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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066070
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 25/06 20200101AFI20220421BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20220421BHJP
   B62K 11/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B62J25/06
B62J23/00 C
B62K11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020174981
(22)【出願日】2020-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レザ アルディラ アグスタント
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 弘文
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AC03
3D011AC04
3D011AF04
3D011AH02
3D011AL51
(57)【要約】
【課題】同乗者の快適性が高い鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両1は、同乗者用の上フートレスト45および下フートレスト46と、上下方向に下フートレスト46と向かい合う天井部49を含む外装カバーとを備える。下フートレスト46は、運転者用の前フートレストよりも後方で、かつ、上フートレスト45よりも下方の位置に配置されている。天井部49の鉛直な断面において、天井部49の上端49uは、下フートレスト46の上端よりも上方に配置されており、天井部49の下端49Lは、天井部49の上端49uよりも車幅方向における内方に配置されており、下フートレスト46の少なくとも一部は、天井部49の上端49uよりも車幅方向における内方で、かつ、天井部49の下端49Lよりも車幅方向における外方の位置に配置されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が座るドライバーシートと、
平面視で前記ドライバーシートの後方に配置されており、同乗者が座るタンデムシートと、
前記ドライバーシートに座っている前記運転者の足が載せられる前フートレストと、
前記前フートレストよりも後方に配置されており、前記タンデムシートに座っている前記同乗者の足が載せられる上フートレストと、
前記前フートレストよりも後方で、かつ、前記上フートレストよりも下方の位置に配置されており、前記タンデムシートに座っている前記同乗者の前記足が載せられる下フートレストと、
少なくとも一部が前記下フートレストよりも上方に配置されており、上下方向に前記下フートレストと向かい合う天井部が設けられた側面、を含む外装カバーと、を備え、
前後方向に直交する鉛直な平面に沿う前記天井部の所定断面において、前記天井部の上端は、前記下フートレストの上端よりも上方に配置されており、前記天井部の下端は、前記天井部の前記上端よりも車幅方向における内方に配置されており、前記下フートレストの少なくとも一部は、前記天井部の前記上端よりも車幅方向における内方で、かつ、前記天井部の前記下端よりも車幅方向における外方の位置に配置されている、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記前フートレストから前記上フートレストまで後方に延びており、前記運転者または同乗者の前記足が載せられる中間フートレストをさらに備える、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記鞍乗型車両は、路面上を転がるタイヤと前記タイヤに取り囲まれたホイールとを含む後輪と、前記後輪を回転させるエンジンと、をさらに備え、
前記中間フートレストのいずれの部分も、前記ドライバーシートの前端よりも後方に配置されており、
前記中間フートレストの後端は、側面視で、前記後輪の前記ホイールの上端よりも上方で、かつ、前記エンジンの回転軸線よりも前方の位置に配置されている、請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記上フートレストの後端と前記下フートレストの後端とは、前記エンジンの回転軸線よりも前方に配置されている、請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記下フートレストの下端は、前記エンジンの回転軸線よりも上方に配置されている、請求項3または4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記外装カバーは、少なくとも一部が側面視で前記上フートレストの上方に配置されたサイドカバーを含み、
車幅方向における前記上フートレストの外端は、車幅方向における前記サイドカバーの外端よりも下方で、かつ、前記サイドカバーの前記外端よりも車幅方向における外方の位置に配置されており、
車幅方向における前記上フートレストの内端は、前記サイドカバーの前記外端よりも下方で、かつ、前記サイドカバーの前記外端よりも車幅方向における内方の位置に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記鞍乗型車両は、エンジンをさらに備え、
前記上フートレストの後端と前記下フートレストの後端とは、前記エンジンの回転軸線よりも前方に配置されている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記鞍乗型車両は、エンジンをさらに備え、
前記下フートレストの下端は、前記エンジンの回転軸線よりも上方に配置されている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記上フートレストは、前記下フートレストよりも車幅方向に短い、請求項1~8のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記鞍乗型車両は、前記ドライバーシートの下方に配置されており、前記ドライバーシートによって開閉され、物品が入れられる収納ボックスをさらに備え、
前記上フートレストは、前記収納ボックスよりも車幅方向における外方に配置されており、側面視で前記収納ボックスに重なっており、
前記下フートレストの上端は、前記収納ボックスよりも車幅方向における外方に配置されており、前記収納ボックスの下端よりも下方に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記上フートレストの少なくとも一部は、前記天井部よりも上方に配置されており、平面視で前記天井部に重なっている、請求項1~10のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記天井部の前記所定断面において、前記天井部の前記上端から前記天井部の前記下端までの上下方向の距離は、前記天井部の前記下端から前記下フートレストの前記上端までの上下方向の距離よりも長く、
前記天井部の前記所定断面において、前記天井部の前記上端から前記天井部の前記下端までの車幅方向の距離は、前記天井部の前記下端から前記下フートレストの前記上端までの上下方向の距離よりも長い、請求項1~11のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鞍乗型車両の一例であるスクーターが開示されている。このスクーターは、運転者の両足が載せられるステップフロアと、同乗者の両足が載せられる一対のピリオンステップとを備えている。ピリオンステップは、折り畳み可能である。ピリオンステップは、車体フレームに対して使用位置と非使用位置との間で移動可能であるものの、ピリオンステップ全体を車体フレームに対して移動させることはできない。
【0003】
特許文献2にも、鞍乗型車両の一例であるスクーターが開示されている。このスクーターは、運転者の両足と同乗者の両足とが載せられる足載板を備えている。足載板は、運転者の両足が載せられる前部足載板と、同乗者の両足が載せられる一対の後部足載板とを含む。後部足載板は、前部足載板から後方に延びている。前部足載板および後部足載板は、いずれも、スクーターの表面を形成する外装カバーの一部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-67304号公報
【特許文献2】特開平4-92791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載のスクーターには、同乗者の足が載せられるタンデムフートレストがスクーターの右側面および左側面に一つずつしか設けられていない。そのため、同乗者の体格によっては、同乗者がタンデムフートレストに足を載せ難い場合がある。例えば、一般的な体格に合わせてタンデムフートレストが設定されている場合、小柄な人や大柄な人がタンデムフートレストに足を載せ難い場合がある。
【0006】
それだけでなく、運転者が座る位置によっても、同乗者がタンデムフートレストに足を載せ難い場合がある。例えば、運転者が座る位置が通常よりも後方である場合、同乗者は、両脚をさらに広げるか、自身が座る位置を後方に移動させる必要がある。後者の場合、同乗者は、極端に膝を伸ばした窮屈な姿勢でタンデムフートレストに足を載せなければならないことがある。
【0007】
特許文献1に記載のピリオンステップは、同乗者の足を置ける範囲が前後方向および車幅方向のいずれにも狭い。その一方で、特許文献2に記載の後部足載板は、同乗者の足を置ける範囲が前後方向に比較的広い。しかしながら、特許文献2に記載の後部足載板は、後部足載板の後端に近づくにしたがって幅が減少している。したがって、同乗者が後部足載板の後部に足を載せ難い。さらに、この場合、同乗者の脚が外装カバーに近づくので、後部足載板に対する足の載せ方が外装カバーに制限される場合がある。これを回避するために、後部足載板の幅を広げると、スクーターが幅方向に大型化してしまう。
【0008】
したがって、特許文献1および特許文献2に記載のスクーターでは、同乗者の体格や運転者の座る位置によっては、同乗者が快適な姿勢でタンデムフートレストに足を載せられない場合がある。
そこで、本発明の目的の一つは、同乗者の快適性が高い鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、運転者が座るドライバーシートと、平面視で前記ドライバーシートの後方に配置されており、同乗者が座るタンデムシートと、前記ドライバーシートに座っている前記運転者の足が載せられる前フートレストと、前記前フートレストよりも後方に配置されており、前記タンデムシートに座っている前記同乗者の足が載せられる上フートレストと、前記前フートレストよりも後方で、かつ、前記上フートレストよりも下方の位置に配置されており、前記タンデムシートに座っている前記同乗者の前記足が載せられる下フートレストと、少なくとも一部が前記下フートレストよりも上方に配置されており、上下方向に前記下フートレストと向かい合う天井部が設けられた側面、を含む外装カバーと、を備え、前後方向に直交する鉛直な平面に沿う前記天井部の所定断面において、前記天井部の上端は、前記下フートレストの上端よりも上方に配置されており、前記天井部の下端は、前記天井部の前記上端よりも車幅方向における内方に配置されており、前記下フートレストの少なくとも一部は、前記天井部の前記上端よりも車幅方向における内方で、かつ、前記天井部の前記下端よりも車幅方向における外方の位置に配置されている、鞍乗型車両を提供する。
【0010】
この構成によれば、ドライバーシートに座っている運転者の足(具体的には、運転者の履物)が、前フートレストに載せられる。タンデムシートに座っている同乗者の足(具体的には、同乗者の履物)は、上フートレストまたは下フートレストに載せられる。つまり、同乗者は、足を置く位置を、上フートレストおよび下フートレストの中から選択できる。上フートレストおよび下フートレストは、互いに異なる高さに配置されている。小柄な人がタンデムシートに座る場合や、運転者が座る位置が通常よりも後方である場合は、例えば上フートレストに同乗者の足が載せられる。したがって、同乗者の体格や運転者の座る位置にかかわらず、同乗者が快適な姿勢で上フートレストまたは下フートレストに足を載せられる。
【0011】
一般的な体格の人や大柄な人がタンデムシートに座る場合は、例えば下フートレストの上に同乗者の足が載せられる。この場合、同乗者の足は、外装カバーの天井部と下フートレストの間に配置される。前後方向に対して垂直であり、下フートレストを通る鉛直な平面に沿う天井部の断面(以下、「所定断面」ともいう。)において、天井部の上端は、下フートレストの内端よりも車幅方向における外方に配置されている。したがって、下フートレストに足を載せた同乗者の足首(ankle)は、車幅方向に関して天井部の上端の近くに配置される。
【0012】
その一方で、天井部の所定断面において、天井部の下端は、天井部の上端よりも車幅方向における内方に配置されている。したがって、天井部の所定断面において、天井部は、天井部の下端に向かって車幅方向における内方に延びている。人間のうちくるぶし(medial malleolus)は、足首から内方に突出している。したがって、天井部は、天井部の下端に近づくにしたがって同乗者のうちくるぶしから車幅方向における内方に遠ざかる。
【0013】
このように、天井部の所定断面において、天井部の上端が下フートレストに足を載せた同乗者の足首の近くに配置される一方で、天井部は天井部の下端に近づくにしたがって同乗者のうちくるぶしから車幅方向における内方に遠ざかる。下フートレストに対する足の載せ方によっては、同乗者のうちくるぶしが、天井部の下の空間に入る。したがって、下フートレストに対する同乗者の足の載せ方が、天井部に制限され難い。
【0014】
さらに、天井部が車幅方向における内方に凹んでいるので、下フートレストに対する足の位置が通常より内方であっても、同乗者のかかとが天井部に当たり難い。したがって、下フートレストに対して足を置ける範囲が車幅方向に広がる。つまり、同乗者は、足を置く位置を、上フートレストおよび下フートレストの中から選択できるだけでなく、下フートレストの範囲内で車幅方向に移動させることもできる。以上の理由により、同乗者の快適性をさらに高めることができる。
【0015】
本実施形態において、以下の特徴の少なくとも一つが、前記鞍乗型車両に加えられてもよい。
前記鞍乗型車両は、前記前フートレストから前記上フートレストまで後方に延びており、前記運転者または同乗者の前記足が載せられる中間フートレストをさらに備える。
この構成によれば、前フートレスト、上フートレスト、および下フートレストに加えて、中間フートレストが設けられている。中間フートレストは、前フートレストから後方に延びている。したがって、ドライバーシートに座っている運転者は、足を置く位置を、前フートレストおよび中間フートレストの中から選択でき、運転者の足を置ける範囲が前後方向に広がる。さらに、中間フートレストは、上フートレストから前方に延びている。したがって、タンデムシートに座っている同乗者は、足を置く位置を、上フートレスト、下フートレスト、および中間フートレストの中から選択でき、同乗者の足を置ける範囲が前後方向に広がる。
【0016】
前記鞍乗型車両は、路面上を転がるタイヤと前記タイヤに取り囲まれたホイールとを含む後輪と、前記後輪を回転させるエンジンと、をさらに備え、前記中間フートレストのいずれの部分も、前記ドライバーシートの前端よりも後方に配置されており、前記中間フートレストの後端は、側面視で、前記後輪の前記ホイールの上端よりも上方で、かつ、前記エンジンの回転軸線よりも前方の位置に配置されている。
【0017】
この構成によれば、中間フートレストがシートの前端に相当するドライバーシートの前端よりも後方に配置されている。したがって、運転者が中間フートレストに足を載せると、足の裏が後方に向けられ易い。その一方で、中間フートレストの後端は、側面視で、後輪のホイールの上端よりも上方で、かつ、エンジンの回転軸線よりも前方の位置に配置されている。つまり、中間フートレストの後端は、比較的前方の位置に配置されているだけでなく、比較的高い位置に配置されている。そのため、中間フートレストは、水平面に対して比較的大きな角度で斜めに傾く。運転者の足の裏が後方に向けられる場合、中間フートレストの傾斜角度が大きいと、運転者は、中間フートレストを載せ易い。したがって、運転者の快適性を高めることができる。
【0018】
前記外装カバーは、少なくとも一部が側面視で前記上フートレストの上方に配置されたサイドカバーを含み、車幅方向における前記上フートレストの外端は、車幅方向における前記サイドカバーの外端よりも下方で、かつ、前記サイドカバーの前記外端よりも車幅方向における外方の位置に配置されており、車幅方向における前記上フートレストの内端は、前記サイドカバーの前記外端よりも下方で、かつ、前記サイドカバーの前記外端よりも車幅方向における内方の位置に配置されている。
【0019】
この構成によれば、上フートレストの外端と上フートレストの内端とが、サイドカバーの外端よりも下方に配置されている。上フートレストの外端がサイドカバーの外端よりも車幅方向における外方に配置されている一方で、上フートレストの内端はサイドカバーの外端よりも車幅方向における内方に配置されている。したがって、鞍乗型車両の幅の増加を抑制または防止しながら、車幅方向への上フートレストの幅を広げることができる。
【0020】
前記鞍乗型車両は、エンジンをさらに備え、前記上フートレストの後端と前記下フートレストの後端とは、前記エンジンの回転軸線よりも前方に配置されている。
この構成によれば、上フートレストの後端と下フートレストの後端とが、エンジンの回転軸線よりも前方に配置されている。したがって、タンデムシートに座る同乗者は、膝を延ばした快適な姿勢で上フートレストおよび下フートレストのいずれか一方に足を載せることができる。さらに、下フートレストは、上フートレストよりも下方に配置されるだけでなく、エンジンの回転軸線よりも前方に配置されるので、タンデムシートから下フートレストまでの距離が増加する。したがって、大柄な人がタンデムシートに座る場合でも、同乗者は、膝を延ばした快適な姿勢で下フートレストに足を載せることができる。
【0021】
前記鞍乗型車両は、エンジンをさらに備え、前記下フートレストの下端は、前記エンジンの回転軸線よりも上方に配置されている。
この構成によれば、下フートレストの下端が、エンジンの回転軸線よりも上方に配置されている。したがって、上フートレストの下端も、エンジンの回転軸線よりも上方に配置されている。このように、上フートレストおよび下フートレストが比較的上方の位置に配置されているので、タンデムシートに座る同乗者は、極端に膝を伸ばさずに上フートレストおよび下フートレストのいずれか一方に足を載せることができる。
【0022】
前記上フートレストは、前記下フートレストよりも車幅方向に短い。
この構成によれば、上フートレストの幅が下フートレストの幅よりも狭い。つまり、車幅方向への上フートレストの長さが、車幅方向への下フートレストの長さよりも短い。小柄な人の足は下フートレストに載せられると考えられる。小柄な人は、一般的な体格の人や大柄な人に比べて足の幅が狭いことが多い。したがって、上フートレストが下フートレストよりも車幅方向に短くても、同乗者は、下フートレストに足を載せることができる。これにより、同乗者の快適性を維持しつつ、鞍乗型車両の幅の増加を抑制または防止できる。
【0023】
前記鞍乗型車両は、前記ドライバーシートの下方に配置されており、前記ドライバーシートによって開閉され、物品が入れられる収納ボックスをさらに備え、前記上フートレストは、前記収納ボックスよりも車幅方向における外方に配置されており、側面視で前記収納ボックスに重なっており、前記下フートレストの上端は、前記収納ボックスよりも車幅方向における外方に配置されており、前記収納ボックスの下端よりも下方に配置されている。
【0024】
この構成によれば、上フートレストおよび下フートレストが、互いに異なる高さに配置されているだけでなく、上下方向に十分に離れている。つまり、上フートレストが側面視で収納ボックスに重なる一方で、下フートレストは、収納ボックスよりも下方に配置されており、側面視で収納ボックスに重なっていない。このように、上フートレストおよび下フートレストが上下方向に十分に離れているので、同乗者の体格や運転者の座る位置にかかわらず、同乗者は、上フートレストまたは下フートレストに快適に足を載せられる。
【0025】
前記上フートレストの少なくとも一部は、前記天井部よりも上方に配置されており、平面視で前記天井部に重なっている。
この構成によれば、天井部が平面視で上フートレストおよび下フートレストの両方に重なっている。つまり、天井部の少なくとも一部は、下フートレストよりも上方に配置されており、平面視で下フートレストに重なっている。上フートレストの少なくとも一部は、天井部よりも上方に配置されており、平面視で天井部に重なっている。このようなレイアウトを採ることにより、鞍乗型車両の幅の増加を抑制または防止できる。
【0026】
前記天井部の前記所定断面において、前記天井部の前記上端から前記天井部の前記下端までの上下方向の距離は、前記天井部の前記下端から前記下フートレストの前記上端までの上下方向の距離よりも長く、前記天井部の前記所定断面において、前記天井部の前記上端から前記天井部の前記下端までの車幅方向の距離は、前記天井部の前記下端から前記下フートレストの前記上端までの上下方向の距離よりも長い。
【0027】
この構成によれば、天井部の上端から天井部の下端までの上下方向の距離が相対的に長い。そのため、天井部の上端は、下フートレストから上方向に十分に離れている。その一方で、天井部の下端から下フートレストの上端までの上下方向の距離は相対的に短い。そのため、天井部の下端は、上下方向に関して下フートレストの近くに配置される。このようなレイアウトの場合、下フートレストに足を載せる同乗者のうちくるぶしは、天井部の上端と天井部の下端との間の高さに配置され易い。
【0028】
さらに、天井部の下端から下フートレストの上端までの上下方向の距離と比較すると、天井部の上端から天井部の下端までの車幅方向の距離は相対的に長い。つまり、天井部は、車幅方向における内方に大きく凹んでおり、比較的大きな空間が天井部の下方に確保される。そのため、下フートレストに足を載せる同乗者のかかとが天井部に接触し難く、下フートレストに対する同乗者の足の位置が天井部に制限され難い。これにより、同乗者の快適性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、同乗者の快適性が高い鞍乗型車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の左側面図である。
図1B】鞍乗型車両の左側面図である。
図2】鞍乗型車両の平面図である。
図3】フートボードを含む鞍乗型車両の一部の左側面図である。
図4】フートボードを含む鞍乗型車両の一部の平面図である。
図5図3の一部を拡大した図である。
図6図4の一部を拡大した図である。
図7図5に示すVII-VII線に沿う中間フートレストの鉛直な断面を示す断面図である。
図8図5に示すVIII-VIII線に沿う上フートレストの鉛直な断面を示す断面図である。
図9図8の一部を拡大した図である。
図10】下フートレストが使用位置に配置されている状態を示す、鞍乗型車両の一部の背面図である。
図11】下フートレストが非使用位置に配置されている状態を示す、鞍乗型車両の一部の背面図である。
図12】下フートレストに載せられた足と外装カバーの天井部との位置関係について説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下では、特に断りがない限り、水平な路面上に配置された基準姿勢の鞍乗型車両1について説明する。基準姿勢は、鞍乗型車両1に人が乗っておらず、鞍乗型車両1が直進する直進位置(図2に示すステアリングハンドル7の位置)にステアリングハンドル7が配置され、後輪Rwの回転中心が水平な姿勢である。
【0032】
以下の説明における前後方向、上下方向、および左右方向は、特に断りがない限り、基準姿勢の鞍乗型車両1に基づいて定義される。左右方向は、車幅方向に相当する。車両中央WOは、ヘッドパイプ3の中心線を通り、後輪Rwの回転中心に直交する鉛直面に相当する。以下の説明における平面視、側面視、および背面視は、特に断りがない限り、それぞれ、鞍乗型車両1の平面視、側面視、および背面視を意味する。以下の説明における「上端」は、ある部材の中で最も上方に位置する部分を意味する。つまり、「上端」は、最上端を意味する。下端、前端、後端、右端、左端、外端、および内端についても同様である。
【0033】
最初に、鞍乗型車両1の基本的な構成について説明する。
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両1の左側面図である。図2は、鞍乗型車両1の平面図である。図1Aおよび図1B中の矢印Uおよび矢印Fは、それぞれ、鞍乗型車両1の上方向および前方向を示している。図2中の矢印Lは、鞍乗型車両1の左方向を示している。他の図についても同様である。
【0034】
図1Aに示すように、鞍乗型車両1は、例えばスクーターである。鞍乗型車両1は、外装カバーで覆われた車体フレーム2と、車体フレーム2に取り付けられた前輪Fwおよび後輪Rwとを備えている。前輪Fwは、後述するフロントフォーク8を介して車体フレーム2に取り付けられている。後輪Rwは、後述するスイングユニット10を介して車体フレーム2に取り付けられている。前輪Fwは、路面上を転がるゴム製のタイヤFtと、タイヤFtに取り囲まれた金属製のホイールFhとを含む。同様に、後輪Rwは、路面上を転がるゴム製のタイヤRtと、タイヤRtに取り囲まれた金属製のホイールRhとを含む。
【0035】
車体フレーム2は、後方かつ上方に斜めに延びるヘッドパイプ3を含む。図1Bに示すように、車体フレーム2は、さらに、ヘッドパイプ3から後方かつ下方に斜めに延びるダウンフレーム4と、ダウンフレーム4から後方かつ上方に斜めに延びる一対のロワーフレーム5とを含む。一対のロワーフレーム5は、側面視で互いに重なっている。一対のロワーフレーム5の前端は、ヘッドパイプ3よりも下方に配置されている。
【0036】
図1Aに示すように、鞍乗型車両1は、運転者が座る鞍型のシート6を備えている。シート6の前端6fは、ヘッドパイプ3よりも後方に配置されている。シート6は、一人乗用であってもよいし、二人乗り用であってもよい。図1Aは、後者の例を示している。この例では、シート6は、運転者が座るドライバーシート6dと、同乗者が座るタンデムシート6tとを含む。タンデムシート6tは、ドライバーシート6dと一体であってもよいし、ドライバーシート6dとは別のシートであってもよい。タンデムシート6tは、ドライバーシート6dから後方に延びている。タンデムシート6tは、平面視でドライバーシート6dの後方に配置されている。
【0037】
鞍乗型車両1は、運転者によって操作されるステアリングハンドル7と、前輪Fwを回転可能に支持するフロントフォーク8とを含む。前輪支持部材の一例であるフロントフォーク8は、前輪Fwの右方および左方にそれぞれ配置された一対のフォークパイプ8pと、ヘッドパイプ3に挿入されたステアリングシャフトとを含む。ステアリングシャフトは、ヘッドパイプ3の上端部から上方に突出している。ステアリングハンドル7は、ステアリングシャフトの上端部に連結されている。ステアリングハンドル7は、ヘッドパイプ3の上方に配置されている。ステアリングハンドル7が操作されると、前輪Fwは、ステアリングハンドル7およびフロントフォーク8と共に、ヘッドパイプ3の中心線まわりに左右に回動する。これにより、鞍乗型車両1が操舵される。
【0038】
鞍乗型車両1は、車体フレーム2に対して上下に揺動可能なスイングユニット10を備えている。スイングユニット10は、鞍乗型車両1を走行させるパワーユニットの一例である。スイングユニット10は、後輪Rwを回転させるエンジン11と、エンジン11の動力を後輪Rwに伝達する伝達機構12とを含む。エンジン11は、防振リンク9を介して車体フレーム2に取り付けられている。伝達機構12は、エンジン11から後方に延びている。後輪Rwは、伝達機構12の右方に配置されている。後輪Rwは、伝達機構12によって回転可能に支持されている。後輪Rwおよびスイングユニット10は、防振リンク9を車幅方向に通過する水平なピボット軸線Apまわりに車体フレーム2に対して上下に揺動可能である。
【0039】
エンジン11は、空気と燃料とを含む混合気の燃焼に伴って往復するピストンと、ピストンの往復に伴って、車幅方向に延びる水平な回転軸線Acまわりに回転するクランクシャフトとを含む。エンジン11は、さらに、ピストンを収容するシリンダーと、クランクシャフトを収容するクランクケースとを含む。クランクシャフトは、前輪Fwの後端(前輪FwのタイヤFtの後端に相当。以下同様。)よりも後方で、かつ、後輪Rwの前端(後輪RwのタイヤRtの前端に相当。以下同様。)よりも前方の位置に配置されている。クランクシャフトの回転は、伝達機構12を介して後輪Rwに伝達される。伝達機構12は、エンジン11から伝達された回転の速度を変更しながら当該回転を後輪Rwの方に伝達する変速機(例えばCVT(Continuously Variable Transmission))と、変速機を収容するトランスミッションケース13とを含む。
【0040】
鞍乗型車両1は、エンジン11に供給される燃料を貯留する燃料タンク15と、エンジン11に供給される空気から異物を除去するエレメントを収容したエアクリーナーボックス14とを備えている。エアクリーナーボックス14は、トランスミッションケース13の上方に配置されている。燃料タンク15は、側面視でエアクリーナーボックス14の上方に配置されている。燃料タンク15は、シート6の下方に配置されている。燃料タンク15は、後述する収納ボックス16の後方に配置されている。燃料タンク15は、後述するフートボード27の下方に配置されていてもよい。
【0041】
鞍乗型車両1は、ヘルメットなどの物品が入れられる収納ボックス16を備えている。物品は、収納ボックス16の上端部に設けられた開口を通じて収納ボックス16の中に入れられる。シート6は、収納ボックス16の上方に配置されている。収納ボックス16の開口は、シート6によって開閉される。シート6は、シートヒンジを介して収納ボックス16に連結されている。シート6は、収納ボックス16に対して上下に回動可能である。図1Aは、収納ボックス16の開口がシート6によって閉じられた閉位置にシート6が配置されている状態を示している。
【0042】
鞍乗型車両1は、前方に光を発するヘッドランプ17と、運転者の操作に応じて点滅する2つのフロントフラッシャー18とを備えている。鞍乗型車両1は、さらに、後方に光を発するテールランプ20と、運転者の操作に応じて点滅する2つのリアフラッシャー21とを備えている。図1Aは、テールランプ20および2つのリアフラッシャー21が1つのリアランプ19に設けられた例を示している。ヘッドランプ17およびフロントフラッシャー18は、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。テールランプ20およびリアフラッシャー21は、後輪Rwの前端よりも後方に配置されている。
【0043】
鞍乗型車両1は、鞍乗型車両1の外表面を形成する外装カバーを備えている。外装カバーは、ステアリングハンドル7の前方および後方に配置されたハンドルカバー22と、ヘッドパイプ3の前方に配置されたフロントカバー23と、前輪Fwの上方に配置されたフロントフェンダー24とを含む。ハンドルカバー22は、ステアリングハンドル7と共に左右に回動する。フロントフェンダー24は、フロントフォーク8と共に左右に回動する。運転者がステアリングハンドル7を左右に動かすと、ハンドルカバー22、フロントフェンダー24、フロントフォーク8、および前輪Fwは、ステアリングハンドル7と共に左右に動く。
【0044】
外装カバーは、さらに、シート6に座っている運転者の両脚の前方に配置されるレッグシールド25と、シート6に座っている運転者の両足が置かれるフートボード27とを含む。フートボード27は、シート6の前端6fよりも下方に配置されている。レッグシールド25は、フートボード27の前端部から上方に延びている。レッグシールド25は、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。レッグシールド25は、シート6に座っている運転者の両脚と前後方向に向かい合う。レッグシールド25は、フロントカバー23の後方に配置されている。ヘッドパイプ3は、前後方向におけるフロントカバー23とレッグシールド25との間に配置されている。
【0045】
フートボード27の上面は、右端から左端まで平らなフラット部27fを含む。前後方向に直交する平面でフラット部27fを切断すると、フラット部27fのいずれの部分も、車幅方向に延びる水平な直線上に配置されている。言い換えると、前後方向に直交する平面に沿うフラット部27fの断面は、当該断面の右端から当該断面の左端まで車幅方向に直線状に延びている。フラット部27fは、凹凸のない滑らかな平面であってもよいし、足を置くのに支障のない程度の複数の凸部または複数の凹部(例えば2mm~1cmの範囲内の凸部または凹部)が設けられた実質的な平面であってもよい。
【0046】
外装カバーは、物品が入れられる収納空間をレッグシールド25と共に形成するポケットカバー26を備えている。ポケットカバー26は、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。ポケットカバー26は、レッグシールド25の後方に配置されている。ポケットカバー26は、レッグシールド25に取り付けられている。収納空間は、前後方向におけるレッグシールド25とポケットカバー26の間に形成されている。収納空間は、前後方向におけるレッグシールド25とポケットカバー26の間に形成された出し入れ口から下方に延びている。物品は、出し入れ口を通じて収納空間に出し入れされる。
【0047】
外装カバーは、フートボード27の下方に配置されたアンダーカバーを含む。アンダーカバーは、フートボード27の下方に配置されたロワーアンダーカバー28と、フートボード27の下方に配置されていると共に、フートボード27の後方に配置された一対のリアアンダーカバー29とを含む。図1Bに示すように、一対のロワーフレーム5は、上下方向におけるフートボード27とロワーアンダーカバー28との間に配置されている。一対のリアアンダーカバー29は、それぞれ、一対のロワーフレーム5の右方および左方に配置されている。リアアンダーカバー29は、エンジン11よりも車幅方向における外方に配置されており、側面視でエンジン11に重なっている。
【0048】
外装カバーは、収納ボックス16の前方に配置されたミドルカバー30と、収納ボックス16の右方および左方に配置された一対のサイドカバーとを含む。サイドカバーは、側面視でシート6の下方に配置されたアッパーサイドカバー31と、側面視でアッパーサイドカバー31の下方に配置されたロワーサイドカバー32とを含む。アッパーサイドカバー31およびロワーサイドカバー32は、車幅方向における収納ボックス16の外方に配置されており、側面視で収納ボックス16に重なっている。
【0049】
ミドルカバー30は、フートボード27から上方に延びている。ミドルカバー30は、シート6の下方に配置されている。ミドルカバー30は、レッグシールド25の後方に配置されており、前後方向にレッグシールド25に向かい合っている。側面視において、アッパーサイドカバー31は、ミドルカバー30の後方に配置されている。側面視において、ロワーサイドカバー32は、アッパーサイドカバー31の後方に配置されている。
【0050】
外装カバーは、後輪Rwの上方および後方に配置されたリアフェンダー33を含む。リアフェンダー33は、後輪Rwの上方に配置されたフロントボードと、フロントボードから後方かつ下方に斜めに延びるリアボードとを含む。フロントボードは、車体フレーム2に取り付けられている。リアボードは、フロントボードを介して車体フレーム2に支持されている。フロントボードおよびリアボードは、後輪Rwよりも上方に配置されており、平面視で後輪Rwに重なっている。リアフェンダー33の後端に相当するリアボードの後端は、側面視で後輪Rwの後端(後輪RwのタイヤRtの後端に相当。以下同様。)よりも後方に配置されている。リアボードの後端は、側面視でシート6の後端6rよりも後方に配置されている。
【0051】
次に、運転者および同乗者の足が載せられるフートレストについて説明する。
図3および図4は、それぞれ、フートボード27を含む鞍乗型車両1の一部の左側面図および平面図である。図5は、図3の一部を拡大した図である。図6は、図4の一部を拡大した図である。図7は、図5に示すVII-VII線に沿う中間フートレスト44の鉛直な断面を示す断面図である。図8は、図5に示すVIII-VIII線に沿う上フートレスト45の鉛直な断面を示す断面図である。
【0052】
図3に示すように、フートボード27の上面は、右端から左端まで平らなフラット部27fを含む。図4に示すように、フラット部27fは、運転者の足が載せられる一対の前フートレスト43と、車幅方向における一対の前フートレスト43の間に位置する中央フートレスト42とを含む。一対の前フートレスト43は、互いに等しい高さに配置されている。中央フートレスト42は、一対の前フートレスト43と等しい高さに配置されている。フートボード27の側面27sは、前フートレスト43の外縁43eから下方に延びている。運転者は、中央フートレスト42および前フートレスト43のいずれにも足を載せることができる。
【0053】
フートボード27の上面は、一対の前フートレスト43に加えて、運転者の足が載せられる一対の中間フートレスト44と、同乗者の足が載せられる一対の上フートレスト45とを含む。鞍乗型車両1は、折り畳み式の一対のフートレストバー47を備えている。それぞれのフートレストバー47は、同乗者の足が載せられる下フートレスト46を含む。以下では、前フートレスト43、中間フートレスト44、上フートレスト45、および下フートレスト46を総称してフートレスト43~46という場合がある。
【0054】
一対の前フートレスト43は、それぞれ、車両中央WOの右方および左方に配置されている。一対の中間フートレスト44、一対の上フートレスト45、および一対のフートレストバー47も同様である。運転者の右足は、右方の前フートレスト43または右方の中間フートレスト44に乗せられる。運転者の左足は、左方の前フートレスト43または左方の中間フートレスト44に乗せられる。同様に、同乗者の右足は、右方の上フートレスト45または右方の下フートレスト46に乗せられる。同乗者の左足は、左方の上フートレスト45または左方の下フートレスト46に乗せられる。
【0055】
前フートレスト43および中間フートレスト44は、フートボード27の一部である。上フートレスト45は、フートボード27などの外装カバーの一部であってもよいし、折り畳み式のフートレストバーの一部であってもよい。下フートレスト46についても同様である。図4は、上フートレスト45がフートボード27の一部であり、下フートレスト46がフートレストバー47の一部である例を示している。フートレストバー47は、使用位置(図3および図4に示す位置)と非使用位置(図11に示す位置)との間で移動可能である。以下の説明では、特に断りがない限り、使用位置にあるフートレストバー47について説明する。
【0056】
フートレスト43~46は、凹凸のない滑らかな平面であってもよいし、足を置くのに支障のない程度の複数の凸部または複数の凹部(例えば2mm~1cmの範囲内の凸部または凹部)が設けられた実質的な平面であってもよい。図4は、足の滑りを抑制または防止する複数の凸部41が、前フートレスト43、中間フートレスト44、上フートレスト45、および下フートレスト46のそれぞれに設けられた例を示している。
【0057】
図6に示すように、複数の凸部41は、一定の間隔を空けて規則的に配置されている。凸部41は、直線状または曲線状であってもよいし、円形または楕円形であってもよい。図6は、直線状の凸部と曲線状の凸部とが設けられた例を示している。鉛直な平面に沿う凸部の断面は、例えば台形状または半円状である。フートレストの表面からの凸部の突出量は、いずれの凸部も等しいまたは概ね等しい。フートレストの表面と複数の凸部41の先端は、実質的な平面を形成している。運転者または同乗者の足は、複数の凸部41の先端に接する。
【0058】
図3に示すように、側面視において、前フートレスト43は、前後方向における前輪Fwと後輪Rwとの間に配置されている。側面視において、前フートレスト43は、後方かつ上方に斜めに延びている。前フートレスト43は、前フートレスト43の前端43fから前フートレスト43の後端43rまで水平であってもよいし、水平な部分と水平面に対して斜めに傾いた部分とを含んでいてもよい。
【0059】
側面視において、前フートレスト43のいずれの部分も、シート6の前端6fよりも下方に配置されている。側面視において、前フートレスト43のいずれの部分も、後輪Rwの上端Rwu(後輪RwのタイヤRtの上端に相当。以下同様。)よりも下方に配置されている。側面視において、前フートレスト43の前端43fは、エンジン11の回転軸線Acよりも下方に配置されている。側面視において、前フートレスト43の後端43rは、エンジン11の回転軸線Acと等しいまたは概ね等しい高さに配置されている。
【0060】
側面視において、前フートレスト43の前端43fは、シート6の前端6fよりも前方に配置されている。側面視において、前フートレスト43の後端43rは、シート6の前端6fよりも後方に配置されている。側面視において、前フートレスト43の後端43rは、エンジン11の回転軸線Acよりも前方に配置されている。側面視において、前フートレスト43の後端43rは、スイングユニット10のピボット軸線Apよりも前方に配置されている。
【0061】
図4に示すように、一対の前フートレスト43は、ハンドルカバー22よりも下方に配置されており、平面視でハンドルカバー22に重なっている。中央フートレスト42は、平面視において、前後方向におけるハンドルカバー22とシート6との間に配置されている。平面視において、前フートレスト43の外縁43eは、中間フートレスト44に近づくにしたがって車幅方向における外方に延びている。したがって、車幅方向における一対の前フートレスト43の外縁43eの間隔は、中間フートレスト44に近づくにしたがって広がっている。
【0062】
平面視において、シート6は、車幅方向における一対の中間フートレスト44の間に配置されている。平面視において、右方の中間フートレスト44は、右方の前フートレスト43から後方に延びている。平面視において、左方の中間フートレスト44は、左方の前フートレスト43から後方に延びている。平面視において、サイドカバー31~32は、車幅方向における中間フートレスト44とシート6との間に配置されている。
【0063】
平面視において、中間フートレスト44の外縁44eは、前フートレスト43の外縁43eから後方に延びている。平面視において、中間フートレスト44の外縁44eは、上フートレスト45に近づくにしたがって車幅方向における外方に延びている。したがって、車幅方向における一対の中間フートレスト44の外縁44eの間隔は、上フートレスト45に近づくにしたがって広がっている。車幅方向における一対の中間フートレスト44の外縁44eの間隔の最大値は、車幅方向における一対の前フートレスト43の外縁43eの間隔の最大値よりも大きい。
【0064】
図3に示すように、側面視において、中間フートレスト44は、前フートレスト43から後方かつ上方に斜めに延びている。中間フートレスト44および前フートレスト43は、両者の結合部において、側面視で下方に凸の円弧を形成している。水平面に対する中間フートレスト44の傾斜角度は、水平面に対する前フートレスト43の傾斜角度よりも大きい。中間フートレスト44は、前フートレスト43よりも前後方向に短い。言い換えると、中間フートレスト44の前端から中間フートレスト44の後端までの前後方向の距離は、前フートレスト43の前端43fから前フートレスト43の後端43rまでの前後方向の距離よりも短い。
【0065】
側面視において、中間フートレスト44のいずれの部分も、シート6の前端6fよりも下方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44のいずれの部分も、後輪Rwの回転中心C1よりも上方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44のいずれの部分も、シート6の前端6fよりも後方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44のいずれの部分も、後輪Rwの前端Rwfよりも前方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44のいずれの部分も、エンジン11の回転軸線Acよりも前方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44の後端は、スイングユニット10のピボット軸線Apよりも後方に配置されている。
【0066】
中間フートレスト44の前端は、前フートレスト43の後端43rに相当する。中間フートレスト44の後端は、上フートレスト45の前端45fに相当する。側面視において、中間フートレスト44の後端は、中間フートレスト44の前端よりも上方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44の後端は、エンジン11の回転軸線Acよりも上方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44の後端は、後輪RwのホイールRhの上端Rhuよりも上方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44の後端は、エアクリーナーボックス14の上端14uよりも上方に配置されている。側面視において、中間フートレスト44の後端は、後輪Rwの上端Rwuと等しいまたは概ね等しい高さに配置されている。
【0067】
図7は、前後方向に直交する鉛直な平面に沿う断面を示している。図7に示す断面において、中間フートレスト44の内端44iは、中間フートレスト44の外端44oよりも上方に配置されており、中間フートレスト44は、車両中央WO(図4参照)に向かって斜め上方に延びている。中間フートレスト44の内端44iは、中間フートレスト44の外端44oと等しい高さに配置されていてもよいし、中間フートレスト44の外端44oよりも下方に配置されていてもよい。
【0068】
図4に示すように、平面視において、シート6は、車幅方向における一対の上フートレスト45の間に配置されている。平面視において、右方の上フートレスト45は、右方の中間フートレスト44から後方に延びている。平面視において、左方の上フートレスト45は、左方の中間フートレスト44から後方に延びている。平面視において、上フートレスト45の外縁45eは、中間フートレスト44の外縁44eから後方に延びている。平面視において、サイドカバー31~32は、車幅方向における上フートレスト45とシート6との間に配置されている。
【0069】
図5に示すように、上フートレスト45は、側面視において中間フートレスト44から後方かつ下方に斜めに延びるフロントレスト部45Fと、側面視においてフロントレスト部45Fから後方かつ上方に斜めに延びるリアレスト部45Rとを含む。中間フートレスト44とフロントレスト部45Fとは、両者の結合部において、側面視で上方に突出した凸部を形成している。フロントレスト部45Fとリアレスト部45Rとは、両者の結合部において、側面視で下方に凹んだ凹部を形成している。水平面に対するリアレスト部45Rの傾斜角度は、水平面に対する中間フートレスト44の傾斜角度よりも小さい。
【0070】
水平面に対する上フートレスト45の傾斜角度は、上フートレスト45の前端45fと上フートレスト45の後端45rとの間で変化している。水平面に対する上フートレスト45の傾斜角度は、上フートレスト45の前端45fから上フートレスト45の後端45rまで一定であってもよい。この場合、水平面に対する上フートレスト45の傾斜角度は、水平面に対する中間フートレスト44の傾斜角度より小さくてもよい。上フートレスト45の全体または一部が水平であってもよい。例えば、リアレスト部45Rが水平であってもよい。
【0071】
フロントレスト部45Fの前端は、上フートレスト45の前端45fに相当する。上フートレスト45の後端45rは、上フートレスト45の前端45fよりも上方に配置されている。上フートレスト45は、中間フートレスト44よりも前後方向に短い。言い換えると、上フートレスト45の前端45fから上フートレスト45の後端45rまでの前後方向の距離は、中間フートレスト44の前端(後端43rに相当)から中間フートレスト44の後端(前端45fに相当)までの前後方向の距離よりも短い。
【0072】
側面視において、上フートレスト45のいずれの部分も、エンジン11の回転軸線Acよりも前方に配置されている。図3に示すように、側面視において、上フートレスト45のいずれの部分も、シート6の前端6fよりも下方に配置されている。側面視において、上フートレスト45のいずれの部分も、後輪RwのホイールRhの上端Rhuよりも上方に配置されている。
【0073】
図8は、前後方向に直交する鉛直な平面に沿う断面を示している。図8に示す断面において、上フートレスト45の内端45iは、上フートレスト45の外端45oよりも下方に配置されており、上フートレスト45は、車両中央WO(図4参照)に向かって斜め下方に延びている。上フートレスト45の内端45iは、上フートレスト45の外端45oと等しい高さに配置されていてもよいし、上フートレスト45の外端45oよりも上方に配置されていてもよい。
【0074】
上フートレスト45は、ロワーサイドカバー32から車幅方向における外方に突出している。ロワーサイドカバー32は、上フートレスト45から上方に延びている。側面視において、ロワーサイドカバー32の一部は、上フートレスト45の上方に配置されている。ロワーサイドカバー32の外端32oは、サイドカバー31~32の外端に相当する。図8に示す断面において、上フートレスト45のいずれの部分も、ロワーサイドカバー32の外端32oよりも下方に配置されている。図8に示す断面において、上フートレスト45の内端45iは、ロワーサイドカバー32の外端32oよりも車幅方向における内方に配置されており、上フートレスト45の外端45oは、ロワーサイドカバー32の外端32oよりも車幅方向における外方に配置されている。したがって、サイドカバー31~32は、平面視で上フートレスト45に重なっている。
【0075】
前述のように、下フートレスト46は、折り畳み式のフートレストバー47の一部である。フートレストバー47は、使用位置と非使用位置との間で車体フレーム2に対して移動可能である。図8は、フートレストバー47が使用位置に配置されている状態を示している。使用位置は、フートレストバー47の先端部47dがフートレストバー47の基端部47pよりも車幅方向における外方に配置される位置である。非使用位置(図11に示す位置)は、フートレストバー47が使用位置に配置されているときよりもフートレストバー47の先端部47dが車幅方向における内方に配置される位置である。同乗者の足は、フートレストバー47が使用位置に配置されているときに下フートレスト46に置かれる。
【0076】
フートレストバー47は、ヒンジ48によって車体フレーム2に取り付けられている。ヒンジ48は、車体フレーム2に固定されたブラケット48bと、ブラケット48bとフートレストバー47との間に介在するピン48pとを含む。フートレストバー47は、ピン48pまわりに車体フレーム2に対して回転可能である。ピン48pは、フートレストバー47を貫通している。ピン48pの両端部は、ブラケット48bに支持されている。フートレストバー47をピン48pまわりに回転させると、フートレストバー47がブラケット48bに接触し、使用位置および非使用位置のいずれかで止まる。使用位置および非使用位置は、フートレストバー47が移動する範囲の両端の位置である。
【0077】
フートレストバー47は、ピン48pが挿入されたバーエンド47eと、バーエンド47eから車幅方向における外方に延びるスイングバー47bとを含む。基端部47pは、バーエンド47eの一部である。先端部47dは、スイングバー47bの一部である。バーエンド47eは、ブラケット48bの中に配置されている。スイングバー47bは、ブラケット48bの外に配置されている。下フートレスト46は、スイングバー47bの一部である。したがって、同乗者の足は、スイングバー47bの上に置かれる。下フートレスト46の少なくとも一部は、平面視で視認可能である。
【0078】
下フートレスト46の外端46oは、下フートレスト46の上端に相当する。下フートレスト46の内端46iは、下フートレスト46の下端に相当する。下フートレスト46の外端46oと下フートレスト46の上端とが一致していなくてもよい。同様に、下フートレスト46の内端46iと下フートレスト46の下端とが一致していなくてもよい。下フートレスト46の外端46oから下フートレスト46の内端46iまでの車幅方向の距離(図9に示す距離D4)は、上フートレスト45の外端45oから上フートレスト45の内端45iまでの車幅方向の距離よりも長い。言い換えると、下フートレスト46の幅は、上フートレスト45の幅よりも広い。
【0079】
図4に示すように、平面視において、シート6は、車幅方向における一対の下フートレスト46の間に配置されている。上フートレスト45は、下フートレスト46よりも上方に配置されており、平面視で下フートレスト46に重なっている(図6参照)。平面視において、右方の下フートレスト46は、右方の上フートレスト45から車幅方向における外方に突出している。平面視において、左方の下フートレスト46は、左方の上フートレスト45から車幅方向における外方に突出している。平面視において、上フートレスト45は、車幅方向における下フートレスト46とサイドカバー31~32との間に配置されている。
【0080】
図3に示すように、側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、前フートレスト43よりも上方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、エンジン11の回転軸線Acよりも上方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、上フートレスト45よりも下方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、後輪RwのホイールRhの上端Rhuよりも下方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、中間フートレスト44の前端(後端43rに相当)よりも上方で、かつ、中間フートレスト44の後端(前端45fに相当)よりも下方の位置に配置されている。
【0081】
側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、前フートレスト43よりも後方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、スイングユニット10のピボット軸線Apよりも後方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、エンジン11の回転軸線Acよりも前方に配置されている。側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、上フートレスト45の後端45r(図5参照)よりも前方に配置されている。側面視において、下フートレスト46の少なくとも一部は、上フートレスト45の前端45fよりも後方で、かつ、上フートレスト45の後端45rよりも前方の位置に配置されている。
【0082】
図5に示すように、上フートレスト45は、収納ボックス16よりも車幅方向における外方に配置されており、側面視で収納ボックス16に重なっている。中間フートレスト44の後端(前端45fに相当)も、収納ボックス16よりも車幅方向における外方に配置されており、側面視で収納ボックス16に重なっている。側面視において、上フートレスト45のいずれの部分も、収納ボックス16の下端16Lよりも上方に配置されている。その一方で、側面視において、下フートレスト46のいずれの部分も、収納ボックス16の下端16Lよりも下方に配置されており、側面視で収納ボックス16に重なっていない。
【0083】
外装カバーのリアアンダーカバー29は、側面視において、中間フートレスト44の後方に配置されている。側面視において、リアアンダーカバー29は、上フートレスト45の下方に配置されている。側面視において、リアアンダーカバー29の一部は、前後方向における中間フートレスト44と下フートレスト46との間に配置されている。側面視において、下フートレスト46は、リアアンダーカバー29に重なっている。
【0084】
次に、外装カバーの天井部49について説明する。
図9は、図8の一部を拡大した図である。図10および図11は、鞍乗型車両1の一部の背面図である。図10は、下フートレスト46が使用位置に配置されている状態を示している。図11は、下フートレスト46が非使用位置に配置されている状態を示している。
【0085】
図9に示すように、リアアンダーカバー29の側面29sは、フートボード27の側面27sから下方に延びている。リアアンダーカバー29の側面29sは、車両中央WO(図4参照)に向かって斜め下方に延びている。リアアンダーカバー29の側面29sは、車幅方向における内方に凹んだ天井部49を含む。天井部49の一部は、下フートレスト46の上方に配置されている。天井部49と下フートレスト46とは、上下方向に互いに向かい合っている。
【0086】
天井部49の少なくとも一部は、車両中央WO(図4参照)に向かって斜め下方に延びている。天井部49は、天井部49の上端49uから天井部49の下端49Lまで斜め下方に延びていてもよいし、水平な部分と鉛直な部分の少なくとも一方と車両中央WOに向かって斜め下方に延びる傾斜部とを含んでいてもよい。天井部49の上端49uは、天井部49において車幅方向における最も外方に位置する天井部49の外端に相当する。天井部49の下端49Lは、天井部49の上端49uよりも車幅方向における内方に配置されている。
【0087】
図10に示すように、下フートレスト46が使用位置に配置されているとき、下フートレスト46は、天井部49よりも車幅方向における外方に配置されており、背面視で天井部49に重なっていない。その一方で、図11に示すように、下フートレスト46が非使用位置に配置されているとき、下フートレスト46は、天井部49の後方に配置されており、背面視で天井部49に重なっている。下フートレスト46が使用位置に配置されているとき、背面視において下フートレスト46の少なくとも一部が天井部49に重なっていてもよい。
【0088】
図9に示すように、天井部49の上端49uと天井部49の下端49Lとは、上フートレスト45のいずれの部分よりも下方に配置されている。天井部49の上端49uと天井部49の下端49Lとは、下フートレスト46のいずれの部分よりも上方に配置されている。したがって、天井部49の上端49uと天井部49の下端49Lとは、下フートレスト46の上端に相当する下フートレスト46の外端46oよりも上方に配置されている。
【0089】
上フートレスト45の外端45oと下フートレスト46の内端46iとは、天井部49の上端49uよりも車幅方向における内方で、かつ、天井部49の下端49Lよりも車幅方向における外方の位置に配置されている。上フートレスト45の少なくとも一部は、天井部49よりも上方に配置されており、平面視で天井部49に重なっている。天井部49の少なくとも一部は、下フートレスト46よりも上方に配置されており、平面視で下フートレスト46に重なっている。したがって、天井部49は、平面視で上フートレスト45および下フートレスト46の両方に重なっている。
【0090】
天井部49の上端49uと天井部49の下端49Lとは、下フートレスト46の外端46oよりも車幅方向における内方に配置されている。天井部49の上端49uは、下フートレスト46の内端46iよりも車幅方向における外方に配置されている。これに対して、天井部49の下端49Lは、下フートレスト46の内端46iよりも車幅方向における内方に配置されている。天井部49の下端49Lは、下フートレスト46の内端46iよりも車幅方向における外方に配置されていてもよい。天井部49の下端49Lは、サイドカバー31~32の外端に相当するロワーサイドカバー32の外端32oよりも車幅方向における外方に配置されている。
【0091】
天井部49の上端49uから天井部49の下端49Lまでの上下方向の距離D1は、天井部49の下端49Lから下フートレスト46の上端(外端46oに相当)までの上下方向の距離D2よりも長い。距離D1は、天井部49の上端49uから天井部49の下端49Lまでの車幅方向の距離D3よりも長い。距離D1は、下フートレスト46の外端46oから下フートレスト46の内端46iまでの車幅方向の距離D4よりも長い。距離D2は、距離D3よりも短い。距離D2は、距離D4よりも短い。距離D3は、距離D4よりも短い。ただし、距離D1~距離D4の関係はこれに限られない。
【0092】
以上のように本実施形態では、ドライバーシート6dに座っている運転者の足(具体的には、運転者の履物)が、前フートレスト43に載せられる。タンデムシート6tに座っている同乗者の足(具体的には、同乗者の履物)は、上フートレスト45または下フートレスト46に載せられる。つまり、同乗者は、足を置く位置を、上フートレスト45および下フートレスト46の中から選択できる。上フートレスト45および下フートレスト46は、互いに異なる高さに配置されている。小柄な人がタンデムシート6tに座る場合や、運転者が座る位置が通常よりも後方である場合は、例えば上フートレスト45に同乗者の足が載せられる。したがって、同乗者の体格や運転者の座る位置にかかわらず、同乗者が快適な姿勢で上フートレスト45または下フートレスト46に足を載せられる。
【0093】
一般的な体格の人や大柄な人がタンデムシート6tに座る場合は、例えば下フートレスト46の上に同乗者の足が載せられる。この場合、同乗者の足は、外装カバーの天井部49と下フートレスト46の間に配置される。前後方向に対して垂直であり、下フートレスト46を通る鉛直な平面に沿う天井部49の断面(以下、「所定断面」ともいう。)において、天井部49の上端49uは、下フートレスト46の内端46iよりも車幅方向における外方に配置されている。したがって、下フートレスト46に足を載せた同乗者の足首(ankle)は、車幅方向に関して天井部49の上端49uの近くに配置される。
【0094】
その一方で、天井部49の所定断面において、天井部49の下端49Lは、天井部49の上端49uよりも車幅方向における内方に配置されている。したがって、天井部49の所定断面において、天井部49は、天井部49の下端49Lに向かって車幅方向における内方に延びている。人間のうちくるぶし(medial malleolus)は、足首から内方に突出している。したがって、天井部49は、天井部49の下端49Lに近づくにしたがって同乗者のうちくるぶしから車幅方向における内方に遠ざかる。
【0095】
図12は、前後方向に直交する鉛直な平面に沿う断面を示している。図12中の二点鎖線は、下フートレスト46の上に置かれた同乗者の足を示している。図12に示す天井部49の断面において、天井部49が下フートレスト46に近づくにしたがって車幅方向における内方に延びているので、天井部49は、同乗者のかかと(heel)から車幅方向における内方に離れている。同様に、天井部49は、同乗者のうちくるぶしから車幅方向における内方に離れている。
【0096】
このように、天井部49の所定断面において、天井部49の上端49uが下フートレスト46に足を載せた同乗者の足首の近くに配置される一方で、天井部49は天井部49の下端49Lに近づくにしたがって同乗者のうちくるぶしから車幅方向における内方に遠ざかる。下フートレスト46に対する足の載せ方によっては、同乗者のうちくるぶしが、天井部49の下の空間に入る。したがって、下フートレスト46に対する同乗者の足の載せ方が、天井部49に制限され難い。
【0097】
さらに、天井部49が車幅方向における内方に凹んでいるので、下フートレスト46に対する足の位置が通常より内方であっても、同乗者のかかとが天井部49に当たり難い。したがって、下フートレスト46に対して足を置ける範囲が車幅方向に広がる。つまり、同乗者は、足を置く位置を、上フートレスト45および下フートレスト46の中から選択できるだけでなく、下フートレスト46の範囲内で車幅方向に移動させることもできる。以上の理由により、同乗者の快適性をさらに高めることができる。
【0098】
本実施形態では、前フートレスト43、上フートレスト45、および下フートレスト46に加えて、中間フートレスト44が設けられている。中間フートレスト44は、前フートレスト43から後方に延びている。したがって、ドライバーシート6dに座っている運転者は、足を置く位置を、前フートレスト43および中間フートレスト44の中から選択でき、運転者の足を置ける範囲が前後方向に広がる。さらに、中間フートレスト44は、上フートレスト45から前方に延びている。したがって、タンデムシート6tに座っている同乗者は、足を置く位置を、上フートレスト45、下フートレスト46、および中間フートレスト44の中から選択でき、同乗者の足を置ける範囲が前後方向に広がる。
【0099】
本実施形態では、中間フートレスト44がドライバーシート6dの前端に相当するシート6の前端6fよりも後方に配置されている。したがって、運転者が中間フートレスト44に足を載せると、足の裏が後方に向けられ易い。その一方で、上フートレスト45の前端45fに相当する中間フートレスト44の後端は、側面視で、後輪RwのホイールRhの上端Rhuよりも上方で、かつ、エンジン11の回転軸線Acよりも前方の位置に配置されている。つまり、中間フートレスト44の後端は、比較的前方の位置に配置されているだけでなく、比較的高い位置に配置されている。そのため、中間フートレスト44は、水平面に対して比較的大きな角度で斜めに傾く。運転者の足の裏が後方に向けられる場合、中間フートレスト44の傾斜角度が大きいと、運転者は、中間フートレスト44を載せ易い。したがって、運転者の快適性を高めることができる。
【0100】
本実施形態では、上フートレスト45の外端45oと上フートレスト45の内端45iとが、ロワーサイドカバー32の外端32oに相当するサイドカバー31~32の外端よりも下方に配置されている。上フートレスト45の外端45oがサイドカバー31~32の外端よりも車幅方向における外方に配置されている一方で、上フートレスト45の内端45iはサイドカバー31~32の外端よりも車幅方向における内方に配置されている。したがって、鞍乗型車両1の幅の増加を抑制または防止しながら、車幅方向への上フートレスト45の幅を広げることができる。
【0101】
本実施形態では、上フートレスト45の後端45rと下フートレスト46の後端46r(図6参照)とが、エンジン11の回転軸線Acよりも前方に配置されている。したがって、タンデムシート6tに座る同乗者は、膝を延ばした快適な姿勢で上フートレスト45および下フートレスト46のいずれか一方に足を載せることができる。さらに、下フートレスト46は、上フートレスト45よりも下方に配置されるだけでなく、エンジン11の回転軸線Acよりも前方に配置されるので、タンデムシート6tから下フートレスト46までの距離が増加する。したがって、大柄な人がタンデムシート6tに座る場合でも、同乗者は、膝を延ばした快適な姿勢で下フートレスト46に足を載せることができる。
【0102】
本実施形態では、下フートレスト46の内端46iに相当する下フートレスト46の下端が、エンジン11の回転軸線Acよりも上方に配置されている。したがって、上フートレスト45の下端も、エンジン11の回転軸線Acよりも上方に配置されている。このように、上フートレスト45および下フートレスト46が比較的上方の位置に配置されているので、タンデムシート6tに座る同乗者は、極端に膝を伸ばさずに上フートレスト45および下フートレスト46のいずれか一方に足を載せることができる。
【0103】
本実施形態では、上フートレスト45の幅が下フートレスト46の幅よりも狭い。つまり、車幅方向への上フートレスト45の長さが、車幅方向への下フートレスト46の長さよりも短い。小柄な人の足は下フートレスト46に載せられると考えられる。小柄な人は、一般的な体格の人や大柄な人に比べて足の幅が狭いことが多い。したがって、上フートレスト45が下フートレスト46よりも車幅方向に短くても、同乗者は、下フートレスト46に足を載せることができる。これにより、同乗者の快適性を維持しつつ、鞍乗型車両1の幅の増加を抑制または防止できる。
【0104】
本実施形態では、上フートレスト45および下フートレスト46が、互いに異なる高さに配置されているだけでなく、上下方向に十分に離れている。つまり、上フートレスト45が側面視で収納ボックス16に重なる一方で、下フートレスト46は、収納ボックス16よりも下方に配置されており、側面視で収納ボックス16に重なっていない。このように、上フートレスト45および下フートレスト46が上下方向に十分に離れているので、同乗者の体格や運転者の座る位置にかかわらず、同乗者は、上フートレスト45または下フートレスト46に快適に足を載せられる。
【0105】
本実施形態では、天井部49が平面視で上フートレスト45および下フートレスト46の両方に重なっている。つまり、天井部49の少なくとも一部は、下フートレスト46よりも上方に配置されており、平面視で下フートレスト46に重なっている。上フートレスト45の少なくとも一部は、天井部49よりも上方に配置されており、平面視で天井部49に重なっている。このようなレイアウトを採ることにより、鞍乗型車両1の幅の増加を抑制または防止できる。
【0106】
本実施形態では、天井部49の上端49uから天井部49の下端49Lまでの上下方向の距離D1が相対的に長い。そのため、天井部49の上端49uは、下フートレスト46から上方向に十分に離れている。その一方で、天井部49の下端49Lから下フートレスト46の上端(外端46oに相当)までの上下方向の距離D2は相対的に短い。そのため、天井部49の下端49Lは、上下方向に関して下フートレスト46の近くに配置される。このようなレイアウトの場合、下フートレスト46に足を載せる同乗者のうちくるぶしは、天井部49の上端49uと天井部49の下端49Lとの間の高さに配置され易い。
【0107】
さらに、天井部49の下端49Lから下フートレスト46の上端までの上下方向の距離D2と比較すると、天井部49の上端49uから天井部49の下端49Lまでの車幅方向の距離D3は相対的に長い。つまり、天井部49は、車幅方向における内方に大きく凹んでおり、比較的大きな空間が天井部49の下方に確保される。そのため、下フートレスト46に足を載せる同乗者のかかとが天井部49に接触し難く、下フートレスト46に対する同乗者の足の位置が天井部49に制限され難い。これにより、同乗者の快適性をさらに高めることができる。
【0108】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、中間フートレスト44の後端(前端45fに相当)は、後輪RwのホイールRhの上端Rhuよりも下方に配置されていてもよい。中間フートレスト44の後端は、エンジン11の回転軸線Acよりも後方に配置されていてもよい。中間フートレスト44が鞍乗型車両1から省略されてもよい。
【0109】
サイドカバー31~32は、平面視で上フートレスト45に重なっていなくてもよい。具体的には、上フートレスト45の内端45iが、ロワーサイドカバー32の外端32oに相当するサイドカバー31~32の外端よりも車幅方向における外方に配置されていてもよい。
上フートレスト45の後端45rと下フートレスト46の後端46r(図6参照)との少なくとも一方は、エンジン11の回転軸線Acよりも後方に配置されていてもよい。
【0110】
下フートレスト46の下端(内端46iに相当)は、エンジン11の回転軸線Acよりも下方に配置されていてもよい。
上フートレスト45の幅は、下フートレスト46の幅と等しくてもよいし、下フートレスト46の幅より広くてもよい。
上フートレスト45の全ての部分が、収納ボックス16の下端16Lよりも下方に配置されていてもよい。もしくは、上フートレスト45および下フートレスト46の両方が、側面視で収納ボックス16に重なっていてもよい。収納ボックス16が鞍乗型車両1から省略されてもよい。
【0111】
上フートレスト45は、平面視でロワーアンダーカバー28の天井部49に重なっていなくてもよい。
下フートレスト46は、平面視で中間フートレスト44および上フートレスト45の両方に重なっていてもよい。もしくは、下フートレスト46は、平面視で上フートレスト45に重ならずに、平面視で中間フートレスト44に重なっていてもよい。
【0112】
フートボード27の中央フートレスト42は、一対の前フートレスト43と等しい高さではなく、一対の前フートレスト43よりも上方に配置されていてもよい。
鞍乗型車両1は、動力源の一例であるエンジン11の代わりに、動力源の他の例である電動モータを備えていてもよいし、エンジン11および電動モータの両方を備えていてもよい。
【0113】
鞍乗型車両1は、エンジン11が車体フレーム2に対して揺動可能なスクーター型の自動二輪車に限らず、動力源が車体フレーム2に固定されたアンダーボーン型の自動二輪車であってもよい。鞍乗型車両1は、二輪車に限らず、三輪車または四輪車であってもよい。三輪車の場合、前輪Fwが2つあってもよいし、後輪Rwが2つあってもよい。鞍乗型車両1は、スノーモービルであってもよい。
【0114】
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0115】
1:鞍乗型車両、6d:ドライバーシート、6f:シートの前端(ドライバーシートの前端)、6t:タンデムシート、11:エンジン、16:収納ボックス、16L:収納ボックスの下端、22~33:外装カバー、29s:リアアンダーカバーの側面、31~32:サイドカバー、32:ロワーサイドカバー、32o:ロワーサイドカバーの外端(サイドカバーの外端)、43:前フートレスト、44:中間フートレスト、45:上フートレスト、45f:上フートレストの前端(中間フートレストの後端)、45i:上フートレストの内端、45o:上フートレストの外端、45r:上フートレストの後端、46:下フートレスト、46i:下フートレストの内端(下フートレストの下端)、46o:下フートレストの外端(下フートレストの上端)、46r:下フートレストの後端、49:天井部、49u:天井部の上端、49L:天井部の下端、Rh:後輪のホイール、Rhu:後輪のホイールの上端、Rt:後輪のタイヤ、Rw:後輪、Ac:エンジンの回転軸線
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12