(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066116
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】音による速度提示方法とそれを用いる車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20220421BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B60R11/02 B
G10K15/04 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175055
(22)【出願日】2020-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】518070238
【氏名又は名称】大庭 有二
(72)【発明者】
【氏名】大庭 有二
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BA10
3D020BC02
3D020BD03
3D020BE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】速度変動に伴う速度範囲の変更が加速によるものか、減速によるものかを容易に判別可能とした音による速度提示方法と車両を提供する。
【解決手段】車両の速度計とは別に、一定の速度S1,S2,S3,S4間隔で区切った速度範囲50,51,52,53を異なる楽器や楽曲に分担させ、車両が加速中は上昇感のある楽曲の繰返しを出力し、車両が減速中は下降感のある楽曲の繰返しを出力することで、速度変動に伴う速度範囲の変更が加速によるものか、減速によるものかを容易に判別可能とした音による速度提示方法と車両についてである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の車両の速度範囲に応じて分担する音源または前記音源の楽曲を異にし、前記車両が加速中は上昇感を付与した楽曲を出力し、前記車両が減速中は下降感を付与した楽曲を出力して、前記楽曲を介して前記車両の運転者に前記車両の速度情報を提示することを特徴とする音による速度提示方法
【請求項2】
走行中の車両の速度範囲に応じて分担する音源または前記音源の楽曲を異にし、前記車両が加速中は上昇感を付与した楽曲を出力し、前記車両が減速中は下降感を付与した楽曲を出力して、前記楽曲を介して前記車両の運転者に前記車両の速度情報を提示する機能を具備することを特徴とする車両
【請求項3】
車両の速度範囲に応じて分担する音源または前記音源の楽曲を異にし、前記車両が走行中に上昇感を付与した楽曲と下降感を付与した楽曲と定常感を付与した楽曲のいずれかを走行速度に応じて前記車両内に出力して、前記車両の運転者に前記楽曲を介して前記車両の速度情報を伝えることを特徴とする音による速度提示方法
【請求項4】
走行する車両の速度情報を音源や楽曲の違いを介して運転者に伝えると同時に前記楽曲を振動として触覚を介して前記運転者に伝えることを特徴とする音による速度提示方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の走行速度を音響及びその振動を必要に応じて付け加えて運転者に提示する方法とそれを使用する車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の速度は速度計で視覚的に提示することが一般的である。そのため、運転者は車両が発生するエンジン音や通り過ぎる風景の様子から車両の速度を推定し、たまに速度計を見てその速度を確認している。しかし、速度計を見る動作は前方の確認を中断するため前方不注意が生じる。このため、速度計を確認する頻度を少なくする傾向があり、不注意による制限速度の超過を起こしやすい。更に、近年の電気自動車等はエンジン音が無い場合や有っても走行速度と無関係な場合がしばしばある。このためエンジン音などの聴覚的な情報による速度の推定が困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-137378号公報
【特許文献2】特開2020-66253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行速度をエンジン音の変化からある程度把握するする習慣があった運転者にとっては、自動車の電気走行にともなう静粛化で聴覚による速度の推測が困難になり、気がつくと思わぬ制限速度違反を起こしていることがある。これは速度計が目視確認を必要としているためである。他方、速度確認を頻繁に実行すると前方不注意が増え、事故を起こす可能性や速度違反をする可能性が増える問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車両の速度確認にともなう前方不注意な時間帯減らす目的で、おおまかな速度把握を聴覚または聴覚に触覚を交えた情報で可能とし、その際に車両の加速と減速を楽曲の相違に置換えて聴覚を介して認識可能として、速度把握の誤りを低減するものである。
【発明の効果】
【0006】
走行中の車両の速度範囲に応じて分担する音源または前記音源の楽曲を異にし、前記車両が加速中は上昇感を付与した楽曲を出力し、前記車両が減速中は下降感を付与した楽曲を出力して、前記楽曲を介して前記車両の運転者に前記車両の速度情報を提示することを特徴とする音による速度提示方法であり、運転者が聴覚によりどの速度範囲で車両が走行しているか判断可能になるとともに、車両が加速中は上昇感を付与した楽曲を出力し、減速中は下降感を付与した楽曲を出力するよう区別した。このため、速度の変動にともない速度範囲が変化した場合に、速い速度範囲に変わったのか、遅い速度範囲に変わったのかを容易に把握可能になる。これにより、速度範囲の誤認識や判断不能な状態を減少させることが可能となり、より信頼のおける音を用いた速度提示方法となる効果がある。
【0007】
走行中の車両の速度範囲に応じて分担する音源または前記音源の楽曲を異にし、前記車両が加速中は上昇感を付与した楽曲を出力し、前記車両が減速中は下降感を付与した楽曲を出力して、前記楽曲を介して前記車両の運転者に前記車両の速度情報を提示する機能を具備することを特徴とする車両であり、運転者が聴覚によりどの速度範囲で車両が走行しているか判断可能になるとともに、車両が加速中は上昇感を付与した楽曲を出力し、減速中は下降感を付与した楽曲を出力するよう区別した。このため、速度の変動にともない速度範囲が変化した場合に、速い速度範囲に変わったのか、遅い速度範囲に変わったのかを容易に把握可能になる。これにより、速度範囲の誤認識や判断不能な状態を減少させることが可能となり、より信頼のおける車両となる効果がある。
【0008】
車両の速度範囲に応じて分担する音源または前記音源の楽曲を異にし、前記車両が走行中に上昇感を付与した楽曲と下降感を付与した楽曲と定常感を付与した楽曲のいずれかを走行速度に応じて前記車両内に出力して、前記車両の運転者に前記楽曲を介して前記車両の速度情報を伝えることを特徴とする音による速度提示方法であるため、車両が次の速度範囲に近づいていることが認識でき、更に速度範囲の変更が加速により起こったか、それとも減速によって起こったかを楽曲の種類により区別できる。更に、同じ速度範囲内を上昇感を付与した楽曲と、下降感を付与した楽曲と、定常感を付与した楽曲で分割できるようになり、車両の加速と減速の区別が可能になるとともに、走行速度が同じ速度範囲内の遅い側の速度にいるか、中程度の速度にいるか、速い側の速度にいるか3段階で理解できるようになる。これ等により、速度情報を聴覚を介してかなり詳しく理解できるようになる効果がある。
【0009】
走行する車両の速度情報を楽曲の違いを介して運転者に伝えると同時に前記楽曲を振動として触覚を介して前記運転者に伝えることを特徴とする音による速度提示方法であり、周囲に雑音が多い車両内において、雑音に紛れている速度を示す聴覚的な楽曲情報とそれと同期する振動を触覚で運転者が受けることで、速度を示す楽曲情報を雑音の中から選び出すことが容易になり、速度を示す楽曲の認識が容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車両の装置の配置図である。(実施例全般に共通)
【
図2】音源の出力形態を示す図である。(実施例1)
【
図3】利用を想定した音源の出力形態を示す図である。(実施例2)
【
図4】応用例の音源の出力形態を示す図である。(実施例3)
【
図5】応用例を実行するフローチャートの図である。(実施例3)
【
図6】速度範囲の変動に伴い出力する楽曲を示す図である。(実施例4)
【
図7】想定した走行速度の変動に伴い出力する楽曲の図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0011】
車両の走行速度が確認できる速度計とは別に、一定のルールで区切った各速度範囲に対応して繰返し音を車内に出力させ、その周期や音色により現在の車両の走行速度を聴覚で判断可能とする機能を車両に付加する。単純な例としては、車内で出力する繰返し音を、時速0(ゼロ)Km~10Km(以下、速度の単位をKm/hとする)までの速度範囲はバイオリンによる楽曲の繰返し音、次の10Km/h~20Km/hまでの速度範囲はフルートの繰返し音、次の20Km/h~30Km/hまでの速度範囲はピアノの繰返し音などとし、運転者はそれぞれの楽器の音で、現在の車両の速度に対応する速度範囲を認識する方法である。
この方法による速度範囲の提示では、加速と減速が繰返されるような走行をしている最中に出力音の楽器が変わることで、速度範囲が変ったことを理解できる。しかし、より速い速度範囲に変わったのか、逆に遅い速度範囲に変わったのか分からなくなる場合がある。こうした迷いを生じないためには、各速度範囲を担当する楽器や楽曲の出現順序などを十分に把握していなければならなく、慣れが必要となる。これでは初心者には使い勝手が悪く、十分な機能とは言えない。
この問題は車両が加速中に次の速度範囲を示す楽器、すなわち音源が変わったか、減速中に速度範囲を示す音源が変わったかを理解できれば解決できる。このため、本発明では各音源が奏でる楽曲に上昇感と下降感を付与することで問題に対処をした。
更に車両の内部は走行に伴う音や車内に流す音楽や放送などの音響的な雑音が多いため、聴覚を介しての速度把握が難しい場合がある。この対処として、聴覚情報とそれに同期した触覚情報を車両の運転者に伝えることで、問題に対処をした。
なお、この機能は車両に設置してある通常の速度計とともに併用するものであり、従来からの速度計を車両から排除するものではない。
【実施例0012】
図1は本発明を実施する車両の装置の概要を示す配置図であって、モータやエンジンなどからなる駆動部1が変速機2を介して一対の車輪3を駆動する。駆動部1は電気やガソリンなどを蓄積したエネルギー源9からのエネルギーをエネルギー制御部8の制御の下で供給し回転する。
この車両は自動車のアクセルや電車の主幹制御器に相当する速度設定値入力部7を制御して走行させ、方向制御はハンドル17で行う。ここまでの説明は多少の省略があるが車両の一般的な走行制御の形態である。
【0013】
車両には他に道路上の制限速度の標識を認識する標識認識部4や車両の速度検出部5やGPS情報(グローバル・ポジショニング・システム)の検出・処理部6が各々適切な箇所に設置してある。これらの各部が発生するデータ等は次に説明する制御部10に送られる。
制御部10では音源・楽譜等の記憶部12からのデータ読取を行うとともに、必要なデータの演算を行い、表示部11がそのマン・マシンインタフェースを司る。更に記憶部12のデータを具体的な信号とする信号発生部13を制御して楽器や声等信号を発生させるとともに音量を指示する。ここで、記憶部12での音楽情報は音声圧縮情報MP3や歌詞や楽譜やMIDIのような音楽情報であることもある。楽器等信号発生部13で生成した楽曲データはD/Aコンバータ14を介してデジタル信号をアナログ信号に変換し、更にアンプ部15で増幅してスピーカ16から車内に出力される。また、必要に応じてバンドル振動部18でスピーカ16の出力と同期した振動を発生し、ハンドル17を振動させる。
なお、
図1ではハンドルの支柱を振動させてハンドル全体に振動を伝える配置関係にしてあるが、運転者が握るハンドル17の表面だけを振動させる構成でも十分に役割を果たせ、場合によると図中には未記載であるが座席を振動させることでも同じ役割を果たせる。また、車両が電車等の鉄道車両の場合は、ハンドルは主幹制御器やブレーキハンドル等になる。
【0014】
図2は3種類の音の出力形態を示す図であり、(2-1図)は各速度範囲を単純に異なる音源等で示す提示方法の図であり、(2-2図)は上昇感を付与した楽曲の音源等で速度範囲を示す提示方法の図であり、(2-3図)は下降感を付与した楽曲の音源等で速度範囲を示す提示方法の図である。
【0015】
次に上記の3種類の提示方法を順次説明する。
(2-1図)は横軸が車両の走行速度範囲であり、縦軸は音源の出力である。
(2-1図)は走行速度が速度ゼロから始まり、速度0~S1は速度範囲20、速度S1~S2は速度範囲21、速度S2~S3は速度範囲22、速度S3~S4は速度範囲23としてある。これは例えば、10Km/hごとに区切って(0~10Km/h)、(10~20Km/h)、(20~30Km/h)、(30~40Km/h)の速度範囲と見なすこともできる。各速度範囲に対して音源の出力が実線の四角と、少し荒めの破線の四角と、一点鎖線の四角と、細かい破線の四角、として示してある。なお、これ等の四角内の具体的楽曲のイメージは多彩であるため特に示していない。
この機能を使用した車両が動きだして加速すると、各速度範囲20、21、22、23に合わせて割り当てた音源の楽曲を出力して、その速度範囲内で走行中は同じ音源の楽曲が繰返し車内に出力する。これにより、運転者は同じ速度範囲内で車両が走行していることが判断できる。更に加速すると音源の音色が変わり、次の速度範囲に車両の速度が移ったことが判断できる。このようにして、運転者は速度計を目視しなくても、聴覚によりおおよその走行速度を知ることが可能になる。しかし、車両は加速も減速も行うため、この方法では車両が加速した場合に次はどの音色の音源になるか、逆に車両が減速した場合にはどの音色になるか把握している必要がある。これを把握していなと、音色が変わった際に、速い速度側の速度範囲に移ったのか、遅い速度側の速度班に移ったのか判断できなくなることがある。特に高速に走行し、道路に起伏があるような場所では、アクセルの踏み方とは関係なく車両が加速したり減速したりするため速度感が狂い、音色の変化が加速によるのか、減速によるのか分かりにくくなる。
【0016】
以上、(2-1図)で従来技術の説明をしたが、次から本発明を説明する。
(2-2図)は(2-1図)と同じく横軸が車両の走行速度範囲であり、縦軸は各速度範囲の音源の出力である。ここでも速度範囲ごとに音源の音色が変わることは(2-1図)と同じであり、速度0~S1は速度範囲30、速度S1~S2は速度範囲31、速度S2~S3は速度範囲32、速度S3~S4は速度範囲33としてある。ただし、各速度範囲では上昇感を持たせた楽曲が繰返し出力するようにしてあり、車両が加速中に次の速度範囲に変わったことが運転者に判断できるようにしてある。(2-2図)の各速度範囲30,31,32,33における音源が出力する楽曲(音の組合せ)をここでは棒グラフ状に3回の繰返しとして模式的に図示してある。
ただし、その速度範囲内での走行時間が長ければ繰返し数は更に増え、短ければ繰返し数が減少するが、それについては図示していない。
【0017】
次に(2-2図)を更に詳しく説明する。なお、楽曲の上昇感と下降感の付与の方法については後半で説明するが、当面は音の強弱(ベロシティ)を利用した説明をする。
車両が動きだし加速すると、各速度範囲30、31、32、33に合わせて割り当てた音源や楽曲の出力をする。例えば音源がピアノのドの音で、最初に弱い音、次に少し強い音、次に更に強い音、次に強い音の順に発生し、これを繰返す。この音源の強弱を速度範囲ごとに棒グラフと同様に示してあり、縦軸は音源の出力で、横軸は左から右に進む時間として、模式的に棒グラフを示した。更に具体的に説明すると、速度範囲30では細い実線の棒グラフで示してあり、最初の短い線で音源の出力が小さいことを表している。2本目の少し長い線で音源の出力が少し大きくなり、3本目の更に長い線で音源の出力が更に大きくなり、4本目で音源の出力が最大になることを表している。この弱い出力から次第に強くなる4本の出力の繰返しを3回繰返した状態を速度範囲30には模式的に示してある。このような次第に強くなる出力の繰返しを速度範囲31、32、33でも同様に示してあるが、それぞれが別の音源または楽曲であるのでそれ等を区別するために、速度範囲31では4本の荒めの破線で表し、速度範囲32では4本の一点鎖線で表し、速度範囲33では4本の細かい破線として表し、それぞれを3回の繰返として示してある。これ等の順次音が大きくなる組合せの繰返しを上昇感のある楽曲とすることにして、これを運転者に意識させる。
このような条件下で車両が加速すると、上昇感のある楽曲が続きながら速度範囲が変わり、それに伴い音源の種類や楽曲が変わることで、より速い速度側の速度範囲に移ったと容易に理解できるようになる。
なお、ここまでは単音を前提にして説明をしてきたが、弱い音をド、少し強い音をレ、更に強い音をミ、強い音をファ、などと音を区別しやすくすることで更に理解が容易になることは言うまでもない。
【0018】
ここまでは上昇感を説明したが、次に(2-3図)を用いて下降感を説明する。
(2-3図)は(2-2図)と同じく横軸が車両の走行速度範囲であり、縦軸は音源の出力である。ただし、下降感を説明する都合で、横軸の左側をより速い速度範囲とし、各速度範囲内の速度の表記は右側に進むに従い遅い速度としてあり、これにより速度を不連続に記載しなければならなくなる図の問題を解消している。
この図での下降感は強い音、少し弱い音、更に弱い音、弱い音の順に発生し、これを繰返している。これ等を(2-2図)と同様に速度範囲40では4本の実線で表し、速度範囲41では4本の少し荒い破線で表し、速度範囲42では4本の細い一点鎖線で表し、速度範囲43では4本の細かい破線で表し、それぞれを3回の繰返しとした図として示してある。これについても、(2-2図)と同じくその速度範囲内での走行時間が長ければ繰返し数は増え、短ければ繰返し数が減少するが、それについては図示していない。
これ等の順次音が小さくなる組合せの繰返しを下降感のある楽曲とすることにして、これを運転者に意識させる。
このような条件下で車両が減速すると、下降感のある楽曲が続きながら速度範囲が変わりそれに伴い音源の種類が変わることで、より遅い速度側の速度範囲に移ったと容易に理解できるようになる。
(3-2図)において、車両は時間0から時間t2まで加速するが、その間の時間t1で速度範囲50から速度範囲51に変化している。それに伴い、(3-1図)では上昇感を持たせた実線で示した楽曲の繰返しを時間0から時間t1まで出力している。その出力が時間t1から上昇感を持たせた荒い破線で示した楽曲に変化している。これにより、車両が加速中に速度範囲がそれより速い速度範囲に変わったことが聴覚を介して運転者が理解できる。
さらに時間が進むと、時間t2からt4までは減速しており、その間に時間t3において速度範囲51から速度範囲50に変化している。それに伴い、(3-1図)では時間t2から下降感を持たせた荒い破線で示した楽曲の繰返が、t3では下降感を持たせた細線で示した楽曲の繰返しに変化している。これにより、減速中に速度範囲が速度範囲51からそれより遅い速度範囲50に変わったことが聴覚を介して運転者が理解できる。
さらに時間が進むと、時間t4からは加速しており、その間の時間t5、t6、t7において速度範囲50からそれぞれ速度範囲51、52、53と変化している。それに伴い、(3-1図)の音源出力が上昇感のある実線で示した楽曲の繰返しから荒い破線で示した楽曲の繰返しに変化し、更に一点鎖線で示した楽曲の繰返しになり、更に細かい破線で示した楽曲の繰返しになり変化して、その変化の度により速い速度範囲に変わったことが聴覚を介して運転者が理解できる。
もちろん、この聴覚的な速度範囲の把握では正確な速度を運転者に理解できない場合が多々あるが、その場合でも何段階の速度範囲を超えたとの意識ができるようになる。また、正しい速度はたまに速度計を見て確認あるいは補正をするだけで済むようになり、速度計を目視する回数を低減できるようになる。
なお、車両がほぼ一定速で走行して加速と減速が細かく変動する状態では、それに合わせて楽曲に上昇感や下降感を付与するとその変動が激しくなり、逆に運転者には分かりにくくなりなってしまう。そこで、こうした細かい変動や定速走行の場合は、上昇感や下降感を感じさせない定速走行用の別の楽曲を出力することが好ましい。その1例としては、同一速度範囲内でのほぼ定速走行の場合は同一音源を同一出力で繰返すことで対応が可能である。これについては、後に(実施例4)で別途詳細について説明する。