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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065847
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/19 20180101AFI20220421BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20220421BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220421BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20220421BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20220421BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220421BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220421BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220421BHJP
【FI】
F21S43/19
H01L33/48
F21S43/14
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W105:00
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10 300
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y115:10 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174592
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】日野 清和
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA56
5F142BA32
5F142CB11
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD18
5F142CE02
5F142CE16
5F142CF13
5F142CG05
5F142CG23
5F142DA12
5F142DB44
5F142GA28
(57)【要約】
【課題】流動性を有する材料が、基板上の意図しない領域にまで拡がるのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、複数の接続パッドを有する配線パターンが設けられた基板と;前記複数の接続パッドのそれぞれに半田付けされた給電端子と;前記基板の上に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの発光素子と;前記基板の上に接着層を介して設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記枠部の内側に設けられ、透光性を有する樹脂を含む封止部と;前記枠部の周辺に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの素子と;前記枠部の外側面の近傍に設けられた少なくとも1つの凸部と;前記素子、および前記凸部の少なくともいずれかに付着し、前記透光性を有する樹脂、および前記接着層の材料の少なくともいずれかを含む樹脂部と;を具備している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられ、複数の接続パッドを有する配線パターンが設けられた基板と;
前記複数の接続パッドのそれぞれに半田付けされた給電端子と;
前記基板の上に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの発光素子と;
前記基板の上に接着層を介して設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記枠部の内側に設けられ、透光性を有する樹脂を含む封止部と;
前記枠部の周辺に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの素子と;
前記枠部の外側面の近傍に設けられた少なくとも1つの凸部と;
前記素子、および前記凸部の少なくともいずれかに付着し、前記透光性を有する樹脂、および前記接着層の材料の少なくともいずれかを含む樹脂部と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記枠部の外側面に接触している請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記枠部と一体に形成されている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記基板の平面形状は、略四角形であり、
前記複数の接続パッドは、前記基板の第1の辺の近傍に並べて設けられ、
前記凸部は、前記枠部の中心を通り、前記第1の辺に平行な線分の近傍に設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
例えば、車両用照明装置には、ソケットと、ソケットの一方の端部側に設けられた発光モジュールと、発光モジュールと電気的に接続された複数の給電端子とが設けられている。発光モジュールは、例えば、配線パターンを有する基板と、基板の上に設けられ、配線パターンと電気的に接続された発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と、を有している。複数の給電端子のそれぞれは、配線パターンに設けられた接続パッドに半田付けされている。
【0003】
また、近年においては、発光モジュールの小型化、ひいては車両用照明装置の小型化が望まれている。そのため、チップ状の発光ダイオードと、チップ状の発光ダイオードを囲む枠部と、枠部の内側に設けられ、チップ状の発光ダイオードを覆う封止部と、を有する発光モジュールが提案されている。このような発光モジュールにおいては、チップ状の発光ダイオードはCOB(Chip On Board)により基板の上に実装される。枠部は、チップ状の発光ダイオードを囲むようにして基板の上に接着される。封止部は、枠部の内側に透光性を有する樹脂を充填することで形成される。
【0004】
ここで、枠部を接着する接着剤や、封止部を形成するための樹脂は、ある程度の流動性を有している。そのため、枠部からはみ出た接着剤や、枠部から溢れた樹脂が基板の上を流れ、配線パターンに設けられた接続パッドに到達する場合がある。接続パッドには、給電端子が半田付けされるため、接着剤や樹脂が接続パッドに付着すると、給電端子の半田付けが困難となる。
そこで、流動性を有する材料が、基板上の意図しない領域にまで拡がるのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-195099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、流動性を有する材料が、基板上の意図しない領域にまで拡がるのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、複数の接続パッドを有する配線パターンが設けられた基板と;前記複数の接続パッドのそれぞれに半田付けされた給電端子と;前記基板の上に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの発光素子と;前記基板の上に接着層を介して設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記枠部の内側に設けられ、透光性を有する樹脂を含む封止部と;前記枠部の周辺に設けられ、前記配線パターンと電気的に接続された少なくとも1つの素子と;前記枠部の外側面の近傍に設けられた少なくとも1つの凸部と;前記素子、および前記凸部の少なくともいずれかに付着し、前記透光性を有する樹脂、および前記接着層の材料の少なくともいずれかを含む樹脂部と;を具備している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、流動性を有する材料が、基板上の意図しない領域にまで拡がるのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】発光モジュールの模式平面図である。
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図3は、発光モジュール20の模式平面図である。
図1および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40を設けることができる。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端面に開口する凹部11aを有する。
【0014】
バヨネット12は、装着部11の外側面に設けられている。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙している。バヨネット12は、複数設けられている。バヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いることができる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。図1および図2に例示をしたソケット10には複数の放熱フィンが設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、板状を呈したものとすることができる。
【0017】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105を挿入することができる。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0019】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と。無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものとすることができる。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0021】
給電部30は、複数の給電端子31および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。給電端子31の一方の端部は、後述する複数の接続パッド(ランド)21a1のそれぞれに半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成することができる。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料、数などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0022】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素からなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムからなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0023】
伝熱部40は、例えば、基板21と、凹部11aの底面11a1との間に設けられている。伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。
【0024】
また、伝熱部40は、インサート成形法により、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)からなる層を介して、凹部11aの底面11a1に取り付けることもできる。熱伝導グリスの種類には特に限定はないが、例えば、変性シリコーンに、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下とすることができる。
【0025】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
なお、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合には、伝熱部40を省くこともできる。
【0026】
図3に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、素子25、および凸部26を有する。
基板21は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。基板21は、例えば、伝熱部40の上に接着することができる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。接着剤は、例えば、前述した、伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0027】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形とすることができる。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものなどを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0028】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成することができる。配線パターン21aには、給電端子31を半田付けするための複数の接続パッド21a1と、発光素子22や素子25を実装するための複数の実装パッド21a2と、が設けられている。
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むものとすることができる。
【0029】
発光素子22は、基板21の、凹部11aの底面11a1側とは反対側に設けられている。発光素子22は、基板21の上に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続されている。例えば、発光素子22は、実装パッド21a2に実装されている。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を互いに直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0030】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装パッド21a2に実装することができる。この様にすれば、狭い領域に多くの発光素子22を設けることができる。そのため、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。図1図3に例示をした発光素子22は、上下電極型の発光素子である。上部電極型の発光素子の電極、または上下電極型の発光素子の上部電極は、配線21bにより実装パッド21a2と電気的に接続することができる。この場合、配線21bは、例えば、ワイヤーボンディング法により接続することができる。フリップチップ型の発光素子22は、実装パッド21a2の上に直接実装することができる。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0031】
枠部23は、基板21の、凹部11aの底面11a1側とは反対側に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、接着層27を介して、基板21の上に設けられている。枠部23は、発光素子22を囲んでいる。枠部23は、樹脂から形成することができる。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0032】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることもできる。
【0033】
封止部24は、枠部23の内側に設けることができる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けることができる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けることができる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含むことができる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行うことができる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などとすることができる。この場合、充填する樹脂の粘度が低すぎると、枠部23の外部に溢れた樹脂の拡がりを抑制するのが難しくなる。充填する樹脂の粘度が高すぎると、樹脂の内部に巻き込まれた空気を排出するのが困難となる。そのため、充填する樹脂の粘度は、例えば、1000mPa・s以上、7500mPa・s以下とすることが好ましい。
【0034】
また、封止部24には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0035】
また、封止部24の上に光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズとすることができる。凸レンズである光学要素は、光を集光して、所定の配光特性が得られるようにする。なお、光学要素は、凸レンズに限定されるわけではなく、例えば、凹レンズなどであってもよい。
【0036】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21a(実装パッド21a2)と電気的に接続することができる。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0037】
素子25は、例えば、抵抗25a、制御素子25b、コンデンサ25c、およびプルダウン抵抗25dなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0038】
抵抗25aは、基板21の、凹部11aの底面11a1側とは反対側に設けることができる。抵抗25aは、配線パターン21a(実装パッド21a2)と電気的に接続することができる。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1および図3に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0039】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)とすることができる。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成することができる。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0040】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0041】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択することができる。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0042】
制御素子25bは、基板21の、凹部11aの底面11a1側とは反対側に設けることができる。制御素子25bは、配線パターン21a(実装パッド21a2)と電気的に接続することができる。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けることができる。制御素子25bは、例えば、ダイオードとすることができる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどとすることができる。図1および図3に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0043】
コンデンサ25cは、基板21の、凹部11aの底面11a1側とは反対側に設けることができる。コンデンサ25cは、配線パターン21a(実装パッド21a2)と電気的に接続することができる。コンデンサ25cは、例えば、ノイズ対策や電圧を平滑化するために設けることができる。コンデンサ25cは、例えば、チップ状のコンデンサ、表面実装型のコンデンサ、リード線を有するコンデンサなどとすることができる。図3に例示をしたコンデンサ25cは、表面実装型のコンデンサである。
【0044】
プルダウン抵抗25dは、基板21の、凹部11aの底面11a1側とは反対側に設けることができる。プルダウン抵抗25dは、配線パターン21a(実装パッド21a2)と電気的に接続することができる。プルダウン抵抗25dは、例えば、発光素子22に関する導通の検出や、誤点灯防止などのために設けることができる。プルダウン抵抗25dは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器、チップ状の抵抗器などとすることができる。図1および図3に例示をしたプルダウン抵抗25dは、表面実装型の抵抗器である。
【0045】
ここで、前述したように、枠部23は、接着層27を介して基板21の上に設けられる。すなわち、枠部23は、基板21の上に接着される。また、封止部24は、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。枠部23を接着する接着剤と、枠部23の内側に充填される樹脂は、硬化する前はある程度の流動性を有している。
また、枠部23を基板21の上に接着する際には、枠部23が基板21に向けて押圧される。そのため、枠部23と基板21の間にある接着剤が、枠部23の外側と内側に押し出される。
【0046】
また、枠部23の内側に樹脂を充填する際には、図2に示すように、封止部24の上面が曲面となる様に、枠部23の開口の上方にまで樹脂が供給される場合がある。この様な場合には、供給された樹脂の一部が、枠部23から溢れ出る場合がある。なお、樹脂を枠部23の開口の近傍にまで充填する場合にも、供給量の誤差により、供給された樹脂の一部が、枠部23から溢れ出る場合がある。また、封止部24の上に光学要素を設ける場合には、光学要素が供給された樹脂の上に押し付けられる。この様な場合にも、供給された樹脂の一部が、枠部23から溢れ出る場合がある。
【0047】
基板21の表面は親水性となっている場合が多いので、接着剤が枠部23の外側に押し出されたり、封止部24を形成するための樹脂が枠部23の外側に溢れ出たりすると、接着剤や樹脂が基板21の上を流れ、配線パターン21aの接続パッド21a1に到達する場合がある。接続パッド21a1には給電端子31が半田付けされるため、接着剤や樹脂が接続パッド21a1に付着していると給電端子31の半田付けが困難となる場合がある。
【0048】
そこで、本実施の形態に係る発光モジュール20には、少なくとも1つの凸部26が設けられている。
図1および図3に示すように、凸部26は、基板21の上の、枠部23の外側面23aの近傍に設けることができる。この場合、凸部26は、枠部23の外側面23aに接触していてもよいし、凸部26と枠部23の外側面23aとの間に隙間が設けられていてもよい。凸部26の平面形状には特に限定がなく、例えば、四角形などの多角形、円、楕円、円や楕円の一部などであってもよい。
【0049】
凸部26は、例えば、軟化させた樹脂を基板21に点状に塗布することで形成することができる。樹脂の塗布は、例えば、ディスペンサやホットメルト装置を用いて行うことができる。また、例えば、射出成形法により、凸部26と枠部23を一体に形成することもできる。
【0050】
ここで、枠部23の外側に押し出された接着剤や枠部23の外側に溢れ出た樹脂などの流動性を有する材料は、枠部23の外側面23aに沿って流れる場合が多い。そのため、枠部23の外側面23aの近傍に凸部26が設けられていれば、接着剤や樹脂などの流動性を有する材料が、凸部26に接触し易くなる。この場合、凸部26が枠部23の外側面23aに接触していれば、流動性を有する材料が、凸部26にさらに接触し易くなる。
【0051】
流動性を有する材料が凸部26に接触すると、凸部26により、流動が妨げられたり、流動方向が変えられたりする。すなわち、凸部26が設けられていれば、流動性を有する材料の流動を制御することができる。そのため、流動性を有する材料が、基板21上の意図しない領域にまで拡がるのを抑制することができ、ひいては、流動性を有する材料が接続パッド21a1に付着するのを抑制することができる。流動性を有する材料が接続パッド21a1に付着していなければ、給電端子31の半田付けが容易となる。
【0052】
凸部26の高さ(基板21の表面と凸部26の頂部との間の距離)は、例えば、0.3mm以上、1.5mm以下とすることができる。
平面視において、凸部26の側部と、枠部23の外側面23aとの間の距離L1は、例えば、0.3mm以上、1.0mm以下とすることができる。
凸部26と枠部23の外側面23aとの間に隙間を設ける場合には、隙間は、例えば、1.0mm以下とすることができる。
これらの様にすれば、凸部26による流動の制御が容易となる。
また、凸部26を複数設ける場合には、それぞれの寸法や平面形状が略同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0053】
ここで、図1および図3に示すように、枠部23の周辺には、素子25が設けられている。そのため、素子25も流動の制御に用いることができる。
素子25は、枠部23の外側面23aから離隔した位置に設けられているため、素子25による流動の制御には、表面張力を利用することができる。例えば、平面視において、枠部23の外側面23aと、素子25の側面との間の最短距離L2を1mm以下にすれば、枠部23の外側面23aや素子25の側面に付着した流動性を有する材料を、表面張力により、保持することが容易となる。また、流動性を有する材料が、枠部23の外側面23aと、素子25の側面との間に充填されれば、毛管力により流動性を有する材料を保持することができる。例えば、素子25の高さを0.5mm以上とすれば、流動性を有する材料の保持が容易となる。
【0054】
また、素子25の平面形状が略長方形の場合には、素子25の長辺側が枠部23の外側面23aに対峙していることが好ましい。この様にすれば、流動性を有する材料の保持が容易となる。
【0055】
また、図3に示すように、複数の接続パッド21a1が、基板21の辺21c(第1の辺の一例に相当する)の近傍に並べて設けられている場合には、枠部23の最も近くに設けられた素子25は、枠部23の中心を通り辺21cに平行な線分23bと、辺21cに対向する辺21dと、の間の領域に位置するようにすることが好ましい。この様にすれば、流動性を有する材料が保持される位置を複数の接続パッド21a1から離すことができる。そのため、流動性を有する材料が接続パッド21a1に付着するのを抑制することができる。
【0056】
また、図3に示すように、平面視において、凸部26は、線分23bの近傍に設けることができる。例えば、平面視において、少なくとも1つの凸部26が、線分23bと重なるようにすることができる。凸部26が線分23bの近傍に設けられていれば、凸部26により流動の制御を行う位置を複数の接続パッド21a1から離すことができる。そのため、流動性を有する材料が接続パッド21a1に付着するのを抑制することができる。
【0057】
複数の凸部26を設ける場合には、図3に示すように、枠部23の中心を通り線分23bと直交する線分23eを対称軸として線対称となるように複数の凸部26を設けることができる。ただし、凸部26と素子25とが協働して流動の制御を行う場合には、素子25の数や配置に応じて、凸部26の数、配置、前述した寸法や平面形状などを適宜変更することができる。例えば、凸部26の数、配置、寸法、平面形状などは、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0058】
枠部23を接着する接着剤と、枠部23の内側に充填された樹脂は、常温または加熱することで硬化させる。この際、枠部23の外側に押し出された接着剤や枠部23の外側に溢れ出た樹脂などの流動性を有する材料が硬化して樹脂部28が形成される。そのため、素子25、および凸部26の少なくともいずれかには、樹脂部28が付着している。樹脂部28は、封止部24の材料(透光性を有する樹脂)、および接着層27の材料の少なくともいずれかを含んでいる。
【0059】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0060】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100には、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素部103、シール部材104、およびコネクタ105が設けられている。
【0061】
筐体101には車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられている。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられている。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0062】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0063】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられている。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0064】
光学要素部103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図4に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにする。
【0065】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられている。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0066】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105は、電源などと電気的に接続されている。また、コネクタ105には、環状を呈するシール部材105aが設けられている。コネクタ105がコネクタホルダ15の内部に挿入された際に、シール部材105aによりコネクタホルダ15の内部が、水密となるように密閉される。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、21a1 接続パッド、22 発光素子、23 枠部、23a 外側面、23b 線分、23e 線分、24 封止部、25 素子、26 凸部、27 接着層、28 樹脂部、31 給電端子、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4