(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066069
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 9/12 20200101AFI20220421BHJP
B62J 17/06 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B62J9/12
B62J17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174980
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳原 佑輝
(72)【発明者】
【氏名】ヤヌアール フェンディカンタ
(72)【発明者】
【氏名】前谷 直紀
(57)【要約】
【課題】収納空間の体積の減少を抑えつつ、収納空間内の物品がポケットカバーの締結ボスに接触することを防止できる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両は、レッグシールド25と共に収納空間S1を形成するポケットカバー26を備える。レッグシールド25は、背面視でポケットカバー26に重なるオーバーラップ部71と、固定ボルトB1が挿入された貫通穴81b、81dと、オーバーラップ部71から後方に突出した突出壁85、86とを含む。突出壁85、86は、ポケットカバー26の中でポケットカバー26と共に収納空間S1を形成しており、収納空間S1の側方に配置されており、ポケットカバー26の締結ボス59b、59dと収納空間S1との間に配置されている。突出壁85、86の少なくとも一部は、レッグシールド25に接するポケットカバー26の接触端面57よりも後方に配置されている。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手が座るシートと、
前記シートの前端よりも前方に配置されており、前記シートに座っている前記運転手の脚と前後方向に向かい合うレッグシールドと、
前記レッグシールドの後方に配置されており、物品が入れられる収納空間を前記レッグシールドと共に形成するポケットカバーと、
前記ポケットカバーを前記レッグシールドに固定する締結部材と、を備え、
前記ポケットカバーは、前記レッグシールドに接する接触端面と、前記接触端面よりも前記ポケットカバーの幅方向における内方に配置されており、前記締結部材が挿入された締結ボスとを含み、
前記レッグシールドは、背面視で前記ポケットカバーに重なるオーバーラップ部と、前記オーバーラップ部から後方に突出した突出壁と、前記締結ボスの前方に配置されており、前記締結部材が挿入された貫通穴と、を含み、
前記突出壁は、前記ポケットカバーの中で前記ポケットカバーと共に前記収納空間を形成しており、前記収納空間の右方および左方の少なくとも一方に配置されており、
前記突出壁は、車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置されており、
前記突出壁の少なくとも一部は、前記ポケットカバーの前記接触端面よりも後方に配置されている、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記レッグシールドの前記貫通穴よりも上方に配置された上端と、前記貫通穴よりも下方に配置された下端と、を含む、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記レッグシールドは、前記接触端面を含む前記ポケットカバーの縁が嵌められた嵌合溝をさらに含み、
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記ポケットカバーの前記幅方向における前記嵌合溝の内方に配置されている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記レッグシールドは、前記ポケットカバーの前記接触端面よりも前方の位置まで前方に凹んだ凹部を含み、
前記凹部の少なくとも一部は、前記ポケットカバーの前方に配置されており、前記ポケットカバーと共に前記収納空間を形成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記レッグシールドの水平な断面において、前記収納空間を形成する前記突出壁の内面の少なくとも一部は、前記収納空間を形成する前記凹部の内面を後方に延長した直線上に配置されている、請求項4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記収納空間の右方および左方にそれぞれ配置された右突出壁および左突出壁を含み、
前記右突出壁および左突出壁の一方は、前記車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置されており、
前記右突出壁の少なくとも一部と前記左突出壁の少なくとも一部とは、前記ポケットカバーの前記接触端面よりも後方に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記レッグシールドおよびポケットカバーの少なくとも一方は、前記収納空間内の水を排出する水抜き穴を含み、
前記水抜き穴は、前記右突出壁および左突出壁よりも前記ポケットカバーの前記幅方向における内方に配置されている、請求項6に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記オーバーラップ部から後方に突出した高部と、前記オーバーラップ部から後方に突出しており、前記高部よりも突出量が小さい低部と、を含み、
前記高部は、前記車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記突出壁の前記低部は、前記突出壁の前記高部よりも前記ポケットカバーの前記幅方向における外方に配置されている、請求項8に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記締結ボスの上方に配置されており、平面視で前記締結ボスに重なる上方部と、前記車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置された内方部と含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記ポケットカバーは、前記ポケットカバーの内面から前方に突出したインナーリブをさらに含み、
前記インナーインナーリブは、前記突出壁よりも前記ポケットカバーの前記幅方向における外方に配置されており、側面視で前記突出壁に重なっている、請求項1~10のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記収納空間に配置された端子挿入穴を含み、前記端子挿入穴に挿入された端子を通じて、電気機器に電力を供給する電源ソケットをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記ポケットカバーは、前記車幅方向における前記鞍乗型車両の中央の右方または左方だけに配置されており、
前記レッグシールドの前記突出壁は、少なくとも前記車幅方向における前記収納空間の外方に配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記締結部材は、前記レッグシールドおよびポケットカバーに対して取り付けおよび取り外し可能であり、
前記ポケットカバーは、前記レッグシールドに対して取り付けおよび取り外し可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鞍乗型車両の一例であるスクーターが開示されている。このスクーターは、シートの前方に配置されたフロントレッグシールドと、フロントレッグシールドに固定されたラックとを備えている。手荷物などの物品が入れられる収納空間は、フロントレッグシールドとラックとの間に形成されている。
ラックは、6つの締結部材によってフロントレッグシールドに固定されている。ラックの後面から前方に凹んだ6つの凹部(特許文献1の
図8中の符号92)は、フロントレッグシールドに設けられた6つのボスに重ねられている。特許文献1の
図12に示されるように、ラックの6つの凹部は、ラックの内面から前方に突出した6つの突出部を形成している。6つの締結部材は、ラックの後方から6つの凹部に挿入されている。締結部材は、凹部の底を前後に貫通しており、凹部の前方に位置するフロントレッグシールドのボスに取り付けられている。これにより、ラックがフロントレッグシールドに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、特許文献1に記載のラックの凹部は、ラックの内面から前方に突出した突出部を形成している(特許文献1の
図12参照)。ラックの突出部は、物品が入れられる収納空間に配置されており、収納空間内の物品に接触し得る。例えば、スクーターが右折または左折して、収納空間の中で物品が左右に動くと、物品がラックの突出部に衝突する。物品が既に突出部に接触している場合は、スクーターの右折または左折に伴う遠心力が物品から突出部に伝達される。そのため、このような現象が起こっても破損しない剛性を突出部に確保する必要がある。
【0005】
特許文献1に記載のラックでは、ラックの右側壁および左側壁に突出部が2つずつ形成されており、ラックの底壁に2つの突出部が形成されている。このように複数の突出部がバランスよく配置されているので、収納空間内の物品は、複数の突出部に接触する。そのため、物品の荷重が分散され、個々の突出部に生じる応力が低下する。したがって、個々の突出部の剛性を過度に高めなくても、突出部の破損を防止できる。しかしながら、突出部が多いと、収納空間の体積が減少してしまい、収納空間に収容できる物品の大きさや数が制限される。
【0006】
突出部の数を増やす代わりに、突出部のまわりにリブを設けて突出部を補強したり、突出部の厚みを増やして突出部の剛性を高めたりすることが考えられる。しかしながら、これらの方法では、リブを追加するか、突出部を大型化することになるので、やはり収納空間の体積が減少してしまい、収納空間に収容できる物品の大きさや数が制限される。そのため、収納空間内の物品がラックの突出部に接触し得る構造では、収納空間の体積を犠牲にすることなく、収納空間内の物品から突出部に加わる荷重を減少させることが難しい。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、収納空間の体積の減少を抑えつつ、収納空間内の物品がポケットカバーの締結ボスに接触することを防止できる鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、運転手が座るシートと、前記シートの前端よりも前方に配置されており、前記シートに座っている前記運転手の脚と前後方向に向かい合うレッグシールドと、前記レッグシールドの後方に配置されており、物品が入れられる収納空間を前記レッグシールドと共に形成するポケットカバーと、前記ポケットカバーを前記レッグシールドに固定する締結部材と、を備え、前記ポケットカバーは、前記レッグシールドに接する接触端面と、前記接触端面よりも前記ポケットカバーの幅方向における内方に配置されており、前記締結部材が挿入された締結ボスとを含み、前記レッグシールドは、背面視で前記ポケットカバーに重なるオーバーラップ部と、前記オーバーラップ部から後方に突出した突出壁と、前記締結ボスの前方に配置されており、前記締結部材が挿入された貫通穴と、を含み、前記突出壁は、前記ポケットカバーの中で前記ポケットカバーと共に前記収納空間を形成しており、前記収納空間の右方および左方の少なくとも一方に配置されており、前記突出壁は、車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置されており、前記突出壁の少なくとも一部は、前記ポケットカバーの前記接触端面よりも後方に配置されている、鞍乗型車両を提供する。
【0009】
この構成によれば、レッグシールドおよびポケットカバーが収納空間を形成している。ポケットカバーは、背面視でレッグシールドのオーバーラップ部に重なっている。オーバーラップ部から後方に突出したレッグシールドの突出壁は、収納空間の一部を形成している。突出壁は、収納空間の右方および左方の少なくとも一方に配置されている。したがって、突出壁は、収納空間の右方および左方の少なくとも一方に配置される。
【0010】
ポケットカバーは、ポケットカバーの締結ボスとレッグシールドの貫通穴とに挿入された締結部材によってレッグシールドに固定されている。突出壁は、車幅方向における締結ボスと収納空間との間に配置されている。したがって、収納空間内の物品は、締結ボスではなく、突出壁に接触する。そのため、収納空間内の物品の荷重が締結ボスに直接伝達されない。さらに、収納空間内の物品の荷重がポケットカバーおよび突出壁に分散されるので、ポケットカバーの内面を介して締結ボスに伝達される荷重が減少する。
【0011】
このように、収納空間内の物品が締結ボスに接触しないので、締結ボスを小型化したり、締結ボスの数を減らしたりすることができる。したがって、レッグシールドとポケットカバーとの間の空間において締結ボスが占める範囲の体積を減らすことができる。これにより、収納空間の体積の減少を抑えつつ、収納空間内の物品がポケットカバーの締結ボスに接触することを防止できる。さらに、収納空間内の物品が締結ボスに接触しないので、物品が締結ボスに引っかかることを防止でき、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0012】
加えて、ポケットカバーは、ポケットカバーの接触端面がレッグシールドに接触した状態でレッグシールドに固定されている。突出壁の少なくとも一部は、ポケットカバーの接触端面よりも後方に配置されている。水がポケットカバーの接触端面とレッグシールドとの間の隙間を通過したとしても、この水は、前後方向における突出壁とポケットカバーとの間の隙間を通過しないと収納空間に到達しない。したがって、鞍乗型車両の走行中や鞍乗型車両の洗浄中に発生する水しぶきなどの水が収納空間に入り難い。これにより、収納空間に入る水を減らすことができる。
【0013】
本実施形態において、以下の特徴の少なくとも一つが、前記鞍乗型車両に加えられてもよい。
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記レッグシールドの前記貫通穴よりも上方に配置された上端と、前記貫通穴よりも下方に配置された下端と、を含む。
この構成によれば、突出壁の上端が貫通穴よりも上方に配置されており、突出壁の下端が貫通穴よりも下方に配置されている。突出壁がこのような上下方向の長さを有しているので、上下方向に広い範囲において締結ボスを収納空間内の物品から保護できる。さらに、突出壁が上下方向に長いので、上下方向に広い範囲において水を遮ることができ、収納空間に入る水をさらに減らすことができる。
【0014】
レッグシールドが複数の貫通穴を含む場合、突出壁の上端は、複数の貫通穴の少なくとも一つよりも上方に配置されていればよい。同様に、レッグシールドが複数の貫通穴を含む場合、突出壁の下端は、複数の貫通穴の少なくとも一つよりも下方に配置されていればよい。
前記レッグシールドは、前記接触端面を含む前記ポケットカバーの縁が嵌められた嵌合溝をさらに含み、前記レッグシールドの前記突出壁は、前記ポケットカバーの前記幅方向における前記嵌合溝の内方に配置されている。
【0015】
この構成によれば、接触端面を含むポケットカバーの縁が、レッグシールドに設けられた嵌合溝に嵌められている。ポケットカバーの縁とレッグシールドの嵌合溝とは、方向が180度変わるラビリンス状の隙間を形成している。したがって、水がポケットカバーの接触端面とレッグシールドとの間を通過し難い。さらに、レッグシールドの突出壁は、ポケットカバーの幅方向における嵌合溝の内方に配置されている。水がラビリンス状の隙間を通過して、ポケットカバーの中に進入したとしても、この水は、突出壁によって収納空間への進入が妨げられる。これにより、収納空間に入る水をさらに減らすことができる。
【0016】
前記レッグシールドは、前記ポケットカバーの前記接触端面よりも前方の位置まで前方に凹んだ凹部を含み、前記凹部の少なくとも一部は、前記ポケットカバーの前方に配置されており、前記ポケットカバーと共に前記収納空間を形成している。
この構成によれば、レッグシールドの凹部の少なくとも一部が、ポケットカバーの前方に配置されており、背面視でポケットカバーに重なっている。凹部は、ポケットカバーと共に収納空間を形成している。したがって、収納空間の体積を増やすことができる。さらに、凹部が前方に大きく凹んでいる、つまり、ポケットカバーの接触端面よりも前方の位置まで前方に凹んでいるので、収納空間の体積を大幅に増やすことができる。
【0017】
前記レッグシールドの水平な断面において、前記収納空間を形成する前記突出壁の内面の少なくとも一部は、前記収納空間を形成する前記凹部の内面を後方に延長した直線上に配置されている。
この構成によれば、突出壁の内面と凹部の内面とが収納空間を形成している。レッグシールドの水平な断面において、突出壁の内面の少なくとも一部は、凹部の内面を後方に延長した直線上に配置されている。突出壁の内面と凹部の内面との結合部は平坦であり、段差を形成していない。したがって、突出壁の内面と凹部の内面との結合部に生じる応力を低下させることができる。
【0018】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記収納空間の右方および左方にそれぞれ配置された右突出壁および左突出壁を含み、前記右突出壁および左突出壁の一方は、前記車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置されており、前記右突出壁の少なくとも一部と前記左突出壁の少なくとも一部とは、前記ポケットカバーの前記接触端面よりも後方に配置されている。
【0019】
この構成によれば、右突出壁が収納空間の右方に配置されており、左突出壁が収納空間の左方に配置されている。右突出壁および左突出壁の一方は、車幅方向における締結ボスと収納空間との間に配置されている。これにより、収納空間内の物品から締結ボスを保護できる。さらに、右突出壁および左突出壁の両方がポケットカバーの接触端面よりも後方に配置されているので、収納空間に入る水をさらに減らすことができる。
【0020】
前記レッグシールドおよびポケットカバーの少なくとも一方は、前記収納空間内の水を排出する水抜き穴を含み、前記水抜き穴は、前記右突出壁および左突出壁よりも前記ポケットカバーの前記幅方向における内方に配置されている。
この構成によれば、収納空間内の水を排出する水抜き穴が、レッグシールドおよびポケットカバーの少なくとも一方に設けられている。水抜き穴は、右突出壁および左突出壁よりもポケットカバーの幅方向における内方に配置されている。右突出壁または左突出壁とポケットカバーとの間を通過して収納空間に進入した水は、水抜き穴に向かって収納空間内を下方に流れ、水抜き穴に流入する。したがって、水が右突出壁または左突出壁とポケットカバーとの間を通過したとしても、この水を速やかに収納空間から排出できる。
【0021】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記オーバーラップ部から後方に突出した高部と、前記オーバーラップ部から後方に突出しており、前記高部よりも突出量が小さい低部と、を含み、前記高部は、前記車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置されている。
この構成によれば、高部および低部が突出壁に設けられている。高部および低部は、オーバーラップ部からの後方向への突出量が互いに異なる。低部よりも突出量が大きい高部は、車幅方向における締結ボスと収納空間との間に配置されている。したがって、収納空間内の物品から締結ボスを確実に保護できる。
【0022】
前記突出壁の前記低部は、前記突出壁の前記高部よりも前記ポケットカバーの前記幅方向における外方に配置されている。
この構成によれば、突出壁の低部が、突出壁の高部よりもポケットカバーの幅方向における外方に配置されている。言い換えると、低部の突出量が高部の突出量よりも小さいので、低部を高部よりもポケットカバーの幅方向における外方に移動させることができる。これにより、収納空間の幅を広げることができ、収納空間の減少をさらに小さくすることができる。
【0023】
前記レッグシールドの前記突出壁は、前記締結ボスの上方に配置されており、平面視で前記締結ボスに重なる上方部と、前記車幅方向における前記締結ボスと前記収納空間との間に配置された内方部と含む。
この構成によれば、上方部と内方部とが突出壁に設けられている。上方部は、締結ボスの上方に配置されており、平面視で締結ボスに重なっている。内方部は、車幅方向における締結ボスと収納空間との間に配置されている。上方部および内方部は、両方とも収納空間を形成している。したがって、締結ボスの内方からだけでなく、締結ボスの上方からも、締結ボスを収納空間内の物品から保護できる。
【0024】
前記ポケットカバーは、前記ポケットカバーの内面から前方に突出したインナーリブをさらに含み、前記インナーインナーリブは、前記突出壁よりも前記ポケットカバーの前記幅方向における外方に配置されており、側面視で前記突出壁に重なっている。
この構成によれば、ポケットカバーの内面から前方に突出したインナーリブが、レッグシールドの突出壁よりもポケットカバーの幅方向における外方に配置されており、側面視でレッグシールドの突出壁に重なっている。このように、インナーリブと突出壁とが車幅方向に並んでおり、突出壁とポケットカバーとの間の隙間が減少しているので、収納空間に入る水をさらに減らすことができる。
【0025】
前記鞍乗型車両は、前記収納空間に配置された端子挿入穴を含み、前記端子挿入穴に挿入された端子を通じて、電気機器に電力を供給する電源ソケットをさらに備える。
この構成によれば、電源ソケットの端子挿入穴が、レッグシールドとポケットカバーとの間に形成された収納空間に配置されている。電力は、端子挿入穴に挿入された端子を通じて電気機器に供給される。前述のように、ポケットカバーの接触端面とレッグシールドとの間の隙間を通過した水は、前後方向における突出壁とポケットカバーとの間の隙間を通過しないと収納空間に入れない。したがって、電源ソケットや電気機器が水で濡れることを抑制または防止できる。
【0026】
電気機器は、鞍乗型車両の走行中に鞍乗型車両と共に移動する携帯型電気機器を意味する。端子は、ソケットチャージャーまたは車載充電器などの電気機器自体の端子であってもよいし、電気機器または給電ケーブルの端子に整合する穴が設けられたアダプターの端子であってもよいし、電気機器と電源ソケットとを繋ぐ給電ケーブルの端子であってもよい。
【0027】
前記ポケットカバーは、前記車幅方向における前記鞍乗型車両の中央の右方または左方だけに配置されており、前記レッグシールドの前記突出壁は、少なくとも前記車幅方向における前記収納空間の外方に配置されている。
この構成によれば、幅がレッグシールドと等しいまたは概ね等しい幅広のポケットカバーではなく、幅がレッグシールドの幅の半分程度である幅狭のポケットカバーがレッグシールドに固定されている。ポケットカバーは、車幅方向における鞍乗型車両の中央の右方または左方だけに配置されている。鞍乗型車両の走行中や鞍乗型車両の洗浄中に発生する水しぶきは、車幅方向における外方からポケットカバーの中に入り易い。したがって、車幅方向における収納空間の外方に突出壁を配置することにより、収納空間に入る水を効果的に減らすことができる。
【0028】
前記締結部材は、前記レッグシールドおよびポケットカバーに対して取り付けおよび取り外し可能であり、前記ポケットカバーは、前記レッグシールドに対して取り付けおよび取り外し可能である。
この構成によれば、ポケットカバーをレッグシールドに固定する締結部材を、締結部材の破損を伴わずに、レッグシールドおよびポケットカバーから外すことができる。締結部材を外せば、ポケットカバーをレッグシールドから外すことができる。締結部材を取り付ければ、ポケットカバーをレッグシールドに固定することができる。したがって、既存のポケットカバーを新しいポケットカバーに容易に交換できる。さらに、形状が異なる複数のポケットカバーの中からいずれか一つを選択し、選択したポケットカバーをレッグシールドに固定することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、収納空間の体積の減少を抑えつつ、収納空間内の物品がポケットカバーの締結ボスに接触することを防止できる鞍乗型車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の左側面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の左側面図である。
【
図3】レッグシールドおよびポケットカバーの背面図である。
【
図4】ポケットカバーが取り外されたレッグシールドの背面図である。
【
図5】
図3に示すV-V線に沿うレッグシールド、ポケットカバー、および電源ソケットの鉛直な断面を示す断面図である。
【
図6】
図7に示すVI-VI線に沿うレッグシールドおよびポケットカバーの水平な断面を示す断面図である。
【
図11】ポケットカバーが取り外されたレッグシールドの背面図である。
【
図12】ポケットカバーが取り外されたレッグシールドの斜視図である。
【
図13】ポケットカバーが取り外されたレッグシールドの左側面図である。
【
図14】
図7に示すXIV-XIV線に沿うレッグシールドおよびポケットカバーの水平な断面を示す断面図である。
【
図15】
図7に示すXV-XV線に沿うレッグシールドおよびポケットカバーの水平な断面を示す断面図である。
【
図16】
図15に示すXVI-XVI線に沿うレッグシールドおよびポケットカバーの鉛直な断面を示す断面図である。
【
図17】レッグシールドに固定されるポケットカバーのバリエーションについて説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下では、特に断りがない限り、水平な路面上に配置された基準姿勢の鞍乗型車両1について説明する。基準姿勢は、鞍乗型車両1に人が乗っておらず、鞍乗型車両1が直進する直進位置(
図2に示すステアリングハンドル7の位置)にステアリングハンドル7が配置され、後輪Rwの回転中心が水平な姿勢である。
【0032】
以下の説明における前後方向、上下方向、および左右方向は、特に断りがない限り、基準姿勢の鞍乗型車両1に基づいて定義される。左右方向は、車幅方向に相当する。車両中央WOは、ヘッドパイプ3の中心線を通り、後輪Rwの回転中心に直交する鉛直面に相当する。以下の説明における平面視、側面視、および背面視は、特に断りがない限り、それぞれ、鞍乗型車両1の平面視、側面視、および背面視を意味する。以下の説明における「上端」は、ある部材の中で最も上方に位置する部分を意味する。つまり、「上端」は、最上端を意味する。下端、前端、後端、右端、左端、外端、および内端についても同様である。
【0033】
以下の説明における「ポケットカバー26の幅方向」は、車幅方向と平行な方向である。「ある部材が、基準となる部材よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されている」とは、ある部材が、基準となる部材よりも車幅方向におけるポケットカバー26の中央C1に近いことを意味する。「ある部材が、基準となる部材よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている」とは、ある部材が、基準となる部材よりも車幅方向におけるポケットカバー26の中央C1から遠いことを意味する。ポケットカバー26の水平な断面の右端および左端からの車幅方向への距離が等しい位置を中間点と定義すると、車幅方向におけるポケットカバー26の中央C1は、上下方向および車幅方向に直交する複数の直線によって構成されており、いずれの中間点をも通る平面または曲面を意味する。
【0034】
最初に、鞍乗型車両1の基本的な構成について説明する。
図1Aおよび
図1Bは、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両1の左側面図である。
図2は、鞍乗型車両1の平面図である。
図1Aおよび
図1B中の矢印Uおよび矢印Fは、それぞれ、鞍乗型車両1の上方向および前方向を示している。
図2中の矢印Lは、鞍乗型車両1の左方向を示している。他の図についても同様である。
【0035】
図1Aに示すように、鞍乗型車両1は、例えばスクーターである。鞍乗型車両1は、外装カバーで覆われた車体フレーム2と、車体フレーム2に取り付けられた前輪Fwおよび後輪Rwとを備えている。前輪Fwは、後述するフロントフォーク8を介して車体フレーム2に取り付けられている。後輪Rwは、後述するスイングユニット10を介して車体フレーム2に取り付けられている。前輪Fwは、路面上を転がるゴム製のタイヤFtと、タイヤFtに取り囲まれた金属製のホイールFhとを含む。同様に、後輪Rwは、路面上を転がるゴム製のタイヤRtと、タイヤRtに取り囲まれた金属製のホイールRhとを含む。
【0036】
車体フレーム2は、後方かつ上方に斜めに延びるヘッドパイプ3を含む。
図1Bに示すように、車体フレーム2は、さらに、ヘッドパイプ3から後方かつ下方に斜めに延びるダウンフレーム4と、ダウンフレーム4から後方かつ上方に斜めに延びる一対のロワーフレーム5とを含む。一対のロワーフレーム5は、側面視で互いに重なっている。一対のロワーフレーム5の前端は、ヘッドパイプ3よりも下方に配置されている。
【0037】
図1Aに示すように、鞍乗型車両1は、運転者が座る鞍型のシート6を備えている。シート6の前端6fは、ヘッドパイプ3よりも後方に配置されている。シート6は、一人乗用であってもよいし、二人乗り用であってもよい。
図1Aは、後者の例を示している。この例では、シート6は、運転者が座るドライバーシート6dと、同乗者が座るタンデムシート6tとを含む。タンデムシート6tは、ドライバーシート6dと一体であってもよいし、ドライバーシート6dとは別のシートであってもよい。タンデムシート6tは、ドライバーシート6dから後方に延びている。タンデムシート6tは、平面視でドライバーシート6dの後方に配置されている。
【0038】
鞍乗型車両1は、運転者によって操作されるステアリングハンドル7と、前輪Fwを回転可能に支持するフロントフォーク8とを含む。前輪支持部材の一例であるフロントフォーク8は、前輪Fwの右方および左方にそれぞれ配置された一対のフォークパイプ8pと、ヘッドパイプ3に挿入されたステアリングシャフトとを含む。ステアリングシャフトは、ヘッドパイプ3の上端部から上方に突出している。ステアリングハンドル7は、ステアリングシャフトの上端部に連結されている。ステアリングハンドル7は、ヘッドパイプ3の上方に配置されている。ステアリングハンドル7が操作されると、前輪Fwは、ステアリングハンドル7およびフロントフォーク8と共に、ヘッドパイプ3の中心線まわりに左右に回動する。これにより、鞍乗型車両1が操舵される。
【0039】
鞍乗型車両1は、車体フレーム2に対して上下に揺動可能なスイングユニット10を備えている。スイングユニット10は、鞍乗型車両1を走行させるパワーユニットの一例である。スイングユニット10は、後輪Rwを回転させるエンジン11と、エンジン11の動力を後輪Rwに伝達する伝達機構12とを含む。エンジン11は、防振リンク9を介して車体フレーム2に取り付けられている。伝達機構12は、エンジン11から後方に延びている。後輪Rwは、伝達機構12の右方に配置されている。後輪Rwは、伝達機構12によって回転可能に支持されている。後輪Rwおよびスイングユニット10は、防振リンク9を車幅方向に通過する水平なピボット軸線Apまわりに車体フレーム2に対して上下に揺動可能である。
【0040】
エンジン11は、空気と燃料とを含む混合気の燃焼に伴って往復するピストンと、ピストンの往復に伴って、車幅方向に延びる水平な回転軸線Acまわりに回転するクランクシャフトとを含む。エンジン11は、さらに、ピストンを収容するシリンダーと、クランクシャフトを収容するクランクケースとを含む。クランクシャフトは、前輪Fwの後端(前輪FwのタイヤFtの後端に相当。以下同様。)よりも後方で、かつ、後輪Rwの前端(後輪RwのタイヤRtの前端に相当。以下同様。)よりも前方の位置に配置されている。クランクシャフトの回転は、伝達機構12を介して後輪Rwに伝達される。伝達機構12は、エンジン11から伝達された回転の速度を変更しながら当該回転を後輪Rwの方に伝達する変速機(例えばCVT(Continuously Variable Transmission))と、変速機を収容するトランスミッションケース13とを含む。
【0041】
鞍乗型車両1は、エンジン11に供給される燃料を貯留する燃料タンク15と、エンジン11に供給される空気から異物を除去するエレメントを収容したエアクリーナーボックス14とを備えている。エアクリーナーボックス14は、トランスミッションケース13の上方に配置されている。燃料タンク15は、側面視でエアクリーナーボックス14の上方に配置されている。燃料タンク15は、シート6の下方に配置されている。燃料タンク15は、後述する収納ボックス16の後方に配置されている。燃料タンク15は、後述するフートボード27の下方に配置されていてもよい。
【0042】
鞍乗型車両1は、ヘルメットなどの物品が入れられる収納ボックス16を備えている。物品は、収納ボックス16の上端部に設けられた開口を通じて収納ボックス16の中に入れられる。シート6は、収納ボックス16の上方に配置されている。収納ボックス16の開口は、シート6によって開閉される。シート6は、シートヒンジを介して収納ボックス16に連結されている。シート6は、収納ボックス16に対して上下に回動可能である。
図1Aは、収納ボックス16の開口がシート6によって閉じられた閉位置にシート6が配置されている状態を示している。
【0043】
鞍乗型車両1は、前方に光を発するヘッドランプ17と、運転者の操作に応じて点滅する2つのフロントフラッシャー18とを備えている。鞍乗型車両1は、さらに、後方に光を発するテールランプ20と、運転者の操作に応じて点滅する2つのリアフラッシャー21とを備えている。
図1Aは、テールランプ20および2つのリアフラッシャー21が1つのリアランプ19に設けられた例を示している。ヘッドランプ17およびフロントフラッシャー18は、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。テールランプ20およびリアフラッシャー21は、後輪Rwの前端よりも後方に配置されている。
【0044】
鞍乗型車両1は、鞍乗型車両1の外表面を形成する外装カバーを備えている。外装カバーは、ステアリングハンドル7の前方および後方に配置されたハンドルカバー22と、ヘッドパイプ3の前方に配置されたフロントカバー23と、前輪Fwの上方に配置されたフロントフェンダー24とを含む。ハンドルカバー22は、ステアリングハンドル7と共に左右に回動する。フロントフェンダー24は、フロントフォーク8と共に左右に回動する。運転者がステアリングハンドル7を左右に動かすと、ハンドルカバー22、フロントフェンダー24、フロントフォーク8、および前輪Fwは、ステアリングハンドル7と共に左右に動く。
【0045】
外装カバーは、さらに、シート6に座っている運転者の両脚の前方に配置されるレッグシールド25と、シート6に座っている運転者の両足が置かれるフートボード27とを含む。フートボード27は、シート6の前端6fよりも下方に配置されている。レッグシールド25は、フートボード27の前端部から上方に延びている。レッグシールド25は、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。レッグシールド25は、シート6に座っている運転者の両脚と前後方向に向かい合う。レッグシールド25は、フロントカバー23の後方に配置されている。ヘッドパイプ3は、前後方向におけるフロントカバー23とレッグシールド25との間に配置されている。
【0046】
フートボード27の上面は、右端から左端まで平らなフラット部27fを含む。前後方向に直交する平面でフラット部27fを切断すると、フラット部27fのいずれの部分も、車幅方向に延びる水平な直線上に配置されている。言い換えると、前後方向に直交する平面に沿うフラット部27fの断面は、当該断面の右端から当該断面の左端まで車幅方向に直線状に延びている。フラット部27fは、凹凸のない滑らかな平面であってもよいし、足を置くのに支障のない程度の複数の凸部または複数の凹部(例えば2mm~1cmの範囲内の凸部または凹部)が設けられた実質的な平面であってもよい。
【0047】
外装カバーは、物品が入れられる収納空間をレッグシールド25と共に形成するポケットカバー26を備えている。ポケットカバー26は、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。ポケットカバー26は、レッグシールド25の後方に配置されている。ポケットカバー26は、レッグシールド25に取り付けられている。収納空間は、前後方向におけるレッグシールド25とポケットカバー26の間に形成されている。収納空間は、前後方向におけるレッグシールド25とポケットカバー26の間に形成された出し入れ口から下方に延びている。物品は、出し入れ口を通じて収納空間に出し入れされる。
【0048】
外装カバーは、フートボード27の下方に配置されたアンダーカバーを含む。アンダーカバーは、フートボード27の下方に配置されたロワーアンダーカバー28と、フートボード27の下方に配置されていると共に、フートボード27の後方に配置された一対のリアアンダーカバー29とを含む。
図1Bに示すように、一対のロワーフレーム5は、上下方向におけるフートボード27とロワーアンダーカバー28との間に配置されている。一対のリアアンダーカバー29は、それぞれ、一対のロワーフレーム5の右方および左方に配置されている。リアアンダーカバー29は、エンジン11よりも車幅方向における外方に配置されており、側面視でエンジン11に重なっている。
【0049】
外装カバーは、収納ボックス16の前方に配置されたミドルカバー30と、収納ボックス16の右方および左方に配置された一対のサイドカバーとを含む。サイドカバーは、側面視でシート6の下方に配置されたアッパーサイドカバー31と、側面視でアッパーサイドカバー31の下方に配置されたロワーサイドカバー32とを含む。アッパーサイドカバー31およびロワーサイドカバー32は、車幅方向における収納ボックス16の外方に配置されており、側面視で収納ボックス16に重なっている。
【0050】
ミドルカバー30は、フートボード27から上方に延びている。ミドルカバー30は、シート6の下方に配置されている。ミドルカバー30は、レッグシールド25の後方に配置されており、前後方向にレッグシールド25に向かい合っている。側面視において、アッパーサイドカバー31は、ミドルカバー30の後方に配置されている。側面視において、ロワーサイドカバー32は、アッパーサイドカバー31の後方に配置されている。
【0051】
外装カバーは、後輪Rwの上方および後方に配置されたリアフェンダー33を含む。リアフェンダー33は、後輪Rwの上方に配置されたフロントボードと、フロントボードから後方かつ下方に斜めに延びるリアボードとを含む。フロントボードは、車体フレーム2に取り付けられている。リアボードは、フロントボードを介して車体フレーム2に支持されている。フロントボードおよびリアボードは、後輪Rwよりも上方に配置されており、平面視で後輪Rwに重なっている。リアフェンダー33の後端に相当するリアボードの後端は、側面視で後輪Rwの後端(後輪RwのタイヤRtの後端に相当。以下同様。)よりも後方に配置されている。リアボードの後端は、側面視でシート6の後端6rよりも後方に配置されている。
【0052】
次に、レッグシールド25およびポケットカバー26について説明する。
図3は、レッグシールド25およびポケットカバー26の背面図である。
図4は、ポケットカバー26が取り外されたレッグシールド25の背面図である。
図5は、
図3に示すV-V線に沿うレッグシールド25、ポケットカバー26、および電源ソケット45の鉛直な断面を示す断面図である。
図6は、
図7に示すVI-VI線に沿うレッグシールド25およびポケットカバー26の水平な断面を示す断面図である。
図7は、
図3の一部を拡大した図である。
図8は、
図4の一部を拡大した図である。
図9は、ポケットカバー26の正面図である。
図10は、ポケットカバー26の右側面図である。
図6では、電源ソケット45を省略している。
【0053】
図3に示すように、鞍乗型車両1は、エンジン11を始動させるときに運転者によって操作されるメインスイッチ41と、手提げ袋などがかけられるコンビニエンスフック43と、バッテリーの電力を供給する電源ソケット45とを備えている。メインスイッチ41、コンビニエンスフック43、および電源ソケット45は、レッグシールド25に取り付けられている。電源ソケット45は、前後方向におけるレッグシールド25とポケットカバー26との間に配置されている。
【0054】
レッグシールド25は、メインスイッチ41が配置された右凹部42と、コンビニエンスフック43が配置された中央凹部44と、電源ソケット45が配置された左凹部46とを含む。右凹部42、中央凹部44、および左凹部46のいずれも、レッグシールド25の後面から前方に凹んでいる。右凹部42は、車両中央WOの右方に配置されている。左凹部46は、車両中央WOの左方に配置されている。中央凹部44は、車幅方向における左凹部46と右凹部42の間に配置されている。中央凹部44は、背面視でヘッドパイプ3(
図1A参照)の後方に配置されている。
【0055】
右凹部42は、レッグシールド25の後面から前方かつ上方に斜めに延びる座面42bと、座面42bの前縁から上方に延びる前面42fと、座面42bの右縁から下方に延びる側面42sとを含む。メインスイッチ41は、座面42bを貫通する貫通穴に挿入されており、座面42bから上方に突出している。メインスイッチ41のスイッチパネル41pは、座面42bで露出している。メインキーは、スイッチパネル41pに設けられた鍵穴41hに差し込まれる。
【0056】
中央凹部44は、レッグシールド25の後面から前方に延びる内周面44iと、背面視で内周面44iに取り囲まれた底面44bとを含む。コンビニエンスフック43は、底面44b上に配置されている。コンビニエンスフック43は、レッグシールド25に対して前後に回動可能なフック43fおよびレバー43Lを含む。レバー43Lは、フック43fの上方に配置されている。レバー43Lは、レッグシールド25に対して前後に回動可能であると共に、フック43fに対して移動可能である。
【0057】
図4に示すように、左凹部46は、レッグシールド25の後面から前方に凹んだ内面47を含む。左凹部46の内面47は、レッグシールド25の後面から前方に延びる内周面48と、内周面48の底を塞ぐ底面49とを含む。電源ソケット45は、左凹部46の底面49に設けられた座面49bに取り付けられている。電源ソケット45は、座面49bを貫通する貫通穴に挿入されており、座面49bから上方に突出している。
【0058】
左凹部46の底面49は、背面視で左凹部46の内周面48に取り囲まれた底部49Bと、底部49Bから後方かつ上方に斜めに延びる膨出部49eと、前述の座面49bとを含む。座面49bは、膨出部49eの上縁から前方かつ上方に斜めに延びる平坦面である。膨出部49eは、座面49bの外縁から底部49Bまで前方かつ下方に斜めに延びる半円筒状の曲面である。膨出部49eは、電源ソケット45のハウジング45hs(
図5参照)の前方に配置されている。膨出部49eは、ハウジング45hsと同軸の円筒上に配置されている。
【0059】
左凹部46の内周面48は、左凹部46の底面49の上縁から後方に延びる上部48uと、底面49の右縁および左縁から後方に延びる一対の側部と、底面49の下縁から後方に延びる下部48Loとを含む。一対の側部の一方は、底面49の右縁から後方に延びる右側部48Rであり、一対の側部の他方は、底面49の左縁から後方に延びる左側部48Lである。上部48uは、座面49bよりも上方に配置されている。
【0060】
図5に示すように、電源ソケット45は、端子挿入穴45hを形成する有底筒状のハウジング45hsを含む。携帯電話などの電気機器E1を電源ソケット45に接続するケーブルの端子T1は、ハウジング45hsの端子挿入穴45hに挿入される。
図4に示すように、電源ソケット45は、さらに、端子挿入穴45hを開閉するキャップ45cと、キャップ45cの外周面からキャップ45cの径方向に突出するタブ45tとを含む。ユーザーがキャップ45cを開くときは、タブ45tがユーザーの指で上方に動かされる。ユーザーがキャップ45cを閉じるときは、キャップ45cまたはタブ45tがユーザーの指で押される。
【0061】
電源ソケット45のキャップ45cは、左凹部46内に配置されている。キャップ45cは、座面49b上に配置されている。ポケットカバー26は、キャップ45cよりも後方に配置されている。キャップ45cの一部は、前後方向におけるレッグシールド25とポケットカバー26との間に配置されている。キャップ45cの一部は、背面視でポケットカバー26に重なっており、キャップ45cの残りの部分は、背面視でポケットカバー26に重なっていない。
【0062】
図6に示すように、ポケットカバー26は、ポケットカバー26の接触端面57がレッグシールド25の座面75に接しており、ポケットカバー26の締結ボス59がレッグシールド25の座面80に接した状態で、固定ボルトB1によってレッグシールド25に固定されている。固定ボルトB1の軸部は、レッグシールド25の貫通穴81を介して締結ボス59に挿入されている。固定ボルトB1の雄ねじが挿入される雌ねじは、締結ボス59の内周面に形成されていてもよし、締結ボス59に埋め込まれた埋め込みナットの内周面に形成されていてもよい。
図6は、前者の例を示している。
【0063】
ポケットカバー26の幅(車幅方向への長さ)の最大値は、レッグシールド25の幅の半分未満である。ポケットカバー26は、車両中央WOの左方に配置されている。したがって、車幅方向におけるポケットカバー26の中央C1(
図7参照)は、車両中央WOの左方に配置されている。ポケットカバー26の幅の最大値がレッグシールド25の幅以下であれば、ポケットカバー26の幅の最大値は、レッグシールド25の幅の半分以上であってもよい。
【0064】
ポケットカバー26は、間隔を空けてレッグシールド25と前後方向に向かい合う後壁53を含む。
図7に示すように、ポケットカバー26は、さらに、後壁53の右端および左端からレッグシールド25まで前方に延びる一対の側壁と、後壁53の下端からレッグシールド25まぜ前方に延びる下壁55とを含む。一対の側壁の一方は、後壁53の右端からレッグシールド25まで前方に延びる右側壁54Rであり、一対の側壁の他方は、後壁53の左端からレッグシールド25まで前方に延びる左側壁54Lである。
【0065】
ポケットカバー26は、さらに、収納空間S1に入れられる物品が通過する出し入れ口51を形成する上壁52を含む。上壁52は、収納空間S1の上方に配置されている。収納空間S1は、出し入れ口51から下方に延びている。出し入れ口51は、収納空間S1の一部である。上壁52は、レッグシールド25と共に出し入れ口51を形成するU字状の内縁52iと、内縁52iの後方に配置されたU字状の外縁52oとを含む。後壁53、右側壁54R、および左側壁54Lは、上壁52の外縁52oから下方に延びている。上壁52を設ける代わりに、後壁53、右側壁54R、および左側壁54Lの上縁が出し入れ口51を形成していてもよい。
【0066】
図9に示すように、ポケットカバー26の接触端面57は、右側壁54Rの前端面と、左側壁54Lの前端面と下壁55の前端面と、上壁52の前端面とを含む。つまり、これらの前端面は、レッグシールド25に接触している。これに対して、出し入れ口51を形成する上壁52の内縁52iは、レッグシールド25に接触しておらず、レッグシールド25から後方に離れている。物品は、前後方向における上壁52とレッグシールド25との間の空間、つまり、出し入れ口51を通じて収納空間S1に出し入れされる。
【0067】
ポケットカバー26は、ポケットカバー26の接触端面57から前方に突出する少なくとも一つの差込突起を含んでいてもよい。
図9および
図10は、2つの差込突起がポケットカバー26に設けられた例を示している。この例では、ポケットカバー26は、右側壁54Rの前端面から前方に突出する右差込突起58Rと、左側壁54Lの前端面から前方に突出する左差込突起58Lとを含む。後述するように、2つの差込突起は、それぞれ、レッグシールド25の2つの差込穴に挿入されている。
【0068】
図9に示すように、ポケットカバー26は、ポケットカバー26の内面から前方に突出する少なくとも一つの締結ボス59を含む。
図9は、4つの締結ボス59が設けられた例を示している。4つの締結ボス59は、右上締結ボス59aと、右下締結ボス59bと、左上締結ボス59cと、左下締結ボス59dとによって構成されている。
締結ボス59は、前後方向に延びる筒状である。締結ボス59は、固定ボルトB1が挿入される挿入穴59hが開口した端面59eと、ポケットカバー26の内面から端面59eまで前方に延びる外周面59oとを含む。いずれの締結ボス59も、ポケットカバー26の接触端面57よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されている。言い換えると、いずれの締結ボス59も、ポケットカバー26の正面視で車幅方向における右側壁54Rの前端面と左側壁54Lの前端面との間に配置されている。
【0069】
右上締結ボス59aは、右下締結ボス59bよりも上方に配置されている。左上締結ボス59cは、左下締結ボス59dよりも上方に配置されている。右上締結ボス59aおよび左上締結ボス59cは、概ね等しい高さに配置されており、車幅方向に互いに離れている。同様に、右下締結ボス59bおよび左下締結ボス59dは、概ね等しい高さに配置されており、車幅方向に互いに離れている。
【0070】
ポケットカバー26は、少なくとも一つの締結ボス59を補強する板状の補強リブ60を含む。
図10は、それぞれの締結ボス59に複数の補強リブ60が設けられた例を示している。補強リブ60は、三角形または長方形のプレートである。補強リブ60の一つの辺は、締結ボス59の外周面59oに結合されており、補強リブ60の他の辺は、ポケットカバー26の内面に結合されている。ポケットカバー26の内面に対する締結ボス59の変位は、補強リブ60によって抑制または防止される。
【0071】
ポケットカバー26は、ポケットカバー26の内面から前方に突出した少なくとも一つのインナーリブ61を含む。
図9および
図10は、2つのインナーリブ61が設けられた例を示している。2つのインナーリブ61の一方は左上リブ61uであり、2つのインナーリブ61の他方は左下リブ61Lである。左上リブ61uおよび左下リブ61Lは、ポケットカバー26の幅方向におけるポケットカバー26の中央C1(
図7参照)よりも左方に配置されている。左上リブ61uおよび左下リブ61Lは、ポケットカバー26の左端部に配置されている。
【0072】
図9に示すように、左上リブ61uは、左下リブ61Lよりも上下方向に長い。左上リブ61uの上端は、左上締結ボス59cよりも下方に配置されており、左上リブ61uの下端は、左下締結ボス59dよりも上方に配置されている。左下リブ61Lの上端は、左下締結ボス59dよりも下方に配置されている。左上リブ61uは、左上締結ボス59cおよび左下締結ボス59dよりも左方に配置されている。左下リブ61Lは、左下締結ボス59dよりも右方に配置されている。左上リブ61uおよび左下リブ61Lは、後述する左突出壁86(
図11参照)よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置される。
【0073】
図9に示すように、レッグシールド25は、背面視でポケットカバー26に重なるオーバーラップ部71を含む。オーバーラップ部71は、背面視でポケットカバー26に重なるレッグシールド25の全ての部分を意味する。したがって、左凹部46の大部分が、オーバーラップ部71に含まれる。例えば、左凹部46の底部49B、右側部48R、左側部48L、および下部48Loは、オーバーラップ部71に含まれる。左凹部46の座面49bの一部も、オーバーラップ部71に含まれる。左凹部46の上部48uは、背面視でポケットカバー26に重ならないので、オーバーラップ部71には含まれない。
【0074】
レッグシールド25のオーバーラップ部71は、ポケットカバー26の接触端面57に接する座面75を含む。座面75は、オーバーラップ部71の外縁に相当する。座面75は、ポケットカバー26の接触端面57に整合する形状を有している。ポケットカバー26の接触端面57は、座面75の後方に配置され、座面75に重ねられる。ポケットカバー26の接触端面57のいずれの部分も、背面視で座面75に重なる。
【0075】
レッグシールド25の座面75は、背面視で収納空間S1の右方に配置された右側部77Rと、背面視で収納空間S1の左方に配置された左側部77Lと、背面視で収納空間S1の下方に配置された下部78とを含む。下部78は、右側部77Rの下端から左側部77Lの下端に延びており、右側部77Rおよび左側部77Lを互いに接続している。座面75は、さらに、右側部77Rの上端から左方に延びる右上部76Rと、左側部77Lの上端から右方に延びる左上部76Lとを含む。右上部76Rは、収納空間S1の右方に配置されており、左上部76Lは、収納空間S1の左方に配置されている。右上部76Rおよび左上部76Lは、車幅方向に互いに離れている。
【0076】
座面75の右上部76Rおよび右側部77Rは、背面視でレッグシールド25の左凹部46の右方に配置されている。座面75の左上部76Lおよび左側部77Lは、背面視でレッグシールド25の左凹部46の左方に配置されている。座面75の下部78は、背面視でレッグシールド25の左凹部46の下方に配置されている。右側部77Rの上端は、後述する右上貫通穴81aよりも上方に配置されている。左側部77Lの上端は、後述する左上貫通穴81cよりも上方に配置されている。
【0077】
少なくとも一つの差込突起がポケットカバー26に設けられる場合、差込突起と同数の差込穴が座面75に形成される。
図8は、2つの差込穴が形成された例を示している。2つの差込穴の一方は、座面75の右側部77Rを前後に貫通する右差込穴79Rであり、2つの差込穴の他方は、座面75の左側部77Lを前後に貫通する左差込穴79Lである。ポケットカバー26の右差込突起58Rは右差込穴79Rに挿入され、ポケットカバー26の左差込突起58Lは左差込穴79Lに挿入される。差込突起は、差込突起の外周面と差込穴の内周面との接触によって差込穴に対する移動が規制される。これにより、レッグシールド25に対するポケットカバー26の移動が規制される。
【0078】
図6に示すように、レッグシールド25は、接触端面57を含むポケットカバー26の縁56が差し込まれる嵌合溝72を形成している。レッグシールド25の座面75は、嵌合溝72の内面に含まれる。すなわち、嵌合溝72の内面は、嵌合溝72の底を形成する座面75と、溝底面に相当する座面75の外縁から後方に延びる溝外側面73と、座面75の内縁から後方に延びる溝内側面74とを含む。
【0079】
ポケットカバー26の縁56は、溝外側面73および溝内側面74の間に配置される。溝外側面73は、ポケットカバー26の外に配置される。溝内側面74は、ポケットカバー26の中に配置される。溝外側面73は、ポケットカバー26の外面と向かい合う。溝内側面74は、ポケットカバー26の内面と向かい合う。
図7に示すように、溝外側面73は、ポケットカバー26の右方および左方だけでなく、ポケットカバー26の上方および下方にも配置される。したがって、ポケットカバー26は、溝外側面73によって、レッグシールド25に対する車幅方向および上下方向への移動が規制される。
【0080】
嵌合溝72の溝外側面73は、座面75の外縁の全体に設けられていてもよいし、座面75の外縁の一部だけに設けられていてもよい。同様に、嵌合溝72の溝内側面74は、座面75の内縁の全体に設けられていてもよいし、座面75の内縁の一部だけに設けられていてもよい。
図8は、溝外側面73が座面75の外縁のいずれの部分にも設けられており、溝内側面74が座面75の内縁の一部だけに設けられた例を示している。
【0081】
図8に示すように、レッグシールド25は、ポケットカバー26の複数の締結ボス59に接する複数の座面80と、複数の座面80を前後方向に貫通する複数の貫通穴81とを含む。貫通穴81の数は、ポケットカバー26の締結ボス59の数と等しく、座面80の数は、貫通穴81の数と等しい。座面80は、締結ボス59の端面59eよりも大きい平坦面である。いずれの座面80も、ポケットカバー26の幅方向における座面75の内方に配置されている。
【0082】
図8は、4つの座面80と4つの貫通穴81とが設けられた例を示している。4つの座面80と4つの貫通穴81とは、一対一で互いに対応している。4つの座面80は、右上座面80aと、右下座面80bと、左上座面80cと、左下座面80dとによって構成されている。4つの貫通穴81は、右上貫通穴81aと、右下貫通穴81bと、左上貫通穴81cと、左下貫通穴81dとによって構成されている。
【0083】
右上座面80a、右下座面80b、右上貫通穴81a、および右下貫通穴81bは、背面視で収納空間S1の右方に配置されている。右上座面80aおよび右上貫通穴81aは、右下貫通穴81bおよび右下座面80bよりも上方に配置されている。同様に、左上座面80c、左下座面80d、左上貫通穴81c、および左下貫通穴81dは、背面視で収納空間S1の左方に配置されている。左上座面80cおよび左上貫通穴81cは、左下貫通穴81dおよび左下座面80dよりも上方に配置されている。
【0084】
右上貫通穴81aおよび左上貫通穴81cは、座面75で開口する右差込穴79Rおよび左差込穴79Lよりも上方に配置されている。右下貫通穴81bおよび左下貫通穴81dは、右差込穴79Rおよび左差込穴79Lよりも下方に配置されている。左上貫通穴81cは、右上貫通穴81aよりも上方に配置されている。右上貫通穴81aは、左下貫通穴81dよりも上方に配置されている。左下貫通穴81dは、右上貫通穴81aと等しいまたは概ね等しい高さに配置されている。右上貫通穴81aは、右下貫通穴81bよりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている。
【0085】
図6に示すように、ポケットカバー26は、固定位置(
図6に示すポケットカバー26の位置)でレッグシールド25に固定されている。固定位置は、レッグシールド25に固定されているポケットカバー26が配置された領域である。ポケットカバー26の縁56をレッグシールド25の嵌合溝72に嵌めると、ポケットカバー26は、固定位置に配置されると共に、固定位置に対する車幅方向および上下方向への移動がレッグシールド25の溝外側面73によって規制される。
【0086】
さらに、ポケットカバー26の縁56をレッグシールド25の嵌合溝72に嵌めると、ポケットカバー26の複数の締結ボス59の端面59eが、それぞれ、レッグシールド25の複数の座面80上に置かれる。このとき、締結ボス59の挿入穴59hは、レッグシールド25の貫通穴81の後方に配置される。締結ボス59の軸方向(挿入穴59hの中心線の方向)に見ると、挿入穴59hの全体がレッグシールド25の貫通穴81に重なる。
【0087】
この状態で、固定ボルトB1の軸部は、レッグシールド25の貫通穴81を介して締結ボス59の挿入穴59hに挿入され、締結ボス59に取り付けられる。これにより、複数の締結ボス59がレッグシールド25の方に前方に引っ張られ、レッグシールド25が締結ボス59と固定ボルトB1の頭部とによって前後方向に挟まれる。これにより、ポケットカバー26が固定位置でレッグシールド25に固定される。全ての固定ボルトB1を緩めれば、ポケットカバー26はレッグシールド25から外れる。
【0088】
次に、レッグシールド25の突出壁について説明する。
図11、
図12、および
図13は、それぞれ、ポケットカバー26が取り外されたレッグシールド25の背面図、斜視図、および左側面図である。
図14は、
図7に示すXIV-XIV線に沿うレッグシールド25およびポケットカバー26の水平な断面を示す断面図である。
図15は、
図7に示すXV-XV線に沿うレッグシールド25およびポケットカバー26の水平な断面を示す断面図である。
図16は、
図15に示すXVI-XVI線に沿うレッグシールド25およびポケットカバー26の鉛直な断面を示す断面図である。
【0089】
図11に示すように、レッグシールド25のオーバーラップ部71は、ポケットカバー26の幅方向における座面75の内方に配置されており、座面75に隣接する少なくとも一つの隣接部を含む。
図11は、2つの隣接部が設けられた例を示している。一方の隣接部は、座面75の右側部77Rの内縁に隣接する右隣接部83であり、他方の隣接部は、座面75の左側部77Lの内縁に隣接する左隣接部84である。
【0090】
右隣接部83は、背面視で車幅方向における座面75の右側部77Rと左凹部46との間に位置する部分である。右上座面80a、右下座面80b、右上貫通穴81a、および右下貫通穴81bは、右隣接部83に設けられている。右隣接部83は、背面視で右側部77Rの内縁に沿って上下に延びている。右隣接部83は、右側部77Rの内縁から左方に延びている。右隣接部83の外縁は、背面視で右側部77Rの内縁に重なっている。嵌合溝72の溝内側面74は、右側部77Rの内縁から右隣接部83の外縁まで後方に延びている。したがって、右隣接部83は、右側部77Rよりも後方に配置されている。
【0091】
左隣接部84は、背面視で車幅方向における座面75の左側部77Lと左凹部46との間に位置する部分である。左上座面80c、左下座面80d、左上貫通穴81c、および左下貫通穴81dは、左隣接部84に設けられている。左隣接部84は、背面視で左側部77Lの内縁に沿って上下に延びている。左隣接部84は、左側部77Lの内縁から右方に延びている。左隣接部84の外縁は、背面視で左側部77Lの内縁に重なっている。嵌合溝72の溝内側面74は、左側部77Lの内縁から左隣接部84の外縁まで後方に延びている。したがって、左隣接部84は、左側部77Lよりも後方に配置されている。
【0092】
図12に示すように、レッグシールド25は、オーバーラップ部71から後方に突出した少なくとも一つの突出壁を含む。
図12は、2つの突出壁が設けられた例を示している。2つの突出壁の一方は、背面視で収納空間S1の右方に配置された右突出壁85であり、2つの突出壁の他方は、背面視で収納空間S1の左方に配置された左突出壁86である。右突出壁85は、前述の右隣接部83から後方に突出している。左突出壁86は、前述の左隣接部84から後方に突出している。右突出壁85および左突出壁86は、オーバーラップ部71と一体である。
【0093】
図11に示すように、右突出壁85は、右隣接部83よりも後方に位置する部分である。右突出壁85は、座面75よりも後方に配置されている。右突出壁85は、座面75よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されている。右上座面80a、右下座面80b、右上貫通穴81a、および右下貫通穴81bは、背面視で車幅方向における右突出壁85と座面75の右側部77Rとの間に配置されている。
【0094】
同様に、左突出壁86は、左隣接部84よりも後方に位置する部分である。左突出壁86は、座面75よりも後方に配置されている。左突出壁86は、座面75よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されている。左上座面80c、左下座面80d、左上貫通穴81c、および左下貫通穴81dは、背面視で車幅方向における左突出壁86と座面75の左側部77Lとの間に配置されている。
【0095】
レッグシールド25の左凹部46は、背面視で車幅方向における右突出壁85および左突出壁86の間に配置されている。座面75の右端から右突出壁85までの車幅方向の最短距離は、車幅方向における右突出壁85から左突出壁86までの最短距離よりも短い。同様に、座面75の左端から左突出壁86までの車幅方向の最短距離は、車幅方向における右突出壁85から左突出壁86までの最短距離よりも短い。
【0096】
右突出壁85の上端85uは、右上貫通穴81aよりも上方に配置されている。右突出壁85の下端85Lは、右下貫通穴81bよりも下方に配置されている。右突出壁85は、背面視でポケットカバー26の幅方向における右上貫通穴81aの内方に配置された右上内方部87と、背面視でポケットカバー26の幅方向における右下貫通穴81bの内方に配置された右下内方部89とを含む。右突出壁85は、さらに、背面視で右下貫通穴81bの上方に配置された右下上方部88を含む。
【0097】
右上内方部87の一部は、背面視で右上貫通穴81aと等しい高さに配置されている。同様に、右下内方部89の一部は、背面視で右下貫通穴81bと等しい高さに配置されている。右下上方部88の一部は、背面視で右下貫通穴81bの真上に位置している。より具体的には、右下上方部88の一部は、背面視で、右下貫通穴81bの右端よりも左方で、かつ、右下貫通穴81bの左端よりも右方の位置に配置されている。
【0098】
左突出壁86の上端86uは、左上貫通穴81cよりも上方に配置されている。左突出壁86の下端86Lは、左下貫通穴81dよりも下方に配置されている。左突出壁86は、背面視でポケットカバー26の幅方向における左上貫通穴81cの内方に配置された左上内方部91と、背面視でポケットカバー26の幅方向における左下貫通穴81dの内方に配置された左下内方部96とを含む。左突出壁86は、さらに、背面視で左上貫通穴81cの下方に配置された左上下方部92と、背面視で左下貫通穴81dの上方に配置された左下上方部95とを含む。
【0099】
左上内方部91の一部は、背面視で左上貫通穴81cと等しい高さに配置されている。同様に、左下内方部96の一部は、背面視で左下貫通穴81dと等しい高さに配置されている。左上下方部92の一部は、背面視で左上貫通穴81cの真下に位置している。左下上方部95の一部は、背面視で左下貫通穴81dの真上に位置している。より具体的には、左上下方部92の一部は、背面視で、左上貫通穴81cの右端よりも左方で、かつ、左上貫通穴81cの左端よりも右方の位置に配置されている。左下上方部95の一部は、背面視で、左下貫通穴81dの右端よりも左方で、かつ、左下貫通穴81dの左端よりも右方の位置に配置されている。
【0100】
図13に示すように、右突出壁85の後縁85eのいずれの部分も、側面視で、車幅方向におけるレッグシールド25の外縁25o(
図7参照)よりも後方に配置されている。右突出壁85の後縁85eは、側面視で前後に波打っている。同様に、左突出壁86の後縁86eのいずれの部分も、側面視でレッグシールド25の外縁25oよりも後方に配置されている。左突出壁86の後縁86eは、側面視で前後に波打っている。右突出壁85の後縁85eの一部は、側面視におけるレッグシールド25の後縁25r(
図7において車両中央WOを表す一点鎖線に重なる部分)よりも後方に配置されている。側面視において、右突出壁85の後端85rは、左突出壁86のいずれの部分よりも後方に配置されている。
【0101】
左突出壁86は、オーバーラップ部71からの突出量が大きい上高部90と、オーバーラップ部71からの突出量が小さい低部93と、オーバーラップ部71からの突出量が大きい下高部94とを含む。前述の左上内方部91および左上下方部92は、上高部90に含まれる。前述の左下内方部96および左下上方部95は、下高部94に含まれる。上高部90は、低部93よりも上方に配置されている。下高部94は、低部93よりも下方に配置されている。オーバーラップ部71からの上高部90の突出量は、オーバーラップ部71からの低部93の突出量よりも大きい。オーバーラップ部71からの下高部94の突出量は、オーバーラップ部71からの低部93の突出量よりも大きい。
【0102】
図11に示すように、左突出壁86の低部93は、背面視で左突出壁86の上高部90および下高部94よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている。座面75から低部93までの車幅方向の最短距離は、座面75から上高部90までの車幅方向の最短距離よりも短く、座面75から下高部94までの車幅方向の最短距離よりも短い。低部93は、上高部90よりも上下方向に長い。低部93は、下高部94よりも上下方向に長い。低部93の上端93uは、左上貫通穴81cよりも下方に配置されている。低部93の下端93Lは、左下貫通穴81dよりも上方に配置されている。
【0103】
図14に示すように、右突出壁85および左突出壁86は、いずれも、中実の板である。右突出壁85の厚み(車幅方向への長さ)は、右突出壁85の後端に近づくにしたがって連続的または段階的に減少していてもよいし、右突出壁85の前端から右突出壁85の後端まで一定であってもよい。左突出壁86についても同様である。
図14は、右突出壁85の厚みが右突出壁85の後端に近づくにしたがって連続的に減少しており、左突出壁86の厚みが左突出壁86の後端に近づくにしたがって連続的に減少している例を示している。
【0104】
図15に示す断面において、右突出壁85の突出量は、左突出壁86の突出量よりも小さい。つまり、右下座面80bから右突出壁85の後端までの前後方向の距離X1は、左下座面80dから左突出壁86の後端までの前後方向の距離X2よりも短い。距離X2は、車幅方向への右突出壁85および左突出壁86の間隔よりも短い。距離X1は、右下締結ボス59bの中心から右突出壁85までの車幅方向の最短距離よりも長い。距離X2は、左下締結ボス59dの中心から左突出壁86までの車幅方向の最短距離よりも長い。
【0105】
右突出壁85および左突出壁86は、ポケットカバー26の前方に配置されている。右突出壁85および左突出壁86は、ポケットカバー26の内面に接しておらず、ポケットカバー26の内面から前方に離れている。右突出壁85および左突出壁86は、ポケットカバー26とレッグシールド25の左凹部46と共に収納空間S1を形成している。つまり、収納空間S1の輪郭は、右突出壁85、左突出壁86、ポケットカバー26、および左凹部46によって形成されている。
【0106】
レッグシールド25の左凹部46の底面49は、収納空間S1の前方に配置されている。ポケットカバー26は、収納空間S1の後方に配置されている。右突出壁85と左凹部46の右側部48Rとは、収納空間S1の右方に配置されている。左突出壁86と左凹部46の左側部48Lとは、収納空間S1の左方に配置されている。左凹部46の下部48Loは、収納空間S1の下方に配置されている。したがって、収納空間S1内の物品は、右突出壁85、左突出壁86、ポケットカバー26、および左凹部46に接触し得る。
【0107】
図14に示すように、ポケットカバー26の幅方向における右突出壁85の内面85iおよび外面85oは、レッグシールド25とポケットカバー26との間に配置されている。右突出壁85の内面85iは、レッグシールド25とポケットカバー26との間で収納空間S1を形成している。これに対して、右突出壁85の外面85oは、収納空間S1を形成しておらず、右突出壁85の内面85iに対して収納空間S1とは反対に配置されている。右突出壁85の外面85oは、ポケットカバー26の幅方向にポケットカバー26の内面と向かい合っている。
【0108】
同様に、ポケットカバー26の幅方向における左突出壁86の内面86iおよび外面86oは、レッグシールド25とポケットカバー26との間に配置されている。左突出壁86の内面86iは、レッグシールド25とポケットカバー26との間で収納空間S1を形成している。これに対して、左突出壁86の外面86oは、収納空間S1を形成しておらず、左突出壁86の内面86iに対して収納空間S1とは反対に配置されている。左突出壁86の外面86oは、ポケットカバー26の幅方向にポケットカバー26の内面と向かい合っている。
【0109】
図14および
図15に示す断面において、右突出壁85の内面85iと左凹部46の内面47とは、1つの直線上に配置されている。つまり、右突出壁85の内面85iは、右隣接部83を介さずに左凹部46の内面47に接続されており、左凹部46の内面47を後方に延長した直線L1上に配置されている。
図14および
図15に示す断面において、右突出壁85の内面85iと左凹部46の内面47とは、それぞれ、2つの直線上に配置されていてもよい。
【0110】
同様に、
図15に示す断面において、左突出壁86の内面86iと左凹部46の内面47とは、1つの直線L1上に配置されている。これに対して、
図14に示す断面では、左突出壁86の内面86iと左凹部46の内面47とは、それぞれ、2つの直線上に配置されている。つまり、左突出壁86の内面86iは、左隣接部84を介して左凹部46の内面47に接続されており、左凹部46の内面47よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている。
図15に示す断面において、左突出壁86の内面86iと左凹部46の内面47とは、1つの直線上に配置されていてもよい。
【0111】
図15に示すように、右突出壁85の右下内方部89は、ポケットカバー26の幅方向における右下締結ボス59bの内方に配置されている。言い換えると、右下内方部89は、右下締結ボス59bの左方に配置されており、車幅方向に右下締結ボス59bと向かい合っている。右下内方部89は、右下締結ボス59bに接しておらず、右下締結ボス59bから車幅方向に離れている。右下締結ボス59bは、車幅方向における右下内方部89と座面75との間に配置されている。
【0112】
同様に、左突出壁86の左下内方部96は、ポケットカバー26の幅方向における左下締結ボス59dの内方に配置されている。言い換えると、左下内方部96は、左下締結ボス59dの右方に配置されており、車幅方向に左下締結ボス59dと向かい合っている。左下内方部96は、左下締結ボス59dに接しておらず、左下締結ボス59dから車幅方向に離れている。左下締結ボス59dは、車幅方向における左下内方部96と座面75との間に配置されている。
【0113】
図14に示すように、右突出壁85の右下上方部88は、右下締結ボス59bの上方に配置されており、平面視で右下締結ボス59bに重なっている。右下上方部88は、右下締結ボス59bに接しておらず、右下締結ボス59bから上方に離れている。同様に、左突出壁86の左下上方部95は、左下締結ボス59dの上方に配置されており、平面視で左下締結ボス59dに重なっている。左下上方部95は、左下締結ボス59dに接しておらず、左下締結ボス59dから上方に離れている。
【0114】
図示はしないが、右突出壁85の右上内方部87は、ポケットカバー26の幅方向における右上締結ボス59aの内方に配置されている。同様に、左突出壁86の左上内方部91は、ポケットカバー26の幅方向における左上締結ボス59cの内方に配置されている。左突出壁86の左上下方部92は、左上締結ボス59cの下方に配置されており、平面視で右下締結ボス59bに重なっている。左上下方部92は、左上締結ボス59cに接しておらず、左上締結ボス59cから下方に離れている。
【0115】
図14に示すように、ポケットカバー26の左上リブ61uは、左突出壁86よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている。左上リブ61uは、車幅方向における座面75と左突出壁86との間に配置されている。左上リブ61uは、左隣接部84の後方に配置されている。左上リブ61uは、左隣接部84に接しておらず、左隣接部84から後方に離れている。
図14に示す断面において、左上リブ61uは、左突出壁86よりも前後方向に短い。左上リブ61uは、側面視で左突出壁86に重なっている。左上リブ61uは、左突出壁86に接していてもよいし、左突出壁86から車幅方向に離れていてもよい。
【0116】
同様に、
図15に示すように、ポケットカバー26の左下リブ61Lは、左突出壁86よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている。左下リブ61Lは、車幅方向における座面75と左突出壁86との間に配置されている。左下リブ61Lは、左隣接部84の後方に配置されている。左下リブ61Lは、左隣接部84に接しておらず、左隣接部84から後方に離れている。
図15に示す断面において、左下リブ61Lは、左突出壁86よりも前後方向に短い。左下リブ61Lは、側面視で左突出壁86に重なっている。左下リブ61Lは、左突出壁86に接していてもよいし、左突出壁86から車幅方向に離れていてもよい。
【0117】
図16に示すように、レッグシールド25およびポケットカバー26の少なくとも一方は、収納空間S1内の水を排出する水抜き穴97を含んでいてもよい。
図16は、水抜き穴97がレッグシールド25だけに設けられた例を示している。水抜き穴97は、レッグシールド25およびポケットカバー26の両方に設けられていてもよいし、レッグシールド25だけに設けられていてもよい。
【0118】
図16の例では、水抜き穴97は、左凹部46の内周面48の下部48Loから下方に延びている。水抜き穴97は、レッグシールド25を上下に貫通している。水抜き穴97は、左凹部46の内周面48で開口している。水抜き穴97は、座面75でも開口している。水抜き穴97は、嵌合溝72の溝外側面73の下端よりも上方に配置されている。ポケットカバー26の接触端面57は、水抜き穴97の後方に配置されており、水抜き穴97に重ねられている。
【0119】
図11に示すように、水抜き穴97は、右突出壁85および左突出壁86よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されている。つまり、水抜き穴97は、右突出壁85および左突出壁86よりも車幅方向におけるポケットカバー26の中央C1の近くに配置されている。水抜き穴97は、右突出壁85の下端85Lおよび左突出壁86の下端86Lよりも下方に配置されている。収納空間S1に入った水滴や収納空間S1で発生した水滴は、レッグシールド25またはポケットカバー26に沿って水抜き穴97の方に下方に流れ、水抜き穴97に入る。これにより、水が収納空間S1から排出される。
【0120】
以上のように本実施形態では、レッグシールド25およびポケットカバー26が収納空間S1を形成している。ポケットカバー26は、背面視でレッグシールド25のオーバーラップ部71に重なっている。オーバーラップ部71から後方に突出したレッグシールド25の右突出壁85および左突出壁86は、収納空間S1の一部を形成している。右突出壁85および左突出壁86は、それぞれ、収納空間S1の右方および左方に配置されている。したがって、右突出壁85および左突出壁86は、それぞれ、収納空間S1内の物品の右方および左方に配置される。
【0121】
ポケットカバー26は、ポケットカバー26の締結ボス59とレッグシールド25の貫通穴81とに挿入された固定ボルトB1によってレッグシールド25に固定されている。右突出壁85および左突出壁86は、車幅方向における締結ボス59と収納空間S1との間に配置されている。したがって、収納空間S1内の物品は、締結ボス59ではなく、右突出壁85または左突出壁86に接触する。そのため、収納空間S1内の物品の荷重が締結ボス59に直接伝達されない。さらに、収納空間S1内の物品の荷重がポケットカバー26および右突出壁85および左突出壁86に分散されるので、ポケットカバー26の内面を介して締結ボス59に伝達される荷重が減少する。
【0122】
このように、収納空間S1内の物品が締結ボス59に接触しないので、締結ボス59を小型化したり、締結ボス59の数を減らしたりすることができる。したがって、レッグシールド25とポケットカバー26との間の空間において締結ボス59が占める範囲の体積を減らすことができる。これにより、収納空間S1の体積の減少を抑えつつ、収納空間S1内の物品がポケットカバー26の締結ボス59に接触することを防止できる。さらに、収納空間S1内の物品が締結ボス59に接触しないので、物品が締結ボス59に引っかかることを防止でき、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0123】
加えて、ポケットカバー26は、ポケットカバー26の接触端面57がレッグシールド25に接触した状態でレッグシールド25に固定されている。右突出壁85および左突出壁86の少なくとも一部は、ポケットカバー26の接触端面57よりも後方に配置されている。水がポケットカバー26の接触端面57とレッグシールド25との間の隙間を通過したとしても、この水は、前後方向における右突出壁85または左突出壁86とポケットカバー26との間の隙間を通過しないと収納空間S1に到達しない。したがって、鞍乗型車両1の走行中や鞍乗型車両1の洗浄中に発生する水しぶきなどの水が収納空間S1に入り難い。これにより、収納空間S1に入る水を減らすことができる。
【0124】
本実施形態では、右突出壁85の上端85uおよび左突出壁86の上端86uが貫通穴81よりも上方に配置されており、右突出壁85の下端85Lおよび左突出壁86の下端86Lが貫通穴81よりも下方に配置されている。右突出壁85および左突出壁86がこのような上下方向の長さを有しているので、上下方向に広い範囲において締結ボス59を収納空間S1内の物品から保護できる。さらに、右突出壁85および左突出壁86が上下方向に長いので、上下方向に広い範囲において水を遮ることができ、収納空間S1に入る水をさらに減らすことができる。
【0125】
本実施形態では、接触端面57を含むポケットカバー26の縁56が、レッグシールド25に設けられた嵌合溝72に嵌められている。ポケットカバー26の縁56とレッグシールド25の嵌合溝72とは、方向が180度変わるラビリンス状の隙間を形成している。したがって、水がポケットカバー26の接触端面57とレッグシールド25との間を通過し難い。さらに、レッグシールド25の右突出壁85および左突出壁86は、ポケットカバー26の幅方向における嵌合溝72の内方に配置されている。水がラビリンス状の隙間を通過して、ポケットカバー26の中に進入したとしても、この水は、右突出壁85および左突出壁86によって収納空間S1への進入が妨げられる。これにより、収納空間S1に入る水をさらに減らすことができる。
【0126】
本実施形態では、レッグシールド25の左凹部46の少なくとも一部が、ポケットカバー26の前方に配置されており、背面視でポケットカバー26に重なっている。左凹部46は、ポケットカバー26と共に収納空間S1を形成している。したがって、収納空間S1の体積を増やすことができる。さらに、左凹部46が前方に大きく凹んでいる、つまり、ポケットカバー26の接触端面57よりも前方の位置まで前方に凹んでいるので、収納空間S1の体積を大幅に増やすことができる。
【0127】
本実施形態では、右突出壁85の内面85iおよび左突出壁86の内面86iと左凹部46の内面47とが収納空間S1を形成している。レッグシールド25の水平な断面において、右突出壁85の内面85iおよび左突出壁86の内面86iの少なくとも一部は、左凹部46の内面47を後方に延長した直線L1上に配置されている。右突出壁85の内面85iおよび左突出壁86の内面86iと左凹部46の内面47との結合部は平坦であり、段差を形成していない。したがって、右突出壁85の内面85iおよび左突出壁86の内面86iと左凹部46の内面47との結合部に生じる応力を低下させることができる。
【0128】
本実施形態では、収納空間S1内の水を排出する水抜き穴97が、レッグシールド25およびポケットカバー26の少なくとも一方に設けられている。水抜き穴97は、右突出壁85および左突出壁86よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されている。右突出壁85または左突出壁86とポケットカバー26との間を通過して収納空間S1に進入した水は、水抜き穴97に向かって収納空間S1内を下方に流れ、水抜き穴97に流入する。したがって、水が右突出壁85または左突出壁86とポケットカバー26との間を通過したとしても、この水を速やかに収納空間S1から排出できる。
【0129】
本実施形態では、上高部90、下高部94、および低部93が左突出壁86に設けられている。上高部90、下高部94、および低部93は、オーバーラップ部71からの後方向への突出量が互いに異なる。低部93よりも突出量が大きい上高部90および下高部94は、車幅方向における締結ボス59と収納空間S1との間に配置されている。したがって、収納空間S1内の物品から締結ボス59を確実に保護できる。
【0130】
本実施形態では、左突出壁86の低部93が、左突出壁86の上高部90および下高部94よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されている。言い換えると、低部93の突出量が上高部90および下高部94の突出量よりも小さいので、低部93を上高部90および下高部94よりもポケットカバー26の幅方向における外方に移動させることができる。これにより、収納空間S1の幅を広げることができ、収納空間S1の減少をさらに小さくすることができる。
【0131】
本実施形態では、右上内方部87、右下内方部89、および右下上方部88が、右突出壁85に設けられている。左上内方部91、左下内方部96、および左下上方部95が、左突出壁86に設けられている。右下上方部88および左下上方部95は、締結ボス59の上方に配置されており、平面視で締結ボス59に重なっている。右上内方部87、右下内方部89、左上内方部91、および左下内方部96は、車幅方向における締結ボス59と収納空間S1との間に配置されている。右下上方部88、左下上方部95、右上内方部87、右下内方部89、左上内方部91、および左下内方部96は、収納空間S1を形成している。したがって、締結ボス59の内方からだけでなく、締結ボス59の上方からも、締結ボス59を収納空間S1内の物品から保護できる。
【0132】
本実施形態では、ポケットカバー26の内面から前方に突出した左上リブ61uおよび左下リブ61Lが、レッグシールド25の左突出壁86よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されており、側面視でレッグシールド25の左突出壁86に重なっている。このように、左上リブ61uおよび左下リブ61Lと左突出壁86とが車幅方向に並んでおり、左突出壁86とポケットカバー26との間の隙間が減少しているので、収納空間S1に入る水をさらに減らすことができる。
【0133】
本実施形態では、電源ソケット45の端子挿入穴45hが、レッグシールド25とポケットカバー26との間に形成された収納空間S1に配置されている。電力は、端子挿入穴45hに挿入された端子T1を通じて電気機器E1に供給される。前述のように、ポケットカバー26の接触端面57とレッグシールド25との間の隙間を通過した水は、前後方向における右突出壁85または左突出壁86とポケットカバー26との間の隙間を通過しないと収納空間S1に入れない。したがって、電源ソケット45や電気機器E1が水で濡れることを抑制または防止できる。
【0134】
本実施形態では、幅がレッグシールド25と等しいまたは概ね等しい幅広のポケットカバーではなく、幅がレッグシールド25の幅の半分程度である幅狭のポケットカバー26がレッグシールド25に固定されている。ポケットカバー26は、車両中央WOの左方だけに配置されている。鞍乗型車両1の走行中や鞍乗型車両1の洗浄中に発生する水しぶきは、車幅方向における外方からポケットカバー26の中に入り易い。したがって、車幅方向における収納空間S1の外方に左突出壁86を配置することにより、収納空間S1に入る水を効果的に減らすことができる。
【0135】
本実施形態では、ポケットカバー26をレッグシールド25に固定する締結部材の一例である固定ボルトB1を、固定ボルトB1の破損を伴わずに、レッグシールド25およびポケットカバー26から外すことができる。固定ボルトB1を外せば、ポケットカバー26をレッグシールド25から外すことができる。固定ボルトB1を取り付ければ、ポケットカバー26をレッグシールド25に固定することができる。したがって、既存のポケットカバー26を新しいポケットカバー26に容易に交換できる。さらに、形状が異なる複数のポケットカバーの中からいずれか一つを選択し、選択したポケットカバーをレッグシールド25に固定することができる。
【0136】
レッグシールド25に固定される固定部(締結ボス59など)の構造が前述のポケットカバー26と同じであれば、前述のポケットカバー26とは異なる形状のポケットカバーがレッグシールド25に固定されてもよい。例えば、
図17に示す、ビックポケット101、ホルダーポケット102、およびボックスストレージ103のいずれかがレッグシールド25に固定されてもよい。
【0137】
ビックポケット101は、前述のポケットカバー26と同様の形状を有しており、前述のポケットカバー26の収納空間S1よりも大きい収納空間S1を形成する、蓋なしのポケットカバーである。
ホルダーポケット102は、前述のポケットカバー26と同様の形状を有しており、携帯電話などの収納空間S1内の物品の移動を規制するホルダーバー102bを含む、蓋なしのポケットカバーである。
図17は、ホルダーバー102bが右側壁54Rと左側壁54Lとの間で掛け渡されており、後壁53の上端よりも上方に配置されている例を示している。
【0138】
ボックスストレージ103は、収納空間S1を形成しており、レッグシールド25に固定される固定ボックス103bと、固定ボックス103bの後面で開口する出し入れ口51を開閉する蓋103Lと、を含む、密閉型のポケットカバーである。収納空間S1は、固定ボックス103bの出し入れ口51から前方に延びている。
図17に示すいずれのポケットカバー(ビックポケット101、ホルダーポケット102、およびボックスストレージ103)も、前述のポケットカバー26と同様の固定部(締結ボス59など)を有している。
【0139】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、ポケットカバー26は、車両中央WOの左方ではなく、車両中央WOの右方だけに配置されていてもよいし、車両中央WOの右方および左方に配置されていてもよい。後者の場合、幅がレッグシールド25と等しいまたは概ね等しい幅広のポケットカバーを用いてもよい。
【0140】
固定ボルトB1は、レッグシールド25の前方からではなく、ポケットカバー26の後方からポケットカバー26に取り付けられてもよい。つまり、固定ボルトB1の頭部は、レッグシールド25の前方ではなく、ポケットカバー26の後方に配置されていてもよい。
ポケットカバー26をレッグシールド25に固定する締結部材は、固定ボルトB1に限らず、リベットやクリップなどの固定ボルトB1以外の部材であってもよい。この場合、締結部材は、締結部材の破損を伴わずに、レッグシールド25およびポケットカバー26から取り外し可能であってもよい。締結部材は、レッグシールド25およびポケットカバー26に繰り返し取り付け可能であってもよい。
【0141】
レッグシールド25の右突出壁85および左突出壁86の一方を省略してもよい。この場合、右突出壁85を省略することが好ましい。鞍乗型車両1の走行中や鞍乗型車両1の洗浄中に発生する水しぶきは、車幅方向における外方からポケットカバー26の中に入り易いからである。
レッグシールド25の突出壁は、右突出壁85および左突出壁86の少なくとも一方よりも下方に配置された下突出壁をさらに備えていてもよい。下突出壁は、レッグシールド25のオーバーラップ部71から後方に突出しており、ポケットカバー26の中に配置される。下突出壁は、右突出壁85および左突出壁86の少なくとも一方に連結されていてもよいし、右突出壁85および左突出壁86の両方から離れていてもよい。前者の場合、下突出壁は、右突出壁85の下端85Lから左突出壁86の下端86Lに延びていてもよい。
【0142】
レッグシールド25の右突出壁85の上端85uは、背面視で右上貫通穴81aおよび右下貫通穴81bの少なくとも一方よりも下方に配置されていてもよい。右突出壁85の下端85Lは、背面視で右上貫通穴81aおよび右下貫通穴81bの少なくとも一方よりも上方に配置されていてもよい。
同様に、レッグシールド25の左突出壁86の上端86uは、背面視で右上貫通穴81aおよび右下貫通穴81bの少なくとも一方よりも下方に配置されていてもよい。左突出壁86の下端86Lは、背面視で右上貫通穴81aおよび右下貫通穴81bの少なくとも一方よりも上方に配置されていてもよい。
【0143】
レッグシールド25は、ポケットカバー26の縁56が嵌められた嵌合溝72を形成していなくてもよい。
レッグシールド25は、ポケットカバー26の前方に位置する左凹部46を形成していなくてもよい。
レッグシールド25およびポケットカバー26の間の空間から水を排出する水抜き穴97は、右突出壁85および左突出壁86の少なくとも一方よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置されていてもよい。水抜き穴97をレッグシールド25から省略してもよい。
【0144】
左突出壁86の上高部90ではなく、左突出壁86の低部93が車幅方向における左上締結ボス59cと収納空間S1との間に配置されていてもよい。左突出壁86の下高部94ではなく、左突出壁86の低部93が車幅方向における左下締結ボス59dと収納空間S1との間に配置されていてもよい。左突出壁86の低部93は、左突出壁86の上高部90および下高部94の少なくとも一方よりもポケットカバー26の幅方向における内方に配置されていてもよい。
【0145】
オーバーラップ部71からの低部93の突出量は、オーバーラップ部71からの上高部90の突出量と等しくてもよい。オーバーラップ部71からの低部93の突出量は、オーバーラップ部71からの下高部94の突出量と等しくてもよい。つまり、低部93を左突出壁86から省略してもよい。
オーバーラップ部71からの左突出壁86の突出量は、左突出壁86の上端86uから左突出壁86の下端86Lまで一定であってもよい。オーバーラップ部71からの右突出壁85の突出量は、左突出壁86の上端86uから左突出壁86の下端86Lまで一定であってもよい。
【0146】
右上締結ボス59aの上方に配置された右下上方部88を右突出壁85から省略してもよい。左下締結ボス59dの上方に配置された左下上方部95を左突出壁86から省略してもよい。
ポケットカバー26のインナーリブ61は、左上リブ61uおよび左下リブ61Lの少なくとも一方に加えてまたは代えて、右突出壁85よりもポケットカバー26の幅方向における外方に配置された右リブを備えていてもよい。もしくは、インナーリブ61をポケットカバー26から省略してもよい。
【0147】
締結ボス59を補強する補強リブ60をポケットカバー26から省略してもよい。
電源ソケット45を鞍乗型車両1から省略してもよい。
鞍乗型車両1は、動力源の一例であるエンジン11の代わりに、動力源の他の例である電動モータを備えていてもよいし、エンジン11および電動モータの両方を備えていてもよい。
【0148】
鞍乗型車両1は、エンジン11が車体フレーム2に対して揺動可能なスクーター型の自動二輪車に限らず、動力源が車体フレーム2に固定されたアンダーボーン型の自動二輪車であってもよい。鞍乗型車両1は、自動二輪車に限らず、3つ以上の車輪を備えた車両であってもよいし、不整地走行用車両(ALL-TERRAIN VEHICLE)であってもよいし、スノーモービルであってもよい。鞍乗型車両1が三輪車の場合、前輪Fwが2つあってもよいし、後輪Rwが2つあってもよい。
【0149】
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0150】
1:鞍乗型車両、6:シート、6f:シートの前端、25:レッグシールド、26:ポケットカバー、45:電源ソケット、45h:電源ソケットの端子挿入穴、46:レッグシールドの左凹部、47:レッグシールドの左凹部の内面、56:ポケットカバーの縁、57:ポケットカバーの接触端面、59:ポケットカバーの締結ボス、59a:右上締結ボス、59b:右下締結ボス、59c:左上締結ボス、59d:左下締結ボス、61:ポケットカバーのインナーリブ、61u:左上リブ、61L:左下リブ、71:レッグシールドのオーバーラップ部、72:レッグシールドの嵌合溝、81:レッグシールドの貫通穴、81a:右上貫通穴、81b:右下貫通穴、81c:左上貫通穴、81d:左下貫通穴、85:レッグシールドの右突出壁、85i:右突出壁の内面、85L:右突出壁の下端、85u:右突出壁の上端、86:レッグシールドの左突出壁、86i:左突出壁の内面、86L:左突出壁の下端、86u:左突出壁の上端、87:右上内方部、88:右下上方部、89:右下内方部、90:上高部、91:左上内方部、93:低部、94:下高部、95:左下上方部、96:左下内方部、97:水抜き穴、B1:固定ボルト、E1:電気機器、L1:延長した直線、S1:収納空間、T1:端子、WO:車両中央