(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066369
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】遠隔監視支援装置およびエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20220421BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 T
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032182
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2021035367の分割
【原出願日】2015-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】石田 克史
(72)【発明者】
【氏名】関根 忍
(72)【発明者】
【氏名】柴田 徹
(57)【要約】
【課題】エレベーターに対する信頼性の向上を図ること。
【解決手段】エレベーターの制御基板110あるいは遠隔監視支援装置120は、カゴに設けられたインターフォン102bの通話要求の操作を検出した場合に、通話要求の操作がされたエレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を公衆音声網またはインターネットなどのネットワーク160を介して管理サーバコンピュータ130に送信するとともに、所定の架電先の電話機140への架電をおこなう、あるいは、所定の架電先の電話機140への架電をおこない、架電による通話が開始されずに当該架電を中断した場合に、生成した通知情報をネットワーク160を介して管理サーバコンピュータ130に送信する。これにより、利用者がオペレーターに直話通話したい要求すなわち架電があることを確実に案内することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターに設けられ、当該エレベーターのカゴに設けられたインターフォンに接続されるとともに、当該エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置であって、
前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、
生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信するとともに、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこなう、
ことを特徴とする遠隔監視支援装置。
【請求項2】
エレベーターに設けられ、当該エレベーターのカゴに設けられたインターフォンに接続されるとともに、当該エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置であって、
前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、
前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこない、
前記架電による通話が開始されずに、当該架電を中断した場合に、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信する、
ことを特徴とする遠隔監視支援装置。
【請求項3】
カゴに設けられたインターフォンと、
前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置と、
を備え、
前記遠隔監視支援装置は、
前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、
生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信するとともに、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこなう、
ことを特徴とするエレベーター。
【請求項4】
カゴに設けられたインターフォンと、
前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置と、
を備え、
前記遠隔監視支援装置は、
前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、
前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこない、
前記架電による通話が開始されずに、当該架電を中断した場合に、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信する、
ことを特徴とするエレベーター。
【請求項5】
カゴに設けられたインターフォンと、
前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう制御基板と、
を備え、
前記制御基板は、
前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、
生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信するとともに、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこなう、
ことを特徴とするエレベーター。
【請求項6】
カゴに設けられたインターフォンと、
前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう制御基板と、
を備え、
前記制御基板は、
前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、
前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこない、
前記架電による通話が開始されずに、当該架電を中断した場合に、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信する、
ことを特徴とするエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インターフォン通話が可能なエレベーターの通話管理システム、遠隔監視支援装置およびエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エレベーターのカゴには、緊急時などに、カゴの中の利用者とカゴの外(たとえば、エレベーターが設置された建物とは別の場所にある保守管理会社)にいるオペレーターとが通話ができるように、インターフォンが設けられている。このインターフォンは、たとえば、非常通話ボタンが操作された場合など、カゴの中の利用者の必要に応じて保守管理会社に接続され、当該利用者と保守管理会社のオペレーターとの通話を実現する。
【0003】
関連する技術として、従来、たとえば、エレベーターのカゴ内に設けられた非常通話ボタンが操作された場合に、カゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの会話が可能となるようにインターフォンと保守管理会社とを電話回線を介して接続するとともに、インターフォンの音声を記録するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
また、関連する技術として、従来、たとえば、エレベーターの利用者がカゴ内に閉じ込められたとき、保守管理会社などによる遠隔操作によって運転モードを手動モードとし、閉じ込められた利用者の操作によって所定の乗り場まで低速で運転できるようにした技術(たとえば、下記特許文献2を参照。)や、エレベーターにおいて異常が発生した時にカゴ内の画像および音声を自動的に監視センタ側へ伝送し、双方向の伝送をおこなうことができるようにした技術(たとえば、下記特許文献3を参照。)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-26036号公報
【特許文献2】特開平6-298462号公報
【特許文献3】特開平7-257842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1などに記載された従来の技術は、保守管理会社側は、利用者が非常通話ボタンを操作し、当該操作により保守管理会社側の電話機が発呼された時点ではじめて通話の要求があることを把握できる。このため、保守管理会社側のすべての電話機が通話中である場合などのように、保守管理会社側の通話回線が飽和している状況では、保守管理会社側は別の利用者による通話の要求があることを把握できない。そして、通話回線が接続されるまでに時間がかかったりすると、その分、別の利用者とオペレーターとの通話開始が遅れ、利用者の不安を増長させてしまうという問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載された従来の技術は、利用者が運転可能になる手動モードに切り替えるためには保守管理会社における遠隔操作を必要とする。このため、オペレーターが別のインターフォン通話に対応している場合などにおいては、その分オペレーターとの通話開始あるいは手動モードへの切換操作が遅れ、利用者の不安を増長させてしまうという問題があった。また、上述した特許文献3に記載された従来の技術は、インターフォンの端末装置の他、カゴ内を撮影するカメラを設置しなくてはならず、運用可能と
なる設備の整備が煩わしいという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エレベーターに対する信頼性の向上を図ることができるエレベーターの通話管理システム、遠隔監視支援装置およびエレベーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるエレベーターの通話管理システムは、エレベーターの制御基板または当該制御基板と通信をおこなう遠隔監視支援装置が、前記エレベーターのカゴに設けられたインターフォンの通話要求の操作がされた場合に、前記通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通話要求通知を生成し、生成した通話要求通知を管理サーバコンピュータに送信し、前記通話要求通知を前記管理サーバコンピュータに送信した後に、所定の架電先の電話機への架電をおこない、前記管理サーバコンピュータが、前記通話要求通知を受信した場合、当該通話要求通知に基づく報知処理をおこなう、ことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、エレベーターに設けられ、当該エレベーターのカゴに設けられたインターフォンに接続されるとともに、当該エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置であって、前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信するとともに、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこなう、ことを特徴とする。
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、エレベーターに設けられ、当該エレベーターのカゴに設けられたインターフォンに接続されるとともに、当該エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置であって、前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこない、前記架電による通話が開始されずに、当該架電を中断した場合に、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信する、ことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるエレベーターは、カゴに設けられたインターフォンと、前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置と、を備え、前記遠隔監視支援装置が、前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信するとともに、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこなう、ことを特徴とする。
また、この発明にかかるエレベーターは、カゴに設けられたインターフォンと、前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう遠隔監視支援装置と、を備え、前記遠隔監視支援装置が、前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこない、前記架電による通話が開始されずに、当該架電を中断した場合に、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信する、ことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるエレベーターは、カゴに設けられたインターフォンと、前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう制御基板と、を備え、前記制御基板が、前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信するとともに、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこなう、ことを特徴とする。
また、この発明にかかるエレベーターは、カゴに設けられたインターフォンと、前記インターフォンに接続されるとともに、エレベーターの遠隔地に設けられた当該エレベーターの動作を遠隔監視する管理サーバコンピュータと公衆音声網またはインターネットを介して通信をおこなう制御基板と、を備え、前記制御基板が、前記インターフォンの通話要求の操作がされたことを検出し、当該通話要求の操作を検出した場合に、当該通話要求の操作がされた前記エレベーターの識別情報を含む通知情報を生成し、前記公衆音声網または前記インターネットを介して所定の架電先の電話機への架電をおこない、前記架電による通話が開始されずに、当該架電を中断した場合に、生成した通知情報を前記公衆音声網または前記インターネットを介して前記管理サーバコンピュータに送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明にかかるエレベーターの通話管理システム、遠隔監視支援装置およびエレベーターによれば、エレベーターに対する信頼性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図2】この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムを構成する各部のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図3】この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムを構成する各部の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムにおける遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5A】この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムにおける管理サーバコンピュータの処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図5B】この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムにおける管理サーバコンピュータの処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるエレベーターの通話管理システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(遠隔監視システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの通話管理システムを実現する、エレベーターの遠隔監視システムのシステム構成について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【0017】
図1において、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100は、たとえば、制御基板(制御装置)110と、遠隔監視支援装置120と、管理サーバコンピュータ130と、電話機140と、によって構成することができる。遠隔監視システム100は、エレベーター101の動作を、当該エレベーター101の遠隔地に設置された管理サーバコンピュータ130を用いて監視する。管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120を介して、エレベーター101の動作を監視する。
【0018】
管理サーバコンピュータ130は、監視対象となるエレベーター101が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター101が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の保守管理を担う保守管理会社150などに設置することができる。
【0019】
電話機140は、たとえば、管理サーバコンピュータ130が設置された保守管理会社150に設置される。管理サーバコンピュータ130および電話機140を保守管理会社150に設置することにより、エレベーター101のカゴ102の中にいる者と保守管理会社150のオペレーターとが直接通話することができる。
【0020】
エレベーター101は、複数階建てのビル内などに設置され、人や物品を搭載するカゴ(乗りかご)102を備えている。カゴ102は、1台のエレベーター101に1つずつ設けられている。カゴ102は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)内に設けられている。エレベーター101は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーターによって実現することができる。
【0021】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100により監視可能なエレベーター101は、ロープ式のエレベーターに限るものではない。この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100においては、ロープ式のエレベーター101に代えて、あるいは、ロープ式のエレベーター101に加えて、たとえば、油圧式のエレベーター101を監視対象としてもよい。
【0022】
カゴ102には、行先階ボタンや扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤102aが設けられている。カゴ102に設けられた操作盤102aは、操作盤102a用の制御基板を備えており、当該操作盤102a用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。
【0023】
また、カゴ102には、インターフォンの端末装置102bが設けられている。インターフォンの端末装置102bは、非常通話ボタン102cとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120に接続されている。
【0024】
上記の操作ボタンは、カゴ102の外部の管理人やオペレーターなどとの通話時に操作される非常通話ボタン102cを含んでいる。操作盤102a用の制御基板は、非常通話ボタン102cが操作された場合に、非常通話ボタン102cが操作されたことを示す信号(呼出信号)を、インターフォンの端末装置102bの外部(この実施の形態においては、遠隔監視支援装置120)に出力する。
【0025】
この実施の形態においては、非常通話ボタン102cの操作によって、この発明にかかる通話要求の操作を実現することができる。これにより、遠隔監視システム100は、エレベーター101のカゴ102に設けられたインターフォンの通話要求の操作がされた場合に所定の架電先へ架電することができる。
【0026】
昇降路には、カゴ102の昇降動作にかかわる駆動機構104が設けられている。駆動機構104は、たとえば、昇降路における上部に設けることができる。駆動機構104は、巻上機、滑車、ロープ104a、カウンタウエイト104bなどによって構成されている。駆動機構104は、さらに、電磁ブレーキや調速機などを備えている(いずれも図示を省略する)。
【0027】
駆動機構104は、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。駆動機構104は、昇降路における上部に設けられるものに限らない。駆動機構104は、たとえば、油圧式のエレベーター101の場合は、昇降路における底部(ピット)に設けられていてもよい。
【0028】
カゴ102はロープ104aの一端に連結され、カウンタウエイト104bはロープ104aの他端に連結されている。ロープ式のエレベーター101においては、両端にカゴ102およびカウンタウエイト104bが連結されたロープ104aをつるべ式に滑車および巻上機にかけた状態で当該巻上機を駆動し、ロープ104aと滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用してカゴ102を昇降させる。昇降路には、カゴ102の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。
【0029】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)105およびカゴ102には、それぞれ扉105a、102dが設けられている。カゴ102には、当該カゴ102に設けられた扉102dおよび乗り場105に設けられた扉105aを開閉させるモーター(図示を省略する)が設けられている。扉105a、102dを開閉させるモーターは、制御基板110に接続されている。
【0030】
制御基板110は、たとえば、カゴ102が走行を開始する場合に、走行開始信号を出力する。制御基板110は、たとえば、走行中のカゴ102が走行を停止した場合に、走行停止信号を出力する。走行開始信号は、たとえば、カゴ102が走行を開始したことを通知する専用の信号によって実現することができる。あるいは、走行開始信号や走行停止信号は、たとえば、巻上機に対して出力される駆動信号によって実現してもよい。
【0031】
乗り場105に設けられた扉105aは、インターロックなどと称される装置で施錠されている。エレベーター101が停止階に到着した状態でモーターを駆動すると、カゴ102に設けられた扉102dの駆動機構部分とインターロックとがかみ合ってインターロックによる施錠が解放され、カゴ102に設けられた扉102dおよび乗り場105に設けられた扉105aが連動して開閉する。これにより、乗り場105に設けられた扉105aは、カゴ102が各階床における停止位置に停止していない場合は閉じた状態とされる。
【0032】
エレベーター101は、扉102d、105aの開閉を検出する扉開閉センサ(図示を省略する)を備えている。扉開閉センサは、扉102d、105aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化する。扉開閉センサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。扉開閉センサは配線を介して制御基板110に接続されており、扉開閉センサから出力された信号は当該配線を介して制御基板110に入力される。
【0033】
各乗り場105には、乗り場呼びボタン(図示を省略する)やカゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤105bが、それぞれ設置されている。各乗り場105に設けられた操作盤105bは、それぞれ、操作盤105b用の制御基板を備え、当該操作盤105b用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。
【0034】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、エレベーター101の制御基板110を収容する筐体や、昇降路の壁などに取り付けることができる。遠隔監視支援装置120は、主制御基板121と通信用基板122とを備えている。主制御基板121は、制御基板110に接続されている。また、主制御基板121は、通信用基板122に接続されている。通信用基板122は、具体的には、たとえば、PHS(Personal Handy-phone System)基板によって実現することができる。
【0035】
通信用基板122は、インターフォンの端末装置102bおよび公衆音声網などのネットワーク160に接続されている。公衆音声網は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0036】
PHS基板などによって実現される通信用基板122は、音声通信に用いるとともにデータ通信にも用いることができる。この実施の形態において、遠隔監視支援装置120における主制御基板121は、通信用基板122により接続されるインターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に接続されている。主制御基板121と管理サーバコンピュータ130とを、電話回線などの公衆音声網に加えて(あるいは代えて)インターネットを介して接続することにより、緊急時に電話回線がパンクすることによってエレベーター101の状況把握が遅延することを防止し、迅速な対応をとることができる。
【0037】
エレベーター101の設置場所は固定であるため、PHSを利用した通信をおこなう場合にも通信の品質を確保することができ、品質の安定した通話や通信をおこなうことができる。そして、遠隔監視システム100においては、PHSを利用した通信をおこなうことにより、通信の品質を確保するとともに通信にかかるコストを抑えることができる。
【0038】
管理サーバコンピュータ130は、たとえば、CPU、ROMやRAMあるいはHDなどの記憶媒体、外部装置とのインターフェイス(いずれも図示を省略する)などを備えたコンピュータ装置によって実現することができる。具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。
【0039】
管理サーバコンピュータ130の記憶媒体は、たとえば、エレベーター101の識別情報と、当該識別情報によって識別されるエレベーター101の物件情報と、を関連付けて記憶するデータベース(図示を省略する)を備える。物件情報は、たとえば、エレベーター101の設置場所、名称あるいは管理番号などの情報によって実現することができる。
【0040】
エレベーター101の設置場所は、たとえば、「○○県××市△△ビル」、「○○県××市△丁目○番地」のように示される。エレベーター101の名称は、たとえば、「○○県××市△△ビル 1号エレベーター」、「ショッピングセンター○○ △△店」などのように、保守管理会社150側が任意に設定することができる。管理番号も同様に、保守管理会社150側が任意に設定することができる。外部装置とのインターフェイスは、遠隔監視支援装置120などの外部装置との間で情報通信をおこなうインターフェイスや、インターフォンの端末装置102bとの間で音声通信をおこなうための音声通信用の基板を含む。
【0041】
管理サーバコンピュータ130には、操作用の端末装置131が接続されていてもよい。管理サーバコンピュータ130と操作用の端末装置131とは、同じ場所に設置されていてもよく、異なる場所に設置されていてもよい。操作用の端末装置131は、1台であってもよく、複数台であってもよい。具体的には、操作用の端末装置131は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイス131aや、ディスプレイ131bなどを備えたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。また、管理サーバコンピュータ130や操作用の端末装置131には、エレベーター101の状態を記載した報告書などを出力するためのプリンタ(図示を省略する)が接続されていてもよい。
【0042】
保守管理会社150には、管理サーバコンピュータ130および電話機140に加えて、PBX(Private Branch eXchange、
図2における符号205を参照)を設置することができる。電話機140は、PBXを介して公衆音声網に接続されている。遠隔監視システム100においてはPBXを設けず、電話機140を公衆音声網に直接接続してもよい。
【0043】
(遠隔監視システム100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100を構成する各部のハードウエア構成について説明する。
図2は、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100を構成する各部のハードウエア構成を示す説明図である。
【0044】
図2において、制御基板110は、エレベーター101を構成する各部を駆動制御することにより、エレベーター101の運行動作を制御する。制御基板110は、エレベーター101が備える各部に対して制御用の信号を出力するとともに、当該各部から出力された信号に基づいて、エレベーター101の運行動作を制御する。
【0045】
上述した操作盤102a用の制御基板は、エレベーター101の利用者などによる操作ボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、駆動機構104を駆動制御する制御用の信号を出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0046】
具体的には、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、巻上機に対する制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号を巻上機に対して出力する。これにより、巻上機は、カゴ102を上昇あるいは下降させる方向に回転駆動する。巻上機は、たとえば、インバーターを用いて制御されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御基板110によって駆動制御される。
【0047】
制御基板110は、巻上機に制御用の信号を出力するごとに、当該制御用の信号にした
がって動作した巻上機や各モーターの回転数を取得する。巻上機や各モーターの回転数は、たとえば、エンコーダなどを用いて取得することができる。これにより、制御基板110は、巻上機に対して出力した制御用の信号にしたがって、当該巻上機が正常に動作したか否かを判断することができる。
【0048】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を所定の階床において停止させるようにブレーキを動作させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をブレーキに対して出力する。ブレーキは、制御基板110から出力された制御用の信号にしたがって、カゴ102の昇降動作を停止させ、当該カゴ102を所定の階床において停止させるように動作する。これにより、カゴ102を所定の階床において停止させることができる。
【0049】
制御基板110は、ブレーキに対して制御用の信号を出力するごとに、ブレーキの動作に応じて出力が変化するブレーキセンサからの出力信号を取得する。ブレーキセンサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。これにより、制御基板110は、ブレーキに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該ブレーキが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0050】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、ブレーキによってカゴ102を停止させた階床において扉102d、105aを開閉させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102の扉102dや乗り場105の扉105aを開閉させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102が停止した階床において、扉102d、105aを開閉させることができる。上記のように、扉105aを開閉させるモーターは、インターロックなどと称される装置で施錠されているため、扉105aが完全に閉まっていない場合は動作しない。
【0051】
制御基板110は、扉102d、105aを開閉させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、扉開閉センサからの出力信号を取得する。これにより、制御基板110は、該当する扉102d、105aを開閉させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該扉102d、105aが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0052】
また、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板に対して、カゴ102が位置する階床を示す階床信号を含む制御用の信号を出力する。カゴ102が位置する階床は、たとえば、昇降路中において階床ごとに設けられたセンサ(図示を省略する)からの出力信号に基づいて特定することができる。操作盤102a用の制御基板は、階床信号を含む制御用の信号を受け付けると、受け付けた制御用の信号に基づいて表示器を制御して、カゴ102が位置する階床や移動方向(上昇中か下降中か)などを表示する。
【0053】
制御基板110は、操作盤102a用の制御基板や操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置が切り替わるごとに階床信号を含む制御用の信号を出力する。あるいは、制御基板110は、操作盤102a用の制御基板や操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置にかかわらず、定期的に階床信号を含む制御用の信号を出力するものであってもよい。
【0054】
操作盤105b用の制御基板は、操作盤102a用の制御基板と同様に、エレベーター101の利用者などによる乗り場呼びボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。操作盤105b用の制御基板から呼び信号が出力された場合、制御基板110は、操作盤102a用の制御基板から信号が出力された場合と同様に、操作盤105b用の制御基板から出力された信号に基づいて各種の制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号を該当する各部に出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0055】
制御基板110は、操作盤102aや操作盤105bから出力された信号に応じてカゴ102を昇降動作させるごとに、当該カゴ102を昇降動作させるために各部を起動したことを示す起動信号を出力する。制御基板110は、たとえば、1階から2階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から途中で停止することなく5階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から、途中の3階で停止した(扉の開閉をおこなった)後に、5階に移動する場合、起動信号を2回出力する。
【0056】
制御基板110は、カゴ102を昇降動作させるごとに、カゴ102の走行距離や走行時間を算出してもよい。カゴ102の走行距離は、たとえば、起動回数に基づいて算出することができる。また、カゴ102の走行時間は、たとえば、上記の階床信号に基づいて算出することができる。具体的には、たとえば、カゴ102が1階にいる状態で4階の乗り場105の操作盤105bから呼びの操作を受け付けた場合、カゴ102は1階から4階までの3階床分を移動する。
【0057】
制御基板110は、図示を省略するメモリを備え、起動信号が出力されるごとに、当該起動信号が出力された回数すなわち起動回数をメモリに記憶する。制御基板110は、起動回数に代えて、あるいは起動回数に加えて、カゴ102の昇降動作や扉105a、102dの開閉動作に際して駆動した各部の運行動作の履歴をメモリに記憶してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102dの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報を運行動作の履歴としてメモリに記憶してもよい。
【0058】
また、制御基板110は、扉開閉センサの出力値に基づいて、扉102d、105aが開状態にあるか閉状態にあるかを判断する。制御基板110は、自身が出力した扉102d、105aを開閉させる制御用の信号と扉開閉センサの出力値とに基づいて、扉102d、105aを開閉させる制御用の信号を出力したことに応じて、当該扉102d、105aが実際に開閉したかどうかを判断することができる。
【0059】
また、制御基板110は、エレベーター101の運転モードが変化した場合に、当該運転モードが切り替わったことを示す信号(発報用の信号)を出力する。制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モードから通常の運転モード以外の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号(発報用の信号)、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モード以外の運転モードであること)を通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。
【0060】
また、制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モード以外の運転モードから通常の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号(発報用の信号)、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モードであること)を通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。
【0061】
また、制御基板110は、エレベーター101において障害を検知した場合に、当該障害の発生を通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。具体的には、制御基板110は、たとえば、扉105a、102dを開閉動作させる制御用の信号を出力したにもかかわらず、扉開閉センサの出力値に基づいて該当する扉105a、102dが動作しないことを検出した場合に、エレベーター101における該当する扉105a、102dにかかる障害が発生したことを通知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0062】
制御基板110は、たとえば、制御基板110と外部装置とを接続する配線を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)することができる。より具体的には、制御基板110は、たとえば、制御基板110と外部装置とを接続する配線が、制御基板110に接続される接点を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)することができる。
【0063】
制御基板110は、たとえば、制御基板110に設けられた端子を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、エレベーター101の外部装置との間で通信をおこなう通信用の端子を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力することができる。あるいは、具体的には、御基板110は、たとえば、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力してもよい。
【0064】
インターフォンの端末装置102bは、非常通話ボタン102cが操作された場合に、当該操作があったことを示す呼出信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。呼出信号は、主制御基板121が備える中継基板201に入力される。呼出信号は、中継基板201に加えて、あるいは、中継基板201に代えて、通信用基板122に直接入力されるものであってもよい。これにより、主制御基板121が備える監視制御基板202が、何らかの原因により動作しない場合にも、インターフォンの端末装置102bと電話機140との間において音声通信(通話)をおこなうことができる。
【0065】
インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(通信用基板122)を介して電話機140との接続が確立された状態で、マイクに入力された音声信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。また、インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(通信用基板122)を介して電話機140との接続が確立された状態で、遠隔監視支援装置120から出力された音声信号を、スピーカーを介して出力する。これにより、カゴ102の中の利用者は、インターフォンの端末装置102bを介して、保守管理会社150における電話機140のオペレーターと直接会話(直話)をすることができる。
【0066】
遠隔監視支援装置120が備える主制御基板121は、上記の中継基板201や監視制御基板202に加えて、たとえば、メモリ203と、通信I/F(インターフェイス)204と、によって構成することができる。遠隔監視支援装置120は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された信号(制御用の信号)、発報用の信号、呼出信号などの各種の信号を、中継基板201を介して取得する。
【0067】
中継基板201は、入力を受け付けた信号を解析し、解析結果を主制御基板121が備える監視制御基板202に出力する。制御基板110から出力される各種の信号は、エレベーター101の機種などに応じて異なる。中継基板201は、解析に際して、制御基板110から出力される各種の信号を、監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換する。中継基板201は、入力を受け付けた信号を解析して、監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換する。これにより、エレベーター101の機種の違いにかかわらず、当該エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0068】
監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果を、メモリ203に記憶する。監視制御基板202は、中継基板201が入力を受け付けた信号を、解析をしない状態で、直接メモリ203に記憶してもよい。メモリ203は、電源の供給が絶たれた場合にも記憶した情報を保持する不揮発性の記憶媒体によって実現することができる。具体的には、メモリ203は、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などによって実現することができる。
【0069】
監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果に基づいて通知情報を生成する。遠隔監視支援装置120は、監視制御基板202が生成した通知情報を、通信I/F204を介して通信用基板122に出力する。通信用基板122は、監視制御基板202から出力された通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信する。
【0070】
具体的には、監視制御基板202は、発報用の信号の入力を受け付けた場合に、運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する通知情報や障害の発生を通知する通知情報を生成する。この場合の通知情報は、エレベーター101の状態に関する情報や、当該通知情報の送信元となるエレベーター101の識別情報などを含む。
【0071】
エレベーター101の状態に関する情報は、たとえば、カゴ102の昇降方向やカゴ102の移動先となる階床、移動先となる階床においてカゴ102が停止したか否か、扉105a、102dを開閉させるモーターの動作の有無、などを示す情報を含む。また、エレベーター101の状態に関する情報は、たとえば、カゴ102が現在位置する階床、各種の安全装置の作動の有無などを示す情報を含んでいてもよい。また、エレベーター101の状態に関する情報は、たとえば、運転モードを示す情報を含んでいてもよい。
【0072】
エレベーター101の識別情報は、たとえば、当該エレベーター101の製造番号であってもよいし、当該エレベーター101の設置場所(住所など)に基づいて設定される番号であってもよいし、当該エレベーター101の保守点検をおこなう作業者などが任意に設定した番号であってもよい。エレベーター101の識別情報は、所定桁数の数字やアルファベットなどの文字を組み合わせて構成することができる。
【0073】
遠隔監視支援装置120は、制御用の信号、発報用の信号、呼出信号などの各種の信号は、以下の各種の方法によって取得することができる。具体的には、遠隔監視支援装置120は、たとえば、制御基板110に設けられたリレーと中継基板201とを接続し、制御基板110から出力された制御用の信号に応じて出力(出力状態)が変化するリレーからの出力を、主制御基板121において取得する。この場合、遠隔監視支援装置120は、制御基板110から出力された制御用の信号を、リレーから、中継基板201を介して、主制御基板121において取得することができる。
【0074】
リレーは、制御基板110による制御対象となる各部に対応して設けられ、エレベーター101が備える各部の状態に応じて出力状態が変化する(たとえばON/OFFする)。リレーは、たとえば、電磁石により接点を物理的に動かして開閉する電磁リレーを用いることができる。電磁リレーの接点は、たとえば、メーク(電流を流したときに接点が閉じる)接点であってもよく、ブレーク(電流を流したときに接点が開く)接点であってもよい。また、電磁リレーの接点は、たとえば、トランスファ(電流を流すことで複数の接点を切り替える)接点であってもよく、ラチェット(電流を流すたびに接点の開閉を切り替える)接点であってもよい。また、リレーは、たとえば、ソリッドステートリレーやプログラムリレーを用いてもよい。
【0075】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、リレーに接続された配線に接続され、当該配線からの出力を、主制御基板121において取得してもよい。この場合も、遠隔監視支援装置120は、制御基板110から出力された制御用の信号を、リレー(リレーに接続された配線)から、中継基板201を介して、主制御基板121において取得することができる。
【0076】
具体的には、遠隔監視支援装置120は、たとえば、制御基板110に対してリレーを支持する足(制御基板110とリレーとを接続する配線)に、制御基板110と主制御基板121(中継基板201)との接点を設け、当該接点を介して制御基板110に接続することができる。接点は、制御基板110からリレーに入力する信号用の足(制御基板110とリレーとを接続する配線)に設けることができる。この接点は、リレーから制御基板110に出力される信号用の足(制御基板110とリレーとを接続する配線)に設けてもよい。これにより、制御基板110から出力された制御用の信号に応じて出力(出力状態)が変化するリレーからの出力を、接点を介して取得し、当該接点から中継基板201を介して主制御基板121において取得することができる。
【0077】
また、遠隔監視支援装置120は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力した制御用の信号(以下、適宜「下り信号」という)や、当該下り信号に応じてエレベーター101が備える各部から出力されて制御基板110に入力された信号(以下、適宜「上り信号」という)を取得してもよい。
【0078】
この場合、具体的には、遠隔監視支援装置120は、たとえば、エレベーター101が備える各部に対応して制御基板110に設けられたICチップの足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に、制御基板110と主制御基板121(中継基板201)との接点を設け、当該接点を介して制御基板110に接続する。この場合の接点は、制御基板110からICチップに入力する信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよく、ICチップから制御基板110に出力される信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよい。これにより、遠隔監視支援装置120は、下り信号や上り信号を接点を介して取得し、当該接点から中継基板201を介して主制御基板121において取得することができる。
【0079】
制御基板110においては、エレベーター101が備える各部の動作状態を作業者などが目視によって確認できるように、エレベーター101が備える各部の動作に連動して点灯したり消灯したりするLEDが設けられている場合がある。この場合、遠隔監視支援装置120は、たとえば、LEDの点灯/消灯に応じて出力が変化する光電センサ(図示を省略する)を備え、当該光電センサと中継基板201とを接続し、中継基板201を介して当該光電センサの出力値を主制御基板121において取得することにより、制御基板110から出力された制御用の信号を取得するようにしてもよい。
【0080】
また、遠隔監視支援装置120における主制御基板121(中継基板201)は、たとえば、制御基板110と制御用の信号の出力先となる各部とを接続する配線が制御基板110に接続される接点(ターミナル)に接続することができる。これにより、遠隔監視支援装置120は、制御基板110における配線との接点(ターミナル)から、中継基板201を介して、制御用の信号を取得することができる。この場合の接点(ターミナル)は、制御基板110上に設けられているものに限らず、制御基板110と制御用の信号の出力先となる各部とを接続する配線の途中において、遠隔監視支援装置120における中継基板201と接続されるものであってもよい。
【0081】
あるいは、遠隔監視支援装置120における主制御基板121(中継基板201)は、制御基板110と、当該制御基板110からの制御用の信号の出力先となる各部とを接続する配線を分岐させる配線(分岐線)に接続してもよい。エレベーター101が備える各部と制御基板110とを接続する配線(信号線)111aと分岐線との分岐位置には、制御基板110から出力された制御用の信号を2方向へ分岐する分岐コネクタを設けてもよい。これにより、遠隔監視支援装置120を、分岐コネクタを介して、制御基板110に容易に接続することができる。
【0082】
具体的には、たとえば、制御基板110からの制御用の信号の出力先となる各部(たとえば駆動機構104)と制御基板110とを接続する配線111aに取り付けられて、当該配線111aによって伝達される各種の信号を取得する基板123aを設け、当該基板123aと主制御基板121(中継基板201)とを配線200を介して接続してもよい。これによって、たとえば駆動機構104と、遠隔監視支援装置120の主制御基板121とを接続することができる。このように接続することにより、遠隔監視支援装置120は、駆動機構104と制御基板110との間における下り信号や上り信号を取得することができる。
【0083】
また、具体的には、たとえば、乗り場105の操作盤105bと制御基板110とを接続する信号線111bに取り付けられて、当該信号線111bによって伝達される各種の信号を取得する基板123bを設け、当該基板123bと主制御基板121(中継基板201)とを配線200を介して接続してもよい。これによって、遠隔監視支援装置120の主制御基板121と乗り場105の操作盤105bとを接続することができる。このように接続することにより、遠隔監視支援装置120は、制御基板110と乗り場105の操作盤105bとの間における下り信号や上り信号を取得することができる。
【0084】
また、具体的には、たとえば、カゴ102の操作盤102aと制御基板110とを接続する信号線111cに取り付けられて、当該信号線111cによって伝達される各種の信号を取得する基板123cを設け、当該基板123cと主制御基板121(中継基板201)とを配線200を介して接続してもよい。これによって、遠隔監視支援装置120の主制御基板121とカゴ102の操作盤102aとを接続することができる。このように接続することにより、遠隔監視支援装置120は、制御基板110とカゴ102の操作盤102aの間における下り信号や上り信号を取得することができる。
【0085】
また、具体的には、監視制御基板202は、たとえば、呼出信号の入力を受け付けた場合に、通知情報として、非常通話ボタン102cの操作があったことを通知する通話要求通知を生成する。通話要求通知は、たとえば、カゴ102において非常通話ボタン102cが操作されるごとに生成される。この場合の通知情報は、当該通知情報の送信元となるエレベーター101の識別情報や、当該エレベーター101において非常通話ボタン102cの操作があったことを示す情報などを含む。この場合も、遠隔監視支援装置120は、監視制御基板202が生成した通知情報を、通信I/F204や通信用基板122を介して管理サーバコンピュータ130へ送信する。
【0086】
また、遠隔監視支援装置120は、インターフォンの端末装置102bから出力された呼出信号の入力を受け付けた場合、公衆音声網やPBX205を介して、電話機140に対して、通話のための呼出信号を送出する。具体的には、まず、通信用基板122が接続可能な発信者側の交換機に対して、通話のための呼出信号を送出する。発信者側の交換機は、電話機140と接続された着信側の交換機を介して、電話機140に対して通話のための呼出信号を送出する。これにより、電話機140が発呼され、当該発呼に応じた電話機140のオペレーターの操作によって、インターフォンの端末装置102bと電話機140との間において通話回線が接続され、音声通信(通話)をおこなうことができる。
【0087】
また、具体的には、監視制御基板202は、たとえば、非常通話ボタン102cの操作に応じた架電における所定の架電先である電話機140との通話回線が切断された場合に、通知情報として、電話機140との通話が終了したことを通知する通話終了通知を生成する。この場合の通知情報は、当該通知情報の送信元となるエレベーター101の識別情報や、当該エレベーター101において電話機140との通話が終了したことを示す情報などを含む。この場合も、遠隔監視支援装置120は、監視制御基板202が生成した通知情報を、通信I/F204や通信用基板122を介して管理サーバコンピュータ130へ送信する。
【0088】
遠隔監視システム100においては、エレベーター101の利用者側から保守管理会社150の電話機140に架電することによって通話が開始されることが一般的であり、また、カゴ102には通話を切断する操作を受け付ける操作部などが設けられていないことが一般的であるため、インターフォンの端末装置102bと電話機140との通話は、着信側である保守管理会社150のオペレーター側が切断することが多い。着信側が先に通話を終了すると着信側の交換機に通話終了信号が出力され、当該通話終了信号に応じて、発信者側の交換機に着信側が先に通話を終了したことが通知される。そして、発信者側の交換機は、着信側が先に通話を終了した通知を受け付けてから所定時間(数秒程度)で、接続されていた通話回線を切断する。監視制御基板202は、通話回線が切断されたことを検出した場合に、通話終了通知を生成する。
【0089】
また、遠隔監視支援装置120は、主制御基板121において監視制御基板202によって制御される中継基板201を介して、制御基板110に対して各種の運行指令信号を出力する。遠隔監視支援装置120は、制御基板110を介してエレベーター101が備える各部を駆動制御する際に運行指令信号を出力する。
【0090】
運行指令信号は、たとえば、操作盤102aや操作盤105bにおいて、所定の階床への移動を指示する入力操作を受け付けた場合に当該操作盤102aや操作盤105bから出力される信号と同様の信号(呼び信号など)によって実現することができる。具体的には、運行指令信号は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を所定の階床に移動させたり、移動させたカゴ102を該当する階床において停止させたり、停止させた階床においてカゴ102の扉102dおよび乗り場105の扉105aを開閉させたりする信号を含む。
【0091】
制御基板110は、主制御基板121から出力された運行指令信号を受信すると、受信した運行指令信号に基づいて上述した各種の制御用の信号を生成し、生成した各種の制御用の信号をエレベーター101が備える各部に対して出力する。主制御基板121は、中継基板201を介して監視制御基板202から出力した各種の運行指令信号を、たとえば、エレベーター101が備える保守点検用の端子(図示を省略する)を介して当該制御基板110に入力する。
【0092】
保守点検用の端子は、制御基板110に設けられている。あるいは、保守点検用の端子は、制御基板110の入力端子に電気的に接続され、制御基板110とは別体であってもよい。保守点検用の端子は、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して、当該保守点検作業に用いる端末装置(保守診断用端末)を接続するために設けられている。保守点検用の端子は、遠隔監視を目的として設置されたエレベーター101に限らず、また、既設新設あるいは新旧にかかわらず、幅広い種類のエレベーター101が一般的に備えている。
【0093】
保守点検用の端子を介して中継基板201と制御基板110とを接続する場合、遠隔監視支援装置120は、保守点検用の端子に対して切断可能に接続される接続端子(図示を省略する)を備えていてもよい。このような遠隔監視支援装置120においては、たとえば、接続端子を保守点検用の端子に挿入して嵌合させることによって、接続端子と保守点検用の端子とを接続することができる。
【0094】
また、遠隔監視支援装置120は、通信I/F204を介して、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、保守管理会社150においてオペレーターによる管理サーバコンピュータ130への入力操作を受け付けた場合に、遠隔監視支援装置120に対して指示信号を出力する。
【0095】
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、たとえば、エレベーター101において実行した診断動作の結果に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、通知情報の送信指示に加えて、エレベーター101に対して診断動作の実行指示を送信する。
【0096】
診断動作は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力させ、出力させた信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御基板110から出力させることによって実現される。管理サーバコンピュータ130は、定期的、すなわち、診断指示を出力してから所定時間が経過した場合(1ヶ月ごとなどの所定期間ごと)に、つぎの診断指示を出力してもよい。
【0097】
また、具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、あるいは定期的に、制御基板110において記憶した運行動作の履歴に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信してもよい。運行動作の履歴に関する通知情報は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102dの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報によって実現することができる。
【0098】
遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信した場合に、受信した指示信号に基づいて上記の運行指令信号を生成し、生成した運行指令信号を制御基板110に対して出力する。また、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号に基づく運行指令信号を制御基板110に対して出力した結果、当該制御基板110から出力された信号(制御用の信号など)を取得した場合に、当該信号に基づいて応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。
【0099】
あるいは、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130からの各種の指示信号の送信の有無にかかわらず、あらかじめ指定された日時が到来するごとに、上記の運行指令信号を生成し、生成した運行指令信号を制御基板110に対して出力してもよい。また、あるいは、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130からの各種の指示信号の送信の有無にかかわらず、前回運行指令信号を出力してから、あらかじめ指定された時間が経過するごとに、上記の運行指令信号を生成し、生成した運行指令信号を制御基板110に対して出力してもよい。これらの場合も、遠隔監視支援装置120は、運行指令信号を制御基板110に対して出力した結果、当該制御基板110から出力された信号(制御用の信号など)を取得した場合に、当該信号に基づいて応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。
【0100】
なお、この実施の形態の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130からの各種の指示信号の送信の有無にかかわらず、制御基板110から出力された発報用の信号を取得するごとに、当該信号に基づいて上記の通知情報を生成し、生成した通知情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。このように、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信した場合に限らず通知情報を出力することにより、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100は、エレベーター101の遠隔診断のみならず、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0101】
管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120に対して送信した各種の指示信号に応じて当該遠隔監視支援装置120から送信された応答情報に基づいて、報告書情報を生成する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、診断指示および通知情報の送信指示を送信した結果、遠隔監視支援装置120から受信した通知情報に基づいて、報告書情報を生成する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の走行距離や起動回数に関する情報を含む報告書情報を生成する。
【0102】
また、管理サーバコンピュータ130は、生成した報告書情報に基づいて、報告書(図示を省略する)を発行する機能を備えている。報告書は、たとえば、エレベーター101に診断動作をおこなわせるごと、すなわち、遠隔監視支援装置120に対して送信した診断動作の実行を指示する指示信号(診断指示)に応じた応答情報を受信するごとに発行することができる。具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、生成した報告書情報に基づいて、当該報告書情報を紙などの記録媒体に印刷するための印刷情報を生成し、生成した印刷情報を、管理サーバコンピュータ130に接続された操作用の端末装置131に出力する。操作用の端末装置131は、印刷情報を受け付けた場合、当該操作用の端末装置131に接続されたプリンタを駆動制御することによって報告書を発行させることができる。
【0103】
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100の機能的構成について説明する。
図3は、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100を構成する各部の機能的構成を示すブロック図である。
【0104】
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
図3において、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の各機能は、操作検出部311と、通話要求通知生成部312と、通話要求通知送信部313と、架電制御部314と、架電部315と、通話終了検出部316と、通話終了通知送信部317と、によって実現される。
【0105】
操作検出部311は、非常通話ボタン102cの操作がされたことを検出する。操作検出部311は、たとえば、中継基板201に対する呼出信号の入力の有無、あるいは、中継基板201から監視制御基板202に出力される解析結果に含まれる呼出信号の有無を判断することにより、非常通話ボタン102cの操作がされたことを検出する。操作検出部311の機能は、たとえば、主制御基板121によって実現することができる。より具体的には、操作検出部311の機能は、たとえば、中継基板201、監視制御基板202、メモリ203などによって実現することができる。
【0106】
通話要求通知生成部312は、操作検出部311が非常通話ボタン102cの操作がされたことを検出した場合、通話要求通知を生成する。通話要求通知は、非常通話ボタン102cの操作がされたエレベーター101の識別情報を含む。通話要求通知生成部312の機能は、たとえば、主制御基板121によって実現することができる。より具体的には、通話要求通知生成部312の機能は、たとえば、監視制御基板202、メモリ203などによって実現することができる。
【0107】
通話要求通知送信部313は、通話要求通知生成部312が生成した通話要求通知を管理サーバコンピュータ130に送信する。すなわち、通話要求通知送信部313は、操作検出部311が非常通話ボタン102cの操作がされたことを検出した場合、当該検出に応じて生成された通話要求通知を管理サーバコンピュータ130に送信する。通話要求通知送信部313の機能は、たとえば、主制御基板121や通信用基板122によって実現することができる。より具体的には、通話要求通知送信部313の機能は、たとえば、監視制御基板202、通信I/F204および通信用基板122などによって実現することができる。
【0108】
架電制御部314は、通話要求通知送信部313が通話要求通知を送信した後に、架電部315を制御して、所定の架電先である電話機140への架電をおこなう。また、架電制御部314は、電話機140の架電により当該電話機140との通話回線が接続された場合、電話機140側から送出される音声信号を、インターフォンの端末装置102bに出力する。架電制御部314の機能は、たとえば、主制御基板121によって実現することができる。より具体的には、架電制御部314の機能は、たとえば、中継基板201、監視制御基板202、通信I/F204および通信用基板122などによって実現することができる。架電部315の機能は、たとえば、通信用基板122によって実現することができる。
【0109】
通話終了検出部316は、架電制御部314の架電による通話が終了したことを検出する。通話終了検出部316は、たとえば、上記のように、発信者側の交換機によって、接続されていた通話回線が切断されたことを検出する。通話終了検出部316の機能は、たとえば、主制御基板121や通信用基板122によって実現することができる。より具体的には、通話終了検出部316の機能は、たとえば、中継基板201、監視制御基板202、通信I/F204および通信用基板122などによって実現することができる。
【0110】
通話終了通知送信部317は、架電制御部314の架電による通話が終了した場合に、管理サーバコンピュータ130に対して通話終了通知を送信する。通話終了通知送信部317の機能は、たとえば、主制御基板121や通信用基板122によって実現することができる。より具体的には、通話終了通知送信部317の機能は、たとえば、監視制御基板202、通信I/F204および通信用基板122などによって実現することができる。
【0111】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100においては、通話要求通知送信部313や通話終了通知送信部317による遠隔監視支援装置120と管理サーバコンピュータ130との通信、および、架電制御部314による所定の架電先への架電、を単一の通信用基板122を制御しておこなう。
【0112】
(管理サーバコンピュータ130の機能的構成)
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100を構成する管理サーバコンピュータ130の各機能は、記憶部321と、通話要求通知受信部322と、報知処理部323と、通話終了通知受信部324と、終了処理部325と、によって実現される。
【0113】
記憶部321は、遠隔監視システム100の動作にかかる各種の情報を記憶する。具体的には、記憶部321は、たとえば、上記のデータベースを記憶する。記憶部321の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備える記憶媒体によって実現することができる。
【0114】
通話要求通知受信部322は、遠隔監視支援装置120の通話要求通知送信部313の機能によって送信された通話要求通知を受信する。通話要求通知受信部322の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPU、記憶媒体、ネットワーク160に接続されたインターフェイスなどによって実現することができる。
【0115】
報知処理部323は、通話要求通知受信部322が通話要求通知を受信した場合、当該通話要求通知に基づく報知処理をおこなう。報知処理部323は、たとえば、管理サーバコンピュータ130が備える表示装置、または、当該管理サーバコンピュータに直接または間接的に接続された表示装置に、通話要求通知受信部322が受信した通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示させることによって報知処理をおこなう。
【0116】
所定の報知情報は、たとえば、通話要求通知の送信元となる遠隔監視支援装置120に対応するエレベーター101の物件情報によって実現することができる。エレベーター101の物件情報は、管理サーバコンピュータ130が備えるデータベースにおいて、通話要求通知受信部322が受信した通話要求通知に含まれる識別情報と同じ識別情報に関連付けて記憶されている物件情報によって実現することができる。この場合、報知処理部323の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPU、記憶媒体、操作用の端末装置131とのインターフェイスなどによって実現することができる。
【0117】
具体的には、この場合、管理サーバコンピュータ130は、操作用の端末装置131に対して、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示させるための表示情報をCPUや記憶媒体を用いて生成し、生成した表示情報を操作用の端末装置131とのインターフェイスを介して操作用の端末装置131に出力する。そして、管理サーバコンピュータ130から出力された表示情報を受け付けた操作用の端末装置131において、当該表示情報に基づいて、当該操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示させることによって報知処理をおこなうことができる。
【0118】
管理サーバコンピュータ130にディスプレイ131bが直接接続されている場合、報知処理部323は、当該直接接続されているディスプレイ131bに、通話要求通知受信部322が受信した通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示させることによって、報知処理をおこなってもよい。この場合、報知処理部323の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPU、記憶媒体、管理サーバコンピュータ130に直接接続されたディスプレイ131bとのインターフェイスなどによって実現することができる。
【0119】
保守管理会社150において、複数の電話機140およびオペレーターを配置している場合、報知処理部323による表示情報の出力先は、たとえば、通話回線が開放されている(空いている)電話機140に対応する操作用の端末装置131のうち、あらかじめ定められた優先順序にしたがっていずれか1人のオペレーターの操作用の端末装置131に決定することができる。あるいは、報知処理部323による表示情報の出力先は、すべてのオペレーターの操作用の端末装置131に決定してもよい。
【0120】
通話終了通知受信部324は、遠隔監視支援装置120の通話終了通知送信部317によって送信された通話終了通知を受信する。通話終了通知受信部324の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPU、記憶媒体、ネットワーク160に接続されたインターフェイスなどによって実現することができる。
【0121】
終了処理部325は、通話終了通知受信部324が通話終了通知を受信した場合、当該通話終了通知に基づく終了処理をおこなう。終了処理部325は、たとえば、管理サーバコンピュータ130に接続された操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、通話終了通知受信部324が受信した通話終了通知に基づく所定の報知情報を表示させることによって、終了処理をおこなう。この場合、終了処理部325の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPU、記憶媒体、操作用の端末装置131とのインターフェイスなどによって実現することができる。
【0122】
具体的には、この場合、管理サーバコンピュータ130は、操作用の端末装置131に対して、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに通話終了通知に基づく所定の報知情報を表示させるための表示情報をCPUや記憶媒体を用いて生成し、生成した表示情報を操作用の端末装置131とのインターフェイスを介して操作用の端末装置131に出力する。そして、管理サーバコンピュータ130から出力された表示情報を受け付けた操作用の端末装置131において、当該表示情報に基づいて、当該操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、通話終了通知に基づく所定の報知情報を表示させることによって終了処理をおこなうことができる。
【0123】
管理サーバコンピュータ130にディスプレイ131bが直接接続されている場合、当該直接接続されているディスプレイ131bに、通話終了通知受信部324が受信した通話終了通知に基づく所定の報知情報を表示させることによって、終了処理をおこなってもよい。この場合、終了処理部325の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPU、記憶媒体、管理サーバコンピュータ130に直接接続されたディスプレイ131bとのインターフェイスなどによって実現することができる。
【0124】
なお、報知処理部323が、複数の操作用の端末装置131に表示情報を出力した場合、管理サーバコンピュータ130は、当該表示情報に対応する遠隔監視支援装置120からの架電を受け付けたタイミングで、残余の操作用の端末装置131に対して、架電を受け付けた遠隔監視支援装置120にかかる表示をディスプレイ131bから削除することを指示する削除指示を出力してもよい。これにより、オペレーターに負担をかけることなく、対応が完了したにもかかわらず、表示情報が表示され続けることを回避できる。
【0125】
終了処理部325は、通話終了通知に基づく所定の報知情報を表示することによる終了処理に代えて、あるいは加えて、たとえば、管理サーバコンピュータ130が読み取り可能な記録装置に、通話終了通知受信部324が受信した通話終了通知に基づく所定の履歴情報を記録することによって、終了処理をおこなってもよい。この場合、終了処理部325の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備えるCPUや記憶媒体などによって実現することができる。通話終了通知に基づく所定の履歴情報は、管理サーバコンピュータ130を実現するコンピュータ装置が備える記憶媒体に限るものではなく、当該コンピュータ装置に接続された外部記憶装置に記憶してもよい。
【0126】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
図4は、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100における遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいて、まず、非常通話ボタン102cの操作があるまで待機する(ステップS401:No)。
【0127】
ステップS401において、非常通話ボタン102cの操作があった場合(ステップS401:Yes)、通話要求通知を生成する(ステップS402)。ステップS402においては、たとえば、上記のように、通話要求通知の送信元となるエレベーター101の識別情報や、当該エレベーター101において非常通話ボタン102cの操作があったことを示す情報などを含む通話要求通知を生成する。そして、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS402において生成した通話要求通知を送信する(ステップS403)。
【0128】
つぎに、保守管理会社150に設置された電話機140へ架電する(ステップS404)。そして、ステップS404における架電による通話が開始されたか否かを判断する(ステップS405)。ステップS405において、通話が開始されていない場合(ステップS405:No)、ステップS404において架電をおこなってから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS406)。
【0129】
ステップS406において、ステップS404において架電をおこなってから所定時間が経過していない場合(ステップS406:No)、ステップS405に戻り、架電を継続する。一方、ステップS406において、ステップS404において架電をおこなってから、通話が開始されないまま所定時間が経過した場合(ステップS406:Yes)、架電を中断して(ステップS407)、ステップS404へ移行する。
【0130】
保守管理会社150においては、オペレーターが別の通話に対応している場合など、エレベーター101からの通話要求に直ちに対応できない状況が想定される。このような状況においては、エレベーター101のインターフォンから電話機140を呼び出すことができても、直ちに通話ができない。このため、このような状況においては、一旦架電を中断し、再度架電をおこなう。
【0131】
このように、直ちに通話が開始されない状況において一旦架電を中断することにより、電話機140を呼び出している間に制御基板110から発報用の信号が出力された場合などに、架電を中断したタイミングで、エレベーター101から管理サーバコンピュータ130に対して、当該発報用の信号に基づく通知情報を送信することができる。これにより、遠隔監視支援装置120と管理サーバコンピュータ130との通信、および、架電制御部314による所定の架電先への架電、を単一の通信用基板122を制御しておこなう場合にも、エレベーター101の状態を迅速に管理サーバコンピュータ130に通知することができる。
【0132】
ステップS405において、通話が開始された場合(ステップS405:Yes)、当該通話が終了するまで待機する(ステップS408:No)。ステップS408において、通話が終了した場合(ステップS408:Yes)、通話終了通知を生成する(ステップS409)。ステップS409においては、たとえば、上記のように、通話終了通知の送信元となるエレベーター101の識別情報や、当該エレベーター101において電話機140との通話が終了したことを示す情報などを含む通話終了通知を生成する。そして、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS409において生成した通話終了通知を送信して(ステップS410)、一連の処理を終了する。
【0133】
(管理サーバコンピュータ130の処理手順)
図5Aは、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100における管理サーバコンピュータ130の処理手順を示すフローチャートである。
図5Aのフローチャートにおいて、まず、
図4のステップS403において遠隔監視支援装置120から送信された通話要求通知を受信するまで待機する(ステップS511:No)。
【0134】
ステップS511において、通話要求通知を受信した場合(ステップS511:Yes)、受信した通話要求通知に基づいて、報知処理をおこなう(ステップS512)。ステップS512においては、たとえば、上記のように、操作用の端末装置131に対して、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、ステップS511:Yesにおいて受信した通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示させるための表示情報をCPUや記憶媒体を用いて生成し、生成した表示情報を操作用の端末装置131とのインターフェイスを介して操作用の端末装置131に出力することによって報知処理をおこなう。
【0135】
表示情報を受け付けた操作用の端末装置131は、当該表示情報に基づいて、当該操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示する。操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bには、所定の報知情報に加えて、オペレーターが当該所定の報知情報を確認した際に操作する操作キーなどを表示してもよい。
【0136】
つぎに、ステップS511:Yesにおいて受信した通話要求通知に基づいて、管理サーバコンピュータ130が備える記憶媒体に、通話要求履歴を記憶する(ステップS513)。ステップS513においては、たとえば、通話要求通知の受信日時、通話要求通知の送信元となるエレベーター101の識別情報などの情報を記憶する。ステップS513においては、管理サーバコンピュータ130が備える記憶媒体に限らず、管理サーバコンピュータ130に接続された外部記憶装置に記憶してもよい。
【0137】
その後、ステップS512においておこなった報知処理により報知された報知内容の確認操作があったか否かを判断する(ステップS514)。運用上、保守管理会社150のオペレーターは、ステップS512においておこなった報知処理によりエレベーター101において非常通話ボタン102cが操作されたことが報知されると、操作用の端末装置131に対して、報知内容の確認操作をおこなう。報知内容の確認操作は、たとえば、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに表示された操作キーの操作によって実現することができる。報知内容の確認操作がおこなわれるまで所定の報知情報を表示することにより、確認がなされず、非常通話ボタン102cを操作したにもかかわらず対応がされないという状況の発生を抑制できる。
【0138】
ステップS514において、報知内容の確認操作がない場合(ステップS514:No)、ステップS512に戻って当該報知を継続しておこなう。一方、ステップS514において、報知内容の確認操作があった場合(ステップS514:Yes)、一連の処理を終了する。
【0139】
管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120から送信された通話要求通知を受信するごとに、それぞれ、
図5Aのフローチャートに示した処理をおこなう。このため、複数の通話要求通知を受信した状況においては、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bにおいては、報知内容の確認操作がない限り、複数の報知情報が表示される。
【0140】
図5Bは、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100における管理サーバコンピュータ130の処理手順を示すフローチャートである。
図5Bのフローチャートにおいて、まず、
図4のステップS410において遠隔監視支援装置120から送信された通話終了通知を受信するまで待機する(ステップS521:No)。
【0141】
ステップS521において、通話終了通知を受信した場合(ステップS521:Yes)、管理サーバコンピュータ130が備える記憶媒体に、通話履歴を記憶して(ステップS522)、一連の処理を終了する。ステップS522においては、たとえば、管理サーバコンピュータ130が備える記憶媒体を参照して、ステップS521:Yesにおいて受信した通話終了通知にかかる通話要求履歴を特定し、特定した通話要求履歴に、当該通話要求履歴にかかる通話の開始日時、終了日時、該当するエレベーター101の識別情報などの情報を記憶する。
【0142】
上記の実施の形態においては、通信用基板122を介して、主制御基板121と管理サーバコンピュータ130とを接続するようにしたが、これに限るものではない。主制御基板121は、通信用基板122とは別の通信用基板を用いて通信をおこなってもよい。この場合、遠隔監視支援装置120は、音声通信とデータ通信とをそれぞれ別個におこない、各通信を並行しておこなうことができる。この場合、別の通信用基板として、たとえば、PHS基板を用いることができる。
【0143】
上記のように、エレベーター101の設置場所は固定であるため、PHSを利用した通信をおこなうことにより通信の品質を確保するとともに、別の通信用基板を用いることにより一方の通信によって他方の通信を制限することなく、音声通信およびデータ通信をおこなうことができる。これにより、たとえば、エレベーター101に生じた故障などを管理サーバコンピュータ130に通知するためにエレベーター101の利用者の通話が制限されたり、エレベーター101の利用者の通話のために管理サーバコンピュータ130への通知が制限されたりすることを防止できる。
【0144】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの通話管理システムを実現する、エレベーター101の遠隔監視システム100は、エレベーター101のカゴ102に設けられたインターフォンの非常通話ボタン102cの操作がされた場合、遠隔監視支援装置120が、非常通話ボタン102cの操作がされたエレベーター101の識別情報を含む通話要求通知を生成して管理サーバコンピュータ130に送信する。管理サーバコンピュータ130は、通話要求通知を受信すると、当該通話要求通知に基づく報知処理をおこなう。
【0145】
そして、遠隔監視支援装置120は、通話要求通知を送信した後に、保守管理会社150に設置された電話機140への架電をおこない、当該架電が終了した場合に、管理サーバコンピュータ130に対して通話終了通知を送信する。その後、通話終了通知を受信した管理サーバコンピュータ130において、当該通話終了通知に基づく終了処理をおこなうことを特徴としている。
【0146】
このように、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、非常通話ボタン102cが操作された場合は、非常通話ボタン102cを押した利用者とオペレーターとが通話を開始する前に、管理サーバコンピュータ130において非常通話ボタン102cが操作されたことが報知される。これにより、利用者がオペレーターに直話通話したい要求すなわち架電があることを確実に案内することができる。
【0147】
利用者が直話ボタンを操作するのは、当該利用者が緊急性を感じている状況であることが想定される。この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、非常通話ボタン102cが操作されて、利用者がオペレーターとの直話通話を希望していることをまず報知することによって、その後の架電に対するオペレーターの迅速な応対を促すことができる。
【0148】
具体的には、たとえば、保守管理会社150に設置された電話機140がすべて通話中である場合などにおいて、利用者と通話中のオペレーターに対して、別の利用者がオペレーターとの直話通話を希望していることを案内することができる。これにより、当該オペレーターは先に通話中の利用者との通話にかかる時間を調整し、先に通話中の利用者に対する対応をおこないつつ、通話を希望している別の利用者との通話を早期に開始できるよう対応することができる。これにより、エレベーターの利用者の不安軽減を図り、エレベーターに対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーターを利用させることができる。
【0149】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、通話が終了した場合は、管理サーバコンピュータ130に通話終了通知を送信し、当該管理サーバコンピュータ130において所定の終了処理をおこなうことにより、たとえば、オペレーターが先の架電に応対した直後に別の架電に応対するなどした場合にも、各架電応対に関する事後処理を確実におこなうことができる。
【0150】
これにより、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、オペレーターが、先の架電に関する事後処理の失念を回避するために、当該事後処理が完了するまで別の架電に応対できないという状況を減らし、利用者が緊急性を感じたことによる架電に対するオペレーターの迅速な応対を促すことができ、かつ、オペレーターによる事後処理の負担軽減を図ることができる。
【0151】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100は、管理サーバコンピュータ130に接続された表示装置として、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、通話要求通知に基づく所定の報知情報を表示させることを特徴としている。
【0152】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、通話要求通知に基づく表示をおこなうことにより、視覚を通じて、オペレーターに架電があることを迅速かつ明確に案内することができ、架電に対するオペレーターの迅速な応対を促すことができる。これにより、エレベーターの利用者の不安軽減を図り、エレベーターに対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーターを利用させることができる。
【0153】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、管理サーバコンピュータ130が読み取り可能な記録装置、通話終了通知に基づく所定の履歴情報を記録することを特徴としている。
【0154】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、管理サーバコンピュータ130が通話終了通知に基づく履歴情報を記録することにより、事後処理の失念を防止し、オペレーターによる事後処理の負担軽減を77ることができる。
【0155】
なお、上述した実施の形態では、通話終了通知に基づく所定の履歴情報を記録するようにしたが、この発明にかかる遠隔監視システム100においては、管理サーバコンピュータ130に接続された表示装置として、操作用の端末装置131が備えるディスプレイ131bに、通話終了通知に基づく所定の報知情報を表示させるようにしてもよい。
【0156】
このような遠隔監視システムによれば、通話終了通知に基づく表示をおこなうことにより、オペレーターに対して、架電があったことを視覚を通じて確実に案内することができ、架電応対に関する事後処理を確実におこなわせることができる。
【0157】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100は、遠隔監視支援装置120が、管理サーバコンピュータ130との通信と所定の架電先への架電とを、単一の通信用基板122を制御しておこなうことを特徴としている。
【0158】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100によれば、通信にかかる基板を単一の通信用基板122によっておこなうことによって通信にかかる基板のメンテナンスの負担軽減および当該メンテナンスにかかる費用抑制など、コストを抑制することができる。これにより、通信にかかる基板のメンテナンスにおいて抑制したコストを、通信にかかる基板以外のエレベーター101における各部のメンテナンスに有効に利用することができる。そして、これにより、エレベーターの利用者の不安軽減を図り、エレベーターに対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーターを利用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、この発明にかかるエレベーターの通話管理システムは、インターフォン通話が可能なエレベーターの通話管理システムに有用であり、特に、遠隔地から動作状態を監視しているエレベーターの通話管理システムに適している。
【符号の説明】
【0160】
100 遠隔監視システム
101 エレベーター
102 カゴ
102b インターフォンの端末装置
102c 非常通話ボタン
120 遠隔監視支援装置
121 主制御基板
122 通信用基板
130 管理サーバコンピュータ
140 電話機
150 保守管理会社
311 操作検出部
312 通話要求通知生成部
313 通話要求通知送信部
314 架電制御部
315 架電部
316 通話終了検出部
317 通話終了通知送信部
321 記憶部
322 通話要求通知受信部
323 報知処理部
324 通話終了通知受信部
325 終了処理部