(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006600
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】蓋体取出し用器具
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B65D83/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108919
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】519393417
【氏名又は名称】島田 利男
(71)【出願人】
【識別番号】517402610
【氏名又は名称】伊藤 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】特許業務法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 利男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 徹也
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA10
3E014PC03
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】 蓋の順次取出しを容易に行うことができ、かつ、衛生面にも優れ、更に段差付きの蓋にも使用できる蓋体取出し用器具を提供すること。
【解決手段】 蓋体Cを積み重ねた状態で内部に収容可能な筒状の本体部1を備え、かつ、この本体部1が斜め向き或いは鉛直向きに設置されて、本体部1の下側開口部Bから前記蓋体Cの順次取出しが可能な蓋体取出し用器具において、前記本体部1の下側開口部B側に、本体部1内に収容された最下位置の蓋体Cの一部を当接させて当該蓋体Cの移動を制止する制止部11aを設ける一方、前記本体部1の内壁における前記制止部11aの上側部位の対向位置には、最下位置の蓋体Cの一部を当接させて本体部1内に収容された蓋体C全体を支持する支持部12aを設けて、当該支持部12aを回転支点として最下位置の蓋体Cが前記制止部11a側に傾倒するように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体(C)を積み重ねた状態で内部に収容可能な筒状の本体部(1)を備え、かつ、この本体部(1)が斜め向き或いは鉛直向きに設置されて、本体部(1)の下側開口部(B)から前記蓋体(C)の順次取出しが可能な蓋体取出し用器具において、
前記本体部(1)の下側開口部(B)側に、本体部(1)内に収容された最下位置の蓋体(C)の一部を当接させて当該蓋体(C)の移動を制止する制止部(11a)が設けられる一方、前記本体部(1)の内壁における前記制止部(11a)の上側部位の対向位置には、最下位置の蓋体(C)の一部を当接させて本体部(1)内に収容された蓋体(C)全体を支持する支持部(12a)が設けられて、当該支持部(12a)を回転支点として最下位置の蓋体(C)が前記制止部(11a)側に傾倒することを特徴とする蓋体取出し用器具。
【請求項2】
本体部(1)における下側開口部(B)の開口縁部の一部に、本体部(1)の長さ方向に突き出した突出部(11)が形成されて、この突出部(11)の内側に制止部(11a)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓋体取出し用器具。
【請求項3】
本体部(1)における下側開口部(B)の開口縁部において、支持部(12a)の両側位置に一対の切欠部(12b)(12b)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体取出し用器具。
【請求項4】
本体部(1)内に収容された最上位置の蓋体(C)上に載せる重し部材(2)を備えていることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の蓋体取出し用器具。
【請求項5】
本体部(1)の支持部(12a)が、中央側から端側にかけて筒状本体部(1)の内側に傾斜する傾斜面(S)を備えていることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の蓋体取出し用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリンクカップ等の蓋の収納と供給に用いられる蓋体取出し用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動販売機の分野では、紙コップやプラスチックカップ等の使い捨てのドリンクカップにコーヒーやお茶等の飲み物を入れて販売するカップ式飲料自動販売機が知られており、また最近ではコンビニ等においてもドリンクカップにコーヒー等を入れて販売する飲料マシンが設置されている。そして、これらのドリンクカップには、持ち運んでもカップから飲み物が零れないようにする専用の蓋が付属している。
【0003】
まあ上記ドリンクカップの蓋の供給に関しては、収納ケースに蓋を入れてそれを購入者が取り出して使用するのが一般的であるが、蓋がバラバラに収納された状態になっていると取出し時に使用する蓋以外の蓋にも手が触れてしまう可能性が高いため、他者の手が触れた蓋を使用するリスクが高くなり衛生面で問題がある。特に新型コロナウィルス等の流行時には間接接触によりウィルス感染する危険もある。
【0004】
一方、従来においては、筒状のケースにドリンクカップの蓋を積み重ねた状態で収容して、ケース内の蓋を下側の開口部から順次取り出せるようにした蓋体取出し用器具も公知となっている(特許文献1参照)。この従来の蓋体取出し器具においては、底板の側方に開口部を設けて底板上に配置される最下位置の蓋を水平方向にスライドさせて取り出す構造を採用している。
【0005】
しかしながら、上記従来の蓋体取出し用器具は、ケース内に収容された最下位置の蓋を水平方向にスライドさせて取り出す構造上、近年、コーヒーカップ等で汎用されている段差付きの蓋(中央に飲み口となる隆起部を備えた蓋)など、上下に積み重ねた状態で上側の蓋が下側の蓋に被さってしまう形状の蓋には使用できないという問題があった。
【0006】
その他、ドリンクカップの取出し用器具としては、筒状のケース内に収容された最下位置のカップを下側開口部から下方に引き出すように取り出す構造のものが知られているが(例えば、特許文献2~3参照)、この種の器具は、ケース内に形成した突起部にドリンクカップの開口部の外周に形成された凸部を引っ掛ける構造であるため、開口縁部の外周に凸部を持たない蓋には利用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平4-32983号公報
【特許文献2】実開昭59-138991号公報
【特許文献3】実開平2-80581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを課題としており、要約すると蓋の順次取出しを容易に行うことができ、かつ、衛生面にも優れ、更に段差付きの蓋にも使用できる蓋体取出し用器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決する手段として、蓋体Cを積み重ねた状態で内部に収容可能な筒状の本体部1を備え、かつ、この本体部1が斜め向き或いは鉛直向きに設置されて、本体部1の下側開口部Bから前記蓋体Cの順次取出しが可能な蓋体取出し用器具において、前記本体部1の下側開口部B側に、本体部1内に収容された最下位置の蓋体Cの一部を当接させて当該蓋体Cの移動を制止する制止部11aを設ける一方、前記本体部1の内壁における前記制止部11aの上側部位の対向位置には、最下位置の蓋体Cの一部を当接させて本体部1内に収容された蓋体C全体を支持する支持部12aを設けて、当該支持部12aを回転支点として最下位置の蓋体Cが前記制止部11a側に傾倒するように構成した。
【0010】
また本発明では、上記本体部1における下側開口部Bの開口縁部の一部に、本体部1の長さ方向に突き出した突出部11を形成して、この突出部11の内側に制止部11aを形成することで、最下位置の蓋体Cを手前に回転させて容易に取り出すことができる。
【0011】
また本発明では、上記本体部1における下側開口部Bの開口縁部において、支持部12aの両側位置に一対の切欠部12b・12bを形成することによって、取出し時に最下位置の蓋体Cの左右両側を指で掴むことができる。
【0012】
また本発明では、上記本体部1内に収容された最上位置の蓋体C上に載せる重し部材2を備えることにより、本体部1内に収容された蓋体Cを下方に押し出すことができる。
【0013】
また本発明では、上記本体部1の支持部12aに、中央側から端側にかけて本体部1の内側に傾斜する傾斜面Sを形成することにより、最下位置の蓋体Cを制止部11a側に傾倒させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の蓋体取出し用器具は、筒状の本体部の下側開口部側に制止部と支持部を設け、本体部内に収容された最下位置の蓋の一部を支持部に当接させて、この支持部を回転支点として最下位置の蓋体が制止部側に傾倒するように構成しているため、斜めに傾いた最下位置の蓋を手前に回転させながら引き出すだけで蓋の順次取出しを容易に行える。
【0015】
しかも、上記のように最下位置の蓋が斜めに傾倒するように器具を構成することで、最下位置の蓋と一つ上側の蓋とを分離することができるため、蓋を二枚一緒に引き出してしまうような心配もない。また蓋の取出し時に最下位置の蓋以外の蓋に手で触れることもないため、衛生上の心配もなくウィルスの接触感染等の問題も解消できる。
【0016】
また本発明の蓋体取出し用器具は、下側開口部からの蓋の取出しに水平方向のスライドではなく回転を利用しているため、上側の蓋が下側の蓋に被さるような段差付きのドリンクカップであっても問題なく使用することができ、その他、ドリンクカップ以外の食品容器の蓋などにも幅広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態の蓋体取出し用器具を表す全体斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態の蓋体取出し用器具の下側開口部の構造を表す端面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態の蓋体取出し用器具の下側開口部の構造を表す縦断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態の蓋体取出し用器具の使用状態を説明するための状態説明図である。
【
図5】本発明の第一実施形態の蓋体取出し用器具の使用状態を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態を
図1~
図5に基づいて説明する。なお図中、符号1で指示するものは、筒状本体部であり、符号2で指示するものは、重し部材である。また符号Aで指示するものは、斜め向き或いは鉛直向きに設置して使用される蓋体取出し用器具であり、符号Cで指示するものは、蓋体である。
【0019】
「蓋体取出し用器具の構成」
[1]蓋体取出し用器具の基本構成について
まず蓋体取出し用器具Aの基本構成について
図1~5に基づいて説明する。本実施形態では、
図1に示すように蓋体取出し用器具Aを筒状の本体部1から構成している。またこの本体部1には、
図2及び
図3に示すように下側開口部Bの開口縁部の一部に、筒状本体部1の長さ方向に突き出した突出部11を形成してこの内側に凸状の制止部11aを設けている。一方、本体部1の内壁には、制止部11aの上側部位の対向位置(非突出部12の内壁)に凸状の支持部12aを設けている。
【0020】
上記の構成により、
図4(a)に示すように複数の蓋体Cを積み重ねた状態で本体部1の内部に収容したとき、最下位置の蓋体Cの一部(図中では上部)を上記支持部12aに当接させて本体部1内に収容された蓋体C全体を支持することができる。また上記支持部12aを回転支点として最下位置の蓋体Cを制止部11a側に傾倒させ、更にこの傾倒させた最下位置の蓋体Cの一部(図中では下部)を制止部11aに当接させて蓋体Cの移動を制止することで、最下位置の蓋体Cを斜めに傾けた状態で保持できる。
【0021】
そして、上記のように最下位置の蓋体Cを斜めに傾けた状態から
図4(b)に示すように、最下位置の蓋体Cの左右両側を指で掴んで手前に回転させることで、最下位置の蓋体Cを順次取り出すことができる。この際、本実施形態では、蓋体Cの外周縁を弾性変形させて制止部11a上を通過させているが、制止部11aを弾性変形させて通過させることもでき、また蓋体Cを少し上に持ち上げて通過させることもできる。
【0022】
[2]本体部について
[2-1]本体部の材質
次に上記蓋体取出し用器具Aの各構成要素について説明する。まず上記本体部1の材質については、本実施形態では、不透明なプラスチック材料から構成しているが、蓋体Cの残量を確認できるように透明なプラスチック材料から構成することもできる。また本実施形態では、本体部1に射出成形品を使用しているが、押出成形品を切削加工したものを使用することもできる。また上記本体部1の材料としては、コストや軽量性からプラスチック材料の使用が好ましいが、硬質材料であれば金属材料などを使用することもできる。
【0023】
[2-2]本体部の全体形状
また上記本体部1の全体形状については、本実施形態では飲料カップの蓋体C形状に対応した円筒形としているが、多様な容器(弁当やアイス用カップ、惣菜入れなどの食品容器や非食品容器)の蓋体形状に合わせて楕円筒状や角筒状などに変更することもできる。また本体部1の長さについても、収容する蓋体Cの数量や設置スペースに合わせて任意に変更できる。また本体部1の全体形状としては直筒が基本となるが、蓋体Cの移動がスムーズに行える形状であれば湾曲筒やテーパ筒なども使用できる。
【0024】
[2-3]切欠部
また本実施形態では、上記本体部1における下側開口部Bの開口縁部において、
図1~
図3に示すように非突出部12の支持部12aの両側位置に一対の切欠部12b・12bを形成して、取出し時に最下位置の蓋体Cを指で掴み易くしている。但し、上記突出部11に形成する制止部11aの位置を外側にズラして最下位置の蓋体Cを大きく露出させる場合には、切欠部12bを省略することもできる。また切欠部12bの位置や形状については、蓋体Cを指で掴める位置や形状であれば自由に変更できる。
【0025】
[2-4]突出部
また本実施形態では、最下位置の蓋体Cの取出しが容易に行えるように、上記本体部1に突出部11を形成して切欠部12bを小さく設けているが、本体部1に対して切欠部12bを深く大きく設ける場合には、突出部11を省略することもできる。また本実施形態では、射出成形により突出部11を本体部1の一部として一体に形成しているが、突出部11のみを別部材(例えば、フック部材)で構成して本体部1に取り付けることもできる。
【0026】
[2-5]制止部
また上記本体部1の制止部11aについては、本実施形態では
図1~
図3に示すように板状のプラスチック材料を接着固定して形成しているが、本体部1と一体成形することもできる。また制止部11aを突出部11に対して脱着自在として、厚さ調整や位置調整を行えるようにすることもできる。また制止部11aは凸状であればよく、例えば、本実施形態のようにスジ状の凸部以外にも局部的な点状の凸部を所定間隔で設けることもできる。
【0027】
また本実施形態では、上記制止部11aに弾性変形し難い硬質な材料を使用し、最下位置の蓋体Cの外周縁を弾性変形させることで蓋体Cの取出しが行えるようにしているが、収容する蓋体Cの剛性が高い場合には、上記制止部11aにエラストマー材料やスプリングなどの弾性材料を使用して、制止部11aを弾性変形させることで蓋体Cの取出しが行えるようにすることもできる。
【0028】
[2-6]支持部
また上記本体部1の支持部12aに関しては、本実施形態では
図3に示すように、中央側から端側にかけて本体部1の内側に傾斜する傾斜面Sを形成することにより、最下位置の蓋体Cを制止部11a側に傾倒させ易くしている。また本実施形態では、別部材として構成した支持部12aを本体部1に接着固定して形成しているが、本体部1と一体成形することもできる。また支持部12aの厚さ調整や位置調整を行えるように構成することもできる。
【0029】
また上記支持部12aの凸部については、本実施形態では
図2に示すように横断面視における本体部1の上端位置からプラスマイナス30°(図面中の角度θ)の範囲内にわたってスジ状に形成している。これにより、蓋体C全体を安定して支持しつつ最下位置の蓋体Cの傾きを大きくすることができる。それ以外にも上記支持部12aについては、角度θの範囲内に点状の凸部を所定間隔で形成することもできる。
【0030】
[2-7]分離用凸部
また本実施形態では、
図1~
図3に示すように本体部1の内壁における制止部11aと支持部12aの間に左右一対の分離用凸部13・13’を設け、更にこの分離用凸部13・13’は、
図3(a)(b)に示すように本体部1の開口縁部からの距離が異なる位置に配置している。これにより蓋体Cが本体部1内で落下する際に、まず奥側の分離用凸部13に蓋体Cの縁部が当接して反対側の縁部が手前の分離用凸部13’側に傾き、次いで奥側の分離用凸部13を通過した蓋体Cの縁部が開口縁部側に傾くことにより、重なり合った状態で密着した蓋体C・C同士を分離することが可能となる。
【0031】
[3]重し部材について
また本実施形態では、
図5に示すように本体部1内に収容可能な円板状の重し部材2を蓋体取出し用器具Aに含んで構成している。これにより、本体部1内に収容された最上位置の蓋体C上に重し部材2を載せることで、本体部1内に収容された蓋体Cを下方に押し出すことができるため、蓋体Cの順次取出しをスムーズに行うことが可能となる。また重し部材2を、本体部1の中空部の断面形状に合致する形状とすることにより、カバー材の役割も果たせるため、蓋体Cに対する埃等の付着を防止することができる。
【0032】
また重し部材2は、本体部1内の蓋体Cの残量がなくなったときには、下側開口部Bから蓋体Cと同様に取り出すことができる。また上記重し部材1を複数枚で構成して蓋体C上に載せる枚数によって重量調節を行うこともできる。また上記重し部材2に関しては、蓋体Cよりも重量の大きい部材であれば板状の形状である必要はなく、本体部1の上側開口部Tに装着するキャップ部材の裏側にスプリング等を介して取り付けることもできる(図示せず)。
【符号の説明】
【0033】
1 本体部
11 突出部
11a 制止部
12 非突出部
12a 支持部
12b 切欠部
13 分離用凸部
2 重し部材
A 蓋体取出し用器具
T 上側開口部
B 下側開口部
C 蓋体
S 傾斜面