IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京都下水道サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-分配装置及び貯留システム 図1
  • 特開-分配装置及び貯留システム 図2
  • 特開-分配装置及び貯留システム 図3
  • 特開-分配装置及び貯留システム 図4
  • 特開-分配装置及び貯留システム 図5
  • 特開-分配装置及び貯留システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022065993
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】分配装置及び貯留システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 69/04 20060101AFI20220421BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20220421BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B65G69/04
B65G65/40 Z
B01J4/00 105A
B01J4/00 105E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174860
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220675
【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 尚人
【テーマコード(参考)】
3F075
3F078
4G068
【Fターム(参考)】
3F075AA07
3F075BA02
3F075BB01
3F075CA08
3F075CA09
3F075CC03
3F075CC05
3F075DA04
3F075DA18
3F078AA05
3F078BA12
4G068AA03
4G068AB30
4G068AD01
4G068AD45
4G068AF32
(57)【要約】
【課題】廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることを緩和できる分配装置及び貯留システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る分配装置20は、しさDが貯留されるしさホッパ10に設置される分配装置20であって、しさDが搬入されるしさホッパ10の搬入口12aの下方に配置され、搬入口12aに向けて凸状の分配翼23を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物が貯留される貯留容器に設置される分配装置であって、
前記廃棄物が搬入される前記貯留容器の搬入口の下方に配置され、前記搬入口に向けて凸状の分配翼を備える分配装置。
【請求項2】
前記分配翼が取り付けられる支持軸と、
前記支持軸を回転させる操作部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記分配翼は、前記支持軸の回りに前記支持軸の周方向全体にわたって設けられるとともに、前記支持軸の軸方向から見てひし型に形成されている請求項2に記載の分配装置。
【請求項4】
前記分配翼は、前記貯留容器に対してスライド移動可能に設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項5】
前記廃棄物は、下水処理の過程で発生するしさであり、
前記貯留容器は、前記しさが搬入されるしさホッパであり、
前記分配翼は、前記しさホッパ内に設置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の分配装置と、
前記貯留容器と、を備え、
前記貯留容器は、
上下方向に開口する筒状に形成されるとともに、前記廃棄物を貯留する容器本体と、
前記容器本体の下端に設けられた下側開口部を開閉する開閉部と、を有し、
前記容器本体の内側面と水平面との角度が、60度以上90度未満であることを特徴とする貯留システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分配装置及び貯留システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に示す下水処理システムでは、下水は、沈砂池、第一沈砂池、曝気槽、第二沈砂池、塩素接触槽、放流、の流れで処理される。
沈砂池では、下水に含まれた木片やゴミなどから構成されたしさが沈ませて取り除かれる。沈砂池に沈んだしさは、スクリーンによってかき揚げられ、粉砕、固液分離、脱水等の処理を行われた後、しさホッパとよばれる貯留容器に一時的に貯留され、下水処理システムの外部に搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-285486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しさは、しさホッパの上方に設けられたしさの搬入口から落下される形でしさホッパ内に搬入される。しさは、しさホッパ内に部分的に搬入されて山状に堆積する場合がある。この場合、しさホッパの有効容積が埋まる前に、しさホッパ内に貯留されたしさが搬入口に到達してしまい、しさホッパの有効容積を十分に活用できないでいた。このため、しさ等の廃棄物がしさホッパ等の貯留容器内に部分的に堆積されることを緩和することが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることを緩和できる分配装置及び貯留システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る分配装置は、廃棄物が貯留される貯留容器に設置される分配装置であって、前記廃棄物が搬入される前記貯留容器の搬入口の下方に配置され、前記搬入口に向けて凸状の分配翼を備える。
【0007】
本態様によれば、貯留容器に搬入された廃棄物は、貯留容器に貯留される前に分配翼の凸状の角部に当たる。これにより、分配装置は、廃棄物の落下位置を分散できるので、廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることを緩和できる。したがって、分配装置は、廃棄物が山状に堆積されて、貯留容器内の有効容積が埋まる前に廃棄物が貯留容器の搬入口に到達することを抑制できる。すなわち、分配装置は、貯留容器内の有効容積を有効に活用できる。
【0008】
上記態様の分配装置は、前記分配翼が取り付けられる支持軸と、前記支持軸を回転させる操作部と、を備えてもよい。
本態様によれば、分配装置は、操作部によって支持軸を回転し、支持軸に取り付けられる分配翼を回転できる。これにより、分配装置は、貯留容器の底部に対する分配翼の角度を変更できる。したがって、分配装置は、廃棄物の落下位置を適宜調整できるので、廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。
分配装置は、支持軸を回転させることにより、分配翼上に堆積した廃棄物を落下させることができる。
【0009】
上記態様の分配装置において、前記分配翼は、前記支持軸の回りに前記支持軸の周方向全体にわたって設けられるとともに、前記支持軸の軸方向から見てひし型に形成されていてもよい。
本態様によれば、分配装置は、軸方向から見たときの分配翼の4つの角部から1つを選択して搬入口と対向させることができる。すなわち、分配装置は、分配翼の角部の1つを搬入口から落下する廃棄物が当たる角部として活用することができる。これにより、分配装置は、分配翼の角部に当たった廃棄物を軸方向に交差する方向に分散できる。
分配装置は、例えば廃棄物が当たる角部として活用される分配翼の角部の1つが変形した場合、分配翼の他の角部を搬入口と対向させて廃棄物が当たる角部として活用できる。したがって、分配装置は、分配翼が軸方向から見てひし型に形成されていない場合と比較して、分配翼を交換することなく長期にわたって使用することができる。
分配翼を軸方向から見た場合において、隣り合う角部の大きさが互いに異なる場合、分配装置は、分配翼のどちらの角部を廃棄物が当たる角部とするか選択できる。これにより、分配装置は、廃棄物が分散される角度を変更できる。したがって、分配装置は、廃棄物の落下位置を適宜調整できるので、廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。
【0010】
上記態様の分配装置において、前記分配翼は、前記貯留容器に対してスライド移動可能に設けられていてもよい。
本態様によれば、分配装置は、廃棄物が分配翼に当たる位置を調整できるので、廃棄物の落下位置を調整できる。
【0011】
上記態様の分配装置において、前記廃棄物は、下水処理の過程で発生するしさであり、前記貯留容器は、前記しさが搬入されるしさホッパであり、前記分配翼は、前記しさホッパ内に設置されてもよい。
本態様によれば、分配装置は、上述した分配翼を備えている。このため、分配装置は、しさがしさホッパ内に部分的に堆積されることを緩和できる。したがって、分配装置は、しさが山状に堆積されて、しさホッパ内の有効容積が埋まる前にしさがしさホッパの搬入口に到達することを抑制できる。すなわち、分配装置は、しさホッパ内の有効容積を有効に活用できる。加えて、分配翼は、しさホッパ内に設置されているため、分配装置は、分配翼としさホッパとを含む設備が拡大することを抑制できる。
【0012】
本発明の一態様に係る貯留システムは、上記分配装置と、前記貯留容器と、を備え、前記貯留容器は、上下方向に開口する筒状に形成されるとともに、前記廃棄物を貯留する容器本体と、前記容器本体の下端に設けられた下側開口部を開閉する開閉部と、を有し、前記容器本体の内側面と水平面との角度が、60度以上90度未満である。
本態様によれば、貯留システムは、上述した分配装置を備えている。これにより、貯留システムは、廃棄物の落下位置を分散できるので、廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることを緩和し、貯留容器内の有効容積を有効に活用できる。
また、本態様によれば、容器本体の内側面と水平面との角度が、60度以上である。このため、例えば、廃棄物が容器本体の内側面に堆積したとしても、廃棄物は容器本体を良好に滑り落ちる。これにより、貯留システムは、貯留容器の有効容積を有効に活用できる。
また、本態様によれば、容器本体の内側面と水平面との角度が、90度未満である。このため、廃棄物が容器本体の下側開口部から貯留容器の外部に搬出される際、容器本体は、廃棄物に対して上方に向かう抗力を発揮できる。これにより、貯留システムは、廃棄物が下方に搬出される際の勢いを低減できる。したがって、貯留システムは、廃棄物を安全に搬出できる。
【発明の効果】
【0013】
上記各態様によれば、本発明は、廃棄物が貯留容器内に部分的に堆積されることを緩和できる分配装置及び貯留システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る下水処理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る貯留システムの側面図である。
図3】実施形態に係る貯留システムの側面図である。
図4】実施形態に係るベース部を軸方向から見た側面図である。
図5】実施形態に係る分配翼の断面図である。
図6】実施形態に係る分配翼を軸方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、下水処理システム1の模式図である。
図1に示す下水処理システム1は、下水Wに含まれる砂利やゴミなどから構成されたしさ(廃棄物)Dを沈砂池2に沈ませることにより、下水WからしさDを取り除く。沈砂池2に沈んだしさDは、スクリーンによってかき揚げられ、粉砕、固液分離、脱水等の処理を行われた後、しさ投入コンベア3を通じて貯留システム4に運搬される。しさDは、貯留システム4にて一時的に貯留された後、運搬トラック5によって下水処理システム1の外部に搬出される。運搬トラック5は、下水処理システム1の外部に設けられた廃棄場までしさDを運搬する。
【0016】
(貯留システム)
図2及び図3は、貯留システム4の側面図である。図2では、しさ投入コンベア3も併せて図示されている。
図2及び図3に示すように、貯留システム4は、しさ投入コンベア3の下方に設けられている。貯留システム4は、しさホッパ(貯留容器)10と、分配装置20と、を備えている。
【0017】
(しさホッパ)
しさホッパ10は、しさ投入コンベア3のうちしさDが排出される排出口3aの下方に位置している。しさホッパ10は、例えば一般構造用圧延鋼材により形成されている。しさホッパ10を構成する一般構造用圧延鋼材としては、例えばSS400等が挙げられる。しさホッパ10は、ホッパ本体(容器本体)11と、搬入部12と、開閉部13と、を備えている。
【0018】
ホッパ本体11は、内部にしさDを貯留する貯留空間が形成された容器である。ホッパ本体11は、金属材料に形成されている。ホッパ本体11は、上下方向に延びる筒状に形成されている。ホッパ本体11は、上下方向に開口している。以下、上方をUP、下方をDOWNと図示する。
【0019】
ホッパ本体11は、鉛直部11aと、傾斜部11bと、を備えている。鉛直部11aは、上下方向に延びる四角形筒状に形成されている。鉛直部11aの上端には、後述する搬入部12が取り付けられる不図示の枠材等が設けられている。傾斜部11bは、鉛直部11aの下端から下方に延びる筒状に形成されている。傾斜部11bは、上方から下方に向かうに従い、先細る形状に形成されている。傾斜部11bは、水平面に対して傾斜する4枚の金属板を溶接する等して形成されている。例えば、傾斜部11bの内側面と水平面との角度(以下、単に内部傾斜角度と称する。)は、60度以上90度未満である。本実施形態では、傾斜部11bを構成する4枚の金属板のうち2枚の金属板の内部傾斜角度A1は、67度であり、他2枚の金属板の内部傾斜角度A2は、69度である。
【0020】
搬入部12は、ホッパ本体11の鉛直部11aの上端に設けられている。搬入部12は、上下方向に開口する四角形筒状に形成されている。搬入部12は、ホッパ本体11と連通している。以下、搬入部12における上方の開口部を、搬入口12aとする。搬入部12は、排出口3aの真下に位置している。
【0021】
開閉部13は、ホッパ本体11の傾斜部11bの下端に設けられている。開閉部13は、しさホッパ10の底部を構成している。開閉部13は、水平方向に沿うように設けられている。開閉部13は、しさホッパ10の下端に設けられた下側開口部Kを開閉するために設けられている。開閉部13は、しさホッパ10にしさDが搬入される際に閉状態とされる。開閉部13は、しさホッパ10からしさDを搬出する際に開状態とされる。開閉部13が開状態とされると、しさホッパ10内に貯留されたしさDは、下方に搬出される。
【0022】
(分配装置)
分配装置20は、しさホッパ10に設置されている。分配装置20は、支持軸21と、操作部22と、分配翼23と、を備えている。
支持軸21は、しさホッパ10の鉛直部11aに設けられている。支持軸21の両端部は、鉛直部11aを貫通し、不図示の軸受けにより、鉛直部11aに回転可能に支持されている。以下、支持軸21の軸方向を単に軸方向と称し、支持軸21の径方向を単に径方向と称し、支持軸21の周方向を単に周方向と称する。
【0023】
操作部22は、しさホッパ10の鉛直部11aの外側面に取り付けられている。操作部22は、支持軸21の一端に接続されている。操作部22は、ハンドル24と、ベース部25と、を有している。ハンドル24は、支持軸21の一端に接続されている。ハンドル24は、手動で操作されることにより支持軸21を回転させる部材である。
【0024】
図4は、ベース部25を軸方向から見た側面図である。
図3及び図4に示すように、ベース部25は、鉛直部11aとハンドル24と間に設けられている。ベース部25は、支持軸21及びハンドル24と一体化されている。ベース部25は、水平方向のうち軸方向に垂直な方向にスライド移動可能に設けられている。このため、支持軸21は、ベース部25がスライド移動されることにより、水平方向のうち軸方向に垂直な方向にスライド移動するように設けられている。ベース部25は、スライド移動後の任意の位置で、しさホッパ10に対して固定可能に設けられている。
【0025】
ベース部25には、支持軸21の回転位置を固定する固定部26が設けられている。固定部26は、固定部本体26aと、固定ネジ27と、を備えている。固定部本体26aは、支持軸21に対して回転不可に固定されている。このため、固定部本体26aは、支持軸21の回転に伴って回転するように設けられている。固定ネジ27は、固定部本体26aに対して移動不可に取り付けられている。固定ネジ27は、ベース部25に対して締め付け可能に設けられている。このため、固定ネジ27がベース部25に対して締め付けられることにより、支持軸21の回転位置が固定される。
【0026】
図5は、上下方向及び軸方向に沿う分配翼23の断面図である。
図6は、分配翼23を軸方向から見た側面図である。
図3図5及び図6に示すように、分配翼23は、しさホッパ10内に設置されている。分配翼23は、支持軸21に取り付けられている。分配翼23は、支持軸21の回りに周方向全体にわたって設けられるとともに、支持軸21を軸方向に覆っている。分配翼23の軸方向中間部は、搬入部12の下方に設けられている。分配翼23は、径方向から見て軸方向中間部から軸方向両端部に向かうに従い先細るテーパ状に形成されている。分配翼23は、軸方向から見てひし型に形成されている。分配翼23を軸方向から見た場合、分配翼23の鋭角A3は、例えば70度であり、分配翼23の鈍角A4は、例えば110度である。鋭角A3を有する鋭角部23bと、鈍角A4を有する鈍角部23cとは、丸面取りが施されている。
【0027】
分配翼23は、支持軸21に対して回転不可に固定されている。このため、分配翼23は、支持軸21の回転に伴って回転するようになっている。分配翼23は、回転時に、搬入部12及び搬入部12が取り付けられる枠材に干渉しない程度の大きさに形成されている。
また、分配翼23は、支持軸21のスライド移動に伴って、水平方向のうち軸方向に垂直な方向にスライド移動可能に設けられている。
【0028】
分配翼23は、しさDによって傷が生じない程度の強度を有し、安価であるとともに、しさホッパ10よりもしさDが滑り易い材料で形成されている。分配翼23は、例えばステンレス鋼によって形成されている。分配翼23を構成するステレンス鋼としては、例えばSUS304等が挙げられる。
分配翼23の表面23aには、研磨加工が施されている。表面23aに施される研磨加工としては、例えば400番バフ研磨等が挙げられる。これにより、表面23aは、しさホッパ10の内側面よりも面粗度が小さい平坦面となっている。
【0029】
(分配装置の使用方法)
続いて、主に図1図3図4及び図6に基づいて、分配装置20の使用方法を説明する。
しさDがしさホッパ10内に搬入される前に、作業者は、ベース部25を水平方向にスライド移動して、搬入口12aに対する分配翼23の水平方向の位置を調整する。作業者は、分配翼23の水平方向の位置を調整後、ベース部25をしさホッパ10に対して固定する。
【0030】
その後、作業者は、ハンドル24を回転させて、軸方向から見て分配翼23が搬入口12aに向けて凸状になるように分配翼23の回転位置を調整する。これにより、分配翼23のしさホッパ10の開閉部13に対する角度が調整される。図示の例では、軸方向から見たときの分配翼23の4つの角部23b,23cのうち、鋭角A3を有する鋭角部23bが搬入口12aに対向されている。鋭角部23bと支持軸21の中心軸Oとを結ぶ直線は、上下方向に沿っている。以下、この場合の分配翼23の回転位置を0度とする。作業者は、しさDの性状に応じて、分配翼23の回転位置を調整する。作業者は、例えば分配翼23を0度の回転位置から90度回転させることにより、軸方向から見たときの分配翼23の4つの角部23b,23cのうち、鈍角A4を有する鈍角部23cを搬入口12aに対向させることもできる。この場合、鋭角部23bが搬入口12aに対向される場合と比較して、しさDは広範囲に分散される。
分配翼23のしさホッパ10の開閉部13に対する角度の調整後、作業者は、固定ネジ27をベース部25に締め付ける。これにより、分配翼23は、しさホッパ10に対して回転不可に固定される。
【0031】
しさホッパ10内に搬入されたしさDは、分配翼23に当たり、しさホッパ10内に分散される。しさDがしさホッパ10内の一部に偏って堆積している場合、作業者は、ベース部25をスライド移動させたり、ハンドル24を回転させたりすることにより、しさDの落下位置を調整する。
【0032】
しさDが分配翼23上に堆積された場合、作業者は、ハンドル24を回転させることにより、分配翼23の上下を反転させ、分配翼23上に堆積されたしさDを落下させる。
【0033】
作業者は、支持軸21としさホッパ10との間にしさDが詰まることを抑制するため、作業者は、例えば一週間に3回(月曜・水曜・金曜)、支持軸21を回転させる。豪雨等によって、しさホッパ10に搬入されるしさDの量が平常時より増加することが予想される場合には、作業者は、支持軸21の回転の頻度を増やしたり、しさホッパ10の開閉部13に対する分配翼23の角度を変更したりすることもある。
【0034】
(作用効果)
このように、本実施形態において、分配装置20は、しさDが搬入されるしさホッパ10の搬入口12aの下方に配置され、搬入口12aに向けて凸状の分配翼23を備えている。
この構成によれば、しさホッパ10に搬入されたしさDは、しさホッパ10に貯留される前に分配翼23の凸状の角部23b,23cに当たる。これにより、分配装置20は、しさDの落下位置を分散できるので、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることを緩和できる。したがって、分配装置20は、しさDが山状に堆積されて、しさホッパ10内の有効容積が埋まる前にしさDがしさホッパ10の搬入口12aに到達することを抑制できる。すなわち、分配装置20は、しさホッパ10内の有効容積を有効に活用できる。加えて、分配翼23は、しさホッパ10内に設置されているため、分配装置20は、分配翼23としさホッパ10とを含む貯留システム4が上下方向に拡大することを抑制できる。
【0035】
本実施形態では、分配装置20は、支持軸21と、操作部22と、分配翼23と、を備えている。支持軸21の両端部は、鉛直部11aを貫通し、鉛直部11aに回転可能に支持されている。
この構成によれば、作業者は、しさホッパ10の鉛直部11aに2つの貫通孔を設け、この2つの貫通孔に支持軸21の両端部をそれぞれ挿入し、鉛直部11aに支持させるだけの工程で、しさホッパ10に分配装置20を取り付けることができる。これにより、作業者は、既存のしさホッパ10に分配装置20を容易に取り付けることができる。
【0036】
本実施形態では、分配装置20は、分配翼23が取り付けられる支持軸21と、支持軸21を回転させるハンドル24と、を備えている。
この構成によれば、分配装置20は、ハンドル24を回転させるによって支持軸21を回転し、支持軸21に取り付けられる分配翼23を回転できる。これにより、分配装置20は、しさホッパ10の開閉部13に対する分配翼23の角度を変更できる。したがって、分配装置20は、しさDの落下位置を適宜調整できるので、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。
分配装置20は、支持軸21を回転させることにより、分配翼23上に堆積したしさDを落下させることができる。
【0037】
本実施形態では、分配翼23は、支持軸21の回りに支持軸21の周方向全体にわたって設けられている。分配翼23は、支持軸21の軸方向から見てひし型に形成されている。
この構成によれば、分配装置20は、軸方向から見たときの分配翼23の4つの角部23b,23cから1つを選択して搬入口12aと対向させることができる。すなわち、分配装置20は、分配翼23の角部23b,23cの1つを搬入口12aから落下するしさDが当たる角部として活用することができる。これにより、分配装置20は、分配翼23の角部23b,23cに当たったしさDを軸方向に交差する方向に分散できる。
分配装置20は、例えばしさDが当たる角部として活用される分配翼23の角部23b,23cの1つが変形した場合、分配翼23の他の角部23b,23cを搬入口12aと対向させて廃棄物が当たる角部として活用できる。したがって、分配装置20は、分配翼23が軸方向から見てひし型に形成されていない場合と比較して、分配翼23を交換することなく長期にわたって使用することができる。
また、分配翼23を軸方向から見た場合において、周方向に隣り合う鋭角部23bと鈍角部23cとの大きさが互いになっているため、分配装置20は、分配翼23のどちらの角部23b,23cをしさDが当たる角部とするか選択できる。これにより、分配装置20は、しさDが分散される角度を変更できる。したがって、分配装置20は、しさDの落下位置を適宜調整できるので、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。
【0038】
本実施形態では、分配翼23は、しさホッパ10に対して水平方向のうち軸方向に垂直な方向に分配翼23をスライド移動可能に設けられている。
この構成によれば、分配装置20は、しさDが分配翼23に当たる位置を調整できるので、しさDの落下位置を調整できる。
【0039】
本実施形態では、分配翼23は、しさホッパ10よりもしさDが滑り易い材料で形成されている。
この構成によれば、分配装置20は、分配翼23上に堆積したしさDを、しさDの自重により落下させることができる。これにより、作業者は、手動で分配翼23を回転させることなく、分配翼23上に堆積したしさDを落下させることができるので、分配装置20は、作業者の労力を軽減できる。
【0040】
本実施形態では、分配翼23の表面23aは、しさホッパ10の内側面よりも面粗度が小さい平坦面である。
この構成によれば、分配装置20は、分配翼23の表面23aをしさホッパ10の内側面よりもしさDが滑り易いようにすることができる。これにより、分配装置20は、分配翼23上に堆積したしさDを、しさDの自重よって落下させることができる。したがって、作業者は手動で分配翼23を回転させることなく、分配翼23上に堆積したしさDを落下させることができるので、分配装置20は、作業者の労力を軽減できる。
【0041】
本実施形態では、分配翼23は、支持軸21を軸方向に覆っている。分配翼23は、径方向から見て軸方向中間部から軸方向両端部に向かうに従い先細るテーパ状に形成されている。
この構成によれば、分配翼23は、分配翼23上に当たったしさDを、軸方向に垂直な方向だけでなく軸方向にも分散させることができる。これにより、分配装置20は、平面的にしさDを分散することができる。したがって、分配装置20は、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。
【0042】
分配翼23は、支持軸21に対して回転不可に固定されている。固定部本体26aは、支持軸21の回転に伴って回転するように設けられている。固定ネジ27は、固定部本体26aに対して移動不可に取り付けられている。固定ネジ27は、しさホッパ10の外側面に設けられている。
この構成によれば、固定ネジ27は、分配翼23の回転に伴って回転できる。これにより、作業者は、固定ネジ27の回転位置から分配翼23の回転位置を把握できる。したがって、作業者は、しさホッパ10を上から覗き込むことなく、分配翼23の回転位置を把握できる。よって、作業者は、より安全に作業することができる。
【0043】
本実施形態では、分配翼23を軸方向から見た場合、分配翼23の鋭角A3は、例えば70度である。
この構成によれば、分配装置20は、鋭角A3を有する鋭角部23bを搬入口12aに対向させることにより、しさDが分配翼23上に堆積することを抑制できる。これにより、作業者は手動で分配翼23を回転させて分配翼23上に堆積したしさDを落下させる必要がなくなるので、分配装置20は、作業者の労力を軽減できる。
【0044】
本実施形態では、貯留システム4は、分配装置20を備えている。これにより、貯留システム4は、しさDの落下位置を分散できるので、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることを緩和し、しさホッパ10内の有効容積を有効に活用できる。
また、本実施形態では、ホッパ本体11の内側面と水平面との角度が、60度以上である。このため、例えば、しさDがホッパ本体11の内側面に堆積したとしても、しさDはホッパ本体11を良好に滑り落ちる。これにより、貯留システム4は、しさホッパ10の有効容積を有効に活用できる。
また、本実施形態では、ホッパ本体11の内側面と水平面との角度が、90度未満である。このため、しさDがホッパ本体11の下側開口部Kからしさホッパ10の外部に搬出される際、ホッパ本体11は、しさDに対して上方に向かう抗力を発揮できる。これにより、貯留システム4は、しさDが下方に搬出される際の勢いを低減できる。したがって、貯留システム4は、しさDを安全に搬出できる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0046】
上述した実施形態では、しさホッパ10は、例えば一般構造用圧延鋼材により形成されているとしたが、これに限られない。しさホッパ10は、例えばステンレス鋼により形成されてもよい。また、しさホッパ10を構成する一般構造用圧延鋼材は、SS400に限られない。
【0047】
上述した実施形態では、分配装置20及び貯留システム4は、下水処理の過程で発生するしさDを貯留する場合に使用されるとしたが、これに限られない。分配装置20及び貯留システム4は、下水Wに含まれるしさD以外の廃棄物全般を貯留する場合に使用される。分配装置20及び貯留システム4は、例えば、沈砂やふさ(スカム)等を貯留する場合に使用されてもよい。また、分配装置20及び貯留システム4は、例えば、焼却灰や石炭(微粉炭含む)等を貯留する場合に使用されてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、作業者が手動でハンドル24を回転することにより、支持軸21及び分配翼23を回転させるとしたが、分配装置20にモータを設け、モータを駆動させて支持軸21及び分配翼23を電動で回転させてもよい。この場合、しさDがしさホッパ10内に搬入される際、支持軸21及び分配翼23を常時回転させるようにしてもよい。しさDの搬入中、分配翼23が常時回転されるため、分配装置20は、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。また、この場合、支持軸21が常時回転されるため、分配装置20は、支持軸21としさホッパ10との間にしさDが詰まることをより確実に抑制できる。
分配装置20は、分配翼23を回転させるモータに加えて、時間を計測するタイマーと、タイマーからの時間の情報を取得し、時間の情報に対応して分配翼23を周方向に回転させる制御部と、を備えていてもよい。この場合、例えば、作業者は、所定の時間(例えば1時間)経過するごとに、分配翼23を自動で回転できるように分配装置20を設定できる。これにより、作業者が手動で分配翼23を回転させる必要がなくなるため、分配装置20は、作業者の労力を軽減できる。
【0049】
上述した実施形態では、分配翼23は、例えばステンレス鋼によって形成されているとしたが、これに限られない。分配翼23は、例えばプラスチック等の樹脂材により形成されてもよい。また、分配翼23を構成するステレンス鋼は、SUS304に限られない。
【0050】
上述した実施形態では、分配翼23の表面23aに施される研磨加工は、例えばバフ研磨であるとしたが、これに限られない。表面23aに施される研磨加工は、表面23aの面粗度がしさホッパ10の内側面の面粗度よりも小さくなればよく、例えばバレル研磨であってもよい。また、バフ研磨の番手は、400番に限られず、適宜変更可能である。
【0051】
上述した実施形態では、分配翼23は、水平方向のうち軸方向に垂直な方向にスライド移動可能に設けられているとしたが、これに限られない。分配翼23は、例えば軸方向にスライド移動可能に設けられてもよい。分配翼23は、例えば上下方向にスライド移動可能に設けられてもよい。この場合、分配装置20は、分配翼23をスライド移動させたり、分配翼23を回転させたりすることにより、しさホッパ10内に堆積されたしさDの山を崩したり、しさDをかき揚げたりすることができる。このため、分配装置20は、しさDがしさホッパ10内に部分的に堆積されることをより確実に緩和できる。
分配装置20は、モータを備え、モータを駆動させて電動で分配翼23をスライド移動させてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、分配翼23は軸方向から見てひし型に形成されているとしたが、これに限られない。分配翼23は、しさDの搬入中に搬入口12aに向けて凸状に形成されていればよい。分配翼23は、例えば三角形状に形成されてもよい。分配翼23は、例えば軸方向に延びる2枚の長方形状の金属板を搬入口12aに向けて凸状となるように組み合わせて形成されてもよい。分配翼23は、例えば搬入口12aに対向する側の表面23aは湾曲面であってもよい。ただし、搬入口12aに対向する側の表面23aは、平坦面である方が、分配翼23上に堆積したしさDが自重によって落下し易いという点で優位性がある。
【0053】
上述した実施形態では、分配翼23は、しさホッパ10よりもしさDが滑り易い材料で形成されているとしたが、少なくとも分配翼23の表面23aうち搬入口12aに対向する側の表面23aが、しさホッパ10よりもしさDが滑り易い材料で形成されていればよい。
【0054】
上述した実施形態では、ベース部25には、固定部26を有しているとしたが、固定部26は設けられていなくてもよい。この場合、支持軸21は、支持軸21としさホッパ10との摩擦抵抗及び支持軸21の自重によって、しさDが分配翼23に当たる程度では回転しないように設けられてもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
4…貯留システム
10…しさホッパ(貯留容器)
11…ホッパ本体(容器本体)
12a…搬入口
13…開閉部
20…分配装置
21…支持軸
22…操作部
23…分配翼
D…しさ(廃棄物)
K…下側開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6