IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066154
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】食品の食感評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/02 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
G01N33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162805
(22)【出願日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2020174884
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 聡
(72)【発明者】
【氏名】太田 美樹
(72)【発明者】
【氏名】中馬 誠
(57)【要約】      (修正有)
【課題】咀嚼挙動測定装置を用いて、幅広い食品の食感を精度良く評価することができる食品の食感評価方法を提供する。
【解決手段】咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が対象食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程と、前記検出値の波形データから抽出した2種以上のパラメータを説明変数とし、予め複数種の食品の食感のスコアを目的変数とし前記パラメータを説明変数とした重回帰分析で得られた回帰式に、前記パラメータを代入して、前記対象食品の前記食感のスコアの予測値を算出する工程と、を含む食品の食感評価方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が対象食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程と、
前記検出値の波形データから抽出した2種以上のパラメータを説明変数とし、予め複数種の食品の食感のスコアを目的変数とし前記パラメータを説明変数とした重回帰分析で得られた回帰式に、前記パラメータを代入して、前記対象食品の前記食感のスコアの予測値を算出する工程と、
を含む食品の食感評価方法。
【請求項2】
前記咀嚼挙動測定装置が、顎の動きに応じた距離を検出して、前記検出値の波形データを生成するものである請求項1に記載の食品の食感評価方法。
【請求項3】
前記パラメータが、咀嚼頻度に関する頻度パラメータ、咀嚼ピーク面積に関する面積パラメータ、咀嚼ピーク高さに関する高さパラメータ、咀嚼ピーク面積のヒストグラムに関する面積分布パラメータ、咀嚼時間に関する時間パラメータ、及び咀嚼ピーク高さを咀嚼ピークの継続時間で除した値に関する距離/時間パラメータからなる群から選ばれる2種以上である請求項1又は2に記載の食品の食感評価方法。
【請求項4】
前記パラメータが、咀嚼完了までの時間を前期・中期・後期に分けたときの前期/後期の総ピーク面積比率及び前期/後期の平均ピーク面積比率、前記咀嚼ピーク面積のヒストグラムにおける線形尖度及び線形歪度、平均のピーク面積、テンポ平均値、1ピーク目のピーク面積、咀嚼回数、最大ピーク面積、咀嚼1回あたりの時間、最大ピーク高さ、平均ピーク高さからなる群から選ばれる2種以上である請求項1~3いずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【請求項5】
前記食感は、かたさ、弾力、歯への付着性、舌への付着感、かみきりやすさ、くちどけの良さ、噛みしめ度(前半)、噛みしめ度(後半)、及びまとまりやすさからなる群から選ばれる1種以上である請求項1~4いずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【請求項6】
前記重回帰分析は、
予め、5種以上の食品の前記食感を官能評価により定量化したスコアを得る工程と、
前記咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が前記食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程と、
前記検出値の波形データから抽出した前記2種以上のパラメータを説明変数として用い、前記食感のスコアを目的変数とする重回帰分析を行なって前記回帰式を得る工程と、
を含むものである請求項1~5のいずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【請求項7】
前記重回帰分析は、複数の被験者の前記スコアと前記パラメータを使用し、
前記複数の被験者の間で前記パラメータの差を少なくするために、前記5種以上の食品のうち何れかの食品の何れかのパラメータを全ての被験者で同じ基準値とし、これを基準として、他の食品の同じパラメータについては、基準となる前記食品のパラメータに対する相対値を前記説明変数として用いる、請求項6に記載の食品の食感評価方法。
【請求項8】
さらに、前記説明変数の数を少なくするために、予め食感のスコアを目的変数とし前記検出値の波形データから抽出したパラメータを説明変数とした予備的重回帰分析を行なって、得られる回帰式の標準化係数に基づいて、前記予備的重回帰分析に用いた説明変数より少ない数の前記説明変数を選択する、請求項1~7のいずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【請求項9】
前記重回帰分析は、前記2種以上のパラメータを説明変数として用い、前記食感のスコアを目的変数とする重回帰分析を行なって前記回帰式を得る際に、ステップワイズ法によって、前記説明変数の数より少ない数の説明変数が選択された回帰式を作成する工程を含む、請求項6に記載の食品の食感評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、咀嚼挙動測定装置を用いた食品の食感評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食に対する消費者の嗜好は、ますます多様となっている。そして消費者の多岐にわたる嗜好に応えるべく、様々な食品が日々開発されている。食品開発においては、商品コンセプトだけでなく、同時にその特徴となる食感等を評価する手法も求められている。
【0003】
食品の食感の測定手法としては、一般的な材料の物性測定と同様の装置を用いて測定を行なう方法が知られている。例えば、特許文献1では、トライボロジー装置を使用して、摺動速度の関数として、食品の摩擦因子を測定することによってトライボロジーデータセットを得るステップと、予め求めた相関モデルに基づいて前記食品の1つ以上の官能口当たり特性を求めるステップとを含む方法が開示されている。
【0004】
一方、食品に対するヒト(被験者)の摂食挙動を測定する手法として、生理計測による方法が知られている。生理計測は被験者を測定機器に見立てて評価する手法であり、例えば筋電位測定や嚥下音測定などが挙げられる。これら生理計測は被験者の摂食挙動を間接的に観察できる極めて有用な手法である反面、測定の煩雑さや被験者への負担などから長時間の測定が難しく、一度に測定できるサンプル数にも制限があった。
【0005】
しかし、最近、小型軽量の距離センサを耳に装着することで、簡便に顎の動きの経時変化を計測することにより、咀嚼挙動を評価することができる咀嚼挙動測定装置(シャープ株式会社製、bitescan、登録商標)が開発された。この装置は、被験者への負担が少なく扱いやすい生理計測機器であるため、従来の生理計測装置より自然な咀嚼挙動を長時間測定することができる。
【0006】
このような咀嚼挙動測定装置を用いる技術として、例えば、特許文献2には、咀嚼挙動測定装置を用いて、計測値の経時変化から咀嚼回数を計測する、食事モニタリング方法が提案されている。これにより、実際の食事で何を食べているかを推定できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5548612号公報
【特許文献2】特開2020-58609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された食品の評価方法では、一般的な物性測定により得られた物性から食感を評価する方法であるため、評価結果と実際の食感との相関性が、十分とはいえない、又は評価の対象となる食感の種類が限られるという問題があった。
【0009】
また、特許文献2の発明は、咀嚼挙動測定装置を用いて、単に計測値の経時変化から咀嚼回数を計測するものであるため、食品の食感の評価を行なえるレベルのものではなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、咀嚼挙動測定装置を用いて、幅広い食品の食感を精度良く評価することができる食品の食感評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、咀嚼挙動測定装置を用いて得られる咀嚼挙動データから適切なパラメータを抽出して重回帰分析を行なうことで、食品の食感を精度良く評価することができることを見出し、かかる知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は以下の態様を含む;
項1.
咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が対象食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程と、
前記検出値の波形データから抽出した2種以上のパラメータを説明変数とし、予め複数種の食品の食感のスコアを目的変数とし前記パラメータを説明変数とした重回帰分析で得られた回帰式に、前記パラメータを代入して、前記対象食品の前記食感のスコアの予測値を算出する工程と、
を含む食品の食感評価方法。
【0013】
項2.
前記咀嚼挙動測定装置が、顎の動きに応じた距離を検出して、前記検出値の波形データを生成するものである項1に記載の食品の食感評価方法。
【0014】
項3.
前記パラメータが、咀嚼頻度に関する頻度パラメータ、咀嚼ピーク面積に関する面積パラメータ、咀嚼ピーク高さに関する高さパラメータ、咀嚼ピーク面積のヒストグラムに関する面積分布パラメータ、咀嚼時間に関する時間パラメータ、及び咀嚼ピーク高さを咀嚼ピークの継続時間で除した値に関する距離/時間パラメータからなる群から選ばれる2種以上である項1又は2に記載の食品の食感評価方法。
【0015】
項4.
前記パラメータが、咀嚼完了までの時間を前期・中期・後期に分けたときの前期/後期の総ピーク面積比率及び前期/後期の平均ピーク面積比率、前記咀嚼ピーク面積のヒストグラムにおける線形尖度及び線形歪度、平均のピーク面積、テンポ平均値、1ピーク目のピーク面積、咀嚼回数、最大ピーク面積、咀嚼1回あたりの時間、最大ピーク高さ、平均ピーク高さからなる群から選ばれる2種以上である項1~3いずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【0016】
項5.
前記食感は、かたさ、弾力、歯への付着性、舌への付着感、かみきりやすさ、くちどけの良さ、噛みしめ度(前半)、噛みしめ度(後半)、及びまとまりやすさからなる群から選ばれる1種以上である項1~4いずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【0017】
項6.
前記重回帰分析は、
予め、5種以上の食品の前記食感を官能評価により定量化したスコアを得る工程と、
前記咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が前記食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程と、
前記検出値の波形データから抽出した前記2種以上のパラメータを説明変数として用い、前記食感のスコアを目的変数とする重回帰分析を行なって前記回帰式を得る工程と、
を含むものである項1~5のいずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【0018】
項7.
前記重回帰分析は、複数の被験者の前記スコアと前記パラメータを使用し、
前記複数の被験者の間で前記パラメータの差を少なくするために、前記5種以上の食品のうち何れかの食品の何れかのパラメータを全ての被験者で同じ基準値とし、これを基準として、他の食品の同じパラメータについては、基準となる前記食品のパラメータに対する相対値を前記説明変数として用いる、項6に記載の食品の食感評価方法。
【0019】
項8.
さらに、前記説明変数の数を少なくするために、予め食感のスコアを目的変数とし前記検出値の波形データから抽出したパラメータを説明変数とした予備的重回帰分析を行なって、得られる回帰式の標準化係数に基づいて、前記予備的重回帰分析に用いた説明変数より少ない数の前記説明変数を選択する、項1~7のいずれか1項に記載の食品の食感評価方法。
【0020】
項9.
前記重回帰分析は、前記2種以上のパラメータを説明変数として用い、前記食感のスコアを目的変数とする重回帰分析を行なって前記回帰式を得る際に、ステップワイズ法によって、前記説明変数の数より少ない数の説明変数が選択された回帰式を作成する工程を含む、項6に記載の食品の食感評価方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、咀嚼挙動測定装置を用いて、幅広い食品の食感を精度良く評価することができる食品の食感評価方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】ガムを咀嚼した時の波形データの例を示すグラフである。
図1B】ソフトキャンディを咀嚼した時の波形データの例を示すグラフである。
図1C】グミキャンディを咀嚼した時の波形データの例を示すグラフである。
図2A】波形データの咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けた区分を示すグラフである。
図2B】各々のピークについて、咀嚼ピーク面積に基づき一定の区分ごとに頻度をカウントしたヒストグラムである。
図3A】未知食品の食感(かみきりやすさ)について、実測値と予測値との間の相関性を示すグラフである。
図3B】未知食品の食感(くちどけの良さ)について、実測値と予測値との間の相関性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(食品の食感評価方法)
本発明の食品の食感評価方法は、咀嚼挙動測定装置を用いて対象食品の食感を評価するものである。対象食品としては、食感が評価の対象となり得るものであれば、何れの食品でもよく、既存の食品の他、新たに開発された食品なども対象となり得る。具体的には、実施例1及び実施例9~10で重回帰分析を行なった食品、実施例11で未知食品として予測値を算出した食品や、これらに類する食品などが挙げられる。
【0024】
これらを含めて食感評価の対象となる食品としては、アイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルク、氷菓等の冷菓、ゼリー、プリン、杏仁豆腐等のゲル状食品及び半固形状食品、ヨーグルト、チーズ、バター等の乳製品、グミ、クッキー、ビスケット、スナック菓子、米菓、チョコレート、キャンディー、ケーキ、団子等の菓子類、大豆、アーモンド、ピーナツ、ピスタチオ等の豆類、するめ、さきいか、ジャーキー等の乾物、嚥下食、きざみ食、高栄養ゼリー等の介護食、マンゴー、洋梨、マスカット、ブドウ、リンゴ、バナナ、メロン、モモ等の果物類、ニンジン、タマネギ、キュウリ、ナス、キャベツ、レタス、ネギ、ピーマン等の野菜類、米、小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、小豆等の穀物類、牛肉、豚肉、鳥肉、山羊肉、羊肉等の肉類およびソーセージ、ハム等の肉加工品、鮪、鰯、秋刀魚、鯛、鮭、鮎、海老、帆立、蟹、アサリ等の魚介類およびかまぼこ、魚肉ソーセージ等の水産加工品、しいたけ、エリンギ等のキノコ類、煮物類、揚げ物類、炒め物類、焼き物類、蒸し物類等の惣菜、うどん、そば、スパゲティ、マカロニ、及び中華麺等の麺類(当該麺類は、例えば、生麺、半生麺、冷凍麺、乾燥麺、フライ麺、又はノンフライ麺等であることができる)、食パン、全粒粉パン等のパン類、あるいはこれらを組み合わせた食品が例示できる。
【0025】
本発明の食品の食感評価方法は、咀嚼挙動測定装置を用いて測定を行なう測定工程と、対象食品の食感のスコアの予測値を算出する算出工程とを含むものである。以下、各工程について説明する。
【0026】
[測定工程]
本発明の食品の食感評価方法は、咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が対象食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程を含むものである。顎の動きに応じた検出値を経時的に測定することで咀嚼の際の挙動を数値化して波形データとすることができ、重回帰分析のための複数のパラメータを効果的に抽出できるようになる。
【0027】
測定の際の被験者の人数は、1名でもよいが、平均値を使用して評価の精度を高める観点から、3名以上が好ましく、5名以上がより好ましく、7名以上が更に好ましい。また、測定時間の短縮、データ処理の簡素化の観点からは、測定の際の人数が少ないほどよく、人数の上限としては15名以下が好ましく、7名以下がより好ましい。
(咀嚼挙動測定装置)
咀嚼挙動測定装置としては、被験者が対象食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定できるものであればよく、検出値としては、センサと下顎骨の表面の皮膚との距離を検出した値、下顎の動作角度を検出した値、下顎の所定の位置(例えば最下端部)を検出した値などが挙げられる。これらの検出値は、測定部位に対して非接触で測定可能なため、非接触タイプの咀嚼挙動測定装置を用いることが好ましい。
【0028】
非接触タイプの咀嚼挙動測定装置としては、例えば、シャープ社製のbitescan(登録商標)(製品名BH-BS1RR)を用いることができる。また、特開2016-131854号公報、特開2020-58609号公報などに開示された咀嚼挙動測定装置を用いることができる。
【0029】
特に、bitescanは、近赤外線距離センサにより顎の動きに応じた下顎骨の表面の皮膚との距離を検出でき、咀嚼回数や咀嚼テンポが測定可能である。また、スマートフォンのアプリでリアルタイムのデータが確認可能で、測定の生データを検出値の波形データとして取り出すことができる。なお、3軸加速度センサにより、姿勢や動作を測定可能である。この装置は、小型のため試験時の被験者への負担が少ないので、長時間の測定も可能となる。耳掛けタイプであり、被験者の摂食動作への影響が少ないため、違和感なく、普段の食事に近い形での測定が可能となる。
【0030】
(波形データ)
咀嚼挙動測定装置により得られる波形データとしては、例えば図1A図1Cに示すような、横軸に時間をとり、縦軸に下顎骨の表面の皮膚とセンサの距離をとったものが挙げられる。図2Aには、波形データとベースラインとの関係を示しており、この例ではベースラインが上側(距離が大きい側)に引かれている。しかし、被験者間の個人差により、噛んだとき上記の距離が大きくなる人と、距離が小さくなる人がいるため、被験者によってはベースラインが下側(距離が小さい側)に引かれる場合がある。
【0031】
[算出工程]
本発明の食品の食感評価方法は、前記検出値の波形データから抽出した2種以上のパラメータを説明変数とし、予め複数の食品の食感のスコアを目的変数とし前記パラメータを説明変数とした重回帰分析で得られた回帰式に、前記パラメータを代入して、前記対象食品の前記食感のスコアの予測値を算出する工程を含むものである。
【0032】
(パラメータ)
波形データから抽出するパラメータとしては、咀嚼頻度に関する頻度パラメータ(I)、咀嚼ピーク面積に関する面積パラメータ(II)、咀嚼ピーク高さに関する高さパラメータ(III)、咀嚼ピーク面積のヒストグラムに関する面積分布パラメータ(IV)、咀嚼時間に関する時間パラメータ(V)、及び咀嚼ピーク高さを咀嚼ピークの継続時間で除した値に関する距離/時間パラメータ(VI)からなる群から選ばれる2種以上であることが好ましい。これらの上位パラメータ(I)~(VI)から1種のみを選択して下位概念の複数のパラメータを重回帰分析に用いることも可能であるが、上位パラメータ(I)~(VI)から2種以上を選択することで、食品の食感をより精度良く評価できるようになる。
【0033】
咀嚼頻度に関する頻度パラメータ(I)としては、テンポ平均値、ピークの平均間隔、咀嚼時間全体の咀嚼回数、咀嚼時間を3等分に分割し、咀嚼開始点に近いほうから順に前期・中期・後期としたときのそれぞれの時間領域内における咀嚼回数などが挙げられ、咀嚼ピーク面積に関する面積パラメータ(II)としては、平均のピーク面積、1ピーク目のピーク面積、咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分に分割し、咀嚼開始点に近いほうから順に前期・中期・後期としたときのそれぞれの時間領域内における総ピーク面積及び平均ピーク面積、前期/後期の総ピーク面積比率及び前期/後期の平均ピーク面積比率、最大ピーク面積などが挙げられ、咀嚼ピーク高さに関する高さパラメータ(III)としては、平均のピーク高さ、1ピーク目のピーク高さ、最大ピーク高さなどがあげられ、咀嚼ピーク面積のヒストグラムに関する面積分布パラメータ(IV)としては、咀嚼ピーク面積のヒストグラムにおける線形尖度及び線形歪度、対数尖度、対数歪度などが挙げられ、時間パラメータ(V)としては、咀嚼開始から咀嚼完了までの全咀嚼時間、咀嚼1回あたりの平均時間などが挙げられる。
【0034】
また、咀嚼ピーク高さを咀嚼ピークの継続時間で除した値に関する距離/時間パラメータ(VI)としては、咀嚼時間全体について各ピークのピーク高さ/ピーク継続時間の平均値、咀嚼時間を3等分に分割し、咀嚼開始点に近いほうから順に前期・中期・後期としたときのそれぞれの時間領域内におけるピーク高さ/ピーク継続時間の平均値などが挙げられる。
【0035】
これらのパラメータのより詳細な定義として、下記のA~Rcを挙げることができる。
A:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期/後期の総ピーク面積比率(前期のピークの面積の合算値/後期のピークの面積の合算値)
B:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期/後期の平均ピーク面積比率(前期のピークの面積の平均値/後期のピークの面積の平均値)
C:咀嚼ピーク面積のヒストグラム(図2B参照)の鋭さを示す線形尖度(咀嚼ピーク面積について、下記式(1)により求めた尖度である。
【0036】
【数1】
【0037】
D:咀嚼ピーク面積のヒストグラム(図2B参照)の非対称性を示す線形歪度(咀嚼ピーク面積について下記式(2)により求めた歪度である。
【0038】
【数2】
【0039】
E:平均のピーク面積(咀嚼開始から咀嚼完了までの各ピークのピーク面積の平均値)
F:テンポ平均値(咀嚼開始から咀嚼完了までの1分あたりの咀嚼回数)
G:1ピーク目のピーク面積(咀嚼1回目のピークの面積)
H:咀嚼開始から咀嚼完了までの咀嚼回数
I:最大ピーク面積(咀嚼開始から咀嚼完了までのピーク面積の最大値)
J:咀嚼1回あたりの時間(咀嚼開始から咀嚼完了までの1ピークあたりの継続時間の平均値)
K:最大ピーク高さ(咀嚼開始から咀嚼完了までのピーク高さの最大値)
L:平均ピーク高さ(咀嚼開始から咀嚼完了までのピーク高さの平均値)
Ma:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期の咀嚼回数
Mb:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの中期の咀嚼回数
Mc:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの後期の咀嚼回数
Na:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期の総ピーク面積
Nb:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの中期の総ピーク面積
Nc:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの後期の総ピーク面積
Oa:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期の平均ピーク面積
Ob:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの中期の平均ピーク面積
Oc:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの後期の平均ピーク面積
Pa:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期のテンポ平均値
Pb:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの中期のテンポ平均値
Pc:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの後期のテンポ平均値
Qa:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期の咀嚼1回あたりの時間の平均値
Qb:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの中期の咀嚼1回あたりの時間の平均値
Qc:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの後期の咀嚼1回あたりの時間の平均値
Ra:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期のピーク高さ/ピーク継続時間の平均値
Rb:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの中期のピーク高さ/ピーク継続時間の平均値
Rc:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの後期のピーク高さ/ピーク継続時間の平均値
【0040】
これらのパラメータA~Rcを、上位パラメータ(I)~(VI)毎に分類すると表1Aのようになる。パラメータMa~Rcは、前期・中期・後期に対応したパラメータを個別に使用するものであり、これらを個別で使用することにより、食品の食感をより精度良く評価できる場合がある。
【0041】
【表1A】
【0042】
本発明では、複数の被験者のスコアとパラメータを使用して重回帰分析を実施する場合、前記複数の被験者の間で前記パラメータの差を少なくするために、複数の食品のうち何れかの食品の何れかのパラメータを全ての被験者で同じ基準値とし、これを基準として、他の食品の同じパラメータについては、基準となる前記食品のパラメータに対する相対値を前記説明変数として用いることが好ましい。この方法により、被験者間の個人差を低減できるだけでなく、複数日に分けて測定する場合に、個人の中での測定誤差を低減することができる。
【0043】
(食品の食感)
評価する食品の食感としては、ヒト(被験者)が咀嚼中に感じる食感であればよく、かたさ、弾力、歯への付着性、舌への付着感、かみきりやすさ、くちどけの良さ、噛みしめ度(前半)、及び、噛みしめ度(後半)、もちもち感、ジューシー感、みずみずしさ、くちどけ、サクサク感、ザクザク感、こりこり感、クリスピー感、歯切れの良さ、噛み応え、ハリ、コシ、シャキシャキ感、繊維感、果肉感、粘り、ぬめり、濃厚感、なめらかさ、クリーミー感、プルプル感、プチプチ感、パリパリ感、ふんわり感、粒々感、油脂感、やみつき感、ほろほろ感、ぱらぱら感、ほくほく感、及びまとまりやすさからなる群から選ばれる1種以上であることができる。咀嚼挙動測定装置を用いる本発明により、特に精度良く評価できる食感としては、かたさ、弾力、歯への付着性、かみきりやすさ、くちどけの良さ、噛みしめ度(前半)、噛みしめ度(後半)、及びまとまりやすさが挙げられる。
【0044】
食品の食感を評価するにあたり、実施例1の表2Aや実施例9の表22に示すような、基準を用いることができる。このような基準は、重回帰分析において、食感のスコアを官能評価により定量化する際にも用いることができる。つまり、本発明では、食感のスコアを官能評価により定量化し、重回帰分析で決定した回帰式により、食感のスコアの予測値を算出することで、食品の食感を評価することができる。
【0045】
そして、後述する各実施例の標準化係数の絶対値が大きいパラメータ上位3つを選択し、上位3つが属する上位パラメータを全て列挙すると、表1Bのようになる。つまり、この表は、重回帰分析に用いるパラメータとして、どの上位パラメータに属するパラメータを選択すれば、食品の食感をより精度良く評価できるかの指標となるものであり、各食感に対して、表中の上位パラメータに属するパラメータを選択することが好ましい。
【0046】
【表1B】
【0047】
(重回帰分析)
重回帰分析は、予め複数種の食品の食感のスコアを目的変数とし、算出に使用するパラメータを説明変数として回帰式を得るものである。重回帰分析の対象とする食品の種類としては、5~120種が好ましく、10~80種がより好ましく、15~60種が更に好ましい。
【0048】
重回帰分析に用いるパラメータの数としては、2種以上であればよいが、食感の種類によっては、パラメータの数が多いほうが好ましい場合がある。また、測定時間の短縮、データ処理の簡素化の観点からは、パラメータの数が少ないほど好ましい。従って、パラメータの数としては、2~12が好ましく、2~7がより好ましい。
【0049】
具体的には、重回帰分析として、予め、複数の食品の前記食感を官能評価により定量化したスコアを得る工程と、前記咀嚼挙動測定装置を用いて、被験者が前記食品を咀嚼する際の顎の動きに応じた検出値を経時的に測定する工程と、前記検出値の波形データから抽出した2種以上のパラメータを説明変数として用い、前記食感のスコアを目的変数とする重回帰分析を行なって前記回帰式を得る工程と、を含むことが好ましい。
【0050】
重回帰分析のための検出値の測定は、評価のための測定工程と同じ条件であることが好ましく、被験者も同じであることが好ましい。但し、重回帰分析において、より多くの被験者の波形データを用いることで、一部の被験者の欠落又は相違を許容でき、本発明による食感評価を好適に行なうことが可能となる。
【0051】
食感のスコアを官能評価により定量化する方法としては、数値尺度(1~9点など)を用いた採点法、線尺度を用いたラインスケール法やVAS(Visual Analog Scale)法、SD(Semantic Differential)法、QDA(Quantitative Descriptive Analysis)法、TI(Time Intensity)法などが挙げられる。中でも、程度に応じて連続的にスコアを決定できるラインスケール法が好ましい。
【0052】
重回帰分析では、説明変数の偏回帰係数を含む回帰式だけでなく、説明変数の標準化係数、回帰変動と残差変動の分散分析から求められる確率値、回帰式の重相関係数R、自由度調整済R、予測値と実測値の差異を示す残差を得ることが可能である。また、回帰式の有効性を回帰変動と残差変動の分散分析から求められる確率値により、回帰式の精度を自由度調整済Rにより求めることができ、残差の正規性をShapiro-Wilk検定(SW検定)やKolmogorov-Smirnov検定(KS検定)により評価することができる。
【0053】
これらを指標として、食品の食感、および抽出するパラメータの組合せを選択することで、食品の食感をより精度良く評価できるようになる。具体的には、例えば、自由度調整済Rが0.5以上となる組合せ、回帰変動と残差変動の分散分析から求められる確率値が0.05以下、残差の正規性を示すSW検定において正規性ありと判定される組合せを選択することができる。
【0054】
(回帰式)
一般的に、重回帰分析で得られる回帰式(重回帰式)では、目的変数が(偏回帰係数×説明変数)の総和に切片を加えた式、即ち、目的変数=Σ(偏回帰係数×説明変数)+切片で表される。
【0055】
このような回帰式は、例えばIBM SPSS Statistics(IBM社)、jmp(SAS社)、R(R Development Core Team)、College Analysis(福山平成大学)、マイクロソフト社のエクセル(登録商標)の分析ツールの回帰分析機能等を用いて、重回帰分析を行なうことにより、決定することができる。
【0056】
また、回帰式の偏回帰係数から標準化係数を求めて、その絶対値の大きさから、各々のパラメータの寄与度を知ることができる。
【0057】
(予測値の算出)
目的変数である食感のスコアについて得られた上記の回帰式に、説明変数である2種以上のパラメータを代入することで、食感のスコアの予測値を算出することができる。これにより、対象食品の食感を評価することができる。
【0058】
つまり、算出したスコアの予測値は、その算出に用いた回帰式の信頼性(確率値や自由度調整済重相関係数の値)により、評価の精度が変化するものであり、本発明では信頼性の高い食感とパラメータの組合せを選択することで、より高い精度で食品の食感を評価することができる。
【0059】
(予備的重回帰分析)
さらに、本発明では、前記説明変数の数を少なくするために、予め食感のスコアを目的変数とし前記検出値の波形データから抽出したパラメータを説明変数とした予備的重回帰分析を行なって、得られる回帰式の標準化係数に基づいて、前記予備的重回帰分析に用いた説明変数より少ない数の前記説明変数を選択することも可能である。これにより、食感の評価の精度を維持しながら、測定時間を短縮しつつ、データ処理の簡素化を行なうことができる。
【0060】
予備的重回帰分析における重回帰分析そのものは、前述した重回帰分析と同様に実施することができる。異なる点は、用いるパラメータの数と種類のみである。つまり、予備的重回帰分析を経て実施される重回帰分析には、回帰式の標準化係数の絶対値がより大きいものだけが説明変数として用いられる。
【0061】
(ステップワイズ法による重回帰分析)
上記のように予備的重回帰分析を用いて、より少ない数の説明変数を選択する代わりに、ステップワイズ法による重回帰分析を行なって、より少ない数の説明変数による回帰式を作成し、これを利用して2種以上のパラメータ値(説明変数)を代入することで、食感のスコアの予測値を算出することも可能である。
【0062】
前述した統計解析ソフト(例えば、College Analysis ver.6.7)には、自動的に最適な説明変数の組み合わせを抽出するステップワイズ法の機能を有しており、このような機能(ステップワイズ法)を使用することにより、各食感について2~3程度の説明変数を抽出することができる。ステップワイズ法には、変数増減法、変数増加法、変数減少法などの手法があり、偏回帰係数の検定確率(または検定値)や赤池情報量基準(AIC)などの数値を基準に変数が選別、決定される。これと同時に、偏回帰係数と切片も算出され、食感のスコアの予測値を算出するための回帰式を得ることができる。このようなステップワイズ法による重回帰分析を利用することで、自動的により適切な説明変数を抽出することができ、波形データから抽出するパラメータの数を少なくして、より効率的に食品の食感を評価することができる。
【実施例0063】
以下、実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0064】
実施例1
(咀嚼挙動測定装置)
咀嚼挙動測定装置としては、シャープ社製のbitescan(登録商標)(製品名BH-BS1RR)を用いた。この装置は、近赤外線距離センサにより顎の動きに応じた下顎骨の表面の皮膚との距離を検出でき、咀嚼回数や咀嚼テンポが測定可能である。また、スマートフォンのアプリでリアルタイムのデータが確認可能で、測定の生データを検出値の波形データとして取り出すことができる。なお、3軸加速度センサにより、姿勢や動作を測定可能であり、今回はこの機能は使用していないが、これを用いて測定した結果から抽出したパラメータを使用することも可能である。
【0065】
(波形データ)
上記の咀嚼挙動測定装置で得られた波形データの例を図1A図1Cに示す。図1Aは、市販のガムを咀嚼した時の波形データの例であり、図1Bは、市販のソフトキャンディを咀嚼した時の波形データの例であり、図1Cは、市販のグミキャンディを咀嚼した時の波形データの例である。これらの図で、1つのピークの波形が咀嚼1回の波形に対応しており、咀嚼回数に対応して、複数のピークの波形が、ある程度一定のテンポで存在していることが分かる。また、個々の波形のピーク面積が咀嚼中において変化していることが分かる。
【0066】
図1A図1Bに示すように、ガム、ソフトキャンディでは、一定のテンポで咀嚼し、咀嚼回数も多いのに対して、図1Cに示すように、グミキャンディでは、咀嚼が不規則で、咀嚼回数も少ない。従って、bitescanにより食感の異なる食品摂食時の咀嚼動作の違いを測定することができるといえる。
【0067】
(パラメータの抽出)
パラメータを抽出するにあたり、図2Aに示すように、波形データの咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分け、また図2Bに示すように、各々のピークについて、咀嚼ピーク面積に基づき一定の区分ごとに頻度をカウントしてヒストグラムを作成した。これらに基づいて、測定で得られた波形データから、重回帰分析の説明変数として用いるパラメータを抽出した。具体的には、下記のA~Gのパラメータを抽出した。
A:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期/後期の総ピーク面積比率(前期のピークの面積の合算値/後期のピークの面積の合算値)
B:咀嚼開始から咀嚼完了までの時間を3等分して前期・中期・後期に分けたときの前期/後期の平均ピーク面積比率(前期のピークの面積の平均値/後期のピークの面積の平均値)
C:咀嚼ピーク面積の分布から前記式(1)を用いて算出される線形尖度
D:咀嚼ピーク面積分布から前記式(2)を用いて算出される線形歪度
E:平均のピーク面積(咀嚼開始から咀嚼完了までの各ピークのピーク面積の平均値)
F:テンポ平均値(咀嚼開始から咀嚼完了までの1分あたりの咀嚼回数)
G:1ピーク目のピーク面積(咀嚼1回目のピークの面積)
なお、上記のE,F,Gについては、被験者間の差を少なくするため、全ての被験者についてガムを30回咀嚼した際の値を1としたときの相対値を、他の食品のパラメータとして算出した。但し、Gについては、ガムのE:平均のピーク面積で除した値を、全ての食品のパラメータとして算出した。
【0068】
(食感の官能評価)
表2Bに示す19食品について、ラインスケール法により、表2Aに示す食感の官能評価を行ない、重回帰分析の目的変数となる食感のスコアを決定した。具体的には、100mmの線上の右端を最大、左端を最小とし、表2Aに示す8項目の食感について、その定義に基づいて、被験者が任意の場所に印をつけ、左端からの距離を官能評価のスコア(食感のスコア)として用いた。このとき、被験者は、訓練されたパネル7名(20代~40代の男性5名、女性2名)とし、対象となる食品として、表2Bに示す19食品(重量、形状、サイズは表2Cの通りである)を用い、摂食方法は自由摂食とした。なお、食感の用語及び定義は、被験者間で言葉出しと話し合いを行い決定した。また、評価尺度についても被験者間で擦り合わせを行った後、評価を実施した。
【0069】
【表2A】
【0070】
(重回帰分析)
19食品に対する官能評価により得られたスコアを目的変数とし、19食品(重量、形状、サイズは表2Cの通りである)に対して測定した波形データから抽出したパラメータA~Gを説明変数とし、統計解析ソフトCollege Analysis ver.6.7を用いて、重回帰分析を実施した。その結果のうち、目的変数が「かみきりやすさ」のスコアである場合について、各々の食品について各々の説明変数の値を表2Bに示す。ここで、目的変数と説明変数は、7名の被験者の平均値である。
【0071】
【表2B】
【0072】
【表2C】
【0073】
重回帰分析を実施した結果、得られた偏回帰係数から下記の回帰式が得られた。
かみきりやすさ=49.5A+9.1B-17.6C+47.4D-298.4E-190.5F+66.6G+383.6
また、その際に求めた標準化係数を偏回帰係数と共に表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
表3の結果より、C、D、Eの寄与が比較的大きいことが分かる(重回帰分析においては、標準化係数の絶対値が大きいほど、寄与が大きい)。また、重回帰分析による重相関係数Rは0.838であり、自由度調整済Rは0.715であった。ここで、自由度が大きくなると回帰で表される変動も大きくなるため、自由度の大きさを調整したものが自由度調整済み決定係数Rであり、その平方根が調整済Rとなる。
【0076】
一方、「かみきりやすさ」以外の食感についても、得られた偏回帰係数から回帰式が得られ、その回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを表4Aに示す。その際の19食品に対する官能評価の結果を表4Bに示す。
【0077】
【表4A】
【0078】
【表4B】
【0079】
表4Aの結果が示すように、弾力、かみきりやすさ、くちどけの良さ、噛みしめ度(前半)、及び、噛みしめ度(後半)については、確率値が小さく、回帰式の有効性が認められ、調整済Rも0.68以上であった。ここで、確率値は、回帰変動と残差変動の分散比を分散分析することにより求め(以下同様)、確率値が0.05以下である場合回帰式の有効性を〇、0.05を超えるときに×とした(以下同様)。このように、回帰式の有効性が認められる食感については、官能評価を行なうことなく、食品の食感を精度良く評価(予測)することができる。
【0080】
7名平均値のパラメータで、8項目の食感について、どのパラメータの寄与が大きいか調べた。その結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】
表5の結果が示すように、食感によって、寄与の大きいパラメータが異なっていることが分かる。重回帰分析においては、標準化係数の絶対値が大きいほど、寄与が大きいパラメータであるといえる。
【0083】
実施例2(被験者aのみの場合)
(重回帰分析)
実施例1において、被験者aのみで咀嚼挙動測定装置による測定を行ない、得られた波形データからパラメータを抽出したこと以外は実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。その結果のうち、目的変数が「かみきりやすさ」のスコアである場合について、各々の食品について各々の説明変数の値を表6に示す。
【0084】
【表6】
【0085】
また、得られた偏回帰係数から得られた回帰式は次の通りであった。
かみきりやすさ=-1.1A-89.6B-25.4C+56.8D-313.4E-16.4F-7.1G+447.8
また、その際に求めた標準化係数を偏回帰係数と共に表7に示す。
【0086】
【表7】
【0087】
表7の結果より、7人の平均値を用いた場合と同様に、C、D、Eの寄与が比較的大きいことが分かる。また、重回帰分析による重相関係数Rは0.818であり、調整済みのRは0.678であった。また、回帰式に対する確率値は0.042であり、回帰式の有効性が認められた。
【0088】
従って、1人だけの被験者で咀嚼挙動測定装置による測定を行なって重回帰分析を実施した場合でも、回帰式の有効性が認められる食感については、食品の食感を精度良く評価することができる。
【0089】
実施例3(被験者bのみの場合)
(重回帰分析)
実施例1において、被験者bのみで咀嚼挙動測定装置による測定を行ない、得られた波形データからパラメータを抽出したこと以外は実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。その結果のうち、目的変数が「かみきりやすさ」のスコアである場合について、各々の食品について各々の説明変数の値を表8に示す。
【0090】
【表8】
【0091】
また、得られた偏回帰係数から得られた回帰式は次の通りであった。
かみきりやすさ=37.6A+81.9B+6.2C-12.5D+34E-9.7F-65.3G-66.1
また、その際に求めた標準化係数を偏回帰係数と共に表9に示す。
【0092】
【表9】
【0093】
表9の結果より、7人の平均値を用いた場合と異なり、A、B、Gの寄与が比較的大きいことが分かる。また、重回帰分析による重相関係数Rは0.902であり、調整済みのRは0.833であった。
【0094】
一方、「かみきりやすさ」以外の食感についても、得られた偏回帰係数から回帰式が得られ、その回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを、7名の平均値を用いた場合(実施例1)と併せて表10に示す。
【0095】
【表10】
【0096】
表10の結果が示すように、被験者bの場合、かたさ、弾力、歯への付着性、かみきりやすさ、くちどけの良さ、噛みしめ度(前半)、及び、噛みしめ度(後半)については、確率値が小さく回帰式の有効性が認められ、調整済Rも0.66以上であった。このように、7人の平均値を用いなくとも、回帰式の有効性が認められる食感については、官能評価を行なうことなく、食品の食感を精度良く評価(予測)することができる。
【0097】
比較例1(物性測定による評価)
テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製、品番TA-XT2i)を用いて、実施例1で用いた19種の食品試料の破断応力、破断歪を測定し、官能評価のスコアとの相関性を確認した。その際、測定条件(押込み試験、貫通)としては、プローブ径:φ3mm、圧縮速度:10mm/s、測定温度:20℃とした。また、相関性の確認は、破断応力、又は破断歪を説明変数とする単回帰分析により実施した。
【0098】
その結果得られた各々の食感のスコアに対する物性値の相関係数を表11に示す。
【0099】
【表11】
【0100】
表11の結果が示すように、実施例1~3と比較して、比較例1における官能評価と物性値との相関性は共に低かった。このため、本発明の食品の食感評価方法が、物性測定による食感評価方法より精度が高いことが分かる。
【0101】
実施例4(パラメータ数が2の場合)
実施例1において、表5に基づいて寄与の大きい(標準化係数の絶対値が大きい)順にパラメータを2つに限定して、重回帰分析を行なうこと以外は実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。その結果得られた回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを、パラメータ数が7の場合(実施例1)と併せて表12に示す。
【0102】
【表12】
【0103】
表12の結果が示すように、パラメータ数が2の場合、かたさ、歯への付着性、舌への付着感について、回帰式の有効性が認められ、パラメータ数が7の場合(実施例1)だけでなく、パラメータ数が2の場合でも、食品の食感を精度良く評価し得ることが分かる。ここで、残差の正規性は、有意水準を0.05としたSW検定により、正規性ありと判定されたときに〇、正規性なしであると判定されたとき×とした(以下同様)。特に、予め、より多数のパラメータを用いて重回帰分析を行ない、それらのパラメータの中から寄与の大きいパラメータを選択することで、より少ないパラメータでも食品の食感を精度良く評価できることが分かる。
【0104】
実施例5(パラメータ数が3の場合)
実施例1において、表5に基づいて寄与の大きい(標準化係数の絶対値が大きい)順にパラメータを3つに限定して、重回帰分析を行なうこと以外は実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。その結果得られた回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを、パラメータ数が7の場合(実施例1)と併せて表13に示す。
【0105】
【表13】
【0106】
表13の結果が示すように、パラメータ数が3の場合、かたさ、歯への付着性、舌への付着感について、回帰式の有効性が認められ、パラメータ数が7の場合(実施例1)だけでなくパラメータ数が3の場合でも、食品の食感を精度良く評価し得ることが分かる。特に、予め、より多数のパラメータを用いて重回帰分析を行ない、それらのパラメータの中から寄与の大きいパラメータを選択することで、より少ないパラメータでも食品の食感を精度良く評価できることが分かる。
【0107】
実施例6(パラメータ数が5の場合)
実施例1において、表5に基づいて寄与の大きい(標準化係数の絶対値が大きい)順にパラメータを5つに限定して、重回帰分析を行なうこと以外は実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。その際、パラメータ数が2又は3では回帰式の有効性が低かった「かみきりやすさ」のみを重回帰分析の対象とした。その結果得られた回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを表14に示す。
【0108】
【表14】
【0109】
表14の結果が示すように、パラメータ数が5の場合、パラメータ数が2又は3の場合(実施例4又は5)に比べて、「かみきりやすさ」について、回帰式に対する確率値が低下し、回帰式の有効性が認めらており、パラメータ数を増やすことが有効な食感が存在することが分かる。このような食感に対しては、パラメータ数をより大きくすることで、食品の食感を精度良く評価できるようになる。
【0110】
比較例2(単回帰分析の場合)
実施例1において、重回帰分析を行なう代わりに、各パラメータA~Gを説明変数とする単回帰分析を行なって回帰式を作成し、相関係数を求めたこと以外は、実施例1と同じ条件で、回帰分析を実施した。その結果得られた各々のパラメータの食感のスコアに対する相関係数を、実施例1で得られた調整済Rと共に、表15に示す。
【0111】
【表15】
【0112】
表15の結果が示すように、実施例1の調整済Rと比較して、比較例2における官能評価と各パラメータとの相関性が低く(合計56の組合せ中、52が低い)、このため、本発明の食品の食感評価方法が、単回帰分析による食感評価方法より大幅に精度が高いことが分かる。
【0113】
実施例7(パラメータH~Lを用いる場合)
実施例1において、パラメータA~Gを用いる代わりに、下記のパラメータH~Lを用いて、重回帰分析を行なうこと以外は、実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。なお、表16には、各食品(重量、形状、サイズは表2Cの通りである)に対して抽出した各パラメータの値(7名の平均値)を示している。その結果得られた、各々のパラメータの食感のスコアに対する標準化係数を表17に、回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを表18に示す。
H:咀嚼開始から咀嚼完了までの咀嚼回数
I:最大ピーク面積(咀嚼開始から咀嚼完了までのピーク面積の最大値)
J:咀嚼1回あたりの時間(咀嚼開始から咀嚼完了までの1ピークあたりの継続時間の平均値)
K:最大ピーク高さ(咀嚼開始から咀嚼完了までのピーク高さの最大値)
L:平均ピーク高さ(咀嚼開始から咀嚼完了までのピーク高さの平均値)
なお、上記のI,J,K,Lについては、被験者間の差を少なくするため、全ての被験者についてガムの値を1としたときの相対値を、他の食品のパラメータとして算出した。
【0114】
【表16】
【0115】
【表17】
【0116】
【表18】
【0117】
表18の結果が示すように、パラメータA~Gを用いた場合(実施例1)に比べて、かたさ、歯への付着性について、回帰式に対する確率値が低下し、回帰式の有効性が認められた。舌への付着感についても、調整済Rがより大きくなっていることが分かる。
【0118】
実施例8(パラメータA~Lを用いる場合)
実施例1において、パラメータA~Gを用いる代わりに、パラメータH~Lを加えたパラメータA~Lを用いて、重回帰分析を行なうこと以外は、実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。なお、各食品に対して抽出した各パラメータA~Gの値(7名の平均値)は、表2Bに示した通りである。その結果得られた、各々のパラメータの食感のスコアに対する標準化係数を表19に、回帰式に対する残差の正規性、確率値、回帰式の有効性、重相関係数R、調整済Rを表20に示す。
【0119】
【表19】
【0120】
【表20】
【0121】
表20の結果が示すように、パラメータA~Gを用いた場合(実施例1)に比べて、同等の結果が得られていることが分かる。
【0122】
比較例3(単回帰分析の場合)
実施例7において、重回帰分析を行なう代わりに、各パラメータH~Lを説明変数とする単回帰分析を行なって回帰式を作成し、相関係数を求めたこと以外は、実施例7と同じ条件で、回帰分析を実施した。その結果得られた各々のパラメータの食感のスコアに対する相関係数を、実施例7で得られた調整済Rと共に、表21に示す。
【0123】
【表21】
【0124】
表21の結果が示すように、実施例7の調整済Rと比較して、比較例3における官能評価と各パラメータとの相関性が低く(合計40の組合せ中、40が低い)、このため、本発明の食品の食感評価方法が、単回帰分析による食感評価方法より大幅に精度が高いことが分かる。
【0125】
実施例9(舌で押しつぶす食品の食感評価)
実施例1において、以下の点を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、表23に示すような、舌での押しつぶしで摂食可能な食品について、予め食感(舌への付着感、くちどけの良さ、及びまとまりやすさ)を官能評価した上で、bitescan測定を行ない、食品の食感のスコアを目的変数とし、抽出したパラメータを説明変数とした重回帰分析を行なって回帰式を作成し、その有効性を検討した。
【0126】
即ち、bitescan測定については、被験者を20代~30代の4名(男性3名、女性1名)とし、各食品から試料10g±0.5gに切り出し、舌で15回押しつぶして摂食するよう指示した。また、官能評価については、被験者を前記と同じ20代~30代の4名(男性3名、女性1名)とし、実施例1と同じラインスケール法を用いて、表22の食感の定義に基づいて評価した。表23には、目的変数である各食品の食感のスコアを併せて示す。
【0127】
【表22】
【0128】
【表23】
【0129】
表24には、重回帰分析に使用するパラメータA~G(説明変数)を示すが、パラメータA~Gの抽出方法は実施例1と同じである。
【0130】
【表24】
【0131】
なお、本実施例では、実施例1と同様に予備的重回帰分析(パラメータA~Gすべてを使用した回帰式作成)を行った後に、表25に示すような寄与の高いパラメータを3または4つ選択して、更に重回帰分析を行った。その上で、得られた偏回帰係数と切片を含む回帰式を作成し、回帰式の有効性等を検討した。その結果を表26に示す。
【0132】
【表25】
【0133】
【表26】
【0134】
表26に示すように、何れの食感についても、確率値が小さく、回帰式の有効性が認められ、調整済Rも0.90以上であった。このように、回帰式の有効性が認められる食感については、官能評価を行なうことなく、食品の食感を精度良く評価(予測)することができる。従って、舌で押しつぶす食品についても、食品の食感を精度良く評価できることが確認できた。
【0135】
実施例10(パラメータMa~Rcを用いる場合)
実施例1において、式作成のための食品と食感を表27に示すものとし、bitescan測定と官能評価における被験者は同じ1名(30代男性)とし、パラメータMa~Rcを用いて、各食感について変数増減法による重回帰分析を行なうこと以外は、実施例1と同じ方法により、重回帰分析を実施した。表27には、目的変数である各食品の食感のスコアを併せて示す。表28には、パラメータMa~Rcの概要を示してあり、各食品に対して抽出した各パラメータMa~Rcの値を表29に示した。なお、Na~Rcはガムを30回咀嚼した際の値を1としたときの相対値を算出した。
【0136】
【表27】
【0137】
【表28】
【0138】
【表29】
【0139】
統計解析ソフトCollege Analysis ver.6.7には、自動的に最適な説明変数の組み合わせを抽出する変数増減法の機能を有しており、このような機能(変数増減法)を使用することにより、各食感について2または3つの説明変数が抽出された。これを偏回帰係数と標準化係数と共に表30に示す。
【0140】
【表30】
【0141】
その結果から、各食感について、下記の回帰式(予測式)を得ることができた。
かみきりやすさ=-68.1Na+94.3Ra-14.9
くちどけの良さ=81.7Ra-1.6Mc-125.3Rc+82.9
これらの回帰式の有効性等を検討した結果を表31に示す。
【0142】
【表31】
【0143】
表31に示すように、何れの食感についても、確率値が小さく、回帰式の有効性が認められ、調整済Rも高い値であった。
【0144】
実施例11(実施例10の回帰式を用いた未知食品の予測)
実施例10の回帰式の有効性等から、これを用いて食品の食感を精度良く評価できることが、当業者に認識可能であるが、これを確認するために、表32に示す未知試料について、食感の予測を行なって、実測値との差を確認した。具体的には、実施例10と同じ方法で、bitescan測定を行ない、パラメータNa、Ra、Mc、Rcを抽出し、実施例10の回帰式に代入して、未知食品の食感のスコアの予測値を算出した。その際、パラメータNa、Ra、Mc、Rcを抽出した結果を表33に示す。また、実測値と予測値との関係を図3A図3Bに示した。
【0145】
【表32】
【0146】
【表33】
【0147】
図3A図3Bの結果が示すように、未知食品の食感(かみきりやすさ、くちどけの良さ)について、実測値と予測値との間に高い相関関係があることが示され、回帰式の有効性等から予測されるように、本発明の効果が確認できた。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B