(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065982
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】船舶用の架台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B63B 35/34 20060101AFI20220421BHJP
B63C 1/02 20060101ALI20220421BHJP
B63B 21/00 20060101ALI20220421BHJP
B63B 21/50 20060101ALI20220421BHJP
E01D 18/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B63B35/34 B
B63C1/02 Z
B63B21/00 E
B63B21/50 B
E01D18/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174838
(22)【出願日】2020-10-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504414215
【氏名又は名称】村田油圧機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】村田 康平
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059BB10
(57)【要約】
【課題】船舶の持ち上げ高さを十分に確保することによって船舶を安全に係留できる、船舶用の架台昇降装置を提供する。
【解決手段】プラットフォーム2に配設される架台5を昇降させる船舶用の架台昇降装置6であって、架台5は、船舶7を載置する載置台部42と、載置台部42を支持する載置台支持部41とを有し、船舶用の架台昇降装置6は、載置台支持部41に接続される架台昇降アクチュエータ80を有し、架台昇降アクチュエータ80は、伸縮シリンダチューブ81と、伸縮シリンダチューブ81の内部に同心状に設けられた複数のピストンロッド82,83とを有するテレスコープ型の伸縮シリンダ80であり、テレスコープ型の伸縮シリンダ80を液圧で駆動することにより、船舶7が着水状態で係留される係留位置と、船舶7が海面上昇の影響を受けない退避位置との間での、架台5の昇降動作を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォームに配設される架台を昇降させる船舶用の架台昇降装置であって、
前記架台は、船舶を載置する載置台部と、前記載置台部を支持する載置台支持部とを有し、
前記船舶用の架台昇降装置は、前記載置台支持部に接続される架台昇降アクチュエータを有し、
前記架台昇降アクチュエータは、伸縮シリンダチューブと、前記伸縮シリンダチューブの内部に同心状に設けられた複数のピストンロッドとを有するテレスコープ型の伸縮シリンダであり、
前記テレスコープ型の伸縮シリンダを液圧で駆動することにより、前記船舶が着水状態で係留される係留位置と、前記船舶が海面上昇の影響を受けない退避位置との間での、前記架台の昇降動作を行うことを特徴とする、船舶用の架台昇降装置。
【請求項2】
前記プラットフォームの側板には固定側接続部が配設されるとともに、前記側板に対面する前記載置台支持部には可動側接続部が配設されて、
前記架台昇降アクチュエータが、前記側板および前記載置台支持部によって形成される側方間隙に配設され、
前記架台昇降アクチュエータの一端部が前記可動側接続部に接続され、前記架台昇降アクチュエータの他端部が前記固定側接続部に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項3】
前記伸縮シリンダが、前記ピストンロッドのヘッド側端部において前記ピストンロッドを突出させるためのヘッド側圧力室と、前記ピストンロッドの外周部において前記ピストンロッドを引っ込めるためのロッド側圧力室と、前記ヘッド側圧力室のそれぞれを連通するヘッド側連通路と、前記ロッド側圧力室のそれぞれを連通するロッド側連通路とを備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項4】
前記ロッド側連通路が、ロッド側貫通孔と、ヘッド側貫通孔と、前記ロッド側貫通孔および前記ヘッド側貫通孔を接続する接続通路とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項5】
前記ヘッド側連通路が、前記ピストンロッドのヘッド側端部を貫通する貫通孔であることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項6】
前記プラットフォームに設けられる架台ロック装置をさらに備え、
前記退避位置において、前記架台に設けられたテーパー形状の係合凹部に対して、前記架台ロック装置のテーパー形状の係合ピンが周面状に密着して係合することにより、前記架台がロック固定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項7】
前記載置台支持部が、前記プラットフォームに立設されるガイド柱によってガイドされることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項8】
前記プラットフォームが、洋上に立設される洋上構造物であることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項9】
前記プラットフォームが、自己昇降式の作業台船に設けられることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶用の架台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、架構体が、船舶の幅方向において離間した1対のフロートに架け渡されて、該架構体に設けられたウインチで駆動される船舶支持部材によって、船舶を吊り上げる浮船台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、架構体が、2本の柱部材と、該2本の柱部材の頂部を連結する梁部材とからなり、架構体は側面視で大略逆U字形状をしている。架構体の梁部材に設けられたウインチを用いて、船舶の船底に架け渡された船舶支持部材を巻き上げることによって、船舶が持ち上げられている。特許文献1では、海中の貝類や藻類が船底に付着しないことを目的に船舶を持ち上げているので、船舶の持ち上げ高さは、船底が海面から少し上方に位置する程度である。
【0005】
この程度の持ち上げ高さでは、高潮や津波などの海面上昇時には、船舶が転覆するおそれがある。しかしながら、特許文献1では、船舶の上甲板や船橋などが、逆U字形状をした架構体の梁部材に接触しないように船舶を持ち上げる必要があるので、船舶の持ち上げ高さを十分に確保できない。そのため、特許文献1では、高潮や津波などの海面上昇時において、船舶を安全に係留できないという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、船舶の持ち上げ高さを十分に確保することによって船舶を安全に係留できる、船舶用の架台昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る船舶用の架台昇降装置は、
プラットフォームに配設される架台を昇降させる船舶用の架台昇降装置であって、
前記架台は、船舶を載置する載置台部と、前記載置台部を支持する載置台支持部とを有し、
前記船舶用の架台昇降装置は、前記載置台支持部に接続される架台昇降アクチュエータを有し、
前記架台昇降アクチュエータは、伸縮シリンダチューブと、前記伸縮シリンダチューブの内部に同心状に設けられた複数のピストンロッドとを有するテレスコープ型の伸縮シリンダであり、
前記テレスコープ型の伸縮シリンダを液圧で駆動することにより、前記船舶が着水状態で係留される係留位置と、前記船舶が海面上昇の影響を受けない退避位置との間での、前記架台の昇降動作を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、テレスコープ型の伸縮シリンダを液圧で駆動することによって、上下方向の小さなスペースにもかかわらず大きなストロークが得られるので、船舶の持ち上げ高さを十分に確保できる。したがって、高潮や津波などの海面上昇時には、架台を係留位置から退避位置まで上昇させることによって船舶を安全に係留できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る船舶用の架台昇降装置が設けられたプラットフォームの一部分を示す平面図である。
【
図2】係留位置にある架台昇降装置を船幅方向の反プラットフォーム側から見たときの側面図である。
【
図3】
図2に示した架台昇降装置を船長方向から見たときの図である。
【
図4】退避位置にある架台昇降装置を船幅方向のプラットフォーム側から見たときの側面図である。
【
図5】
図4に示した架台昇降装置を船長方向から見たときの図である。
【
図6】
図1に示した架台昇降装置の架台昇降アクチュエータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る船舶用の架台昇降装置6の実施の形態を説明する。
【0011】
〔作業台船の全体構造〕
図1は、一実施形態に係る船舶用の架台昇降装置6が設けられたプラットフォーム2の一部分を示す平面図である。
【0012】
作業台船1は、洋上に設置される洋上構造物としてのプラットフォーム2と、上下の駆動手段としてのレグ昇降装置4と、支持柱としてのレグ3とを備える自己昇降式の作業台船(SEP:Self Elevating Platform)である。作業台船1は、船舶を停泊させる停泊施設として、洋上風力発電施設として、船舶を係留するための洋上構造物として、あるいは、海上ヘリポートとして使用される。プラットフォーム2の上には、船舶リフタや洋上風力タービンやクレーンなどが適宜に設置される。
【0013】
作業台船1を所定の据え付け地点まで曳航した後に、所定の据え付け地点において、レグ昇降装置4により、レグ3をプラットフォーム2に対して下方に相対移動させる。レグ3のレグ先端が海底9に押し込まれると、海底9からの反力を得ることができ、この反力によりプラットフォーム2を海面8よりも上方に上昇させることができる。プラットフォーム2は、波浪の影響を受けない高さ(例えば約10m)まで持ち上げられる。この状態を保持することにより、自己昇降式のプラットフォーム2が海洋に立設される。海面8よりも高い位置に自己昇降式のプラットフォーム2を立設することにより、プラットフォーム2は、波浪などの影響を受けにくくなり、揺動しにくくなる。
【0014】
プラットフォーム2は、高さが低い略直方体形状をしており、上方から見ると略長方形であり、上板21、底板22、側板23および隔壁板24を備える。プラットフォーム2は、例えば、縦120m×横40m×高さ6mである。プラットフォーム2では、例えば、一側に2隻および他側に2隻の合計4隻の800トンクラスの船舶7を係留させることができる。
【0015】
プラットフォーム2の高さ方向(上下方向)に貫通したガイド穴が、プラットフォーム2の四隅に形成される。ガイド穴は、例えば角形のレグ3がガイド穴を上下方向に挿通できるように、例えば角形状をしている。上板21と底板22と側板23とで囲まれる内部空間は、複数の隔壁板24によって間仕切りされる。
【0016】
プラットフォーム2の内部空間は、水密構造になっており、この水密構造によってプラットフォーム2は浮力を得ることができ、作業台船1全体が水に浮くことができる。したがって、作業台船1が海面8に浮上した状態で、作業台船1を曳航して据え付け地点まで移動させることができる。また、作業台船1は、スクリュープロペラなどの推進装置を備えることによって、自航して据え付け地点まで移動する態様にすることもできる。
【0017】
図1に示すように、レグ昇降装置4は、レグ昇降ユニットとして、プラットフォーム2の各コーナー部に形成されたガイド穴を取り囲むように、プラットフォーム2に取り付けられる。レグ昇降装置4は、レグ昇降ユニットの上端に設けられたフランジによって、プラットフォーム2の上板21に形成された係止段部に係止されて、上板21と面一に取り付けられる。当該構成によれば、作業者は、プラットフォーム2の上板21の上で安全に作業できる。
【0018】
〔レグの構造〕
図1から
図3に示すように、プラットフォーム2を支持するレグ3は、中空の角柱(断面が、例えば略正方形)の鋼管であり、例えば、一辺が3mであり、長さが50mのサイズである。
【0019】
レグ3は、対向する2面の係合面31を有し、2面の係合面31の幅方向中央には、それぞれ、複数のテーパー形状のレグ係合凹部35がレグ3の長手方向に形成されている。レグ係合凹部35は、レグ3の長手直交方向(横方向)に貫通していない。好ましくは、複数のレグ係合凹部35が、レグ3の長手方向に連続的に形成される。当該構成によれば、レグ3を上下方向に微少量で相対移動させることができるので、微小な位置合わせを行うことができる。レグ係合凹部35は、正面視で円形状をしているとともに、断面視でレグ3の内側に向けて先細のテーパー形状(台形状)をしている。レグ係合凹部35は、例えば、挿入開口径が500mm、湾曲部が100mm、ピッチが600mmのサイズである。
【0020】
〔レグ昇降装置の構造〕
各レグ昇降装置4は、ロック装置50して働く上側ロック装置50aおよび下側ロック装置50bと、レグ昇降シリンダ60とを備える。上側ロック装置50aは、ブラケットを介して可動ベースに取り付けられて、レグ3の長手方向(上下方向)に可動である。下側ロック装置50bは、ブラケットを介して固定ベースに取り付けられて、レグ3の長手方向(上下方向)に不動であり且つ固定である。固定ベースは、プラットフォーム2の上板21に固定される。
【0021】
レグ3をロック固定するために、上側ロック装置50aおよび下側ロック装置50bが、各係合面31に対向するように配設される。上側ロック装置50aおよび下側ロック装置50bは、それぞれ、或るレグ3の周囲に一側および他側に配設される。すなわち、一側の係合面31の側に上下一対のレグ昇降シリンダ60がレグ3の長手方向(上下方向)に離間して配設され、他側の係合面31の側に上下一対のレグ昇降シリンダ60がレグ3の長手方向(上下方向)に離間して配設される。上側ロック装置50aおよび下側ロック装置50bは、それぞれ、シリンダとピストンロッドとピストンと係合ピンとを有する。係合ピンは、先細のテーパー形状を有する。上側ロック装置50aおよび下側ロック装置50bの係合ピンが、突出することにより、レグ3に形成されたレグ係合凹部35に圧入されて係合する。これにより、レグ3がロック固定される。
【0022】
〔架台の構造〕
架台5は、載置台支持部41と、載置台部42とを備え、
図3に示すように、側面視で略L字形状をしている。載置台支持部41は、プラットフォーム2の側板23に対面して、上下方向に延びる板形状をしている。載置台支持部41は、プラットフォーム2の側において、プラットフォーム2に向けて突出した左右一対の縦フレーム部43および左右一対の可動側接続部44を有する。
【0023】
載置台部42は、載置台支持部41の船舶7の側から横方向(水平方向)に延びる板形状をしている。
図2および
図3に示す係留位置では、載置台部42は、例えば、海面8から約5m低いところに位置するとともに、船舶7の船底から離間している。載置台支持部41の上昇に伴って、載置台部42は、船舶7を載置し且つ船舶7の船底を支持するようになる。
図4および
図5に示す退避位置では、載置台部42は、例えば、海面8から約10mの高さに位置する。したがって、載置台部42は、船舶7が着水状態で係留される係留位置と、船舶7が海面8の上昇の影響を受けない退避位置との間で移動して、退避位置と係留位置との間には、例えば、約15mの高低差がある。
【0024】
〔架台昇降装置の構造〕
架台昇降装置6は、大別すると、架台5を昇降させるための構成と、昇降する架台5をガイドするための構成と、架台5をロック固定するための構成と、架台5を昇降させるアクチュエータの構成とを有する。以下、
図2から
図6を参照しながら、上記構成を説明する。
【0025】
図2および
図3は、船舶7が着水状態で係留される係留位置にあるときの架台昇降装置6を示し、
図4および
図5は、船舶7が海面8の上昇の影響を受けない退避位置にあるときの架台昇降装置6を示す。
【0026】
架台昇降装置6は、プラットフォーム2の側方に設けられて、船舶7を載置し且つ支持する架台5を昇降させる。架台昇降装置6は、架台5およびプラットフォーム2を接続する可動側接続部44および固定側接続部48と、複数の支持軸47およびローラ部47bと、一対のガイド柱45と、架台係合凹部75と、架台ロック装置50cと、架台昇降アクチュエータ80とを備える。
【0027】
架台5に設けられる可動側接続部44と、プラットフォーム2に設けられる固定側接続部48とは、架台5をプラットフォーム2に対して昇降させるための構成に対応する。複数の支持軸47およびローラ部47bと、一対のガイド柱45とは、昇降する架台5をガイドするための構成に対応する。架台係合凹部75と、架台ロック装置50cとは、架台5をロック固定するための構成に対応する。架台昇降アクチュエータ80は、架台5を昇降させるアクチュエータの構成に対応する。以下、架台昇降装置6における各構成を説明する。
【0028】
〔架台をプラットフォームに対して昇降させるための構成〕
架台5の載置台支持部41の上部であって側板23に対面する面には、可動側接続部44が配設される。可動側接続部44は、一対のガイド柱45,45で挟まれる領域から外れた位置に配設される。他方、プラットフォーム2の側板23であって載置台支持部41に対面する面には、固定側接続部48が配設される。
【0029】
可動側接続部44および固定側接続部48に対して架台昇降アクチュエータ80が接続される。架台昇降アクチュエータ80が伸縮動作することにより、可動側接続部44が固定側接続部48に対して上下方向に移動して、架台5がプラットフォーム2に対して昇降する。
【0030】
〔昇降する架台をガイドするための構成〕
架台5の載置台支持部41に設けられる縦フレーム部43は、上下方向に延びて、一対のガイド柱45,45で挟まれる領域に配置される。縦フレーム部43は、支持軸47を挿通するための複数の支持穴を有する。複数の支持穴は、縦フレーム部43において、上下方向に離間して配置される。
【0031】
プラットフォーム2に立設されるガイド柱45は、上下方向に延びる柱形状をしている。ガイド柱45は、プラットフォーム2の上板21に対して斜めに立設された補強柱46で支持される。ガイド柱45は、平面視でU字形状をしていて、対向する内側が開口したガイド溝45aを有する。支持軸47は、載置台支持部41の縦フレーム部43に形成された支持穴によって軸支される。支持軸47のローラ部47bは、ガイド柱45のガイド溝45aにガイドされる。したがって、架台5の載置台支持部41は、ガイド柱45に沿って上下方向に移動できる。当該構成によれば、船舶7を載置台部42に載置した状態での架台5を安定して昇降できる。
【0032】
プラットフォーム2の側板23および載置台支持部41の間には、側方間隙27が形成される。縦フレーム部43、可動側接続部44、固定側接続部48および架台昇降アクチュエータ80は、それぞれ、側方間隙27に配設される。これにより、プラットフォーム2の上板21には、架台5を昇降させるための各種構成要素が配設されること無く、或る大きさの空間が確保されるので、作業者は、プラットフォーム2の上板21の上で安全に作業できる。
【0033】
〔架台をロック固定するための構成〕
縦フレーム部43には、支持穴と重ならない位置にテーパー形状の架台係合凹部75が複数形成される。複数の架台係合凹部75は、縦フレーム部43の上下方向に離間して配置される。架台係合凹部75は、正面視で円形を有するとともに、断面視で縦フレーム部43の外側に向けて先細で有底のテーパー形状(台形状)を有する。架台係合凹部75は、例えば、挿入開口径が500mm、ピッチが3000mmのサイズである。
【0034】
昇降した架台5をロック固定するための架台ロック装置50cが、プラットフォーム2の上板21に配設されている。架台ロック装置50cは、ロック装置50として働き、上述した上側ロック装置50aおよび下側ロック装置50bと同じ構成を有する。
【0035】
架台ロック装置50cは、シリンダとピストンロッドとピストンと係合ピンとを有する。係合ピンは、大略円錐台形状をしているテーパー形状の係合ピンである。すなわち、係合ピンは、正面視で円形状をしているとともに、断面視で架台係合凹部75に向けて先細のテーパー形状(台形状)にピン先端の山型形状を加えた形状をしている。架台ロック装置50cは、シール部材を有するシール構造により水密に構成されている。
【0036】
架台ロック装置50cは、ピストンを作動液(例えば作動油)で駆動して、ピストンの先端に取り付けられた係合ピンを、水平方向(横方向)に駆動する。係合ピンを、縦フレーム部43に形成された架台係合凹部75に向けて駆動すると、テーパー形状の係合ピンが、突出してテーパー形状の架台係合凹部75に圧入されて係合する。このとき、係合ピンの係合凸面が、架台係合凹部75の係合凹面に対して周面状に密着して係合する。これにより、係合ピンと架台係合凹部75との間での係合接触面積が大きくなるとともに、係合ピンと架台係合凹部75との間での係合の位置決めが容易になるので、架台ロック装置50cによる架台5のロック固定を確実に行うことができる。係合ピンを、架台係合凹部75から離れるように駆動すると、係合ピンが引っ込んで架台係合凹部75に対して非係合になる。このとき、係合ピンの係合凸面が、架台係合凹部75の係合凹面に対して非係合になる。
【0037】
係合ピンの係合凸面の勾配が、架台係合凹部75の係合凹面の勾配よりも大きいように構成されている。例えば、係合凸面の勾配が15度であり、係合凹面の勾配が14度である。言い換えると、係合凸面のテーパー角度が30度であり、係合凹面のテーパー角度が28度である。当該構成によれば、係合凸面が係合凹面の外側の挿入開口部分で係合するので、係合ピンが架台係合凹部75との摩耗によって縮径しても、係合ピンが架台係合凹部75の内側に向けてさらに突出して圧入することができるので、架台ロック装置50cを長期間使用できる。
【0038】
係合状態において、係合ピンのピン先端と、縦フレーム部43に形成された架台係合凹部75の奥側部分との間で隙間を有するように構成されている。当該構成によれば、係合ピンが架台係合凹部75との摩耗によって縮径しても、係合ピンが架台係合凹部75の奥側に向けてさらに突出して圧入することができるので、架台ロック装置50cを長期間使用できる。
【0039】
〔架台を昇降させるアクチュエータの構成〕
図6は、架台昇降アクチュエータ80の断面図である。架台5を係留位置および退避位置の間で昇降させるために、
図6に示す伸縮シリンダ80が設けられている。伸縮シリンダ80は、架台昇降アクチュエータ80として働き、図示しない液圧発生装置からの液圧(例えば油圧)によって駆動される。伸縮シリンダ80の一端部87が可動側接続部44に接続され、架台昇降アクチュエータ80の他端部88が固定側接続部48に接続される。したがって、伸縮シリンダ80が突出すると、架台5が上昇状態になり、載置台部42の高さが高くなる。他方、伸縮シリンダ80が引っ込むと、架台5が下降状態になり、載置台部42の高さが低くなる。
【0040】
架台昇降アクチュエータ80は、油圧などの液圧で駆動されるテレスコープ型の(telescopic)伸縮シリンダ80である。架台昇降アクチュエータ80の一端部87が可動側接続部44に回動自在に接続され、架台昇降アクチュエータ80の他端部88が固定側接続部48に回動自在に接続される。テレスコープ型の伸縮シリンダ80を液圧で駆動することにより、架台5が係留位置および退避位置の間で昇降する。
【0041】
図6に示すように、伸縮シリンダ80は、伸縮シリンダチューブ81と、伸縮シリンダチューブ81の内部に同心状に設けられた複数のピストンロッド82,83とを備えるテレスコープ型である。伸縮シリンダ80は、例えば、第1ピストンロッド82と、第2ピストンロッド83とを備える。
【0042】
伸縮シリンダ80の外殻を形成する円筒状の伸縮シリンダチューブ81のヘッド側(
図6の左側)である基端側では、端部カバー81cによって、伸縮シリンダチューブ81の基端が閉塞されている。伸縮シリンダチューブ81のロッド側(
図6の右側)である先端側は、開放されている。
【0043】
伸縮シリンダチューブ81の内側には、二重円筒状の第1ピストンロッド82がシリンダ軸方向に移動可能に挿入される。第1ピストンロッド82の内側には、二重円筒状の第2ピストンロッド83がシリンダ軸方向に移動可能に挿入される。したがって、本実施形態の伸縮シリンダ80は、第1ピストンロッド82および第2ピストンロッド83が、伸縮シリンダチューブ81内に同心状に組み込まれたテレスコープ型の多段シリンダである。当該構成によれば、伸縮シリンダチューブ81の軸方向長さを抑えながらピストンロッド82,83の段数を増やすことが容易であり、伸縮シリンダ80の上下方向の小さなスペースにもかかわらず大きなストロークが得られる。伸縮シリンダ80は、各ピストンロッド82,83の突出により、
図2において点線で示す引っ込み状態から、
図4において実線で示す突出状態になる。
【0044】
第1ピストンロッド82および第2ピストンロッド83の各基端側では、それぞれ、第1ヘッド側圧力室91および第2ヘッド側圧力室92が形成される。
【0045】
第1ピストンロッド82は、第1ピストン82aと、第1シリンダチューブ82bと、第1端部カバー82cとを有する。第1ピストン82aの外周部には、公知のシール部材が装着される。
【0046】
第2ピストンロッド83は、第2ピストン83aと、第2端部カバー83cとを有する。第2ピストン83aの外周部には、公知のシール部材が装着される。
【0047】
伸縮シリンダチューブ81、第1ピストンロッド82および第2ピストンロッド83は、それぞれ、例えば、鋼製である。例示として、第1ピストンロッド82および第2ピストンロッド83の各シリンダストロークは、約7.5mであり、伸縮シリンダ80の伸縮長さは、約15mである。また、例示として、伸縮シリンダチューブ81の内径は約170mmであり、第1ピストンロッド82の外径は約150mmであり、第1シリンダチューブ82bの内径は約100mmであり、第2ピストンロッド83の外径は約85mmのサイズである。
【0048】
端部カバー81cの基端側には、ヘッド側ポート85が形成されており、作動液(作動油)の供給および排出が行われる配管(図示しない)が接続される。ヘッド側ポート85は、第1貫通孔95を介して、第1ヘッド側圧力室91に連通している。第1ヘッド側圧力室91は、第2貫通孔96を介して、第2ヘッド側圧力室92に連通している。
【0049】
したがって、第1ヘッド側圧力室91は、第2貫通孔96を介して、第2ヘッド側圧力室92に連通している。なお、第1ヘッド側圧力室91および第2ヘッド側圧力室92は、ヘッド側圧力室として働く。
【0050】
当該構成によれば、簡易な構造で、ヘッド側圧力室91,92は、相互に連通できる。
【0051】
ピストンロッド82,83が引っ込んでいる状態で、第1ヘッド側圧力室91に液圧を印加すると、第1ヘッド側圧力室91を拡張させるとともに、第2ヘッド側圧力室92を拡張させる。ヘッド側圧力室91,92の拡張により、各ピストンロッド82,83が突出するので、伸縮シリンダ80が突出状態になる。
【0052】
伸縮シリンダチューブ81と第1ピストンロッド82との間には、第1ロッド側圧力室101が形成される。第1ピストンロッド82と第2ピストンロッド83との間には、第2ロッド側圧力室102が形成される。
【0053】
伸縮シリンダチューブ81の外周部には、ロッド側ポート86を有するロッド側配管が接続されており、ロッド側配管を介して作動液(作動油)の供給および排出が行われる。ロッド側ポート86は、ロッド側配管および外貫通孔98を介して、第1ロッド側圧力室101に連通している。
【0054】
第1ピストンロッド82は、第1外筒および第1内筒からなる二重円筒構造をしている。当該二重円筒構造においては、第1ロッド側連通路105が形成されている。第1ロッド側連通路105は、基端側の外側に位置する第1ヘッド側貫通孔105bと、先端側の内側に位置する第1ロッド側貫通孔105cと、第1ヘッド側貫通孔105bおよび第1ロッド側貫通孔105cを連通する第1接続通路105aとから構成される。外貫通孔98は、第1ロッド側圧力室101を介して、第1ヘッド側貫通孔105bに連通している。
【0055】
したがって、第1ロッド側圧力室101は、第1ロッド側連通路105を介して、第2ロッド側圧力室102に連通している。なお、第1ロッド側圧力室101および第2ロッド側圧力室102は、ロッド側圧力室として働く。
【0056】
ピストンロッド82,83が、突出している状態では、ロッド側圧力室101,102の内容積が小さくなっている。また、第1ロッド側連通路105が、第1ロッド側貫通孔105cと、第1ヘッド側貫通孔105bと、第1ロッド側貫通孔105cおよび第1ヘッド側貫通孔105bを接続する第1接続通路105aとを備える。
【0057】
第1ロッド側圧力室101に液圧を印加すると、第1ロッド側圧力室101を拡張させるとともに、第1接続通路105aを介して、第2ロッド側圧力室102を拡張させる。ロッド側圧力室101,102の拡張により、各ピストンロッド82,83が引っ込むので、伸縮シリンダ80が引っ込み状態になる。当該構成によれば、伸縮シリンダ80が液圧で引っ込み動作を行うので、各ピストンロッド82,83の自重で引っ込み動作を行うような他の構成よりも、確実に且つ強力に引っ込み動作を行うことができる。特に、自重による引っ込み動作が機能しない場合において、効果的である。
【0058】
第1ロッド側圧力室101においては、第1突条111が第1シリンダチューブ82bの基端側に設けられるとともに、第1ストッパ112が伸縮シリンダチューブ81の先端側に設けられる。第1突条111が第1ストッパ112に当接すると、第1ピストンロッド82の突出動作が停止する。
【0059】
第2ロッド側圧力室102においては、第2突条113が第2ピストン83aの基端側に設けられるとともに、第2ストッパ114が第1シリンダチューブ82bの先端側に設けられる。第2突条113が第2ストッパ114に当接すると、第2ピストンロッド83の突出動作が停止する。
【0060】
伸縮シリンダ80には、図示しない液圧回路が接続される。液圧回路は、ヘッド側配管、ロッド側配管、制御弁としての方向切換弁、ポンプおよびタンクなどを有する。ヘッド側配管の一端は、ヘッド側ポート85に接続され、ロッド側配管の一端は、ロッド側ポート86に接続される。ヘッド側配管およびロッド側配管の各他端は、方向切換弁に接続される。方向切換弁にはポンプとタンクとが接続されて、ヘッド側配管とロッド側配管とが方向切換弁を介してポンプまたはタンクに選択的に接続される。すなわち、方向切換弁は、中立位置と、ヘッド側の切換位置と、ロッド側の切換位置とに切り換え可能となっている。中立位置では、ヘッド側配管およびロッド側配管を、ポンプにも接続せず、またタンクにも接続しない。ヘッド側の切換位置では、ヘッド側配管をポンプに接続するとともにロッド側配管をタンクに接続する。ロッド側の切換位置では、ヘッド側配管をタンクに接続するとともにロッド側配管をポンプに接続する。
【0061】
次に、伸縮シリンダ80の伸縮動作について説明する。
【0062】
方向切換弁をヘッド側の切換位置にすることにより、各ピストンロッド82,83が引っ込んだ伸縮シリンダ80の引っ込み状態において、作動液(例えば作動油)がヘッド側ポート85から供給される。作動液が第1貫通孔95を介して第1ヘッド側圧力室91などに供給され、各ピストンロッド82,83が一体的に突出動作を行うが、始めのうちは、受圧面積の大きい第1ピストンロッド82の突出動作が主となる。第1突条111が第1ストッパ112に当接することにより、第1ピストンロッド82の突出動作が停止する。
【0063】
続いて、受圧面積の大きい第2ピストンロッド83の突出動作が主となり、第2突条113が第2ストッパ114に当接することにより、第2ピストンロッド83の突出動作が停止する。その結果、伸縮シリンダ80は、最も突出した状態になる。なお、ロッド側ポート86から排出された作動液は、タンクで回収される。
【0064】
方向切換弁をロッド側の切換位置にすることにより、各ピストンロッド82,83が突出した伸縮シリンダ80の突出状態において、作動液(例えば作動油)がロッド側ポート86から供給される。作動液が外貫通孔98を介して第1ロッド側圧力室101などに供給され、各ピストンロッド82,83が一体的に引っ込み動作を行うが、始めのうちは、受圧面積の大きい第1ピストンロッド82の引っ込み動作が主となる。第1ヘッド側圧力室91に貯留された作動液が、ヘッド側ポート85から排出され、第1端部カバー82cが端部カバー81cに当接することにより、第1ピストンロッド82の引っ込み動作が停止する。
【0065】
続いて、受圧面積の大きい第2ピストンロッド83の引っ込み動作が主となり、第2ヘッド側圧力室92に貯留された作動液がヘッド側ポート85から排出され、第2端部カバー83cが第1端部カバー82cに当接することにより、第2ピストンロッド83の引っ込み動作が停止する。その結果、伸縮シリンダ80は、最も引っ込んだ状態になる。なお、ヘッド側ポート85から排出された作動液は、タンクで回収される。
【0066】
上記構成によれば、ヘッド側圧力室91,92に液圧を印加することにより、ピストンロッド82,83が、順次、突出動作を行い、ロッド側圧力室101,102に液圧を印加することにより、ピストンロッド82,83が、順次、引っ込み動作を行うので、伸縮シリンダ80の伸縮動作を容易に切り替えることができる。
【0067】
架台ロック装置50cによって架台5がロック固定されるとともに、各ピストンロッド82,83が突出することにより退避位置にある架台5が、大きな外力(例えば風力)を受けることによって、伸縮シリンダ80が揺動したり、ねじれたりすることがある。このようなとき、各ピストンロッド82,83への過大な負荷が作用することを防止するため、方向切換弁を中立位置にすることにより、ヘッド側配管およびロッド側配管の液圧がポンプ及びタンクから切り離される。これにより、ヘッド側圧力室91,92およびロッド側圧力室101,102に対する作動液の供給または排出が行われず、液圧の印加されていない状態で、伸縮シリンダ80および架台5の退避位置が維持される。したがって、大きな外力が作用しても、外力が緩衝されることによって、伸縮シリンダ80の破損を防止できる。
【0068】
プラットフォーム2の側板23に対面する載置台支持部41には可動側接続部44が配設され、伸縮シリンダ80の一端部87は可動側接続部44の可動側軸部44aで軸支される。それとともに、プラットフォーム2の側板23には固定側接続部48が配設され、伸縮シリンダ80の他端部88は固定側接続部48の固定側軸部48aで軸支される。これにより、プラットフォーム2に対する架台5の揺動やねじれによる、伸縮シリンダ80の破損を防止できる。
【0069】
そして、架台昇降アクチュエータ80の駆動によってピストンロッド82,83が突出すると、可動側接続部44が上昇し、それにより載置台支持部41が上昇する。すなわち、ピストンロッド82,83の突出により、架台5の載置台部42が上昇する。架台5の載置台部42は、海面上昇の影響を受けない高さ(例えば海面8から約10mの高さ)の退避位置に持ち上げられる。逆に、架台昇降アクチュエータ80の駆動によってピストンロッド82,83が引っ込むと、可動側接続部44が下降し、これにより載置台支持部41が下降する。すなわち、ピストンロッド82,83の引っ込みにより、架台5の載置台部42が下降する。
【0070】
伸縮シリンダ80は、例えば、それぞれが約7.5mのストロークを有する第1ピストンロッド82および第2ピストンロッド83が、約7.5mの軸方向長さを有する伸縮シリンダチューブ81内に同心状に組み込まれたテレスコープ型の2段シリンダである。この場合、伸縮シリンダチューブ81の軸方向長さに対応する上下方向の小さなスペース(例えば、約7.5mの高さ)を確保するだけで、約15mという大きなストロークが得られる。したがって、上下方向の小さなスペースにもかかわらず大きなストロークが得られるので、船舶の持ち上げ高さを十分に確保できる。
【0071】
以上のように、可動側接続部44を架台昇降アクチュエータ80で昇降させると、架台5の載置台部42が昇降することにより、船舶7が着水状態で係留される係留位置と、船舶7が海面上昇の影響を受けない退避位置との間で架台5が昇降する。架台昇降アクチュエータ80で可動側接続部44を上昇させると載置台部42が上昇することによって、架台5が係留位置から退避位置まで上昇する。したがって、高潮や津波などの海面上昇時には、船舶の持ち上げ高さを十分に確保することによって船舶7を安全に係留できる。
【0072】
特に、プラットフォーム2が、洋上に設置される洋上構造物である場合、高潮や津波などの海面上昇時において、船舶7を退避位置にて洋上構造物で係留でき、洋上構造物から一時的に離れたあと再び洋上構造物に戻るという避難行動が不要になる。
【0073】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0074】
伸縮シリンダ80におけるピストンロッド82,83の段数を3段以上に増やすことができる。ピストンロッド82,83の段数を例えば3段にすれば、同じストローク(約15mのストローク)を得る場合であっても、伸縮シリンダチューブ81の軸方向長さやピストンロッドのストロークを例えば約5mにすればよいので、伸縮シリンダ80の上下方向スペースをより小さくできる。
【0075】
可動側接続部44、固定側接続部48および伸縮シリンダ80は、プラットフォームの上板21の上に位置するように配設してもよい。
【0076】
レグ3は、プラットフォーム2の4つのコーナー部に配置される4本のみに限定されず、コーナー部の間に配置されてトータルで6本や8本などから構成されてもよい。また、レグ3の高さや径などは、プラットフォーム2の大きさなどによって適宜に決定できる。なお、プラットフォーム2のサイズが大きくて、レグ3のみでプラットフォーム2を十分に支持できない場合には、図示しない杭をレグ3の間に投入して設置することもできる。レグ3および杭でプラットフォーム2を支持した状態で、レグ3を杭に置換して、置換したレグ3を別の作業台船1に使用することもできる。このとき、レグ3の配置されていたガイド穴にも、杭を投入して設置することができる。
【0077】
複数の架台係合凹部75が、縦フレーム部43の上下方向に連続的に形成されてもよい。当該構成によれば、載置台支持部41を上下方向に僅かに移動させることによって、架台5の垂直方向の位置(高さ)を容易に決めることができる。また、複数の架台係合凹部75の形成場所は、縦フレーム部43に限られない。複数の架台係合凹部75は、架台5の載置台支持部41のいずれかの部分において、上下方向に形成されていればよい。
【0078】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0079】
この発明の一態様に係る船舶用の架台昇降装置6は、
プラットフォーム2に配設される架台5を昇降させる船舶用の架台昇降装置6であって、
前記架台5は、船舶7を載置する載置台部42と、前記載置台部42を支持する載置台支持部41とを有し、
前記船舶用の架台昇降装置6は、前記載置台支持部41に接続される架台昇降アクチュエータ80を有し、
前記架台昇降アクチュエータ80は、伸縮シリンダチューブ81と、前記伸縮シリンダチューブ81の内部に同心状に設けられた複数のピストンロッド82,83とを有するテレスコープ型の伸縮シリンダ80であり、
前記テレスコープ型の伸縮シリンダ80を液圧で駆動することにより、前記船舶7が着水状態で係留される係留位置と、前記船舶7が海面上昇の影響を受けない退避位置との間での、前記架台5の昇降動作を行うことを特徴とする。
【0080】
上記構成によれば、テレスコープ型の伸縮シリンダ80を液圧で駆動することによって、上下方向の小さなスペースにもかかわらず大きなストロークが得られるので、船舶7の持ち上げ高さを十分に確保できる。したがって、高潮や津波などの海面上昇時には、架台5を係留位置から退避位置まで上昇させることによって船舶7を安全に係留できる。
【0081】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記プラットフォーム2の側板23には固定側接続部48が配設されるとともに、前記側板23に対面する前記載置台支持部41には可動側接続部44が配設されて、
前記架台昇降アクチュエータ80が、前記側板23および前記載置台支持部41によって形成される側方間隙27に配設され、
前記架台昇降アクチュエータ80の一端部87が前記可動側接続部44に接続され、前記架台昇降アクチュエータ80の他端部88が前記固定側接続部48に接続される。
【0082】
上記実施形態によれば、プラットフォーム2の上板21には、架台5を昇降させるための各種構成要素が配設されること無く、或る大きさの空間が確保されるので、作業者は、プラットフォーム2の上板21の上で安全に作業できる。
【0083】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記伸縮シリンダ80が、前記ピストンロッド82,83のヘッド側端部において前記ピストンロッド82,83を突出させるためのヘッド側圧力室91,92と、前記ピストンロッド82,83の外周部において前記ピストンロッド82,83を引っ込めるためのロッド側圧力室101,102と、前記ヘッド側圧力室91,92のそれぞれを連通するヘッド側連通路96と、前記ロッド側圧力室101,102のそれぞれを連通するロッド側連通路105とを備える。
【0084】
上記実施形態によれば、ヘッド側圧力室91,92に液圧を印加することにより、ピストンロッド82,83が、順次、突出動作を行い、ロッド側圧力室101,102に液圧を印加することにより、ピストンロッド82,83が、順次、引っ込み動作を行うので、伸縮シリンダ80の伸縮動作を容易に切り替えることができる。
【0085】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記ロッド側連通路105が、ロッド側貫通孔105cと、ヘッド側貫通孔105bと、前記ロッド側貫通孔105cおよび前記ヘッド側貫通孔105bを接続する接続通路105aとを備える。
【0086】
上記実施形態によれば、伸縮シリンダ80が液圧で引っ込み動作するので、各ピストンロッド82,83の自重で引っ込み動作するような他の構成よりも、確実に且つ強力に引っ込み動作を行うことができる。
【0087】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記ヘッド側連通路96が、前記ピストンロッド82,83のヘッド側端部を貫通する貫通孔96である。
【0088】
上記実施形態によれば、簡易な構造で、ヘッド側圧力室91,92は、相互に連通できる。
【0089】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記プラットフォーム2に設けられる架台ロック装置50cをさらに備え、
前記退避位置において、前記架台5に設けられたテーパー形状の架台係合凹部75に対して、前記架台ロック装置50cのテーパー形状の係合ピンが周面状に密着して係合することにより、前記架台5がロック固定される。
【0090】
上記実施形態によれば、架台ロック装置50cの係合ピンが架台5の架台係合凹部75と容易に係合するとともに、係合ピンと架台係合凹部75との間での係合接触面積が大きくなるので、架台ロック装置50cによるロック固定を確実に行うことができる。
【0091】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記載置台支持部41が、前記プラットフォーム2に立設されるガイド柱45によってガイドされる。
【0092】
上記実施形態によれば、船舶7を載置台部42に載置した状態での架台5を安定して昇降できる。
【0093】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記プラットフォーム2が、洋上に立設される洋上構造物である。
【0094】
上記実施形態によれば、高潮や津波などの海面上昇時において、船舶7を退避位置にて洋上構造物で係留でき、洋上構造物から一時的に離れたあと再び洋上構造物に戻るという避難行動が不要になる。
【0095】
また、一実施形態の船舶用の架台昇降装置6では、
前記プラットフォーム2が、自己昇降式の作業台船に設けられる。
【0096】
上記実施形態によれば、海面8よりも高い位置にプラットフォーム2を立設することにより、プラットフォーム2は、波浪などの影響を受けにくくなり、動揺しにくくなる。
【符号の説明】
【0097】
1…作業台船
2…プラットフォーム
3…レグ
4…レグ昇降装置
5…架台
6…架台昇降装置
7…船舶
8…海面
9…海底
21…上板
22…底板
23…側板
24…隔壁板
27…側方間隙
31…係合面
35…レグ係合凹部
41…載置台支持部
42…載置台部
43…縦フレーム部
44…可動側接続部
44a…可動側軸部
45…ガイド柱
45a…ガイド溝
46…補強柱
47…支持軸
47a…軸部
47b…ローラ部
48…固定側接続部
48a…固定側軸部
50…ロック装置
50a…上側ロック装置
50b…下側ロック装置
50c…架台ロック装置
60…レグ昇降シリンダ
75…架台係合凹部
80…伸縮シリンダ(架台昇降アクチュエータ)
81…伸縮シリンダチューブ
81c…端部カバー
82…第1ピストンロッド(ピストンロッド)
82a…第1ピストン
82b…第1シリンダチューブ
82c…第1端部カバー
83…第2ピストンロッド(ピストンロッド)
83a…第2ピストン
83b…第2シリンダチューブ
83c…第2端部カバー
85…ヘッド側ポート
86…ロッド側ポート
87…一端部
88…他端部
91…第1ヘッド側圧力室(ヘッド側圧力室)
92…第2ヘッド側圧力室(ヘッド側圧力室)
95…第1貫通孔
96…第2貫通孔(ヘッド側連通路)
98…外貫通孔
101…第1ロッド側圧力室(ロッド側圧力室)
102…第2ロッド側圧力室(ロッド側圧力室)
105…第1ロッド側連通路(ロッド側連通路)
105a…第1接続通路(接続通路)
105b…第1ヘッド側貫通孔(ヘッド側連通孔)
105c…第1ロッド側貫通孔(ロッド側連通孔)
111…第1突条
112…第1ストッパ
113…第2突条
114…第2ストッパ
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォームに配設される架台を昇降させる船舶用の架台昇降装置であって、
前記架台は、船舶を載置する載置台部と、前記載置台部を支持する載置台支持部とを有し、
前記船舶用の架台昇降装置は、前記載置台支持部に接続される架台昇降アクチュエータを有し、
前記架台昇降アクチュエータは、伸縮シリンダチューブと、前記伸縮シリンダチューブの内部に同心状に設けられた複数のピストンロッドとを有するテレスコープ型の多段シリンダであり、
前記プラットフォームの側板には固定側接続部が配設されるとともに、前記側板に対面する前記載置台支持部には可動側接続部が配設され、
前記多段シリンダが、前記側板と前記載置台支持部との間に形成される側方間隙に配設され、
前記多段シリンダの一端部が前記可動側接続部に対して軸支によって接続され、前記多段シリンダの他端部が前記固定側接続部に対して軸支によって接続され、
前記多段シリンダを液圧で駆動することにより、前記船舶が着水状態で係留される係留位置と、前記船舶が海面上昇の影響を受けない退避位置との間での、前記架台の昇降動作を行うことを特徴とする、船舶用の架台昇降装置。
【請求項2】
前記係留位置および前記退避位置のいずれにおいても、前記固定側接続部および前記多段シリンダが、海面よりも上方に位置することを特徴とする、請求項1に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項3】
前記多段シリンダが、前記ピストンロッドのヘッド側端部において前記ピストンロッドを突出させるためのヘッド側圧力室と、前記ピストンロッドの外周部において前記ピストンロッドを引っ込めるためのロッド側圧力室と、前記ヘッド側圧力室のそれぞれを連通するヘッド側連通路と、前記ロッド側圧力室のそれぞれを連通するロッド側連通路とを備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項4】
前記ロッド側連通路が、ロッド側貫通孔と、ヘッド側貫通孔と、前記ロッド側貫通孔および前記ヘッド側貫通孔を接続する接続通路とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項5】
前記ヘッド側連通路が、前記ピストンロッドのヘッド側端部を貫通する貫通孔であることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項6】
前記プラットフォームに設けられる架台ロック装置をさらに備え、
前記退避位置において、前記架台に設けられたテーパー形状の係合凹部に対して、前記架台ロック装置のテーパー形状の係合ピンが周面状に密着して係合することにより、前記架台がロック固定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項7】
前記載置台支持部が、前記プラットフォームに立設されるガイド柱によってガイドされることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項8】
前記プラットフォームが、洋上に立設される洋上構造物であることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。
【請求項9】
前記プラットフォームが、自己昇降式の作業台船に設けられることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の船舶用の架台昇降装置。