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特開2022-66281ホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム
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  • 特開-ホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066281
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】ホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム
(51)【国際特許分類】
   B43L 1/10 20060101AFI20220421BHJP
   B43L 1/04 20060101ALI20220421BHJP
   G03B 21/60 20140101ALI20220421BHJP
【FI】
B43L1/10
B43L1/04 A
B43L1/04 M
G03B21/60
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027799
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2017208831の分割
【原出願日】2017-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104906
【氏名又は名称】クラレプラスチックス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】道家義将
(72)【発明者】
【氏名】成瀬達也
(57)【要約】
【課題】
映写に適した光の拡散反射性を有し、ホットスポットを生じず、視野角が広く鮮明な映写画像を得ることが可能、かつマーカーインクの消去を良好に行うことができるホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムを提供する。
【解決手段】
熱可塑性樹脂で構成される基材(A)に、60°グロスX及び85°グロスYが下記1)2)の範囲となるような凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が積層されたホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム。
1)20≦X≦40
2)30≦Y≦60
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂で構成される基材(A)に、60°グロスX及び85°グロスYが下記1)2)の範囲となるような凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が積層されたホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム。
1)20≦X≦40
2)30≦Y≦60
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂で構成される基材(A)の厚みが20~250μmである、請求項1に記載のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム。
【請求項3】
前記凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が、エンボス成形で凹凸形成されたものである、請求項1または2に記載のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム。
【請求項4】
前記凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が、
凹凸を有する離型転写フィルム(F)、もしくはエンボスロールにより凹凸形成されたものであるか、
または、凹凸賦形された基材(A)の凹凸面に紫外線硬化型樹脂硬化膜を形成することで凹凸形成されたものである、請求項1または2に記載のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルム。
【請求項5】
凹凸を有する離型転写フィルム(F)の凹凸面に紫外線硬化樹脂の未硬化樹脂液を塗工し、紫外線照射することで硬化させ前記離型転写フィルム(F)に硬化膜(B)を形成する工程、
凹凸を基材(A)に賦形し、凹凸賦形された基材(A)の凹凸面に紫外線硬化樹脂の未硬化樹脂液を塗工し、紫外線照射することで硬化させることで硬化膜(B)を基材(A)に形成する工程、
または、
基材(A)に紫外線硬化樹脂の未硬化樹脂液を塗工し、基材(A)に形成された未硬化の紫外線硬化樹脂層に、エンボスロールで凹凸を賦形しながら紫外線照射して硬化させる工程、
のいずれかを含む、請求項1~3に記載のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映写に適した光の拡散反射性を有し、ホットスポットを生じず、鮮明な映写画像を得ることが可能であり、かつ映写面に筆記マーカーによる筆記や消去が可能なホワイトボードおよび映写用スクリーン兼用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューター等に接続されたプロジェクター装置からデータを映写するとともに、ホワイトボード用マーカーによる書き込み及び消去を行うことができるホワイトボード及び映写用スクリーン兼用フィルムシートが利用されている。
【0003】
従来の当該フィルムシートの特徴として、エンボス加工や粒子などにより表面に凹凸を設け、プロジェクターからの映写光を拡散反射させることで、正規反射光のギラツキ(ホットスポット)を少なくしている。また、その最表面にホワイトボード用マーカーで筆記及び消去可能な樹脂層を設けることで、映写面にホワイトボード用マーカーで筆記及び消去を可能としている。従来、この種のスクリーンに関して、多数の特許文献が開示されている。具体的には表面の光沢を少なくし、かつ映写面にマーカーで書き込みや消去ができるように、白色合成樹脂フィルムの表面を微細凹凸面とするとともに、この微細凹凸面に硬質ハードコート層を被覆してなるものである(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
特許文献1のような構成のフィルムは表面が微細凹凸面であることから、光の拡散反射性には優れており、鮮明な映写画像を得ることができるが、ホワイトボードとして利用した場合、マーカーのインクが表面の微細凹部に残存してしまい、ホワイトボード上の筆記インクをきれいに消去することが困難であった。その結果、繰り返し使用すると完全に消去しきれなかったインクの蓄積によりホワイトボードが汚れてしまい、使用に耐えなくなるという課題があった。また、表面凹凸が微細であるために、イレーサーで消去する際に摩擦抵抗が大きくなり消去しにくく、そのため使用者への負担が大きくなるという問題もあった。
【0005】
一方、特許文献2のようにフィルムへの粗いエンボス加工により表面凹凸をより平坦にした場合、マーカーのインクの拭き取りは良好に行えるものの、光の拡散反射性が低下し、映し出された映像の中央にホットスポットが発生し、映写性が低下してしまうという問題があった。つまり、ホワイトボードの表面を映写面として利用する場合には、光の拡散反射性を向上させなければならないとともに、マーカーによる筆記を行った場合に、イレーサーによりインクを容易かつ完全に除去しなければならず、その技術的構成において相反するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-208489号公報
【特許文献2】国際公開01/032440号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、映写に適した光の拡散反射性を有し、ホットスポットを生じず、鮮明な映写画像を得ることが可能、かつマーカーインクの消去を良好に行うことができるホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂で構成される基材上に、特定の性質と表面形状を有した紫外線硬化樹脂の硬化膜を形成することにより、映写に適した光の拡散反射性を有し、ホットスポットを生じず、鮮明な映写画像を得ることが可能であり、かつフィルムの最表面に筆記マーカーで筆記や容易な消去が可能なホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂で構成される基材(A)に、60°グロスX及び85°グロスYが下記1)2)の範囲となるような凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が積層されたホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムである。
1)20≦X≦40
2)30≦Y≦60
【0010】
さらに本発明は、好ましくは前記硬化膜(B)を形成した面とは反対の基材面に接着剤層を形成した上記のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムであり、より好ましくは接着剤層が粘着剤で形成された上記のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムであり、さらに好ましくは前記接着剤層を介してマグネットシートを積層した上記のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムは、筆記面兼映写面に60°グロスX及び85°グロスYが特定範囲である凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)を積層することにより、プロジェクター光の拡散反射性が高いため投影画像が見やすく、且つホワイトボードマーカーで筆記した文字を容易に除去できる。さらに硬化膜を形成した面とは反対の基材面に接着剤層を形成させることで、一時的な設置・取り外しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムは、図1に示すように、熱可塑性樹脂で構成される基材(A)に、60°グロスX及び85°グロスYが下記1)2)の範囲となるような凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が積層されている。
1)20≦X≦40
2)30≦Y≦60
上記のような性質をもつ凹凸形状にすることで、プロジェクター映写光の光拡散性が高くホットスポットが発生しにくいため投影画像が見やすく、且つホワイトボードマーカーで筆記した文字を容易に除去できる。
すなわち、60°グロスを上記範囲にすることにより、映写画像を人が見る範囲ではホットスポットが発生しづらく、且つ85°グロスを上記範囲にすることで表面凹凸がホワイトボードマーカーのインク除去性の高くなるなだらかな凹凸形状となっている。
Xが20未満、またはYが30未満の場合、YまたはXの片方が上記範囲であっても、表面凹凸の高低が大きすぎるためホワイトボードマーカーで筆記した時のインクが凹部に残りやすくなり、容易に消去できなくなる。
また、Xが40より大きくなる場合、またはYが60より大きくなると表面凹凸によるプロジェクター光の光拡散性が不十分でホットスポットが発生しやすく、投影画像が見えにくくなる。
60°グロスXの範囲は好ましくは20≦X≦30であり、より好ましくは20≦X≦25である。また85°グロスYの範囲は30≦Y≦60であり、好ましくは40≦Y≦60である。
【0013】
また、本発明のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムにおいて、基材(A)を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリブロピレンなどのポリオレフィン、などが挙げられ、さらに前記樹脂を白色に着色したものが好適に用いられ、例えば、東洋紡株式会社製「クリスパーシリーズ」、三菱樹脂株式会社製「ダイヤホイルW400」等が挙げられる。また基材(A)の厚みは20~250μmであることが好ましく、40~200μmであることがより好ましい。
【0014】
さらに、本発明のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムにおいて、硬化膜(B)を構成する紫外線硬化型樹脂は硬質であり耐擦傷性が高く、スクリーン表面が傷つきにくいという種々の優れた効果を奏する。それに対し従来の熱硬化性架橋樹脂では、初期の消字性は得られるが、本発明の紫外線硬化型樹脂に比べて硬度が低いため耐擦傷性が不十分であり、イレーサーで繰り返し消字した際に表面が傷つき、消字性が低下する。本発明で用いる紫外線硬化型樹脂としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、さらにそれらのシリコーンやフッ素変性オリゴマー、またはモノマー、さらに光重合開始剤を含む樹脂が挙げられる。これらの具体例としては特に限定されるものではないが、DICグラフィックス株式会社製「UVTクリヤーシリーズ」、東洋インキ株式会社製「リオデュラスシリーズ」、根上工業株式会社製「アートレジンシリーズ」などが挙げられる。
【0015】
さらに本発明においては、前記紫外線硬化型樹脂にフッ素系またはシリコーン系化合物を含有させることで、フィルム表面の滑性の向上と筆記マーカーと前記硬化膜(B)面との親和性を低下させることにより消字性を向上させることができる。フッ素系化合物としてはDIC株式会社製「メガファックシリーズ」、シリコーン系化合物としてはビックケミー・ジャパン株式会社製「BYKシリーズ」、などが挙げられる。
【0016】
前記凹凸を有する硬化膜(B)を基材(A)に形成させる方法としては特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法がある。
例えば、基材(A)に対してヒートシール剤などの接着剤をロールコーター、バーコーター、グラビアコーターなどの公知の装置を用いて塗工して接着層(C)を形成する。
次に、離型コート剤に対して微粒子を添加した混合液(D)を熱可塑性フィルム(E)にロールコーター、バーコーター、グラビアコーターなどの公知の装置を用いて塗工して凹凸を有する離型転写フィルム(F)を作製する。次に前記凹凸を有する離型転写フィルム(F)の凹凸面に紫外線硬化樹脂の未硬化樹脂液を、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーターなどの公知の装置を用いて塗工し、紫外線照射することで硬化させ前記離型転写フィルム(F)に硬化膜(B)を形成し、さらに硬化膜(B)が形成された面と前記接着層(C)を設けた基材(A)の接着層面とを熱ラミネートすることで、凹凸を有する離型転写フィルム(F)に形成された前記硬化膜(B)を前記基材(A)に転写する方法がある。
【0017】
前記接着層(C)としては特に限定されるものではないがウレタン、アクリルなどの樹脂からなるヒートシール剤が挙げられる。低温(例えば、150℃以下)でヒートシール性を発現するものがより好ましい。具体例としては、DIC株式会社製「ディックシールシリーズ」や「ディックドライシリーズ」、ユニチカ株式会社製「アローベースシリーズ」等が挙げられる。前記接着層(C)の塗工量としては1~10g/m2が好ましい。
【0018】
前記混合液(D)中の前記微粒子は離型コート剤の固形分に対して1~100質量部添加することが好ましい。前記微粒子としては特に限定はされないがアクリル系、ウレタン系、無機系微粒子などが挙げられる。具体例としては、積水化成品工業株式会社製「テクポリマー」、根上工業株式会社製「アートパールシリーズ」、富士シリシア化学株式会社製「サイリシアシリーズ」などが挙げられる。前記離型コート剤としては特に限定はされないが、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化樹脂、さらにそれらのシリコーンやフッ素変性オリゴマー、またはモノマー、さらに光重合開始剤を含む紫外線硬化樹脂または、フッ素系熱硬化樹脂、シリコーン系熱硬化樹脂などが挙げられる。具体例としては、DICグラフィックス株式会社製「UVTクリヤーシリーズ」、東洋インキ株式会社製「リオデュラスシリーズ」、根上工業株式会社製「アートレジンシリーズ」などの紫外線硬化樹脂、AGCコーテック株式会社製「オブリガードシリーズ」、株式会社カネカ製「ゼムラックシリーズ」などが挙げられる。前記混合液(D)の塗工量としては1~20g/m2が好ましい。
前記熱可塑性フィルム(E)としては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリブロピレンなどのポリオレフィン、などが挙げられる。具体例としては東洋紡株式会社製「東洋紡エステルシリーズ」、ユニチカ株式会社製「エンブレットシリーズ」などが挙げられる。
硬化膜(B)の塗工量としては1~10g/m2であることが好ましく、2~5g/m2であることがより好ましい。
【0019】
また別の方法として、基材(A)を加熱後、前記離型転写フィルム(F)と同様の形状のエンボスロールで凹凸を基材(A)に賦形し、凹凸賦形された基材(A)の凹凸面に紫外線硬化樹脂の未硬化樹脂液を、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーターなどの公知の装置を用いて塗工し、紫外線照射することで硬化させることで硬化膜(B)を基材(A)に形成する方法がある。
硬化膜(B)の塗工量としては1~10g/m2であることが好ましく、2~5g/m2であることがより好ましい。
【0020】
また別の方法として、基材(A)に紫外線硬化樹脂の未硬化樹脂液を、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーターなどの公知の装置を用いて塗工し、基材(A)に形成された未硬化の紫外線硬化樹脂層に、前記離型転写フィルム(F)と同様の形状のエンボスロールで凹凸を賦形しながら紫外線照射して硬化させる方法がある。
【0021】
また本発明においては、前記硬化膜(B)を形成した面とは反対の基材面に接着剤層を形成させることが好ましく、接着剤層が粘着剤により形成されることがより好ましい。このような接着剤層を形成されることにより壁面やパーテーションなど、様々な場所に上記スクリーンフィルムを設置することができ、特に粘着剤として再剥離性粘着剤を使用した場合、一時的な設置・取り外しが容易に行えるので望ましい。
【0022】
粘着剤としては、恒久的な接着を目的とした強粘着剤や、一時的接着を目的とした再剥離性粘着剤などを使用するのが好ましく、例えば、サイデン化学株式会社製「サンビノールシリーズ」、綜研化学株式会社製「SKダイシンシリーズ」、トーヨーケム株式会社製「オリバインシリーズ」などが挙げられる。
【0023】
さらに本発明においては、前記接着剤層を介してマグネットシートを積層した場合も同様に黒板や金属製パーテーションなど様々な場所に簡便に設置・取り外しを行うことができる。本発明で使用するマグネットシートとしては、厚み0.1~5.0mmの厚みのマグネットシートを用いるのが好ましい。マグネットシートの具体例としては、株式会社マグエックス製「マグネットベースシートシリーズ」、シーアイ化成株式会社製「異方性マグネットシートシリーズ」などが挙げられる。
【0024】
この場合、接着剤としてはウレタン、アクリルなどの樹脂からなるヒートシール剤を使用してもよく、低温(例えば、150℃以下)でヒートシール性を発現するものがより好ましい。接着剤層の厚みとしては1~20μm程度形成されるのが好ましい。接着剤の具体例としては特に限定されるものではないが、DIC株式会社製「ディックシールシリーズ」や「ディックドライシリーズ」、ユニチカ株式会社製「アローベースシリーズ」等が挙げられる。
【実施例0025】
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の記載によって限定されるものではない。
【0026】
<映写性:スクリーン表面の60°グロス、及び85°グロス>
光沢度計(日本電飾工業株式会社製PG-IIM)を用いて測定した。
【0027】
<映写性:ホットスポット>
短焦点プロジェクター(日立製作所社製、CP-A300N)でスクリーン表面に映像を映写したときホットスポットがなく映像が問題なく目視できる場合を「○」、映像は目視できるが、ややホットスポットが見える場合を「○△」、ホットスポットが眩しく映像が見えづらい場合を「×」とした。
【0028】
<消字性>
ホワイトボードマーカー(ホワイトボードマーカーuniお知らセンサー黒)で約5cmの直線を筆記後、室温で放置して乾燥させ、その後ホワイトボードイレーサー(コクヨ株式会社製、ホワイトボード用イレーザーヨクキエール)で擦り、筆記インクを消去した時の表面の汚れ具合を目視で確認して、汚れの残っていない場合を「○」、薄い汚れが残ったものを「○△」、目立つ汚れが残ったものを「△」、汚れの残る場合を「×」とした。
【0029】
<実施例1>
1)紫外線硬化型樹脂(アトミクス株式会社製、コンポブリットHUV KM―28-50)100質量部に対して、レベリング剤(株式会社ネオス製、フタージェント602A)を1.7質量部添加してエンボスフィルム(ラボ株式会社製、SB23-30M)の凹凸を有する面にマイクログラビアを用いて5g/m2塗布し、紫外線照射して硬化させて、硬化膜(B)を形成した。
2)次に基材(A)である厚み75μmの白色ポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡株式会社製、クリスパーK2411)の鏡面側に対して接着剤(DIC株式会社製、ディックドライLX906)をマイクログラビアを用いて5g/m2塗布し、前記基材(A)に塗布した接着材面と前記エンボスフィルムの凹凸を有する面に形成した硬化膜(B)面を常温でラミネートし、硬化膜(B)を基材(A)に転写することでホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムを得た。消字性と映写性の評価結果を表1に示す。
【0030】
<実施例2>
フッ素系添加剤は用いないこと以外は実施例1と同様の方法にて、エンボスフィルム(株式会社クラレ製、ポバールフィルムKLE#4100)、紫外線硬化樹脂(帝国インキ株式会社製、UVOS-90202KRクリアー)を用いてホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムを得た。消字性と映写性の評価結果を表1に示す。
【0031】
<実施例3>
フッ素系添加剤は用いないこと以外は実施例1と同様の方法にて、エンボスフィルム(旭硝子株式会社製、アフレックス21GMSS)、紫外線硬化樹脂(根上工業株式会社製、アートレジンUN906S)を用いてホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムを得た。消字性と映写性の評価結果を表1に示す。
【0032】
<比較例1~4>
紫外線硬化型樹脂(帝国インキ社製、UVOS-90202KRクリアー)100質量部に対して、平均粒子径が5μmの架橋アクリル樹脂(積水化成品工業株式会社製、テクポリマーMB30X)を10質量部(比較例1)、または20質量部(比較例2)、または30質量部(比較例3)、または40質量部(比較例4)添加した混合液を基材(A)である厚み75μmの白色ポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡社製、クリスパーK2411)の鏡面側に塗布して、紫外線照射して硬化させて、硬化膜(B)を形成させ、ホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムを得た。消字性と映写性の評価結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表1、表2の結果から明らかなように、60°グロスX及び85°グロスYが下記1)2)の範囲内である凹凸が形成された紫外線硬化型樹脂硬化膜(B)が積層された実施例1~3のホワイトボードおよび映写スクリーン兼用フィルムは消字性および映写性に優れたものとなる。
1)20≦X≦40
2)30≦Y≦60
一方、上記範囲を外れた凹凸が形成された比較例1~4は消字性と映写性の両立は達成できない。
【0036】
本発明の筆記マーカーで筆記・消字が可能な映写用スクリーンフィルムによれば、鮮明な映写画像を得ることが可能であり、かつマーカーインクの筆記・消去を良好に行うことができるのでホワイトボードおよび映写用スクリーン兼用フィルムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明のホワイトボードおよび映写用スクリーン兼用フィルムの断面模式図
図1