IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マストドン デザイン リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特開2022-66356装着型アンテナを提供するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066356
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】装着型アンテナを提供するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20220421BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20220421BHJP
   H01Q 9/30 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q1/50
H01Q9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031741
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2020014481の分割
【原出願日】2020-01-31
(31)【優先権主張番号】16/573,440
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520038404
【氏名又は名称】マストドン デザイン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ムイ
(57)【要約】
【課題】厳しい又は軍事戦術的な環境でモバイル通信を目立たずに提供するように構成されたアンテナ組立体を提供する。
【解決手段】一部の実施形態は、電磁放射線を受け取る及び/又は放出するように構成された可撓性導体と、特性インピーダンスを整合させるように構成されたプリント回路基板(PCB)と、無線機又は増幅器に関連付けられる別のコネクタと嵌合するように構成されたコネクタと、を含むことができ、PCBは、アンテナ組立体のコネクタの内部に潜在的に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ組立体であって、
電磁放射線を受容又は放出するように構成された導体と、
特性インピーダンスを整合させるように構成されたプリント回路基板(PCB)と、
無線機又は増幅器に結合するように構成されたコネクタと、
を備え、
前記PCBが前記コネクタ内に配置されている、アンテナ組立体。
【請求項2】
前記コネクタ及び前記導体の少なくとも一部の周りに成型物を設けることによって、前記導体に歪み緩和を提供するように構成されたオーバーモールド組立体を更に備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記PCBが複数の受動型電気構成要素を備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記コネクタは、前記PCBを所定位置に保持し、且つ、前記受動型電気構成要素から前記コネクタのシェルへの熱伝達を提供する非導電性化合物を含む、請求項3に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記導体がモノポールアンテナを形成する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記モノポールアンテナは、3オクターブ以上の帯域幅にわたる周波数範囲で通信を提供する、請求項5に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記モノポールアンテナは、3.5:1未満の電圧定在波比(VSWR)を備えた通信を提供する、請求項5に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記PCBは、中心ピンを結合するための切欠きを有する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
前記PCBが整合回路網を備え、前記整合回路網は受動型無線周波数(RF)整合回路である、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項10】
前記導体は同軸ケーブルの少なくとも一部内に形成され、前記導体は金属シース又は編組である、請求項9に記載のアンテナ組立体。
【請求項11】
前記金属シース又は編組の一端は、前記整合回路網に電気的に接続され、前記金属シース又は編組の他端は、電気的に接続されていない、請求項10に記載のアンテナ組立体。
【請求項12】
前記導体は、ガーメントに可撓的に取り付けられている、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項13】
前記コネクタは、前記無線機又は増幅器の別のコネクタを介して、介在するアダプタなしで前記無線機又は増幅器に結合される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項14】
前記導体の長さは、前記電磁放射線の受容又は放出の最低動作周波数の波長の少なくとも1/8の長さであり、前記PCBは、前記導体の長さに基づいてそれぞれ選択される、抵抗器、インダクタ、及びキャパシタの内の1又は2以上を備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項15】
前記導体を密閉するように構成された非導電性ジャケットを更に備えている、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項16】
モノポールアンテナを準備するステップと、
前記モノポールアンテナをガーメントに取り付けるステップであって、前記モノポールアンテナの何れの部分も前記ガーメントの外形を越えて延びることなく、前記モノポールアンテナが前記ガーメントの一部分の周りで屈曲するように、前記モノポールアンテナをガーメントに取り付けるステップと、
遠隔エンティティとの間で信号を受信又は放出するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記モノポールアンテナへの接続部を有する受動構成要素のセットをRFコネクタのシェル内に提供するステップと、
前記RFコネクタを無線機又は増幅器に結合するステップと、
を更に含み、
前記信号の受信又は放出は、1又は2以上の性能特性がある基準を満たすように、前記無線機及びモノポールアンテナを用いて行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記受動構成要素のセットは、前記基準が満たされるようにインピーダンス整合回路網を形成し、
前記モノポールアンテナは、前記受動構成要素のセットを備える基板に電気的に接続された金属シース又は編組を備え、
前記遠隔エンティティに放出される前記信号は、ユーザの前記無線機との相互作用から生じる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの可撓性アンテナを準備するステップと、
前記少なくとも1つの可撓性アンテナをガーメントに取り付けるステップと、
前記少なくとも1つの可撓性アンテナを用いて、3オクターブ以上の帯域幅にわたる周波数範囲で遠隔エンティティとの間で信号を受信又は放出するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記信号の受信又は放出は、3.5:1未満の電圧定在波比(VSWR)で行われる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「Flexible Base Loaded Broadband Antenna and Methods(可撓性ベース負荷の広帯域アンテナ及び方法)」と題された、2018年7月17日出願の米国特許仮出願第62/699,018号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は一般に、無線機ユニット及び衣料品に取り付けることができる装着型アンテナ組立体を提供するシステム及び方法に関する。より詳細には、剛性アンテナを改善し、介在するアダプタの必要性を排除した可撓性広帯域アンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な無線機の装置は、第1のアダプタを介して同軸ケーブルに結合されたアンテナを必要とし、同軸ケーブルは、第2のアダプタを介して無線機に結合することができる。アダプタの各々は、信号の強度及び安定性に追加の損失をもたらす。アダプタにより生じた信号損失により、無線機組立体の電池寿命が縮まり、アンテナの性能範囲が低下する。加えて、現行の同軸ケーブルは、一体化されたアンテナを含まず、代わりに、アダプタを介して無線機に電気信号を送信するために幾つかの構成要素、すなわち、外側ジャケット、内部金属編組、絶縁材、及び中心導体を含む。
【0004】
アダプタにより生じる潜在的な損失により、損失を克服するのに高品質な信号強度が必要とされるので、アンテナは一般的に剛性金属で形成される。剛性アンテナは、家庭で使用するために恒久的に設置されるアンテナなど、実質的に据え付けされた状態であるように設計される場合に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第62/699018号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
法執行機関及び軍関係者により使用される無線アンテナなど、モバイル用途において剛性が問題となる場合がある。例えば、現場の兵士は一般的に、無線機と別個に取り付けられる剛性アンテナとを携帯する必要があり、これらの構成要素は、同軸ケーブルの付加要素を介して結合され、ストラップを介して固定される。このような構成は、付加的な重量及び付加的な構成部品により装着者の動きを妨げ、これにより不適切に接続された要素の携帯を装着者に強いることになる。軍又は法執行機関用途の場合、このような妨害は、少なくとも、不十分な動き、他の装着機器との干渉、及び敵対者への視認性の増大(例えば、突出したアンテナに起因して)をもたらし、最終的には、装着者の安全性を脅かす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の必要性は、開示されるシステム及び方法によってかなりの程度まで満たされる。従って、本開示の1又は2以上の態様は、可撓性のベース負荷広帯域アンテナを製造又は別の方法で提供する方法に関する。このアンテナは、厳しい環境でモバイル通信を目立たずに提供するように構成することができ、何らかの損失のあるアダプタを必要とせずに通信を容易にすることができる。幾つかの例示的な実施形態は、電磁放射線を受容及び/又は放出するように構成された可撓性導体と、特性インピーダンスを整合させるように構成されたプリント回路基板(PCB)と、無線機又は増幅器に関連付けられた別のコネクタと嵌合するように構成されたコネクタと、を含むことができ、PCBはアンテナ組立体のコネクタの内部に潜在的に組み込まれる。
【0008】
記載される技術及びアーキテクチャの何れの実施構成も、方法又は工程、装置、デバイス、機械、又はシステムを含むことができる。
【0009】
特定の実施構成の詳細が添付図面及び以下の説明に記載される。本明細書を通して、同様の参照番号は同様の要素を指すことができる。他の特徴は、図面及び特許請求の範囲を含む、以下の説明から明らかになるであろう。しかしながら、図面は、例証及び説明の目的のものに過ぎず、本開示の限定を定めることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1又は2以上の実施形態による、同軸ケーブルの内部構成要素の直交断面図である。
図2】1又は2以上の実施形態による、可撓性広帯域アンテナ組立体の外面の直交図である。
図3A】1又は2以上の実施形態による、図2の可撓性広帯域アンテナ組立体の放射素子の拡大直交図である。
図3B】1又は2以上の実施形態による、図2の可撓性広帯域アンテナ組立体の磁気部品の拡大直交図である。
図3C】1又は2以上の実施形態による、図2の可撓性広帯域アンテナ組立体の無線周波数(RF)コネクタの直交図である。
図4A】1又は2以上の実施形態による、図2の可撓性広帯域アンテナ組立体の内部構成要素、特に図3Aに示す放射素子の直交断面図である。
図4B】1又は2以上の実施形態による、図4Aの可撓性広帯域アンテナ組立体の内部構成要素の直交断面図であり、特に同軸ケーブルの下限放射素子と内部シールド間の接続を示す図である。
図5】1又は2以上の実施形態による、可撓性広帯域アンテナ組立体を製造する方法の工程フロー図である。
図6】1又は2以上の実施形態による、可撓性アンテナ装置の一例を示す図である。
図7】1又は2以上の実施形態による、可撓性アンテナ装置と共に使用するRFコネクタを示す図である。
図8】1又は2以上の実施形態による、RFコネクタに組み込めて中心ピン及び放射素子と干渉することのないインピーダンス整合PCBを示す図である。
図9】1又は2以上の実施形態による、インピーダンス整合PCB及び放射素子を示す図である。
図10】1又は2以上の実施形態による、可撓性アンテナ装置用のオーバーモールド品を示す図である。
図11】1又は2以上の実施形態による、フルレングスアンテナ装置の一例を示す図である。
図12A】1又は2以上の実施形態による、可撓性アンテナ装置を装着したユーザを示す図である。
図12B】1又は2以上の実施形態による、可撓性アンテナ装置を装着したユーザを示す図である。
図13】1又は2以上の実施形態による、可撓性アンテナ装置の性能特性を示す図である。
図14】1又は2以上の実施形態による、マルチバンド装着型アンテナを用意するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願全体を通じて使用する場合、単語「~することができる(may)」は、強制的な意味(つまり、~しなければならないを意味する)ではなくて、許容的な意味で使用される(つまり、~する潜在能力を持つことを意味する)。単語「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」などは、含むが(これらに)限定されないことを意味する。本明細書で使用する場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに他を意味しない限り、複数への言及を含む。本明細書で用いる場合、用語「数」は、1又は1を超える整数(つまり、複数)を意味するものとする。
【0012】
本明細書で使用する場合、2又は3以上の部品又は構成要素が「結合された」という記載は、連係が生じる限りは、これらの部品が直接的又は間接的に、つまり1又は2以上の中間部品又は構成要素を介して連結又は協働することを意味するものとする。本明細書で使用する場合、「直接結合された」は、2つの要素が直接的に互いと接触していることを意味する。本明細書で使用する場合、「固定結合された」又は「固定された」は、2つの要素が結合されて互いに対して一定の向きを維持しつつ一体的に動くようになることを意味する。本明細書で使用する方向を示す語句、例えば限定ではなく、頂部、底部、左、右、上側、下側、前部、後部、及びこれらの派生語などは、図面に示す要素の向きに関連し、明示しない限り特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
これらの図面は、縮尺通りに描かれない場合があり、何れかの所与の実施形態の構造又は性能特性を正確には反映しない場合があり、例示的な実施形態が包含する値又は特性の範囲を定義又は限定するものと解釈すべきではない。
【0014】
本発明の目的は、同軸ケーブルと一体的に形成されたアンテナを含む、可撓性アンテナ組立体を提供し、別個に接続されたアンテナを運ぶのを不要にすることで、モバイル用途がより効率的で快適となるようにすることである。一部の実施形態は、可撓性同軸ケーブルと一体的に形成されたアンテナ組立体を有し、これにより無線機とアンテナ間に損失が誘起されるアダプタを不要にすることができる。開示されるアンテナ組立体は更に、遠隔地で法的執行機関及び軍関係者によるなどのモバイル用途に効率的で快適なアンテナの利用を可能にすることができる。従来のアンテナは剛性であることが多いが、このアンテナ組立体は可撓性とすることができ、これによりユーザがアンテナを容易且つ同時に持ち運び使用できるようにする。
【0015】
本明細書で使用する場合、環状表面は、中空円筒の端部として定義することができる。帯域幅は、アンテナ組立体が動作可能な周波数範囲として定義することができる。ダイポールは、無線周波給電線に接続された導電体として定義することができ、該ダイポールは、所望の下限動作周波数により決定付けられる関連の長さを有する。可撓性とは、破断することなく変形可能であるものと定義することができる。磁気素子は、コモンモード干渉信号が放射素子に通過するのを抑制する、抵抗及び正のリアクタンスを有する構成部品として定義することができる。動作周波数は、アンテナ組立体により同報通信又は受信される所望の周波数として定義することができる。例えば、下限動作周波数は、アンテナにより受信又は送信可能な最低の周波数とすることができる。同様に、上限動作周波数は、アンテナにより受信又は送信可能な最高の周波数とすることができる。放射素子は、無線周波(RF)エネルギを受信又は送信できるアンテナ組立体の構成部品として定義することができる。シースは、該シースに収容された構造の直径より大きい直径を有する密着保護カバーとして定義することができる。
【0016】
一部の実施形態は、同軸ケーブル、少なくとも1つの放射素子、及び可撓性外側シースを有するアンテナ組立体を含むことができる。同軸ケーブルは、金属シールドを囲む外側ジャケットを含むことができる。金属シールドは、外側ジャケットが金属シールドの直径より大きい関連した直径を有するように内部導体を囲むことができ、内部導体の直径よりも大きな直径を有することができる。各放射素子は、様々な周波数の無線信号を受信及び/又は送信するように適合させることができる。一部の実施形態では、放射素子は金属シースとすることができる。或いは、放射素子は銅の編組とすることができる。
【0017】
一部の実施形態は、第2の環状表面に対向する第1の環状表面を有する下限放射素子を含むことができ、これらの間に配置された中空本体が、第1及び第2の環状表面を結合している。第1及び第2の環状表面は、放射素子が同軸ケーブルの少なくとも一部を囲むことができるように、外側ジャケットの直径よりも大きな直径を含むことができる。下限放射素子の第1の環状表面は、ケーブルの外側ジャケット内に配置された金属シールドと結合することができ、これにより下限放射素子と金属シールドの間でエネルギ伝達を可能にする。同様に、可撓性の外側シースは、第2の端部と対向する第1の端部を含むことができ、間に配置された中空本体が第1及び第2の本体を結合している。外側シースは、中空本体に沿って実質的に均一な直径を含むことができ、該直径は、下限放射素子の直径よりも大きく、外側シースが下限放射素子及び同軸ケーブルを囲むことが可能となる。
【0018】
下限放射素子は、無線周波数(RF)コネクタなどの電気コネクタを介して放射素子を電気的に結合することができる受信機又は送信機など、無線機の下限動作周波数の波長の約1/4~1/2の長さを有するダイポールを形成するように適合させることができる。一部の実施形態では、アンテナ組立体は、下限動作周波数の波長の1/5未満の長さを有する第2の上限放射素子を含むことができる。下限及び上限放射素子を絶縁層により分離し、これにより短絡を防止することができる。
【0019】
一部の実施形態では、アンテナ組立体は、少なくとも1つの磁気素子を含むことができる。磁気素子は、同軸ケーブルの外側ジャケットの直径よりも大きな直径を有することができ、これにより磁気素子が同軸ケーブルを囲むことが可能となる。一部の実施形態では、磁気素子は、およそ125の比透磁率を有するフェライトとすることができる。磁気素子は、外部信号がアンテナ組立体により受信又は送信された信号と干渉するのを阻止するように適合させることができ、これによりコモンモード周波数チョークとして動作する。
【0020】
アンテナ組立体は、既存の同軸ケーブルの上に後付けすることができる。アンテナ組立体を後付けするために、同軸ケーブルの外側ジャケットの一部を除去することができ、下限放射素子は、同軸ケーブルの除去部分と等しい長さを有するように切断することができる。一部の実施形態では、長さは、無線機の下限動作周波数の波長の2/5とすることができる。下限放射素子を所定サイズに切断した後で、同軸ケーブルの外側ジャケットの少なくとも一部を下限放射素子で囲むことができる。上限放射素子は下限放射素子を少なくとも部分的に囲むことができ、これらの放射素子は絶縁層により分離される。上限放射素子は、下限放射素子の長さよりもおよそ30%小さい長さを有し、該上限放射素子が、下限放射素子によって捕捉される周波数よりも高い周波数を捕捉することができる。放射素子及び同軸ケーブルを可撓性の外側シースに収容されて、これにより既存の同軸ケーブルを組み込んだアンテナを備える可撓性アンテナ組立体を形成することができる。一部の実施形態は、下限放射素子と上限放射素子を組み合わせて、広範囲の周波数を捕捉することができる。
【0021】
図1に示すように、従来の同軸ケーブル13は、通常はPVC又は他のポリマで作られた外側ジャケット19を含み、通常は銅又は銀で作られた内部金属導体20を収容している。内部導体20は、該内部導体と外側ジャケットとの間に配置された絶縁層(図4Aに参照番号22として示される)で囲まれる。外側ジャケット19と同様に、絶縁層は通常、天然又は合成ポリマで作られ、或いは、ゲルで作製することができる。同軸ケーブルはまた、金属シールド18を含む(或いは、シールド18を一般にシース又は編組と呼ぶ場合がある)。シールド18は、内部導体20を囲む。加えて、信号干渉を防ぐための付加的なアルミニウムシールドなど、他の構成要素が存在する場合がある。
【0022】
同軸ケーブル13の各構成要素は、同軸ケーブルの効率性及び有効性に不可欠の機能を果たす。例えば、外側ジャケット19は内部構成要素を収容し、これら内部構成要素を比較的均一な形状に保持する。内部導体20は、テレビ又はラジオなどの外部電気デバイスに同軸ケーブルの信号を送信する。金属シールド18は、信号を遮断することによって外部信号が内部導体20の信号と干渉するのを防止する。内部導体20とシールド18間の直接接続を介した同軸ケーブルの短絡を防止するために、同軸ケーブル13は、内部導体20と金属シールド18の間にスペーサを提供する絶縁層を含む。
【0023】
図2に示すように、アンテナ組立体10の一実施形態は、ダイポール組立体12と、磁気素子14と、無線コネクタ16とを含む。アンテナ組立体10の構成要素の各々は互いに電気通信状態にあり、アンテナ組立体によって電気信号を受信及び/又は送信することができる。具体的には、電気信号は、ダイポール組立体12により受信及び/又は送信され、ダイポール組立体12と同軸ケーブル13との間に存在する電場を通して同軸ケーブル13(図4A図4Bにより詳細に示す)に送信される。例えば、ダイポール組立体12が電子信号を受信する場合、電気信号は、ダイポール組立体12と同軸ケーブル13との間の電場を介して同軸ケーブル13に送信される。次いで、電気信号は、同軸ケーブル13を介して無線コネクタ16に送信され、該電気信号は、外部無線機を通して同報通信することができる。逆に、ダイポール組立体12が電気信号を送信する場合、ダイポール組立体12は、同軸ケーブル13を介して無線コネクタ16から、及び同軸ケーブル13とダイポール組立体12との間の電場を介して信号を受け取る。磁気素子14は、無線コネクタ16とダイポール組立体12の間に配置され、外部信号ノイズが、アンテナ組立体10により受信及び/又は送信された電気信号と干渉するのを防止する。アンテナ組立体10は無線コネクタ16で終端し、該無線コネクタ16は、電気信号を送信又は受信するために無線機150(図12に示す)などの外部送信機と機械的に結合するように適合される。構成要素の各々について、以下で個別に検討する。
【0024】
図3A図3Cは、図2の構成要素の拡大図を示す。例えば、図3Aはダイポール組立体12の外面を示し、ダイポール組立体12は同軸ケーブル13に側面13a、13bで電気的に結合される。図3Bには、磁気素子14が同軸ケーブル13の側面13b、13cに結合され、同軸ケーブル13の側面13bを介してダイポール組立体12と電気通信するのが示されている。図3Cは無線コネクタ16を示し、無線コネクタ16は、同軸ケーブル13の側面13cを介して磁気素子14と、次にはダイポール組立体12と電気的に結合される。図3Cは、無線コネクタ16がアンテナ組立体10の終端結合部であって、これによりアンテナ組立体10を無線機150に接続できる機構を提供し、無線機150は、信号を伝達して、アンテナ組立体10によって信号を送信又は受信できるように適合される。
【0025】
図4A及び図4Bは、ダイポール組立体12の内部構成要素と共に、ダイポール組立体12と同軸ケーブル13間の接続をより詳細に示している。ダイポール組立体12は、同軸ケーブル13の直径よりも大きい直径を有する。ダイポール組立体12は、交互に繰り返す導電層と絶縁層から成り(つまり、絶縁層22、34及び外側ジャケット38は絶縁層であり、内部導体20、低周波放射素子30、及び高周波放射素子36は導電層である)、ダイポール組立体12が、同軸ケーブル13を囲みながらアンテナ組立体10の主アンテナとして機能できるようになる。典型的な同軸ケーブル13は、少なくとも1つの外側ジャケット19、シールド18、及び内部導体20を含み、図4A図4Bに示すように、内部導体20は、同軸ケーブル13の外側ジャケット19よりも小さい直径を有する。図4Aの実施形態では、内部導体20は同軸ケーブル13から離れる方向に延び、同軸ケーブル13はダイポール組立体12に適応するように変更されている。内部導体20は絶縁層22に囲まれ、絶縁層22は、高温に曝されたときに内部導体20の周りを包むように設計された熱収縮材料とすることができる。
【0026】
同軸ケーブル13の外側ジャケット19は、低周波放射素子30内に少なくとも部分的に収容され、低周波放射素子30は、銅シース又は編組などの金属シース又は編組とすることができる。低周波放射素子30の直径は、同軸ケーブル13の外側ジャケットの直径より大きく、これにより低周波放射素子30が同軸ケーブル13の少なくとも一部分を囲んで収容することを可能にする。低周波放射素子30は、形状が概ね円筒形で、1つの開放端を有し、同軸ケーブル13を滑動することができる。低周波放射素子30の対向端又は他端は、接点31a及び31bを介して同軸ケーブル13のシールド18と電気的に結合する。接点31a、31bは、放射素子のシールドへの半田付けを介してなど、電気接続を形成する一般的な方法によって形成することができる。接点31a、31bは、同軸ケーブル13から低周波放射素子30へのエネルギ伝達を可能にし、逆もまた同様である。このように、低周波放射素子30は同軸ケーブル13を収容すると共に、電気信号が内部導体20に沿って伝播することを可能にする。
【0027】
低周波放射素子30は、ダイポール組立体12の主アンテナとして機能する。高品質の広帯域信号をもたらすために、低周波放射素子30は、下限動作周波数の波長の約1/4~1/2の長さを有するダイポールを形成し、好ましくは、最大の帯域幅を生成するために下限動作周波数の波長の2/5の長さを有するダイポールを形成する。ダイポールの長さは、特定の用途の望ましい周波数に応じて変わる場合があるが、次式を用いて求めることができる。
l=2/5λ
ここで、lはダイポールの長さを表し、λは次式により決定される望ましい波長を表す。
λ=c/f
ここで、c/fは光の速度と望ましい周波数との比であり、該周波数は、最大波長及びひいては最長のダイポール長さをもたらすことになる下限動作周波数である。例えば、下限動作周波数が50MHzの場合、ダイポール長さは、上記式に従って2.4mである。同様に、下限動作周波数が1000MHzの場合、ダイポール長さは0.12mである。このように、望ましい下限動作周波数に応じて、下限周波数で送信するために必要とされるダイポールの長さに基づき、様々な長さのアンテナを使用することができる。
【0028】
図4Aに示すように、1又は2以上の周波数チョーク32が、同軸ケーブル13の外側ジャケットを少なくとも部分的に囲む。周波数チョーク32は、低周波放射素子30と同様に、同軸ケーブル13の直径より大きい直径を有し、同軸ケーブル13を部分的に収容することができる。周波数チョーク32は、干渉電流が同軸ケーブル13に沿ってダイポール組立体12へ流れるのを防ぐための電子チョークとして機能し、これにより信号干渉を阻止する。好ましい実施形態では、図4Aに示すように3又は4以上の周波数チョーク32が使用され、周波数チョーク32は、コモンモード電磁信号並びに無線周波数信号を抑制するために、コモンモードチョークである。電磁波干渉及び無線周波数干渉を低減することにより、周波数チョーク32は、信号ノイズを低減するように機能する。周波数チョーク32は、当該技術分野内で一般に使用される様々な材料で作製できるが、好ましい実施形態では、周波数チョーク32は、ニッケル亜鉛フェライトなどのフェライトであり、約125の比透磁率を有する。比透磁率は、磁場を形成する材料の能力を規定し、これにより他の磁場からの干渉を阻止する。約25の比透磁率を有するフェライトを用いることで、超高周波(VHF)(例えば、30Mz~300MHz)及び/又は極超高周波(UHF)(例えば、300Mz~3GMHz)の帯域を含めた信号を送受信するためにアンテナ組立体10を使用することが可能となる。
【0029】
絶縁層34は、内部導体20及び絶縁層と共に、低周波放射素子30及び周波数チョーク32を含めて、同軸ケーブル13を収容する。このため、絶縁層34は、低周波放射素子30により形成されたダイポールとそれに続くアンテナ組立体10の電磁構成要素との間で第1の絶縁障壁として機能する。絶縁層34は、PVCとすることができ、或いは上述の構成要素の形状に適合するように設計された熱収縮材料とすることができ、アンテナを含む唯一の可撓性ケーブルを提供する。
【0030】
図4Aを更に参照すると、高周波放射素子36は絶縁層34を部分的に囲む。高周波放射素子36は、第2のダイポールシースである。低周波放射素子30と同様に、高周波放射素子36は、銅シース又は編組のような金属製シース又は編組とすることができる。低周波放射素子30が下限動作周波数に対するダイポールを形成するのに対して、高周波放射素子36は上限動作周波数に対するダイポールを形成する。このため、高周波放射素子36は、低周波放射素子30の長さよりもおよそ30%短い長さを有し、該高周波放射素子36が低周波放射素子30よりも高い周波数を捕捉することができる。高周波放射素子36の30%短い長さはアンテナ組立体10内に最適な帯域幅範囲を生成することが分かっていることは理解されると共に、高周波放射素子36と低周波放射素子30の長さ間の比が30%より大きいか又は小さいとすることができることが理解される。上述の低周波放射素子30と同様に、高周波放射素子36は、形状が円筒形で、2つの対向する開口端を有し、これにより低周波放射素子30と干渉することなく絶縁層34を収容することができる。
【0031】
外側ジャケット38は、同軸ケーブル13、低周波放射素子30、高周波放射素子36、周波数チョーク32、並びに絶縁層22及び34を含めて、ダイポール組立体12の内部構成要素の全てを収容する。外側ジャケット38は、絶縁層22及び34、並びに同軸ケーブル13の外側ジャケット19と同様の材料で作られる。例えば、外側ジャケット38はPVCで作製することができ、或いは熱収縮材料で作製することができる。外側ジャケット38の目的は、ダイポール組立体12の内部構成要素と共にアンテナ組立体10に外側ケ―シングを提供し、ダイポール組立体12が可撓性であると共に外部信号から隔離されること、並びにアンテナ組立体10が電気信号を送信又は放送する時に概ねノイズフリーであることを可能にすることである。外側ジャケット並びにダイポール組立体12の内部構成要素の可撓性により、剛性のある外部アンテナなど、嵩高で剛性のある機器を必要とすることなく、遠隔用途でアンテナ組立体10を運ぶことが可能となる。
【0032】
アンテナ組立体10は、同軸ケーブル13と共に形成することができ、或いは一連のステップを通して既存の同軸ケーブル13に後付けすることができる。製造方法に関係なく、アンテナ組立体10などのダイポール組立体を形成する工程は概ね同じである。従って、図1図4Bと併せて、ここで図5を参照すると、ダイポール組立体を形成する方法を描いた例示的な工程フロー図が提供される。図5の例示的な工程フロー図において記載されたステップは、ダイポール組立体を形成する好ましい順序の単なる例示に過ぎない。これらのステップは、付加的なステップを含めて又は含まずに、別の順序で実行することができる。
【0033】
まず、ステップ40の間に、同軸ケーブル13の外側ジャケット19を切断して、すぐ下にある金属シースを露出させる。この切断は、露出した金属シースの長さが下限動作周波数の波長のおよそ1/5となるように行われる。次に、露出した長さの金属シースを同軸ケーブル13から取り除き、新規の低周波放射素子30を切断して、元の同軸ケーブル13から取り除かれた露出した金属シースと同じ長さとなるようにする。取り除かれた金属シースは、同軸ケーブル13内に収納されており、これにより本来は同軸ケーブル13の直径よりも小さい直径を有するが、新規の低周波放射素子30は、同軸ケーブル13よりも僅かに大きい直径を有する。直径の差異により、低周波放射素子30が同軸ケーブル13を少なくとも部分的に囲むことが可能となり、図4Aに示すように、ステップ41において、低周波放射素子30が同軸ケーブル13上で滑動することができる。ステップ42において、低周波放射素子30は同軸ケーブル13上でシールド18と結合し、この間に、放射素子がシールド18に半田付けされ、これにより同軸ケーブル13と低周波放射素子30との間でエネルギの伝達を提供する。
【0034】
同軸ケーブル13の金属シースの除去により内部導体20が露出され、これにより内部導体20と低周波放射素子30との間に干渉及び/又は短絡を生じる可能性がある。このため、ステップ43の間に内部導体20を絶縁して、これにより内部導体20と低周波放射素子30との間に絶縁層22を設けることが重要である。絶縁層22は、内部導体20を熱収縮材料において巻き付け、その後熱収縮材料を高温に曝すなどにより、熱収縮材料によって形成することができる。この高温により、絶縁層22が内部導体20の形状に一致するまで、絶縁層22の直径が減少する。同様に、ステップ44の間に、同軸ケーブル13及び低周波放射素子30が絶縁層34内に収容される。
【0035】
アンテナ放射パターンを歪ませる可能性のあるコモンモード電流からの信号干渉を低減するために、ステップ45の間に複数の周波数チョーク32を同軸ケーブル上に取り付ける。好ましい実施形態では、図4Aに示すように、少なくとも3つの周波数チョーク32が使用される。周波数チョーク32は、ニッケル亜鉛フェライトなどのフェライトであることが好ましい。周波数チョーク32を同軸ケーブル上に、及びアンテナ組立体10の主アンテナである低周波放射素子30から上流側に取り付けた後、内部構成要素が別の絶縁層34に収容される。
【0036】
ステップ46の間に、絶縁された同軸ケーブル13及びダイポール組立体12が更に、高周波放射素子36に少なくとも部分的に収容され、高周波放射素子36は、低周波放射素子30よりおよそ30%だけ短い長さを除いて、低周波放射素子30と類似している。絶縁層34は、ダイポール組立体12のほとんどの内部構成要素と高周波放射素子36との間に障壁を提供し、これによりノイズを低減し信号干渉を防止する。
【0037】
ステップ47の間に、アンテナ組立体10の用途に基づいて、内部導体20を望ましい長さに切断する。ステップ48において、望ましい長さが選択されると、外側ジャケット38は、高周波放射素子36並びに絶縁層34内に収納されるが高周波放射素子36には収容されない構成要素を含めて、アンテナ組立体10の内部構成要素を収容する。外側ジャケット38並びに絶縁層34及び22は、PVC又は熱収縮材料などの可撓性材料で作られ、アンテナ組立体10全体をモバイル用途で可撓性且つ容易に持ち運ぶことができるようになる。最後に、ステップ49の間に、アンテナ組立体10は、無線コネクタ16を介して無線機、増幅器、又は他の送信機と電気的に結合する。
【0038】
ここに開示されているのは、可撓性のベース負荷アンテナの製造及び使用方法である。例えば、本開示は、アンテナの組立方法及び身体にアンテナを装着する典型的な方法を記載している。図6に示すように、アンテナ組立体100の一部の実施形態は、以下の構成要素:可撓性放射素子セクション、RFコネクタ116、RF整合組立体130、及びオーバーモールド組立体120を含む。一部の実施形態では、RF整合組立体130は、受動構成要素132を結合させたPCBとすることができる。可撓性放射素子セクションは、可撓性導体113、1又は2以上の非導電性ジャケット、1又は2以上の中心(例えば、軸方向)導体、及び1又は2以上の絶縁層を含むことができる。アンテナ組立体100の一部の実施形態は、例えば、同軸ケーブル及び当該ケーブル用のコネクタにアンテナ構成要素を組み込むことによって、可撓性導体113と無線機150(又は関連の増幅器)の間のアダプタ(複数可)を不要にすることができる。
【0039】
一部の実施形態では、可撓性放射素子セクション(例えば、可撓性導体113)を用いて、モノポール又はダイポールアンテナを形成することができる。一部の実施形態では、ダイポール組立体12は、コネクタ116及びプリント回路基板(PCB)130と結合することができる。すなわち、PCB130上の整合回路網を用いて、ダイポールアンテナ及び/又はモノポールアンテナのインピーダンスを整合させることができる。
【0040】
アンテナ構造内に本質的に生成される正及び負の半部分を有するダイポールアンテナと比べて、モノポールアンテナは、物理構造として正の半部分だけを有する。すなわち、モノポールアンテナの場合、無線機の本体(つまり、導電性シャーシ)がダイポールの負の半部分又は他方の半部分として機能する。このため、アンテナの所与の長さに対して、モノポールアンテナは、ダイポールアンテナの2倍の放射長さを提供する。従って、アンテナ組立体100の一部の実施形態は、より広い帯域幅(つまり、周波数カバレッジ)をサポートすることによってダイポールアンテナを用いる構成に改良を加えるために、モノポールアンテナ113を備えることができる。アンテナ組立体10のダイポール組立体12は、せいぜい1又は2オクターブをサポートできるが、モノポールアンテナ113を用いて、複数オクターブ(例えば、4又は5以上)をサポートすることができる。
【0041】
図6は、可撓性材料(例えば、ワイヤ、ポール、又は同軸ケーブルの銅編組)を用いたマルチバンドモノポールアンテナを含めたアンテナ組立体100を示す。一部の実施形態では、可撓性導体113は、金属(例えば、銅)編組で作製することができる。しかしながら、可撓性導体113は、例えば、相当な表面積量を有する、何れかの好適な可撓性で且つ頑丈な材料で作製することができる。この可撓性材料は、RFコネクタ組立体116に組み込まれた受動型RF整合回路網と組み合わせることができる。
【0042】
図7はコネクタ116の一例を示す。この例では、コネクタ116は同軸ケーブル13に結合することができる。コネクタ116の一端は、可撓性導体113に結合することができ、コネクタ116の他端は、無線機150又は関連の増幅器に結合することができる。RFコネクタ116は、何れか好適なタイプ(例えば、N、SMA、TNC、BNCなど)のものとすることができる。一部の実施形態では、RFコネクタ116は民生用(COTS)コネクタとすることができる。一部の実施構成では、このコネクタは、少なくともインピーダンス整合目的の受動型電気構成要素を収納するのに十分なスペースをそのシェル内に有することができる。
【0043】
図8は、その整合回路網を含むPCB130を示している。PCB130の一端は、可撓性導体113に固定結合することができ、PCB130の他端は、中心ピン125に固定結合することができる。可撓性導体113が同軸ケーブルである実施構成では、同軸ケーブルの網組が放射素子として機能することができるので、網組を整合回路網に半田付けすることができる。これらの実施構成では、同軸ケーブルの中心導体はフローティングとすることができる(つまり、何れかに取り付けられなくてもよい)。一部の実施形態では、コネクタの別の中心導体(例えば、ピン)をPCB130に直接半田付けすることができる。一部の例示的な実施形態は、中心導体(ピン)とPCB130の間に最小限度の距離を有することができる。例えば、このPCBは、PCB130を中心導体に直接結合させるために一部が切り欠かれるように機械加工を施すことができる。従ってこのPCBは、中心ピンを結合するための切欠きを有することができる。例えば、中心ピン125の近位端は、PCB130の縁部に沿った対応する切欠きのスロットを介してPCBと嵌合するように構成することができる。
【0044】
一部の実施形態では、RFコネクタ116は雄型コネクタとすることができる。別の実施形態では、このコネクタは雌型構成を有することができる。
【0045】
一部の実施形態では、アンテナ100は、全て水平方向に(つまり、360度の放射性能を達成できるような全方向性アンテナとして)、或いは特定の方向に(つまり、指向性の「ビーム」アンテナとして)無線波を送信及び/又は受信するように構成することができる。一部の実施構成では、アンテナ100は、ビーム又は他の所望の放射パターンに無線波を導く働きをする1又は2以上の構成要素を含むことができる。
【0046】
一部の実施構成では、PCB130は、可撓性導体113のインピーダンスを終端無線機(例えば、無線機150)又は関連の増幅器のインピーダンスと整合させるために、整合回路網(例えば、受動型集中部品132を用いて形成されたRF整合回路網)を備え、インダクタ、抵抗器、キャパシタ、伝送線路などの構成要素を含むことができる。この整合回路網の構成要素を個別部品として提供することができる(例えば、表面実装及び/又はスルーホール実装による)。
【0047】
図9は、受動構成要素132のセット(例えば、132-1、132-2、132-3、132-4、132-5、及び/又は132-6)を示し、抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタを含むことができる。一部の実施構成では、整合回路網を備えるこれら受動構成要素の特定構成(例えば、シャント、直列など)及びその値は、回路網の挿入損失を最小限にすること、回路網の帯域幅を最大限にすること、電圧定在波比(VSWR)を最小限にすること、及び/又は他の性能特性に基づいて決定することができる。一部の実施構成では、受動構成要素132の各々は、異なる部品であり、及び/又は異なる値を有することができる。例えば、132-1は抵抗器とすることができ、132-2はキャパシタ又はインダクタとすることができる。PCB130の整合回路網は、抵抗回路網として実装することができる。別の実施構成では、PCB130の整合回路網は、変圧器、段階的伝送線路、フィルタ、Lセクション(例えば、キャパシタ及びインダクタ)、又は構成要素の別セットとして実装することができる。また図9には、中心ピン125及び可撓性導体113が図示されており、これらはPCB130の対向する端部に半田付けすることができる。中心ピン125を用いて、別のRFコネクタと嵌合することができる。
【0048】
一部の実施形態では、PCB130の整合回路網は、往復動的に往来することができ、例えば、通信信号の送信及び受信経路は受動構成要素値の同じセットを使用する。一部の実施形態では、PCB130の整合ネットワークは、1又は2以上の通過帯域に対して電力を吸収しないように設計され、通過帯域(複数可)内で実質的に損失がない。
【0049】
上述のように、図9は、受動構成要素132(その各々が固有の値を有することができる)、中心ピン125への接続部、及び放射素子113へのインタフェースを含む、PCB130の一部の詳細を示す。一部の実施形態では、整合ネットワークの1又は2以上の構成要素の値は、可撓性導体113の選択された長さに適応するように調整することができる。すなわち、可撓性導体113は最初に、望ましい長さに切断することができる。可撓性導体113は、非導電性の外側ジャケットを有する可撓性銅網組材料から作製することができる。
【0050】
外側非導電性ジャケットは、可撓性導体113を密閉するように構成することができる。非導電性ジャケットは、外側ジャケット19及び/又は外側ジャケット38と同様とすることができる。このジャケットは、可撓性導体113の一端で短く切断し、半田付けを可能にすることができる。次に、PCB130は、可撓性導体113の一部及びRFコネクタ116の中心ピン125に半田付けされたRF整合回路網を備えることができる。整合回路網は、抵抗器、キャパシタ、及びインダクタなどの受動型整合部品132を含むことができる。次に、可撓性導体113及びPCB130は、コネクタ116内に滑動又は別の方法で挿入することができる。この挿入の後、コネクタ116をエポキシ又はポッティング化合物などの非導電性化合物で充填することができる。エポキシ及び/又はポッティング化合物は、受動構成要素132からコネクタ116のシェルへ熱が伝達されるように、PCB130をコネクタ116に固定結合することができる。コネクタ116の内部が乾燥すると、このコネクタ及び放射素子113の少なくとも一部は、オーバーモールド化合物又は別の好適な材料(例えば、プラスチック)を用いてオーバーモールドすることができる。オーバーモールド品120は異なる材料で形成することができ、これは、可撓性の放射素子に歪み緩和を提供して、早期損傷を防止することができる。
【0051】
一部の実施形態では、PCB130は、図6に示すように電気接続部144(例えば、半田)、金属バンド140、及び金属(例えば、銅)網組部142を更に備えることができる。例えば、可撓性放射素子セクションの一部を形成することができる銅編組部142は、PCB130の接地に半田付けすることができる。一部の実施構成では、次に編組(例えば、部分142及び/又は編組113の一部)は、バンド140を用いてコネクタ116のシェルに押し付けることができる。例えば、接地用ストラップ又は銅編組を用いて、PCB130の接地をコネクタ116の外側シェルに半田付けするか、又は別の方法で電気的に接続することができる。この例では、ストラップ又は編組は、金属バンド140によってコネクタ116にクランプすることができる。接地用ストラップ/編組及びバンドは、PCB130の内部構成要素からコネクタ116のシェルへ熱を伝導するのに役立つことができる。
【0052】
整合回路網は一般的に信号源と負荷の間に接続され、この回路構成は通常、信号源の出力インピーダンスの複素共役に等しい入力インピーダンスを提示しながら、ほとんど全ての電力を負荷に伝達するように設計される。或いは、整合回路網は、負荷インピーダンスの複素共役と等しくなるように信号源の出力インピーダンスを変換する。一部の実施構成では、信号源インピーダンスには虚部がないので、複素共役への言及は当てはまらない場合がある。従って、インピーダンスが純粋に実数の場合には複素共役は関連しないので、負荷インピーダンスは信号源インピーダンスと等しいとすることができる。
【0053】
一部の実施形態では、PCB130の整合回路網は、無効分、つまりエネルギを散逸するのではなくエネルギを蓄える部分だけを使用することができる。しかしながら、各用途又はシナリオは異なる整合回路網を必要とする可能性がある(例えば、異なる動作周波数に起因して)ので、これは限定を意図するものではない。
【0054】
図10は、コネクタ116、オーバーモールド部120、及び可撓性導体113の一部を含む、アンテナ組立体100を例示的に表している。一部の実施形態では、オーバーモールド部120を用いて、例えば、水、塵埃、又は他の要素から受動構成要素132を保護することができる。受動構成要素132は、コネクタ116内の基部に完全に密閉することができる。
【0055】
一部の実施形態では、オーバーモールド部120は、何らかの侵入からPCBを保護する手段と、歪み及び/又は圧力に耐えるように可撓性導体113をコネクタ116に嵌合させる手段とを備える。一部の実施構成では、オーバーモールド部120の分量は、その機能(複数可)(例えば、要素からの保護、製造中又は現場使用中の張力又は他の操作に対する支持、或いは別の適切な機能)を確実に果たすように可能な限り少なくすることができる。一部の実施形態では、オーバーモールド部120は射出成型されるが、何れか好適な手法を用いることができるので、この成型工程は限定を意図するものではない。
【0056】
一部の実施形態は、コネクタ116内に幾らかのエポキシ及び/又はポッティング化合物を備え、オーバーモールド部120と同様に、適度の歪み緩和を提供することができる。例えば、PCB130に隣接してエポキシが存在することによって通信の品質が阻害されるほど大量に付与することなく、好適な量のエポキシをPCB130、コネクタ116、中心ピン125、及び/又は可撓性導体113の接合点に意図的に付与することができる。
【0057】
図11は、図10と同じアンテナ組立体100を表し、加えて可撓性導体113の例示的な長さ全体を示している。一部の実施形態では、可撓性導体113は、無線信号波長の数分の1以下である長さを有することができる。例えば、可撓性導体113は、およそ39インチの長さを有し、これは、30MHz無線信号の波長10メートルの実質的に1/4未満である。PCB130の受動構成要素132のセットの一部の実施形態は、1又は2以上の性能特性が或る基準を満たすように調整(構成部品の値及び位置について)済みであるとすることができる。
【0058】
図12A図12Bはそれぞれ、ガーメント170を用いて可撓性導体113を有するアンテナ組立体100を装着したユーザの部分正面図と側面図を示す。ガーメント170を用いて、アンテナ組立体100をユーザに取り付け、更に、例えば使用されていない時に無線機150を固定することができる。一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、コネクタ116を介して無線機150又は高出力増幅器の嵌合コネクタに結合することができる。アンテナ組立体100の可撓性導体113は、図12に示すように、ユーザの身体に巻き付けられて、1又は2以上のストラップ、コ―ド、ボタン、又は他の締結具でガーメント170に固定することができる。例えば、ガーメント170は、可撓性導体113を目立たないように固定することができ、可撓性導体113は、ユーザの外形を越えて突出することなく、肩部の周りで可撓的に及び/又は密着して屈曲可能である。
【0059】
一部の実施形態では、可撓性導体113の一端は、PCB130に結合することができ、可撓性導体113の対向端又は他端は、何れにも結合されないようにすることができる(つまり、対向端又は他端は自由に位置決めできる)。一部の実施形態では、ガーメント170は、ベスト、或いはユーザの1又は2以上の身体部位に対して装着された装身具など、衣服類とすることができる。
【0060】
ユーザの衣類又は他の装具に取り付けられた後、無線機150及び/又は無線機に関連付けられた増幅器は、RFエネルギをアンテナ100に伝達することができる。一部の実施形態では、無線機150は、 Harris製PRC-152、Harris製PRC-163、Thales製PRC-148 MBITR、Thales製MBITR2など、無線通信する何れかの電子デバイスとすることができる。しかしながら、開示される手法は金属ケースを有する何れの無線機でも動作することができるので、これらの例は限定を意図するものではない。
【0061】
一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、無線機150及び/又は増幅器に直接結合されたときに最も良好に作動することができる。利得及びVSWRの観点での性能は、例えば、整合回路網の抵抗性整合による悪影響が少ないことに起因して、アンテナの周波数範囲の高い端点でより最適となることができる。一部の実施構成では、アンテナのインピーダンスが系の特性インピーダンスにどれだけ近いかは、VSMRを測定することにより評価することができる。一部の実施構成では、特性インピーダンスは50オームとなるが、開示される手法は何れの特性インピーダンスもサポートするように適合させることができるので、この例は限定を意図したものではない。VSWRは、反射係数の大きさの関数とすることができる。VSWRは、指定された周波数範囲にわたってアンテナにより反射される電力量の概算見積りを提供することができる。
【0062】
一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、従来のアンテナを上回る幾つかの利点を発揮することができる。例えば、可撓性材料を用いたその構造から得られる組立体の可撓性は、容易で装着可能な取り付けを可能にすることができる。別の例では、アンテナ組立体100は本質的に広帯域であり、例えば、3.5:1未満のVSWRで少なくとも4オクターブの帯域幅(つまり、3.5:1未満のVSWR帯域幅)をカバーすることができる。すなわち、公知の可撓性アンテナは、4オクターブを大きく下回ってサポートし、1オクターブが当該帯域の最低周波数の少なくとも2倍にわたる帯域を特徴付ける。更に、PCB130の受動型整合回路網に起因して、放射素子113の長さは、何れか任意の長さとすることができる。しかしながら、この導体の一部の実施構成は、特定の性能基準を満たすために、最低動作周波数にて波長の1/8という最小長さを有することができる。一部の実施構成では、アンテナが最低動作周波数における波長の1/4に近いほど、性能は最適となる。
【0063】
上述のように、図12は、アンテナ組立体100を自分のガーメント170に取り付けたユーザ(この事例では、兵士)を示す。このアンテナをユーザの衣類に取り付けることで、可撓性導体113が地面に対して垂直に延在するときにより良い性能をもたらすことができ、場合によって(例えば、アンテナ組立体100が垂直極性の場合に)、この導体が地面に対して水平に延在するのは好ましくない。
【0064】
図13は、動作周波数に対するVSWRのプロットを示す。図示のように、特定の周波数が他の周波数よりも良好な性能を与えることができる。更に図13に示されるのは、複数の周波数帯域にわたって潜在的に許容可能な性能レベルである。
【0065】
一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、例えば約10MHz~2GHzの範囲で複数の周波数帯域をサポートすることができる。より好ましくは、このマルチバンド範囲は、VHF/UHF適用範囲をサポートするために約30MHz~520MHzとすることができる。しかしながら、あらゆる高周波数帯域又はあらゆる複数帯域(例えば、kHz、MHz、又はGHz範囲)をサポートすることができるので、この特定の広帯域サポートは限定を意図するものではない。従って、無線機150は、例えば遠隔受信機に対する、何れか好適な通信周波数の放射体とすることができる。これらの又は別の実施形態では、無線機150は、例えば遠隔送信機からの何れか好適な通信周波数の受信機とすることができる。
【0066】
一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、(例えば、戦術上の作戦をサポートするために)超軽量とすることができる。例えば、アンテナ組立体100は,重さが僅か2オンス(oz)とすることができ、より好ましくは4.5ozとすることができる。アンテナ組立体100の外被を流線形にして、スペースを節約し、かぎ裂きを防ぎ、つまり全体的な輪郭を効果的に低減させ、並びに視覚的特徴を低減することができる。アンテナ組立体100の一部の例示的な実施形態は、ユーザの腹臥位から好適な性能を提供することができる。アンテナ組立体100の一部の例示的な実施形態は、身体遮蔽をサポートし、RF性能の低下を抑えることができる。例えば、可撓性導体113がユーザの肩部に巻き付けられる実施構成では、この導体は、ユーザの身体の前後両方にあることができる。身体の片側にだけ存在する通常のホイップアンテナと比べて、前後両方の放射による本開示の身体装着型アンテナの放射パターンは、ヌル(つまり、信号の身体遮断による)をあまり経験しないことができる。一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、約10ワットのRF能力を扱うことができる。一部の実施形態では、アンテナ組立体100は、約-25~+10dBi(等方性アンテナに対するデシベル(dB))範囲の利得を提供することができる。より好ましくは、この利得は約-15~+2dBiとすることができる。
【0067】
図14は、1又は2以上の実施形態による、マルチバンド装着型アンテナを準備する方法200を示す。方法200は、無線機器を用いて行うことができる。以下に提示する方法200の操作は、例示を意図するものである。一部の実施形態では、方法200は、記載しない1又は2以上の付加的な操作を用いて、及び/又は検討される操作の1又は2以上を用いずに成し遂げることができる。加えて、方法200の操作を図14に示し以下に記載する順序は、限定を意図するものではない。
【0068】
方法200の操作202で、モノポールアンテナを準備することができる。一例として、可撓性導体113は、既存の同軸ケーブルから適切な長さに切断され、アンテナとして役立つことができる。例えば、可撓性導体113の長さは、約20~80インチの範囲とすることができ、より好ましくは、約37~42インチとすることができる。一部の実施形態では、操作202は、図6、19、及び/又は12に示し、本明細書に記載する構成要素を用いて技能者により行われる。
【0069】
方法200の操作204では、受動構成要素のセットをRFコネクタのシェル内に準備することができ、その受動構成要素セットはアンテナへの接続部を有する。一例として、受動構成要素132をPCB130の上に半田付けすることができる。可撓性導体113の一部をPCB130の一端に半田付けすることができ、中央ピン125をPCB130の他端に半田付けすることができる。一部の実施形態では、操作204は、図6、19、及び/又は12に示し、本明細書に記載する構成要素を用いて技能者により行われる。
【0070】
方法200の操作206では、アンテナの何れの部分もユーザの外形を越えて延びることなく、アンテナがユーザの少なくとも一部分の周りに屈曲するように、アンテナをユーザのガーメントに取り付けることができる。一例として、可撓性導体113は、目に見えて突出することなく、ユーザの少なくとも一部分の周りに固定的に巻き付くことができる。一部の実施形態では、操作206は、図6、19、及び/又は12に示し、本明細書に記載する構成要素を用いて技能者により行われる。
【0071】
方法200の操作208では、RFコネクタを無線機又は増幅器に結合することができる。一例として、コネクタ116は、増幅器又は無線機150に関連付けられた別のRFコネクタと嵌合することができる。一部の実施形態では、操作208は、図6、19、及び/又は12に示し、本明細書に記載する構成要素を用いて技能者により行われる。
【0072】
方法200の操作210では、ユーザと遠隔エンティティ間の通信は、無線機及びアンテナ組立体により促進され、或る基準を満たす1又は2以上の性能特性を有することができる。一例として、PCB130の整合回路網の機能により、無線機150と別ユーザの無線機との間で無線信号を遠隔送信することができる。一部の実施形態では、操作210は、図6、19、及び/又は12に示し、本明細書に記載する構成要素を用いてユーザにより行われる。
【0073】
本発明の幾つかの実施形態が本明細書で具体的に示され、及び/又は説明された。しかしながら、添付請求項の範囲内で修正形態及び変形形態が企図されることは理解されたい。
【符号の説明】
【0074】
100:アンテナ組立体
113:可撓性導体
116:RFコネクタ
120:オーバーモールド組立体
125:中心ピン
130:RF整合組立体/プリント回路基板(PCB)
140:金属バンド
142:電気接続部
144:金属網組部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ組立体であって、
電磁放射線を受容又は放出するように構成された導体と、
特性インピーダンスを整合させるように構成されたプリント回路基板(PCB)と、
コネクタであって、(i)外部の無線機又は増幅器の別のコネクタに直接結合するように、及び、(ii)前記PCBを所定位置に保持し、且つ、前記PCB上の受動型構成要素のセットから前記コネクタの剛性シェルへの熱伝達を提供する化合物で充填されて構成されたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、(i)ガーメントに取り付けられ、(ii)前記ガーメントの一部分の周りで可撓的に屈曲するアンテナを形成する、アンテナ組立体。
【請求項2】
前記コネクタ及び前記導体の少なくとも一部の周りに成型物を設けることによって、前記導体に歪み緩和を提供するように構成されたオーバーモールド組立体を更に備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記アンテナは、3オクターブ以上の帯域幅にわたる周波数範囲で通信を提供する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記アンテナは、3.5:1未満の電圧定在波比(VSWR)を備えた通信を提供する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記PCBは、中心ピンを結合するための切欠きを有する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記PCBが整合回路網を備え、前記整合回路網は受動型無線周波数(RF)整合回路である、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記導体は同軸ケーブルの少なくとも一部内に形成され、前記導体は金属シース又は編組である、請求項6に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記金属シース又は編組の一端は、前記整合回路網に電気的に接続されている、請求項7に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
前記コネクタは、前記無線機又は増幅器の別のコネクタを介して、介在するアダプタなしで前記無線機又は増幅器に結合される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項10】
前記導体の長さは、前記電磁放射線の受容又は放出の最低動作周波数の波長の少なくとも1/8の長さであり、前記PCBは、前記導体の長さに基づいてそれぞれ選択される、抵抗器、インダクタ、及びキャパシタの内の1又は2以上を備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項11】
前記導体を密閉するように構成された非導電性ジャケットを更に備えている、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項12】
3.5:1以下の電圧定在波比(VSWR)を備えた通信を提供するモノポールアンテナを提供するステップと、
前記モノポールアンテナをガーメントに取り付けるステップであって、前記モノポールアンテナが前記ガーメントの一部分の周りで屈曲するように、前記モノポールアンテナをガーメントに取り付けるステップと、
遠隔エンティティとの間で信号を受信又は放出するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記モノポールアンテナへの接続部を有する受動構成要素のセットをRFコネクタのシェル内に提供するステップと、
前記RFコネクタを無線機又は増幅器に結合するステップと、
を更に含み、
前記信号の受信又は放出は、1又は2以上の性能特性がある基準を満たすように、前記無線機及びモノポールアンテナを用いて行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受動構成要素のセットは、前記基準が満たされるようにインピーダンス整合回路網を形成し、
前記モノポールアンテナは、前記受動構成要素のセットを備える基板に電気的に接続された金属シース又は編組を備え、
前記遠隔エンティティに放出される前記信号は、ユーザの前記無線機との相互作用から生じる、請求項13に記載の方法。
【外国語明細書】