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特開2022-6594表示装置、輝度補正システム、及び輝度補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006594
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】表示装置、輝度補正システム、及び輝度補正方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20220105BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G09G5/10 Z
G09G5/00 510H
G09G5/00 X
G09G5/00 550B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108906
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】シャープNECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭介
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA25
5C182BA28
5C182BA30
5C182BA44
5C182BA65
5C182CA01
5C182CA32
5C182CB13
5C182CB14
5C182CC25
5C182DA19
5C182DA65
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】輝度ムラ補正実行時に、表示面の輝度を測定せずに輝度ムラを補正する。
【解決手段】表示装置は、画像を表示する表示部と、表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラの表示面における形状を表す輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、過去に発生した輝度ムラの形状データと表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づき、機械学習によって生成された学習済みモデルであって、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とから輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、発生中の輝度ムラの形状データと表示部特性情報と学習済みモデルとに基づいて、輝度ムラの原因を予測する原因予測部と、原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面の輝度値を補正する補正処理部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラの前記表示面における形状を表す前記輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、
過去に発生した前記輝度ムラの形状データと前記表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づき、機械学習によって生成された学習済みモデルであって、前記輝度ムラの形状データと前記表示部特性情報とから前記輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記入力部が受け付けた発生中の前記輝度ムラの形状データと、前記表示部特性情報と、モデル記憶部が記憶する前記学習済みモデルとに基づいて、発生中の前記輝度ムラの原因を予測する原因予測部と、
前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の輝度値を補正する補正処理部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記輝度ムラの描画操作に応じて、前記輝度ムラの形状の描画画像を前記表示部に表示させるユーザインタフェース部を備え、
前記入力部は、
前記輝度ムラの前記描画操作を検出し、前記描画操作に対応した前記表示面の位置座標を算出し、算出した前記位置座標に基づいて、前記輝度ムラの形状データを作成すること、
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度値を補正する少なくとも一つ以上の補正方法と補正強度とを予測する補正情報予測部を備え、
前記ユーザインタフェース部は、
前記補正情報予測部が予測した前記補正方法と前記補正強度の中から、任意の前記補正方法と任意の前記補正強度の選択を受け付ける選択画像を前記表示部に表示させ、
前記補正処理部は、
前記選択画像に対する選択操作によって選択された前記補正方法及び前記補正強度に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の前記輝度値を補正すること、
を特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記補正処理部は、
前記輝度ムラの原因が、表示している時間の経過とともに前記輝度の補正値が変化するものである場合に、経過した時間に応じて前記補正値を調節すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
過去に発生した前記輝度ムラの形状データと前記表示部特性情報とを少なくとも含む前記学習データを記憶する学習データ記憶部と、
前記学習データ記憶部が記憶する前記学習データに基づき、前記機械学習によって、前記学習済みモデルを生成する学習部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記学習データは、
前記輝度ムラの原因と、前記輝度の前記補正値とをさらに含み、
前記原因予測部は、
前記輝度ムラの原因の予測に使用した、前記輝度ムラの形状データと前記表示部特性情報とを、前記学習データとして前記学習データ記憶部に追加して記憶させるとともに、
前記輝度ムラが補正された場合には、前記輝度ムラの原因と前記輝度の前記補正値とを、前記学習データとして前記学習データ記憶部に追加して記憶させ、
前記輝度ムラが補正されなかった場合には、前記輝度ムラの原因を前記学習データとして前記学習データ記憶部に追加して記憶させ、
前記学習部は、
前記学習データ記憶部が記憶する更新された前記学習データに基づき、前記機械学習によって、前記学習済みモデルを再生成すること、
を特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
画像を表示する表示部を備えた表示装置と、前記表示装置と通信可能な学習装置とを備えた輝度補正システムであって、
前記学習装置は、
前記表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラであって、過去に発生した前記輝度ムラの前記表示面における形状を表す前記輝度ムラの形状データと、前記表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データを記憶する学習データ記憶部と、
前記学習データ記憶部が記憶する前記学習データに基づき、機械学習によって、学習済みモデルを生成する学習部とを備え、
前記表示装置は、
前記輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、
前記学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記入力部が受け付けた発生中の前記輝度ムラの形状データと、前記表示部特性情報と、前記モデル記憶部が記憶する前記学習済みモデルとに基づいて、発生中の前記輝度ムラの原因を予測する原因予測部と、
前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の輝度値を補正する補正処理部とを備えること、
を特徴とする輝度補正システム。
【請求項8】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラの前記表示面における形状を表す前記輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、
過去に発生した前記輝度ムラの形状データと前記表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づいて機械学習により生成された学習済みモデルであって、前記輝度ムラの形状データと前記表示部特性情報とから前記輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、
を備えた表示装置の輝度補正方法であって、
原因予測部が、
前記入力部が受け付けた発生中の前記輝度ムラの形状データと、前記表示部特性情報と、モデル記憶部が記憶する前記学習済みモデルとに基づいて、前記輝度ムラの原因を予測し、
補正処理部が、
前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の輝度値を補正すること、
を特徴とする輝度補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、輝度補正システム、及び輝度補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶モニタや有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の画像表示装置は、個々のパネルの特性によって輝度ムラを持つ。例えば、バックライトの劣化による画面中央から画面端に向かって輝度が低下するような広範囲の輝度ムラや、シミのように局所的な領域内において、この領域の中心部から周縁部に向かって輝度が低下するような輝度ムラがある。
【0003】
このような表示装置の輝度ムラを補正するために様々な技術が提案されている。その一つとして、カメラ、輝度計、又は、画素単位で2次元配列された光センサなどの測定機を用いて表示面の輝度を測定し、この測定データに基づいて表示画素ごとの輝度の補正値を算出して補正する方法がある(例えば、特許文献1又は特許文献2)。
【0004】
特許文献1では、供給される映像信号を常時または定期的にサンプリングして、各画素の発光素子の発光する期間または表示する階調を検出し、その検出値の累積から、輝度が低下している画素を予測して補正する方法が記載されている。
また、特許文献2では、表示装置の外部に設置した測定機を用いて表示面の輝度を測定し、その測定値に基づいて補正値を算出して補正する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-177713号公報
【特許文献2】特開2016-167026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、表示面内の発光素子毎に測定を行うため、発光素子の個数分の光センサを2次元配列した大規模な測定部が必要となる。また、特許文献2では、測定機から表示面までの距離及び視野角を設定したり、測定機の周辺環境(例えば、照明の明るさ等)を設定したりして、測定環境を調節する必要がある。
このように、上述したような従来技術では、輝度ムラ補正時に表示面の輝度を測定する必要があるために、大規模な測定部を設置したり、測定環境を調節したりしなければならないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、輝度ムラ補正実行時に、表示面を測定せずに輝度ムラを補正することができる、表示装置、輝度補正システム、及び輝度補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、画像を表示する表示部と、前記表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラの前記表示面における形状を表す前記輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、過去に発生した前記輝度ムラの形状データと前記表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づき、機械学習によって生成された学習済みモデルであって、前記輝度ムラの形状データと前記表示部特性情報とから前記輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、前記入力部が受け付けた発生中の前記輝度ムラの形状データと、前記表示部特性情報と、モデル記憶部が記憶する前記学習済みモデルとに基づいて、発生中の前記輝度ムラの原因を予測する原因予測部と、前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の輝度値を補正する補正処理部と、を備えることを特徴とする表示装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、画像を表示する表示部を備えた表示装置と、前記表示装置と通信可能な学習装置とを備えた輝度補正システムであって、前記学習装置は、前記表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラであって、過去に発生した前記輝度ムラの前記表示面における形状を表す前記輝度ムラの形状データと、前記表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データを記憶する学習データ記憶部と、前記学習データ記憶部が記憶する前記学習データに基づき、機械学習によって、学習済みモデルを生成する学習部とを備え、前記表示装置は、前記輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、前記学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、前記入力部が受け付けた発生中の前記輝度ムラの形状データと、前記表示部特性情報と、前記モデル記憶部が記憶する前記学習済みモデルとに基づいて、発生中の前記輝度ムラの原因を予測する原因予測部と、前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の輝度値を補正する補正処理部とを備えること、を特徴とする輝度補正システムである。
【0010】
また、本発明の一態様は、画像を表示する表示部と、前記表示部の表示面の輝度が不均一になる輝度ムラの前記表示面における形状を表す前記輝度ムラの形状データを受け付ける入力部と、過去に発生した前記輝度ムラの形状データと前記表示部の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づいて機械学習により生成された学習済みモデルであって、前記輝度ムラの形状データと前記表示部特性情報とから前記輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶するモデル記憶部と、を備えた表示装置の輝度補正方法であって、原因予測部が、前記入力部が受け付けた発生中の前記輝度ムラの形状データと、前記表示部特性情報と、モデル記憶部が記憶する前記学習済みモデルとに基づいて、前記輝度ムラの原因を予測し、補正処理部が、前記原因予測部が予測した前記輝度ムラの原因に基づいて、前記輝度ムラが低減されるように、前記表示面の輝度値を補正すること、を特徴とする輝度補正方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輝度ムラ補正実行時において、表示面の輝度を測定せずに輝度ムラを補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態に係る輝度補正システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る表示部特性情報の一例を示す図である。
図3A】原因・補正情報テーブルが記憶する、輝度ムラの原因に対応した補正方法の組合せ(補正方法セット)と補正強度とを示す図である。
図3B】原因・補正情報テーブルが記憶する、各補正方法セットの構成要素を示す図である。
図4】補正方法テーブルの一例を示す図である。
図5】表示面上に描画画面D01が表示された描画可能状態の一例を示す図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る選択画面の一例を示す図である。
図7】本発明の第一の実施形態に係る調節システムの設定画面の一例を示す図である。
図8】本発明の第一の実施形態に係る学習済みモデルの作成処理手順を示すフローチャートである。
図9】本発明の第一の実施形態に係る輝度補正処理手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の第一の実施形態に係る輝度ムラの形状データの取得処理手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の第一の実施形態に係る補正値の調節システムの設定処理手順を示すフローチャートである。
図12】本発明の第二の実施形態に係る表示装置300の構成を示す図である。
図13】本発明の実施形態による最小構成の表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について説明する。
【0014】
(輝度補正システム)
まず、図1を参照して、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正システムについて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正システムの構成を示すブロック図である。輝度補正システム1は、表示装置100と、学習装置200とを備える。
本実施形態において、表示装置100の表示面の輝度が不均一になる状態を輝度ムラとする。また、表示面の一部を占める表示面内の輝度ムラの領域であって、例えば同一輝度の画像を表示している場合に、その周辺領域と異なる輝度で発光する表示面内の領域を輝度ムラ領域とする。
【0015】
まず、表示装置100の構成について説明する。表示装置100は、ディスプレイ、又はテレビ等の表示装置であり、表示部10と、入力部20と、予測側制御部30と、予測側記憶部40とを備える。
【0016】
表示部10は、例えば有機ELパネルなどの表示面Dを有する。なお、表示面Dはタッチパネル機能を備えていてもよい。
表示部10は、UI制御部321が生成した各種画面(例えば、輝度ムラの形状の描画画面等)を表示面D上に表示する。また、表示部10は、映像供給源(例えば、パソコンなど)から入力された映像信号に対して、拡大縮小処理、色補正処理などの各種信号処理を行い、この映像信号に基づいて生成した画像を表示面Dに表示する。
【0017】
入力部20は、表示面Dに後述する描画画面D01(図5参照)が表示された状態で(後述する、描画可能状態)、表示面Dに対するユーザの描画操作を検出する。より具体的には、入力部20は、表示面D上でユーザがマウス等のポインティングデバイスを介して描画を行うと、表示面Dに対するユーザの描画操作(例えば、マウスの押下等)を検出し、描画操作を検出したことを示す描画検出信号を予測側制御部30(後述する、入力処理部31)に送信する。ここで、ユーザの描画操作とは、ユーザがマウスを押下しながら輝度ムラ領域の輪郭をなぞったり、輝度ムラ領域の内部を塗りつぶしたりする操作である。なお、表示面Dがタッチパネル機能を有する場合には、ユーザの指、又はタッチペン等を介して描画操作を行ってもよい。
【0018】
予測側制御部30は、例えば、表示装置100の制御ソフトウェアが書き込みされた、CPU(Central Processing Unit)を含む回路であり、表示装置100の各部位を包括的に制御する。
予測側制御部30は、入力処理部31と、表示処理部32と、予測部33とを備える。
【0019】
入力処理部31は、表示面D(図5参照)の輝度が不均一になる輝度ムラの表示面Dにおける形状を表す輝度ムラの形状データを受け付ける。ここで、輝度ムラの形状とは、例えば、表示面D上の輝度ムラ領域の輪郭を示す形状であり、輝度ムラの形状データは、当該輝度ムラの形状を示すデータである。
入力処理部31は、位置座標演算部311と、入力情報処理部312とを備える。
【0020】
位置座標演算部311は、描画検出信号を入力部20から受信すると、描画操作に対応した表示面Dの位置座標を算出して、入力情報処理部312に送信する。より具体的には、位置座標演算部311は、表示面D座標系(例えば、ピクセル座標系)における位置座標を算出する。
【0021】
入力情報処理部312は、図示しない記憶領域(例えば、キャッシュメモリ)を備え、位置座標演算部311から受信した位置座標を位置座標データとして記憶するとともに、当該位置座標の場所を表示面D上に描画する描画指示を表示処理部32(後述する、UI制御部321)に送信する。
また、入力情報処理部312は、輝度ムラの形状データの作成指示を表示処理部32(後述する、UI制御部321)から受信すると、記憶領域から読み出した位置座標データに基づいて、輝度ムラの形状データを作成して、予測部33(後述する、原因予測部331)に送信する。
【0022】
輝度ムラの形状データは、表示面Dにおける輝度ムラの形状を表すデータである。例えば、輝度ムラの形状データは表示面Dの各位置座標において0、又は1の値を有し、輝度ムラ領域内部の位置座標において1、輝度ムラ領域外部の位置座標において0となるようにしてもよい。この場合、入力情報処理部312は、位置座標データと点の内外判定アルゴリズム(例えば、Winding number algorithm)とに基づいて、表示面Dの各位置座標が輝度ムラ領域の内部にあるか、又は外部にあるかを判定する。
なお、輝度ムラの形状データの作成処理の詳細については後述する、
【0023】
予測部33は、原因予測部331と、補正情報予測部332とを備える。
原因予測部331は、入力処理部31が受け付けた発生中の輝度ムラの形状データを入力情報処理部312から取得する。また、原因予測部331は、後述する表示部10の特性に関する表示部特性情報と学習済みモデルとを予測側記憶部40から取得する。さらに、原因予測部331は、発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、学習済みモデルとに基づいて、発生中の輝度ムラの原因を予測して、補正情報予測部332に送信する。
【0024】
ここで、図2を参照して、表示部特性情報の詳細について説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る表示部特性情報の一例を示す図である。表示部特性情報は、表示部固有情報と、表示面D稼働状況データと、センサ測定データと、表示コンテンツ情報と、表示部環境データとを含む。
表示部固有情報は、表示面Dの大きさ・重さ・型番、表示部10の大きさ・形状・解像度、及び、発光素子の種類・特性情報などを含む。表示面D稼働状況データは、表示面Dの設置方向(例えば、横置き又は縦置き)、累計設置時間、画面表示時間、スリープ時間、表示面Dの設定情報(例えば、明るさやコントラスト等)、及び、表示面Dの修理情報などを含む。センサ測定データは、光センサ、温度センサ、及び、圧力センサの測定値などを含む。表示コンテンツ情報は、表示コンテンツの表示時間、解像度、及び、フレームレートに係る情報などを含む。表示部環境データは、表示装置100の設置場所(例えば、屋外又は室内)、設置場所の天候、及び、自然災害の履歴に関する情報などを含む。
なお、輝度ムラ発生中の表示面D稼働状況データと、センサ測定データと、表示コンテンツ情報とは、予測側制御部30によって取得され、表示部特性情報として予測側データ記憶部に記憶される。
【0025】
原因予測部331は、輝度ムラが補正された場合に、輝度ムラの原因予測に使用した輝度ムラの形状データ及び表示部特性情報と、予測された輝度ムラの原因と、輝度の補正値とを予測側記憶部40(後述する、予測側データ記憶部41)に追加して記憶させる。
一方、原因予測部331は、輝度ムラが補正されなかった場合に、輝度ムラの原因予測に使用した輝度ムラの形状データ及び表示部特性情報と、予測された輝度ムラの原因とを、予測側記憶部40(後述する、予測側データ記憶部41)に追加して記憶させる。
【0026】
補正情報予測部332は、原因予測部331から受信した輝度ムラの原因に基づいて、輝度値を補正する少なくとも一つ以上の補正方法と、補正強度とを予測する。
具体的には、補正情報予測部332は、輝度ムラの原因と輝度の補正情報(輝度の補正方法及び補正強度)とを記憶する原因・補正情報テーブルを参照して、原因予測部331が予測した輝度ムラの原因に対応する補正方法と補正強度とを予測する。原因・補正情報テーブルは、輝度ムラの原因に対応した補正方法の組合せ(補正方法セット)と補正強度とを表す第一データと、各補正方法セットの構成要素を表す第二データとを記憶する。
【0027】
ここで、図3A図3Bを参照して、原因・補正情報テーブルが記憶するデータの詳細を説明する。
図3Aは、原因・補正情報テーブルが記憶する、輝度ムラの原因に対応した補正方法の組合せ(補正方法セット)と補正強度とを表す第一データの一例を示す図である。
図3Bは、原因・補正情報テーブルが記憶する、各補正方法セットの構成要素を表す第二データの一例を示す図である。
図3Aに示すように、輝度ムラ原因Aに対応する補正方法の組合せは補正方法セットAであり、補正強度は補正強度Aである。輝度ムラの原因Bに対応する補正方法の組合せは補正方法セットBであり、補正強度は補正強度Bである。また、輝度ムラの原因Cに対応する補正方法の組合せは補正方法セットCであり、補正強度は補正強度Cである。これらの補正方法セットA~Cは、図3Bに示すように、異なる補正方法の組合せで構成され、各補正方法は優先順位と対応付けられる。ここで、補正方法の優先順位は、輝度ムラの補正の効果が高い方法ほど高くなるように設定される。具体的には、補正方法セットAは優先順位の高い順に、補正方法a、補正方法b、補正方法c、補正方法dとなる。補正方法セットBは優先順位の高い順に、補正方法e、補正方法f、補正方法g、補正方法hとなる。補正方法セットCは優先順位の高い順に、補正方法d、補正方法c、補正方法b、補正方法aとなる。
なお、補正方法の優先順位は、使用頻度が高い方法ほど高くなるように設定してもよいし、補正にかかる時間が短い方法ほど高くなるように設定してもよい。
図3A図3Bに示した例において、補正情報予測部332は、原因・補正情報テーブルを参照して、輝度ムラの原因が原因Aの場合には、補正方法セットAを構成する補正方法の組合せ(補正方法a、補正方法b、補正方法c、補正方法d)と、補正強度Aを出力する。
【0028】
さらに、補正情報予測部332は、予測した補正方法に基づいて、補正方法テーブルを作成し、補正方法テーブルと補正強度とを表示処理部32(後述する、補正処理部322)に送信する。
【0029】
ここで、図4を参照して、補正方法テーブルの詳細について説明する。
図4は、補正方法テーブルの一例を示す図である。
補正方法テーブルは、優先順位と、補正方法名と、補正方法の内容とを記憶する。具体的には、優先順位が“1”の補正方法名は“補正方法a”、優先順位が“2”の補正方法名は“補正方法b”、優先順位が“3”の補正方法名は“補正方法d”、優先順位が“4”の補正方法名は“補正方法c”である。ここで、各補正方法の内容は、例えば、発光素子の温度を調節する補正方法、発光素子の光量を調節する補正方法、発光素子の電流を調節する補正方法などを表す。
【0030】
予測側記憶部40は、予測部33が利用する各種データを記憶する。予測側記憶部40は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体など、又は、これらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。また、予測側記憶部40として、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
予測側記憶部40は、予測側データ記憶部41と、予測側モデル記憶部42(モデル記憶部の一例)とを備える。
【0031】
予測側データ記憶部41は、輝度ムラの発生中に入力処理部31が受け付けた輝度ムラの形状データと、予測側制御部30により取得された表示部特性情報と、補正情報(輝度ムラの原因と輝度の補正値)とを記憶する。
予測側モデル記憶部42は、学習装置200が生成した学習済みモデルを記憶する。また、学習装置200が学習済みモデルを再生成した場合に、表示装置100の予測側制御部30は、再生成された学習済みモデルを学習装置200(後述する、学習側記憶部210)から取得して、学習済みモデルとして予測側モデル記憶部42に追加して記憶させる。
【0032】
表示処理部32は、UI(User Interface)制御部321と(ユーザインタフェース部の一例)、補正処理部322とを備える。
【0033】
UI制御部321は、ユーザ操作を受け付けるUIを制御するとともに、各種UI画面を作成して表示部10に表示させる。UI制御部321は、例えばマウスポインタによるUI画面上のボタンのクリック操作等、UI画面を通じて入力デバイスから入力される指示を受け付ける。
UI制御部321は、UI画面として、輝度ムラの描画操作を受け付ける描画画面(図5参照)と、輝度の補正方法の選択操作を受け付ける選択画面(図6参照)と、表示している時間に応じて輝度の補正値を調節するシステムを設定するか否かをユーザに選択させる調節システムの設定画面(図7参照)とを作成して、表示部10に表示させる。
ここで、図5図7を参照して、描画画面と、選択画面と、調節システムの設定画面とについて説明する。
【0034】
図5は、表示面D上に描画画面D01が表示された描画可能状態の一例を示す図である。
表示面Dの左側に輝度ムラ領域IRが存在し、表示面Dの右側に描画画面D01が表示されている。本実施形態では、表示面D上に描画画面D01が表示されている状態を、表示面Dが描画操作を受け付け可能な描画可能状態と定義する。描画可能状態において、ユーザが、図5の例に示すようにマウスポインタPで輝度ムラ領域IRの輪郭をなぞると、輝度ムラの形状を描画した描画画像DIが輝度ムラ領域IRに重ねて表示される。
なお、輝度ムラの形状の描画処理手順の詳細については後述する。
【0035】
UI制御部321は、描画画面D01上に、ユーザに対するメッセージ(「輝度ムラの形状を描画してください。」)と、修正ボタンと、決定ボタンと、終了ボタンとを配置して表示する。
UI制御部321は、修正ボタンが押下されると、表示されている描画画像DIを削除して、表示面Dを描画可能状態に戻す。また、UI制御部321は、決定ボタンが押下されると、輝度ムラの形状データの作成指示を入力情報処理部312に送信する。さらに、UI制御部321は、終了ボタンが押下されると、描画画面D01を削除するとともに、描画可能状態を停止する。
【0036】
図6は、本発明の第一の実施形態に係る選択画面の一例を示す図である。表示面Dの左側に輝度ムラ領域IRが存在し、表示面Dの右側に選択画面D02が表示されている。選択画面D02は、補正方法を選択するチェックボックスを有する6つの選択パネルと(補正方法1~補正方法6)、矢印マークで示された補正強度調節ボタンと、実行ボタンと、戻すボタンとを表示する。
UI制御部321は、補正情報予測部332から出力された補正方法テーブルと補正強度とに基づいて、選択画面D02を作成する。具体的には、UI制御部321は、補正方法テーブルから少なくとも一つ以上の補正方法を選び(例えば、優先順位の高い順に複数個選ぶ)、選択画面D02の選択パネルに表示する。また、UI制御部321は、補正強度に基づいて、補正強度調節ボタンによる調節範囲を設定する。例えば、補正強度が+5~+30までの場合、補正強度調節ボタンによる調節範囲の上限は+30、下限は+5に設定される。
図6に示す例では、選択パネルのチェックボックスの押下により“補正方法1”が選択され、補正強度調節ボタンの押下により補正強度“+10”が選択されている。選択パネルのチェックボックスが押下されると、UI制御部321は、補正方法テーブルが記憶する各補正方法の内容を参照して、選択された補正方法の内容を説明するメッセージを補足画面D03に表示させる。図6に示す例では、補足画像D03は、選択された補正方法1の内容を説明するメッセージ(「補正方法1は、各発光素子の温度を調整して輝度補正を行います」)を表示している。
UI制御部321は、実行ボタンが押下されると、ユーザにより選択された補正方法と補正強度とに基づいて輝度の補正を実行する補正実行指示を受信して、補正処理部322に送信する。また、UI制御部321は、戻すボタンが押下されると、表示面Dを輝度ムラの補正前の状態に戻す指示を補正処理部322に送信する。
【0037】
図7は、本発明の第一の実施形態に係る調節システムの設定画面の一例を示す図である。
表示面Dの左側に輝度ムラ領域IRが存在し、表示面Dの右側に調節システムの設定画面D04が表示されている。また、UI制御部321は、ユーザに対するメッセージ(「輝度ムラは表示している時間と共に進行します。表示している時間に応じで輝度を補正するシステムを設定しますか?」)と、YESボタンと、NOボタンと、実行ボタンとを調節システムの設定画面D04上に配置して表示させる。
図7に示す例では、ユーザ操作によりYESボタンが選択されている。UI制御部321は、YESボタンが選択され、さらに実行ボタンが押下された場合に、表示している時間に応じて補正値を調節する調節システムの設定指示を補正処理部322に送信し、NOボタンが選択された場合には、上述の設定指示を送信しない。
【0038】
補正処理部322は、補正方法テーブルと補正強度とを補正情報予測部332から受信して、UI制御部321に送信する。さらに、補正処理部322は、補正実行指示をUI制御部321から受信すると、選択画面に対するユーザ操作により選択された補正方法と補正強度とに基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
また、補正処理部322は、調節システムの設定指示をUI制御部321から受信した場合に、表示している時間に応じて補正値を調節するシステムを設定して、補正値を調節する。具体的には、補正処理部322は、表示している時間に応じて補正強度の大きさを増減させるなどして補正値を調節する。
【0039】
次に、学習装置200の構成について説明する。学習装置200は、表示装置100と通信可能なサーバーコンピュータ、又はパーソナルコンピューターである。
学習装置200は、学習側記憶部210と、学習側制御部220とを備える。
【0040】
学習側記憶部210は、学習側制御部220が利用する各種データを記憶する。学習側記憶部210は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体など、又は、これらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。また、学習側記憶部210として、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
学習側記憶部210は、学習側データ記憶部211と(学習データ記憶部の一例)、アルゴリズム記憶部212と、学習側モデル記憶部213とを備える。
【0041】
学習側データ記憶部211は、学習済みモデルの作成に使用される学習データ(特徴量)を記憶する。ここで、学習データは、過去に発生した輝度ムラの形状データと、表示部特性情報とを少なくとも含むデータである。なお、学習データは、原因予測部331が予測した輝度ムラの原因と、輝度の補正値とを含んでいてもよい。
また、学習側制御部220は、予測側データ記憶部41が記憶する、輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、補正情報(輝度ムラの原因と輝度の補正値)とを取得し、学習データとして、学習側データ記憶部211に追加して記憶させる。
【0042】
アルゴリズム記憶部212は、学習済みモデルの生成に用いられる機械学習アルゴリズムを記憶する。機械学習アルゴリズムは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク、又はディープニューラルネットワークアルゴリズムなどを含む。
学習側モデル記憶部213は、性能判定部223から出力された学習済みモデルを記憶する。
【0043】
学習側制御部220は、例えば、学習装置200の制御ソフトウェアが書き込みされた、CPU(Central Processing Unit)を含む回路であり、学習装置200の各部位を包括的に制御する。
学習側制御部220は、取得部221と、学習部222と、性能判定部223とを含む。
【0044】
取得部221は、学習側データ記憶部211が記憶する学習データと、アルゴリズム記憶部212が記憶する機械学習アルゴリズムとを取得して、学習部222へ送信する。
【0045】
学習部222は、学習データと機械学習アルゴリズムとに基づいて機械学習を行うことにより、学習済みモデルを生成して、性能判定部223へ出力する。また、学習部222は、ユーザ操作により入力された、学習済みモデルの再生成指示を受信した場合に、学習済みモデルを再生成する。また、学習側制御部220が予測側データ記憶部41か記憶するデータ(例えば、補正情報など)を取得して、学習側データ記憶部211に追加して記憶させる場合に、学習部222は、学習側データ記憶部211の更新された学習データを使用して、機械学習を行い、学習済みモデルを再生成してもよい。
【0046】
性能判定部223は、学習部222が生成した学習済みモデルが性能評価基準を満たすか否かを判定し、学習済みモデルが性能評価基準を満たすと判定した場合に、学習済みモデルを学習側モデル記憶部213に記憶させる。一方、性能判定部223は、学習済みモデルが性能評価基準を満たさないと判定した場合に、学習済みモデルを生成し直す再生成指示を取得部221に送信する。
なお、性能判定部223による性能評価処理手順については後述する。
【0047】
(学習済みモデルの作成処理)
次に、図8を参照して、学習済みモデルの作成処理手順について説明する。
図8は、本発明の第一の実施形態に係る学習済みモデルの作成処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
学習済みモデルの作成時に、取得部221は、学習側データ記憶部211が記憶する学習データと、アルゴリズム記憶部212が記憶する機械学習アルゴリズムとを取得して、学習部222に送信する(ステップS201)。この場合、取得部221は、例えば、ユーザにより設定された学習データと機械学習アルゴリズムとを取得する。
【0049】
学習部222は、学習データと機械学習アルゴリズムとに基づいて、機械学習を行うことにより、学習済みモデルを生成して性能判定部223に送信する(ステップS202)。
性能判定部223は、生成された学習済みモデルの予測精度が性能評価基準を満たすか否かを判定する(ステップS203)。例えば、性能判定部223は、検証データを学習済みモデルに入力して、学習済みモデルが出力した予測値と正解ラベルとを比較して正解率を算出する。
性能判定部223は、学習済みモデルの正解率が一定の閾値以上である場合に、学習済みモデルの予測精度が性能評価基準を満たすと判定して(ステップS203-YES)、学習済みモデルを学習側モデル記憶部213に記憶させる(ステップS204)。
【0050】
一方、性能判定部223は、学習済みモデルの正解率が一定の閾値未満である場合に、学習済みモデルの予測精度が性能評価基準を満たさないと判定して(ステップS203-NO)、学習済みモデルを生成し直す再生成指示を取得部221に送信する(ステップS205)。
取得部221は、この再生成指示を受信すると、処理をステップS201に戻して、以降の処理を繰り返す。この場合、取得部221は、ユーザにより新しく設定された学習データと機械学習アルゴリズムとを取得する。
【0051】
(輝度補正処理)
次に、図9を参照して、輝度補正処理について説明する。
図9は、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
原因予測部331は、描画画面に対するユーザ操作によって入力された、発生中の輝度ムラの形状データを入力情報処理部312から取得する(ステップS301)。
なお、輝度ムラの形状データの取得処理の詳細については後述する。
【0053】
原因予測部331は、予測側データ記憶部41が記憶する表示部特性データと、予測側モデル記憶部42が記憶する学習済みモデルとを取得する(ステップS302)。
原因予測部331は、入力処理部31が受け付けた発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、学習済みモデルとに基づいて、発生中の輝度ムラの原因を予測して、補正情報予測部332に送信する(ステップS303)。
ステップS304において、補正情報予測部332は、学習済みモデルが予測した輝度ムラの原因に基づき、原因・補正情報テーブルを参照して、少なくとも一つ以上の輝度の補正方法と、輝度の補正強度とを予測する。さらに、補正情報予測部332は、予測した補正方法に基づいて作成した補正方法テーブルと、補正強度とを補正処理部322に送信する。
【0054】
ステップS305において、補正処理部322は、補正方法テーブルを補正情報予測部332から受信してUI制御部321に送信するとともに、暫定的な輝度補正を実行する。この場合、補正処理部322は、補正方法テーブルに含まれる補正方法の一つに従って輝度補正を行ってもよいし、ユーザに設定された任意の補正方法に従って輝度補正を行ってもよい。
【0055】
UI制御部321は、補正方法テーブルに含まれる補正方法と補正強度の中から、任意の補正方法と補正強度の選択を受け付ける選択画面を作成して、表示部10に表示させる(ステップS306)。
【0056】
UI制御部321は、選択画面に対するユーザ操作により選択された補正方法と補正強度とに基づいて補正を実行する補正実行指示を補正処理部322に送信する(ステップS307)。
【0057】
補正処理部322は、補正実行指示をUI制御部321から受信すると、ユーザ操作により選択された輝度の補正方法と補正強度とに基づき、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する(ステップS308)。
【0058】
UI制御部321は、描画画面の戻すボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS309)。UI制御部321は、戻すボタンが押下されたと判定した場合に(ステップS309-YES)、処理をステップS310へ進め、戻すボタンが押下されていないと判定した場合に(ステップS309-NO)、処理をステップS312へ進める。
このとき、ユーザは、輝度補正後に表示面Dを目視で確認することにより、輝度ムラが補正されたか否かを確認し、輝度ムラが補正されなかった場合には、選択画面の戻すボタンを押下し、輝度ムラが補正された場合には選択画面の戻すボタンを押下しない。
【0059】
ステップS310において、補正処理部322は、表示面Dを輝度ムラ補正前の状態に戻す。具体的には、ユーザ操作により選択画面の戻すボタンが押下されると、UI制御部321は、表示面Dを輝度ムラ補正前の状態に戻す指示を補正処理部322に送信する。補正処理部322は、この指示に従って、表示面Dを輝度ムラ補正前の状態に戻す。
【0060】
ステップS310の後、原因予測部331は、輝度ムラの原因の予測に使用した輝度ムラの形状データ及び、表示部特性情報と、予測した輝度ムラの原因とを、予測側データ記憶部41に記憶させる(ステップS311)。
【0061】
ステップS312において、選択画面に対するユーザ操作により、輝度ムラが補正された補正方法と補正強度とが選択され、さらに実行ボタンが押下されると補正実行指示が入力され、UI制御部321は、選択された補正方法と補正強度とを補正処理部322に送信する。補正処理部322は、これら補正方法と補正強度とに基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
【0062】
ステップS313において、補正処理部322は、表示している時間に応じて輝度の補正値を調節する調節システムを設定するか否かを判定する。具体的には、補正処理部322は、調節システムの設定画面に対するユーザ操作により、調節システムの設定指示が入力された場合に、調節システムを設定すると判定して(ステップS313-YES)、処理をステップS314へ進める。一方、補正処理部322は、調節システムの設定指示が入力されなかった場合に、調節システムを設定しないと判定して(ステップS313-NO)、処理をステップS315へ進める。
なお、補正値の調節システムの設定処理の詳細については後述する。
【0063】
ステップS314において、補正処理部322は、表示している時間に応じて輝度の補正値を調節するシステムを設定し、表示面Dの輝度ムラが低減されるように、輝度値を補正する。
【0064】
輝度補正が正常に終了すると、原因予測部331は、予測に使用した輝度ムラの形状データ及び、表示部特性情報と、予測した輝度ムラの原因と、輝度の補正値とを、予測側データ記憶部41に記憶させる(ステップS315)。
【0065】
(輝度ムラの形状データの取得処理)
図10を参照して、輝度ムラの形状データの取得処理手順について説明する。
図10は、本発明の第一の実施形態に係る輝度ムラの形状データの取得処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
UI制御部321は、発生中の輝度ムラの形状の描画操作を受け付ける描画画面を表示部10に表示させる(ステップS401)。このとき、表示面Dは描画可能状態である。
【0067】
入力部20は、表示面Dに対する輝度ムラの描画操作を検出して、描画操作を検出したことを示す描画検出信号を位置座標演算部311に送信する(ステップS402)。このとき、マウス等のユーザ操作によって、輝度ムラの形状の描画操作が行われる。例えば、図5に示したように、輝度ムラ領域の輪郭をマウスポインタPでなぞることにより輝度ムラの形状を描画することができる。また、輝度ムラ領域の内部をマウスポインタPで塗りつぶすことによって輝度ムラの形状を描画することもできる。
【0068】
位置座標演算部311は、描画検出信号を入力部20から受信すると、描画操作に対応した表示面Dの位置座標を算出して、入力情報処理部312に送信する(ステップS403)。
【0069】
入力情報処理部312は、受信した位置座標を位置座標データとして記憶領域に記憶するとともに、当該位置座標の場所を表示面D上に描画する描画指示をUI制御部321に送信する(ステップS404)。
UI制御部321は、位置座標の描画指示を入力情報処理部312から受信すると、当該位置座標に色やマークで印をつけて、表示部10に表示させる(ステップS405)。この場合、例えば図5に示すように、輝度ムラの形状の描画画像DIが表示面D上に表示される。
【0070】
ユーザによって輝度ムラの形状の描画画像が確定された場合に、UI制御部321は、輝度ムラの形状データの作成指示を入力情報処理部312に送信する(ステップS406)。具体的には描画画面D01の決定ボタンが押下されると、UI制御部321は、輝度ムラの形状データの作成指示を入力情報処理部312に送信する。
【0071】
入力情報処理部312は、輝度ムラの形状データの作成指示を受信すると、記憶領域に記憶された位置座標データに基づいて、輝度ムラの形状データを作成し、原因予測部331に送信する(ステップS407)。
【0072】
(補正値の調節システムの設定処理)
次に、図11を参照して、補正値の調節システムの設定処理について説明する。
図11は、本発明の第一の実施形態に係る補正値の調節システムの設定処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
補正処理部322は、輝度ムラの原因が、表示している時間の経過とともに輝度の補正値が変化するものである場合に、調節システムの設定画面の表示指示をUI制御部321に送信する(ステップS501)。ここで、調節システムの設定画面は、表示している時間に応じて輝度の補正値を調節するシステムを設定するか否かをユーザに選択させる画面である。
UI制御部321は、この表示指示に従って、調節システムの設定画面を表示部10に表示させる(ステップS502)。
UI制御部321は、調節システムの設定画面に対するユーザ操作により、調節システムの設定指示が入力された場合に、この設定指示を補正処理部322に送信する(ステップS503)。図6に示す例において、調節システムの設定画面のYESボタンと実行ボタンとが押下されると、UI制御部321は調節システムの設定指示を送信する。
補正処理部322は、調節システムの設定指示を受信すると、表示している時間に応じて輝度の補正値を調節するシステムを設定する(ステップS504)。
【0074】
以上説明したように、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、画像を表示する表示部10と、入力処理部31と、予測側モデル記憶部42(モデル記憶部の一例)と、原因予測部331と、補正処理部322とを備える。入力処理部31は、表示部10の表示面Dの輝度が不均一になる輝度ムラの表示面Dにおける形状を表す輝度ムラの形状データを受け付ける。予測側モデル記憶部42は、過去に発生した輝度ムラの形状データと表示部10の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づき、機械学習によって生成された学習済みモデルであって、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とから輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶する。原因予測部331は、入力処理部31が受け付けた発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、予測側モデル記憶部42が記憶する学習済みモデルとに基づいて、発生中の輝度ムラの原因を予測する。補正処理部322は、原因予測部331が予測した輝度ムラの原因に基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
これにより、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、機械学習により予測された輝度ムラの原因に基づいて表示面Dの輝度値を補正するため、表示面Dの輝度を測定せずに輝度ムラを補正することができる。
【0075】
また、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、輝度ムラの描画操作に応じて、輝度ムラの形状の描画画像を表示部10に表示させるUI制御部321(ユーザインタフェース部の一例)を備え、入力処理部31は、輝度ムラの描画操作を検出し、描画操作に対応した表示面Dの位置座標を算出し、算出した位置座標に基づいて、輝度ムラの形状データを作成する。
これにより、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、表示面Dに対する輝度ムラの描画操作によって輝度ムラの形状データを取得できるため、輝度ムラの形状を撮影するためのカメラ等を設置せずに輝度ムラを補正することができる。
【0076】
また、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、原因予測部331が予測した輝度ムラの原因に基づいて、輝度値を補正する少なくとも一つ以上の補正方法と補正強度とを予測する補正情報予測部332を備え、UI制御部321は、補正情報予測部332が予測した補正方法と補正強度の中から、任意の補正方法と任意の補正強度の選択を受け付ける選択画面(選択画像の一例)を表示部に表示させ、補正処理部322は、選択画面に対する選択操作によって選択された補正方法及び補正強度に基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
これにより、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、選択された輝度の補正方法と補正強度とに基づいて輝度値を補正することができ、表示面Dの輝度を測定せずに輝度ムラを補正することができる。
【0077】
また、本発明の第一の実施形態では、補正処理部322は、輝度ムラの原因が、表示している時間の経過とともに輝度の補正値が変化するものである場合に、表示している時間に応じて補正値を調節する調節システムを設定して輝度を補正する。
これにより、本発明の第一の実施形態に係る表示装置100は、表示している時間に応じて輝度の補正値が変化する場合であっても、輝度ムラを補正することができる。
【0078】
また、本発明の第一の実施形態では、学習データは、輝度ムラの原因と、輝度の補正値とをさらに含む。原因予測部331は、輝度ムラの原因の予測に使用した、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とを、予測側データ記憶部41に追加して記憶させる。さらに、原因予測部331は、輝度ムラが補正された場合には、輝度ムラの原因と輝度の補正値とを、予測側データ記憶部41に追加して記憶させるとともに、輝度ムラが補正されなかった場合には、輝度ムラの原因を予測側データ記憶部41に追加して記憶させる。予測側制御部30は、予測側データ記憶部41が記憶する、輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、補正情報(輝度ムラの原因と輝度の補正値)とを取得し、学習データとして、学習側データ記憶部211(学習データ記憶部の一例)に追加して記憶させる。学習部222は、学習側データ記憶部211が記憶する更新された学習データに基づき、機械学習によって、学習済みモデルを再生成する。
これにより、表示装置100は、更新された学習データに基づいて学習済みモデルを再生成することができるとともに、再生成された学習済みモデルを使用することによって、輝度ムラの原因の予測精度を向上することができる。
【0079】
また、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正システム1は、画像を表示する表示部10を備えた表示装置100と、表示装置100と通信可能な学習装置200とを備える。学習装置200は、学習側データ記憶部211と、学習部222とを備える。学習側データ記憶部211は、表示部10の表示面Dの輝度が不均一になる輝度ムラであって、過去に発生した輝度ムラの表示面Dにおける形状を表す輝度ムラの形状データと、表示部10の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データを記憶する。学習部222は、学習側データ記憶部211が記憶する学習データに基づき、機械学習によって、学習済みモデルを生成する。表示装置100は、入力処理部31と、予測側モデル記憶部42と、原因予測部331と、補正処理部322とを備える。入力処理部31は、表示部10の表示面Dの輝度が不均一になる輝度ムラの表示面Dにおける形状を表す輝度ムラの形状データを受け付ける。予測側モデル記憶部42は、過去に発生した輝度ムラの形状データと表示部10の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づき、機械学習によって生成された学習済みモデルであって、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とから輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶する。原因予測部331は、入力処理部31が受け付けた発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、予測側モデル記憶部42が記憶する学習済みモデルとに基づいて、発生中の輝度ムラの原因を予測する。補正処理部322は、原因予測部331が予測した輝度ムラの原因に基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
これにより、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正システム1は、上述した表示装置100と同様の効果を奏し、表示面Dの輝度を測定せずに輝度ムラを補正することができる。
【0080】
また、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正方法は、画像を表示する表示部10と、表示部10の表示面Dの輝度が不均一になる輝度ムラの表示面Dにおける形状を表す輝度ムラの形状データを受け付ける入力処理部31と、過去に発生した輝度ムラの形状データと表示部10の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づいて機械学習により生成された学習済みモデルであって、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とから輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶する予測側モデル記憶部42と、を備えた表示装置100の輝度補正方法であって、原因予測部が、入力部が受け付けた発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、モデル記憶部が記憶する学習済みモデルとに基づいて、輝度ムラの原因を予測し、補正処理部が、原因予測部が予測した輝度ムラの原因に基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
これにより、本発明の第一の実施形態に係る輝度補正方法は、上述した表示装置100と同様の効果を奏し、表示面Dの輝度を測定せずに輝度ムラを補正することができる。
【0081】
本実施形態において、補正情報予測部332が、原因予測部331により予測された輝度ムラの原因に基づき、原因・補正情報テーブルを参照して、輝度の補正方法と補正強度とを出力する例を説明したが、補正方法及び、補正強度の予測方法はこれに限定されるものではない。例えば、原因予測部331が、発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、学習済みモデルとに基づいて、輝度ムラの原因と、補正方法と、補正強度とを予測するようにしてもよい。
これにより、原因・補正情報テーブルの内容に依らず、補正方法と補正強度とを予測することができる。
【0082】
(第二の実施形態)
次に、図12を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第二の実施形態に係る表示装置300の構成を示す図である。上述した図1に示す第一の実施形態では、表示装置100の外部に備えられた学習装置200が学習済みモデルを生成する例を説明したが、第二の実施形態では、表示装置300が、学習済みモデルを生成する機能を備える場合の一例について説明する。
図12に示すように、第二の実施形態の表示装置300は、表示部10と、入力部20と、制御部30aと、記憶部40aとを含む。制御部30aは、入力処理部31と、表示処理部32と、予測部33と、モデル生成部34とを含む。
モデル生成部34は、取得部221と、学習部222と、性能判定部223とを含む。モデル生成部34は、記憶部40aが記憶する学習データと、機械学習アルゴリズムとに基づいて、機械学習により学習済みモデルを生成する。
記憶部40aは、予測側データ記憶部41と、予測側モデル記憶部42と、学習側データ記憶部211と、アルゴリズム記憶部212と、モデル記憶部42aとを含む。モデル記憶部42aは、モデル生成部34が作成し、予測部33が予測時に使用する、学習済みモデルを記憶する。記憶部40aは、制御部30aが使用する各種データを記憶する。具体的には、記憶部40aは、モデル生成部34が学習時に使用する学習データ及び機械学習アルゴリズムと、予測部33が予測時に使用する輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、学習済みモデルとを記憶する。
なお、符号が同じ構成については、図1と同じ機能を持つものとして以下の説明を省略した。
【0083】
以上説明したように、本発明の第二の実施形態に係る表示装置300は、第一の実施形態に係る表示装置100の輝度補正機能に加えて、学習済みモデルを生成する機能を備えているため、表示装置300は、外部の学習装置200を設けなくとも、上述した第一の実施形態に係る輝度補正システム1と同様の効果を奏し、表示面Dの輝度を測定せずに輝度ムラを補正することができる。
【0084】
また、本発明の第二の実施形態では、学習データは、輝度ムラの原因と、輝度の補正値とをさらに含む。原因予測部331は、輝度ムラの原因の予測に使用した、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とを、予測側データ記憶部41に追加して記憶させる。さらに、原因予測部331は、輝度ムラが補正された場合には、輝度ムラの原因と輝度の補正値とを、予測側データ記憶部41に追加して記憶させるとともに、輝度ムラが補正されなかった場合には、制御部30aは、予測側データ記憶部41が記憶する、輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、補正情報(輝度ムラの原因と輝度の補正値)とを取得し、学習データとして、学習側データ記憶部211(学習データ記憶部の一例)に追加して記憶させる。学習部222は、学習側データ記憶部211が記憶する更新された学習データに基づき、機械学習によって、学習済みモデルを再生成する。
これにより、表示装置300は、更新された学習データに基づいて学習済みモデルを再生成することができるとともに、再生成された学習済みモデルを使用することによって、輝度ムラの原因の予測精度を向上することができる。
【0085】
上述した実施形態における輝度補正処理をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0087】
(最小構成)
さらに、図13を参照して、本発明の実施形態による最小構成の表示装置について説明する。
図13は、本発明の実施形態による最小構成の表示装置を示す図である。表示装置400は、少なくとも、表示部410と、入力部420と、モデル記憶部430と、原因予測部440と、補正処理部450とを備えていればよい。
【0088】
表示部410は、表示面Dを有し、各種画像を表示面Dに表示する。入力部420は、表示部410の表示面Dの輝度が不均一になる輝度ムラの形状を表す輝度ムラの形状データを受け付ける。モデル記憶部430は、過去に発生した輝度ムラの形状データと、表示部410の特性に関する表示部特性情報とを少なくとも含む学習データに基づいて、機械学習により生成された学習済みモデルであって、輝度ムラの形状データと表示部特性情報とから輝度ムラの原因を予測する学習済みモデルを記憶する。原因予測部440は、入力部420が受け付けた発生中の輝度ムラの形状データと、表示部特性情報と、モデル記憶部430が記憶する学習済みモデルとに基づいて、輝度ムラの原因を予測する。補正処理部450は、原因予測部440が予測した輝度ムラの原因に基づいて、輝度ムラが低減されるように、表示面Dの輝度値を補正する。
【符号の説明】
【0089】
1…輝度補正システム、10…表示部、20…入力部、30…予測側制御部、31…入力処理部、32…表示処理部、33…予測部、40…予測側記憶部、100…表示装置、
200…学習装置、210…学習側記憶部、211…学習側データ記憶部、212…アルゴリズム記憶部、213…学習側モデル記憶部、220…学習側制御部、221…取得部、222…学習部、223…性能判定部、300…表示装置、311…位置座標演算部、312…入力情報処理部、321…UI制御部、322…補正処理部、331…原因予測部、30a…制御部、40a…記憶部、42a…モデル記憶部、400…表示装置、410…表示部、420…入力部、430…モデル記憶部、440…原因予測部、450…補正処理部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13