(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066133
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20220421BHJP
B62J 1/16 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081021
(22)【出願日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2020174409
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
(57)【要約】
【課題】チャイルドシートにカバーを装着する際にカバーの高さ位置を保持できること。
【解決手段】本体部11の前面部をチャイルドシートSの背面部Hに配設し、本体部11の背面部には係着部材20を設け、本体部11にはシートSに装着するための装着手段を設けた装着補助具10である。この装着手段が本体部11の上方部分に設けた一対の上方ベルト部材12と、本体部11の下方部分に設けた1つの下方ベルト部材14とから成る。上方ベルト部材12のそれぞれは、その先端部12tをチャイルドシートSの背面部Hに設けられた孔部に挿通して巻き付けて装着でき、下方ベルト部材14は、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームNfに掛け渡して装着できる。これにより本体部11の背面部の係着部材20をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着してカバーを適宜高さ位置にシートSに装着できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、当該装着補助具の本体部の前面部は前記チャイルドシートの背面に配設することができ、その背面部には係着部材が設けられ、当該本体部の適宜位置にはこの装着補助具をチャイルドシートに装着するための装着手段が設けられた装着補助具において、
前記装着手段が、前記本体部の上方部分に設けた一対の上方ベルト部材と、前記本体部の下方部分に設けた少なくとも1つの下方ベルト部材とから成り、
前記上方ベルト部材のそれぞれは、その先端部をチャイルドシートの上縁部からチャイルドシートの背面部に設けられた孔部に挿通して巻き付け、又は、チャイルドシートの上縁部からその下方のヘッドレストの下縁部に巻き付けて装着でき、
前記下方ベルト部材は、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡して装着でき、
これにより、前記本体部の背面部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着してチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着できることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項2】
前記上方ベルト部材のそれぞれは、1本のベルト部材の一方端に係止具が設けられたものから成り、この係止具が設けられた側を前記本体部の背面部に固着し、その他方端である先端部を前記本体部の上縁部から前面部側に巻回できるように配設し、
前記本体部には、その上縁部から略同一距離に一対の挿通孔を設け、
これにより、前記本体部をチャイルドシートの背面に配設し、前記上方ベルト部材の先端部をチャイルドシートの背面部に設けられた前記孔部に前面側から挿通し、又は、チャイルドシートのヘッドレストの下縁部に前面側から巻回し、その後前記本体部の挿通孔に挿通して背面側に引き出して、当該先端部を前記係止具に係止して装着することができることを特徴とする請求項1に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項3】
前記下方ベルト部材は、ベルト部材の両端部側に相互に連結できる連結具を設けたものから成り、
当該下方ベルト部材を自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡して前記連結具同士を連結し、その後、当該ベルト部材の一方端を引き絞って張設することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項4】
前記上方ベルト部材及び/又は下方ベルト部材が伸縮自在の帯状ベルトから成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項5】
前記上方ベルト部材は、前記本体部の前面部で縦方向に設けた伸縮自在の帯状部材からなり、この帯状部材の先端部には係着部を設け、この帯状部材の先端部をチャイルドシートの上縁部から巻回してチャイルドシートの前記孔部に前面側から挿通してその背面側に巻回し、又は、チャイルドシートの上縁部からその下方のヘッドレストの下縁部に巻き付けて、前記帯状部材の先端部の係着部を前記本体部の前面部に設けた係着部に係着して装着できることを特徴とする請求項1に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項6】
前記本体部の背面部に設けた係着部材が面ファスナーから成り、
この面ファスナーを前記本体部の背面部の縦方向に帯状に2列、略平行に設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項7】
前記チャイルドシートの背面部の上方部分が背面側に膨出した形態を有するチャイルドシートの背面側に前記本体部を配設するために、前記本体部の前面部に起伏部材を設け、この起伏部材が前記シートの膨出部の下方に位置するように設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項8】
前記起伏部材が帯状のものからなり、その両端部には本体部に固定するための固定部が設けられ、これら固定部の中間に起伏部が位置し、この起伏部が両端の起立部と、これら起立部の中間に位置する当接部とから成り、
これら当接部とその両端の起立部が折り畳み自在に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【請求項9】
前記起立部と当接部を折り畳んだ状態に維持できる押え部材を設けたことを特徴とする請求項8に記載の自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシート又は自転車の後部荷台部に固定された後部チャイルドシートのほぼ全体を被覆することができるチャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着する際に使用する装着補助具に関するものである。
この装着補助具は、前記チャイルドシートに装着固定して、前記チャイルドシートカバーの装着を補助するための物品である。
【背景技術】
【0002】
まず、本発明においては、上記した通り、前部チャイルドシート又は後部チャイルドシート(以下単に「シート」という。)の略全体を被覆できるチャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)を、前記シートに被覆する際に使用する装着補助物品に関するものである。
【0003】
上記シートとしては、現在良く知られているように、前部チャイルドシートにあっては、その座部と背面部が一体的に形成され、座部の両側前方には足乗せ部が設けられ、座部の前方には取手部が設けられたものからなり、当該シートが自転車のハンドルとハンドルポストに固定されるタイプのものが代表的なものである。
このタイプのものでは、背面部の上方部分にヘッドレストの形状を有するものとそうでないものとが存在し、ヘッドレストのあるものでは、その背面部の上方部がヘッドレストの形状に形成され、そのヘッドレストの下縁部の両側には凹所が存在する。
【0004】
他方、後部チャイルドシートにあっては、その座部は自転車の後部荷台部に固定され、足乗せ部は自転車の後輪の両側に配設され、座部の背面部である背凭れ部には上下に摺動可能なヘッドレストが設けられたものが存在する。
勿論、このシートには、上記ヘッドレストが上下に摺動せず、背凭れ部と一体化したタイプのものも存在する。この背凭れ部が一体化されたものでは、上記前部チャイルドシートと同様に、そのヘッドレストの下縁部の両側には凹所が存在する。
【0005】
これら前後のシートには、その座部の底面部を除く略全体を被覆することができる各種形状のチャイルドシートカバーが市販されている。
本発明は、このチャイルドシートカバーを上記の前部又は後部チャイルドシートに装着するための装着補助具に関し、この装着補助具としては、本願出願人が先に提案した下記特許文献1に記載の装着補助プレートを挙げることができる。
【0006】
下記特許文献1に記載の発明は、チャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に、カバーの高さ位置を適宜高さ位置に保持できる装着補助プレートを提供することを課題とする。
【0007】
その構成は、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、この装着補助具の前面部は前記チャイルドシートの背面に接合でき、その背面部には係着部材が設けられ、当該装着補助具の適宜位置にはこの装着補助具をチャイルドシートに装着するための装着手段を設け、これにより、前記装着補助具をチャイルドシートに装着し、この装着補助具の背面部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着してチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の装着補助プレートにおいては、どのようなタイプのチャイルドシートにも装着できることを意図して創案したのであるが、チャイルドシートには各種のタイプが存在するため、例えばヘッドレストが設けられていないもの、或いは、ヘッドレストと背凭れ部が一体的に形成されているものに対しては、上記従来の装着補助プレートでは適切に装着することができないタイプのチャイルドシートが存在していることが判明した。
【0010】
そこで、本願発明においては、上記のようなヘッドレストが設けられておらず、シートの背面部が一体的に形成されたタイプ(ヘッドレストの形状を有さないタイプ)のチャイルドシートに対しても適切に装着できる装着補助具を提案することがその第1の課題となる。
勿論、この装着補助具は、背面部とヘッドレストが一体化されたシートであっても、ヘッドレスト自体の形状を有する背面部に対しても装着可能なものである。
【0011】
また、本願発明においても、チャイルドシートに幼児を腰掛けさせた際に、その幼児の頭頂部ができる限りカバーの天部に接触しないようにすること、仮に接触しても幼児の頭頂部にカバーの重みがあまり掛らないようにチャイルドシートカバーを適宜高さ位置で装着できるようにし、且つカバーの形状を安定化させることができるような装着補助具を提案することもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、当該装着補助具の本体部の前面部は前記チャイルドシートの背面に配設することができ、その背面部には係着部材が設けられ、当該本体部の適宜位置にはこの装着補助具をチャイルドシートに装着するための装着手段が設けられた装着補助具において、前記装着手段が、前記本体部の上方部分に設けた一対の上方ベルト部材と、前記本体部の下方部分に設けた少なくとも1つの下方ベルト部材とから成り、前記上方ベルト部材のそれぞれは、その先端部をチャイルドシートの上縁部からチャイルドシートの背面部に設けられた孔部に挿通して巻き付け、又は、チャイルドシートの上縁部からその下方のヘッドレストの下縁部に巻き付けて装着でき、前記下方ベルト部材は、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡して装着でき、これにより、前記本体部の背面部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着してチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着できることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
ここで、上記装着補助具の「前面部」の「前面」が意味する方向は、当該装着補助具を自転車のチャイルドシートに装着した状態で、自転車の進行方向を意味する。他方、「背面」はその反対側の面を意味する。
【0013】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記上方ベルト部材のそれぞれは、1本のベルト部材の一方端に係止具が設けられたものから成り、この係止具が設けられた側を前記本体部の背面部に固着し、その他方端である先端部を前記本体部の上縁部から前面部側に巻回できるように配設し、前記本体部には、その上縁部から略同一距離に一対の挿通孔を設け、これにより、前記本体部をチャイルドシートの背面に配設し、前記上方ベルト部材の先端部をチャイルドシートの背面部に設けられた前記孔部に前面側から挿通し、又は、チャイルドシートのヘッドレストの下縁部に前面側から巻回し、その後前記本体部の挿通孔に挿通して背面側に引き出して、当該先端部を前記係止具に係止して装着することができることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0014】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記下方ベルト部材は、ベルト部材の両端部側に相互に連結できる連結具を設けたものから成り、当該下方ベルト部材を自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡して前記連結具同士を連結し、その後、当該ベルト部材の一方端を引き絞って張設することができることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0015】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の発明において、前記上方ベルト部材及び/又は下方ベルト部材が伸縮自在の帯状ベルトから成ることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0016】
本発明の第5のものは、上記第1の発明において、前記上方ベルト部材は、前記本体部の前面部で縦方向に設けた伸縮自在の帯状部材からなり、この帯状部材の先端部には係着部を設け、この帯状部材の先端部をチャイルドシートの上縁部から巻回してチャイルドシートの孔部に前面側から挿通してその背面側に巻回し、又は、チャイルドシートの上縁部からその下方のヘッドレストの下縁部に巻き付けて、前記帯状部材の先端部の係着部を前記本体部の前面部に設けた係着部に係着して装着できることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0017】
本発明の第6のものは、上記それぞれの発明において、前記本体部の背面部に設けた係着部材が面ファスナーから成り、この面ファスナーを前記装着補助具の背面部の縦方向に帯状に2列、略平行に設けたことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0018】
本発明の第7のものは、上記それぞれの発明において、前記チャイルドシートの背面部の上方部分が背面側に膨出した形態を有するチャイルドシートの背面側に前記本体部を配設するために、前記本体部の前面部に起伏部材を設け、この起伏部材が前記シートの膨出部の下方に位置するように設けたことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0019】
本発明の第8のものは、上記第7の発明において、前記起伏部材が帯状のものからなり、その両端部には本体部に固定するための固定部が設けられ、これら固定部の中間に起伏部が位置し、この起伏部が両端の起立部と、これら起立部の中間に位置する当接部とから成り、
これら当接部とその両端の起立部が折り畳み自在に形成されていることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【0020】
本発明の第9のものは、上記第8の発明において、前記起立部と当接部を折り畳んだ状態に維持できる押え部材を設けたことを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助具である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1のものにおいては、自転車に固定されたシートにカバーを装着する際に使用する装着補助具であって、この装着補助具の本体部の前面部はシートの背面側に配設でき、その背面部には係着部材が設けられ、当該本体部の適宜位置にはこの装着補助具をシートに装着するための装着手段が設けられているために、この本体部をシートの背面側に装着し、この本体部の背面部の係着部材をカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着してカバーを適宜高さ位置に装着することができる。
【0022】
即ち、この装着補助具の本体部は、各種タイプのシートの背面側に装着することができ、その背面部に設けた係着部材はカバー背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着することができるため、カバーの高さ位置を適宜高低自在に維持して装着することができることとなる。
【0023】
これにより、シートに腰掛ける幼児の座高に合わせて、カバー背面部を装着補助具の本体部に係着することにより、カバーの天部の高さ位置を適宜設定・変更することができ、カバーの内部空間で、幼児の頭頂部がカバー天部に接触しないか、接触してもカバーの重みがもろに幼児の頭部に掛ることが少なくなり、居住環境が向上する。
【0024】
また、本発明に係る装着補助具は、ヘッドレストが設けられていないタイプのものに装着することを念頭に置いており、このタイプのシートでは、ヘッドレストは無いものの、シートに備わるシートベルトの取り付け用の孔部が背面部の上縁部から適宜高さ位置に一対設けられており、本発明ではこれら2つの孔部を利用して、前記上方ベルト部材の先端部をこれらの孔部に挿通して巻き付けて装着することが出来る。
勿論、ヘッドレストがシートの背面部と一体的に設けられてあっても、そのヘッドレスト形状を有している背面部では、上記の孔部を利用せずに、そのヘッドレスト形状の下縁部に巻き付けて装着することもできる。
【0025】
他方、下方ベルト部材に関しては、装着補助具の本体部の下方部分に設けられていて、この下方ベルト部材は自転車のハンドルポスト又は荷台のフレームに掛け渡して装着することができることとなる。
即ち、本発明においては、前記上方ベルト部材と下方ベルト部材の少なくとも3点で装着補助具をシートの背面部の背面側に装着することが出来ることとなるのである。
【0026】
ヘッドレストが一体的となっていて且つそのヘッドレスト形状を有していないタイプのシートにおいては、その背面部に備わる上記一対の孔部は、シートベルトを設けるための孔部であり、背面部のやや上方部分にその上縁部から適宜距離を置いて横方向に2個(一対)設けられている関係上、この一対の上方ベルト部材のみではその装着力が弱く、装着補助具の本体部の下方部分が固定されていない状態となり、即ち、その本体部の下方部分が前後にパタパタとパタ付く状態となるのである。
このパタ付きを防止し、しっかりと装着補助具をシートの背面部の背面側に装着するために前記下方ベルト部材を少なくとも1つ設けているのである。
【0027】
以上のように、一対の上方ベルト部材と少なくとも1つの下方ベルト部材により、本発明に係る装着補助具がシートの背面部の背面側に少なくとも3箇所でしっかりと装着固定されることとなるのである。
その後、この装着補助具の本体部の背面部に設けられている係着部材とカバーの背面部内側に設けられている係着部材とを相互に係着してカバーを適宜高さ位置に取り付けることができることとなるのである。
【0028】
本発明の第2のものにおいては、上記上方ベルト部材及び本体部の構成をより具体化したものである。
即ち、上方ベルト部材のそれぞれは、ベルト部材の一方端に係止具が設けられたものから成り、この係止具が設けられた側を装着補助具の本体部の背面部に固着し、その他方端である先端部を本体部の上縁部から前面部側に巻回できるように配設し、本体部の側には、その上縁部から略同一距離に一対の挿通孔を設け、これにより、装着補助具の本体部をチャイルドシートの背面に配設し、上方ベルト部材の先端部をチャイルドシートの背面部に設けられた孔部に前面側から挿通し、又は、チャイルドシートのヘッドレストの下縁部に前面側から巻回し、その後装着補助具の本体部の挿通孔に挿通して背面側に引き出して、その先端部を前記係止具に係止して、装着補助具をシートの背面側に装着することができることとなるのである。
【0029】
本発明の第3のものにおいては、上記下方ベルト部材の構成を具体化したものであり、即ち、この下方ベルト部材は、ベルト部材の両端部側に相互に連結できる連結具を設けたものから成り、この下方ベルト部材を自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡して前記連結具同士を連結し、その後、当該ベルト部材の一方端を引き絞って張設することができるようにしたものである。
【0030】
本発明の第4のものにおいては、上記上方ベルト部材及び/又は下方ベルト部材が伸縮自在の帯状ベルトから成ることを特定し、当該ベルト部材がより張り詰めた状態に張設できることを特徴付けたものである。
【0031】
本発明の第5のものにおいては、上記上方ベルト部材の他の実施態様を特定したものである。
即ち、この上方ベルト部材は、装着補助具の本体部の前面部で縦方向に設けた一対の伸縮自在の帯状部材からなり、この帯状部材の先端部には係着部を設け、この帯状部材の先端部をチャイルドシートの上縁部から巻回してチャイルドシートの前記孔部に前面側から挿通してその背面側に巻回し、又は、チャイルドシートの上縁部からその下方のヘッドレストの下縁部に巻き付けて、この帯状部材の先端部の係着部を装着補助具の本体部の前面部に設けた係着部に係着して装着補助具をシートに装着できるようにしたものである。
この場合には、上記の第2の発明のように装着補助具の本体部の側に一対の挿通孔を設けずに実施することが可能となる。
【0032】
本発明の第6のものにおいては、上記装着補助具の本体部の背面部に設けた係着部材を特定したものであり、即ち、その本体部の背面部に設けた係着部材が面ファスナーから成り、この面ファスナーを前記装着補助具の本体部の背面部の縦方向に帯状に2列、略平行に設けたことを特定した。
このように係着部材を縦方向に、即ち上下方向に帯状に設けたことにより、カバー背面部内側に設けた係着部材との係着は上下に自在に変更して係着することができ、カバーの天部の高さを上下自在に調節することができることとなるのである。
【0033】
本発明の第7のものにおいては、前記チャイルドシートと異なる形態の背面部を有するシートがあり、このシートにあっては当該背面部の上方部分が背面側に膨出した膨出部を有する形態のものであり、このタイプのシートに適合できるようにしたものである。
この背面部上方部分の膨出部は、着席する幼児の頭部の形状に適合するように形成されたものであり、当該背面部の上方部分にヘッドレストが一体化されたものである。
【0034】
このようにシートに膨出部が設けられたものにあっては、上記第1乃至第6の発明に係る本体部を装着すると、その下方部分とシート背面部との間に隙間が出来てしまい、本体部をシートの背面側にしっかりと配設することができないという問題が生じる。
そこで、この第7の発明においては、本体部の前面部に起伏部材を設けた。
【0035】
この起伏部材が前記シートの膨出部の下方に位置することによってシートの背面部との隙間が起伏部材によって無くなり、しっかりと本体部をシート背面部に配設することができるのである。
【0036】
本発明の第8の発明のおいては、上記第7の発明において、より起伏部材を特定したものであり、即ち、前記起伏部材が帯状のものからなり、その両端部には本体部に固定するための固定部が設けられ、これら固定部の中間に起伏部が位置し、この起伏部が両端の起立部と、これら起立部の中間に位置する当接部とから成り、これら当接部とその両端の起立部が折り畳み自在に形成されたものである。
これにより、必要に応じて、即ち、シートの背面部の上方部分に膨出部があるタイプのものにおいては、前記起伏部を起立させて当接部をシートの背面部の膨出部の下方に当接させてしっかりと本体部をシート背面部に配設し、装着することができることとなる。
【0037】
本発明の第9のものにおいては、前記起立部と当接部を折り畳んだ状態に維持できる押え部材を設けたことを特徴とするものであり、シートの背面部に膨出部が設けられていないものに使用する際には、このように起立部を折り畳んで押え部材によって折り畳んだ状態に維持して使用することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の装着補助具に係る一実施形態の背面部側説明図である。
【
図2】上記実施形態に係る装着補助具の前面部側説明図である。
【
図3】上記実施形態に係る装着補助具が取り付けられるチャイルドシートの説明図である。
【
図4】上記実施形態に係る装着補助具をチャイルドシートの背面部に装着した状態の背面側の説明図である。
【
図5】同じく上記実施形態に係る装着補助具をシートに装着した側面側の説明図である。
【
図6】上記実施形態に係る装着補助具を用いてチャイルドシートカバーをシートに取り付けた状態の背面側説明図である。
【
図7】本発明の装着補助具に係る第2実施形態の前面部側説明図である。
【
図8】
図7に示した起伏部材を折り畳んだ状態を図示した説明図である。
【
図9】上記第2実施形態に係る装着補助具をチャイルドシートに装着した状態を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の装着補助具に係る第1実施形態の背面部側説明図である。
図2は、上記実施形態に係る装着補助具の前面部側説明図である。
【0040】
本発明に係る装着補助具10の本体部11は、
図1及び
図2に示したように、正面視野球のホームベース形状に似た略5角形形状を有している。
この本体部11は、板状のものから形成されており、可撓性を有するものが好ましい。
【0041】
勿論、この本体部11の内部に合成樹脂製の芯材を内装させることも自由である。
芯材としては、ベルポーレンを例示することができるが、布製の厚地のシート状のものであってもよい。
更に、この本体部11は、帯状部材を縦横に組み合わせて、1枚のシート状のものに編成したものであってもよいし、その編成に際しては、隙間が設けられていても全く問題はない。
要するにチャイルドシートの背面部(幼児の背部と頭部を支える部分)の背面側に適宜重ね合わせるように配設することができるようなシート状のもの或いは網状のものであればよい。
【0042】
この本体部11の上方部分には、左右一対(2個)の上方ベルト部材12、12が設けられている。
これらの上方ベルト部材12、12は、上記本体部11の上縁部11jから下方に同一距離の部位に横方向に並んで2個設けられている。
【0043】
この上方ベルト部材12は、左右同じ構成であって、その一方端(図中下端の基端部12b)には係止具13が設けられ、この基端部12bは、本体部11の背面部に固着されている。
この上方ベルト部材12の他方端(図中上端部)である先端部12tは、自由端となっており、後に説明するが、チャイルドシートの背面部に巻回される。
また、これらの上方ベルト部材12の上記係止具13の少し下方部分には、挿通孔16がそれぞれ設けられている。
【0044】
上記上方ベルト部材12の基端部12bに設けた係止具13は、略長方形の枠体に2本の横棒が掛け渡された形状を有しており、所謂「アジャスター・バックル」と呼ばれるものであるが、その上方の横棒には上記ベルト部材12の基端部12bが固定されており、後に説明するが、上記先端部12tをチャイルドシートの背面部に巻回して上記挿通孔16から本体部11の背面部側に引き出して、その先端部12tを上記係止具13の下方の横棒の上の孔部に下から上に挿通して、その後横棒の下の孔部から上から下に挿通して係止具13の下方に引き出し、締め付けることにより固定できるものである。
【0045】
上記本体部11の下方部分には、下方ベルト部材14が設けられている。
尚、
図1及び
図2においては、この下方ベルト部材14は、上記上方ベルト部材12よりもその横幅が狭く描かれているが、実際には、その横幅がほぼ同じ幅のものを使用している。
この下方ベルト部材14は、上記本体部11の下方部分に設けた孔部17に挿通させて設けており、一本のベルト部材を環状に配設したものである。
【0046】
この1本のベルト部材からなる下方ベルト部材14の一方端部には長さ調節枠体18が設けられている。
この長さ調節枠体18は、略長方形枠体の中央に1本の横棒が設けられた構成からなり、所謂「アジャスター・バックル」と呼ばれるものである。
この下方ベルト部材14の一方端部を上記長さ調節部材18の中央の横棒に固定し、輪状に取り回して、再度上記長さ調節部材18の上下の枠体に他方端部14tを挿通させる。
【0047】
これによって上記下方ベルト部材14の一方端部側は輪状に形成され、その中間部に一方の連結具15aを設ける。
上記下方ベルト部材14の他方端部14tは、上記の通り、上記長さ調節枠体18を挿通し、上記本体部11の下方部分に設けた挿通孔17に挿通させて、その他方端部側に設けた他方の連結具15bに挿通させる。
【0048】
以上の構成により、下方ベルト部材14は、上記の2つの連結具15a、15b同士を相互に連結して閉鎖された輪状に形成される。
この下方ベルト部材14は、後に説明するが、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡すように配設され、その後に上記下方ベルト部材14の他方端部14tを引き絞るように、即ち、連結具15bの挿通部を通して引き絞るようにして張設することができる。
【0049】
更に、上記本体部11の背面部側には、その左右の両側に一対の係着部材20、20を設けている
この係着部材20は、帯状部材を上記本体部11の背面部の両側に縫着したものであり、その背面部には面ファスナーが設けられたものである。
この面ファスナー20、20は、チャイルドシートカバーの背面部の内側に設けられている面ファスナー(係着部材)と相互に係着することができる。
【0050】
図3は、上記実施形態に係る装着補助具が取り付けられるチャイルドシートの説明図である。
このチャイルドシートSは自転車の後部荷台部に固定された例を示している。
勿論、チャイルドシートは自転車のハンドル及びハンドルポストに固定したものであっても、そのチャイルドシートに上記実施形態に係る装着補助具を装着することができる。
【0051】
この
図3に示した通り、チャイルドシートSは、プラスチック製のものから成り、幼児が腰掛ける座部Zと、この座部Zの後部から上方に立ち上がる背面部Hと、両側の両側面部W、Wと、足乗せ部F、Fとから成り、座部Zの上面にはクッション部材Cが設けられている。
【0052】
更に、背面部Hの上縁部から下方に略同一距離に孔部T、Tが左右に一対(2個)設けられている。
この孔部T、TはシートベルトB、Bを取り付けるために設けられているものである。
このチャイルドシートSでは、このシートベルトBは5点固定のものである。
【0053】
即ち、背面部Hの上方の2個の孔部T、Tから2本のベルトが下方に延長して連結部Raを挿通して両側面部W、WにそれぞれのベルトB、Bが固定される。連結部Rbは、座部Zの側にベルトを介して固定され、上記連結部Raと連結部Rbとを連結することによって幼児の身体を5箇所で保持固定することができる。
【0054】
図中符号M、Mは、ベルトの長さを調整するための長さ調整具であり、図中符号Dは自転車のサドルを示している。
また、上記連結部Ra及び連結部Rbの構成は、本発明に係る上記装着補助具10における下方ベルト部材14に設けている連結具15a及び連結具15bとその構造は同様のものであり、ワンタッチ式に連結できる雌雄バックルから成るものである。
【0055】
上記2つの孔部T、Tを利用して本発明の上記実施形態に係る装着補助具がチャイルドシートに装着される。
【0056】
図4は、上記実施形態に係る装着補助具をチャイルドシートの背面部に装着した状態の背面側の説明図である。
図5は、同じく上記実施形態に係る装着補助具をシートに装着した側面側の説明図である。
【0057】
以下、上記2図を用いて本発明の上記実施形態に係る装着補助具10をチャイルドシートSに装着する手順について説明する。
まず、本発明に係る装着補助具10の本体部11をチャイルドシートSの背面部Hの背面側に配置する。
【0058】
次に、上記本体部11の上方部分に設けられている左右何れか一方の上方ベルト部材12の先端部12tを本体部11の上縁部11jから本体部11の前面部側に取り回し、チャイルドシートSの上方部分に設けられている孔部Tにその前面側から後面側に向かって挿通する。
【0059】
次に、上記上方ベルト部材12の先端部12tを上記本体部11の上方の挿通孔16にその前面部側から背面部側に挿通し、その先端部12tを本体部11の背面部側に引き出す。
引き出した上方ベルト部材12の先端部12tを係止具13の下方の横棒の上の孔部に下から上に挿通し、その後下方の横棒の下の孔部に上から下へ挿通して前記先端部12tを係止具13の下方に引き出し、そのままその先端部12tを引き絞ることによって上方ベルト部材12によって本体部11がチャイルドシートSの背面部Hに装着される。
【0060】
同じ手順で、もう一方の上方ベルト部材12をチャイルドシートSの背面部Hに巻回して引き絞ることによって本体部11の上方部分がチャイルドシートSの背面部に装着される。
【0061】
次に、本体部11の下方部分に設けられた下方ベルト部材14の連結具15aと連結具15bとを分離させておき、下方ベルト部材14の先端部14tの側の連結部15bを自転車の荷台部NのフレームNfに巻回し、その後連結部15bを前記連結部15aに連結させる。
【0062】
次に、下方ベルト部材14の先端部14tを下方に引き絞ることによって、連結具15bに挿通されている下方ベルト部材14が引き絞られて、この下方ベルト部材14が緊張した状態に張設され、本体部11が堅固にチャイルドシートSの背面部H側に装着されるのである。
【0063】
図6は、上記実施形態に係る装着補助具を用いてチャイルドシートカバーをシートに取り付けた状態の背面側説明図であるが、自転車の図示は省略している。
この図に示したチャイルドシートカバー30は、チャイルドシートSの底面部を除く略全体を被覆できる略ボックス形状を有するものから成る。
【0064】
即ち、図には現れていない前面部と、この前面部の上縁部から連続する天部と天部の後縁部から下方に連続する背面部33と、これらの両側縁部で連続する両側面部34、34とから成る。
【0065】
前面部には透明の窓部が形成されて開閉自在である。
勿論、天部も透明素材から形成しても良い。
更に、両側面部34の下方にはそれぞれ足乗せ部被覆部35が備わる。
勿論、両側面部34の上方部分を透明素材から形成することもできる。
【0066】
そして、前面部と一方又は両方の側面部34との境界部にはスライドファスナーを設けて、開閉自在とし、開放することにより内部に幼児を着席させ及び内部から幼児を降ろす際に利用できる。
このチャイルドシートカバー30の底面部は開口されているが、この底面部の周縁部の全体又は一部には伸縮自在の収束紐36が挿通され、この底面部の開口部が収束できるように構成している。
【0067】
上記チャイルドシートカバー30の背面部33の内側に係着部材40、40を設けるのである。
この実施形態では、これらの係着部材40は帯状部材の一方の面に面ファスナーが設けられたものを縫着して設けている。
【0068】
この係着部材40は、図にも示した通り、カバー30の背面部33の両側の縦方向に帯状に設け、上記装着補助具10の本体部11の背面部に設けた係着部材20、20と相互に係着できるように形成している。
【0069】
即ち、上記装着補助具10の本体部11の背面部に設けた係着部材20にカバー30の係着部材40をカバーの天部の高さを適宜確保して、その高さ位置に相互に係着し、カバー30の天部の高さを所望高さ位置に保持させることができることとなるのである。
【0070】
これにより、シートに着席した幼児の座高高さに応じて、両者の係着位置を上下に変更して調節することができ、幼児の頭頂部にカバーの天部が接触しないようにすることができるのであり、カバーの室内空間の天部高さ位置を自在に変更することができることとなるのである。
【0071】
図7は、本発明の装着補助具に係る第2実施形態の前面部側説明図である。
この第2実施形態に係る装着補助具1においては、上記第1実施形態に係る装着補助具10の前面部に起伏部材2を設けたものである。
その他の構成は、上記第1実施形態の装着補助具10と同一である。
【0072】
即ち、本発明に係る装着補助具1の本体部11は、
図7に示したように、正面視野球のホームベース形状に似た略5角形形状を有している。
この本体部11は、板状のものから形成されており、可撓性を有するものである。
【0073】
この本体部11の内部には合成樹脂製の芯材を内装させることも自由である。
芯材としては、ベルポーレンを例示することができるが、布製の厚地のシート状のものであってもよい。
或いは、この本体部11は、帯状部材を縦横に組み合わせて、1枚のシート状のものに編成したものであってもよいし、その編成に際しては、隙間が設けられていても全く問題はない。
要するにチャイルドシートの背面部の背面側に適宜重ね合わせるように配設することができるようなシート状のもの或いは網状のものであればよい。
【0074】
この本体部11の上方部分には、左右一対(2個)の上方ベルト部材12、12が設けられている。
これらの上方ベルト部材12、12は、上記本体部11の上縁部11jから下方に同一距離の背面部の部位に横方向に並んで2個設けられている(
図1参照)。
【0075】
この上方ベルト部材12は、左右同じ構成であって、その一方端(図中下端の基端部12b)には係止具13が設けられ、この基端部12bは、本体部11の背面部に固着されている(
図1参照)。
この上方ベルト部材12の他方端である先端部12tは、自由端となっており、チャイルドシートの背面部に巻回される(
図4参照)。
また、これらの上方ベルト部材12の上記係止具13の少し下方部分には、挿通孔16がそれぞれ設けられている。
【0076】
上記上方ベルト部材12の基端部12bに設けた係止具13は、略長方形の枠体に2本の横棒が掛け渡された形状を有しており、所謂「アジャスター・バックル」と呼ばれるものであるが、その上方の横棒には上記ベルト部材12の基端部12bが固定されており、後に説明するが、上記先端部12tをチャイルドシートの背面部に巻回して上記挿通孔16から本体部11の背面部側に引き出して、その先端部12tを上記係止具13の下方の横棒の上の孔部に下から上に挿通して、その後横棒の下の孔部から上から下に挿通して係止具13の下方に引き出し、下方に引っ張って締め付けることにより固定できるものである(
図4参照)。
【0077】
上記本体部11の下方部分には、下方ベルト部材14が設けられている。
この下方ベルト部材14は、上記本体部11の下方部分に設けた孔部17に挿通させて設けており、一本のベルト部材を環状に配設したものである。
【0078】
この1本のベルト部材からなる下方ベルト部材14の一方端部には長さ調節枠体18が設けられている(
図1参照)。
この長さ調節枠体18は、略長方形枠体の中央に1本の横棒が設けられた構成からなり、所謂「アジャスター・バックル」と呼ばれるものである。
この下方ベルト部材14の一方端部を上記長さ調節部材18の中央の横棒に固定し、輪状に取り回して、再度上記長さ調節部材18の上下の枠体に他方端部14tを挿通させる。
【0079】
これによって上記下方ベルト部材14の一方端部側は輪状に形成され、その中間部に一方の連結具15aを設ける。
上記下方ベルト部材14の他方端部14tは、上記の通り、上記長さ調節枠体18を挿通し、上記本体部11の下方部分に設けた挿通孔17に挿通させて、その他方端部側に設けた他方の連結具15bに挿通させる。
【0080】
以上の構成により、下方ベルト部材14は、上記の2つの連結具15a、15b同士を相互に連結して閉鎖された輪状に形成される。
この下方ベルト部材14は、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡すように配設され、その後に上記下方ベルト部材14の他方端部14tを引き絞るように、即ち、連結具15bの挿通部を通して引き絞るようにして張設することができる(
図4参照)。
【0081】
上記本体部11の背面部側には、その左右の両側に一対の係着部材20、20を設けている(
図1参照)。
この係着部材20は、帯状部材を上記本体部11の背面部の両側に縫着したものであり、その背面部には面ファスナーが設けられたものである。
この面ファスナー20、20は、チャイルドシートカバーの背面部の内側に設けられている面ファスナー(係着部材)と相互に係着することができる。
【0082】
以上の通り、この第2実施形態においても、上記起伏部材2以外の構成は、上記第1実施形態と全く同一である。
そして、唯一の異なる構成が上記した起伏部材2である。
【0083】
この起伏部材2は、当該装着補助具1が装着されるチャイルドシートの背面部が後の
図9で説明するが、背面側に膨出しているタイプのものに適用される。
このシートの背面部の膨出部は、着席する幼児の後頭部がシートの背面部と当接して、顔面が下方に向いてしまうことを防止し、幼児の頭部を適切に保護するためのヘッドサポート(ヘッドレスト)の役目を果たすために設けられている。
【0084】
このようにシートの背面部に膨出部が設けられたシートに本発明の第1実施形態に係る装着補助具10を装着すると、本体部11の前面側に隙間が出来てしまい、本体部11の下方部分がパタパタしてしまうのである。
このパタ付きを無くすために、第2実施形態が創案された。
【0085】
即ち、上記シートの膨出部の下方に対応する本体部11の前面部に起伏部材2を設けたのである。
この起伏部材2は、帯状のものであって、内部に芯材を内装できるような二重の袋状のものから成る(勿論、帯状のものでなくとも実施は可能である。)。
その両端部には、固定部3、3を設け、これら固定部3、3の間に起伏部が位置する。
【0086】
この起伏部の両端には、起立部4、4を設け、これら起立部4、4の間に当接部5を設けている。
起立部4、4と当接部5の内部には、それぞれ合成樹脂製の薄板が芯材として内装され、その外部は合成繊維製の布地により被覆され、相互の境界部で折り畳めるように形成されている。
【0087】
両端部の固定部3、3は、本体部11に縫着され固定されている。
固定部3、3は、その下方(図中左側)の一方が外側に縫着され、その上方(右側)の他方は、起立部4の内側で本体部11に縫着されている。
【0088】
この縫着方法は、全く自由であって、図中左側の固定部3を起立部の内側に、図中右側の固定部3を起立部4の外側に縫着するのも自由である。或いは、固定部3の両者共に起立部4の外側に、又は、固定部3の両者共に起立部4の内側に配置するのも自由である。
図中符号6は、次図で説明するが、上記起伏部を折り畳んだ際に、この起伏部を折り畳んだままの状態に保持するベルト状の押え部材を図示している。
【0089】
以上の通り、起伏部材2は、この第2実施形態では、本体部11の前面部側の略中央部に設けられ、チャイルドシートの背面部の膨出部の下方に対応する位置に設けられ、その両端部の固定部3、3で本体部11の前面部に固定され、この固定部3、3の間の起伏部の起立部4、4を起立させることによりその中央の当接部5が所定高さに維持され、本体部11の前面部とシートの背面部との隙間を埋めるスペーサの如き役目を果たし、シートの背面部に配設し、装着したときに、本体部11の下方部分がパタ付かないこととなる。
【0090】
図8は、上記
図7に示した起伏部材を折り畳んだ状態を図示した説明図である。
この図から、本発明に係る第2実施形態に係る装着補助具1の前面部に設けた起伏部材2を折り畳んだ状態をよく見て取ることができる。
【0091】
図7における上方の起立部4を下側に折り畳むことにより、当接部5が内側に折り込まれ、その上に下方の起立部3が一番上に折り重ねられて、起立部4、当接部5、そして起立部4が重ね合わさるように折り畳まれる。
【0092】
その後、この折り畳まれた状態を維持するために、両端部がフリーとなっているベルト状の押え部材6を巻き付けてその両端の自由端部を相互に面ファスナーによって固着し固定することができる。
【0093】
即ち、押え部材6は、その略中央部が本体部11に縫着され、その両端部が自由端となっているベルト状のものであって、その両端部には相互に係着できる面ファスナーが設けられ、上記折り畳まれた起立部と当接部を折り畳んだ状態のままに維持することができるものである。
勿論、両端部の面ファスナーは、ベルトからなる押え部材6の一方端部に連結用バックルを設けて、両端部を連結し固定することもできる。
【0094】
これにより、第2実施形態に係る装着補助具は、上記第1実施形態のものと同様に、チャイルドシートとしてその背面部に膨出部が設けられていないタイプのものにも使用することが出来ることとなるのである。
【0095】
図9は、上記第2実施形態に係る装着補助具をチャイルドシートに装着した状態を示す側面説明図である。
この図から、本発明に係る第2実施形態に係る装着補助具の使用例を見て取ることができる。
【0096】
この図に示したチャイルドシートSでは、その背面部Hが
図3に示したチャイルドシートHのようにフラットなものではなく、その背面側に膨出する膨出部Hbが設けられたタイプのものである。
この膨出部Hbは、既に述べた通り、着席する幼児の後頭部に相応しく適合するように設けられたものである。
【0097】
この膨出部Hbがあることにより、装着補助具1の本体部11の前面側とシートの背面部Hとの間に隙間ができてしまうのである。
この隙間をいわば充填するためのスペーサとして起伏部材2が創案されたのである。
【0098】
この図では、押え部材の図示は省略している。また、向こう側(紙面背面側)の上方ベルト部材は起伏部材に隠れて見えない状態である。
図示した通り、起立部4、4を起立させることにより、その中間の当接部5がシートの背面部Hの背面部と当接し、当該本体部11の下端部は下方ベルト部材14の張力により下方に引っ張られた状体となり、しっかりとシートSの背面部Hに当接して装着されることとなる。
これにより、本体部11の下方部分はパタ付くことが無くなるのである。
【0099】
その後、本体部11の背面部に設けられた係着部材(面ファスナー)をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材(面ファスナー)と相互に係着することによってチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着することができることとなる。
このカバー装着方法は上記第1実施形態の装着補助具の場合と全く同一である。
【0100】
以上、第2実施形態について説明したが、その特徴部分は起伏部材にあり、その他の構成は上記第1実施形態と同一である。
そして、この起伏部材2は、帯状のものとして本体部11の前面部で縦方向に設けている。
【0101】
しかし、この起伏部材2は、これを横方向に設けることも可能である。
つまり、両端部の固定部3、3を横方向に設けて実施することも容易に可能である。
要するに、両端部の固定部の間に起伏部があればよく、その向きは全く自由である。
また、この起伏部は、帯状のものから成るが、必ずしも帯状のものでなく、つまり、その横幅を一定のものとする必要もなく、その横幅や起立高さも自由に設計変更することができ、そのサイズ及び形状は自由に設計することができる。
【0102】
例えば、起立部において、その基端側(本体部側)の横幅を大きく、その当接部側の横幅を小さくして、台形形状とすることもできる。
また同様に、固定部の形状も起立部側の横幅を小さくし、その反対側の端部の横幅を大きくした台形形状に形成することも可能である。
【0103】
更に、固定部3、3の位置は、起立部の外側でも内側でも自由に設定することができる。
上記のように起立部材2を横方向に設けた場合には、押え部材は縦方向に設けることとなる。
【0104】
尚、この第2実施形態にあっては、第1実施形態と同様に、その上方ベルト部材は、シートの背面部の孔部に挿通することも、ヘッドレストの下縁に巻き付けることも、何れも可能である。
【0105】
以上、本発明に係る実施形態の2例について説明したが、本発明にあっては以下の通り種々設計変更することが可能である。
【0106】
上記第1実施形態においては、装着されるチャイルドシートとして、
図3に示した通り、その背面部の上部にヘッドレスト形状を有していないものであったため、上方ベルト部材の先端部は、シートの背面部の上方部分に設けられた一対の孔部を挿通させて装着した。
【0107】
他方、シートとしては、その背面部の上部にヘッドレスト形状を有するものもあり、このタイプのシートには、その背面部の上部のヘッドレストの上縁部から下縁部に架けて上方ベルト部材を巻き付けて装着することができる。
従って、後者のタイプのシートに上記上方ベルト部材を巻回する際には、シートの背面部に設けられた一対の孔部は使用せずに済む。
【0108】
上記第1及び第2実施形態の何れの場合においても、上方ベルト部材は、その係止具が設けられた一方端部を本体部の背面部側に固定したが、この一方端部は、本体部の前面部側に固定してもよい。
本体部の前面部側に固定する場合には、上記第1及び第2実施形態で特定した係止具としては面ファスナー(係着部)を用いることが好ましい。
【0109】
即ち、上方ベルト部材は、本体部の前面部で縦方向に設けた伸縮自在の帯状部材から形成し、この帯状部材の先端部には係着部を設け、この帯状部材の先端部をチャイルドシートの上縁部から巻回してチャイルドシートの孔部に前面側から挿通してその背面側に巻回し、又は、チャイルドシートの上縁部からその下方のヘッドレストの下縁部に巻き付けて、上記帯状部材の先端部の係着部を上記本体部の前面部に設けた係着部に係着して装着することができるのである。
【0110】
例えば、上記上方ベルト部材の基端部の前面側に面ファスナー(係着部)を設け、他方の先端部にも前記面ファスナーと相互に係着できる面ファスナー(係着部)を設け、この上方ベルト部材の先端部をシートの孔部に前面側から後面側に挿通し、その後先端部の面ファスナーを上記基端部側の面ファスナーと相互に係着すれば、上記上方ベルト部材によって装着補助具をシートの孔部を利用して装着することができる。
【0111】
この場合には、上方ベルト部材として伸縮自在のベルト部材を利用することが極めて好ましい。
というのも、ベルト部材の両端部に設けた面ファスナーは、装着補助具の本体部とシートの背面部との間に位置するためであり、相互に面ファスナーを装着するにはシートから本体部を離隔する必要があるからである。
【0112】
本発明に係る装着補助具は、自転車のハンドル部又は後部荷台部に取り付け固定されたチャイルドシートの何れのシートに対しても装着してカバーを取り付けることができる。
前部チャイルドシートに装着する際には、下方ベルト部材は、自転車のハンドルポストに掛け渡して又は巻回して装着することができる。
【0113】
自転車のシートに装着するカバーの形態はどのようなものであってもよく、シートの略全体を被覆できるカバーであって、その背面部の内側に係着部材が設けられたものであれば、各種タイプのカバーを適宜高さ位置に取り付け装着することができる。
当該カバーは、その全体が1つのものであっても、上下2つの部分から成るツーピースタイプのものであってもよいし、当該カバーには各種の骨組が配設されたものであってもよい。
【0114】
本発明に係る装着補助具の本体部は、板状又はシート状のものであって、シートの背面側に配置できるものであれば、その外形形状やその構造も全く自由に設計変更することができる。
【0115】
例えば、その外形形状は、上記実施形態のような略5角形形状のものであってもよいし、略長方形形状又は略惰円形形状のものでもよく、或いは多角形形状のものであってもよい。
その構造も、内部にクッション材や可撓性を有する合成樹脂製板材を内装し、外部を他の素材から成る生地やシート材で被覆したものであってもよいし、1枚の弾性又は可撓性を有する板状のものであってもよい。
【0116】
更には、この装着補助具の本体部は、帯状ベルトを縦横に編んだものであってもよく、しかも、その編成にあっては、隙間が設けられたもの、つまり、透孔や窓部があっても良いのである。
要するに、シートの背面部に配設できるものであれば、その構造は全く自由である。
【0117】
上方ベルト部材においては、上記実施形態で利用した係止具は、略長方形形状の枠体に2本の横棒が設けられたもの、所謂アジャスター・バックルと呼ばれているものを使用したが、この係止具は相互に係着できる面ファスナーであってもよく、或いは、下方ベルト部材で利用した雌雄のワンタッチバックルから成る連結具を利用しても良いのであるが、シートの孔部の大きさを考慮すれば、上記実施形態に係る係止具が最も好ましい。ベルト部材の先端部には何も設けられておらず、孔部に挿通させるのに便利だからである。
【0118】
上方ベルト部材及び下方ベルト部材も適宜設計変更することができ、上記実施形態のような単なる帯状ベルトばかりでなく、伸縮性を有するゴムバンド等であってもよい。
更に、下方ベルト部材は少なくとも1本あればよいが、これを2本又はそれ以上設けるのも全く自由である。この下方ベルト部材は、最低1本設け、一対の上方ベルト部材との3点で本体部をシートに装着することができる。
【0119】
装着補助具の本体部の背面部に設けた係着部材(面ファスナー)は、上記実施形態では、背面部の両側に縦方向に一対設けたが、これらの係着部材は、横方向でもよく、またその横方向に1本、帯状に設けてもよく、複数本、略平行に設けたものであってもよい。
勿論、係着部材を本体部の背面部の全体に設けることもできる。
【0120】
これにより、カバーの背面内側に設けた係着部材(面ファスナー)と相互に係着することにより、当該カバーの高さ位置を適宜決定し、適宜高さ位置に当該カバーをシートに装着することができることとなるのである。
【0121】
以上、本発明は、自転車の前部又は後部チャイルドシートに被覆して使用できるチャイルドシートカバーを前記シートに装着する際に使用する装着補助具であって、この装着補助具を前記シートの背面側に装着し、当該装着補助具の背面部に設けた係着部材を前記カバーの背面部内側に設けた係着部材と相互に係着してカバーをシートに装着でき、これにより当該カバーを適宜高さ位置に装着でき、カバー内部に着席する幼児の頭頂部に空間を設けてチャイルドシートカバーをシートに装着できることとなるのである。
【符号の説明】
【0122】
1、10 装着補助具
2 起伏部材
3 固定部
4 起立部
5 当接部
6 押え部材
11 本体部
11j 上縁部
12 上方ベルト部材
12b 基端部
12t 先端部
13 係止具
14 下方ベルト部材
14t 先端部
15a、15b 連結具
16 挿通孔
17 孔部
18 長さ調節枠体
20 係着部材
30 チャイルドシートカバー
33 背面部
34 側面部
35 足乗せ部被覆部
36 収束紐
40 係着部材
B シートベルト
C クッション部材
D サドル
F 足乗せ部
H 背面部
M 長さ調節具
N 荷台
Nf フレーム
Ra、Rb 連結部
S チャイルドシート
T 孔部
W 側面部
Z 座部
H ヘッドレスト