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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006646
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20220105BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20220105BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F24F11/41 210
F24F11/41 110
F24F11/79
F25B47/02 570M
F25B47/02 570G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109005
(22)【出願日】2020-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智大
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA36
3L260CA04
3L260CA12
3L260CA13
3L260CB06
3L260CB15
3L260DA09
3L260FB12
3L260FC16
(57)【要約】
【課題】ユーザにとっての快適性が高い空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、膨張弁14と、室内熱交換器15と、が四方弁17を介して接続されてなる冷媒回路Qを備えるとともに、室内熱交換器15の付近に設けられる室内ファン16を備え、除霜運転の開始時又は開始前から室内ファン16を駆動させ、空調室の冷えに関する所定条件が除霜運転中に成立した場合、室内ファン16を停止、又は室内ファン16の回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、
前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンを備え、
前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備える空気調和機。
【請求項2】
前記室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度センサを備え、
前記制御部は、前記所定条件として、前記室内熱交換器の温度が第1所定値以下になった場合、前記処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記除霜運転中に前記処理を行った後、前記室内熱交換器の温度が、前記第1所定値よりも低い第2所定値以下になった場合、当該除霜運転中に前記室内ファンの再び駆動させる、又は前記室内ファンの回転速度を上昇させること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記圧縮機の吸込温度を検出する吸込温度センサを備え、
前記制御部は、前記除霜運転中に前記処理を行った後、前記吸込温度が所定値以下になった場合、当該除霜運転中に前記室内ファンの再び駆動させる、又は前記室内ファンの回転速度を上昇させること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空調室の温度を検出する室内温度センサと、
前記空調室の湿度を検出する湿度センサと、を備え、
前記制御部は、前記所定条件として、前記空調室の温度が所定値以下であり、さらに、前記空調室の湿度が所定値以上であるという条件が成立した場合、前記処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記空調室の温度を検出する室内温度センサと、
前記空調室を撮像する撮像部と、を備え、
前記制御部は、前記所定条件として、前記空調室の温度及び前記撮像部の撮像結果を含む情報に基づく在室者の体感温度が所定値以下になった場合、前記処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記空調室からの赤外線を検出する赤外線センサを備え、
前記制御部は、前記所定条件として、前記赤外線センサの検出結果に基づく前記空調室の温度が所定値以下になった場合、前記処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記赤外線センサは、前記空調室の上側空間又は天井に臨むように配置され、
前記制御部は、前記除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを正回転又は逆回転させ、
前記室内ファンの逆回転は、通常の空調運転時における前記室内ファンの正回転に対して逆向きの回転であり、
前記室内ファンの逆回転に伴い、前記空調室の前記上側空間又は前記天井に向かうように空気が吹き出されること
を特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記室内ファンの駆動に伴って前記空調室に吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する上下風向板を備え、
前記制御部は、前記除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを逆回転させ、当該逆回転中、前記除霜運転の直前に行った暖房運転の停止時の位置で前記上下風向板の角度を維持すること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記室内ファンの駆動に伴って前記空調室に吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する上下風向板を備え、
前記制御部は、前記除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを逆回転させ、当該逆回転中、前記上下風向板を開いた状態で維持すること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外熱交換器の霜を溶かす除霜運転に関して、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、室内機の送風機をシロッコファン又はターボファンで構成し、除霜運転中に送風機を逆回転させることで、風量を減少させる技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-372283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、除霜運転中は、室外熱交換器が凝縮器として機能する一方、室内熱交換器が蒸発器として機能するため、空調室が冷える可能性がある。したがって、除霜運転に要する時間を短くして、ユーザの快適性を高めることが望まれている。特許文献1に記載の技術では、除霜運転中に送風機を逆回転させることで、インバータ駆動手段を設けない構成でも風量を減少させるようにしているが、除霜運転に要する時間をさらに短縮し、ユーザにとっての快適性を高める余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザにとっての快適性が高い空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンを備え、前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備えることとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザにとっての快適性が高い空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る空気調和機の構成図である。
図2】第1実施形態に係る空気調和機の室内機の縦断面図である。
図3】第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る空気調和機の除霜運転における各機器の状態や室内熱交換器の温度の変化を示すタイムチャートである。
図6】第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る空気調和機の除霜運転における各機器の状態や室内熱交換器の温度の変化を示すタイムチャートである。
図8】第3実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図9】第3実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図10】第4実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図11】第4実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図12】第5実施形態に係る空気調和機の室内機の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の構成図である。
なお、図1の実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
一方、図1の破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、室外ファン13と、膨張弁14と、を備えている。また、空気調和機100は、前記した構成の他に、室内熱交換器15と、室内ファン16と、四方弁17と、を備えている。
【0010】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器であり、駆動源である圧縮機モータ11aを備えている。このような圧縮機11として、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機等が用いられる。なお、図1では図示を省略しているが、圧縮機11の吸込側には、冷媒の気液分離を行うための殻状のアキュムレータが接続されている。
【0011】
室外熱交換器12は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン13によって送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室外ファン13は、室外熱交換器12に外気を送り込むファンである。室外ファン13は、駆動源である室外ファンモータ13aを備え、室外熱交換器12の付近に設けられている。
膨張弁14は、「凝縮器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁である。なお、膨張弁14で減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の他方)に導かれる。
【0012】
室内熱交換器15は、その伝熱管gi(図2参照)を通流する冷媒と、室内ファン16によって送り込まれる室内空気(空調室の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室内ファン16は、室内熱交換器15に室内空気を送り込むファンである。室内ファン16は、駆動源である室内ファンモータ16c(図3参照)を備え、室内熱交換器15の付近に設けられている。
【0013】
四方弁17は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。そして、図1に示すように、空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、膨張弁14と、室内熱交換器15と、が四方弁17を介して接続されてなる冷媒回路Qを備えた構成になっている。
【0014】
例えば、冷房運転時(図1の破線矢印を参照)には、冷媒回路Qにおいて、圧縮機11、室外熱交換器12(凝縮器)、膨張弁14、及び室内熱交換器15(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。一方、暖房運転時(図1の実線矢印を参照)には、冷媒回路Qにおいて、圧縮機11、室内熱交換器15(凝縮器)、膨張弁14、及び室外熱交換器12(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。
【0015】
図1の例では、圧縮機11、室外熱交換器12、室外ファン13、膨張弁14、及び四方弁17が、室外機Uoに設置されている。一方、室内熱交換器15や室内ファン16は、室内機Uiに設置されている。
【0016】
なお、外気が低温多湿の環境下で長時間に亘って暖房運転が行われると、室外熱交換器12が着霜し、その熱交換性能が低下する可能性がある。したがって、第1実施形態では、室外熱交換器12の除霜を行う所定の除霜運転を制御部40(図3参照)が実行するようにしている。
【0017】
図2は、室内機Uiの縦断面図である。
図2に示すように、室内機Uiは、前記した室内熱交換器15や室内ファン16の他に、ドレンパン18と、筐体ベース19と、フィルタ20a,20bと、を備えている。さらに、室内機Uiは、前面パネル21と、左右風向板22と、上下風向板23と、を備えている。
【0018】
室内熱交換器15は、複数のフィンfiと、これらのフィンfiを貫通する複数の伝熱管giと、を備えている。別の観点から説明すると、室内熱交換器15は、室内ファン16の前側に配置される前側室内熱交換器15aと、室内ファン16の後側に配置される後側室内熱交換器15bと、を備えている。図2の例では、前側室内熱交換器15aの上端部と、後側室内熱交換器15bの上端部と、が逆V状に接続されている。
【0019】
室内ファン16は、例えば、円筒状のクロスフローファンであり、室内熱交換器15の付近に設けられている。室内ファン16は、複数のファンブレード16aと、これらのファンブレード16aが設置される環状の仕切板16bと、駆動源である室内ファンモータ16c(図3参照)と、を備えている。
【0020】
ドレンパン18は、室内熱交換器15の結露水を受けるものであり、室内熱交換器15の下側に設置されている。
筐体ベース19は、室内熱交換器15や室内ファン16の他、フィルタ20a,20b等が設置される筐体である。
フィルタ20a,20bは、室内ファン16の駆動に伴って室内熱交換器15に向かう空気から塵埃を捕集するものである。一方のフィルタ20aは室内熱交換器15の前側に配置され、他方のフィルタ20bは室内熱交換器15の上側に配置されている。
【0021】
前面パネル21は、前側のフィルタ20aを覆うように設置されるパネルであり、下端を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル21が回動しない構成であってもよい。
左右風向板22は、室内ファン16の駆動に伴って空調室に吹き出される空気の左右方向の風向きを調整する板状部材である。左右風向板22は、吹出風路h3に配置され、左右風向板用モータ27(図3参照)によって左右方向に回動するようになっている。
【0022】
上下風向板23は、室内ファン16の駆動に伴って空調室に吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する板状部材である。上下風向板23は、空気吹出口h4の付近に配置され、上下風向板用モータ28(図3参照)によって上下方向に回動するようになっている。
【0023】
空気吸込口h1,h2を介して吸い込まれた空気は、室内熱交換器15の伝熱管giを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路h3に導かれる。そして、吹出風路h3を通流する空気は、左右風向板22及び上下風向板23によって所定方向に導かれ、空気吹出口h4を介して室内に吹き出される。
【0024】
図3は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図3に示す室内機Uiは、前記した各構成の他に、リモコン送受信部24と、室内温度センサ25と、室内熱交換器温度センサ26と、表示ランプ29と、室内制御回路41と、を備えている。
リモコン送受信部24は、赤外線通信等によってリモコン50との間で所定の情報をやり取りする。
【0025】
室内温度センサ25は、空調室の温度(室内温度)を検出するセンサであり、例えば、フィルタ20a,20b(図2参照)の空気吸込側に設置されている。
室内熱交換器温度センサ26は、室内熱交換器15(図2参照)の温度を検出するセンサである。なお、室内熱交換器温度センサ26は、室内熱交換器15の所定箇所に設置されてもよいし、また、室内熱交換器15の所定の接続配管に設置されてもよい。室内温度センサ25や室内熱交換器温度センサ26の検出値は、室内制御回路41に出力される。
表示ランプ29は、空調に関する所定の表示を行うランプである。
【0026】
室内制御回路41は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0027】
図3に示すように、室内制御回路41は、記憶部41aと、室内制御部41bと、を備えている。記憶部41aには、所定のプログラムの他、リモコン送受信部24を介して受信したデータや、各センサの検出値等が格納される。室内制御部41bは、記憶部41aのデータに基づいて、室内ファンモータ16c、左右風向板用モータ27、上下風向板用モータ28、表示ランプ29等を制御する。
【0028】
室外機Uoは、前記した各構成の他に、室外温度センサ31と、室外熱交換器温度センサ32と、室外制御回路42と、を備えている。
室外温度センサ31は、外気の温度(室外温度)を検出するセンサであり、室外機Uoの所定箇所に設置されている。
室外熱交換器温度センサ32は、室外熱交換器12の温度を検出するセンサである。なお、室外熱交換器温度センサ32は、室外熱交換器12の所定箇所に設置されてもよいし、また、室外熱交換器12の所定の接続配管に設置されてもよい。
その他、図3では省略しているが、室外機Uoは、圧縮機11(図1参照)の吐出温度等を検出する複数のセンサも備えている。これらの各センサの検出値は、室外制御回路42に出力される。
【0029】
室外制御回路42は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、通信線を介して室内制御回路41に接続されている。図3に示すように、室外制御回路42は、記憶部42aと、室外制御部42bと、を備えている。
【0030】
記憶部42aには、所定のプログラムの他、室内制御回路41から受信したデータ等が格納される。室外制御部42bは、記憶部42aのデータに基づいて、圧縮機モータ11a、室外ファンモータ13a、膨張弁14、四方弁17等を制御する。なお、室内制御回路41及び室外制御回路42を総称して、制御部40という。
【0031】
図4は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図1図3を参照)。
なお、図4のステップS101に先立って、除霜運転の所定の開始条件が成立し、さらに、四方弁17の切替え(暖房サイクルから冷房サイクルへの切替え)が行われているものとする。除霜運転の開始条件として、例えば、室外熱交換器12の温度が所定値以下の状態が、所定時間以上継続するという条件が用いられてもよい。
【0032】
ステップS101において制御部40は、除霜運転を開始する。すなわち、制御部40は、室外熱交換器12を凝縮器として機能させる一方、室内熱交換器15を蒸発器として機能させる。これによって、室外熱交換器12に高温の冷媒が流れるため、室外熱交換器12の霜が徐々に溶ける。さらに、ステップS101において制御部40は、除霜運転の開始時に室内ファン16を駆動させる。なお、図4では省略しているが、室外ファン13については、除霜運転の開始時又は開始前から駆動させてもよいし、また、除霜運転中に適宜に駆動させてもよい。
【0033】
ステップS101において室内ファン16が駆動することで、空調室の空気が室内機Uiに取り込まれ、この空気と室内熱交換器15(蒸発器)との間で熱交換が行われる。これによって、室内熱交換器15で冷媒の蒸発が促進されるため、冷媒の温度・圧力の低下が抑制される。その結果、室内熱交換器15で蒸発した冷媒が導かれる圧縮機11において、吸込圧力の低下が抑制される。したがって、圧縮機モータ11a(図1参照)の1回転当たりでの冷媒の吐出量が比較的多くなり、冷媒回路Q(図1参照)における冷媒の循環量(単位時間当たりの流量)の低下を抑制できる。その結果、室外熱交換器12の除霜が促進され、除霜運転に要する時間を短縮できる。
【0034】
なお、除霜運転中における室内ファン16の駆動は、正回転であってもよいし、また、逆回転であってもよい。室内ファン16の正回転・逆回転のいずれの場合でも、空調室の空気と、室内熱交換器15の冷媒と、の間の熱交換が促進されるからである。
【0035】
特に、制御部40が室内ファン16を逆回転させた場合には、室内機Ui(図2参照)において、通常の空調運転時とは逆向きに空気が流れる。つまり、空気吹出口h4(図2参照)を介して室内機Uiに取り込まれた空気が、空気吸込口h1,h2(図2参照)を介して、空調室に吹き出される。したがって、空調室のユーザに低温の空気が直接あたることが抑制されるため、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0036】
ステップS101で除霜運転を開始した後、ステップS102において制御部40は、室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1以下であるか否かを判定する。前記したように、室内熱交換器15の温度Teは、室内熱交換器温度センサ26(図3参照)によって検出される。また、第1所定値Te1は、除霜運転中に室内ファン16を停止させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。ステップS102において室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1以下である場合(S102:Yes)、制御部40の処理はステップS103に進む。
【0037】
ステップS103において制御部40は、室内ファン16を停止させる。これによって、室内熱交換器15との熱交換で冷やされた空気が空調室に吹き出すことを抑制し、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0038】
なお、除霜運転の開始時からの経過時間が長くなるにつれて、室内熱交換器15の冷媒の温度が下がり、それに伴って圧縮機11の吸込圧力が低下し、冷媒の循環量が少なくなる。つまり、除霜運転が長引くほど、除霜能力が低くなる傾向がある。
【0039】
そこで、第1実施形態では、室外熱交換器12の除霜を行う除霜運転の開始時から制御部40が室内ファン16を駆動させ(S101)、空調室の冷えに関する「所定条件」が除霜運転中に成立した場合(S102:Yes)、室内ファン16を停止させる処理を行うようにしている(S103)。第1実施形態では、前記した「所定条件」として、室内熱交換器の温度Teが第1所定値Te1以下である、という条件を用いるようにしている。仮に、除霜運転中の空調室が冷えた場合、それは、室内熱交換器15の温度低下に起因するものだからである。
【0040】
このように、除霜運転の開始時から室内ファン16が駆動されることで(S101)、圧縮機11の吸込圧力が低下し、冷媒循環量の低下に伴う除霜能力の低下を抑え、室外熱交換器12の霜を溶かすことができる。これによって、室外熱交換器12の除霜に要する時間を短縮できる。
【0041】
また、図4のステップS102において室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1よりも高い場合(S102:No)、制御部40の処理はステップS104に進む。ステップS104において制御部40は、室内ファン16の駆動を継続させる。これによって、空調室の冷えを抑制しつつ、室外熱交換器12の除霜を短時間で行うことができる。
【0042】
図4のステップS103又はS104の処理を行った後、ステップS105において制御部40は、除霜運転の終了条件が満たされたか否かを判定する。例えば、室外熱交換器12の温度が所定値以上になった場合、除霜運転の終了条件が満たされたと制御部40が判定するようにしてもよい。
【0043】
ステップS105において除霜運転の終了条件が満たされた場合(S105:Yes)、制御部40の処理はステップS106に進む。ステップS106において制御部40は、除霜運転を終了する(END)。一方、ステップS105において除霜運転の終了条件が満たされていない場合(S105:No)、制御部40の処理はステップS102に戻る。
次に、一例として、制御部40が、室内ファン16及び室外ファン13の両方を除霜運転の開始時から駆動させる場合について、図5を用いて説明する。
【0044】
図5は、除霜運転における各機器の状態や室内熱交換器の温度の変化を示すタイムチャートである(適宜、図1図3を参照)。
なお、図5の横軸は時刻であり、縦軸は各機器の状態や室内熱交換器15の温度である。また、除霜運転の開始条件が、図5の時刻t1の直前に満たされたものとする。このように除霜運転の開始条件が成立した場合、図5の時刻t1~t2に示すように、制御部40は、圧縮機11や室内ファン16、室外ファン13をいったん停止させ、四方弁17を暖房サイクルから冷房サイクルに切り替え、さらに、膨張弁14を全開にする。
また、図5は一例であり、時刻t1~t2において、制御部40が圧縮機11、室内ファン16、及び室外ファン13を停止させる必要は特にない。また、時刻t1~t2において、制御部40が膨張弁14を全開にする必要も特にない。
【0045】
そして、除霜運転の開始時(時刻t2)において制御部40は、四方弁17を冷房サイクルの状態で維持しつつ、圧縮機11を駆動させ、また、膨張弁14を所定の開度u2に絞る。なお、図5の例では、除霜運転中の膨張弁14の開度u2が、暖房運転中の開度u1よりも大きくなっているが、これに限定されるものではない。また、除霜運転中に膨張弁14の開度u2が一定である必要も特にない。
【0046】
図5の例では、除霜運転の開始時(時刻t2)に、制御部40が室内ファン16及び室外ファン13の駆動を開始している(図4のS101)。除霜運転中に室内ファン16が駆動されることで、前記したように、冷媒の循環量の低下が抑制され、室外熱交換器12の除霜が促進される。また、制御部40が室外ファン13を駆動させることで、室外熱交換器12の霜が外気の熱で溶かされる。
【0047】
図5に示すように、室内熱交換器15の温度が第1所定値Te1まで下がったとき(時刻t3)、室内ファン16が停止される(図4のS102:Yes、S103)。これによって、空調室に冷えた空気が吹き出されることを抑制できる。
【0048】
なお、図5の例では、室内ファン16が停止した状態で除霜運転が行われる時刻t3~t4の期間では、室内熱交換器15の温度が急勾配で低下している。これは、室内ファン16の停止に伴い、空調室の空気と室内熱交換器15の冷媒との間の熱交換が抑制され、室内熱交換器15の温度が低下するからである。
【0049】
また、図5の例では、室内ファン16の停止時(時刻t3)に室外ファン13も停止されているが、これらの各タイミングが異なっていてもよい。室外ファン13を停止させるトリガは、除霜運転中に室外熱交換器12の温度が所定値以上になった場合でもよいし、また、除霜運転の開始時から所定時間が経過した場合でもよい。
除霜運転の終了後、制御部40は、圧縮機11をいったん停止させ、膨張弁14を全開にする。そして、図5には示していないが、制御部40は暖房運転を再開する。なお、前記した制御は一例であり、除霜運転の終了後に制御部40が圧縮機11を停止させたり、膨張弁14を全開にしたりする必要は特にない。
【0050】
<効果>
第1実施形態によれば、除霜運転の開始時から制御部40が室内ファン16を駆動させる(図4のS101)。これによって、室内熱交換器15の温度がそれほど低くないとき(つまり、除霜能力が比較的高いときに)、室内ファン16の駆動で室外熱交換器12の除霜が促進される。したがって、除霜運転に要する時間を短縮し、空調室にいるユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0051】
また、第1実施形態によれば、室内熱交換器15の温度が所定値以下になった場合(図4のS102:Yes)、制御部40が室内ファン16を停止させる(S103)。これによって、除霜運転の後半(室内熱交換器15の温度が特に低い期間)において、空調室に冷えた空気が吹き出されることを抑制できる。したがって、空調室にいるユーザにとっての快適性を高めることができる。また、空気調和機100の消費電力量を削減できる。
【0052】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、除霜運転中に室内ファン16(図1参照)を停止させた後、室内熱交換器15の温度が第2所定値以下になった場合、制御部40が室内ファン16を再び駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(空気調和機100の構成等:図1図3参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0053】
図6は、第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図1図3を参照)。
図6のステップS201において制御部40は、除霜運転を開始し、室内ファン16を駆動させる。なお、ステップS201の処理は、第1実施形態のステップS101(図4参照)と同様である。
次に、ステップS202において制御部40は、室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1以下であり、かつ、第2所定値Te2よりも高いという条件が成立しているか否かを判定する。
【0054】
なお、第2所定値Te2は、室内ファン16を停止(又は駆動)させるか否かの判定基準となる閾値であり、第1所定値Te1よりも低い値として、予め設定されている。例えば、ステップS202において室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1よりも高い場合(S202:No)、ステップS204において制御部40は、室内ファン16を駆動させる(駆動を継続する)。これによって、空調室の冷えを抑制しつつ、室外熱交換器12の除霜に要する時間を短縮できる。ちなみに、室内ファン16の駆動中も、低温低圧の冷媒が膨張弁14を介して室内熱交換器15に流入するため、室内熱交換器15の温度は徐々に低下する(図7の時刻t2~t3)。
【0055】
また、ステップS202において室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1以下であり、かつ、第2所定値Te2よりも高い場合(S202:Yes)、ステップS203において制御部40は、室内ファン16を停止させる。これによって、冷えた空気が空調室に吹き出されることを抑制できる。なお、除霜運転中に室内ファン16が停止状態であるときは、室内熱交換器15と空気との間の熱交換が抑制されている。したがって、除霜運転中に室内ファン16を駆動させる場合に比べて、室内熱交換器15の温度の低下速度が大きくなる(図7の時刻t3~t4)。
【0056】
また、ステップS202において室内熱交換器15の温度Teが第2所定値Te2以下である場合(S202:No)、ステップS204において制御部40は、室内ファン16を駆動させる。つまり、除霜運転中に室内ファン16を停止させる処理を行った後(S203)、室内熱交換器15の温度Teが、第1所定値Te1よりも低い第2所定値Te2以下になった場合(S202:No)、制御部40は、除霜運転中に室内ファン16を再び駆動させる(S204)。これによって、室内熱交換器15の温度低下の他、圧縮機11の吸込圧力の低下が抑制される。したがって、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)の圧力低下が抑制され、この密閉容器に封入されている潤滑油(冷凍機油ともいう)が冷媒に溶け込むことを抑制できる。
【0057】
ステップS203又はS204の処理を行った後、制御部40の処理はステップS205に進む。なお、ステップS205,S206については、第1実施形態における図4のステップS105,S106と同様であるから、説明を省略する。
【0058】
図7は、空気調和機の除霜運転における各機器の状態や室内熱交換器の温度の変化を示すタイムチャートである。
なお、図7の横軸・縦軸については、第1実施形態における図5に記載したものと同様であるから、説明を省略する。
図7の例では、除霜運転の開始時(時刻t2)から室内ファン16が駆動され(図6のS201)、室内熱交換器15の温度が第1所定値Te1以下になったとき(時刻t3)に室内ファン16が停止されている(S202:Yes、S203)。そして、室内ファン16が停止状態である時刻t3~t4では、室内熱交換器15の温度が急勾配で低下している。これは、前記したように、室内ファン16の停止に伴い、室内熱交換器15と空気との間の熱交換が抑制されたためである。
【0059】
そして、室内熱交換器15の温度が第2所定値Te2以下になったとき(時刻t4)、室内ファン16が再び駆動されている(図6のS202:No、S204)。これによって、室内熱交換器15の温度低下が抑制されるため、圧縮機11の吸込側の圧力低下も抑制される。
【0060】
<効果>
第2実施形態によれば、除霜運転中に室内ファン16を停止させた後、室内熱交換器15の温度Teが第2所定値Te2以下になった場合(図6のS202:No)、制御部40は、室内ファン16を再び駆動させる(S204)。これによって、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)の圧力低下が抑制されるため、潤滑油が冷媒に溶け込むことを抑制できる。したがって、圧縮機11の潤滑性やシール性の低下が抑制されるため、空気調和機100の信頼性を高めることができる。
【0061】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、室内機UAi(図8参照)に湿度センサ34が設けられる一方、室外機UAo(図8参照)に吸込温度センサ35が設けられる点が、第1実施形態とは異なっている。また、第3実施形態は、空調室の温度・湿度の検出値に基づいて、除霜運転中に制御部40が室内ファン16を停止させる点や、圧縮機11の吸込温度に基づいて、制御部40が室内ファン16を再び駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0062】
図8は、第3実施形態に係る空気調和機100Aの機能ブロック図である。
図8に示す空気調和機100Aは、第1実施形態で説明した構成(図3参照)に加えて、湿度センサ34と、吸込温度センサ35と、を備えている。
湿度センサ34は、空調室の湿度を検出するセンサであり、室内機UAiの所定箇所に設けられている。湿度センサ34の検出値は、室内制御回路41に出力される。
【0063】
吸込温度センサ35は、圧縮機11(図1参照)の吸込温度を検出するセンサであり、室外機UAoにおいて、圧縮機11の吸込側に設けられている。吸込温度センサ35の検出値は、室外制御回路42に出力される。
【0064】
図9は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図7を参照)。
なお、図9のステップS301は、第1実施形態で説明した図4のステップS101と同様であるから、その説明を省略する。ステップS301において除霜運転の開始時に室内ファン16を駆動させた後、制御部40の処理はステップS302に進む。
【0065】
ステップS302において制御部40は、空調室の温度Tiが所定値Ti1以下であり、かつ、空調室の湿度Fiが所定値Fi1以上であるという条件(空調室の冷えに関する所定条件)が成立しているか否かを判定する。
なお、空調室の温度Tiは、室内温度センサ25(図8参照)によって検出される。また、空調室の湿度Fiは、湿度センサ34(図8参照)によって検出される。また、所定値Ti1,Fi1は、室内ファン16を停止させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0066】
ステップS302において、空調室の温度Tiが所定値Ti1以下であり、かつ、空調室の湿度Fiが所定値Fi1以上であるという条件が成立している場合(S302:Yes)、制御部40の処理はステップS303に進む。
ステップS303において制御部40は、圧縮機11の吸込温度Tsが所定値Ts1以下であるか否かを判定する。前記したように、圧縮機11の吸込温度Tsは、吸込温度センサ35(図8参照)によって検出される。また、所定値Ts1は、除霜運転中に室内ファン16を駆動させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0067】
ステップS303において圧縮機11の吸込温度Tsが所定値Ts1よりも高い場合(S303:No)、制御部40の処理はステップS305に進む。
ステップS305において制御部40は、室内ファン16を停止させる。仮に、空調室が低温・高湿度の状況で室内ファン16を駆動させると、室内熱交換器15で冷やされた空気が白い霧状になって空調室に吹き出される可能性があるからである。そこで、第3実施形態では、ユーザが体の冷えを感じたり、また、白い霧状の空気に違和感を感じたりしないように、制御部40が室内ファン16を停止させるようにしている(S305)。このように室内ファン16が停止されても、圧縮機11の吸込温度Tsが所定値Ts1よりも高いため(S303:No)、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)で潤滑油が冷媒に溶け込むおそれはほとんどない。
【0068】
また、除霜運転の開始時にステップS303の条件(吸込温度Tsに関する条件)が成立していても、除霜運転の開始時からの経過時間が長くなるにつれて、圧縮機11の吸込温度Tsが徐々に低下することが多い。そこで、第3実施形態では、除霜運転中に圧縮機11の吸込温度Tsが所定値Ts1以下になった場合(S303:Yes)、ステップS304において制御部40が、室内ファン16を再び駆動させるようにしている。これによって、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)の圧力低下が抑制され、冷媒への潤滑油の溶け込みを抑制できる。
【0069】
また、ステップS302において、空調室の温度Tiが所定値Ti1よりも高いか、又は、空調室の湿度Fiが所定値Fi1未満である場合(S302:No)、制御部40の処理はステップS304に進む。ステップS304において制御部40は、室内ファン16を駆動させる。空調室の空気が低温・高湿度でなければ、室内ファン16の駆動中に室内機UAiから白い霧状の空気が吹き出されるおそれはほとんどないからである。
【0070】
そして、ステップS304又はS305の処理を行った後、制御部40の処理は、ステップ306に進む。なお、ステップS306,S307の処理については、第1実施形態における図4のステップS105,S106と同様であるから、説明を省略する。
【0071】
<効果>
第3実施形態によれば、空調室の温度Tiが所定値Ti1以下であり、さらに、空調室の湿度Fiが所定値Fi1以上であるという条件が成立している場合(図9のS302:Yes)において、圧縮機11の吸込温度Tsが所定値Ts1よりも高いとき(S303:No)、制御部40が室内ファン16を停止させる処理を行う(S305)。これによって、空調室のユーザが体に冷えを感じることを抑制できる。また、室内機UAiから白い霧状の空気が吹き出されることを抑制し、ひいては、ユーザの違和感を低減できる。
【0072】
また、第3実施形態によれば、圧縮機11の吸込温度Tsが所定値Ts1以下である場合(図9のS303:Yes)、制御部40は、室内ファン16を駆動させる(S304)。これによって、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)の圧力低下が抑制されるため、冷媒への潤滑油の溶込みを抑制できる。
【0073】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、室内機UBi(図10参照)が撮像部36を備え、撮像部36の撮像結果や室内温度に基づいて、制御部40が在室者の体感温度を算出する点が、第1実施形態とは異なっている。また、第4実施形態は、除霜運転中に在室者の体感温度が所定値以下になった場合、制御部40が室内ファン16を停止させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0074】
図10は、第4実施形態に係る空気調和機100Bの機能ブロック図である。
図10に示すように、空気調和機100Bの室内機UBiは、撮像部36を備えている。撮像部36は、空調室を撮像するものであり、室内機UBiの所定箇所に設けられている。撮像部36は、空調室にいる在室者を撮像できるように、例えば、水平方向に対して所定角度だけ下方を向いた状態で設置されている。
【0075】
撮像部36は、図示はしないが、光学レンズや撮像素子の他、A/D変換器等を備えている。前記した撮像素子して、例えば、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる。撮像部36の撮像結果のデータは、室内制御回路41に出力される。
【0076】
室内制御回路41は、撮像部36から入力されるデータを用いて、周知のパターンマッチングに基づき、空調室の在室者を検知する機能を有している。また、室内制御回路41は、在室者の単位時間当たりの移動距離(つまり、移動速度)に基づいて、在室者の活動量を算出する機能も有している。なお、「活動量」とは、人体の単位表面積あたりの代謝量である。さらに、室内制御回路41は、空調室の温度と、撮像部36の撮像結果と、に基づいて、在室者の体感温度を算出(推定)する機能も有している。
【0077】
在室者の体感温度は、例えば、空調室の温度や在室者の活動量を含む所定の数式に基づいて算出される。前記した数式は、空調室の温度が高いほど、また、在室者の活動量が大きいほど、在室者の体感温度が高くなるように設定され、予め記憶部41aに格納されている。なお、体感温度の算出に用いられる所定の数式において、空調室の湿度や日射量の他、室内機UBiから吹き出される空気の風速(風量)等が適宜に追加されてもよい。そして、次に説明するように、制御部40が、在室者の体感温度に基づいて、室内ファン16を適宜に制御するようになっている。
【0078】
図11は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図10を参照)。
ステップS401において除霜運転の開始し、室内ファン16を駆動させた後、制御部40の処理はステップS402に進む。
ステップS402において制御部40は、在室者を検知したか否かを判定する。すなわち、制御部40は、撮像部36の撮像結果を用いて、所定のパターンマッチングに基づき、空調室に在室者がいるか否かを判定する。ステップS402において在室者を検知した場合(S402:Yes)、制御部40の処理はステップS403に進む。
【0079】
ステップS403において制御部40は、在室者の体感温度Tgが所定値Tg1以下であるか否かを判定する。なお、所定値Tg1は、除霜運転中に室内ファン16を停止させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。ステップS403において在室者の体感温度Tgが所定値Tg1以下である場合(S403:Yes)、制御部40の処理はステップS404に進む。
【0080】
ステップS404において制御部40は、室内ファン16を停止させる。このように、制御部40は、空調室の冷えに関する所定条件として、空調室の温度Ti及び撮像部36の撮像結果を含む情報に基づく在室者の体感温度Tgが所定値Tg1以下になった場合(S403:Yes)、室内ファン16を停止させる処理を行う(S404)。ステップS404において室内ファン16を停止させた後、制御部40の処理はステップS406に進む。
【0081】
また、ステップS403において在室者の体感温度Tgが所定値Tg1よりも高い場合(S403:No)、制御部40の処理はステップS405に進む。ステップS405において制御部40は室内ファン16の駆動を継続し、ステップS406の処理に進む。
なお、ステップS406,S407については、第1実施形態における図4のステップS105,S106と同様であるから、説明を省略する。
【0082】
<効果>
第4実施形態によれば、在室者の体感温度Tgが所定値Tg1以下になった場合(図11のS403:Yes)、制御部40が室内ファン16を停止させる(S404)。これによって、体感温度が比較的低い在室者に冷えた空気があたることを抑制できる。したがって、在室者にとっての快適性を向上させることができる。
【0083】
≪第5実施形態≫
第5実施形態は、室内機UCi(図12参照)に赤外線センサ37(サーもパイルともいう)が設けられている点が、第1実施形態とは異なっている。また、第5実施形態は、制御部40が、除霜運転の開始時から室内ファン16を逆回転させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0084】
図12は、第5実施形態に係る空気調和機の室内機UCiの縦断面図である。
図12に示すように、室内機UCiの所定箇所には、赤外線センサ37が設けられている。赤外線センサ37は、空調室からの赤外線(物体の熱に伴う赤外線)を検出するセンサである。図12の例では、空調室の上側空間Sa(又は天井E)に臨むように、赤外線センサ37が配置されている。つまり、上側空間Saの空気や天井Eの熱に伴う赤外線が、赤外線センサ37に入射するようになっている。
【0085】
なお、図12の例では、フィルタ20aの外側に赤外線センサ37が設けられているが、仮に、フィルタ20aの内側に赤外線センサ37が設けられる構成であっても、「赤外線センサ37が上側空間Saに臨んでいる」という事項に含まれる。網目状のフィルタ20aの隙間を通過した赤外線や、フィルタ20a自体を透過した赤外線が、赤外線センサ37に入射するからである。赤外線センサ37の検出結果は、室内制御回路41(図3参照)に出力される。
【0086】
そして、制御部40(図3参照)は、例えば、除霜運転の開始時から室内ファン16を逆回転させる。なお、室内ファン16の逆回転とは、通常の空調運転時における室内ファン16の正回転に対して逆向きの回転である。このように室内ファン16が逆回転すると、室内熱交換器15に空気が送り込まれるため、室内熱交換器15での冷媒の蒸発が促進される。
【0087】
また、室内ファン16が逆回転することで、通常の空調運転時とは逆向きに空気が流れる。つまり、室内ファン16の逆回転に伴い、空調室の上側空間Sa(又は天井E)に向かうように、室内機UCiから空気が吹き出される(図12の実線矢印を参照)。したがって、冷えた空気が空調室のユーザに直接にあたることがほとんどないため、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0088】
なお、制御部40は、室内ファン16の逆回転中、除霜運転の直前に行った暖房運転の停止時の位置で上下風向板23の角度を維持することが好ましい。これによって、上下風向板23が閉じることに対するユーザの違和感を低減できる。
【0089】
従来の空気調和機では、除霜運転中に上下風向板23を閉じた状態にし、さらに、室内ファン16を停止状態で維持するものが多かった。この場合、除霜運転が行われていることを知らないユーザが、閉状態の上下風向板23を見たときに違和感を感じることがあった。これに対して第5実施形態では、除霜運転が開始される際に上下風向板23の角度が維持されるため、ユーザにとっての違和感を低減できる。
【0090】
なお、制御部40が、除霜運転における室内ファン16の逆回転中、上下風向板23を開いた状態で維持するようにしてもよい。なお、上下風向板23を開いた状態とは、上下風向板23が閉じていない状態である。この場合において、上下風向板23が水平方向に対して下向きであってもよく、また、上向きであってもよい。また、制御部40が暖房運転の停止後に上下風向板23をいったん閉じた後、除霜運転を開始する際に上下風向板23を開くような処理も、前記した事項(室内ファン16の逆回転中に上下風向板23を開いた状態で維持するという事項)に含まれる。
【0091】
そして、例えば、空調室の冷えに関する「所定条件」として、除霜運転中に赤外線センサの検出結果に基づく空調室の温度が所定値以下になった場合、制御部40は、室内ファン16を停止させる処理を行う。
【0092】
なお、除霜運転の継続時間が長くなるにつれて、空調室の天井Eが冷えて、この天井Eの輻射熱で空調室の上側空間Saの空気が冷えることが多い。第5実施形態では、空調室の上側空間Saや天井Eの温度に基づいて、制御部40が室内ファン16を停止させることで、除霜運転に伴う空調室の冷えを抑制できる。
【0093】
また、室内ファン16を逆回転させた場合、通常の空調運転時とは、空気の吸込側・吹出側が逆になる。つまり、室内熱交換器15との熱交換で冷やされた空気が、空気吸込口h2を介して、天井Eに向けて吹き出される。したがって、仮に、室内温度センサとしてのサーミスタ(図示せず)が空気吸込口h2の付近に設けられていても、室内ファン16の逆回転中は、サーミスタの検出精度が低くなる可能性が高い。
【0094】
これに対して第5実施形態では、赤外線センサ37の検出結果に基づく上側空間Saの温度(空調室の温度)に基づいて、制御部40が室内ファン16を適宜に停止させるようにしている。上側空間Saや天井Eの温度が低いほど、その輻射熱で空調室が冷やされるため、赤外線センサ37によって、空調室の冷え具合を適切に検出できるからである。
【0095】
<効果>
第5実施形態によれば、除霜運転の開始時から制御部40が室内ファン16を逆回転させる。これによって、冷えた空気が空調室のユーザにあたることを抑制できる。また、赤外線センサ37は、空調室の上側空間Saを介して赤外線が入射するように配置されている。これによって、室内ファン16を逆回転させる場合でも、赤外線センサ37によって空調室の冷え具合を適切に検出できる。また、赤外線センサ37の検出値が所定値以下になった場合、制御部40が室内ファン16を停止させる。これによって、除霜運転中の空調室の冷えを抑制し、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0096】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100等について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、除霜運転の開始時に室内ファン16の駆動が開始される場合について説明したが(例えば、図4のS101)、これに限らない。すなわち、制御部40が、除霜運転の開始前から室内ファン16を駆動させ、空調室の冷えに関する「所定条件」が除霜運転中に成立した場合、室内ファン16を停止させるようにしてもよい。このような処理でも、各実施形態と同様の効果が奏される。前記した「所定条件」として、図4のステップS102(これと同様に、図6のステップS202)の他、図9のステップS302、図11のステップS403等の判定処理が適宜に用いられてもよい。
また、制御部40が室内ファン16を逆回転させる場合(第5実施形態:図12参照)についても同様のことがいえる。つまり、制御部40が、除霜運転の開始前から室内ファン16を逆回転させるようにしてもよい。
【0097】
また、各実施形態では、空調室の冷えに関する所定条件(例えば、図4のS102)が成立した場合、制御部40が室内ファン16を停止させる処理について説明したが、これに限らない。すなわち、空調室の冷えに関する所定条件(例えば、室内熱交換器15の温度が所定値以下であるという条件)が除霜運転中に成立した場合、制御部40が、室内ファン16の回転速度を低下させる処理を行うようにしてもよい。これによって、空調室に吹き出される空気の流量が小さくなるため、空調室にいるユーザが体の冷えを感じることを抑制できる。
なお、空調室の冷えに関する「所定条件」の成立時における室内ファン16の回転速度を基準として、制御部40が室内ファン16の回転速度を低下させるようにしてもよい。また、除霜運転の開始時から「所定条件」の成立時までの室内ファン16の回転速度の時間的な平均値を基準として、制御部40が室内ファン16の回転速度を低下させるようにしてもよい。
【0098】
また、室内熱交換器15の温度Teが第1所定値Te1以下になった場合、制御部40が、室内ファン16の回転速度を低下させた後、次のような処理を行うようにしてもよい。すなわち、室内熱交換器15の温度Teが、第1所定値Te1よりも低い第2所定値Te2以下になった場合、制御部40が室内ファン16の回転速度を上昇させるようにしてもよい。これによって、室内熱交換器15の温度低下が抑制されるため、圧縮機11の吸込側の圧力低下も抑制され、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)において冷媒に潤滑油が溶け込むことを抑制できる。
また、空調室の冷えに関する所定条件が除霜運転中に成立した場合、制御部40が、室内ファン16の回転速度を低下させた後、次の処理を行うようにしてもよい。すなわち、圧縮機11の吸込温度が所定値以下になった場合、制御部40が、除霜運転中に室内ファン16の回転速度を上昇させるようにしてもよい。このような処理でも、圧縮機11における冷媒への潤滑油の溶込みを抑制できる。
【0099】
また、第3実施形態で説明した湿度センサ34(図8参照)及び吸込温度センサ35(図8参照)のうち、いずれか一方を省略してもよい。例えば、湿度センサ34が省略される構成では、空調室の温度Tiが所定値Ti1以下である場合、制御部40の処理がステップS303(図9参照)に進むようにしてもよい。
また、吸込温度センサ35が省略される構成では、これに伴って、図9のステップS303の処理を省略し、ステップS302の条件が成立している場合(S302:Yes)、ステップS305において制御部40が室内ファン16を停止させるようにしてもよい。つまり、空調室の冷えに関する所定条件として、空調室の温度Tiが所定値Ti1以下であり、さらに、空調室の湿度Fiが所定値Fi1以上であるという条件が成立した場合(S302:Yes)、制御部40が、室内ファン16を停止(又は、室内ファン16の回転速度を低下)させる処理を行うようにしてもよい。
【0100】
また、圧縮機11の吸込温度を検出する吸込温度センサ35(図8参照)が設けられる構成において、空調室の冷えに関する所定条件が除霜運転中に成立した場合、室内ファン16を停止(又は室内ファン16の回転速度を低下)させる処理を行った後、制御部40が次の処理を行うようにしてもよい。すなわち、除霜運転中に前記した処理を行った後、圧縮機11の吸込温度が所定値以下になった場合、この除霜運転中に制御部40が室内ファン16の再び駆動させる(又は、室内ファン16の回転速度を上昇させる)ようにしてもよい。これによって、圧縮機11の密閉容器内(図示せず)の圧力低下が抑制されるため、冷媒への潤滑油の溶け込みを抑制できる。
【0101】
また、第5実施形態では、赤外線センサ37(図12参照)が空調室の上側空間Saに向けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、空調室において、空調室の上側空間Saとは異なる所定箇所(例えば、天井E)からの赤外線が入射するように赤外線センサ37が配置されてもよい。
また、第5実施形態では、制御部40が、除霜運転の開始時(又は開始前)から室内ファン16を逆回転させる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、第5実施形態で説明した構成において、制御部40が、除霜運転の開始時(又は開始前)から室内ファン16を正回転させるようにしてもよい。このような処理でも、赤外線センサ37によって室内機UCiの周囲の温度(つまり、空調室の温度)を適切に検出できる。
【0102】
また、各実施形態は、適宜に組み合わせることができる。例えば、第2実施形態で説明した図6のステップS202の処理に代えて、第3実施形態で説明した図9のステップS302の処理が用いられてもよい。また、図9のステップS303の処理に代えて、室内熱交換器15の温度Teが第2所定値Te2以下であるか否かを制御部40が判定するようにしてもよい。その他、第2実施形態と第5実施形態の組合せや、第3実施形態と第5実施形態の組合せ等、さまざまな組合せが可能である。
【0103】
また、各実施形態では、室内機Ui(図1参照)及び室外機Uo(図1参照)が一台ずつ設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。
また、各実施形態で説明した空気調和機100は、壁掛型の空気調和機の他、さまざまな種類の空気調和機にも適用可能である。
【0104】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0105】
100,100A,100B 空気調和機
11 圧縮機
12 室外熱交換器
13 室外ファン
14 膨張弁
15 室内熱交換器
16 室内ファン
17 四方弁
23 上下風向板
25 室内温度センサ
26 室内熱交換器温度センサ
34 湿度センサ
35 吸込温度センサ
36 撮像部
37 赤外線センサ
40 制御部
E 天井
Q 冷媒回路
Sa 上側空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2020-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、
前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンと、
前記室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度センサと、を備え、
前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備え
前記制御部は、前記所定条件として、前記室内熱交換器の温度が第1所定値以下になった場合、前記処理を行い、前記除霜運転中に前記処理を行った後、前記室内熱交換器の温度が、前記第1所定値よりも低い第2所定値以下になった場合、当該除霜運転中に前記室内ファンを再び駆動させる、又は前記室内ファンの回転速度を上昇させる空気調和機。
【請求項2】
圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、
前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンと、
前記圧縮機の吸込温度を検出する吸込温度センサと、を備え、
前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備え
前記制御部は、前記除霜運転中に前記処理を行った後、前記吸込温度が所定値以下になった場合、当該除霜運転中に前記室内ファンを再び駆動させる、又は前記室内ファンの回転速度を上昇させる空気調和機。
【請求項3】
圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、
前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンと、
空調室の温度を検出する室内温度センサと、
前記空調室の湿度を検出する湿度センサと、を備え、
前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、前記空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備え
前記制御部は、前記所定条件として、前記空調室の温度が所定値以下であり、さらに、前記空調室の湿度が所定値以上であるという条件が成立した場合、前記処理を行う空気調和機。
【請求項4】
圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、
前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンと、
空調室の温度を検出する室内温度センサと、
前記空調室を撮像する撮像部と、を備え、
前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、前記空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備え
前記制御部は、前記所定条件として、前記空調室の温度及び前記撮像部の撮像結果を含む情報に基づく在室者の体感温度が所定値以下になった場合、前記処理を行う空気調和機。
【請求項5】
前記室内温度センサとして、前記空調室からの赤外線を検出する赤外線センサが用いられること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記赤外線センサは、前記空調室の上側空間又は天井に臨むように配置され、
前記制御部は、前記除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを正回転又は逆回転させ、
前記室内ファンの逆回転は、通常の空調運転時における前記室内ファンの正回転に対して逆向きの回転であり、
前記室内ファンの逆回転に伴い、前記空調室の前記上側空間又は前記天井に向かうように空気が吹き出されること
を特徴とする請求項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記室内ファンの駆動に伴って前記空調室に吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する上下風向板を備え、
前記制御部は、前記除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを逆回転させ、当該逆回転中、前記除霜運転の直前に行った暖房運転の停止時の位置で前記上下風向板の角度を維持すること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記室内ファンの駆動に伴って前記空調室に吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する上下風向板を備え、
前記制御部は、前記除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを逆回転させ、当該逆回転中、前記上下風向板を開いた状態で維持すること
を特徴とする請求項1ら請求項4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が四方弁を介して接続されてなる冷媒回路を備えるとともに、前記室内熱交換器の付近に設けられる室内ファンと、前記室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度センサと、を備え、前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ、前記室外熱交換器の除霜を行う除霜運転の開始時又は開始前から前記室内ファンを駆動させ、空調室の冷えに関する所定条件が前記除霜運転中に成立した場合、前記室内ファンを停止、又は前記室内ファンの回転速度を低下させる処理を行う制御部をさらに備え、前記制御部は、前記所定条件として、前記室内熱交換器の温度が第1所定値以下になった場合、前記処理を行い、前記除霜運転中に前記処理を行った後、前記室内熱交換器の温度が、前記第1所定値よりも低い第2所定値以下になった場合、当該除霜運転中に前記室内ファンを再び駆動させる、又は前記室内ファンの回転速度を上昇させることとした。なお、その他については、実施形態の中で説明する。