(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066132
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】積層型キャパシター
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G4/30 201K
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067368
(22)【出願日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0134219
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒェア スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン アエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ユー ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF02
5E001AF03
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型キャパシターを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、複数の誘電体層の積層構造、及び誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、本体の外部に形成され、内部電極と接続された外部電極とを含み、本体は、複数の内部電極が露出して第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、並びに第1及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、複数の内部電極のうち少なくとも一部は、本体の第1方向の中間領域で第3方向の長さが本体の第1面または第2面の第3方向の長さより大きく、中間領域と第1面及び第2面のうち少なくとも一つとの間に形成されたボトルネック構造を有し、ボトルネック構造は、第3方向に本体の内側に凹んだ形状である積層型キャパシターを提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層の積層構造、及び前記複数の誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記複数の内部電極と接続された外部電極と、を含み、
前記本体は、前記複数の内部電極が露出して第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、並びに前記第1方向及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、
前記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、前記本体の前記第1方向の中間領域で前記第3方向の長さが前記本体の第1面または第2面の前記第3方向の長さより大きく、前記中間領域と前記第1面及び第2面のうち少なくとも一つとの間に形成されたボトルネック構造を有し、
前記ボトルネック構造は、前記第3方向に前記本体の内側に凹んだ形状である、積層型キャパシター。
【請求項2】
前記ボトルネック構造は、前記複数の内部電極で前記第1面及び第2面に隣接した領域に全て形成された、請求項1に記載の積層型キャパシター。
【請求項3】
前記ボトルネック構造は、曲面形状を有する、請求項1または2に記載の積層型キャパシター。
【請求項4】
前記ボトルネック構造は、ステップ構造を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項5】
前記外部電極は、下地層と、前記下地層をカバーするメッキ層とを含み、
前記少なくとも一部の内部電極は、外側面が前記第3方向に前記下地層よりさらに外側に配置された、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項6】
前記少なくとも一部の内部電極は、外側面が前記第3方向に前記メッキ層よりさらに外側に配置された、請求項5に記載の積層型キャパシター。
【請求項7】
前記少なくとも一部の内部電極は、前記第3方向の長さが一定の平坦部を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項8】
前記平坦部は、前記ボトルネック構造と連結されており、前記中間領域を含む位置に配置された、請求項7に記載の積層型キャパシター。
【請求項9】
前記本体の前記第1方向の長さをL1、前記平坦部の前記第1方向の長さをL2とする時、L2/L1の百分率は30~55%である、請求項7または8に記載の積層型キャパシター。
【請求項10】
前記本体は、前記中間領域の前記第3方向の長さが前記第1面及び第2面の前記第3方向の長さより大きい形状であり、
前記第1面を前記第5面及び第6面とそれぞれ連結する第1凹部と、
前記第2面を前記第5面及び第6面とそれぞれ連結する第2凹部とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項11】
前記外部電極は、前記第1面及び第1凹部をカバーする第1外部電極と、前記第2面及び第2凹部をカバーする第2外部電極とを含む、請求項10に記載の積層型キャパシター。
【請求項12】
前記少なくとも一部の内部電極は、前記第3方向の長さが一定の平坦部を有し、
前記平坦部は、前記第1方向を基準として前記第1外部電極及び第2外部電極の間に配置された、請求項11に記載の積層型キャパシター。
【請求項13】
前記第1外部電極で前記第1凹部をカバーする領域は、外側面が前記第5面または第6面より前記第3方向にさらに外側に位置する、請求項11または12に記載の積層型キャパシター。
【請求項14】
前記第1外部電極で前記第1凹部をカバーする領域は、外側面が前記第5面または第6面と共面をなす、請求項11から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項15】
前記第1外部電極で前記第1凹部をカバーする領域は、外側面が前記第5面または第6面より前記第3方向にさらに内側に位置する、請求項11から14のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項16】
前記少なくとも一部の内部電極は、前記第1外部電極のうち前記第1凹部に形成された領域と前記第1方向にオーバーラップされる領域とを有し、
前記本体の前記第3方向の長さをW1、前記少なくとも一部の内部電極で前記オーバーラップされる領域の前記第3方向の長さをW2とする時、W2/W1の百分率は5~10%である、請求項11から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項17】
前記少なくとも一部の内部電極は、前記外部電極と連結された領域に形成された追加のボトルネック構造を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項18】
複数の誘電体層の積層構造、及び前記複数の誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記複数の内部電極と電気的に連結され、下地層及び前記下地層をカバーするメッキ層を含む外部電極と、を含み、
前記本体は、前記複数の内部電極が露出して第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、並びに前記第1方向及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、
前記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、外側面が前記第3方向に前記下地層よりさらに外側に配置された、積層型キャパシター。
【請求項19】
前記少なくとも一部の内部電極は、外側面が前記第3方向に前記メッキ層よりさらに外側に配置された、請求項18に記載の積層型キャパシター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシターに関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシターは、電気を貯蔵することができる素子であって、一般的に2つの電極を対向させて電圧をかけると各電極に電気が蓄積されるものである。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されながらキャパシター内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると、電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が交番しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
かかるキャパシターは、電極の間に備えられる絶縁体の種類によって、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシター、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシター、電極の間にチタン酸バリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシター、電極の間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシター(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシターなど、様々な種類に区分され得る。
【0004】
中でも、積層セラミックキャパシターは、温度特性及び周波数特性に優れており、小型で実現可能であるという長所を有することから、近年、高周波回路などの様々な分野で多く応用されている。近年、積層セラミックキャパシターをさらに小さく実現するために、誘電体層と内部電極を薄く形成する試みが続けられている。しかし、部品が小型化されるほど内部電極の積層数を増やすのに限界があり、そのため意図した水準の静電容量を確保するのに困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、内部電極の有効面積を追加で確保して静電容量が向上することができる積層型キャパシターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例によって積層型キャパシターの新たな構造を提案する。具体的に、複数の誘電体層の積層構造、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と接続された外部電極と、を含み、上記本体は、上記複数の内部電極が露出して第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、上記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、並びに上記第1及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、上記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、上記本体の上記第1方向の中間領域で上記第3方向の長さが上記本体の第1面または第2面の上記第3方向の長さより大きく、上記中間領域と上記第1面及び第2面のうち少なくとも一つとの間に形成されたボトルネック構造を有し、上記ボトルネック構造は、上記第3方向に上記本体の内側に凹んだ形状である。
【0007】
一実施形態において、上記ボトルネック構造は、上記内部電極で上記第1面及び第2面に隣接した領域に全て形成されることができる。
【0008】
一実施形態において、上記ボトルネック構造は、曲面形状を有することができる。
【0009】
一実施形態において、上記ボトルネック構造は、ステップ構造を有することができる。
【0010】
一実施形態において、上記外部電極は、下地層と、上記下地層をカバーするメッキ層とを含み、上記少なくとも一部の内部電極は、外側面が上記第3方向に上記下地層よりさらに外側に配置されることができる。
【0011】
一実施形態において、上記少なくとも一部の内部電極は、外側面が上記第3方向に上記メッキ層よりさらに外側に配置されることができる。
【0012】
一実施形態において、上記少なくとも一部の内部電極は、上記第3方向の長さが一定の平坦部を有することができる。
【0013】
一実施形態において、上記平坦部は、上記ボトルネック構造と連結されており、上記中間領域を含む位置に配置されることができる。
【0014】
一実施形態において、上記本体の上記第1方向の長さをL1、上記平坦部の上記第1方向の長さをL2とする時、L2/L1の百分率は30~55%であることができる。
【0015】
一実施形態において、上記本体は、上記中間領域の上記第3方向の長さが上記第1面及び第2面の上記第3方向の長さより大きい形状であり、上記第1面を上記第5面及び第6面とそれぞれ連結する第1凹部と、上記第2面を上記第5面及び第6面とそれぞれ連結する第2凹部とを含むことができる。
【0016】
一実施形態において、上記外部電極は、上記第1面及び第1凹部をカバーする第1外部電極と、上記第2面及び第2凹部をカバーする第2外部電極とを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、上記少なくとも一部の内部電極は、上記第3方向の長さが一定の平坦部を有し、上記平坦部は、上記第1方向を基準として上記第1及び第2外部電極の間に配置されることができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1外部電極で上記第1凹部をカバーする領域は、外側面が上記第5面または第6面より上記第3方向にさらに外側に位置することができる。
【0019】
一実施形態において、上記第1外部電極で上記第1凹部をカバーする領域は、外側面が上記第5面または第6面と共面をなすことができる。
【0020】
一実施形態において、上記第1外部電極で上記第1凹部をカバーする領域は、外側面が上記第5面または第6面より上記第3方向にさらに内側に位置することができる。
【0021】
一実施形態において、上記少なくとも一部の内部電極は、上記第1外部電極のうち上記第1凹部に形成された領域と上記第1方向にオーバーラップされる領域とを有し、上記本体の上記第3方向の長さをW1、上記少なくとも一部の内部電極で上記オーバーラップされる領域の上記第3方向の長さをW2とする時、W2/W1の百分率は5~10%であることができる。
【0022】
一実施形態において、上記少なくとも一部の内部電極は、上記外部電極と連結された領域に形成された追加のボトルネック構造を有することができる。
【0023】
本発明の他の側面は、複数の誘電体層の積層構造、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と接続され、下地層及び上記下地層をカバーするメッキ層を含む外部電極と、を含み、上記本体は、上記複数の内部電極が露出して第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、上記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、並びに上記第1及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、上記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、外側面が上記第3方向に上記下地層よりさらに外側に配置された積層型キャパシターを提供する。
【0024】
一実施形態において、上記少なくとも一部の内部電極は、外側面が上記第3方向に上記メッキ層よりさらに外側に配置されることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一例による積層型キャパシターの場合、同一の大きさを有する従来の積層型キャパシターに比べて静電容量が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の積層型キャパシターにおいて、I-I'線に沿った断面図である。
【
図3】
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図である。
【
図5】
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図であり、変形された例を示すものである。
【
図6】
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図であり、変形された例を示すものである。
【
図7】
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図であり、変形された例を示すものである。
【
図8】
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図であり、変形された例を示すものである。
【
図9】本発明の一実施形態による積層型キャパシターを製造する工程の一部を示すものである。
【
図10】本発明の一実施形態による積層型キャパシターを製造する工程の一部を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0028】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示す斜視図である。
図2は
図1の積層型キャパシターにおいて、I-I'線に沿った断面図である。そして、
図3は
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図であり、
図4は
図3におけるA領域の拡大図である。また、
図5から
図8は
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'線に沿った断面図であり、変形された例を示す。
【0030】
図1から
図4を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシター100は、誘電体層111、及びこれを挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、外部電極131、132とを含み、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一部はボトルネック構造151、152を有する。ここで、ボトルネック構造151、152は、一方向(
図3でY方向)に本体110の内側に凹んだ形状を有する。
【0031】
本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層構造を含み、例えば複数のグリーンシートを積層した後、焼結して得られることができる。かかる焼結工程により複数の誘電体層111は一体化した形態を有することができる。本体110の形状と寸法及び誘電体層111の積層数が本実施形態の図示に限定されるものではなく、例えば、
図1に示す形態のように、本体110は直方体と類似した形状を有することができる。本体110は内部電極121、122がそれぞれ露出し、第1方向(X方向)に互いに対向する第1面S1及び第2面S2、複数の誘電体層111の積層方向である第2方向(Z方向)に互いに対向する第3面S3及び第4面S4、そして第1及び第2方向に垂直な第3方向(Y方向)に互いに対向する第5面S5及び第6面S6を含む。
【0032】
本体110に含まれた誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えばBT系、即ち、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られた他の物質も使用可能である。誘電体層111には主成分であるこのようなセラミック材料と共に、必要な場合、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤の場合、金属成分を含み、これらは製造過程で金属酸化物の形態で添加されることができる。かかる金属酸化物添加剤の例として、MnO2、Dy2O3、BaO、MgO、Al2O3、SiO2、Cr2O3及びCaCO3のうち少なくともいずれか一つの物質を含むことができる。
【0033】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られる。この場合、複数の内部電極121、122は
図2に示す形態のように、本体110の互いに対向する第1面S1及び第2面S2に露出した第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。この場合、第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結されて駆動する時に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は、実施形態によって変わることができる。内部電極121、122をなす主要構成物質としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)などが例として挙げられ、これらの合金も用いることができる。
【0034】
外部電極131、132は本体110の外部に形成され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。この場合、
図4に示す形態のように、外部電極131、132は多層構造を有することができ、下地層131a及びこれをカバーするメッキ層131bを含むことができる。下地層131aは、導電性金属を含む物質をペーストで製造した後、これを本体110に塗布する方法などにより形成されることができ、導電性金属の例として、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)またはこれらの合金が挙げられる。メッキ層131bはNi、Snなどを含むことができ、多層構造で実現されることもできる。
【0035】
図3を参照すると、本実施形態では、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一部は一方向に拡張されており、これにより複数の内部電極121、122がオーバーラップされる面積が増加することで静電容量が向上することができる。具体的に、第1内部電極121は、本体110における第1方向(X方向)の中間領域で第3方向(Y方向)長さW3が本体110の第1面S1または第2面S2の第3方向(Y方向)長さW4より大きく、上記中間領域と第1面S1及び第2面S2のうち少なくとも一つとの間に形成されたボトルネック構造151、152を有する。本実施形態では、内部電極121で第1面S1と第2面S2の両側にボトルネック構造151、152が形成されているが、これらのうち一つのみに形成されてもよい。
【0036】
ボトルネック構造151、152は第3方向(Y方向)に本体110の内側に凹んだ形状であり、これは、第1内部電極121でボトルネック構造151、152をなす領域が本体110の外側に凸の形態ではないことを意味する。このように本体110の内側に凹んだ形態のボトルネック構造151、152は、積層型キャパシター100を小型化するのに有利な構造であり、従来と比べて第1内部電極121は拡張された面積を有するようになるため、積層型キャパシター100の静電容量が向上することができる。また、ボトルネック構造151、152は、外部電極131、132の形成時にメッキ液が浸透するなど、外部の影響から信頼性を確保するのに役に立つ。
【0037】
静電容量を増加させるために第1内部電極121は第3方向(Y方向)に充分に拡張される必要があるため、
図4(a)に示す形態のように、第1内部電極121の外側面は第3方向(Y方向)に外部電極131、132のうち下地層131aに至るように拡張されることができる。さらに、
図4(b)に示す形態のように、第1内部電極121の外側面は、第3方向(Y方向)に外部電極131、132のうち下地層131aよりさらに外側に配置されてメッキ層131bに至るように拡張されることができる。このように下地層131aよりさらに外側まで拡張された場合、第1内部電極121には必ずしもボトルネック構造151、152が存在する必要はなく、ボトルネック構造151、152なしにかかる拡張構造を含む第1内部電極121も本発明に含まれるといえる。一方、上述した形態のボトルネック構造151、152は、第2内部電極122にも形成されることができ、以下の説明も第2内部電極122にも適用されることができる。
【0038】
図3に示す形態のように、ボトルネック構造151、152は曲面形状を有することができ、これにより内部電極121、122の重畳面積を最大限確保することができる。但し、本発明で意図した機能を行うことができる範囲でボトルネック構造151、152の形状は変形されることができ、例えば、
図5に示す形態のように、ボトルネック構造151、152は、ステップ(step)構造を有することもできる。かかるステップ構造の場合、内部電極121、122の一部が第3方向(Y方向)に本体110の内側に凹んだ形状にあたる。
【0039】
再び
図3を参照すると、ボトルネック構造151、152を有する第1内部電極121は第3方向(Y方向)長さW3が一定の平坦部Pを有することができる。この場合、平坦部Pはボトルネック構造151、152と連結されており、本体110の上記中間領域を含む位置に配置されることができる。
【0040】
本体110は第1凹部153と第2凹部154を含むことができ、具体的に、本体110は上記中間領域の第3方向(Y方向)長さW1が第1面S1及び第2面S3の第3方向(Y方向)長さW3より大きい形状である。ここで、第1凹部153は第1面S1を第5面S5及び第6面S6とそれぞれ連結し、第2凹部154は第1面S2を第5面S5及び第6面S6とそれぞれ連結する。かかる凹構造を有する本体110によって積層型キャパシター100をより小型化することができる。後述するように、本体110の凹構造はボトルネック構造151、152を有する内部電極121、122によって焼成過程で形成してもよく、これと違って、内部電極121、122の形状と関係なく本体110の凹構造を別途形成してもよい。
【0041】
一方、本体110の第1方向(X方向)長さをL1、平坦部Pの第1方向(X方向)長さをL2とする時、L2/L1の百分率は30~55%であることができる。また、ボトルネック構造151、152を含む第1内部電極121は、第1外部電極131のうち第1凹部153に形成された領域と第1方向(X方向)にオーバーラップされる領域を有し、この場合、本体110の第3方向(Y方向)長さをW1、第1内部電極121で上記オーバーラップされる領域の第3方向(Y方向)長さをW2とする時、W2/W1の百分率は5~10%であることができる。かかる長さ条件は、第1及び第2内部電極121、122がオーバーラップされる領域を充分に確保しつつも外部電極131、132との接続される可能性を減らすために導出されたものである。
【0042】
図示の形態のように、第1外部電極131は第1面S1及び第1凹部153をカバーすることができ、第2外部電極132は第2面S2及び第2凹部154をカバーすることができる。この場合、平坦部Pは第1方向(X方向)を基準として第1及び第2外部電極の間131、132に配置されることができる。そして、第1外部電極131で第1凹部153をカバーする領域は、外側面が第5面S5または第6面S6より第3方向(Y方向)にさらに外側に位置することができる。
【0043】
外部電極131、132の形状は変形されることができる。
図6に示す形態のように、第1外部電極131で第1凹部153をカバーする領域は、外側面が第5面S5または第6面S6と共面(Co-Plane)をなすことができる。同様に、第2外部電極132で第2凹部154をカバーする領域は、外側面が第5面S5または第6面S6と共面(Co-Plane)をなすことができる。
【0044】
また、
図7に示す形態のように、外部電極131、132の大きさはさらに減ることができる。第1外部電極131で第1凹部153をカバーする領域は、外側面が第5面S5または第6面S6より第3方向(Y方向)にさらに内側に位置することができ、ここで内側は本体の内側を意味する。同様に、第2外部電極132で第2凹部154をカバーする領域は、外側面が第5面S5または第6面S6より第3方向(Y方向)にさらに内側に位置することができる。この場合、第1内部電極121の外側面は第3方向(Y方向)に第1外部電極131の最外層(例えば、メッキ層)よりさらに外側に配置されることができる。
【0045】
図8に示す変形された例のように、ボトルネック構造151、152を有する第1内部電極121は、第1外部電極131と連結された領域に形成された追加のボトルネック構造161を有することができる。この場合、追加のボトルネック構造161は、第3方向(Y方向)に本体110の内側に凹んだ形状であることができる。かかる追加のボトルネック構造161は第2内部電極122にも適用されることができる。追加のボトルネック構造161は、外部電極131、132の形成時にメッキ液が浸透されるなど、外部の影響から信頼性を確保するのに役に立てられる。
【0046】
図9及び
図10は本発明の一実施形態による積層型キャパシターを製造する工程の一部として、本体に凹部が形成される様子を示す。
【0047】
本体110を形成するために誘電体層111と内部電極121、122とを積層してセラミック積層体を設けるが、ここで誘電体層111は焼成前であるため、セラミックグリーンシート状態である。上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤などを混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)型に製作することができる。上記セラミックグリーンシートは以後で焼結されて誘電体層111を形成することができる。
【0048】
上記セラミックグリーンシート上には内部電極用導電性ペーストを塗布してパターン形態の内部電極121を形成することができ、この場合、内部電極121はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法によって形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストは導電性金属と添加剤を含み、上記添加剤は非金属及び金属酸化物のいずれか一つ以上であることができる。上記導電性金属はニッケルを含むことができる。上記添加剤は金属酸化物としてチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムを含むことができる。本実施形態の場合、内部電極121はボトルネック構造を有するように形成される。
【0049】
以後、上記セラミックグリーンシート積層体を焼成し、焼成後には内部電極121のボトルネック構造により本体110には凹部153、154が形成されることができる。以後、内部電極121と連結されるように外部電極を形成して積層型キャパシターを完成することができる。
【0050】
図10の工程例では内部電極121の側面が露出した状態を示している。内部電極パターンが分離されず連結された状態で、素子単位で切断することで得られるが、かかる方式により内部電極121の面積をさらに増加させることができる。このように露出した内部電極121の側面をカバーするようにサイドマージン部112を形成し、サイドマージン部112は誘電体層111のようなセラミック物質で形成されることができる。但し、サイドマージン部112は誘電体層111と異なる物質で形成されることもできる。また、サイドマージン部112は、誘電体層111と粒度分布の異なるセラミック粒子を用いて形成されることができ、例えば、誘電体層111よりD50の小さい粒子を用いることができる。誘電体層111とサイドマージン部112が互いに異なる物質で形成されるか互いに異なる粒度分布を有する粒子で形成される場合、焼成後にこれらの間には界面(
図10の最後の点線)が形成されることができる。
【0051】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは当技術分野の通常の知識を有する者には自明なことであり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0052】
100:積層型キャパシター
110:本体
111:誘電体層
112:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
151、152:ボトルネック構造
161:追加のボトルネック構造