(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065910
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】コイル基板とモータ用コイル基板、モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/26 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
H02K3/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174710
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】三輪 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】横幕 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久始
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】村木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB05
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA02
5H603CA05
5H603CB13
5H603CC01
5H603CC07
5H603CC19
5H603CD25
5H603CD26
5H603CE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低抵抗なコイルを有するコイル基板を提供する。
【解決手段】第1面Fと第1面と反対側の第2面Sとを有し、一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rとを有するフレキシブル基板22と、フレキシブル基板の第1面上に形成されている第1面上コイルと、フレキシブル基板の第2面上に形成されている第2面上コイル、とからなる。そして、第2面上コイルは第1面上コイルの直下に位置し、第1面上コイルと第2面上コイルは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成され、配線wは外端と内端を有し、配線wは外端と内端との間に渦巻き状に形成されていて、第1面上コイルの巻き数(第1巻き数)は第2面上コイルの巻き数(第2巻き数)より多く、第1面上コイルを形成する配線(第1配線w1)の幅(第1幅)は、外端から内端までほぼ一定であり、第2面上コイルを形成する配線(第2配線w2)の幅は外端から内端まで一定でない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の前記第1面上に形成されている第1面上コイルと、
前記フレキシブル基板の前記第2面上に形成されている第2面上コイル、とからなるコイル基板であって、
前記第2面上コイルは前記第1面上コイルの直下に位置し、前記第1面上コイルと前記第2面上コイルは中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成され、前記配線は外端と内端を有し、前記配線は前記外端と前記内端との間に渦巻き状に形成されていて、前記第1面上コイルの巻き数(第1巻き数)は前記第2面上コイルの巻き数(第2巻き数)より多く、前記第1面上コイルを形成する前記配線(第1配線)の幅(第1幅)は、前記外端から前記内端までほぼ一定であり、前記第2面上コイルを形成する前記配線(第2配線)の幅(第2幅)は前記外端から前記内端まで一定でない。
【請求項2】
請求項1のコイル基板であって、前記第2配線は前記内端から延びる第3配線と前記第3配線から前記外端まで延びている第4配線で形成されている。
【請求項3】
請求項2のコイル基板であって、前記第4配線の幅(第4幅)は前記第3配線の幅(第3幅)より大きい。
【請求項4】
請求項3のコイル基板であって、前記第1幅と前記第3幅はほぼ等しい。
【請求項5】
請求項2のコイル基板であって、前記第3配線の幅(第3幅)は前記第4配線の幅(第4幅)より大きい。
【請求項6】
請求項5のコイル基板であって、前記第1幅と前記第4幅はほぼ等しい。
【請求項7】
請求項1のコイル基板であって、さらに、前記フレキシブル基板を貫通するスルーホール導体を含み、前記第1面上コイルと前記第2面上コイルは前記スルーホール導体で接続されている。
【請求項8】
請求項7のコイル基板であって、前記スルーホール導体は前記第1配線の前記内端と前記第2配線の前記内端を接続している。
【請求項9】
請求項1のコイル基板であって、前記第1面上コイルの幅(第1コイルの幅)と前記第2面上のコイルの幅(第2コイルの幅)はほぼ等しい。
【請求項10】
請求項1のコイル基板であって、前記第1配線は前記中央スペースに近い第1の内壁と前記第1の内壁と反対側の第1の外壁を有し、前記第1配線は最も外側のターンを形成する第1配線(最外の第1配線)を含み、前記第2配線は前記中央スペースに近い第2の内壁と前記第2の内壁と反対側の第2の外壁を有し、前記第2配線は最も外側のターンを形成する第2配線(最外の第2配線)を含み、前記第1面上コイルが前記第1面に垂直な光で前記第2面上に投影されると、前記最外の第1配線の前記第1の外壁と前記最外の第2配線の前記第2の外壁はほぼ重なる。
【請求項11】
請求項9のコイル基板であって、前記フレキシブル基板は前記一端を含む第1辺と前記他端を含む第2辺を有し、前記第1コイルの幅は2つの平行な直線(第1直線と第2直線)間の距離であって、前記第1直線と前記第1辺は略平行であって、前記第1コイルの幅が最大になるように前記第1面上コイルは前記第1直線と前記第2直線で挟まれ、前記第2コイルの幅は2つの平行な直線(第3直線と第4直線)間の距離であって、前記第3直線と前記第1辺は略平行であって、前記第2コイルの幅が最大になるように前記第2面上コイルは前記第3直線と前記第4直線で挟まれる。
【請求項12】
請求項1のコイル基板を巻くことで製造されるモータ用コイル基板。
【請求項13】
請求項12のモータ用コイル基板と、
前記モータ用コイル基板内に配置される磁石、とからなるモータ。
【請求項14】
請求項9のコイル基板を巻くことで製造されるモータ用コイル基板。
【請求項15】
請求項14のモータ用コイル基板であって、前記モータ用コイル基板内に磁石が配置されると、前記モータ用コイル基板と前記磁石でモータが形成され、前記第1コイルの幅は2つの平行な直線(第1直線と第2直線)間の距離であって、前記第1直線と前記モータの回転方向との間の角度はほぼ90度であって、前記第1コイルの幅が最大になるように前記第1面上コイルは前記第1直線と前記第2直線で挟まれ、前記第2コイルの幅は2つの平行な直線(第3直線と第4直線)間の距離であって、前記第3直線と前記モータの回転方向との間の角度はほぼ90度であって、前記第2コイルの幅が最大になるように前記第2面上コイルは前記第3直線と前記第4直線で挟まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル基板とモータ用コイル基板、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータ用コイル基板とモータ用コイル基板の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献の課題]
特許文献1の改変例は、フレキシブル基板の第1面と第2面上にコイルを形成している。第1面上のコイルは上コイルであって、第2面上のコイルは下コイルである。そして、第1面に垂直な光で下コイルが第1面上に投影されると、上コイルと下コイルはほぼ重なる。従って、特許文献1の改変例では、上コイルの巻き数と下コイルの巻き数は同じであると考えられる。上コイルの配線の幅と下コイルの配線の幅は等しいと考えられる。そのため、上コイルの配線と下コイルの配線が重なると考えられる。さらに、上コイルを形成する配線間のスペースと下コイルを形成する配線間のスペースが重なると考えられる。従って、特許文献1の改変例では、高強度な部分と低強度な部分が交互に配置されていると考えられる。これにより、特許文献1の改変例のモータ用コイル基板は大きなうねりを有すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコイル基板は、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の前記第1面上に形成されている第1面上コイルと、前記フレキシブル基板の前記第2面上に形成されている第2面上コイル、とからなる。そして、前記第2面上コイルは前記第1面上コイルの直下に位置し、前記第1面上コイルと前記第2面上コイルは中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成され、前記配線は外端と内端を有し、前記配線は前記外端と前記内端との間に渦巻き状に形成されていて、前記第1面上コイルの巻き数(第1巻き数)は前記第2面上コイルの巻き数(第2巻き数)より多く、前記第1面上コイルを形成する前記配線(第1配線)の幅(第1幅)は、前記外端から前記内端までほぼ一定であり、前記第2面上コイルを形成する前記配線(第2配線)の幅(第2幅)は前記外端から前記内端まで一定でない。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態のコイル基板によれば、第1面上コイルを形成する配線(第1配線)の巻き数は第2面上コイルを形成する配線(第2配線)の巻き数より大きい。さらに、第1配線の幅(第1幅)はほぼ一定であり、第2配線の幅(第2幅)は一定ではない。このため、実施形態では、第1面上コイルと第2面上コイルが完全に重ならない。従って、実施形態の技術が用いられると、コイル基板のうねりを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(A)は実施形態のモータの模式図であり、
図1(B)は実施形態のモータ用コイル基板の模式図であり、
図1(C)は第2コイルの第2例を示し、
図1(D)は距離Rを示す。
【
図2】
図2(A)は実施形態のコイル基板の第1面を示し、
図2(B)は実施形態のコイル基板の第2面を示す。
【
図3】
図3(A)と
図3(B)は実施形態のコイル基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態のコイル基板120の例が
図2に示される。コイル基板120は、第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sを有するフレキシブル基板22とフレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCで形成されている。
図2(A)は、フレキシブル基板22の第1面Fと第1面F上に形成されているコイルCを示している。第1面F上のコイルCは第1面上コイルCFと称される。
図2(B)は、フレキシブル基板22の第2面Sと第2面S上に形成されているコイルCを示している。第2面S上のコイルCは第2面上コイルCSと称される。コイル基板120を巻くことで、
図1(B)に示されるモータ用コイル基板20が得られる。モータ用コイル基板20は空洞AHの周りに巻かれる。例えば、モータ用コイル基板20の形状は円筒である。巻く回数は、1以上、6以下である。
図1(B)は模式図である。
【0009】
図1(A)に示されるように、モータ用コイル基板20内に磁石48を配置することで、モータ10が得られる。
図1(A)は模式図である。モータ用コイル基板20は、空洞AHを介し磁石48の周りに配置されている。モータ10の例は、三相交流モータである。実施形態では、磁石48が回転するが、モータ用コイル基板20が回転してもよい。
図1(B)にモータ10の回転方向MRが示されている。
【0010】
図2(A)と
図2(B)に示されるように、フレキシブル基板22は、短辺20Sと長辺20Lとを有する。フレキシブル基板22の平面形状は長方形である。フレキシブル基板22は一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rを有する。短辺20Sは一端22Lを兼ねる。一端22Lを含む短辺20Sは第1辺20S1である。他端22Rを含む短辺20Sは第2辺20S2である。第1面上コイルCFは、フレキシブル基板22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル基板22の一端22Lから他端22Rに向かって、第1面上コイルCFは一列に並んでいる。第1面上コイルCFは第1コイルと称される。第1コイルCFの数はNである。
【0011】
図2(A)には、3つの第1コイルCFが描かれている。
【0012】
図2(B)に示されるように、第2面上コイルCSは、フレキシブル基板22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル基板22の一端22Lから他端22Rに向かって、第2面上コイルCSは一列に並んでいる。第2面上コイルCSは第2コイルと称される。第2コイルCSの数はNである。
【0013】
図2(B)には、3つの第2コイルCSが描かれている。
【0014】
m番目の第1コイルCFmの直下にm番目の第2コイルCSmが形成されている。第1コイルCFと第2コイルCSは、フレキシブル基板22を介しほぼ対称に形成されている。mは1以上、N以下の整数である。
【0015】
フレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCは同時に形成される。例えば、共通のアライメントマークを用いることで、複数のコイルCはフレキシブル基板22上に形成される。そのため、各コイルCの位置は関連している。
【0016】
図2(A)と
図2(B)にコイルCの例が示される。コイルCは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成される。そして、配線wは外端OEと内端IEを有する。配線wは外端OEと内端IEとの間に形成されている。コイルCを形成する配線wは渦巻き状に形成されている。
【0017】
第1コイルCFと第2コイルCSは、フレキシブル基板22を貫通するスルーホール導体で接続されている。スルーホール導体は第1コイルCFの内端IEと第2コイルCSの内端IEを接続している。スルーホール導体を介し第1コイルCFから第2コイルCSに電流が流れる。もしくは、スルーホール導体を介し第2コイルCSから第1コイルCFに電流が流れる。第1コイルCFを流れる電流の向きと第2コイルCSを流れる電流の向きは同じである。
【0018】
第1コイルCFを形成する配線wは第1配線w1である。第1配線w1の中で最も外側のターンを形成する第1配線w1は最外の第1配線51Oである。第1配線w1は中央スペースSCに近い第1の内壁51Iwと第1の内壁51Iwと反対側の第1の外壁51Owを有する。
【0019】
第2コイルCSを形成する配線wは第2配線w2である。第2配線w2の中で最も外側のターンを形成する第2配線w2は最外の第2配線52Oである。第2配線w2は中央スペースSCに近い第2の内壁52Iwと第2の内壁52Iwと反対側の第2の外壁52Owを有する。
【0020】
第1コイルCFの配線(第1配線)w1は幅(第1幅)L1を有する。第1幅L1は外端OEから内端IEまでほぼ一定である。
第2コイルCSの配線(第2配線)w2は幅(第2幅)L3、L4を有する。第2幅L3、L4は外端OEから内端IEまで一定でない。
図2(B)は第2コイルCSの第1例であり、
図1(C)は第2コイルCSの第2例である。第1例と第2例では、第2配線w2は内端IEから延びる第3配線w3と第3配線w3から外端OEまで延びる第4配線w4で形成されている。第3配線w3は幅(第3幅)L3を有し、第4配線w4は幅(第4幅)L4を有する。第3幅L3と第4幅L4は異なる。
【0021】
第1例では、第3幅L3は第4幅L4より大きい。第2例では、第4幅L4は第3幅L3より大きい。
【0022】
第1コイルCFの巻き数(第1巻き数)K1と第2コイルCSの巻き数(第2巻き数)K2は異なる。第1巻き数K1は第2巻き数K2より大きい。
【0023】
m番目の第1コイルCFの巻き数K1とm番目の第2コイルCSの巻き数K2は異なる。さらに、第1幅L1は一定であって、第2幅L3、L4は一定でない。従って、m番目の第2コイルCSがm番目の第1コイルCFの直下に位置していても、m番目の第2コイルCSとm番目の第1コイルCFが完全に重ならない。隣接するターンを形成する第1配線w1間のスペースと隣接するターンを形成する第2配線w2間のスペースが完全に重ならない。隣接するターンを形成する第1配線w1間のスペースの直下に第2配線w2が配置されている。実施形態によれば、コイル基板120のうねりを小さくすることができる。
【0024】
第1コイルCFは幅(第1コイルの幅)Wfを有する。第2コイルCSは幅(第2コイルの幅)Wsを有する。第1コイルの幅Wfと第2コイルの幅Wsはほぼ等しい。
【0025】
第1直線SL1と第2直線SL2が準備される。第1直線SL1と第2直線SL2は平行である。第1直線SL1と第1辺20S1は平行である。第1直線SL1と第2直線SL2間の距離が最大になるように、第1コイルCFは第1直線SL1と第2直線SL2で挟まれる。第1直線SL1と第2直線SL2間の距離が第1コイルCFの幅Wfである。
第3直線SL3と第4直線SL4が準備される。第3直線SL3と第4直線SL4は平行である。第3直線SL3と第1辺20S1は平行である。第3直線SL3と第4直線SL4間の距離が最大になるように、第2コイルCSは第3直線SL3と第4直線SL4で挟まれる。第3直線SL3と第4直線SL4間の距離が第2コイルCSの幅Wsである。
第1コイルCFの幅Wfと第2コイルCSの幅Wsはほぼ等しい。
【0026】
図2に示されるコイル基板120を巻くことでモータ用コイル基板20が製造される。そして、モータ用コイル基板20内に磁石48が配置されるとモータ10が製造される。
図2(A)中の第1直線SL1と第2直線SL2は平行である。第1コイルCFは第1直線SL1と第2直線SL2で挟まれている。第1直線SL1と第2直線SL2間の距離が最大になるように、第1コイルCFは第1直線SL1と第2直線SL2で挟まれている。第1直線SL1とモータの回転方向MRとの間の角度はほぼ90度である。第1直線SL1と第2直線SL2間の距離は第1コイルCFの幅Wfである。
図2(B)中の第3直線SL3と第4直線SL4は平行である。第2コイルCSは第3直線SL3と第4直線SL4で挟まれている。第3直線SL3と第4直線SL4間の距離が最大になるように、第2コイルCSは第3直線SL3と第4直線SL4で挟まれる。第3直線SL3とモータの回転方向MRとの間の角度はほぼ90度である。第3直線SL3と第4直線SL4間の距離は第2コイルCSの幅Wsである。
【0027】
第1コイルCFの幅Wfと第2コイルCSの幅Wsとの比(Wf/Ws)が0.95以上、1.05以下であると、第1コイルCFの幅Wfと第2コイルCSの幅Wsは等しい。
【0028】
第1コイルCFが第1面Fに垂直な光で第2面S上に投影されると、最外の第1配線51Oの第1の外壁51Owと最外の第2配線52Oの第2の外壁52Owはほぼ重なる。第1コイルCFが第1面Fに垂直な光で第2面S上に投影される。そして、第2面S上で最外の第1配線51Oの第1の外壁51Owと最外の第2配線52Oの第2の外壁52Owとの間の距離Rが測定される。距離Rは
図1(D)に示される。距離Rが15μm以下であると、両者はほぼ重なっている。第1コイルCFと第2コイルCSはほぼ重なっている。
【0029】
第1コイルCFと第2コイルCSがほぼ重なっても、コイル基板120のうねりを小さくすることができる。第1コイルCFの幅Wfと第2コイルCSの幅Wsがほぼ等しくても、コイル基板120のうねりを小さくすることができる。コイル基板120が第2コイルCSを含むので、コイルCの抵抗を小さくすることができる。損失を小さくすることができる。高効率なモータを提供することができる。
【0030】
実施形態では、第1コイルCFの直下に第2コイルCSが位置している。そのため、第1面F上から第1コイルCFと第2コイルCSが観察されると、両者の配線w1、w2は重なる。重なっている領域が存在する。重なっている領域では、第1配線w1と第2配線W2が重なってる。実施形態では、第1巻き数K1と第2巻き数K2は異なる。そのため、もし、第1配線w1の幅L1と第2配線w2の幅L3、L4が等しいと、重なっている領域の大きさが小さい。しかしながら、実施形態では、第2配線w2は第1配線w1より太い配線を含む。そのため、実施形態によれば、重なっている領域の大きさを大ききすることができる。占積率を大きくすることができる。高い効率を有するコイル基板120を提供することができる。
【0031】
図3(A)はコイル基板120の一部の断面を示す。
図3(A)は、
図2(A)と
図2(B)中のAとBとの間の断面を示す。
図3(A)には、第1コイルCFと第1コイルCFの直下に位置する第2コイルCSが描かれている。図中には、各ターンの配線w1、w2の断面が描かれている。
図3(A)の例では、第3幅L3が第4幅L4より大きい。
図3(A)に示されるように、一つのターン内の第3配線w3上に異なるターン内の第1配線w1が位置する。一つのターン内の第4配線w4上に一つのターン内の第1配線w1が位置する。
図3(A)では、一つのターン内の第3配線w3上に二つのターン内の第1配線w1が位置する。隣接するターン間のスペースw1S下に第3配線w3が位置する。
図3(B)は
図1(C)中のCとDとの間の断面である。
図3(B)に示されるように、第4幅L4が第3幅L3より大きいと、一つのターン内の第4配線w4上に異なるターン内の第1配線w1が位置する。一つのターン内の第3配線w3上に一つのターン内の第1配線w1が位置する。
図3(B)では、一つのターン内の第4配線w4上に二つのターン内の第1配線w1が位置する。隣接するターン間のスペースw1S下に第4配線w4が位置する。このように、第1巻き数K1と第2巻き数K2が異なっても、第2コイルCS内の1つのターン上に第1コイルCF内の複数のターンが位置する。このため、第1コイルCFと第2コイルCSを含むコイル基板120を用いてモータ10が製造されると、高効率なモータ10が得られる。モータ10のトルクを大きくするこができる。
【0032】
図2(A)に示される第1コイルCFの平面形状はほぼ六角形である。
図2(A)の例では、第1コイルCFの巻き数K1は3である。
図2(A)の第1コイルCFの1ターンは1つの第5配線w5と1つの第6配線w6と2つの第7配線w7に分けられる。第5配線w5と第6配線w6は中央スペースSCを介し向かい合っている。第5配線w5と第6配線w6の内、第5配線w5は一端22Lに近い。第5配線w5と第6配線w6は真直ぐ延びている。第7配線w7は第5配線w5と第6配線w6を繋ぐ。第7配線w7は曲がっている。第5配線w5の幅と第6配線w6の幅と第7配線w7の幅はほぼ等しい。1ターンの中で、第5配線w5と第6配線w6と第7配線w7は、第5配線w5、第7配線(下側の第7配線)w7、第6配線w6、第7配線(上側の第7配線)w7の順で並んでいる。第5配線w5と第6配線w6はほぼ平行である。各ターンに形成されている第5配線w5は互いにほぼ平行である。各ターンに形成されている第6配線w6は互いにほぼ平行である。第5配線w5と第1辺20S1はほぼ平行である。実施形態のコイル基板120を用いてモータ10が製造されると、
図1(B)に示されるモータの回転方向MRと第5配線w5との間の角度が略90度である。第5配線w5を流れる電流の向きとモータの回転方向MRとの間の角度は略90度である。
【0033】
図2(A)に第1直線SL1と第2直線SL2が描かれている。第1直線SL1と第2直線SL2間の距離は第1コイルCFの幅Wfである。第1直線SL1と第1辺20S1は平行である。第5配線w5と第1辺20S1は平行である。
最外の第1配線51Oを形成する第5配線w5は最外の第5配線w5Oである。最外の第5配線w5Oは第1の外壁(最外の第5配線の第1外壁)51Ow5を有する。
最外の第1配線51Oを形成する第6配線w6は最外の第6配線w6Oである。最外の第6配線w6Oは第1の外壁(最外の第6配線の第1外壁)51Ow6を有する。
図2(A)中の第1コイルCFは第1直線SL1と第2直線SL2で挟まれている。第1直線SL1は最外の第5配線の第1外壁51Ow5を含む。第2直線SL2は最外の第6配線の第1外壁51Ow6を含む。
図2(A)に示される第1コイルCFの幅Wfは最外の第5配線の第1外壁51Ow5と最外の第6配線の第1外壁51Ow6間の距離である。
【0034】
図2(B)に示される第2コイルCSの平面形状はほぼ六角形である。
図2(B)の例では、第2コイルCSの巻き数K2は2である。
図2(B)の第2コイルCSの1ターンは1つの第8配線w8と1つの第9配線w9と2つの第10配線w10に分けられる。第8配線w8と第9配線w9は中央スペースSCを介し向かい合っている。第8配線w8と第9配線w9の内、第8配線w8は一端22Lに近い。第8配線w8と第9配線w9は真直ぐ延びている。第10配線w10は第8配線w8と第9配線w9を繋ぐ。第10配線w10は曲がっている。
図2(B)に示されるように、ターン毎に第2配線w2の幅が異なる。実施形態の第2コイルCSでは、1ターン内の第2配線の幅は一定である。第8配線w8と第9配線w9と第10配線w10は、第8配線w8、第10配線(下側の第10配線)w10、第9配線w9、第10配線(上側の第10配線)w10の順で並んでいる。第8配線w8と第9配線w9はほぼ平行である。各ターンに形成されている第8配線w8は互いにほぼ平行である。各ターンに形成されている第9配線w9は互いにほぼ平行である。第8配線w8と第1辺20S1はほぼ平行である。実施形態のコイル基板120を用いてモータ10が製造されると、
図1(B)に示されるモータの回転方向MRと第8配線w8との間の角度が略90度である。第8配線w8を流れる電流の向きとモータの回転方向MRとの間の角度は略90度である。
【0035】
図2(B)に第3直線SL3と第4直線SL4が描かれている。第3直線SL3と第4直線SL4間の距離は第2コイルCSの幅Wsである。第3直線SL3と第1辺20S1は平行である。第8配線w8と第1辺20S1は平行である。
最外の第2配線52Oを形成する第8配線w8は最外の第8配線w8Oである。最外の第8配線w8Oは第1の外壁(最外の第8配線の第1外壁)52Ow8を有する。
最外の第2配線52Oを形成する第9配線w9は最外の第9配線w9Oである。最外の第9配線w9Oは第1の外壁(最外の第9配線の第1外壁)52Ow9を有する。
図2(B)中の第2コイルCSは第3直線SL3と第4直線SL4で挟まれている。第3直線SL3は最外の第8配線の第1外壁52Ow8を含む。第4直線SL4は最外の第9配線の第1外壁52Ow9を含む。
図2(B)に示される第2コイルCSの幅は最外の第8配線の第1外壁52Ow8と最外の第9配線の第1外壁52Ow9間の距離である。
【0036】
図2(A)に示される第1コイルCFの幅Wfと
図2(B)に示される第2コイルCSの幅Wsは等しい。
【0037】
実施形態のコイル基板120によれば、第1配線w1の幅L1は一定である。第2配線w2の幅L3、L4は一定でない。第2配線w2は、第1配線w1と同じ幅を有する配線と第1配線w1より大きな幅を有する配線を繋ぐことで形成されている。太い配線の抵抗は低い。そのため、実施形態のコイルCがコイル基板120に用いられると、損失を小さくすることができる。実施形態のコイルCがモータ用コイル基板20に用いられると、モータの効率を高くすることができる。第1巻き数K1と第2巻き数K2が異なるとき、異なる幅を有する配線w3、w4を繋ぐことで、第2配線w2が形成される。低抵抗なコイルCを提供することができる。高い占積率を有するコイル基板120を提供することができる。高い効率を有するモータ10を提供することができる。
【0038】
図2中のコイルCはU相コイルとV相コイルとW相コイルを含む。U相コイルとV相コイルとW相コイルはU相コイル、V相コイル、W相コイルの順で並んでいる。一端22Lに最も近いコイルCはU相コイルである。
図2に示されるコイル基板120は3相モータに用いられるコイル基板120である。
【符号の説明】
【0039】
20 モータ用コイル基板
22 フレキシブル基板
22L 一端
22R 他端
48 磁石
w1 第1配線
w2 第2配線
w3 第3配線
w4 第4配線
120 コイル基板
CF 第1コイル
CS 第2コイル
w 配線