IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンスター株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066391
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】シリカ含有口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20220421BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220421BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220421BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/37
A61K8/34
A61Q11/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033054
(22)【出願日】2022-03-04
(62)【分割の表示】P 2017198870の分割
【原出願日】2017-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 真実
(72)【発明者】
【氏名】三田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 里絵
(72)【発明者】
【氏名】大島 由行
(57)【要約】
【課題】比較的大きい比表面積を有するシリカ粒子を含有し、且つ、多くの香料を配合しなくとも使用時にエステル系香料の香味立ちに優れた、口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)比表面積200m/g以上のシリカ粒子、(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物、及び(C)モノテルペンアルコール化合物を含有する、口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)比表面積200~400m/gのシリカ粒子、
(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物、及び
(C)モノテルペンアルコール化合物
を含有し、
(B)成分及び(C)成分の質量比が、1:0.005~0.02である
口腔用組成物。
【請求項2】
(B)成分が、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸ブチル、及びヘキサン酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(C)成分が、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、及びテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(B)成分の含有量が、0.005~0.5質量%である、請求項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)成分及び(C)成分の質量比が、1:0.005~0.2であり、
(B)成分が、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸ブチル、及びヘキサン酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種であり、
(C)成分が、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、及びテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種であり、
(B)成分の含有量が、0.005~0.5質量%である、
請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(C)モノテルペンアルコール化合物を配合する工程を有する、(A)比表面積200~400m/gのシリカ粒子、及び(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物を含有し、且つ(B)成分の香味立ちが増強された口腔用組成物を製造する方法であって、
(B)成分及び(C)成分の質量比が、1:0.005~0.02となるように(C)成分を配合することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカを含有する口腔用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
歯牙の着色は、ステインと呼ばれる色素沈着物が歯牙へ沈着することで生じ、これは審美上の大きな問題となる。ステインを除去するための手段としては、歯牙研磨剤が配合された歯磨組成物等の口腔用組成物を歯ブラシなどの用具を介して口に含み、歯牙を刷掃するという方法が一般的である。歯牙研磨剤として、シリカ粒子が広く用いられている。シリカ粒子は、その製造方法の条件等を変化させることで、様々な異なった性質を有するものを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-58483号公報
【特許文献2】国際公開2015/133358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口腔用組成物には、口腔内へ適用した際の嗜好感を高めたり、含まれる成分の苦み・えぐみ等をマスキングする等の目的で、香料が配合されることがほとんどである。特に、フルーティな香りのするエステル系香料は頻用される。ところが、エステル系香料は疎水性であることが多く、このためにシリカ粒子表面に特に吸着しやすい。このため、比較的大きい比表面積を有するシリカ粒子を含有する口腔用組成物については、エステル系香料を配合したとしてもシリカ粒子表面に吸着してしまい、嗜好感を高める、苦み・えぐみ等をマスキングする等といった、香料に期待される効果が損なわれてしまうおそれがある。そして、このために、より多くの香料を配合しなければならない場合があり、製造コスト上問題となり得る。
【0005】
一方で、歯牙のステインを除去する効果の高い歯牙研磨剤は、一般に歯牙表面の研磨性もステイン除去効果に比例して高くなる傾向があるため、歯牙への安全性を考慮して、ステイン除去効果は高いが、歯牙研磨性は高くない(ある程度抑えられた)シリカ粒子を使用することが好ましいと考えられる。このようなシリカ粒子として、例えば比表面積の大きい粒子を選択する必要出てくる場合があるが、前述のように比表面積の大きいシリカ粒子を用いた場合、香料成分がシリカ粒子表面に吸着し、香味立ちが悪くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、比較的大きい比表面積を有するシリカ粒子を含有し、且つ、多くの香料を配合しなくとも使用時にエステル系香料の香味立ちに優れた、口腔用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定のエステル系香料に加え、比較的少量の特定のフルーツと異なる香りを有するテルペンアルコール系香料をさらに口腔用組成物に配合することにより、使用時にエステル系香料の香味立ちが増強される可能性を見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)比表面積200m/g以上のシリカ粒子、
(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物、及び
(C)モノテルペンアルコール化合物
を含有する、口腔用組成物。
項2.
(B)成分が、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸ブチル、及びヘキサン酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の口腔用組成物。
項3.
(C)成分が、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、及びテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4.
(A)成分が、比表面積200~500m/gのシリカ粒子である、項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5.
(B)成分及び(C)成分の質量比が、1:0.005以上である、項1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
項6.
(B)成分の含有量が、0.005~0.5質量%である、項1~5のいずれかに記載の口腔用組成物。
項7.
(C)モノテルペンアルコール化合物を配合する工程を有する、
(A)比表面積200m/g以上のシリカ粒子、及び(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物を含有する口腔用組成物の、(B)成分の香味立ちを増強する方法。
項8.
(C)モノテルペンアルコール化合物を配合する工程を有する、
(A)比表面積200m/g以上のシリカ粒子、及び(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物を含有し、且つ(B)成分の香味立ちが増強された口腔用組成物を製造する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る口腔用組成物は、シリカへの特定のエステル系香料の吸着による香味の低下が抑制されており、よって、エステル系香料の香味立ちが増強される。従って過剰に香料を配合することなく高い香味の効果を得ることができる。なお、香味立ちの増強とは、好ましくは、当該口腔用組成物の口腔内への適用時の当該特定のエステル系香料の香味の立ち上がりが亢進されること、及び/又は、当該香味の持続性が高まることをいう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0011】
本発明に包含される口腔用組成物は、次の(A)、(B)、及び(C)を含有する。(以下、「(A)成分」等ということがある。)
(A)比表面積200m/g以上のシリカ粒子
(B)炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物
(C)モノテルペンアルコール化合物
【0012】
(A)成分は、比表面積200m/g以上のシリカであれば、特に制限はされない。例えば、乾式法シリカであっても湿式法シリカであってもよい。湿式法シリカとしては、沈降シリカとゲル法シリカが例示される。また、溶融シリカであってもよい。研磨性シリカが好ましい。比表面積は、好ましくは200~500m/gである。また、当該シリカは、研磨性(RDA)が30以上のものが好ましい。RDAは、ISO11609:1995「A.3.6基準研磨剤スラリー」に記載の方法で研磨性シリカのスラリーを調製し、これをHefferenらの方法(J. Dent. Res., Vol. 55, No.4,563-573,1976年)により測定した値である。なお、増粘性シリカは、RDAが30以上であることは無い。
【0013】
このようなシリカは、公知の方法により製造することができ、また市販品を購入して用いることもできる。
【0014】
なお、当該比表面積は、BET比表面積である。BET比表面積は、JIS Z8830(気体吸着による粉体の比表面積測定法)に準じN吸着1点法により測定する。N分子(断面積0.16nm)の吸着量により比表面積を算出するので、比較的小さな細孔の内部まで表面積の測定が可能である。このため、通常、BET比表面積が大きいシリカは、一次粒子が小さいシリカであると解釈することができる。 また、特に制限はされないが、当該シリカの平均粒子径としては1~10μm程度が例示される。なお、本明細書におけるシリカの平均粒子径はd50であり、水を分散液として用いてレーザー回折散乱法により求めた値である。当該値は、例えば、低出力He/Neレーザーを使用し、フラウンホーファー回折の原理を利用した、マルバーン・マスターサイザー(Malvern Mastersizer)を用いて測定できる。なお、上記の通り、通常、比表面積が大きいほど平均粒子径
は小さいと解釈することができる。
【0015】
(B)成分は、炭素数2~6のアルコール及び炭素数2~6のカルボン酸からなる脂肪酸エステル化合物であり、これらはエステル系香料として用いられる化合物である。
【0016】
炭素数2~6のアルコールとしては、炭素数2~6の直鎖又は分岐鎖状のアルキルアルコールが好ましく挙げられる。具体的には、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、n-ヘキサノール、イソヘキサノール等が挙げられる。また、炭素数2~6のカルボン酸としては、炭素数2~6の直鎖又は分岐鎖状のカルボン酸が好ましく挙げられる。具体的には、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0017】
好ましい当該脂肪酸エステル化合物としては、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸ブチル、及びヘキサン酸エチル等が挙げられる。これらは、公知の方法により製造することができ、あるいは市販品を購入して用いることができる。
【0018】
当該脂肪酸エステル化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて(B)成分として用いることができる。
【0019】
(C)成分は、モノテルペンアルコール化合物であり、これらはフローラル系香料として用いられる化合物である。例えば、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テルピネオール、ネロール、ボルネオール、ラバンジュロールなどが挙げられ、中でも、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、及びテルピネオールが好ましい。これらは、公知の方法により製造することができ、あるいは市販品を購入して用いることができる。
【0020】
当該モノテルペンアルコール化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて(C)成分として用いることができる。
【0021】
本発明において、(C)成分は、比較的少量で(B)成分の香味を増強することができる。例えば、(B)成分及び(C)成分の質量比((B):(C))は、1:0.005以上であることが好ましく、1:0.01以上であってもよい。また、当該質量比において、(C)成分の比の上限は特に制限はされない。例えば、(B):(C)は、1:0.005~5、1:0.005~3、又は1:0.005~2程度が例示される。
【0022】
口腔用組成物における(A)成分の含有量は、例えば、0.5~30質量%程度が好ましく、1~25質量%程度がより好ましく、1.5~20質量%程度がより好ましい。また、0.5~5質量%程度であってもよい。
【0023】
また、口腔用組成物における(B)成分の含有量は、例えば、0.005~0.5質量%程度が好ましく、0.01~0.4質量%程度がより好ましく、0.01~0.3質量%程度がさらに好ましく、0.05~0.3質量%程度がよりさらに好ましい。
【0024】
また、口腔用組成物における(C)成分の含有量は、例えば、0.001~0.2質量%程度であり得る。
【0025】
本発明の口腔用組成物は、常法により製造することができ、例えば医薬品、医薬部外品としても用いることができる。特に消費者が自らの判断で選択し、使用することができる通常の口腔用組成物や医薬部外品の口腔用組成物が好ましい。また、本発明の口腔用組成物の形態は、特に限定するものではないが、常法に従って例えば軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、ジェル剤、液剤、スプレー剤、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、塗布剤等の形態(剤形)にすることができる。なかでも、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、ペースト剤、液剤、スプレー剤、ジェル剤、塗布剤であることが好ましく、練歯磨剤、ペースト剤、ジェル剤がより好ましい。
【0026】
本発明の口腔用組成物には、上記(A)~(C)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物に配合し得る任意成分を、単独で又は2種以上組み合わせて、さらに配合してもよい。
【0027】
例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレン付加係数が8~10、アルキル基の炭素数が13~15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン付加係数が10~18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が例示される。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が例示される。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;N-ラウリルジア
ミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が例示される。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1~5質量%である。
【0028】
また、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド等の甘味剤を配合し得る。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらは、組成物全量に対して0.01~1質量%配合することができる。
【0029】
また、粘結剤として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリンなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
さらに、湿潤剤として、ソルビット、グリセリン、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0031】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等を単独又は2種以上組み合わせて配合することができる。
【0032】
着色剤として、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等を単独又は2種以上組み合わせて配合してもよい。
【0033】
pH調整剤として、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等を配合してもよい。これらは、組成物のpHが4~8、好ましくは5~7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の配合量は例えば0.01~2重量%が例示される。
【0034】
薬効成分として、殺菌剤を配合してもよい。例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のカチオン性殺菌剤、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、ヒノキチオール等が挙げられる。またさらに、殺菌剤以外の薬効成分を配合することもできる。例えば、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、フッ化ナトリウム等を配合してもよい。殺菌剤以外の薬効成分は単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0035】
また、基剤として、例えば、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等を単独または2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0036】
以上の任意成分の記載は例示であり、用い得る任意成分を限定するものではない。
【0037】
本発明は、(C)成分を配合する工程を有する、(A)成分及び(B)成分を含有する口腔用組成物の、(B)成分の香味立ちを増強する方法、並びに、(C)成分を配合する工程を有する、(A)成分及び(B)成分を含有し、且つ(B)成分の香味立ちが増強された口腔用組成物を製造する方法、も包含する。これらの方法における各種条件は、上述したのと同じである。
【0038】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例0039】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0040】
常法により、表2に記載した組成(各成分の数値は質量%を示す)に従って各成分を混合し、練歯磨組成物(各実施例、比較例、及び参考例)を調製した。なお、用いた研磨性シリカは全て沈降シリカであり、その比表面積及び平均粒子径は次の通りである。なお、比表面積はJIS Z8830(気体吸着による粉体の比表面積測定法)に準じN吸着1点法により測定したBET比表面積である。また、平均粒子径はd50であり、水を分散液として用いてレーザー回折散乱法(マルバーン・マスターサイザー(Malvern Mastersizer)を使用)により求めた値である。
【0041】
【表1】
【0042】
調製した各歯磨組成物を1gずつブラシに乗せ、1 分間のブラッシング中の香味立ち及び香味の持続について、以下の5段階で評価した。なお、評価は、専門のパネリスト5名の官能評価により行い、平均値を算出した。
【0043】
〔香味立ちの評価基準〕
5:十分な香味立ちがある
4:香味立ちがある
3:香味立ちがややある
2:香味立ちがわずかにある
1:香味立ちが感じられない
【0044】
〔香味立ち/香味の持続性の評価基準〕
5:十分な香味の持続性がある
4:香味の持続性がある
3:香味の持続性がややある
2:香味の持続性がわずかにある
1:香味の持続性が感じられない
【0045】
なお、香味立ちとは、組成物を口腔内へ適用した際の、口腔内における脂肪酸エステ
ル化合物((B)成分)の香味の広がり(立ち上がり)をいう。また、香味の持続性とは、香味立ちで感じられた香味の強さが適用中継続して感じられる(つまり、香味が弱まらない)ことをいう。
【0046】
結果を表2に併せて示す。なお、表2には、各平均値について、次の基準による判定(◎、○、△、×)も併せて示す。
【0047】
〔香味立ち/香味の持続性の判定基準〕
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:3点未満、2点以上
×:2点未満
【0048】
【表2】
【0049】
以下に、本発明の口腔用組成物に係る処方例を示す。なお、各成分の配合量値は質量%である。また、以下の処方例は、全てペースト状組成物である。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】