IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大塚 元博の特許一覧

<>
  • 特開-紙巻たばこおよびたばこパッケージ 図1
  • 特開-紙巻たばこおよびたばこパッケージ 図2
  • 特開-紙巻たばこおよびたばこパッケージ 図3
  • 特開-紙巻たばこおよびたばこパッケージ 図4
  • 特開-紙巻たばこおよびたばこパッケージ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065917
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】紙巻たばこおよびたばこパッケージ
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20220421BHJP
   B65D 85/10 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
A24D1/02
B65D85/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174723
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】520179224
【氏名又は名称】大塚 元博
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】大塚 元博
【テーマコード(参考)】
3E068
4B045
【Fターム(参考)】
3E068AA21
3E068AB02
3E068AC02
3E068BB06
3E068BB08
3E068BB17
3E068CC04
3E068CC26
3E068CD01
3E068CE01
3E068CE02
3E068DD02
3E068DD31
3E068DE08
3E068EE32
4B045AA50
4B045AB16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パッケージからの取り出し容易性を確保しつつ、口にくわえるフィルター部に指で触れることなく、パッケージからの取り出しを可能とする棒状紙巻たばこ製品を提供する。
【解決手段】棒状フィルター部の一端と、まわりが紙で包まれる棒状たばこ葉刻み部の一端が面接触する態様で、直線状に連結され、棒状たばこ葉刻み部の他端に着火して、棒状フィルター部の他端から吸引する棒状紙巻たばこ製品10であって、棒状フィルター部には、その周側面全体を被覆するフィルム筒状カバー部114が設けられ、該フィルム筒状カバー部114は、棒状フィルター部に着脱自在に設けられる、ことを特徴とする棒状紙巻たばこ製品10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状フィルター部の一端と、まわりが紙で包まれる棒状たばこ葉刻み部の一端が面接触する態様で、直線状に連結され、棒状たばこ葉刻み部の他端に着火して、棒状フィルター部の他端から吸引する紙巻きたばこであって、
棒状フィルター部には、その周側面全体を被覆するフィルム筒状カバー部が設けられ、
該フィルム筒状カバー部は、棒状フィルター部に着脱自在に設けられる、ことを特徴とする紙巻きたばこ。
【請求項2】
前記フィルム筒状カバー部は、その内周面に、棒状フィルター部の外周面に接着可能な接着剤が塗布される、請求項1に記載の紙巻きたばこ。
【請求項3】
前記フィルム筒状カバー部は、透明製である、請求項1または請求項2に記載の紙巻きたばこ。
【請求項4】
前記フィルム筒状カバー部は、棒状フィルター部の他端面を覆う、天面付き円筒状である、請求項3に記載の紙巻きたばこ。
【請求項5】
紙巻きたばこの引き抜き用識別タブが、前記フィルム筒状カバー部の上部から上方に突出するように、前記フィルム筒状カバー部に固着されている、請求項1ないし4いずれか1項に記載の紙巻きたばこ。
【請求項6】
前記たばこパッケージは、複数の棒状紙巻たばこ製品を、フィルター部を上にして縦向きに内部に収納するたばこパッケージであって、
複数の棒状紙巻たばこ製品を長手方向に密着整列した束を包装する包装体と、
開口上端を有する箱状のパッケージ本体と、パッケージ本体にヒンジを介して回動自在に連結される蓋部材とを有し、
該パッケージ本体の前壁には、開口上端の対応する縁から下方に延在する切り欠き凹部が設けられ、
前記包装体の前記前壁に面する部分において、前記前壁に面する部分を横断する切れ目が入れられ、前記たばこパッケージの開封の際、前記前壁に面する部分を上方に引っ張ることにより、前記切れ目を介して、前記前壁に面する部分の前記切れ目より上方の部分が分離される、請求項5に記載のたばこパッケージ。
【請求項7】
前記たばこパッケージは、アウタボックスと、インナフレームとを備え、アウタボックスは、直方体形状の上端側が斜めに切り欠かれた形状を有する箱体であり、前壁、後壁 、側壁、底壁を有し、前壁および後壁それぞれは矩形状を有し、後壁は前壁に比べて高さ寸法が長尺の矩形状をなし、前壁と対向配置され、一対の側壁は、前壁 および後壁の両側縁を相互に連結しており、矩形状の上端が斜辺となった台形状をなし、底壁は、矩形状をなし、前壁および後壁の下端に連結され、
前記アウタボックス の後壁の上端にはヒンジが形成され、該ヒンジは、両側壁の上端縁の後部間に亘って延伸し、後壁と蓋部材とを相互に回動自在に連結し、前記アウタボックスは、その上端に、斜めの開口端を備え、開口端の後側開口縁に、該ヒンジを介して蓋部材が、回動自在に連結され、
前記インナフレームは、略U字形状をなした前面フレームと、前面フレームの両側縁に連結された側面フレームとを有し、前記インナフレームは、前記アウタボックスの上部の開口端から部分的に上方へ突出した状態で、前記アウタボックスの内面に接着され、該前面フレーム が、略矩形状の前記切欠き凹部を有する、請求項6に記載のたばこパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙巻たばこおよびたばこパッケージに関し、より詳細には、パッケージからの取り出し容易性を確保しつつ、口にくわえるフィルター部に指で触れることなく、パッケージからの取り出しを可能とする紙巻たばこおよびたばこパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、世界中で、紙たばこが愛用されている。
紙たばこは、通常、紙たばこの束として、箱タイプ、缶タイプのハードケース、またはソフトケースに収納され、ケースごと、ポケット等に入れて携帯され、喫煙したいときに、紙たばこをケースから取り出す。
たとえば、特許文献1は、このようなたばこパッケージの例として、箱タイプのハードケースを開示する。
これは、喫煙後の棒状たばこ物品を棒状たばこ物品用パッケージに戻す場合、喫煙前の棒状たばこ物品を汚し難い棒状たばこ物品用パッケージを提供するものであり、内部に棒状たばこ物品を収容する収容部と、収容部の奥行き方向と直交する横方向に収容部を仕切り、喫煙後のたばこ物品の灰の飛散を抑制する横仕切部と、を備え、横仕切部は、棒状たばこ物品が1本ずつ貫通する横仕切部の孔を含む。
【0003】
このようなパッケージによれば、横仕切部により、喫煙後のたばこ物品の灰の飛散を抑制することができる。その結果、喫煙後の棒状たばこ物品を棒状たばこ物品用パッケージに戻す場合、喫煙前の棒状たばこ物品を汚し難くすることができる。
【0004】
しかしながら、いずれのタイプのケースにおいても、紙たばこはそれぞれ、フィルター部を上に向けてケース内で縦向きに隙間なく詰め込まれていることから、以下のような問題点を生じる。
すなわち、紙たばこをケースから取り出す際、口にくわえるフィルター部を指で摘まんで、ケースから上方に引っ張り出す必要がある点である。
昨今のコロナ危機において、コロナウィルスの人―人感染、人―物―人感染が指摘されているところ、前者については、マスク着用、換気、三密回避等相応の注意が払われているが、それに比べ後者については、軽視されがちである。
たとえば、外出中に、コロナウィルスが付着している物(たとえば、乗物のつり革、エスカレータの手すり、ドアのノブ、エレベータ、販売機等の押しボタン)に指で触れ、指の表面にコロナウィルスが付着し、コロナウィルスが付着した指でたばこのフィルター部を摘まんで、ケースから取り出し、それにより、フィルター部にコロナウィルスが付着し、喫煙の際、コロナウィルスが付着したフィルター部を自ら口でくわえ、コロナウィルスを体内に取り込むような事態が多発している。
【0005】
このような事態は、棒状紙巻たばこ製品が新品であるほど顕著に生じ得る。すなわち、ケース内に紙たばこの束がぎっしり詰め込まれていると、フィルター部を指で強く摘まんで、上方に引っ張り上げる必要があり、この点、ケース内に紙たばこの本数が少なくなってくれば、取り出しも用意であり、場合により、ケース内にある紙たばこのフィルター部を直接口でくわえて、取り出すことも可能であるが、新品の場合には、このような取り出しは困難である。
【0006】
外出先、例えば、専用喫煙スペースには、手洗場は、通常設けられておらず、手を洗ってからの喫煙は、頻に耐えないし、トイレで手を洗うとすれば、公衆トイレ内では、便器を水洗する際の飛沫に接触する機会を増やすので、公衆トイレ内に入ること自体が感染の危険性を増す。
一方、棒状紙巻たばこ製品において、刻み部は、細かく刻まれたたばこの葉を紙で巻くことにより、構成され、フィルター部に比べて、柔らかいことから、フィルター部を下にして、上下逆向きにして、ケース内に収納するとすれば、刻み部の上部を斜め上方から摘まんで引き出すのは、かえってやりにくい。
さらに、温湿度管理の観点から、棒状紙巻たばこ製品は、包装体により束状に包装されて、包装体としてたばこパッケージ内に収納され、たばこパッケージの開封の際、包装体の一部を切れ目Cに沿って破ることにより、棒状紙巻たばこ製品をたばこパッケージ内から取り出す必要があり、通常の包装体によれば、束状の棒状紙巻たばこ製品は、それぞれフィルター部の上面しか露出せず、前述の問題点が余計に顕在化する。
【0007】
【特許文献1】WO2015/162729
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、パッケージからの取り出し容易性を確保しつつ、口にくわえるフィルター部に指で触れることなく、パッケージからの取り出しを可能とする紙巻たばこおよびたばこパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の紙巻きたばこは、
棒状フィルター部の一端と、まわりが紙で包まれる棒状たばこ葉刻み部の一端が面接触する態様で、直線状に連結され、棒状たばこ葉刻み部の他端に着火して、棒状フィルター部の他端から吸引する紙巻きたばこであって、
棒状フィルター部には、その周側面全体を被覆するフィルム筒状カバー部が設けられ、
該フィルム筒状カバー部は、棒状フィルター部に着脱自在に設けられる、構成としている。
【0010】
以上の構成を有する紙巻きたばこによれば、たとえば、複数の紙巻きたばこが、それぞれ、フィルター部を上側、棒状たばこ葉刻み部を下側の向きにして、長手方向に整列して包装銀紙に包装され、直方体状をなす包装銀紙が通常のたばこパッケージに収容されている場合において、喫煙の際、口にくわえるフィルター部に直接触れることなく、フィルム筒状カバー部を介してフィルター部を指でつかんで上方に抜き出すことにより、紙巻きたばこをたばこパッケージから取り出し、フィルム筒状カバー部をフィルター部から着脱する一方、次の紙巻きたばこのフィルター部に被せておくことにより、または着脱したフィルム筒状カバー部は処分することにより、手の指にウィルス、菌等が付着しているとしても、口にくわえるフィルター部にウィルス、菌が付着する恐れなしに、喫煙することが可能である。
【0011】
また、前記フィルム筒状カバー部は、その内周面に、棒状フィルター部の外周面に接着可能な接着剤が塗布されるのがよい。
さらに、前記フィルム筒状カバー部は、透明製であるのがよい。
さらにまた、前記フィルム筒状カバー部は、棒状フィルター部の他端面を覆う、天面付き円筒状であるのがよい。
【0012】
加えて、紙巻きたばこの引き抜き用識別タブが、前記フィルム筒状カバー部の上部から上方に突出するように、前記フィルム筒状カバー部に固着されているのがよい。
また、前記たばこパッケージは、複数の棒状紙巻たばこ製品を、フィルター部を上にして縦向きに内部に収納するたばこパッケージであって、
複数の棒状紙巻たばこ製品を長手方向に密着整列した束を包装する包装体と、
開口上端を有する箱状のパッケージ本体と、パッケージ本体にヒンジを介して回動自在に連結される蓋部材とを有し、
該パッケージ本体の前壁には、開口上端の対応する縁から下方に延在する切り欠き凹部が設けられ、
前記包装体の前記前壁に面する部分において、前記前壁に面する部分を横断する切れ目が入れられ、前記たばこパッケージの開封の際、前記前壁に面する部分を上方に引っ張ることにより、前記切れ目を介して、前記前壁に面する部分の前記切れ目より上方の部分が分離されるのがよい。
【0013】
さらに、前記たばこパッケージは、アウタボックスと、インナフレームとを備え、アウタボックスは、直方体形状の上端側が斜めに切り欠かれた形状を有する箱体であり、前壁、後壁 、側壁、底壁を有し、前壁および後壁それぞれは矩形状を有し、後壁は前壁に比べて高さ寸法が長尺の矩形状をなし、前壁と対向配置され、一対の側壁は、前壁 および後壁の両側縁を相互に連結しており、矩形状の上端が斜辺となった台形状をなし、底壁は、矩形状をなし、前壁および後壁の下端に連結され、
前記アウタボックス の後壁の上端にはヒンジが形成され、該ヒンジは、両側壁の上端縁の後部間に亘って延伸し、後壁と蓋部材とを相互に回動自在に連結し、前記アウタボックスは、その上端に、斜めの開口端を備え、開口端の後側開口縁に、該ヒンジを介して蓋部材が、回動自在に連結され、
前記インナフレームは、略U字形状をなした前面フレームと、前面フレームの両側縁に連結された側面フレームとを有し、前記インナフレームは、前記アウタボックスの上部の開口端から部分的に上方へ突出した状態で、前記アウタボックスの内面に接着され、該前面フレーム が、略矩形状の前記切欠き凹部を有するのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のたばこパッケージの第1実施形態を、図1ないし図5を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1に示すように、たばこパッケージに収納される棒状紙巻たばこ製品10は、従来のように、一端を口にくわえる棒状フィルター部100と、葉タバコを細長く刻み乾燥させたいわゆる刻みを巻紙により包んだ棒状たばこ葉刻み部104とから構成され、棒状フィルター部100の下端と棒状たばこ葉刻み部104の上端が接続され、棒状を形成し、全長の種類に応じて、ショートタイプ、ロングタイプ、スーパーロングタイプに大別される。別名、フィルターシガレットと称される。
より詳細には、棒状紙巻たばこ製品10は、棒状フィルター部100の一端102と、棒状たばこ葉刻み部104の一端106が面接触する態様で、直線状に連結され、棒状たばこ葉刻み部104の他端108に着火して、棒状フィルター部100の他端110から吸引するように構成される。
【0015】
より具体的には、棒状紙巻たばこ製品10は、円柱形の棒状たばこ葉刻み部104と、棒状たばこ葉刻み部104に隣接して設けられた円柱形の棒状フィルター部100と、棒状フィルター部100を覆うフィルム筒状カバー部114とを備える。棒状フィルター部100の端部は、吸口136を構成しており、吸口136は、喫煙者によってくわえられた際に喫煙者の口腔内に位置される。
【0016】
棒状たばこ葉刻み部104は、刻み葉の周囲を巻紙で包んで形成されている。
たばこを包む巻紙には、麻や木材を主体とした素材が多く使われている。近年は、原料の構成要素を変えることで、より強固な灰を作る巻紙なども開発されており、これにより、煙を灰の中に留め、燃焼時に発生する副流煙の低減が可能となっている。さらに、副次的に灰飛散低減効果も得られている。
【0017】
棒状フィルター部100は、第1フィルター本体118と、第2フィルター本体120と、成形紙124と、空洞126と、顆粒128 と、複数の開孔部132とを有する。第1フィルター本体118は吸口136側に位置する一方、第2フィルター本体120は、棒状たばこ葉刻み部104側に位置し、中心軸方向に関して第1フィルター本体118から分離して設けられる。成形紙124は、円筒形であり、第1フィルター本体118および第2フィルター本体120を覆う。空洞126は、第1フィルター本体118と第2フィルター本体120との間に設けられ、顆粒128は空洞126内に収納される。複数の開孔部132は、外気を取り込むようになっている。
【0018】
フィルム筒状カバー部114は、フィルム状透明製の天面117付き円筒状であり、材質は、たばこパッケージを包装する透明製フィルムと同じでもよく、厚みも同様である。
フィルム筒状カバー部114は、その内周面115に、棒状フィルター部の外周面116に接着可能な接着剤(図示せず)が塗布され、これにより、フィルム筒状カバー部114が棒状フィルター部100をカバー保持するようにしている。
変形例として、フィルム筒状カバー部114の内周面115、および棒状フィルター部の外周面116に、一方に凹部、他方に凸部を形成し、凹部と凸部との噛み合いにより、フィルム筒状カバー部114が棒状フィルター部100に対して、長手方向に抜けないようにしてもよい。
棒状紙巻たばこ製品10の引き抜き用識別タグ108が、フィルム筒状カバー部114の上部から上方に突出するように、フィルム筒状カバー部114に固着されている。識別タグ108は、フィルム状がよく、棒状紙巻たばこ製品10の引き抜きにより破れない限り、紙製、樹脂製でよい。これにより、棒状紙巻たばこ製品10をたばこパッケージから取り出す際、引き抜き用識別タグ108を上方に引っ張ることにより、棒状紙巻たばこ製品10が引き抜かれるようにするとともに、識別タグ108の、たとえば、色により、自身のたばこパッケージであることが目視確認可能である。
なお、フィルム筒状カバー部114は、棒状フィルター部100全体をカバーする必要はなく、棒状紙巻たばこ製品10をたばこパッケージから取り出す際、棒状フィルター部100の表面に指で直接ふれずに取り出し可能であるかぎり、たとえば、フィルム筒状カバー部114は、天面117から棒状フィルター部100の途中までをカバーする長手方向の長さでもよい。
【0019】
成形紙124は、シート状をなし、長方形をなし、後に説明するように、一方の端部と反対側の他方の端部とが接着剤で接着されて、筒状をなす。
より詳細には、成形紙124は、一方の端部に他方の端部が重なる態様で接着されることにより、円筒形をなし、それにより、内側に第1フィルター本体118および第2フィルター本体120を包んでいる。成形紙124が円筒形に形成されると、一方の端部は、他方の端部の内側に配置されるようにしている。
【0020】
成形紙124は、透明な紙および透明なフィルムとして形成される。より具体的には、成形紙124 は、木材パルプを原料として作られたセロハンフィルム、パラフィン紙、グラシン紙等の透明度の高い紙や、または、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック系の透明フィルムのいずれかで形成される。なお、成形紙124は、不透明な一般的な紙で形成されていてもよく、通気性の有無は、どちらでもよい。
【0021】
棒状フィルター部100は、成形紙124の一方の端部と他方の端部との間、第1フィルター本体118と成形紙124との間、 および第2フィルター本体120と成形紙124との間それぞれの位置にホットメルト系接着剤または水系接着剤を設けることにより、成形紙124の筒状の形成、第1フィルター本体118および第2フィルター本体120それぞれと成形紙124との間が接着保持される。
【0022】
巻取紙130は、第1フィルター本体118および第2フィルター本体120に使用されるが、その種類および材質は任意でよい。より詳細には、巻取紙130は、一般的なシガレット用フィルターに使用される巻取紙でもよいし、通気性を有した巻取紙でもよく、通気性を有しないものでもよい。巻取紙130は、一般的には、厚さが30~110μm、坪量が20~100g/m2 、通気性が、0~32000コレスタユニットである。巻取紙130の材質としては、一般的には、植物性の繊維で作製された紙が用いられ、ポリマー系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなど)の化学繊維を用いた不織布でもよいし、ポリマー系( ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、セルロース、セルロースアセテート、ポリ乳酸など) のフィルムでもよく、さらには、アルミ箔のような金属箔が用いられてもよい。
棒状たばこ葉刻み部104の製造には、一般的なたばこ巻上機を用いる。開孔部132は、成形紙124、巻取紙130の通気性によって確保されることもあり、その場合、レーザー等は使用せず、開孔の方法は、シガレットのスペックや巻上機によって決定されるのでよい。
【0023】
次に、図2ないし図5を参照して、ボックス型たばこパッケージ111について、説明すれば、複数の棒状紙巻たばこ製品10それぞれが、棒状フィルター部100および棒状たばこ葉刻み部104の向きも含め、長手方向に整列して包装銀紙に包装され、直方体状をなす包装銀紙が、棒状たばこ葉刻み部104を上側の向きで内部に収容されている。
【0024】
より詳細には、図1および図2に示すように、パッケージ本体12 は、略直方体形状をなした所謂ヒンジ蓋付きボックス型パッケージ本体120であり、パッケージ本体12 と、パッケージ本体12 にヒンジを介して回動自在に連結される蓋部材14 とを有する。ボックス型パッケージ本体120は、いわゆるハードケースであり、パッケージ本体12 や蓋部材14 は、例えば紙材からなっているが、これには限定されない。
パッケージ本体12 は、前壁20 、後壁22 、側壁24 、底壁26 を有し、アウタボックス16 と、インナフレーム18 とを備える。アウタボックス16 は、直方体形状の上端側が斜めに切り欠かれた形状を有する箱体である。前壁20 および後壁22 はそれぞれ、矩形状を有し、後壁22 は前壁20 に比べて高さ寸法が長尺の矩形状をなし、前壁20 と対向配置されている。一対の側壁24 は、前壁20 および後壁22 の両側縁を相互に連結しており、矩形状の上端が斜辺となった台形状をなし、側壁24 の上端縁は、前壁20 の上端と後壁22 の上端とを結ぶように傾斜している。底壁26は、矩形状をなしており、前壁20 および後壁22 の下端に連結されている。
【0025】
アウタボックス16の後壁22の上端には、両側壁24の上端縁の後部間に亘って延伸し、後壁22と蓋部材14とを相互に回動自在に連結するヒンジ28 が形成されている。アウタボックス16は、その上端に、斜めの上端開口27を備え、上端開口27の後側開口縁に、ヒンジ28を介して蓋部材14 が、回動( 旋回)自在に連結されている。
【0026】
一方、インナフレーム18 は、側面フレーム32と、略U 字形状をなした前面フレーム30 と有し、側面フレーム32は前面フレーム30 の両側縁に連結されている。インナフレーム18 は、アウタボックス16の上部の上端開口27から部分的に上方へ突出した状態で、アウタボックス16の内面に接着されている。インナフレーム18 は、蓋部材14の開閉を案内するガイドとしても機能するとともに、アウタボックス16の上端開口27を補強する。前面フレーム30 は、略矩形状の切欠き凹部34を有する。
【0027】
蓋部材14 は、矩形状天板40と、ヒンジ28 に連結されている矩形状の後壁38とを有し、矩形型の天板40は、後壁38に直交するように連結され、さらに、天板40に直交するように連結されている矩形状の前壁42 と、一対の側壁44 とを有している。一対の側壁44 は、それぞれ台形状をなしており、後壁38、天板40 および前壁42の各側縁を連結している。蓋部材14 は、ヒンジ28 を中心に回動自在となっており、蓋部材14 が閉じたときに、側壁44の斜辺は、アウタボックス16の側壁24の上端縁で係止する。
複数の棒状紙巻たばこ製品10は、長手方向に密着整列した束を包装する包装体Rとして、パッケージ本体12内に収納され、包装体Rにおいて、切れ目Cは、前壁と側壁との境界部である縁部に沿う切れ目Cと、前壁を横断する切れ目CとからなるL字状ミシン目である。シガレット束を包装する内包紙は、アルミ蒸着紙、フィルム貼り合わせ紙や透明フィルム、不透明フィルム、蝋紙等のフィルム状である。
【0028】
たばこパッケージ本体120は透明な外装フィルムT を含む。外装フィルムT は、たばこパッケージ本体120 全体を覆う外装材であり、パッケージ本体12 を包んでいる。外装フィルムT は、薄くて透明なフィルムであり、例えば、ポリエチレン、セロファン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等によって形成されている。外装フィルムTは、パッケージ本体12の前面、後面、2つの側面に沿って周回するように巻き掛けられた帯部材である開封テープ50 を有し、外装フィルムTの裏面(内面)側に貼り付けられて一体となっており、たばこパッケージ本体120の開封時に喫煙者によって先端部が引っ張られることにより、外装フィルムT を引き裂いて開封するために用いられる。
【0029】
たばこパッケージにおいて、棒状フィルター部100を指で摘まんで棒状紙巻たばこ製品10を取り出さないようにとの警告表示が付されおり、特に、棒状フィルター部100と棒状たばこ葉刻み部104との境界部に、警告表示マークWが付されている。警告表示マークWは、棒状紙巻たばこ製品10の外周面に、リング状にカラー表示されている。たとえば、カラー表示を目立つ赤とすることにより、喫煙者に、棒状フィルター部100を指で摘まんで棒状紙巻たばこ製品10を取り出すことが、ウィルス、菌の感染危険性を増すことの有効な警告となる。
【0030】
以上の構成を有するたばこパッケージについて、棒状紙巻たばこ製品10をパッケージ本体12内から取り出す仕方を含め、その作用を以下に説明する。
棒状紙巻たばこ製品10の棒状フィルター部100が、フィルム筒状カバー部114により天面部117も紙で覆った状態で、パッケージ本体12の開口上端に位置することから、パッケージ本体12内に棒状紙巻たばこ製品10がぎっしり詰まっている場合には、フィルム筒状カバー部114に固着され、上方に突出する識別タグ108を指で上方に引っ張ることにより、フィルム筒状カバー部114に対して接着された棒状フィルター部100、かくして棒状紙巻たばこ製品全体を、口にくわえる棒状フィルター部100に触れることなしに、パッケージ本体12の開口上端から取り出し可能である。
【0031】
喫煙の際、棒状紙巻たばこ製品の棒状フィルター部100からフィルム筒状カバー部114を脱着するが、脱着したフィルム筒状カバー部114は、次の棒状紙巻たばこ製品の棒状フィルター部100に被せておけばよい。その際、最初の棒状紙巻たばこ製品を取り出す場合に比べて、パッケージ本体12内に棒状紙巻たばこ製品10がぎっしり詰まっておらず、まわりにスペースがあるので、次の棒状紙巻たばこ製品の棒状フィルター部100に被せるのは比較的容易である。
以下の手順を繰り返すことにより、単一のフィルム筒状カバー部114があるだけで、パッケージ本体12内にあるすべての棒状紙巻たばこ製品10について、口にくわえる棒状フィルター部100に触れることなしに、パッケージ本体12の開口上端から取り出し可能であり、喫煙の際、口にくわえる棒状フィルター部100に指で触れることなく、パッケージ本体12内から棒状紙巻たばこ製品10を取り出し可能であり、以て、万が一、指に菌、ウィルスが付着している場合であっても、喫煙による感染の恐れを回避することが可能である。その際、識別タグ108により、目視確認により、同種のたばこパッケージの場合、たばこパッケージ自体の誤用を防止することが可能である。
【0032】
以上の構成を有する棒状紙巻たばこ製品10によれば、たとえば、複数の棒状紙巻たばこ製品10が、それぞれ、フィルター部を上側、棒状たばこ葉刻み部を下側の向きにして、長手方向に整列して包装銀紙に包装され、直方体状をなす包装銀紙が通常のたばこパッケージに収容されている場合において、喫煙の際、口にくわえるフィルター部に直接触れることなく、フィルム筒状カバー部114を介してフィルター部を指でつかんで上方に抜き出すことにより、棒状紙巻たばこ製品10をたばこパッケージから取り出し、フィルム筒状カバー部114をフィルター部から着脱する一方、次の棒状紙巻たばこ製品10のフィルター部に被せておくことにより、または着脱したフィルム筒状カバー部114は処分することにより、手の指にウィルス、菌等が付着しているとしても、口にくわえるフィルター部にウィルス、菌が付着する恐れなしに、喫煙することが可能である。
【0033】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、一つのたばこパッケージに対して、単一のフィルム筒状カバー部114が付設される場合を説明したが、それに限定されることなく、複数のフィルム筒状カバー部114を準備し、特に、パッケージ本体12内に棒状紙巻たばこ製品10がぎっしり詰まっておらず、まわりにスペースがある場合には、棒状紙巻たばこ製品10それぞれに、フィルム筒状カバー部114を被せておくのでもよい。
たとえば、本実施形態において、棒状紙巻たばこ製品10自体に警告表示マークWを付するものとして説明したが、それに限定されることなく、たとえば、たばこパッケージ10の表面に、または、内面に、喫煙の際、ウィルス感染防止のため、棒状フィルター部100を指で摘まんで取り出さないようにとの警告を印刷するのでもよい。
【0034】
たとえば、本実施形態において、棒状紙巻たばこ製品10をたばこパッケージ10に収納する場合として説明したが、棒状紙巻たばこ製品10のタイプには、ショートタイプ、ロングタイプ、スーパーロングタイプがあるが、タイプに応じて、包装体Rの切れ目位置が異なるが、本発明は、いずれのタイプにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1実施形態に係る棒状紙巻たばこ製品の断面図である。
図2】第1実施形態に係るたばこパッケージ10の斜視図である。
図3】第1実施形態に係るたばこパッケージ10において、開封する状況を示す図である。
図4】第1実施形態に係るたばこパッケージ10において、包装体Rを上方に引っ張って、分離する状況を示す図である。
図5】第1実施形態に係るたばこパッケージ10の展開図である。
【符号の説明】
【0036】
R 包装体
W 警告表示マーク
C 切れ目
T 外挿フィルム
111 ボックス型パッケージ
12 パッケ―ジ本体
14 蓋部材
16 アウタボックス
18 インナフレーム
20 前壁
22 後壁
24 側壁
25 上端縁
26 底壁
27 上端開口
28 ヒンジ
30 前面フレーム
32 側面フレーム
34 切欠き凹部
36 下端縁
38 後壁
40 天板
42 前壁
44 一対の側壁
46 封かん用シール
48 外装フィルム
50 開封テープ
100 棒状フィルター部
102 一端
104 棒状たばこ葉刻み部
106 一端
108 他端
110 他端
114 フィルム筒状カバー部
115 内周面
116 外周面
117 天面
118 第1フィルター本体
120 第2フィルター本体
124 成形紙
126 空洞
128 顆粒
132 開孔部
136 吸口
図1
図2
図3
図4
図5