(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066441
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】薬液注入装置、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
A61M5/168 550
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034230
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2017214684の分割
【原出願日】2017-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】391039313
【氏名又は名称】株式会社根本杏林堂
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】根本 茂
(57)【要約】
【課題】従来にないタイミングで警告を出力できるようにする。
【解決手段】アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部にアダプタが取り付けられると、取り付けられたアダプタに対応する薬液の種類を特定する特定部11と、副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定部12と、アダプタの取り付け、及び、患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、副作用情報の中に特定部11に特定された薬液の種類が含まれるか判断する判断部13と、特定部11に特定された薬液の種類が副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力部14と、を有する薬液注入装置10を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定部と、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定部と、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定部に特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断部と、
前記特定部に特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力部と、
を有する薬液注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬液注入装置において、
1つの薬液の種類に1つのアダプタが対応する薬液注入装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬液注入装置において、
前記副作用情報には、副作用歴のある薬液の種類各々の重篤度のグレードが含まれており、
前記出力部は、副作用歴のある1つ又は複数の薬液の種類、及び、各々の前記重篤度のグレードを出力する薬液注入装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の薬液注入装置において、
前記出力部は、前記患者情報が設定されていない場合、その旨を識別する情報を出力する薬液注入装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報には、腎機能を示す情報が含まれており、
前記判断部は、設定されている患者情報で示される腎機能が基準値以下か判断し、
前記出力部は、設定されている患者情報で示される腎機能が基準値以下である場合、警告を出力する薬液注入装置。
【請求項6】
請求項5に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報には、腎機能の測定日を示す情報が含まれており
前記判断部は、設定されている患者情報で示される腎機能の測定日が基準日より前か判断し、
前記出力部は、設定されている患者情報で示される腎機能の測定日が基準日より前である場合、警告を出力する薬液注入装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報のリクエストをサーバに送信する取得部をさらに有し、
前記リクエストに応じて前記サーバから送信されてきた前記患者情報の数に応じて処理内容を異ならせる薬液注入装置。
【請求項8】
請求項7に記載の薬液注入装置において、
前記薬液注入装置は中継装置経由で前記サーバと通信し、
前記中継装置は、前記リクエストに応じて前記サーバから送信されてきた前記患者情報を取得すると、前記患者情報の数を前記薬液注入装置に通知し、
前記患者情報の数が1の場合、前記取得部はその前記患者情報を前記中継装置にリクエストして前記中継装置から取得し、前記設定部はその前記患者情報を設定する薬液注入装置。
【請求項9】
請求項8に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報の数が0、及び、2以上の中のいずれかである場合、前記出力部はその旨を通知する薬液注入装置。
【請求項10】
請求項9に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報の数が0、及び、2以上の中のいずれかである場合、前記取得部は前記患者情報を前記中継装置に要求しない薬液注入装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の薬液注入装置において、
前記取得部は、前記薬液注入装置の操作、又は、前記サーバの操作に応じて前記患者情報のリクエストを前記サーバに送信し、
前記患者情報の数が1、かつ、前記薬液注入装置の操作に応じて前記患者情報のリクエストを前記サーバに送信した場合、
前記出力部は、前記取得部が前記中継装置から取得した前記患者情報、及び、当該患者情報を設定するか否かの問い合わせを出力し、前記設定部は、前記問い合わせの回答が設定するである場合にその前記患者情報を設定し、
前記患者情報の数が1、かつ、前記サーバの操作に応じて前記患者情報のリクエストを前記サーバに送信した場合、
前記出力部は、前記問い合わせを出力せず、前記設定部は、前記取得部が前記中継装置から取得した前記患者情報を設置する薬液注入装置。
【請求項12】
コンピュータが、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定工程と、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定工程と、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定工程で特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断工程と、
前記特定工程で特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力工程と、
を実行する薬液注入装置の動作方法。
【請求項13】
コンピュータを、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定手段、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定手段、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定手段に特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断手段、
前記特定手段に特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液注入装置、薬液注入装置の動作方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、注入不適(例:副作用歴あり)な薬液シリンジが薬液注入装置に取り付けられた場合、警告を出力する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、薬液データを記録したRFIDチップが薬液シリンジに搭載される。薬液データは、薬液シリンダに充填されている薬液を識別する情報を含む。薬液注入装置はRFIDリーダを備えており、薬液注入装置の所定位置に薬液シリンジが取り付けられると、その薬液シリンジに搭載されたRFIDチップから薬液データを取得する。その後、薬液注入装置は、患者のカルテ情報に記載された注入不適な薬液の種類を参照し、薬液注入装置に取り付けられた薬液シリンジに充填されている薬液が注入不適か否かを判断する。そして、注入不適の場合、警告を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術の場合、薬液シリンジを薬液注入装置に取り付けた後に警告が出力される。この場合、以下のような課題がある。
【0006】
薬液シリンジの中には、所定の包装資材で包装され、病院に納入されるものがある。これにより、品質維持や安全確保等が実現される。このような薬液シリンジの場合、使用の直前に包装を破る等して包装資材の中から薬液シリンジが取り出され、薬液注入装置に取り付けられる。
【0007】
薬液シリンジを薬液注入装置に取り付けた後に警告が出力される技術の場合、包装資材から薬液シリンジを取り出した後に警告が出力されることとなる。警告が出力された結果、その薬液シリンジが使用されなかった場合、包装資材から取り出された薬液シリンジのその後の扱いについて問題が生じる。品質面や安全面等を考慮すると、その薬液シリンジをそれ以降に使用するのは好ましくない。このため、場合によっては未使用のまま捨てられることも考えられる。本発明は、当該不都合を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定部と、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定部と、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定部に特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断部と、
前記特定部に特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力部と、
を有する薬液注入装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定工程と、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定工程と、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定工程で特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断工程と、
前記特定工程で特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力工程と、
を実行する薬液注入装置の動作方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定手段、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定手段、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定手段に特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断手段、
前記特定手段に特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来にないタイミングで警告を出力できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】撮像システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図3】注入実行ユニットの外観の一例を示す図である。
【
図4】薬液注入装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図5】患者情報を薬液注入装置に設定する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】患者情報を薬液注入装置に設定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図8】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図9】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図10】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図11】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図12】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図13】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図14】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図15】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図16】薬液注入装置により表示される画面の一例である。
【
図17】撮像システムに含まれる各装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図18】撮像システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「第1の実施形態」
<撮像システムの全体像>
最初に、本実施形態の撮像システムの全体像を説明する。
図1に、撮像システムの機能ブロック図の一例を示す。図示するように、撮像システムは、薬液注入装置10と、制御ボックス20と、RIS(Radiology Information System)30と、PACS(Picture Archive and Communication System)40と、画像閲覧装置50と、透視撮像装置60とを有する。図中、実線で通信線を示している。通信規格は設計的事項であるが、いわゆるDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)規格を採用してもよい。
【0014】
RIS30には、透視画像データを撮像する処理で利用される撮像オーダデータが登録される。撮像オーダデータは、例えば、撮像作業各々を識別するための撮像作業ID(identifier)、撮像作業に利用予定の透視撮像装置60のID、撮像開始日時、撮像終了日時、患者情報、身体区分、撮像部位、使用予定の薬液(造影剤等)のID等を含む。
【0015】
患者情報は、患者の氏名、生年月日、性別、体重、副作用歴のある薬液の種類、副作用の重篤度のグレード、腎機能を示す情報(例:推算糸球体濾過量を示す情報)、及び、腎機能の測定日(例:推算糸球体濾過量の測定日)等を含む。推算糸球体濾過量を示す情報は、推算糸球体濾過量そのものであってもよいし、これを算出するための情報(血清クレアチニン値等)であってもよい。
【0016】
透視撮像装置60は、例えば、CT(Computed Tomography)アンギオ装置、MRA(Magnetic Resonance Angiography)装置等であり、患者の所定部位の状態を示す透視画像データを生成する。透視撮像装置60は、RIS30から撮像オーダデータを取得し、それに基づき撮像処理を実行する。透視撮像装置60は、生成した透視画像データをPACS40に送信する。
【0017】
制御ボックス20は、薬液注入装置10とRIS30との間のデータ通信、及び、薬液注入装置10とPACS40との間のデータ通信を中継する。
【0018】
薬液注入装置10は、1つの患者情報、撮像部位、薬液注入容量、薬液注入時間等の各種設定が完了すると、薬液を注入する動作を行う。薬液注入装置10は、制御ボックス20を介してRIS30から各種情報を取得し、当該情報を用いて各種設定を行うことができる。また、薬液注入装置10の入力装置を介した入力内容に基づき、各種設定を行うことができる。そして、薬液注入装置10は、設定内容に基づき薬液を注入する動作を行う。薬液注入装置10は、薬液を注入する動作を行った後、注入履歴データを生成し、制御ボックス20を介してPACS40に送信する。注入履歴データは、注入速度の時間変化、注入量、注入時間、注入した薬液の種類等の情報を含む。
【0019】
PACS40は、透視撮像装置60から透視画像データを取得し、記憶する。また、PACS40は、制御ボックス20を介して薬液注入装置10から注入履歴データを取得し、記憶する。
【0020】
画像閲覧装置50は、PACS40に記憶されている透視画像データや注入履歴データを処理し、ディスプレイ等の出力装置を介して透視画像や注入履歴データを出力する。
【0021】
なお、RIS30、PACS40、画像閲覧装置50及び透視撮像装置60は、従来のあらゆる構成を採用できる。
【0022】
<薬液注入装置10及び制御ボックス20の構成>
以下、薬液注入装置10の構成を中心に説明し、適宜制御ボックス20の構成の説明を入れる。
【0023】
図2に薬液注入装置10の外観の一例を示す。図示するように、薬液注入装置10は注入実行ユニット110と注入制御ユニット120とを有する。
【0024】
注入制御ユニット120は、薬液注入作業に関する各種情報を制御ボックス20経由でRIS30から取得し、ディスプレイに表示する。また、注入制御ユニット120は、操作ボタンやタッチパネルディスプレイ等の入力装置を有し、これを介して薬液注入作業に関する各種設定や各種操作をオペレータから受付ける。注入制御ユニット120は注入実行ユニット110と通信可能になっている。オペレータは注入制御ユニット120を操作することで、注入実行ユニット110を動作させるための各種設定や各種操作を行うことができる。
【0025】
なお、図示するように、注入実行ユニット110はディスプレイを備えてもよい。当該ディスプレイには、注入制御ユニット120のディスプレイに表示されている情報と同様な情報が表示されてもよい。また、注入実行ユニット110に備えられるディスプレイはタッチパネルディスプレイであってもよい。そして、注入制御ユニット120のタッチパネルディスプレイと同様に、注入実行ユニット110に備えられるタッチパネルディスプレイを介して薬液注入作業に関する各種設定や各種操作をオペレータから受付けてもよい。
【0026】
これらディスプレイに表示される情報の一例や、注入実行ユニット110を動作させるための各種設定や各種操作の一例は後述する。
【0027】
図3に注入実行ユニット110の拡大図を示す。注入実行ユニット110は、アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部111と、保持部111に保持された薬液シリンジのプランジャを押圧する押圧部112とを有する。
【0028】
薬液は薬液シリンジに充填される。薬液シリンジは、予め薬液が充填されたプレフィルドシリンジであってもよい。本実施形態では、1つの薬液の種類に対応して1つのアダプタが用意される。そして、アダプタを介して薬液シリンジを保持部111に保持させる。薬液シリンジの中には、径、フランジ形状、厚さ等が互いに異なるものが混在し得る。アダプタを介して薬液シリンジを保持部111に保持させることで、複数種類の薬液シリンジを同じ注入実行ユニット110に取り付け、注入処理を行うことが可能となる。
【0029】
注入実行ユニット110は、注入制御ユニット120を介してなされた各種設定や各種操作に応じて、薬液を注入する動作を行う。なお、
図3に示すように、注入実行ユニット110は各種操作ボタンを有しており、当該操作ボタンを介した操作に応じて、薬液を注入する動作を行ってもよい。
【0030】
次に、薬液注入装置10の特徴的な機能を説明する。
図4に、薬液注入装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、薬液注入装置10は、特定部11と、設定部12と、判断部13と、出力部14と、取得部15とを有する。これら構成部により、薬液注入装置10の特徴的な機能が実現される。薬液注入装置10は、以下で説明する各種機能の中の少なくとも1つを備える。以下、機能ごとに分けて各構成部の機能構成を説明する。
【0031】
"患者情報設定機能1"
患者情報設定機能1は、これから薬液を注入する対象(患者)の患者情報をRIS30(サーバ)から取得し、薬液注入装置10に設定する機能である。薬液注入装置10は、設定された患者情報に基づき、薬液を注入する動作を行う。患者情報の取得及び設定をコンピュータが行うことで、オペレータの作業負担を軽減できる。また、特徴的な処理の流れとすることで、現場でのミスを軽減する。
図5のシーケンス図を用いて処理の詳細を説明する。
【0032】
まず、薬液注入装置10の取得部15は、患者情報のリクエストを制御ボックス20(中継装置)経由でRIS30(サーバ)に送信する(S10、S11)。リクエストには患者情報の検索条件が含まれてもよい。
【0033】
RIS30は、リクエストを受信すると、自装置に記憶している患者情報の中から薬液注入装置10に返信する患者情報を抽出する(S12)。例えば、RIS30は、リクエストに含まれる検索条件に合致する患者情報を抽出してもよいし、予め自装置に設定されている検索条件に合致する患者情報を抽出してもよい。検索条件は、例えば、現時点から撮像開始日時までの時間が所定時間以内である撮像オーダデータに含まれる患者情報であってもよい。その他、オペレータがRIS30を操作し、リクエストに応じて送信する1つの患者情報を指定しておいてもよい。そして、RIS30は、リクエストに応じて、その時点で指定されている1つの患者情報を抽出してもよい。
【0034】
RIS30は、抽出した1つ又は複数の患者情報を制御ボックス20に送信する(S13)。なお、患者情報が1つも抽出されなかった場合、RIS30はその旨を示す情報を制御ボックス20に送信してもよいし、いずれの情報も送信しなくてもよい。
【0035】
制御ボックス20は、RIS30から取得した情報に基づき、取得した患者情報の数を算出し、その数を薬液注入装置10に通知する(S14)。リクエスト送信から所定時間経過してもRIS30からいずれの情報も受信しなかった場合、制御ボックス20は取得した患者情報の数「0」を決定してもよい。
【0036】
また、制御ボックス20は、受信した患者情報に基づき、患者情報の簡易情報を生成してもよい。そして、制御ボックス20は、取得した患者情報の数に加えて、当該簡易情報を薬液注入装置10に送信してもよい。簡易情報は、患者情報の中の一部(例:患者の氏名、生年月日、性別)のみで構成される。
【0037】
その後、薬液注入装置10は、通知された患者情報の数に応じた処理を実行する。
【0038】
患者情報の数が「1」の場合(S15の「1」)、取得部15は患者情報のリクエストを制御ボックス20に送信する(S16)。制御ボックス20は、当該リクエストに応じて、S13で取得した1つの患者情報を薬液注入装置10に送信する(S17)。
【0039】
薬液注入装置10の取得部15が当該患者情報を取得すると、設定部12は当該患者情報を設定する処理(設定処理)を行う。設定処理では、例えば、取得した患者情報をディスプレイに表示し、当該患者情報を設定するか否かをオペレータに問い合わせる。そして、オペレータが設定する旨の入力を行うと、当該患者情報を設定する。
【0040】
患者情報の数が「その他」の場合(S15の「その他」)、出力部14はその旨を示す情報、例えば「患者情報を取得できなかったこと」や、「複数の患者情報を取得したこと」等を示す情報を出力する。出力部14は、例えばディスプレイに当該情報を表示することができる。この場合、取得部15は患者情報のリクエストを制御ボックス20に送信しない。このため、患者情報の設定がされないままとなる。
【0041】
次に、
図7及び
図8を用いて、薬液注入装置10の操作の流れ、及び、薬液注入装置10により表示される情報の一例を説明する。
【0042】
図7(1)は、初期画面である。すなわち、薬液注入装置10を起動させると、薬液注入装置10は、
図7(1)の初期画面をディスプレイに表示する。オペレータは、画面左上のボタンXをタッチすることで、患者情報を取得する指示入力を行う。当該ボタンXをタッチされると、薬液注入装置10は、それに応じて、例えば
図5のS10乃至S17の処理を実行する。薬液注入装置10は、処理の間、例えば
図7(2)に示すように患者情報取得中である旨の表示を行う。
【0043】
そして、薬液注入装置10が1つの患者情報を取得した場合、薬液注入装置10は、
図7(3)に示すようにその患者情報を表示し、当該患者情報を設定するか否かの問い合わせを行う。図の「造影検査を実施しますか「いいえ」、「はい」」が、患者情報を設定するか否かの問い合わせにあたる。
【0044】
「はい」が選択された場合、薬液注入装置10はその患者情報を設定し、
図7(4)の画面表示を行う。当該画面では、ボタンXの横に設定された患者の氏名が表示されている。この表示により、患者情報が設定されていること、及び、その患者の氏名を確認できる。
【0045】
なお、「いいえ」が選択された場合、その患者情報は設定されないまま、
図7(1)の初期画面に戻る。
【0046】
図8(1)は初期画面である。
図8(1)及び(2)は、
図7(1)及び(2)と同様である。
【0047】
患者情報のリクエストの結果、薬液注入装置10が患者情報を取得できなかった場合、薬液注入装置10は、
図8(3)に示すようにその旨を示す情報を表示する。そして、所定時間経過後、
図8(1)の初期画面に戻る。
【0048】
一方、患者情報のリクエストの結果、薬液注入装置10が複数の患者情報を取得した場合、薬液注入装置10は、
図8(4)に示すようにその旨を示す情報を表示する。そして、所定時間経過後、
図8(1)の初期画面に戻る。
【0049】
"患者情報設定機能2"
患者情報設定機能2は、S18の設定処理の詳細において患者情報設定機能1と異なる。その他の構成は、患者情報設定機能1と同様である。
図6のフローチャートを用いて設定処理の詳細を説明する。
【0050】
前提として、取得部15は、S10の患者情報のリクエストの送信を、薬液注入装置10の操作、又は、RIS30(サーバ)の操作に応じて実行することができる。
【0051】
前者の場合、例えば、オペレータが薬液注入装置10を操作し、患者情報を取得する指示入力(例:
図7(1)のXボタンのタッチ)を行うと、取得部15はそれに応じて患者情報のリクエストを制御ボックス20経由でRIS30に送信する。
【0052】
後者の場合、例えば、オペレータがRIS30を操作し、患者情報のリクエストを薬液注入装置10に要求する指示入力を行うと、RIS30はそれに応じて患者情報のリクエストの要求を制御ボックス20経由で薬液注入装置10に送信する。当該要求を受信した薬液注入装置10は、それに応じて、患者情報のリクエストを制御ボックス20経由でRIS30に送信する。
【0053】
患者情報設定機能2の設定処理では、薬液注入装置10が患者情報のリクエストを送信するトリガに応じて異なる処理を実行する。
【0054】
1つの患者情報を制御ボックス20から受信(
図5のS17)した後に行われる設定処理(
図5のS18)では、まず、患者情報のリクエストを送信するトリガが「薬液注入装置10の操作」か「RIS30の操作」か、を判断する(
図6のS30)。例えば、
図5のS10乃至S17で送受信されるデータの中に、患者情報のリクエストを送信するトリガを示す情報が記録されてもよい。そして、薬液注入装置10は当該情報に基づき、S30の判断を行ってもよい。なお、その他の方法でS30の判断を実現してもよい。
【0055】
リクエストを送信するトリガが「薬液注入装置10の操作」である場合(S30の「薬液注入装置の操作」)、出力部14は、その患者情報、及び、その患者情報を設定するか否かの問い合わせをディスプレイに表示する(S31。
図7(3)参照。)。
【0056】
そして、回答が「設定する」である場合(S32のYes)、設定部12はその患者情報を設定する(S33)。回答が「設定しない」である場合(S32のNo)、設定部12はその患者情報を設定せず、初期画面に戻る(S34)。
【0057】
一方、リクエストを送信するトリガが「RIS30の操作」である場合(S30の「RISからのリクエスト」)、設定部12はその患者情報を設定する(S35)。すなわち、この場合、出力部14は、その患者情報を設定するか否かの問い合わせをディスプレイに表示しない。
【0058】
"警告機能1"
警告機能1は、副作用歴のある薬液を患者に注入しないようにするための機能である。
【0059】
特定部11は、アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部111にアダプタが取り付けられると、取り付けられたアダプタに対応する薬液の種類を特定する。特定部11は、保持部111へのアダプタの取り付けに応じて、薬液の種類を特定する処理を実行することができる。
【0060】
例えば、保持部111に取り付けられたアダプタにより押下される複数のボタンを注入実行ユニット110に設けておき、当該ボタンの押下状態に応じて取り付けられているアダプタの種類を特定してもよい。複数種類のアダプタ各々には、当該ボタンを押下するための突起が設けられる。複数種類のアダプタ各々の突起は、互いに構成(位置、大きさ、形状等)が異なり、保持部111に取り付けられた際、互いに異なるボタンの押下状態となるようになっている。
【0061】
その他、アダプタに各々のIDを記録した電子タグ(RFIDチップ等)を搭載してもよい。そして、注入実行ユニット110は電子タグから情報を読み取るリーダ(RFIDリーダ等)を備えてもよい。アダプタが保持部111に取り付けられると、リーダはアダプタに搭載された電子タグからアダプタのIDを取得する。
【0062】
その他、磁気センサーを用いて保持部111に取り付けられたアダプタの種類を特定してもよい。
【0063】
アダプタと薬液の種類は1対1の関係となっている。保持部111に取り付けられたアダプタの種類を特定することで、それに対応する薬液の種類を特定することができる。
【0064】
なお、ここで例示したアダプタの種類を特定する方法はあくまで一例であり、他の方法を採用することもできる。
【0065】
設定部12は、これから薬液を注入する対象(患者)の患者情報を設定する。患者情報には、その患者において副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報が含まれる。設定部12は、例えば、上述した患者情報設定機能1及び2に基づき、患者情報の設定を行ってもよい。
【0066】
判断部13は、保持部111へのアダプタの取り付け、及び、設定部12による患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、患者情報に含まれる副作用情報の中に、特定部11に特定された薬液の種類(保持部111に取り付けられたアダプタに対応する薬液の種類)が含まれるか判断する。
【0067】
出力部14は、判断部13による判断結果が「含まれる」である場合、警告を出力する。警告は、ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ等のあらゆる出力装置を介して実現される。例えば、設定されている患者は、取り付けられようとしている薬液に対して副作用歴がある旨を、ディスプレイを介して通知してもよい。
【0068】
次に、
図9を用いて、薬液注入装置10の操作の流れ、及び、薬液注入装置10により表示される情報の一例を説明する。
【0069】
図9(1)は、患者情報設定後の画面である(
図7(4)の状態にあたる)。図より、ネモトタロウさんの患者情報が設定されていることが分かる。当該状態で1つのアダプタが注入実行ユニット110の保持部111に取り付けられると、警告機能1で説明した処理が実行される。すなわち、判断部13は、取り付けられたアダプタに対応する薬液の種類が設定されている患者情報に含まれる副作用情報の中に含まれるか判断する。
【0070】
そして、含まれると判断された場合、出力部14は、
図9(2)に示すように警告を出力する。
図9(2)の「確認」ボタンをタッチすると、
図9(3)の画面になる。
【0071】
なお、ここでは、患者情報の設定がアダプタの取り付けより前である場合を例に説明したが、アダプタの取り付けが患者情報の設定より前の場合も同様に警告を出力できる。例えば、
図7(3)の「はい」のタッチの前に保持部111に1つのアダプタが取り付けられる。そして、
図7(3)の「はい」のタッチが行われると、それに応じて設定部12による患者情報の設定、判断部13による判断、及び、出力部14による出力が行われる。
【0072】
"警告機能2"
警告機能2は、腎機能が低下している患者に薬液を注入しようとしている際に注意喚起する機能である。
【0073】
判断部13は、設定されている患者情報で示される腎機能が予め設定される基準値以下か判断する。例えば、判断部13は、当該患者情報で示される推算糸球体濾過量が予め設定される基準値以下か判断する。出力部14は、判断部13により基準値以下と判断された場合、警告を出力する。警告は、ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ等のあらゆる出力装置を介して実現される。
【0074】
なお、患者情報に含まれる推算糸球体濾過量を示す情報が、推算糸球体濾過量を示す情報(例:血清クレアチニン値等)である場合、薬液注入装置10が当該情報に基づき推算糸球体濾過量を算出してもよいし、制御ボックス20が当該情報に基づき推算糸球体濾過量を算出してもよい。
【0075】
後者においては、例えば、制御ボックス20は、
図5のS13で患者情報をRIS30から取得した後、取得した患者情報の数が「1」の場合にはその患者情報に含まれる推算糸球体濾過量を示す情報(例:血清クレアチニン値等)に基づき推算糸球体濾過量を算出してもよい。そして、制御ボックス20は、算出した推算糸球体濾過量を患者情報に含めて、S17で薬液注入装置10に送信してもよい。一方、取得した患者情報の数が「その他」の場合には、制御ボックス20は推算糸球体濾過量を算出する処理を実行しなくてもよい。推算糸球体濾過量を算出する処理の詳細(算出式等)は設計的事項である。
【0076】
"警告機能3"
警告機能3は、腎機能を判断するためのデータが古い場合に注意喚起する機能である。
【0077】
判断部13は、設定されている患者情報で示される腎機能の測定日が予め設定される基準日より前か判断する。例えば、判断部13は、当該患者情報で示される推算糸球体濾過量の測定日(例:血清クレアチニン値の測定日)が予め設定される基準日より前か判断する。そして、出力部14は、判断部13により基準日より前と判断された場合、警告を出力する。
【0078】
警告は、ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ等のあらゆる出力装置を介して実現される。基準日は、「現在からM日前」と定義されてもよい。Mの値はオペレータが設定できてもよい。
【0079】
次に、
図10及び
図11を用いて、警告機能2及び3において薬液注入装置10により表示される情報の一例を説明する。
【0080】
図10のポップアップは、
図7(3)のポップアップにあたる。枠B内には推算糸球体濾過量が表示されている。この値が基準値以下の場合、警告マークM1が表示される。枠C内には推算糸球体濾過量の測定日が表示されている。この測定日が基準日より前の場合、警告マークM2が表示される。
【0081】
薬液注入装置10に対する任意の操作で
図11に示すような設定画面を呼び出せてもよい。そして、オペレータは、当該設定画面から、推算糸球体濾過量の基準値や、推算糸球体濾過量の測定日の基準日を設定できてもよい。
【0082】
"情報表示機能1"
情報表示機能1では、出力部14は、副作用歴のある1つ又は複数の薬液の種類、及び、各々の重篤度のグレードを出力する。出力部14は、例えばこのような情報をディスプレイに表示する。
【0083】
次に、
図12乃至
図15を用いて、情報表示機能1において薬液注入装置10により表示される情報の一例を説明する。
【0084】
図12のポップアップは、
図7(3)のポップアップにあたる。表示されている患者情報の中に副作用歴のある薬液の種類及び各々の重篤度のグレードが含まれている場合、出力部14は枠Dのような警告を行う。枠D内のボタンをタッチされると、出力部14は、副作用情報の詳細を出力する。
【0085】
副作用歴のある薬液の種類が1つの場合、
図13に示すような画面となる。副作用歴のある薬液の種類が複数の場合、
図14に示すような画面となる。これらの画面では、副作用歴のある1つ又は複数の薬液の種類、及び、各々の重篤度のグレードが表示されている。「OK」ボタンをタッチすると、
図12に戻る。
【0086】
なお、副作用歴のある薬液の中の少なくとも1つの重篤度のグレードが閾値以上である場合、
図12の枠D内の情報を
図15のEのように変更してもよい。すなわち、副作用歴のある薬液の中のすべての重篤度のグレードが閾値未満である場合、
図12の枠D内の情報が表示され、少なくとも1つの重篤度のグレードが閾値以上である場合、
図12の枠D内の情報を
図15のEのように変更してもよい。当該表示により、副作用歴のある薬液の中に、重篤度のグレードが閾値以上であるものが含まれるか否かを直感的に把握できる。なお、重篤度のグレードの閾値は、オペレータが設定できてもよい。
【0087】
"情報表示機能2"
情報表示機能2では、出力部14は、患者情報が設定されていない場合、その旨を識別する情報を出力する。
【0088】
次に、
図16を用いて、情報表示機能2において薬液注入装置10により表示される情報の一例を説明する。
【0089】
図16では、ボタンXの横に患者の氏名が表示されていない。この表示により、患者情報が設定されていないことを直感的に把握できる。
【0090】
なお、詳細な説明は省略するが、薬液注入装置10に必要な情報が設定され、薬液注入動作可能な状態になると、注入実行ユニット110が薬液の注入動作を行う。
【0091】
次に、撮像システムに含まれる各装置のハードウエア構成の一例について説明する。各装置の各機能は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0092】
図17は、各装置のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図17に示すように、各装置は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。なお、周辺回路4Aを有さなくてもよい。
【0093】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置(例:キーボード、マウス、マイク等)、外部装置、外部サーバ、外部センサー等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置(例:ディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等)、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0094】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
アダプタの取り付け、及び、患者情報の設定の両方を満たしたタイミングで副作用に関する警告を出力する本実施形態の薬液注入装置10によれば、薬液シリンジを薬液注入装置に取り付ける前に警告を出力することができる。かかる場合、薬液シリンジを包装資材から取り出す前に警告を出力することが可能となるので、包装資材から取り出されたが使用されない薬液シリンジの発生を抑制できる。
【0095】
なお、本実施形態の薬液注入装置10は、特許文献1に開示されている警告技術を採用することもできる。かかる場合、複数のタイミングで警告を出力できるので、より確実に警告をオペレータに認識させることができる。
【0096】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、副作用歴のある1つ又は複数の薬液の種類、及び、各々の重篤度のグレードを出力することができる。当該情報により、オペレータは薬液注入を実行してよいか否かを正確に判断できるようになる。
【0097】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、副作用歴のある薬液の種類の中に重篤度のグレードが閾値以上であるものが含まれる場合、その旨を示す情報を出力することができる。当該情報により、オペレータはその旨を確実に把握できるようになる。
【0098】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、患者情報が設定されていない場合、その旨を識別する情報を出力することができる。当該情報により、オペレータはその旨を確実に把握できるようになる。
【0099】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、推算糸球体濾過量が基準値以下である場合、また、推算糸球体濾過量の測定日が基準日より前である場合、警告を出力することができる。当該情報により、オペレータはその旨を確実に把握できるようになる。
【0100】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、RIS30から送信されてきた患者情報が1つの場合はその患者情報を設定し、RIS30から送信されてきた患者情報が複数の場合は患者情報を設定せず、その旨を出力する。
【0101】
なお、RIS30から送信されてきた患者情報が複数の場合、送信されてきた複数の患者情報の中からいずれかをオペレータに選択させ、それを設定するという処理も考えられる。しかし、この場合、取り間違いが起きる可能性がある。
【0102】
そこで、本実施形態の薬液注入装置10は、RIS30から送信されてきた患者情報が複数の場合は患者情報を設定せず、その旨を出力することとする。この場合、RIS30を操作し、1つの患者情報が薬液注入装置10に送信されるように設定(検索条件の設定、リクエストに応じて送信する1つの患者情報を指定)することとなる。RIS30側で薬液注入装置10に送信する患者情報の最終確認をできるので、取り間違いを減らすことができる。
【0103】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、薬液注入装置10の操作に応じて患者情報のリクエストを送信した場合と、RIS30の操作に応じて患者情報のリクエストを送信した場合とで、処理内容を変えることができる。
【0104】
RIS30側で薬液注入装置10に送信する患者情報の最終確認を行った後に、RIS30を操作することで患者情報のリクエストを薬液注入装置10に要求する場合、その患者情報に取り間違い等が起きている可能性は低い。このため、RIS30の操作に応じた場合は取得した患者情報をそのまま設定する。結果、不要な確認作業を減らし、オペレータの作業負担を軽減できる。一方、薬液注入装置10の操作に応じた場合は取得した患者情報を提示し、それを設定するか否かの問い合わせを行うことで、取り違いなどの不都合を減らす。
【0105】
また、本実施形態の薬液注入装置10は、RIS30から送信されてきた患者情報をそのまま制御ボックス20から受信するのでなく、一度、その数を示す情報を制御ボックス20から受信し、その数に応じて処理内容を変えることができる。このようにすれば、薬液注入装置10は、不要に多数の患者情報を受信する不都合を回避できる。結果、処理負担を軽減できる。
【0106】
「第2の実施形態」
図18に、撮像システムの機能ブロック図の一例を示す。図示するように、本実施形態の撮像システムは、制御ボックス20を有さない点で、第1の実施形態の撮像システムと異なる。この場合、薬液注入装置10は、制御ボックス20を介さずに、RIS30及びPACS40と通信する。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0107】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を実現できる。
【0108】
以下、参考形態の例を付記する。
1. アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定部と、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定部と、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定部に特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断部と、
前記特定部に特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力部と、
を有する薬液注入装置。
2. 1に記載の薬液注入装置において、
1つの薬液の種類に1つのアダプタが対応する薬液注入装置。
3. 1又は2に記載の薬液注入装置において、
前記副作用情報には、副作用歴のある薬液の種類各々の重篤度のグレードが含まれており、
前記出力部は、副作用歴のある1つ又は複数の薬液の種類、及び、各々の前記重篤度のグレードを出力する薬液注入装置。
4. 1から3のいずれかに記載の薬液注入装置において、
前記出力部は、前記患者情報が設定されていない場合、その旨を識別する情報を出力する薬液注入装置。
5. 1から4のいずれかに記載の薬液注入装置において、
前記患者情報には、腎機能を示す情報が含まれており、
前記判断部は、設定されている患者情報で示される腎機能が基準値以下か判断し、
前記出力部は、設定されている患者情報で示される腎機能が基準値以下である場合、警告を出力する薬液注入装置。
6. 5に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報には、腎機能の測定日を示す情報が含まれており
前記判断部は、設定されている患者情報で示される腎機能の測定日が基準日より前か判断し、
前記出力部は、設定されている患者情報で示される腎機能の測定日が基準日より前である場合、警告を出力する薬液注入装置。
7. 1から6のいずれかに記載の薬液注入装置において、
前記患者情報のリクエストをサーバに送信する取得部をさらに有し、
前記リクエストに応じて前記サーバから送信されてきた前記患者情報の数に応じて処理内容を異ならせる薬液注入装置。
8. 7に記載の薬液注入装置において、
前記薬液注入装置は中継装置経由で前記サーバと通信し、
前記中継装置は、前記リクエストに応じて前記サーバから送信されてきた前記患者情報を取得すると、前記患者情報の数を前記薬液注入装置に通知し、
前記患者情報の数が1の場合、前記取得部はその前記患者情報を前記中継装置にリクエストして前記中継装置から取得し、前記設定部はその前記患者情報を設定する薬液注入装置。
9. 8に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報の数が0、及び、2以上の中のいずれかである場合、前記出力部はその旨を通知する薬液注入装置。
10. 9に記載の薬液注入装置において、
前記患者情報の数が0、及び、2以上の中のいずれかである場合、前記取得部は前記患者情報を前記中継装置に要求しない薬液注入装置。
11. 8から10のいずれかに記載の薬液注入装置において、
前記取得部は、前記薬液注入装置の操作、又は、前記サーバの操作に応じて前記患者情報のリクエストを前記サーバに送信し、
前記患者情報の数が1、かつ、前記薬液注入装置の操作に応じて前記患者情報のリクエストを前記サーバに送信した場合、
前記出力部は、前記取得部が前記中継装置から取得した前記患者情報、及び、当該患者情報を設定するか否かの問い合わせを出力し、前記設定部は、前記問い合わせの回答が設定するである場合にその前記患者情報を設定し、
前記患者情報の数が1、かつ、前記サーバの操作に応じて前記患者情報のリクエストを前記サーバに送信した場合、
前記出力部は、前記問い合わせを出力せず、前記設定部は、前記取得部が前記中継装置から取得した前記患者情報を設置する薬液注入装置。
12. 1から11のいずれかに記載の薬液注入装置において、
前記副作用情報には、副作用歴のある薬液の種類各々の重篤度のグレードが含まれており、
前記出力部は、少なくとも1つの重篤度のグレードが閾値以上である場合、その旨を示す情報を出力する薬液注入装置。
13. コンピュータが、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定工程と、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定工程と、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定工程で特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断工程と、
前記特定工程で特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力工程と、
を実行する薬液注入装置の動作方法。
14. コンピュータを、
アダプタを介して薬液シリンジを保持する保持部に前記アダプタが取り付けられると、取り付けられた前記アダプタに対応する薬液の種類を特定する特定手段、
副作用歴のある薬液の種類を示す副作用情報を含む患者情報を設定する設定手段、
前記アダプタの取り付け、及び、前記患者情報の設定の両方を満たすと、それに応じて、前記副作用情報の中に前記特定手段に特定された前記薬液の種類が含まれるか判断する判断手段、
前記特定手段に特定された前記薬液の種類が前記副作用情報に含まれる場合、警告を出力する出力手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0109】
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス
10 薬液注入装置
11 特定部
12 設定部
13 判断部
14 出力部
15 取得部
110 注入実行ユニット
111 保持部
112 押圧部
120 注入制御ユニット
20 制御ボックス
30 RIS
40 PACS
50 画像閲覧装置
60 透視撮像装置
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクエストに応じてサーバから送信された患者情報を取得すると、前記リクエストが薬液注入装置の操作に応じて送信されたか、前記サーバの操作に応じて送信されたかを判断する手段を有する薬液注入装置。
【請求項2】
前記薬液注入装置の操作に応じて前記リクエストを前記サーバに送信する手段と、前記サーバの操作に応じて前記リクエストを前記サーバに送信する手段とを有する請求項1に記載の薬液注入装置。
【請求項3】
前記薬液注入装置の操作に応じて前記リクエストを前記サーバに送信したと判断された場合、取得した前記患者情報を設定するかユーザに問い合わせ、前記問い合わせに対する回答が設定するである場合に取得した前記患者情報を設定する手段を有する請求項1又は2に記載の薬液注入装置。
【請求項4】
前記薬液注入装置の操作に応じて前記リクエストを前記サーバに送信したと判断された場合、取得した前記患者情報を設定するかユーザに問い合わせ、前記問い合わせに対する回答が設定しないである場合に取得した前記患者情報を設定しない手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の薬液注入装置。
【請求項5】
前記サーバの操作に応じて前記リクエストを前記サーバに送信したと判断された場合、取得した前記患者情報を設定するかユーザに問い合わせずに、前記患者情報を設定する手段を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の薬液注入装置。
【請求項6】
コンピュータが、リクエストに応じてサーバから送信された患者情報を取得すると、前記リクエストが薬液注入装置の操作に応じて送信されたか、前記サーバの操作に応じて送信されたかを判断する処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、リクエストに応じてサーバから送信された患者情報を取得すると、前記リクエストが薬液注入装置の操作に応じて送信されたか、前記サーバの操作に応じて送信されたかを判断する手段として機能させるプログラム。