(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066415
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】患者接触表面を備えたペンニードルハブ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/46 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
A61M5/46
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033427
(22)【出願日】2022-03-04
(62)【分割の表示】P 2020158848の分割
【原出願日】2016-01-29
(31)【優先権主張番号】62/109,826
(32)【優先日】2015-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーン サリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ブレンドン ヒル
(72)【発明者】
【氏名】スダーサン スリニヴァサン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リニ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード クルーグ
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ モレル
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ペティス
(57)【要約】
【課題】貫通の深さを制御するための幅および高さを有する皮膚接触表面を有している注射デバイスを提供する。
【解決手段】ペンニードルのためのニードルベアリングハブには、被験者の皮膚に接触するための拡大された表面を有する、遠位の患者に面する側部が設けられている。拡大された表面には、注射が皮膚の表面に対して傾斜した角度で実施されるときに、ニードルが完全な注射深さに到達する傾向を増加させる曲率半径が提供され、また、所望の深さまでより少ない不快感が患者に提供される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤ペン本体部を受け入れるための凹部を近位側に有し、また、遠位端部を有するハブと、
前記ハブの中に受け入れられており、前記ハブの前記遠位端部から延在するカニューレであって、前記カニューレは、被験者の皮膚の中への注射のための遠位端部、および、前記ペン本体部の薬剤コンパートメントの中に位置決めするための近位端部を有している、カニューレと
を含む、ペンニードルであって、
前記ハブは、前記遠位端部において、3.0mmよりも大きい直径を有する遠位表面を有し、3.0mmから16.0mmの範囲にある曲率半径を有する凸形形状を有しており、
前記遠位表面は、前記遠位表面の周縁部において外周表面を有し、前記カニューレを取り囲む内側表面を有し、また、前記外周表面と前記内側表面との間に延在する底部表面を有する環状形状の凹んだ部分を有しており、
前記凹んだ部分の前記底部表面は、前記被験者の前記皮膚の中への前記カニューレの挿入の間に、前記皮膚の表面に接触することを特徴とするペンニードル。
【請求項2】
前記凹んだ部分は、5.0mmから10.0mmの範囲にある曲率半径を有していることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項3】
前記内側表面は、0.5mmから2.5mmの直径を有する前記カニューレに隣接する平坦な部分を有しており、前記凹んだ部分は、前記ニードルのすべての側部において、前記平坦な部分から前記外周表面の周縁部へ延在していることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項4】
前記凹んだ部分は、実質的に連続的な凸形表面を有していることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項5】
前記内側表面は、実質的に平面的な表面を有しており、前記実質的に平面的な表面は、前記カニューレを取り囲み、前記カニューレの軸線に対して実質的に垂直な平面内に延在しており、前記凹んだ部分は、前記ハブの前記外周表面と前記平面的な表面の外周縁部との間に延在する連続的な凸形表面を形成していることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項6】
前記カニューレは、約4.0mmから約5.0mmの長さを有しており、前記遠位表面は、約5.0mmから約10.0mmの幅を有していることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項7】
前記遠位表面は、前記遠位表面から延在する内側リングを有しており、また、内側リングは、前記被験者の前記皮膚の中への前記カニューレの挿入の間に前記皮膚の表面に接触するための半径方向の幅を有する軸線方向の遠位面を有していることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項8】
前記遠位表面の前記内側表面および外周表面は、約6.0mmから約10.0mmの曲率半径を有する連続的な曲線に整合させられていることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項9】
前記凹んだ部分は、約6.0mmから10.0mmの曲率半径を有する連続的な凸形表面を有しており、前記凸形表面は、前記内側表面および外周表面と同心円状になっていることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項10】
前記凹んだ部分は、約0.4mmから1.0mmの深さを有しており、前記遠位表面は、約5.0mmから10.0mmの幅を有しており、前記遠位表面の前記周縁部と前記カニューレを取り囲む前記内側表面との間に、約1.0mmから1.5mmの高さを有していることを特徴とする請求項9に記載のペンニードル。
【請求項11】
薬剤ペンであって、薬剤ペンは、
薬剤コンパートメント、および、ペンニードルを受け入れて連結するための遠位端部を有するペン本体部を含み、前記ペンニードルは、
前記ペン本体部を受け入れて連結するための凹部を近位側に備えるベースと、遠位表面と、前記近位側と前記遠位表面との間に延在する開口部とを有するハブを含み、
前記遠位表面は、約3.0mmよりも大きい直径を有し、約3mmから16mmの曲率半径を有する凸形形状を有しており、
薬剤ペンは、
前記ハブの前記遠位表面から、および、前記近位側から延在するカニューレであって、前記カニューレは、被験者の皮膚の中への注射のための遠位端部と、前記ペン本体部の前記薬剤コンパートメントの中に位置決めするための近位端部とを有している、カニューレ
を含み、
前記遠位表面は、前記遠位表面の周縁部において外周表面を有し、前記カニューレを取り囲む内側表面を有し、また、前記外周表面と前記内側表面との間に延在する底部表面を有する環状形状の凹んだ部分を有しており、
前記凹んだ部分の前記底部表面は、前記被験者の前記皮膚の中への前記カニューレの挿入の間に、前記皮膚の表面に接触することを特徴とする薬剤ペン。
【請求項12】
前記遠位表面の前記内側表面および前記外周表面は、約6.0mmから約10.0mmの曲率半径を有する連続的な曲線に整合させられていることを特徴とする請求項11に記載の薬剤ペン。
【請求項13】
前記凹んだ部分は、約6.0mmから10.0mmの曲率半径を有する連続的な凸形表面を有しており、前記凸形表面は、前記内側表面および外周表面と同心円状になっていることを特徴とする請求項12に記載の薬剤ペン。
【請求項14】
前記凹んだ部分は、約0.4mmから1.0mmの深さを有しており、前記遠位表面は、約5.0mmから10.0mmの幅を有しており、前記遠位表面の前記周縁部と前記カニューレとの間に、約1.0mmから1.5mmの高さを有していることを特徴とする請求項13に記載の薬剤ペン。
【請求項15】
前記内側表面は、実質的に平面的な表面を有しており、前記実質的に平面的な表面は、前記カニューレを取り囲み、前記カニューレの軸線に対して実質的に垂直な平面内に延在しており、前記凹んだ部分は、前記ハブの周縁部と前記平面的な表面の外周縁部との間に延在する連続的な凸形表面を形成していることを特徴とする請求項11に記載の薬剤ペン。
【請求項16】
前記凹んだ部分は、前記内側表面および前記外側表面と同心円状になっていることを特徴とする請求項9に記載のペンニードル。
【請求項17】
前記外周表面は、前記ハブの前記周縁部に外側リングを画定し、前記凹んだ部分は、前記内側リングと前記外側リングとの間に延在しており、前記凹んだ部分は、前記カニューレの挿入の間に、前記凹んだ部分、前記内側リング、および、前記外側リングが、前記皮膚の表面に接触する深さを有していることを特徴とする請求項7に記載のペンニードル。
【請求項18】
前記内側リングおよび前記外側リングは、湾曲した遠位表面を有するとともに、前記曲率半径を画定するように配向されることを特徴とする請求項17に記載のペンニードル。
【請求項19】
前記凹んだ部分は、前記内側リングおよび前記外側リングと実質的に同心円状になっていることを特徴とする請求項17に記載のペンニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年1月30日に出願された米国特許仮出願第62/109,826号明細書の米国特許法第112条(e)の下での利益を主張し、それは、その全体が参照により組み込まれている。
【0002】
本発明は、医療用デバイスの分野におけるものである。具体的には、本発明は、注射性能の改善のために、患者に接触する表面を備えたニードルベアリングハブ(needle-bearing hub)を有するペンニードルに関する。患者に接触する表面は、皮膚の中へのカニューレの所望の深さの貫通を促進させるように構成されている。本発明ハブは、自己投与される薬剤を投与するために使用される薬剤ペンの上に搭載され得るが、それは、そのようなデバイスとともに使用することに限定されない。
【背景技術】
【0003】
自己投与される薬剤を送達するための薬剤ペンは、一般的に、薬剤コンパートメントを収容するペン本体部と、ペン本体部に取り外し可能な別々のペンニードルとを含む。ペンニードルは、ペン本体部を受け入れるための凹部を近位側部に有するニードルベアリングハブと、薬剤コンパートメントにアクセスし、典型的に、ペン本体部の中の薬剤カートリッジの膜を穿孔する、近位(非患者端)ニードルとを含む。ペンニードルアッセンブリの遠位(患者端)は、注射部位の中へ挿入されるニードルの斜角付きの(beveled)遠位端部を含む。
【0004】
注射は、皮内(ID)領域、皮下(SC)領域、および筋肉内(IM)領域の中に実施され得る。インスリンを含む、多くのタイプの注射可能な薬剤に関して、SC領域が、注射を行うのに好適である。たとえば、非特許文献1を参照されたい。
【0005】
異なる長さのニードル、および、ますます頻繁には、4mmニードルおよび5mmニードルなどのような、より短いニードルが、皮下領域の中の特定の目標深さへの注射を実現するように適合されている。本発明は、ユーザーが薬剤ペンを用いて注射部位にアプローチする角度にかかわらず、ニードルがその目標深さに挿入されることを確実にする必要性に対処する。
【0006】
特定の先行技術のペンニードルでは、カニューレは、ハブの上に軸線方向に位置決めされたポストの中に支持されている。ポストは、ペン本体部が受け入れられる相対的に幅の広い部分から遠位に延在する幅の狭い部分を形成している。当技術分野で公知の他のペンニードルでは、注射部位に対して設置されるハブの遠位面は、相対的に大きくなっていることが可能であり、また、縁部において、わずかなテーパーが設けられ得る。しかし、ハブの縁部は、カニューレが所定の角度で挿入されるときに、皮膚に係合し、注射を妨害する。わずかなテーパーは、注射の間に機能的ではなく、または、ハブの遠位面の縁部においてのみ存在しており、一般的に、約16.0mmよりも大きい曲率半径を有している。
【0007】
従前のデバイスは、一般的に、意図する使用に関して適切であるが、薬物または薬剤を送達するためのカニューレの貫通を制御するためのデバイスの改善に対する継続的な必要性が存在している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lo Presti, et al., Skin and subcutaneous thickness at injecting sites in children with diabetes: ultrasound findings and recommendations for giving injection, Pediatric Diabetes (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、注射デバイスに関し、とりわけ、注射ペンに連結するためのニードルハブに関し、ニードルハブは、ニードルハブから延在するカニューレによる貫通の深さを制御するように構成された皮膚接触表面を有している。本発明は、とりわけ、ニードルハブデバイスに関し、接触表面は、カニューレの貫通の深さを制御するために互いに補完する高さおよび幅を有している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこれらの目的および他の目的は、本発明の1つの態様では、ペンニードルであって、ペンニードルは、薬剤ペン本体部を受け入れるための凹部を近位側部に有するニードルベアリングハブと、被験者の皮膚の中への注射のための斜角付きの遠位端部、および、ペン本体部の薬剤コンパートメントの中に位置決めするための近位端部を有するカニューレとを含み、ハブは、3.0mmから9.5mmの範囲にある直径を有する遠位面を有しており、遠位面の少なくとも一部分は、3.0mmから16.0mmの範囲にある曲率半径を有している、ペンニードルによって実現される。実施形態では、カニューレを取り囲むハブの中心部分は、0.5mmから9.0mmの範囲にある直径を有している。
【0011】
別の態様では、本発明は、ニードルハブを有する除去可能なペンニードルとともに薬剤コンパートメントを有するペン本体部を含む薬剤ペンである。本発明のさまざまな実施形態におけるニードルハブは、ニードル挿入および薬物送達の間に皮膚に接触するための凸形の遠位の軸線方向の表面を有することが可能である。ニードルハブは、約5~50mm2の接触表面積を有することが可能である。接触表面は、1つの実施形態では、約0.3mmから0.7mmの高さを有することが可能であり、内側リングは、1~4mm2の表面積を備えている。
【0012】
本発明の1つの特徴は、約0.5mmから6.0mmの高さを有する凸形表面を有する皮膚接触表面と、接触表面から突出している、皮膚を貫通するためのカニューレとを備えた注射デバイスを提供することである。カニューレは、接触表面の中心に位置付けされ得て、接触表面がカニューレを取り囲むようになっている。本発明の1つの実施形態では、凸形接触表面は、約0.5mmから1.0mmの高さ、および、約5.0mmから7.0mmの幅を有しており、皮膚に接触するために十分な表面積、および、カニューレの軸線に対して適切な形状および角度を提供し、カニューレによって制御された皮膚の中への貫通の深さを提供する。
【0013】
本発明の別の特徴は、皮膚を貫通するためのカニューレを有する注射デバイスであって、デバイスは、貫通の深さを制御するための幅および高さを有する実質的に凸形表面を有する皮膚接触表面を有している、注射デバイスを提供することである。凸形表面は、カニューレの挿入の間に皮膚の変形を制御するための高さおよび幅を有しており、所望の深さへの貫通を確保しながら、カニューレが意図するよりも深い深さまで皮膚を貫通することを抑制する。
【0014】
別の態様では、本発明は、注射のプログラムにおいて、浅い注射の発生を低減させるための方法であり、その方法は、上記に説明されている薬剤ペンおよびペンニードルを使用して、一連の注射を行うステップを含む。
【0015】
本明細書で説明されているような、凸形の湾曲したハブ設計は、従前のデバイスと比較して、注射性能問題を最小化しながら、患者の注射部位に接触する、より大きい表面積を提供する。具体的には、より大きい患者の快適性および安定性が、注射の間に皮膚に接触する、より大きい表面積の結果として実現されるが、注射が所定の角度で実施される場合でも、本設計によるハブの縁部は、ペンニードルカニューレの完全な挿入を可能にして促進させることとなる。これらの考慮事項は、4mmまたは5mmの範囲にある、より短いカニューレを有するペンニードルに関して、とりわけ重要である。より短いニードルを用いると、ニードルが適正に皮膚を貫通しない場合に、注射は、皮膚のID層の中に実施される可能性がある。インスリンおよび他の糖尿病関連の薬物は、好ましくは、SCスペースに送達されることが多い。ニードルの完全な挿入が起こらない場合には、インスリンは、適正な場所に送達されない可能性がある。別の懸念は、注射が浅過ぎる場合には、液体の蓄積部が皮膚表面の直ぐ下に生成される可能性があるということである。この蓄積部は、皮膚の中の膨らみの出現を結果として生じさせる可能性があり、それは、患者にとって痛みを伴うものであり、もしくは、気を散らすものである可能性があり、または、注射部位からの漏出も結果として生じさせる可能性がある。蓄積部形成の問題は、浅い注射、および/または、より大きい体積の薬物が送達されることによって悪化し、それは、現在ではより頻繁に使用されている、より短いニードル長さおよびより大きい体積によって、より頻繁に起こっている。したがって、本発明のさらなる目的は、注射の角度にかかわらず、所望の注射深さに薬剤を送達するようにカニューレを位置決めすることとなるペンニードルハブを提供することである。
【0016】
さまざまな実施形態の好適な特徴または随意的な特徴のそれぞれは、他の特徴と組み合わせられ得、また、1または複数の特定の特徴と組み合わせて説明されている特徴は、他の実施形態の1または複数の他の特徴と組み合わせられ得るということが理解されることとなる。
【0017】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、以下の本発明の詳細な説明から明らかになることとなり、本発明の詳細な説明は、図面とともに、本発明のさまざまな実施形態を開示している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下は、図面の簡単な説明である。
【
図1】ペンニードルの実施形態によるニードルベアリングハブ設計、および比較例を示す図である。
【
図2】
図1に説明されているペンニードルハブを使用して、浅い注射の発生を示す研究の結果を示す図である。
【
図3】ペンニードルのハブアッセンブリとともに使用するためのペンニードルアッセンブリの斜視図である。
【
図4】皮膚の中への初期の貫通の間のカニューレを示す、ペンニードルの1つの実施形態におけるペンニードルハブの側面図である。
【
図5】貫通後の緩和した条件の皮膚を示す、
図4のペンニードルハブの側面図である。
【
図6】
図4のペンニードルハブの上部斜視図である。
【
図7】ペンニードルの別の実施形態におけるペンニードルハブの斜視図である。
【
図10】接触表面の中の環状の凹部を示す、さらなる実施形態におけるペンニードルの斜視図である。
【
図12】
図10のペンニードルハブによる皮膚の中へのカニューレ挿入を示す断面図である。
【
図13】ペンニードルの別の実施形態におけるペンニードルハブの斜視図である。
【
図15】ペンニードルハブのさらなる実施形態におけるペンニードルの斜視図である。
【
図17】ペンニードルの別の実施形態におけるペンニードルハブの斜視図である。
【
図19】ペンニードルのさらなる実施形態におけるペンニードルハブの斜視図である。
【
図21】ペンニードルハブの別の実施形態におけるペンニードルの斜視図である。
【
図23】ペンニードルハブのさらなる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「薬剤ペン」は、典型的に複数の用量分の薬剤を含有する薬剤コンパートメント、および、別々のペンニードルを有するデバイスを表すように、本明細書で使用されている。「ペンニードル」という語句は、ニードルベアリングアッセンブリを表しており、それは、薬剤ペン本体部に取り付けられ得て、ペンニードルアッセンブリの近位端部が、薬剤コンパートメントにアクセスするようになっており、遠位端部は、1または複数の注射を実施するために、注射部位の中へ挿入するように適合されている。「ニードル」および「カニューレ」という用語は、被験者の注射部位の中への挿入のための斜角付きの端部を有する薄いチューブ状の部材を表すように、本明細書で互換可能に使用されている。本明細書で使用されているように、「遠位」方向は、注射部位に向かう方向であり、「近位」方向は、反対側の方向である。「軸線方向」は、ニードルの長手方向軸線に沿う方向、または、それに平行な方向を意味しており、「半径方向」は、軸線方向に対して垂直な方向である。
【0020】
被験者の組織の中の皮下層の位置、および、所望の注射深さは、患者の年齢、注射が行われる身体の部分などに応じて変化する。したがって、絶対条件としての注射深さは、本発明の重要な態様であるとして考えることはできない。しかし、一般的な指針として、大人の皮内(ID)層は、おおよそ2mmから3mmの厚さを有しており、ID注射深さが、約0mmから3mmの範囲にあるようになっており、深さは、皮膚の外側表面から測定される。皮下の(SC)領域の厚さは、被験者の身体の上の注射部位の場所、および、被験者の体格指数(BMI)に応じて、幅広く変化する可能性がある。SCスペースの平均厚さは、約7mmから約12mmの範囲にあり、SC注射深さが、約3mmから15mmの範囲にあるようになっている。SC領域は、浅い皮下の(SSC)層、SC層、および、深い皮下の(DSC)層にさらに細分化され得、浅い皮下の(SSC)層は、約1mmの厚さ、および、約2mmから約4mmの注射深さを有しており、SC層は、約3mmから7mmの深さにおいて、約4mmの注射深さ厚さを有しており、深い皮下の(DSC)層は、約4mmの厚さ、および、約7mmから約12mmの注射深さ深さを有している。デバイスからの注射が、皮下のスペース(SSC)の上側領域の中で起こる場合には、ID注射がそのデバイスによって起こることとなるという可能性がより高い。デバイスからの注射が、皮下のスペース(DSC)のより深い領域の中で起こる場合には、IM注射がそのデバイスによって起こることとなるという可能性がより高い。インスリンは、好ましくは、SCスペースに送達される。IDまたは筋肉内(IM)スペースのいずれかへの注射は、処方されているものとは異なるインスリンの摂取を結果として生じさせる可能性がある。
【0021】
異なる被験者の組織の中の異なる領域および層の位置は、超音波イメージングを使用して確認され得る。また、これらの技法は、特定の注射が「浅かった」(すなわち、蓄積部が、所定の最適な深さよりも浅い位置で見出される)かどうかということの経験的な決定のために、注射後の薬剤蓄積部の場所を決定するために使用され得る。そして、これらの観察は、次回、浅い注射の数が低減されるということを検証するために使用され得る。注射がSC領域の中に蓄積されることを意図される場合には、「浅い注射」は、蓄積部がSSC領域またはID領域の中にある注射として定義される。
【0022】
本発明は、所定の貫通深さまで皮膚を貫通するための所定の長さを有するカニューレを有する注射デバイスに関する。注射デバイスは、カニューレが皮膚を貫通するときに皮膚に接触して変形させるための皮膚接触表面を有しており、皮膚の表面に対してさまざまな注射の角度での貫通の深さを制御することを支援する。接触表面は、皮膚の所望の層まで皮膚の中への貫通の深さを制御するための所定の形状、幅、および高さを有している。約3mm以下の小さくて狭い皮膚接触表面を有するデバイスによる貫通力は、デバイスが使用の間に皮膚に押し付けられるときに、カニューレの周りの皮膚の中に深い凹みを形成させるということが見出された。皮膚の外側表面の中に形成される凹みは、ユーザーによって意図されるよりも深い皮膚の中へ、ユーザーによって意図されるよりも深い皮膚層まで、カニューレが貫通することを結果として生じさせることが多い。例として、約3mmの幅を有するポストの中に装着された4.0mmカニューレは、接触表面が皮膚の表面の中に凹形窪みを形成することを結果として生じさせる可能性があり、それは、カニューレが4mmよりも深く貫通する可能性があり、ユーザーに痛みまたは不快感を引き起こす可能性があるより深い皮膚の層に貫通する可能性がある。また、より深い貫通は、カニューレが、薬物を患者に送達する際に効果の低い皮膚の層に薬物を送達することを引き起こす。
【0023】
カニューレを取り囲むペンニードルデバイスの皮膚接触表面は、カニューレによる貫通の深さのより大きい制御を提供するように構成された幅および高さを有している。本発明の1つの実施形態では、ペンニードルデバイスは、約4mmのカニューレ貫通を得るように構成されている。皮膚接触表面は、カニューレの貫通の間にデバイスが皮膚に押し付けられるときの皮膚表面の変形の形状、幅、および深さを制御するようにさらに構成されている。幅は、カニューレの挿入の間に、および、通常の挿入力を使用した薬物の注射または送達の間に、皮膚に接触する表面積として決定される。高さは、接触表面の外側周縁部と接触表面の近位端部との間の直線的な距離を表している。
【0024】
1つの実施形態におけるデバイスの皮膚接触表面は、カニューレを取り囲む、約5.0mm2から約70.0mm2の皮膚に接触するための表面積を有している。さまざまな実施形態では、皮膚接触は、約15mm2から60mm2の表面積を有している。1つの実施形態では、接触表面は、約45~55mm2の表面積を有することが可能である。示されている実施形態における皮膚接触表面は、実質的に円形または実質的に円形形状を有しており、カニューレが、円形の皮膚接触表面の中心軸線に沿って位置付けされている。この実施形態におけるカニューレは、約4.0mmから約6.0mmの長さを有しており、薬物を、とりわけインスリンを、最も効率的な皮膚の深さに送達するための、所定の深さおよび皮膚層まで皮膚を貫通する。
【0025】
皮膚接触表面は、ハブの外側縁部からハブの接触表面およびカニューレの遠位端部または最も遠い部分へ延在する、連続的なおよび均一な湾曲を形成する凸形形状を有しており、皮膚接触表面が、カニューレの貫通および薬物の送達の間に皮膚に接触する実質的に半球形の形状またはドーム形状を有するようになっている。皮膚接触エリアの凸形表面は、3.0mmよりも大きい幅または直径、典型的には、約6.0mmから8.0mmの幅または直径、および、約0.5mmから約1.5mmの高さを有することが可能であり、高さは、接触表面の外側周縁部から、カニューレを取り囲み、周縁部から軸線方向に間隔を置いて配置されている、接触表面の最も遠い中心部分へ測定される。1つの実施形態では、凸形皮膚接触表面は、約1.0mmの高さ、および、約7.0mmの直径を有している。凸形表面は、6.0mmから16.0mmの曲率半径を有することが可能である。本発明のさまざまな実施形態では、凸形表面は、6.0mmから9.0mmの曲率半径を有している。他の実施形態では、凸形表面は、6.0mmから7.0mmの曲率半径を有することが可能である。1つの実施形態では、凸形接触表面は、接触表面の直径以上の曲率半径を有している。曲率半径は、接触表面の直径の約1倍から1.5倍であることが可能である。
【0026】
接触表面の高さ(H)に対する直径(D)の比率は、皮膚の中への挿入のときのカニューレの貫通の深さに影響する。一般的に、より大きい比率は、皮膚に接触することとなる、より大きい表面積、および、貫通の深さのより大きい制御を提供する。より小さいD:Hは、より小さい表面積を提供し、それは、挿入のときに皮膚を圧縮し、より深いカニューレの貫通を結果として生じさせることが可能である。特定の実施形態では、表面エリアの高さに対する直径の比率は、約2:1から10:1の範囲にあることが可能である。他の実施形態では、比率は、約5:1から8:1の範囲にあることが可能である。
【0027】
本発明の1つの実施形態では、注射デバイスの皮膚接触表面は、カニューレを取り囲む接触表面の中の環状の凹部を備えた半球形の形状を有している。1つの実施形態における凹部は、皮膚の中へのカニューレの挿入の間にデバイスが皮膚に押し付けられるときに、皮膚が凹部の底部に接触することを可能にする深さを有している。凹部の深さおよび幅または直径は、カニューレの貫通の間の皮膚表面の変形を制御し、貫通の深さを制御するために、接触表面の一部を形成するように構成され得る。凹部は、約0.4mmから1.0mmの深さ、典型的には、約0.5mmの深さを有することが可能である。凹部は、ハブの外側周縁部における外側リングおよびカニューレによって画定され得、または、周縁部における外側リング、および、接触表面の中心におけるカニューレの周りのポストまたは内側リングによって画定され得る。他の実施形態では、皮膚接触表面の中に形成されている凹部は、約0.4μlから3.0μlの体積を有することが可能である。
【0028】
図1は、例示的なニードルハブデバイスの比較を示しており、1Aおよび1Bは、実質的に平坦な遠位表面を有している。示されているように、
図1の1Cの例示的な実施形態では、ペンニードルハブ10は、近位部分101を備えるニードルベアリングハブを有しており、近位部分101は、ハブの近位側において、薬剤ペン本体部を受け入れるための凹部を囲んでいる。カニューレ103は、被験者の皮膚の中への注射のための斜角付きの遠位端部を有しており、ハブ10の遠位部分の上の遠位面100から延在している。遠位部分の中で、カニューレ103は、接着剤、または、ニードルを固定化するために当技術分野で知られている他の手段を使用して、ポスト(図示せず)の中に軸線方向に支持され得る。ニードルの近位端部は、ペン本体部の薬剤コンパートメントにアクセスするために、ハブの中に位置決めされている。薬剤コンパートメントは、典型的に、膜を有する容器であり、膜は、ペンニードルがペンの上に搭載されるときに、ニードルの近位端部によって穿孔され得る。
【0029】
ハブ10の遠位面は、一般的に、3.0mmから10.0mmの間の直径を有している。好ましくは、直径は、4.0mmよりも大きく、より好ましくは、5.0mmよりも大きく、さらにより好ましくは、6.5mm以上になっている。皮膚に接触する表面積が比較的に大きいということは、
図1の1Dに示されている従前のデバイスと比較して、より少ない皮膚の圧縮を伴って、より安定した快適な注射をもたらすということが見出され、
図1の1Dに示されている従前のデバイスでは、患者端のカニューレは、ハブの上の幅の狭い支持ポストから直接的に延在している。1Dに示されているデバイスでは、患者が注射を実施するときに、支持ポストは、皮膚の中へ押し込まれ、痛みおよび不快感を引き起こす可能性があり、また、望むよりも深い注射につながる可能性がある。注射の間に皮膚に接触するハブの表面積を増加させることは、被験者がより少ない痛みおよび不快感を経験すること、および、より一貫性のある注射深さを経験することにつながるはずである。したがって、遠位面の直径の下限は、支持ポストの直径(典型的に2.7mm)よりも大きくなっている。遠位面の直径「d」に関する範囲の上側端部は、遠位面の縁部が注射性能を妨げないように選択される。9.5mmよりも大きい直径「d」は、付加的な利益を提供することができない。
【0030】
表面積の増加に加えて、本発明によるハブの遠位面の少なくとも一部分は、凸形表面を形成するように、外向きに湾曲している。湾曲した部分は、3.0mmから16.0mmの範囲にある曲率半径、好ましくは、6mmから8mmの範囲にある曲率半径を有している。1つの実施形態では、湾曲した部分は、約7mmの曲率半径を有している。
【0031】
遠位面全体が湾曲している必要はない。たとえば、0.5mmから7mmの直径を有するカニューレに隣接するエリアは、平坦であることが可能であり、すなわち、ニードルの軸線に対して垂直になっており、また、遠位面の周縁部を含む、平坦なエリアに隣接するエリアは、凸形の湾曲を有することが可能である。遠位面の縁部における湾曲は、所定の角度で注射部位にアプローチしているニードルが注射部位に対して再配向されてより深く貫通することを可能にするが、一方、縁部において不十分な湾曲を有する遠位ハブの縁部(たとえば、1Aおよび1Bに示されているものなど)は、ハブの遠位面の縁部が注射部位に近接する皮膚に係合しているときに、ニードルが注射部位の中へ貫通することを阻止する可能性がある。これは、カニューレに対して横方向の力を引き起こす可能性があり、それは、カニューレが挿入力によって曲がることを引き起こす可能性がある。
【0032】
図2は、湾曲によって拡大された遠位面を有するハブを使用して、浅い(IDおよびSSC)注射の発生が低減されたかどうかということを決定するために実施されたインビボテストの結果を示している。
図2は、ハブのそれぞれを用いて得られた浅い(IDおよびSSC)注射の数を示しており、比較的に大きい湾曲をハブに設けることがより少ない浅い注射を結果として生じさせるということを実証している。20回の注射が、注射部位に対して垂直な線に対して50度の角度で実施された。理想的な注射は、0度で、すなわち、注射部位に対して垂直に実施される。超音波イメージングが、薬剤蓄積の深さを識別するために使用された。カニューレがポストから延在している従前のデバイス(1D)は、浅い注射を結果として生じさせなかったが、カニューレが望むよりも深くに貫通することを結果として生じさせた。すべての20回の注射が、SC領域の中にあった。拡大された遠位面を有するハブ(1Aから1C)のうち、湾曲した面が、より少ない浅い注射を結果として生じさせた。
【0033】
図1は、インビボテストにおいて注射を実施するために使用されたハブ設計を示している。設計1Aおよび1Bは、拡大された表面積(それぞれ、6.5mmおよび8.5mmの直径)を有するが湾曲のない遠位面を含んでいた。本発明による実施形態、
図1Cには、ニードルの周りの小さいエリアを除いて、遠位面に6mmの湾曲が設けられている。また、ニードルがポストの上に設けられている、先行技術による市販の実施形態も含まれていた。
【0034】
図3を参照すると、注射デバイスは、外側スリーブ12と、膜16によってシールされる薬剤カートリッジ14と、キャップ22とを有する薬物送達ペン150を含む。カニューレ20を有するハブ18は、送達ペンに連結される。プランジャーが、薬物をディスペンスするためにカートリッジの端部に設けられている。送達ペンは、当技術分野で公知のものと同様の構造および動作を有する。
【0035】
図4、
図5、および
図6の実施形態では、送達ペンに連結するためのハブ18は、円筒形状を有しており、側壁部24を有する本体部23を含み、開口端部26を形成している。開口端部26は、
図3のペンニードル送達デバイス150に連結するための、
図8の実施形態に示されているような雌ネジ部を備えた内部キャビティーを形成している。別の実施形態では、ハブには、
図4に示されているように、平坦にされた側部29が設けられ得る。平坦にされた側部は、湾曲したハブ面の機能性には影響を与えない。この場合のハブの直径は、カニューレがそこから延在する、ハブの遠位を向く表面の最も幅の広い部分を表している。
【0036】
図4および
図5のハブ18は、皮膚接触表面、および、挿入の間の挿入力による皮膚変形、および、患者によって通常印加される挿入力によるカニューレの貫通を図示している。示されている実施形態では、ハブ18は、ハブから延在する内側リング34を有している。ハブは、皮膚接触表面32の幅または直径を画定する円形の外側周縁部36を有している。カニューレ20を支持する内側リング34は、ハブ20の軸線方向面25および周縁部から突出している。この実施形態では、軸線方向面25は、実質的に平坦になっている。内側リング34は、実質的に切頭円錐形の形状を有しており、または、内側リング34の軸線方向の遠位端部から軸線方向面25へ傾斜する側部表面27を備えた半球形の形状を有している。示されている実施形態では、軸線方向面は、約5~10mmの直径を有しており、典型的に、約7mmから約8.0mmの直径を有している。内側リング34は、約1mmから約1.5mmの軸線方向面から延在する高さ、および、約1~4mmの幅を有している。
【0037】
内側リング34は、典型的に、カニューレを受け入れて装着するためにハブを通して延在する中心ボアを有している。ボアの開口端部は、接着剤を受け入れてカニューレをハブに固定するためのボアの幅よりもわずかに大きい幅を有している。開口端部は、約1.0mmから2.0mmの直径、典型的には、約1.74mmの直径を有する接着剤の窪みを形成している。接着剤は、軸線方向面の接触表面から突出することなく、開口端部の中に設置されている。
【0038】
図4に示されているように、ハブの接触による、患者の皮膚との接触表面から突出しているカニューレ20の初期の貫通は、皮膚38の中の窪み37、および、初期のカニューレ貫通深さを形成する。次いで、皮膚の表面は、
図5に示されているように緩和し、皮膚の表面が、接触表面の形状に実質的に一致し、カニューレ20の貫通の深さを制限するようになっている。
図4および
図5では、デルタ(Δ)は、内側リング34の軸線方向の端部と皮膚の皮下層との間の距離を表している。本発明は、挿入の間、および、貫通力が注射デバイスに印加されている間に、カニューレの貫通の深さの制御を提供するための、接触表面の形状、表面積、および高さに関する。
【0039】
示されている実施形態では、カニューレ20は、薬物の効率的な送達、とりわけインスリンの効率的な送達のために望まれる深さに皮膚を貫通するために、約4.0mmから5.0mmの長さ、典型的に、約4.0mmの長さを有している。ハブの接触表面は、皮膚の中の凹みの変形および寸法を制御するための幅および高さを有しており、それによって、カニューレの貫通の深さを制御する。接触表面の形状および寸法は、皮膚表面に完全に係合するときに印加される圧力を分配させる。圧力分布と組み合わせた外形は、患者に対する快適性を改善することを提供する。ハブの高さおよび表面積、ならびに、周囲部表面積は、所与の印加力に関して、組織の圧縮および緩和の程度に影響する。
【0040】
図7~
図9の実施形態におけるハブ18は、ペン送達デバイスと連結するための雌ネジ部44を備えた側壁部42を有する本体部分40を有している。側壁部の遠位端部は、周縁部46を有しており、また、周縁部46とハブの遠位端部を形成しているポスト52のベース50との間に延在するショルダー部48を形成している。ポスト52は、ハブ18の軸線方向外向きに突出し、カニューレ20を支持している。
図7に示されているように、ポスト52は、ショルダー部48から外向きに延在しており、接触表面54を形成する軸線方向面を有している。この実施形態では、接触表面54は、周縁部55からカニューレ20を受け入れるための開口部へ延在している連続的な湾曲した凸形形状を有している。接触表面54は、実質的に均一な湾曲を備えたドーム形状を有しており、それは、周縁部55から、カニューレ20の周りの部分へ、および、接触表面54の最も遠い遠位部分へ、約0.4mmから約2.0mmの軸線方向の高さ56を有する半球形の形状を形成している。1つの実施形態では、接触表面は、約1.0mmから1.5mmの高さを有することが可能である。接触表面54は、約6.0mmから10.0mmの曲率半径を有する連続的な湾曲を有することが可能である。1つの実施形態では、接触表面は、約6.0mmから8.0mmの曲率半径を有している。湾曲した接触表面は、約15~100mm
2の表面積を有することが可能である。1つの実施形態では、湾曲した接触表面は、約50.0mm
2から60.0mm
2の表面積を有することが可能である。接触表面は、カニューレ20を取り囲む実質的に平坦な環状の部分を有することが可能であり、それは、示されているように、カニューレの軸線に対して実質的に垂直な平面内に配向させられている。平坦な環状の部分は、約0.5mmから約2.5mmの直径を有することが可能である。
【0041】
ハブ18は、カニューレ20を支持するために中心に位置付けされた通路58を有しており、また、カニューレ20をハブ18に固定するために、
図8に示されているように接着剤62を受け入れるための凹んだ開口端部60を有している。凹んだ開口端部60は、接着剤を受け入れるために漏斗形状の凹部を形成する傾斜した表面63を有することが可能である。示されている実施形態では、接着剤62は、凹んだ開口端部60の一部分を充填し、接着剤が接触表面の下方にあるようになっているか、または、接着剤が接触表面と実質的に同一平面上になるようになっており、接着剤と皮膚との接触を最小化し、また、患者の皮膚と接触表面との変化を防止または最小化する。開口端部60は、約1.7mmから1.8mmの直径を有することが可能である。
【0042】
図10および
図11に示されている本発明の別の実施形態では、ハブ18は、ベース66から延在する側壁部64を有しており、遠位接触表面68を備えている。示されている実施形態における側壁部64は、対向する平坦な部分70を有しており、接触表面68が非円形形状を有するようになっている。
【0043】
図10および
図11の実施形態における接触表面68は、外側リング72によって画定されており、外側リング72は、接触表面68の周縁部を画定するカラーを形成しており、また、ハブ18の遠位端部から軸線方向外向きに突出し、カニューレ20を取り囲んでいる。外側リング72は、側壁部64の遠位端部から実質的に均一な高さを有しており、遠位外側面74が、接触表面68の周縁部を形成している。内側の実質的に環状形状のリング76が、カニューレ20および接着剤を受け入れるための開口部78の周りに、接触表面68から軸線方向に延在している。明確化のために、接着剤は、
図11に示されてはいない。内側リング76は、実質的に円筒状の形状または環状の形状を有しており、それは、外向きに突出し、接触表面68の内側縁部を形成している。内側リング76は、カニューレ20を取り囲む接触表面68の一部を形成する遠位外側面80を有している。内側リング76および外側リング72は、外側リング72の内側表面84と内側リング76の内側表面86との間に延在する接触表面68の凹部82を画定している。1つの実施形態では、凹部82は、カニューレ18の貫通の間に凹部82の底部表面が患者の皮膚に接触するような幅および深さを有しており、
図12に示されている皮膚の圧縮および貫通の深さを制御する。
【0044】
示されている実施形態における接触表面68は、実質的に凸形の形状を有しており、皮膚の圧縮、および、カニューレ20の貫通の深さの所望の制御を提供するための高さおよび幅を有している。示されているような接触表面68の遠位外側面74は、ハブ18の軸線方向の寸法に対して傾斜を有しており、それは、カニューレ20における接触表面68の最も遠い部分に向けて集中しており、また、実質的に切頭円錐形の形状を有している。内側リング76の遠位面80は、同様の形状の傾斜した表面を有しており、遠位外側面74と整合させられた切頭円錐形の形状を備えている。1つの実施形態では、遠位面80および遠位外側面76は、
図11に示されているような曲率半径を有する凸形形状を形成するように整合させられている。
【0045】
また、
図10に示されているような凹部82の底部表面は、所定の傾斜で形成されており、それは、ドーム形状または半球形の形状を有する切頭円錐形の表面を形成しており、また、内側リングおよび外側リングの接触表面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有している。示されている実施形態では、底部表面は、外側リング72の外側表面74、および、内側リング76の外側表面80の実質的に同心円状に形成されている。凹部82の深さは、実質的に均一になっており、また、内側リング72および外側リング76の軸線方向の長さに関して、約0.4mmから0.6mmになっている。示されている実施形態では、外側リング72および内側リング76は、実質的に同じ軸線方向の長さを有している。接触表面68の幅または直径に対する凹部82の深さは、カニューレ20の貫通の深さを制御しながら、皮膚が挿入圧力によって変形することを可能にする。他の実施形態では、凹部は、約0.5mmから約1.5mmの深さを有することが可能であり、および、遠位接触表面は、約5.0mmから約9.0mmの幅または直径、および、約0.4mmから約0.6mmの高さを有することが可能である。
【0046】
図12を参照すると、ハブ18に印加される挿入圧力は、選択された深さにカニューレ20が皮膚を貫通することを引き起こし、また、接触表面68が皮膚に接触することを引き起こす。
図12に示されているように、凹部82は、皮膚が凹部82の底部表面に接触するように、接触表面68の幅に対する所定の深さを有しており、皮膚に対する圧力を提供し、患者の皮膚の中へのカニューレの貫通の深さを制御する様式で、皮膚の表面を変形させ、または押し下げる。凸形接触表面は、皮膚の接触エリアにわたって圧力を分配させる。表面積が大きくなればなるほど、一般的に、深い注射を防止するために、より少ない皮膚の変形を結果として生じさせ、また、患者へのより少ない不快感を結果として生じさせる。
【0047】
環状の凹部82は、約2.0mmから約3mmの半径方向の幅を有することが可能である。凹部は、凹部の幅および深さに応じて、約6.0μlから34.0μlの体積を有することが可能であり、1つの実施形態では、凹部は、約25.0μlから36.0μlの体積を有することが可能である。環状の凹部は、内側リングおよび/または外側リングの半径方向の幅よりも大きい半径方向の幅を有することが可能である。
図10~
図12に示されている実施形態では、凹部は、内側リングおよび外側リングの組み合わせた幅よりも大きい半径方向の幅を有しており、環状の凹部の底壁部が、接触表面の大部分を形成するようになっている。
【0048】
ハブの遠位接触面は、カニューレの貫通の深さに関して所望の制御を提供するためのさまざまな構成を有することが可能である。それぞれの実施形態では、遠位接触面は、十分な表面積を提供するための幅または直径を有しており、また、カニューレが意図するよりも深く皮膚を貫通することを引き起こす可能性のある皮膚の押し下げを最小化するために、接触面の湾曲によって画定される高さを有している。
【0049】
図13および
図14の実施形態では、ハブ90は、カニューレの軸線に対して実質的に垂直に延在する実質的に平坦な底部表面92を有する環状の凹部91を除いて、
図10~
図12の実施形態と同様の構成を有している。ハブ90は、軸線方向に延在する外側リング93および内側リング94を有しており、それは、凹部91および底部表面90を形成している。この実施形態では、内側リング94は、外側リング93の軸線方向の高さよりも大きい軸線方向の高さを有している。内側リング94は、ハブ90の外側周縁部に向けて傾斜する湾曲した表面を有する軸線方向の遠位面95を有している。外側リング93は、また、周縁部に向けて半径方向外向きに傾斜する湾曲した表面を有する軸線方向の遠位面96を有している。
【0050】
外側リング93の軸線方向の遠位面96、および、内側リング94の外側遠位面95は、皮膚接触表面を形成しており、また、接触表面の幅および高さを画定している。内側リング94は、外側リング93よりも大きい距離にわたって軸線方向に延在し、接触表面の高さを画定している。以前の実施形態のものと同様に、接触表面は、約.5mmから約1.50mmの高さ、および、約6.0mmから7.0mmの幅を有することが可能である。
【0051】
示されている実施形態における外側リング93の軸線方向の遠位面96、および、内側リング94の軸線方向の遠位面95は、丸い湾曲した表面を有し、
図10~
図12の実施形態と同様の様式で、接触表面の曲率半径を画定している。この実施形態における環状の凹部は、挿入圧力が印加されるときに皮膚が変形するのにしたがって皮膚を受け入れることができる深さを有しているが、皮膚は典型的に凹部の底部表面に接触しない。
【0052】
図15および
図16に示されている別の実施形態では、ハブ98は、ベース104から軸線方向に延在する実質的に円筒形状の側壁部102によって画定されている。ハブ100は、皮膚接触表面を形成する遠位面106を有している。遠位面は、約6.0mmから約8.0mmの幅、典型的には、約7.0mmの幅を有することが可能である。
図16に示されているように、遠位面106は、内側リング108を有しており、内側リング108は、遠位面106の内側部分から軸線方向に延在しており、また、カニューレ112のための中心開口部110を画定している。示されている実施形態では、内側リング108は、約0.4mmから約1.0mmの軸線方向の長さ、約2.0~3.0mmの直径、および、約3.0~5.0mmの表面積を有している。
【0053】
遠位面106は、周縁部116と内側リング108のベース118との間に延在する、実質的にドーム形状または半球形の形状を備えた傾斜した遠位表面114を有している。傾斜した遠位表面114は、約6.0mmから約9.0mmの曲率半径を有し、連続的な円弧および曲率半径を形成している。内側リング108は、環状の遠位面120を有しており、環状の遠位面120は、遠位表面114の傾斜および湾曲を補完するように傾斜している。
【0054】
1つの実施形態では、リング108の遠位面120は、遠位表面114の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有する半球形の形状を有しており、それらの表面が同心円状になるようになっている。内側リング108の高さは、遠位面の幅を補完するように選択され、カニューレの貫通の間に、内側リング108、および、傾斜した遠位表面の少なくとも表面の実質的な部分に皮膚が接触するようになっており、皮膚の窪みの深さ、および、カニューレの貫通の深さを制御する。接触表面は、30.0mm2から50.0mm2の表面積を有することが可能である。傾斜した表面114は、約31.0mm2から33.0mm2の表面積を有することが可能である。内側リング94の遠位面120は、約1.0mm2から約3.0mm2の表面積、および、約2.0mmから約2.5mmの直径を有することが可能である。
【0055】
図17および
図18の実施形態では、ハブ122は、ベース126から軸線方向に延在する円筒形状の側壁部124を有している。ハブ122は、皮膚接触表面を形成する遠位面128を有している。連続的な外側リング130が、側壁部124から軸線方向に延在し、遠位面128の周縁部132を画定している。示されている実施形態では、外側リング130は、軸線方向に延在し、約0.4mmから約0.6mmの高さを備えている。外側リングの内側表面および外側表面は、実質的に同心円状になっており、また、ハブ122の軸線方向の寸法に対して軸線方向に延在している。平坦な部分は、約0.5mmから約2.5mmの半径方向の幅を有することが可能である。
【0056】
遠位面128は、連続的な傾斜した表面134によって形成されており、それは、約6.0mmから約10.0mmの曲率半径を有する実質的に連続的なドーム形状または半球形の形状を形成している。傾斜した表面134は、カニューレ136を取り囲む連続的な表面を形成している。
図17および
図18の実施形態では、ハブ122は、カニューレ136を受け入れるための中心開口部138を有している。遠位面128は、実質的に平坦な環状形状の部分140を有しており、実質的に平坦な環状形状の部分140は、開口部138を取り囲んでおり、また、カニューレの軸線およびハブの軸線に対して実質的に垂直な平面内に配向されている。平坦な環状の部分140は、外側リング130の遠位表面142の幅に実質的に等しい、傾斜した表面134の内側縁部と開口部138との間に延在する半径方向の幅を有することが可能である。
【0057】
図17に示されているような外側リング130の遠位表面142は、側壁部124の軸線に対して半径方向外向きに傾斜している。遠位表面142は、内側縁部146から軸線方向に間隔を置いて配置された外側周縁部144を有している。この実施形態では、内側縁部146は、平坦な内側部分140と同じ平面内にあり、平坦な内側部分140は、カニューレの軸線に対して実質的に垂直になっており、ハブの遠位面を画定している。外側リング130は、傾斜した表面がカニューレ136の貫通の間に皮膚に接触するような深さを有する凹部148を、遠位面の中に画定している。凹部148は、約6.0μlから7.0μlの体積を有することが可能である。以前の実施形態のものと同様に、カニューレの貫通および挿入の間に皮膚に接触するための遠位面は、その最も幅の広いポイントにおいて、約6.0mmから約8.0mmの幅または直径を有しており、また、外側リング130によって形成される凹部は、約0.4mmから約0.6mmの深さを有している。他の実施形態では、凹部は、約1.0mmから約1.5mmの深さを有することが可能である。
【0058】
図19および
図20に示されているさらなる実施形態では、ハブ150は、ベース154から延在する側壁部152、および、カニューレ158の挿入の間に患者の皮膚に接触するための遠位面156を有している。遠位面156は、周縁部162から軸線方向に延在する外側リング160、および、内側縁部166を形成する、軸線方向に延在する内側リング164を含む。
図19に示されているように、外側リングは、内側リング164の遠位面と同じ平面内に形成された遠位面を有している。
【0059】
外側リング160は、側壁部から延在する円筒形状の外側表面、および、実質的に平行な内側表面170によって形成されている。示されている実施形態における遠位面156は、ハブの中心から半径方向外向きに傾斜する傾斜で形成されている。内側リング164は、外側リング160の内側表面と平行な実質的に円筒形状の内側表面172を有している。環状の凹部174が、外側リング160と内側リング164との間に形成されている。示されている実施形態では、凹部174は、約0.4mmから約0.6mmの深さ、約7.0μlの体積、および、約1.0mmから1.5mmの幅または半径を有している。以前の実施形態のものと同様に、凹部は、接触表面を形成する遠位面の中心部分を形成する凹部の底部面に皮膚が接触することを可能にする幅および深さを有している。接触表面は、約6.0mmから8.0mmの幅を有している。
図20および
図21に示されている別の実施形態は、凹部184を形成するハブ182の内側リング178および外側リング180が、約1.5mmから2.0mmの深さおよび約11μlの窪み体積を有しているということを除いて、
図19および
図20のものと実質的に同じである。
【0060】
図23および
図24は、以前の実施形態のものと同様に、送達ペンに取り付けるためのニードルハブ200の別の実施形態を示している。ハブ200は、外側壁部204を備えるベース202を有しており、外側壁部204は、開口した底部端部、および、送達デバイスに連結するための雌ネジ部204を有している。壁部204は、内向きに延在するショルダー部208と接合される遠位端部206を有している。実質的に円筒状の形状の壁部210が、ショルダー部208から軸線方向に延在している。壁部210は、使用の間に患者の皮膚に接触するための皮膚接触表面を画定する軸線方向の遠位面212を有している。
【0061】
遠位面212によって画定される接触表面は、実質的に凸形の形状を有しており、
図24の中の線214によって示されているドーム形状または半球形の形状を形成している。遠位面212は、約6mmから12mmの曲率半径を有することが可能である。1つの実施形態では、遠位面212は、約6mmから9mmの曲率半径、典型的には、約7~8mmの曲率半径を有している。曲率半径は、少なくとも、接触表面の直径に等しくなっていることが可能である。
【0062】
図23および
図24に示されているようなポスト210は、ショルダー部208から延在する側壁部214によって形成される実質的に円筒状の形状を有している。また、皮膚接触表面を画定する遠位面212は、
図24に示されている上部端部から見たときに、実質的に円形形状を有している。遠位面212は、環状の外側リング216、環状の内側リング218、および、外側リング216と内側リング216との間に窪みを形成する環状形状の凹部220によって形成されている。
【0063】
示されている実施形態における外側リング216および内側リング218は、凹部220の底壁部222から延在する高さを有しており、凹部の深さを画定している。外側リングおよび内側リングは、同じ軸線方向の長さを有しており、凹部220が、凹部の半径方向外側縁部と内側縁部との間に延在する、実質的に均一なおよび連続的な深さを有するようになっている。外側リング216は、軸線方向の環状の表面224を有しており、軸線方向の環状の表面224は、ハブの軸線方向の寸法に対して傾斜しており、凸形遠位面212を形成している。軸線方向面224の傾斜は、遠位面212の曲率半径に一致している。
【0064】
また、示されている実施形態における内側リング218は、外側リングの軸線方向面224の湾曲に実質的に対応する湾曲を有する軸線方向面226を有している。軸線方向面224および軸線方向面226は、線214によって示されている遠位面212の湾曲に沿って整合させられている。示されている実施形態では、軸線方向面224および軸線方向面226は、実質的に同じ幅になっており、実質的に同じ曲率半径を有している。凹部220の底壁部222は、線228によって示されているような遠位面212の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有しており、底壁部22の外形が、線214に実質的に平行になり、または、線214と同心円状になるようになっている。遠位面212の曲率は、外側リングの外側縁部から内側リングの軸線方向面に測定されるときに、約0.5mmから2.0mmの高さを画定している。1つの実施形態では、遠位面212は、約1.0mmから1.5mmの高さを有することが可能である。
【0065】
内側リング218は、以前の実施形態のものと同様に、カニューレ232を受け入れて装着するための中心開口部230を画定している。開口部230は、カニューレをハブに固定するために、0.5mmから3.0mmの直径を有することが可能である。1つの実施形態では、皮膚接触表面を形成する遠位面212は、約6.0mmから8.0mmの直径を有することが可能である。環状の凹部220の半径方向の寸法または幅は、内側リングおよび外側リングの半径方向の幅の組み合わせに等しくなっていることが可能である。示されている実施形態では、環状の凹部は、内側リングおよび外側リングのそれぞれの半径方向の幅の約2倍の半径方向の幅を有している。軸線方向面224および軸線方向面226は、約0.3mmから0.7mmの半径方向の幅をそれぞれ有することが可能であり、また、環状の凹部220は、約0.6mmから1.4mmの半径方向の幅を有することが可能である。環状の凹部は、約0.3mmから約0.7mmの深さ、典型的には、約0.5mmの深さを有することが可能である。カニューレは、約4mmから5mmの軸線方向の長さを有することが可能である。本明細書で定義されているような半径方向の直径および高さを有する遠位接触表面とカニューレ長さの組み合わせは、患者の中への挿入の間に、カニューレの貫通の深さの制御を提供する。遠位面の幅および湾曲は、制御された皮膚の窪みを提供し、薬物送達の間に、そのカニューレが望むよりも深い深さまで皮膚を貫通することの発生を低減させる。
【0066】
さまざまな実施形態では、内側リングは、約2.0~4.0mmの直径、一般的には、約2.5~3.5mmの直径を有することが可能であり、約3~5mm2の表面積を有している。内側リングは、接触表面の外周部から測定されるときに、約1.0~1.5mmの高さを有することが可能である。内側リングの高さに対する内側リングの直径(D)の比率は、約2:1から約4:1、一般的には、約2.5:1から3:1の範囲にあることが可能である。比率が大きくなればなるほど、大きい表面積を提供し、それは、向上した快適性を患者に提供し、また、挿入深さの制御の向上を提供する。
【0067】
凹部の深さは、カニューレによる所望の貫通の深さに応じて変化することが可能である。環状の凹部の半径方向の寸法は、典型的に、内側リングおよび外側リングの半径方向の寸法よりも大きくなっている。示されている実施形態では、環状の凹部の半径方向の寸法は、内側リングおよび外側リングの半径方向の寸法の組み合わせよりも大きくなっている。一般的に、より大きい凹部の深さ、遠位面の小さい接触表面積、および、皮膚表面のより大きい変形は、カニューレによる、より深い貫通を可能にする。また、接触表面を形成する内側リングおよび外側リングの遠位表面の湾曲は、変化することが可能である。図示されている実施形態では、内側リングおよび他のリングの遠位表面は、実質的に同じである。他の実施形態では、内側リングの遠位表面は、外側リングの曲率半径よりも大きいかまたは小さい曲率半径を有することが可能である。さらなる実施形態では、内側リングおよび/または外側リングの遠位表面は、実質的に平坦になっており、また、カニューレの軸線に対して実質的に垂直な平面内に形成され得る。
【0068】
ハブデバイスは、浅い注射を低減させる方法において使用するのに適切であり、また、薬物を患者に注射するのに適切である。方法は、薬剤コンパートメントを有するペン本体部、および、ペンニードルを受け入れるように構成されている遠位端部を提供するステップを含む。ペンニードルは、ペン本体部を受け入れて連結するための近位側部に凹部を備えたベースを有するハブを含む。遠位面として、開口部が、近位側部と遠位面との間に延在している。ハブの遠位面は、約3.0mmよりも大きい直径を有している。遠位面の少なくとも一部分は、約3.0mmから16.0mmの曲率半径を有する凸形表面を有している。ハブは、約6.0mmから8.0mmの幅、および、約12.0mmから16.0mmの曲率半径を有することが見出された。さまざまな実施形態では、皮膚接触表面を形成する遠位面の曲率半径は、遠位表面212の直径の約1倍から1.5倍であり、小さい湾曲および約0.5mmの高さを形成することが可能である。カニューレは、ハブの中の開口部の中に受け入れられ、カニューレは、被験者の皮膚の中へ注射するための斜角付きの端部と、ペン本体部の薬剤コンパートメントの中に位置決めするための近位端部とを有している。カニューレは、被験者の皮膚の中へ挿入され、そのときに、凸形表面が皮膚に接触し、皮膚の表面を押し下げることおよび変形させることを制限し、カニューレの貫通の深さを制御する。
【0069】
好適な実施形態の上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。本開示は、当業者が、本発明の範囲を逸脱することなく、説明されている本発明の変形例を実施することを可能にすることを意図している。明細書および特許請求の範囲において、本明細書での数値的な限定は、修飾語句の「約」によって限定されているというように理解され、均等物を生み出す小さな逸脱は、結果として本発明の範囲内にあるようになっている。1つの実施形態または独立請求項に関連して開示されている特徴または従属請求項の限定は、本発明の範囲を逸脱することなく、別の実施形態の中で組み合わせられ、または、異なる独立請求項と組み合わせられ得る。