基板7の穴に通され、配線基板7に設けられたランドと電気的に接続される。配線基板7には、コイル62に対する給電用のリード線8が接続される。基板固定部69は、配線基板7に対して周方向に隣接する位置でリード線8を保持するリード線保持部690を備える。また、基板固定部69は、切欠き部65に配置された配線基板7の縁を係止する爪部691を備える。配線基板7は、爪部691による係止構造と、接着剤による固定とを併用して基板固定部69に固定される。
【0046】
(可動体3)
図2図4に示すように、可動体3は、支持体2の径方向の中心において軸線方向に延びる支軸30を有する。支軸30には、筒状の第1内枠部材36、および筒状の第2内枠部材37によって、磁石61およびヨーク35が固定される。支軸30は金属製の丸棒である。第1内枠部材36および第2内枠部材37は、金属製の円筒体であり、第1内枠部材36および第2内枠部材37には円形の貫通穴が設けられている。第1内枠部材36および第2内枠部材37は同一形状であり、軸線方向に逆向きに配置される。
【0047】
図3図4に示すように、第1内枠部材36の内周面には、軸線方向の他方側L2の端部に径方向内側に突出した環状突部361が形成されている。従って、第1内枠部材36
を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部361に圧入される。また、第2内枠部材37の内周面には、軸線方向の一方側L1の端部に径方向内側に突出した環状突部371が形成されている。従って、第2内枠部材37を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部371に圧入される。
【0048】
磁石61は、支軸30が貫通する軸穴610が設けられており、支軸30の軸線方向の略中央に固定される。ヨーク35は、磁石61に軸線方向の一方側L1で重なる第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2で重なる第2ヨーク32を備える。第1ヨーク31は、支軸30が貫通する軸穴310が設けられた円板状である。第2ヨーク32は、カップ状の第1磁性部材33と、円板状の第2磁性部材34の2つの部材からなる。第1磁性部材33は、支軸30が貫通する軸穴330が設けられた円形の端板部331と、端板部331の外縁から軸線方向の一方側L1に延びる円筒部332とを有する。本形態では、第1磁性部材33の端板部331が磁石61の軸線方向の他方側L2の端面に固定される。第2磁性部材34は、支軸30が貫通する軸穴340を備えており、第1磁性部材33の端板部331に対して磁石61とは反対側から固定される。
【0049】
可動体3は、磁石61およびヨーク35を構成する各部材の軸穴310、610、330、340に支軸30を貫通させた状態で、磁石61およびヨーク35の軸線方向の両側で第1内枠部材36および第2内枠部材37を支軸30に固定する。その結果、第1内枠部材36が軸線方向の一方側L1から磁石61およびヨーク35を支持し、第2内枠部材37が軸線方向の他方側L2から磁石61およびヨーク35を支持する結果、磁石61およびヨーク35は、支軸30に固定される。
【0050】
第2ヨーク32は、第1磁性部材33の円筒部332の内径が、磁石61および第1ヨーク31の外径より大きい。従って、磁石61および第1ヨーク31を円筒部332の底部である円形の端板部331に重ねると、円筒部332は、磁石61の外周面および第1ヨーク31の外周面から径方向外側に離間した位置で磁石61の外周面および第1ヨーク31の外周面に対向する。本形態では、円筒部332と磁石61の外周面との間にコイル62の一部が配置される。また、円筒部332と第1ヨーク31の外周面との間にコイル62の一部が配置される。
【0051】
(接続体の製造方法)
本形態では、第1接続体11および第2接続体12は、ゲル材料を成形したゲル状部材である。第1接続体11を成形するときは、治具によって第1外枠部材51および第1内枠部材36を同軸に位置決めして第1外枠部材51と第1内枠部材36との間に環状の隙間を形成し、この隙間にゲル材料を充填して熱硬化させる。これにより、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1接続体11が第1外枠部材51の内周面、および、第1内枠部材36の外周面に接合される。なお、ゲル材料を充填する前に、第1外枠部材51の内周面、および第1内枠部材36の外周面にプライマー等の接合促進剤を塗布することによって接合強度を高めることができる。第2接続体12についても、同様に、第2外枠部材52と第2内枠部材37との間に環状の隙間を形成し、この隙間にゲル材料を充填して熱硬化させることにより成形される。
【0052】
このように、本形態では、接続体10(第1接続体11および第2接続体12)は、それぞれ、内枠と、内枠の外周側を囲む外枠との径方向の隙間に配置され、内枠と外枠とを接続体10によって接続したダンパー部材として部品化されている。すなわち、第1接続体11は、成形時に第1外枠部材51(外枠)および第1内枠部材36(内枠)が接合されて部品化されている。また、第2接続体12も同様に、成形時に第2外枠部材52(外枠)および第2内枠部材37(内枠)が接合されて部品化されている。従って、アクチュエータ1を組み立てる際には、ゲル状部材を接着する工程を行わずに、支持体2と可動体
3とを接続することができる。
【0053】
第1接続体11および第2接続体12は粘弾性部材である。例えば、第1接続体11および第2接続体12として、シリコーンゲル等からなるゲル状部材、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いることができる。本形態では、第1接続体11および第2接続体12は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。
【0054】
(空気通路)
アクチュエータ1は、円筒状の接続体10を可動体3と支持体2との径方向の隙間に配置して、全周で可動体3と支持体2とを接続する構造である。このため、アクチュエータ1は、ケース20の内部空間が接続体10によって軸線方向に仕切られている。ケース20の内部空間における空気の流動性を高めるために、第1接続体11の外周側には、第1空気通路P1が設けられている。また、第2接続体12の外周側には、第2空気通路P2が設けられている。従って、ケース20の内部空間の空気流動性が良いので、可動体3が振動する際の空気抵抗が少ない。
【0055】
図3に示すように、第1外枠部材固定部41の内周面には、軸線方向に延びる複数の溝部93が周方向で等間隔に形成されている。第1外枠部材固定部41の内周側に第1外枠部材51を圧入すると、第1外枠部材51の外周面と溝部93によって第1空気通路P1が形成される。第1空気通路P1は、コイルホルダ4の胴部42と、第1ヨーク31および磁石61との隙間に連通する。また、ケース20は、第2外枠部材固定部25を貫通する複数の貫通部94を備えている。貫通部94は周方向で等間隔に形成されており、第2空気通路P2として機能する。
【0056】
(アクチュエータの動作)
アクチュエータ1は、コイル62に通電することにより、磁気駆動機構6が、可動体3を軸線方向に駆動する駆動力を発生させる。コイル62への通電を切ると、可動体3は、接続体10の復帰力によって原点位置へ戻る。従って、コイル62への通電を断続的に行うことにより、可動体3は、軸線方向で振動する。また、コイル62に印加する交流波形を調整することで、可動体3が軸線方向の一方側L1に移動する加速度と、可動体3が軸線方向の他方側L2に移動する加速度を異なるものとすることができる。それ故、アクチュエータ1を触覚デバイスとして取り付けた機器を手にした者は、軸線方向において方向性を有する振動を体感することができる。また、アクチュエータ1を利用してスピーカを構成することもできる。
【0057】
可動体3が支持体2に対して軸線方向に振動する際、第1接続体11および第2接続体12は、可動体3の振動に追従してせん断方向に変形する。シリコーンゲル等のゲル状部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。ゲル状部材がせん断方向に変形する際は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。従って、可動体3が支持体2に対して軸線方向に振動する際、第1接続体11および第2接続体12は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0058】
なお、可動体3が径方向に移動する場合には、第1接続体11および第2接続体12が潰れる方向に変形する。ここで、ゲル状部材が潰れる方向に変形する場合のバネ定数は、ゲル状部材がせん断方向に変形する場合のバネ定数の3倍程度である。このため、可動体
3が振動方向(軸線方向)とは異なる方向に移動することを抑制でき、可動体3と支持体2との衝突を抑制できる。
【0059】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1は、支持体2および可動体3と、支持体2および可動体3に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える接続体10(第1接続体11および第2接続体12)と、磁石61およびコイル62を備え、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6を有する。可動体3は、支持体2の内周側で磁石61を支持する支軸30と、支軸30に固定される第1内枠部材36および第2内枠部材37(内枠)を備える。支持体2は、第1内枠部材36および第2内枠部材37(内枠)と径方向で対向する第1外枠部材51および第2外枠部材52(外枠)と、第1外枠部材51および第2外枠部材52(外枠)の外周側を囲む筒状のケース20と、ケース20の端部を塞ぐ第1蓋部材21および第2蓋部材22を備える。内枠と外枠は、内枠と外枠との径方向の隙間に配置される筒状の接続体10(第1接続体11および第2接続体12)により接続される。第1蓋部材21は、第1外枠部材51に対して軸線方向に当接する押さえ用凸部210を備える。また、第2蓋部材22は、第2外枠部材52に対して軸線方向に当接する押さえ用凸部220を備える。押さえ用凸部210、220は、周方向に離間した3箇所に配置される。
【0060】
本形態では、第1蓋部材21に設けられた押さえ用凸部210、および、第2蓋部材22に設けられた押さえ用凸部220の数をいずれも3箇所に限定したので、第1蓋部材21および第2蓋部材22によって第1外枠部材51および第2外枠部材52(外枠)をケース20に固定する際、全ての押さえ用凸部210が第1外枠部材51に当接し、且つ、全ての押さえ用凸部210が第2外枠部材52に当接する。これにより、可動体3が振動する際、第1蓋部材21が第1外枠部材51に衝突すること、および、第2蓋部材22が第2外枠部材52に衝突することを回避できる。よって、ビビリ音を抑制することができる。
【0061】
本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22に設けられた係止部27が、ケース20の規制部28に対して軸線方向に当接することにより、第1蓋部材21および第2蓋部材22がケース20から外れることが規制される。ここで、第1蓋部材21は、押さえ用凸部210と係止部27の周方向の位置がずれている。押さえ用凸部210が第1外枠部材51に当接すると、当接した部位が撓みにくくなるので、押さえ用凸部210と係止部27の位置をずらすことによって、係止部27が設けられた部位が撓みにくくなることを避けることができる。従って、第1蓋部材21をケース20に固定する際に、係止部27を規制部28に係止することが困難になるという事態を避けることができる。従って、第1蓋部材21をケース20に固定することが困難になるという事態を避けることができる。
【0062】
本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、ケース20の端部に圧入されており、係止部27は、径方向に弾性変形する爪部であり、ケース20の内周面に弾性接触する。このように、第1蓋部材21において、押さえ用凸部210と爪部の位置がずれていることにより、爪部を規制部に係止させにくくなることを避けることができる。従って、第1蓋部材21をケース20に固定することが困難になるという事態を避けることができる。
【0063】
本形態では、押さえ用凸部210、220は、周方向で等間隔に配置されている。押さえ用凸部210、220を周方向で等間隔に配置すると、押さえ用凸部210、220の間隔が狭い箇所ができにくい。従って、第1蓋部材21のように押さえ用凸部210と係止部27の周方向の位置をずらして配置する際、押さえ用凸部210と係止部27との間
隔が狭くなりにくい。従って、係止部27が設けられた部位が撓み難くなりにくいので、第1蓋部材21および第2蓋部材22をケース20に固定しやすい。
【0064】
本形態では、支持体2は、第1外枠部材51を軸線方向に位置決めする第1段部44、および、第2外枠部材52を軸線方向に位置決めする第2段部45を備えている。押さえ用凸部210は、第1外枠部材51に対して第1段部44とは反対側から当接し、押さえ用凸部220は、第2外枠部材52に対して第2段部45とは反対側から当接する。従って、第1外枠部材51および第2外枠部材52は、軸線方向の両側から挟まれて保持されるので、可動体3が振動する際、第1外枠部材51および第2外枠部材52が動いてビビリ音が発生することを避けることができる。
【0065】
本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、押さえ用凸部210、220の先端面から突出する塑性変形部267を備える。従って、第1蓋部材21と第1外枠部材51との間、および、第2蓋部材22と第2外枠部材52との間で塑性変形部267を押圧して潰すことができる。従って、部品精度や組立精度が低くても、押さえ用凸部210、220を第1外枠部材51および第2外枠部材52に当接させることができる。
【0066】
(変形例)
(1)上記形態では、押さえ用凸部210、220の数が3であったが、押さえ用凸部210、220の数は2であってもよい。
【0067】
(2)上記形態では、押さえ用凸部210、220は周方向で等間隔に配置されるが、等間隔でなくてもよい。但し、等間隔であることが好ましい。
【0068】
(3)上記形態の第2蓋部材22は、押さえ用凸部220と係止部27の周方向の位置が一致しているが、第1蓋部材21と同様に、押さえ用凸部220と係止部27の周方向の位置をずらすことが好ましい。これにより、第2蓋部材22をケース20に固定することが困難になるという事態を避けることができる。
【0069】
(4)第1蓋部材21の押さえ用凸部210、および、第2蓋部材22の押さえ用凸部220は、いずれも、周方向で隣り合う係止部27の中間位置に配置されることが好ましい。このようにすると、押さえ用凸部210、220を係止部27から最も離れた位置に配置できる。従って、係止部27を規制部28に係止することが困難になるという事態を避けることができるので、第1蓋部材21および第2蓋部材22をケース20に固定することが困難になるという事態を避けることができる。
【符号の説明】
【0070】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…コイルホルダ、6…磁気駆動機構、7…配線基板、8…リード線、10…接続体、11…第1接続体、12…第2接続体、20…ケース、21…第1蓋部材、22…第2蓋部材、24…ケース本体、25…第2外枠部材固定部、26…蓋部、27…係止部、28…規制部、29…溝部、30…支軸、31…第1ヨーク、32…第2ヨーク、33…第1磁性部材、34…第2磁性部材、35…ヨーク、36…第1内枠部材、37…第2内枠部材、41…第1外枠部材固定部、42…胴部、43…第1凹部、44…第1段部、45…第2段部、46…第2凹部、47…第3段部、48…溝部、49…凸部、51…第1外枠部材、52…第2外枠部材、60…配線引き出し部、61…磁石、62…コイル、63…コイル線、64…端子ピン、65…切欠き部、66…カバー、9…基板固定部、93…溝部、94…貫通部、210…押さえ用凸部、220…押さえ用凸部、261…板部、262…縁部、263…第1環状リブ、264…第2環状リブ、265、266…径方向リブ、267…塑性変形部、310、330,340、610…軸穴、331…端板部、332…円筒部、361…環状突部、371…
環状突部、511…環状段部、521…環状段部、690…リード線保持部、691…爪部、L…中心軸線、L1…軸線方向の一方側、L2…軸線方向の他方側、P1…第1空気通路、P2…第2空気通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7