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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066188
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】改善されたコンデンサシール
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/10 20060101AFI20220421BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H01G9/10 D
H01G9/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021170157
(22)【出願日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】63/092,593
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517094840
【氏名又は名称】ソーラーエッジ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ラング
(72)【発明者】
【氏名】ロニット ロム
(72)【発明者】
【氏名】ブリョン ゴンベルグ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キャニスタ及び蓋を使用して電解質を閉じ込め、使用中に電解質が蒸発するのを防ぐことができ、シールの表面積を増加させることによって、キャニスタと蓋との間のシールを改善する電解コンデンサを提供する。
【解決手段】電解コンデンサにおいて、コンデンサシール110、120、130、140、150又は160の表面積は、キャニスタ111の縁114の形状及び/又は厚さを変更することによって増加させることができる。シールの表面積は、蓋116のエラストマ層113、132の形状を変更することによって及び/又は蓋の周囲に環状隆起を追加することによって、増加させることができる。シールの表面積は、コンデンサのシール中に縁を形成するためのプロセスを変更することによって変更することができる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
縁を含むキャニスタと、
蓋の一方の面上にエラストマコーティングを含む前記蓋と、を備え、前記縁と前記エラストマコーティングとの間の接触面積が、式2πrt-πtによって計算された面積よりも大きく、rが前記キャニスタの半径を表し、tが前記キャニスタの厚さを表す、コンデンサ。
【請求項2】
前記キャニスタが、基部と、円筒形外殻と、をさらに含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記縁が、前記基部の厚さまたは前記円筒形外殻の厚さよりも大きい厚さを含む、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記接触面積が、前記計算された面積よりも少なくとも5%大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記縁が折り畳まれている、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記縁が圧延されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記接触面積を増加させるために前記縁が波形になっている、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記縁と前記蓋との間の角度が45度である、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記縁と前記蓋との間の角度が10度~80度である、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記縁と前記蓋との間の角度が30度~60度である、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記キャニスタがアルミニウム材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記コンデンサの定格が、125ボルト~600ボルトである、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記コンデンサが、0.5ミリファラッド~5ミリファラッドの静電容量を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項14】
コンデンサキャニスタであって、
基部と、
前記基部の周囲上で前記基部に接続された円筒面と、
環状縁と、を含み、
前記環状縁の厚さが、前記円筒面の厚さよりも大きい、コンデンサキャニスタ。
【請求項15】
前記環状縁が、前記基部とは反対側の端部上にある、請求項14に記載のコンデンサキャニスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気部品および電気部品を含むデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサには、(アノードおよびカソードなどの導電性電極の平行板上の電荷などの)電気エネルギーを蓄積する電気部品が含まれる。電極は、セパレータ紙、誘電体層、または電解質材料によって分離することができる。電極およびセパレータのシートは、電解コンデンサの内部要素を形成するために、様々な形状に詰められるか、折り畳まれるか、または圧延され得る。内部要素は、蓋で閉じられたキャニスタなどのケースの内部空洞に詰められるか、または密封された筐体もしくはパウチに詰められ得る。内部要素はまた、コンデンサのケースを横切る端子に電極を電気的に接続するように構成されたタブを含み得る。
【発明の概要】
【0003】
以下の概要は、例示のみを目的とした本発明の概念のいくつかの短い概要であって、広範な概要ではなく、かつ主要または重要な要素を特定したり、本発明および詳細な説明における実施例を制限または制約したりすることを意図したものではない。当業者は、発明を実施するための形態から他の新規の組み合わせおよび特徴を認識するであろう。
【0004】
コンデンサを製造するための方法が本明細書に記載され得、本方法は、キャニスタと蓋との間に厚いシール界面を提供し得る。コンデンサキャニスタは、キャニスタの本体よりも厚い材料を有するキャニスタの環状縁で事前に作製され得る。キャニスタは円筒形を有し得るので、キャニスタの縁は、キャニスタ外殻を取り囲む環状縁を、キャニスタ基部の反対側に形成し得る。コンデンサキャニスタは、コンデンサキャニスタの機械的完全性のためにのみ設計されたキャニスタ厚さを超え得るキャニスタ厚さを伴って形成することができる。例えば、電解コンデンサは、キャニスタの機械的完全性に対応するように構成された場合、0.1ミリメートル~0.4ミリメートル(mm)の間のキャニスタ厚さを含み得るが、強化されたシールコンデンサには、0.4mm~5.0mmの増加した厚さが使用され得る。形成方法を使用して、キャニスタの本体よりも10%~1000%厚い環状縁を伴うコンデンサキャニスタを作成することができる。絞り加工および成形を組み合わせた方法を使用して、コンデンサキャニスタを作成することができる。
【0005】
本方法は、蓋との接触面積を増加させるためにキャニスタ縁を予備形成することを含み得る。例えば、キャニスタの縁が蓋に向かって圧延されるリップのシールに加えて、シールの前の予備形成ステップは、縁を圧延するかまたは折り畳んで、キャニスタの縁と蓋との間のシール接触面積を増加させることができる。例えば、コンデンサキャニスタの縁は、コンデンサキャニスタの円筒軸に向かってカールするようにリップで予備形成され得る。別の例では、コンデンサキャニスタの縁は、コンデンサキャニスタの円筒軸から離れて、外側にカールするように予備形成され得る。コンデンサキャニスタの縁は、縁の厚さを増加させるために1回以上折り畳むことができる。例えば、コンデンサキャニスタの縁は、縁の厚さを増加させるために1回以上(内側または外側に)圧延されることができる。
【0006】
本方法は、(他の既知の方法で使用されるキャニスタの厚さよりも厚いなどの)予備形成前のコンデンサキャニスタ縁よりも厚い予備形成された縁を含むコンデンサキャニスタを作り出すことができる。コンデンサキャニスタは、(コンデンサの蓋に付着したエラストマに対するシールを形成するために使用される場合などに)縁の表面積を増加させるために加工または予備形成された縁を含み得る。蓋は、コンデンサキャニスタを密封するために縁が蓋に向かってカールしているときに、キャニスタの縁に対して反力を提供するための剛性の基部を含み得る。蓋に対するキャニスタ縁の圧縮は、密封する前にキャニスタ縁とは反対の方向に向けることができる。例えば、シール後の縁は、円筒形キャニスタの対向する平坦な縁(キャニスタ基部)に向けられる。例えば、円筒形キャニスタは、平坦な基部と、平坦な基部に対向する開口部を伴う円筒形外殻とを含み得る。蓋を開口部の上に置き、キャニスタの端を平坦な基部に向かって後方に曲げることができる。したがって、縁は蓋を所定の位置に固定することができ、剛性の基部を覆うエラストマは、縁と蓋の剛性の基部との間に圧縮シールを形成することができる。
【0007】
本方法は、計算された寿命を伴うシールを形成するのに十分なエラストマに対するキャニスタの縁の表面積を計算することを含み得る。本方法は、圧縮エラストマシールを介した拡散モデルを使用して、コンデンサの所望の寿命、エラストマ特性、使用される電解質、または動作条件(電流、電圧、温度など)に基づいて必要な表面積を計算することができる。使用例と作業仕様により、縁と蓋との間のインターフェースの必要最小表面積を決定することができる。サイズ、形状、縁の厚さなどによって、製造方法を本書に記載されているもの(縁の折り畳み、圧延、波形形成、または打抜きなど)から決定することができる。
【0008】
前述したように、この概要は、本書に記載の態様および特徴のいくつかの概要にすぎない。それは網羅的ではなく、請求項を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の特定の特徴、態様、および利点は、以下の説明、特許請求の範囲、および図面に関連してよりよく理解されるであろう。本開示は、例として示されており、添付の図によって限定されるものではない。図面において、同様の数字は類似の要素を参照する。
【0010】
図1A】縁表面積が増加した例示的なコンデンサの断面図を示す。
図1B】予備形成により縁表面積を増加させるための6つの例示的なシール技術の断面図を示す。
図1C】縁表面積を増加させるための例示的なシール技術を示す。
図1D】縁表面積を増加させるための例示的なシール技術を伴うキャニスタの断面図を示す。
図1E】縁表面積を増加させるための例示的な蓋を示す。
図1F】縁表面積を増加させるための例示的なシール技術を示す。
図1G】縁表面積を増加させるための隆起を含む例示的な蓋を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される場合、絶縁層、コーティング、テープ、フィルム、および被覆という用語は、タブおよびタブに隣接する電極の領域を被覆する絶縁材料の層を意味するために交換可能に使用され得る。ケースという用語は、キャニスタ/パウチ、キャップ/シール、または筐体を指すために使用され得る。
【0012】
コンデンサキャニスタは、ブランクに深絞り法を使用して、円筒形外殻および外殻の一端に平坦な基部を作り出して製造される。外殻の他端は、環状縁を含み、内部部品をキャニスタの内部空洞に装填することを可能にする。キャニスタに内部部品が装填された後。電極リード線には蓋が取り付けられており、キャニスタの開放端に配置されている。任意選択で、内部部品を装填する前に、蓋が取り付けられる。キャニスタ外殻には、キャニスタの内部空洞の高さを設定し、蓋が内部部品に影響を与えることを防ぐための溝が形成されている。溝は、コンデンサの蓋をシールするための反力を提供する。コンデンサキャニスタは、キャニスタの縁をキャニスタの中心軸に向かって圧延し、ついで蓋の上に(基部に向かってなど)下ろすことによってシールされる。蓋は、剛性の基部と、コンデンサの外側に面するエラストマコーティングとを含む。キャニスタの縁を圧延して蓋を押すと、縁とエラストマを圧縮する剛性基部との間にシールが形成される。
【0013】
本明細書には、シールの完全性を高める、ひいてはコンデンサの寿命を延ばす技術的解決策が記載されている。例えば、コンデンサキャニスタの縁の厚さを20~300%増加させて、シールの完全性を高めることができる。例えば、キャニスタの縁と蓋との間の角度は、90度よりも小さいかまたは大きい10~80度のような、90度とは異なっていてもよい。例えば、エラストマ層は、エラストマ材料の環状隆起を組み込んでも良く、その結果、コンデンサをシールするためのキャニスタの縁の圧延が、キャニスタ縁シールの内側の曲率に沿ってエラストマ隆起を圧縮する。
【0014】
定格が125ボルト~600ボルトで、容量が0.5ミリファラッド~5ミリファラッドのコンデンサは、キャニスタの厚さが0.4ミリメートルまたは0.5ミリメートルのアルミニウムキャニスタを使用することができる。シールの品質を向上させ、ひいては特定の温度での動作時間を延ばすために、より厚いキャニスタを使用することができる。さらに、キャニスタの縁と蓋との間の角度を斜め(垂直でもなく、90度でもないなど)に構成すると、シールの品質がさらに向上し、ひいては指定された温度での動作時間がさらに延びる可能性がある。例えば、キャニスタの厚さが1ミリメートル(mm)の場合、厚さ0.5mmのキャニスタよりもシール面積が100%増加し、キャニスタの縁と蓋との間に45度の角度を設定すると、さらに41%増加して、合計のシール面積は181%増加する。さらに、面積の計算にキャニスタシールの完全な曲率を計上するためにエラストマに環状リングを追加すると、シール面積がさらに200%増加し、合計のシール面積は460%増加させることができる。したがって、例えば、摂氏105度の温度で定格が5,000時間のコンデンサは、シール面積と動作時間との間に線形関係がある場合、同じ温度で動作定格時間を28,000時間に延ばすことができる。例えば、キャニスタの縁と蓋との間の斜めの角度を使用して缶の厚さを選択的に増加させ、かつ蓋上のエラストマに環状隆起を追加することを使用することで、動作時間を最も有効な方法で所望の用途の要件に合わせて延ばすことができる。特定の厚さ、角度、および隆起は、耐振動性、部品の重量、環境動作条件、および各個別の態様(厚さ、角度、および隆起)の相対的なソリューションコストなど、意図される用途の他の要件に基づいて構成することができる。
【0015】
ここで、縁接触面積が増加した例示的なコンデンサ100の断面図を示す図1Aを参照する。コンデンサ100は、内部要素101と密封キャニスタ102とを備え得る。キャニスタ102は、蓋103を拘束して、内部要素101をシールおよび保護することができる。導電体104(リード線、端子、ワイヤなどであり得る)は、内部要素101の電極を外部電気回路に電気的に接続することができ、絶縁材料105を使用して蓋103から絶縁させることができる。蓋103は、エラストマ層103Aと剛性基部103Bとを含み得る。蓋103は、蓋103を押すシール縁109、より具体的にはエラストマ層103Aを押すシール縁109のためのカウンターサポートを提供する内部突起108を使用して、キャニスタ102によって拘束され得る。シール縁109およびシール縁109に至る領域は、蓋103を内部突起108に固定するために形成された保持リップとして説明することができる。内部突起108は、平坦な基部から設定された距離でキャニスタに溝を付けることによって、キャニスタを中央の空洞内に延在させる。縁の蓋との接触面積を増加させるために、縁109と蓋103との間で傾斜角109Aを選択することができる。領域106は、図1Bに図示され得る視野を示す。エラストマ材料は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、または別のタイプの合成ゴムであり得る。あるいは、天然ゴムを使用することもできる。
【0016】
ここで、予備形成によって縁表面積を増加させるための6つの例示的なシール技術の断面図を示す図1Bを参照する。シール110は、様々な用途におけるコンデンサの機械的完全性に必要とされ得るよりも実質的に厚い(0.5mmよりも大きい厚さなどの)キャニスタ111を含み得る。例えば、最大3ミリファラッドかつ定格600ボルトのアルミニウム電解コンデンサは、0.5mm以下のキャニスタ厚さを含み得、厚さを0.5mmを超えて(0.55mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、または1.0mmなど)増加させることで、より優れたシール性能を伴う縁を作り出すことができる。キャニスタ111は、蓋116のエラストマ層113を圧縮し得る縁114を含み得る。蓋116の剛性基部112は、エラストマ層113を支持し、かつ(縁114によって供給される力などのために)カウンターサポートを提供し得、これによって蓋を拘束し、シールを形成し得る。シール120は、キャニスタ121の厚さよりも厚い縁を含み得るキャニスタ121を示している。例えば、深絞り法は、キャニスタ縁シール130を形成するダイを使用することができる。深絞り法は、キャニスタ131の縁を内側に圧延することによって縁136を形成することができ、これは、縁136とエラストマ層132との間に大きな接触面積を作り出すという利点を有し得る。シール140は、シール130と同様であり得るが、縁146は、キャニスタ141から離れて圧延するように形成され得る。シール150は、キャニスタ151の縁を形成して、波形の縁156を作り出すことができる。縁156は、エラストマ152との複数の接触点を作成することができる。シール160は、縁166をキャニスタ161から離れて折り畳むことによって形成することができる。
【0017】
コンデンサシール110、120、130、140、150、または160の各々は、利点および/または欠点を提供し得る。例えば、(シール110に示され得るように)キャニスタ全体の厚さを増加させることは、単純なキャニスタ製造技術を可能にし得るが、キャニスタのために追加の材料を使用する場合がある。(シール120に示され得るように)キャニスタの縁の厚さを増加させると、キャニスタに使用する材料が少なくなるという利点があり得るが、縁の厚みを増加させるために深絞りのいくつかの段階を使用するなど、より複雑な形成を使用したより複雑な製造が必要になる場合がある。(シール130、140、150または160に示され得るように)縁の圧延または折り畳みを使用してシールの接触面積を増加させると、キャニスタの縁と蓋のエラストマ層との間の接触面積が増加するなど、シール面積が増加するという利点があり得る。その一方で、様々な工具段階(ダイなど)またはより複雑な成形機を使用して、シール中に様々な構造を形成することができる(これは特定の欠点を有する可能性がある)。シール130は、小さい半径曲率を使用してシール縁136を形成し、大きい半径曲率を使用してキャニスタ131からシールを形成する。シール130は、縁136の圧延が、キャニスタ131を圧延するときのシールプロセスと同じ方向であり得るので、形成するのに便利であり得る。シール130は、キャニスタの中心軸からさらに離れている可能性があり、振動下でのシールの効果を低下させる。シール140は、シール縁146を中心軸に近づけることができ、したがって、振動下でより効果的であり得るが、圧延方向の逆方向は、形成するのにより複雑で時間がかかる可能性がある。シール150は、いくつかの形成ステップを必要とし得る縁製造の圧着プロセス(交互折り畳み方向など)を使用することができるが、他の技術よりも大きなシール面積を可能にするという利点を提供し得る。シール160は、より大きなシール面積を作成するために、圧延プロセスの代わりに折り畳みプロセスを使用することができる。これは、自動車用途など、耐振動性を必要とする用途で利点があり得る。
【0018】
コンデンサの機械的完全性および製造方法によって、0.5ミリメートル(mm)の厚さのキャニスタが決まり得る。例えば、最大600ボルトで使用するアルミニウム電解コンデンサは、厚さ0.4または0.5mmのキャニスタを使用して構築され、130、140、150、または160のように縁にカールまたは折り畳み形状を作り出すことにより、縁とエラストマとの間の接触面積を増加させ得、それによってより良いシールを作成する。
【0019】
ここで、縁表面積を増加させるための例示的なシール技術を示す図1Cを参照する。キャニスタシール170は、キャニスタ171、剛性基部172を含む蓋、および/またはエラストマ層173を含み得る。キャニスタは、シール縁174が非垂直角度175(縁174と蓋表面との間に形成される角度など)で作られ得るように構成されている。角度175は、有効なシールの厚さを増加させ得る(例えば、有効性はsin(角度175)に反比例し得る)。45度の角度175は、シール縁の厚さ174xをキャニスタ177xの厚さよりも41%増加させることができる。角度175は、10度~80度であり得、シールの厚さおよび目標エラストマ圧縮強度の計算に基づいて判定され得る。(数パーセントの厚さの増加のみが必要な場合など)縁と蓋との間に80度の角度を設定して、シール面積を1/sin(80)=1.015または1.5%増加させることができる。例えば、シールの厚さを15%増加させる必要があると判定された場合など、縁と蓋との間に60度の角度を設定して、シール面積を1/sin(30)=1.155または15.5%増加させることができる。80度の角度は、角度が90度の場合に比べてシール縁の厚さ174xの475%増加を提供し得るが、蓋の機械的安定性は、90度の場合に比べて低下する可能性がある。例えば、45度未満の角度を使用して、41%より大きい有効な縁の厚さの増加を促進することができる。上記の利点と同様に、角度175は、100度~170度など、90度より大きくてもよく、角度が90度の場合と比較して、シール縁の厚さ174xが1.5%~475%増加するという同様の利点をもたらす。
【0020】
ここで、縁表面積を増加させるための例示的なシール技術を伴うキャニスタの断面図170Aを示す図1Dを参照する。環状リング177は、図1Cの177xの位置に対応するキャニスタの断面であり得る。環状リング176は、図1Cの174xの位置に対応するキャニスタの環状縁の断面であり得る。177の面積は、π(r+t)-πr=2πrt-πtとして計算することができ、ここでrはキャニスタの半径を表し、tはキャニスタの厚み177xを表す。tはrに比べて小さくてもよいので項πtを非常に小さくすることができるように、面積は2πrtとして推定することができる。176の面積は、177の面積よりも大きくてもよく、同様に、2πrtとして推定することができ、ここで、tは、図1Cの環状縁174の厚さ174xの増加を表す。t=t(厚みが増していない)の場合、面積は2πrtになり得る。シール面積を実質的に、5%以上など、2πrtより大きくなるように増加させることにより、シールはコンデンサの乾燥を防ぐのにより効果的であり得る。
【0021】
ここで、環状縁表面積を増加させるための例示的な蓋170Bを示す図1Eを参照する。蓋170Bは、エラストマ層173と剛性基部172とを含む。シールの増加した表面積に対応するために、エラストマ層173の材料特性、形状、および厚さを変更してもよい。例えば、材料は、より複雑な縁が使用され得、エラストマが縁の形状に適合し得るように、より柔軟で、かつより順応性があるように選択され得る。例えば、材料の形状は、剛性基部の縁に横方向の拡張の余地があるように作られ得る。例えば、エラストマ層173の厚さは、シールの表面積が増加するときに使用されるより大きな力を支持するために増加され得る。キャニスタの厚さを(少なくとも縁で)増加させる、縁と蓋との間の角度を減少させる、縁を変形させる、またはエラストマ層の周囲にエラストマ材料の環状隆起を含めることによって縁の隅で接触シールを生成して、シール面積を増加させることができる。
【0022】
ここで、縁表面積を増加させるための例示的なシール技術を示す図1Fを参照する。キャニスタシール180は、キャニスタ181、および/または蓋を含み得る。蓋は、剛性基部182およびエラストマ層183を含み得る。キャニスタシール180は、エラストマ層183の環状エラストマ隆起(例えば、図1Gの隆起184)をさらに含み得、これは、縁につながる湾曲したシール形状に合致するように形成され得る。環状隆起は、エラストマ層183の厚さ183Hよりも少なくとも0.2mm厚い非圧縮厚さ184Hを有し得る。非圧縮構成におけるエラストマ隆起184の形状は、186Aであり得、184Hの高さを含む。圧縮構成におけるエラストマ隆起184の形状は、186Bであり得、高さ186Hを含み得る。斜線の網掛けされた断面積186は、エラストマ隆起184の圧縮部分を表し得、エラストマ隆起184は、キャニスタの保持リップ(湾曲部分)によって圧縮されて、キャニスタの縁につながっている。
【0023】
ここで、縁表面積を増加させるための環状隆起を含む例示的な蓋を示す図1Gを参照する。184Hと183Hとの間の厚さの差は、エラストマ材料特性ならびに図1Fのキャニスタ181のサイズおよび形状に応じて、0.2mm~20mmであり得る。例えば、大きなキャニスタが使用される場合、より大きな環状隆起は、より良いシールを作り出すという利点を有し得る。(より柔軟であるなどの)より順応性のあるエラストマ材料が使用される場合、エラストマ隆起184は、より柔軟なエラストマからの環状隆起よりも大きくてもよい。環状隆起の設計は、(シールプロセス中の)キャニスタシールが、圧延されたキャニスタ縁の曲率全体に沿ってエラストマを圧縮するようにすることである。図1Fのキャニスタ181が密封されると、環状隆起は、キャニスタ縁につながるキャニスタ部分間で、剛性基部182の延長部185に対して圧縮され得る。延長部185は、平坦または剛性基部を支持するキャニスタ181の溝に一致するような形状であり得る。エラストマ隆起184は、蓋の周囲の環状リングとして形成され得る。エラストマ隆起184は、蓋の周囲でのエラストマ層の折り畳みとして形成され得る。エラストマ隆起184は、蓋の周囲のエラストマ層の波形として形成され得る。
【0024】
いくつかの例を上記で説明したが、それらの例の特徴および/またはステップは、任意の所望の様態で結合、分割、省略、再配置、改変、および/または増強することができる。様々な変更、修正、および改良が当業者には容易に想起されるであろう。そのような変更、修正、および改良は、本明細書で明示的には述べられていないが、本説明の一部であることが意図され、本開示の精神および範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明は、例示にすぎず、限定的ではない。
【0025】
付記項目:
項目1.コンデンサであって、縁を含むキャニスタと、蓋の一方の面上にエラストマコーティングを含む蓋と、を備え、蓋とエラストマコーティングとの間の接触面積が、式2πrt-πtによって計算される面積よりも大きく、rがキャニスタの半径を表し、tがキャニスタの厚さを表す、コンデンサ。
【0026】
項目2.キャニスタが、基部と、円筒形外殻と、をさらに備える、項目1に記載のコンデンサ。
【0027】
項目3.円筒形外殻が、その第1の端部で基部から直立している主壁部分と、主壁部分の第2の端部から延在する内向きに突出する壁部分と、内向きに突出する壁部分から延在し、かつ縁で終端する外向きに突出する壁部分と、を含む、項目2に記載のコンデンサ。
【0028】
項目4.蓋が(i)縁と(ii)内向きに突出する壁部分の内面および/または外向きに突出する壁部分の内面との間に保持される、項目3に記載のコンデンサ。
【0029】
項目5.縁が、基部の第2の厚さまたは円筒形外殻の第3の厚さよりも大きい厚さを含む、項目1または2のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0030】
項目6.接触面積が、計算された面積よりも少なくとも5%大きい、項目1~3のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0031】
項目7.端が折り畳まれている、項目1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0032】
項目8.縁が圧延されている、項目1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0033】
項目9.接触面積を増加させるために縁が波形になっている、項目1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0034】
項目10.端部と蓋との間の角度が45度である、項目1~7のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0035】
項目11.端部と蓋との間の角度が10度~80度である、項目1~7のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0036】
項目12.端部と蓋との間の角度が30度~60度である、項目1~7のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0037】
項目13.キャニスタがアルミニウム材料を含む、項目1~10のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0038】
項目14.コンデンサの定格が125~600ボルト(V)である、項目1~11のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0039】
項目15.コンデンサが、0.5~5ミリファラッド(mF)の静電容量を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0040】
項目16.コンデンサキャニスタであって、基部と、基部の周囲上で基部に接続された円筒面と、環状縁と、を含み、環状縁の厚さは、円筒面の表面の厚さよりも大きい、コンデンサキャニスタ。
【0041】
項目17.環状縁が、基部とは反対側の端部上にある、項目14に記載のコンデンサキャニスタ。
【0042】
項目18.環状縁の厚さが、基部の厚さまたは表面の厚さよりも少なくとも20%大きい、項目14または15に記載のコンデンサキャニスタ。
【0043】
項目19.環状縁が折り畳まれている、項目14~16のいずれか一項に記載のコンデンサキャニスタ。
【0044】
項目20.環状縁が圧延されている、項目14~17のいずれか一項に記載のコンデンサキャニスタ。
【0045】
項目21.環状縁が波形である、項目14~18のいずれか一項に記載のコンデンサキャニスタ。
【0046】
項目22.環状縁が深絞りプロセスによって形成される、項目14~19のいずれか一項に記載のコンデンサキャニスタ。
【0047】
項目23.コンデンサキャニスタがアルミニウム材料を含む、項目14~20のいずれか一項に記載のコンデンサキャニスタ。
【0048】
項目24.コンデンサの定格が125~600ボルト(V)である、項目14~21のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0049】
項目25.コンデンサが、0.5~5ミリファラッド(mF)の静電容量を含む、項目14~22のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0050】
項目26.蓋を備えるコンデンサであって、蓋は、エラストマ層と、エラストマ層の周囲の環状隆起とを含み、環状隆起の厚さは、エラストマ層の厚さよりも大きい、コンデンサ。
【0051】
項目27.縁を含むキャニスタをさらに備え、縁がキャニスタの厚さよりも大きい縁の厚さを含む、項目24に記載のコンデンサ。
【0052】
項目28.縁と蓋との間の角度が45度である、項目24または25記載のコンデンサ。
【0053】
項目29.縁と蓋との間の角度が10度~80度である、項目24~26のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0054】
項目30.端部と蓋との間の角度が30度~60度である、項目24~27のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【0055】
項目31.厚さが0.5ミリメートルよりも大きい縁を含むキャニスタを備える、コンデンサ。
【0056】
項目32.厚さが0.55ミリメートルよりも大きい縁を含むキャニスタを備える、コンデンサ。
【0057】
項目33.厚さが0.5~1ミリメートルの縁を含むキャニスタを備える、コンデンサ。
【0058】
項目34.厚さが0.55~1ミリメートルの縁を含むキャニスタを備える、コンデンサ。
【0059】
項目35.コンデンサであって、(i)縁を含むキャニスタと、(ii)蓋とを備え、縁と蓋との間の角度が10度~80度である、コンデンサ。
【0060】
項目36.コンデンサであって、(i)縁を含むキャニスタと、(ii)蓋とを備え、縁と蓋との間の角度が45度である、コンデンサ。
【0061】
項目37.コンデンサであって、(i)縁を含むキャニスタと、(ii)蓋とを備え、縁と蓋との間の角度が30度~60度である、コンデンサ。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
【外国語明細書】