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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066518
(43)【公開日】2022-04-28
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
B65D25/20 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036250
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2018024939の分割
【原出願日】2018-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊輔
(57)【要約】
【課題】収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材を備え、表示部材の表示態様の不要な切替わりを防止可能な容器を提供する。
【解決手段】容器本体2の開口部6を開閉可能な扉部材7は、互いに対向して設けられる内壁部31及び外壁部32と、収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材41が装着される表示装着部35とを備える。表示装着部35は、内壁部31側から表示部材41を着脱可能に構成され、表示部材41を外壁部32と平行にスライド可能に保持する係止保持部51と、係止保持部51に保持された表示部材41を外壁部32側から視認可能とする視認開口部52とを備える。また、表示装着部35は、内壁部31及び外壁部32と一体的に形成され、表示部材41は、外壁部32側の面において、収容物に関する情報を表示する表示部43を備え、内壁部31側の面において、当該表示部材41をスライド変位させる際に操作される操作部44を備える。
【選択図】 図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能な容器本体と、
前記容器本体の開口部を開閉可能な開閉部材と、
収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材と
を備える容器において、
前記容器本体、及び、前記開閉部材のうち少なくとも一方は、
容器の内外方向において互いに所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部を具備する合成樹脂材料により構成される中空パネル部を備えるとともに、
前記中空パネル部において、前記内壁部と前記外壁部との間に設けられ、前記表示部材が装着される表示装着部を備え、
前記表示装着部は、
前記内壁部側から前記表示部材を着脱可能に構成され、前記表示部材を前記内壁部の内側面、及び、前記外壁部の外側面のうち少なくとも一方と平行する方向、又は、それに近い方向にスライド可能に保持する係止保持部と、
前記係止保持部に保持された前記表示部材を前記外壁部側から視認可能とする視認開口部とを備えるとともに、
前記係止保持部、及び、前記視認開口部は、前記内壁部、及び、前記外壁部のうち少なくとも一方と一体的に形成され、
前記表示部材は、
前記外壁部側の面において、収容物に関する情報を表示する表示部を備え、
前記内壁部側の面において、当該表示部材をスライド変位させる際に操作される操作部を備え、
前記係止保持部は、前記表示装着部に装着された前記表示部材の前記外壁部側への変位を規制する外方変位規制壁部を備え、
前記係止保持部は、前記表示装着部に装着された前記表示部材のスライド方向に対して交差し、かつ、前記内壁部、及び、前記外壁部と略平行する方向における前記表示部材の変位を規制するスライド案内壁部を備え、
前記表示部材は、前記スライド案内壁部と当接、又は、近接して支持される部位から、前記外方変位規制壁部と当接、又は、近接して支持される部位にかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記内壁部に設けられ、前記表示部材を挿通可能に構成されるとともに、前記係止保持部に保持された前記表示部材への接触を許容する取付操作孔を備え、
前記スライド案内壁部は、前記取付操作孔の周縁部から前記外方変位規制壁部側に向けて、前記取付操作孔の外周側に傾斜して延び、
前記スライド案内壁部から、前記内壁部にかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
物品を収容可能な容器本体と、
前記容器本体の開口部を開閉可能な開閉部材と、
収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材と
を備える容器において、
前記容器本体、及び、前記開閉部材のうち少なくとも一方は、
容器の内外方向において互いに所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部を具備する合成樹脂材料により構成される中空パネル部を備えるとともに、
前記中空パネル部において、前記内壁部と前記外壁部との間に設けられ、前記表示部材が装着される表示装着部を備え、
前記表示装着部は、
前記内壁部側から前記表示部材を着脱可能に構成され、前記表示部材を前記内壁部の内側面、及び、前記外壁部の外側面のうち少なくとも一方と平行する方向、又は、それに近い方向にスライド可能に保持する係止保持部と、
前記係止保持部に保持された前記表示部材を前記外壁部側から視認可能とする視認開口部とを備えるとともに、
前記係止保持部、及び、前記視認開口部は、前記内壁部、及び、前記外壁部のうち少なくとも一方と一体的に形成され、
前記表示部材は、
前記外壁部側の面において、収容物に関する情報を表示する表示部を備え、
前記内壁部側の面において、当該表示部材をスライド変位させる際に操作される操作部を備え、
前記係止保持部は、前記表示装着部に装着された前記表示部材の前記外壁部側への変位を規制する外方変位規制壁部を備え、
前記係止保持部は、
前記表示装着部に装着された前記表示部材のスライド方向に対して交差し、かつ、前記内壁部、及び、前記外壁部と略平行する方向における前記表示部材の変位を規制するスライド案内壁部と、
前記内壁部に設けられ、前記表示部材を挿通可能に構成されるとともに、前記係止保持部に保持された前記表示部材への接触を許容する取付操作孔とを備え、
前記スライド案内壁部は、前記取付操作孔の周縁部から前記外方変位規制壁部側に向けて、前記取付操作孔の外周側に傾斜して延び、
前記スライド案内壁部から、前記内壁部にかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする容器。
【請求項4】
前記スライド案内壁部は、一対で備えられ、
前記内壁部側に向けて互いに近接するようにして傾斜して延びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記スライド案内壁部は、一対で備えられ、
前記表示部材は、ベースプレートと、前記操作部側に突出する一対の補助突片部とを備え、
一対の前記補助突片部から、前記ベースプレートにかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記中空パネル部はブロー成形により形成され、
前記表示装着部は、前記中空パネル部のブロー成形に際して前記内壁部側を構成する部位と、前記外壁部側を構成する部位とが圧着されるとともに、当該圧着部位において前記視認開口部が形成されることにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の保管等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体と、容器本体を開閉する開閉部材とを備える容器において、収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材が取付けられたものが存在する(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-10752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の容器は、容器の外側から表示部材を操作して、表示部材の表示態様を切替可能に構成されている。このため、第三者にいたずらをされて収容物に対応しない表示態様に切替えられてしまったり、表示部材の表示態様が意図せずに切替わったりしてしまうといった事態を招くことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材を備え、表示部材の表示態様の不要な切替わりを防止することのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.物品を収容可能な容器本体と、
前記容器本体の開口部を開閉可能な開閉部材と、
収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材と
を備える容器において、
前記容器本体、及び、前記開閉部材のうち少なくとも一方は、
容器の内外方向において互いに所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部を具備する合成樹脂材料により構成される中空パネル部を備えるとともに、
前記中空パネル部において、前記内壁部と前記外壁部との間に設けられ、前記表示部材が装着される表示装着部を備え、
前記表示装着部は、
前記内壁部側から前記表示部材を着脱可能に構成され、前記表示部材を前記内壁部の内側面、及び、前記外壁部の外側面のうち少なくとも一方と平行する方向、又は、それに近い方向にスライド可能に保持する係止保持部と、
前記係止保持部に保持された前記表示部材を前記外壁部側から視認可能とする視認開口部とを備えるとともに、
前記係止保持部、及び、前記視認開口部は、前記内壁部、及び、前記外壁部のうち少なくとも一方と一体的に形成され、
前記表示部材は、
前記外壁部側の面において、収容物に関する情報を表示する表示部を備え、
前記内壁部側の面において、当該表示部材をスライド変位させる際に操作される操作部を備え、
前記係止保持部は、前記表示装着部に装着された前記表示部材の前記外壁部側への変位を規制する外方変位規制壁部を備え、
前記係止保持部は、前記表示装着部に装着された前記表示部材のスライド方向に対して交差し、かつ、前記内壁部、及び、前記外壁部と略平行する方向における前記表示部材の変位を規制するスライド案内壁部を備え、
前記表示部材は、前記スライド案内壁部と当接、又は、近接して支持される部位から、前記外方変位規制壁部と当接、又は、近接して支持される部位にかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、表示部材の操作部は、開口部が閉鎖された容器の閉状態において容器の内側に配置される。これにより、表示部材の表示態様を切替えるためには、容器を開状態とする必要が生じる。従って、表示部材の表示態様の切替えを容器の外側から簡単に行えるような構成に比べ、表示部材の表示態様が、いたずらにより切替えられたり、意図せずに切替わったりしてしまうといった事態を抑止することができる。
【0009】
また、表示装着部の各部位は、内壁部、及び、外壁部のうち少なくとも一方と一体的に形成されている。このため、例えば、表示装着部(係止保持部)が中空パネル部に対してねじ等で取付けられる別部材として構成されるような場合等に比べ、表示部材を中空パネル部へ装着する際の作業性の向上等を図ることができる。
【0010】
また、外方変位規制壁部により、表示部材の厚みを中空パネル部の厚みに対応させなくても、表示部材を係止保持部において好適に保持することができる。特に、表示部材を内壁部側に寄せることができ、扉部材の内壁部側からの表示部材の操作を行い易くすることができる。
【0011】
また、表示部材を表示装着部へ装着する際の作業性の向上を図ることができる。さらに、表示部材を表示装着部へ装着する際の表示部材、及び、係止保持部の損傷等を抑制することができる。
【0012】
尚、「前記容器本体の開口部を閉鎖した閉位置にある前記開閉部材の変位を規制する施錠状態と、前記閉位置にある前記開閉部材の変位を許容する解錠状態とに状態変化可能とする施錠手段を備えること」としてもよい。この場合、開閉部材を閉位置とし、施錠手段を施錠状態とすることで、表示部材の不要な切替操作をより確実に防止することができる。従って、上記手段1の作用効果がより顕著に奏されることとなる。
【0013】
手段2.前記内壁部に設けられ、前記表示部材を挿通可能に構成されるとともに、前記係止保持部に保持された前記表示部材への接触を許容する取付操作孔を備え、
前記スライド案内壁部は、前記取付操作孔の周縁部から前記外方変位規制壁部側に向けて、前記取付操作孔の外周側に傾斜して延び、
前記スライド案内壁部から、前記内壁部にかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする手段1に記載の容器。
手段3.物品を収容可能な容器本体と、
前記容器本体の開口部を開閉可能な開閉部材と、
収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材と
を備える容器において、
前記容器本体、及び、前記開閉部材のうち少なくとも一方は、
容器の内外方向において互いに所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部を具備する合成樹脂材料により構成される中空パネル部を備えるとともに、
前記中空パネル部において、前記内壁部と前記外壁部との間に設けられ、前記表示部材が装着される表示装着部を備え、
前記表示装着部は、
前記内壁部側から前記表示部材を着脱可能に構成され、前記表示部材を前記内壁部の内側面、及び、前記外壁部の外側面のうち少なくとも一方と平行する方向、又は、それに近い方向にスライド可能に保持する係止保持部と、
前記係止保持部に保持された前記表示部材を前記外壁部側から視認可能とする視認開口部とを備えるとともに、
前記係止保持部、及び、前記視認開口部は、前記内壁部、及び、前記外壁部のうち少なくとも一方と一体的に形成され、
前記表示部材は、
前記外壁部側の面において、収容物に関する情報を表示する表示部を備え、
前記内壁部側の面において、当該表示部材をスライド変位させる際に操作される操作部を備え、
前記係止保持部は、前記表示装着部に装着された前記表示部材の前記外壁部側への変位を規制する外方変位規制壁部を備え、
前記係止保持部は、
前記表示装着部に装着された前記表示部材のスライド方向に対して交差し、かつ、前記内壁部、及び、前記外壁部と略平行する方向における前記表示部材の変位を規制するスライド案内壁部と、
前記内壁部に設けられ、前記表示部材を挿通可能に構成されるとともに、前記係止保持部に保持された前記表示部材への接触を許容する取付操作孔とを備え、
前記スライド案内壁部は、前記取付操作孔の周縁部から前記外方変位規制壁部側に向けて、前記取付操作孔の外周側に傾斜して延び、
前記スライド案内壁部から、前記内壁部にかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする容器。
【0014】
手段2,3によれば、スライド案内壁部が、取付操作孔の周縁部から外方変位規制壁部側に向けて、取付操作孔の外周側に傾斜して延びることから、当該スライド案内壁部により、表示装着部に装着された表示部材の内壁部側への変位、すなわち、表示部材の係止保持部(表示装着部)からの脱落についても規制することができる。従って、係止保持部を成形の比較的容易な形状としつつ、表示装着部に装着された表示部材を確実に保持することができる。また、取付操作孔の周縁部が曲面形状とされていることから、表示部材を表示装着部へ装着する際の作業性の向上を図るとともに、取付操作孔の周縁部、及び、表示部材の損傷等を抑制することができる。特に、上記手段1の構成を採用する場合、かかる作用効果がより顕著に奏される。
【0015】
手段4.前記スライド案内壁部は、一対で備えられ、
前記内壁部側に向けて互いに近接するようにして傾斜して延びていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
手段5.前記スライド案内壁部は、一対で備えられ、
前記表示部材は、ベースプレートと、前記操作部側に突出する一対の補助突片部とを備え、
一対の前記補助突片部から、前記ベースプレートにかけて、連続する曲面形状とされていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の容器。
【0016】
手段6.前記中空パネル部はブロー成形により形成され、
前記表示装着部は、前記中空パネル部のブロー成形に際して前記内壁部側を構成する部位と、前記外壁部側を構成する部位とが圧着されるとともに、当該圧着部位において前記視認開口部が形成されることにより構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の容器。
【0017】
手段6によれば、表示装着部が内壁部、及び、外壁部と一体的に形成されている。このため、例えば、表示装着部が中空パネル部とは別部材として構成される場合に比べて、表示部材を中空パネル部へ装着する際の作業性の向上等を図ることができるといった作用効果がより確実に奏される。また、表示装着部により、内壁部と、外壁部との間が連結され、かつ、内壁部の内面側と、外壁部の外面側とが連通するような格好となる。従って、例えば、表示装着部において内壁部側と、外壁部側とが連結されていないような構成に比べ、表示装着部、及び、その周辺部における強度(剛性)を高めることができる。さらに、中空パネル部を(ブロー用開口部以外を)閉じた中空状とすることができ、保温性の向上等を図ることができる(例えば、中空パネル部の内側空間に対し発泡材を外部へはみ出すことなく充填・発泡させる作業も比較的容易に行うことができる)。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】容器の上面側斜視図である。
図2】容器の下面側斜視図である。
図3】容器の正面図である。
図4】開状態にある容器の斜視図である。
図5】底板パネルの上面側斜視図である。
図6】側板パネルの外面側斜視図である。
図7】側板パネルの内面側斜視図である。
図8】天板パネルの下面側斜視図である。
図9】側板と天板パネルとの連結部分を示す部分拡大断面図である。
図10】背板と天板パネルとの連結部分を示す部分拡大断面図である。
図11】扉部材の外面(前面)側斜視図である。
図12】扉部材の内面(裏面)側斜視図である。
図13】表示装着部(係止保持部)を中心に、表示部材が装着されていない状態の扉部材を裏面側から見た部分拡大裏面図である。
図14図13のA-A線断面図である。
図15図13のB-B線断面に表示部材の断面を追加した図である。
図16】表示部材が装着された扉部材の断面図である。
図17図13のC-C線断面図である。
図18図13のD-D線断面図である。
図19】表示部材が装着された扉部材の断面図である。
図20】表示部材の表面側斜視図である。
図21】表示部材の裏面側斜視図である。
図22】表示部材が在中教示位置にある扉部材の一部断面を含む斜視図である。
図23】表示部材が空教示位置にある扉部材の一部断面を含む斜視図である。
図24】物品が収容され、開状態にある容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図4等に示すように、容器1は、平面視略矩形状の底板パネル3、底板パネル3の相対する一対の短側辺部、及び、一方の長側辺部の上方に立設される側板パネル4、及び、側板パネル4の上方を閉塞する天板パネル5を具備する容器本体2と、容器本体2の開口部6の一側部(本例では、開口部6を正面視した場合の右側縁部)に沿って軸支され、開口部6を開閉可能な扉部材7とを備えている。
【0020】
本実施形態では、容器本体2の底板パネル3、側板パネル4、及び、天板パネル5は、それぞれ別体として構成されており、後述のように一度組付けることによって、基本的に分解が行えないようになっている。さらに、底板パネル3、側板パネル4、及び、天板パネル5は、それぞれブロー成形により形成されている。すなわち、底板パネル3、側板パネル4、及び、天板パネル5の基本構成としては、容器1の内外方向(底板パネル3、及び、天板パネル5に関しては上下方向、側板パネル4に関しては、容器1の内外周方向)において互いに所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部と、内壁部の外周縁部と、外壁部の外周縁部との間を連結する連結壁部とを備えている。尚、本実施形態の容器本体2は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0021】
図5に示すように、底板パネル3の上面(内壁部)には、一対の短側辺部に沿って底板係合凹部11が設けられ、一方の長側辺部に沿って底板位置決め凹部12が設けられている。また、図2図3に示すように、底板パネル3の下面(外壁部)には、4隅の近傍部位においてそれぞれアジャスター13が取付けられている。
【0022】
図4図6図7に示すように、側板パネル4は、底板パネル3の一方の長側辺部の上方に立設される背板14、底板パネル3の各短側辺部の上方に立設される側板15、及び、背板14の各側辺部と、各側板15の側辺部との間を連結する薄膜状で可撓性を有する連結部16を備えている。すなわち、側板パネル4は、図6等に示すように、背板14と、一対の側板15とが、側辺部同士を突き合わせるようにして、互いに平行に並ぶ格好で一体的に形成されるものの、側板パネル4を底板パネル3に組付ける際には、図4に示すように、側板パネル4を連結部16において底板パネル3の外周形状に倣って屈曲させることとなる。
【0023】
図7に示すように、各側板15の下面には、側板15の厚み方向かつ側板15の高さ方向に切断した場合の断面形状が略T字状をなす下係合凸部17が、3つずつ側板15の横幅方向に並ぶようにして設けられるとともに、下係合凸部17の間を連結する下補強リブ18が設けられている。さらに、背板14の下面には、外方に向けて背板14の下面からの突出長が次第に大きくなる断面略三角形状の下位置決め凸部19が設けられている。
【0024】
そして、側板パネル4の下係合凸部17、及び、下補強リブ18が、底板パネル3の底板係合凹部11(図5参照)に係合され、側板パネル4の下位置決め凸部19が、底板パネル3の底板位置決め凹部12に挿入されることで、底板パネル3と、側板パネル4とが組付けられるようになっている。
【0025】
また、図6に示すように、各側板15の上面には、側板15の厚み方向かつ側板15の高さ方向に切断した場合の断面形状が略T字状をなす上係合凸部20が、3つずつ側板15の横幅方向に並ぶようにして設けられるとともに、上係合凸部20の間を連結する上補強リブ21が設けられている。さらに、背板14の上面には、外方に向けて背板14の上面からの突出長が次第に大きくなる断面略三角形状の上位置決め凸部22が設けられている。
【0026】
図8に示すように、天板パネル5の下面(内壁部)には、一対の短側辺部に沿って天板係合凹部23が設けられ、一方の長側辺部に沿って天板位置決め凹部24が設けられている。そして、側板パネル4の上係合凸部20、及び、上補強リブ21が、天板パネル5の天板係合凹部23に係合され、側板パネル4の上位置決め凸部22が、天板パネル5の天板位置決め凹部24に挿入されることで、天板パネル5と、側板パネル4とが組付けられるようになっている。
【0027】
尚、図9に示すように、天板係合凹部23は、断面略T字状の上係合凸部20に対応した形状(断面略T字状)をなしており、上係合凸部20を天板係合凹部23に係合させた場合、基本的に、側板パネル4を天板パネル5から離間させることができないようになっている。さらに、図示は省略するが、上記した底板係合凹部11についても、断面略T字状の下係合凸部17に対応した形状(断面略T字状)をなしており、下係合凸部17を底板係合凹部11に係合させた場合、基本的に、側板パネル4を底板パネル3から離間させることができないようになっている。加えて、図10に示すように、天板位置決め凹部24は、上位置決め凸部22に対応した形状(断面略三角形状)をなしており、容器1の組立状態において、天板パネル5に対する背板14の容器1の外周側への相対変位が規制されるようになっている。尚、底板位置決め凹部12についても、下位置決め凸部19に対応した形状(断面略三角形状)をなしている。
【0028】
また、本実施形態では、天板パネル5、及び、底板パネル3を平面視した場合の外周形状がほぼ同じとなっている。さらに、天板パネル5、及び、底板パネル3の短手幅は、側板パネル4の側板15の横幅よりも扉部材7の厚み程度長くなっており、天板パネル5、及び、底板パネル3は、側板15の開口部6側の辺部よりも側方にまで突出している。以下、説明の便宜上、容器本体2の開口部6側を「容器1の前側」とし、容器本体2の背板14側を「容器1の後側」とし、背板14側から開口部6側へ向かう方向を「前方」として説明する。
【0029】
また、図4図5図8等に示すように、天板パネル5の下面、及び、底板パネル3の上面のうち、容器本体2の組立状態において開口部6を正面視した場合の右側の側板15の前方に配置される部位には、上下一対の軸受穴25が設けられている。尚、天板パネル5、及び、底板パネル3には、側板15と上下に対向する部位において、上下に貫通する取付孔27を有して、ワイヤーフックを係止可能とするワイヤーフック取付部26が設けられている。ワイヤーフック取付部26の側板15側の部位は、容器本体2の側方から取付孔27の側板15側の面への接触を許容するべく凹状に構成されている。
【0030】
さて、図11図14図17等に示すように、本実施形態の扉部材7は、容器1の内外周方向(前後方向)において互いに所定距離を隔てて対向する内壁部31、及び、外壁部32と、内壁部31の外周縁部と、外壁部32の外周縁部との間を連結する連結壁部33とを備えている。内壁部31、及び、外壁部32は基本的に互いに平行して延在している。本実施形態の扉部材7は、ポリプロピレンにより構成され、ブロー成形により一体的に形成されている。尚、本実施形態では、扉部材7が、開閉部材、及び、パネル部材を構成する。
【0031】
また、図1等に示すように、扉部材7の横幅は、容器本体2の横幅(一対の側板15の外面間の距離)とほぼ同じであり、扉部材7の上下幅は、側板パネル4の上下幅(天板パネル5の下面と、底板パネル3の上面との間の距離)とほぼ同じである。さらに、図11等に示すように、扉部材7の上面、及び、下面のうち正面視で右側の部位には、上下一対の軸部34が設けられている。そして、扉部材7の軸部34が、容器本体2(天板パネル5、及び、底板パネル3)の軸受穴25に嵌入されることで、扉部材7が容器本体2に対して回動変位可能に連結されている。加えて、扉部材7が開口部6を閉鎖する閉位置にある場合には、一対の側板15よりも前方であって、天板パネル5と、底板パネル3との間の空間に扉部材7の全体が収まるように構成されている。
【0032】
また、図4図13図15等に示すように、扉部材7には、収容物に関する情報を切替表示可能な表示部材41が装着される表示装着部35が設けられている。図1に示すように、本実施形態の表示装着部35は、容器1の前側から、扉部材7の横幅方向中央部よりもやや左側、かつ、扉部材7の上辺部の近傍位置において表示部材41が視認可能となるように設けられている。
【0033】
図20図21等に示すように、表示部材41は、略矩形板状のベースプレート42と、ベースプレート42の表面側において、収容物に関する情報を表示する表示部43と、ベースプレート42の裏面から突出し、表示部材41をスライド変位させる際に操作される操作部44と、ベースプレート42の一対の長側辺部から操作部44側に突出する補助突片部45とを備えている。
【0034】
これに対し、図15図18等に示すように、表示装着部35は、内壁部31側から表示部材41を着脱可能に構成され、表示部材41を内壁部31の内側面、及び、外壁部32の外側面とほぼ平行して左右方向にスライド可能に保持する係止保持部51と、係止保持部51に保持された表示部材41を外壁部32側(容器1の前方)から視認可能とする視認開口部52とを備えている。そして、図16図19に示すように、表示部材41は、係止保持部51に対し、表示部43が外壁部32側を向き、操作部44が内壁部31側を向き、長手方向が扉部材7の横幅方向となる(補助突片部45が上下に配置される)姿勢で、係止保持部51に保持されるようになっている。
【0035】
ここで、係止保持部51についてより具体的に説明する。図15図16図18図19に示すように、係止保持部51は、内壁部31に設けられ、上下の幅が表示部材41の上下幅よりも若干小さく、かつ、左右の幅が表示部材41の横幅の1.5倍程度に構成される取付操作孔53と、取付操作孔53の上縁部、及び、下縁部から外壁部32側(前方)に延びるスライド案内壁部54と、取付操作孔53の左右の側縁部から外壁部32側に延びるスライド制限壁部55と、内壁部31と外壁部32との間に配置されるとともに、一対のスライド案内壁部54、及び、一対のスライド制限壁部55の先端縁の間を連結する外方変位規制壁部56とを備えている。
【0036】
外方変位規制壁部56は、内壁部31、及び、外壁部32とほぼ平行して延在し、上下の幅が表示部材41の上下幅とほぼ同じに構成されている。さらに、スライド制限壁部55は、図18に示すように、内壁部31に対して垂直に近い角度をなしているのに対し、上下のスライド案内壁部54に関しては、図15に示すように、取付操作孔53の上縁部、及び、下縁部から前方に向けて、取付操作孔53の外周側(上側のスライド案内壁部54は上方、下側のスライド案内壁部54は下方)に傾斜して延びている。換言すれば、上下一対のスライド案内壁部54は後方に向けて互いに近接するようにして傾斜して延びている。そして、図16図19に示すように、表示部材41が、取付操作孔53を介して、上下一対のスライド案内壁部54の間に挿入されることで、ベースプレート42の表面が、外方変位規制壁部56に当接するとともに、上下一対の補助突片部45が、それぞれスライド案内壁部54に当接すること(圧接し、補助突片部45が若干弾性変形することとしてもよい)となる。これにより、表示部材41は、外壁部32側への変位が外方変位規制壁部56によって規制され、かつ、上下方向への変位が一対のスライド案内壁部54によって規制され、かつ、内壁部31(取付操作孔53)側への変位が、一対のスライド案内壁部54によって規制された状態、すなわち、係止保持部51に保持された状態とされる。
【0037】
また、図15図21に示すように、表示部材41の操作部44は、上下に延在する突片状をなしているが、上下一対の補助突片部45から離間して設けられている。これにより、表示部材41を係止保持部51へ取付ける際の表示部材41の追従変形等が阻害されないようになっている。さらに、表示部材41は、上下一対の補助突片部45の上面及び下面から、ベースプレート42の表面にかけて、連続する曲面形状とされている。加えて、係止保持部51側についても、上下一対のスライド案内壁部54の下面及び上面から、内壁部31の内側面にかけて、連続する曲面形状とされている。これにより、表示部材41の補助突片部45とベースプレート42とのなす角部や、スライド案内壁部54と内壁部31とのなす角部が、表示部材41を係止保持部51へ取付ける際の阻害要因となるといった事態が回避されるようになっている。
【0038】
加えて、表示部材41の操作部44を含めた厚みは、外方変位規制壁部56の内側面(内壁部31側の面)と、内壁部31の内側面との間の距離よりも短く構成され、表示装着部35に装着された(係止保持部51に保持された)表示部材41は、係止保持部51の内側に収まる(扉部材7の裏面から突出しない)ようになっている。また、係止保持部51に保持された表示部材41の操作部44に対しては、取付操作孔53を介して接触が許容されるようになっている。
【0039】
次に、視認開口部52についてより具体的に説明する。図15図18等に示すように、視認開口部52は、外方変位規制壁部56に設けられた開口孔57と、外壁部32に設けられた開放孔58と、開口孔57の周縁部と、開放孔58の周縁部との間を連結する開放壁部59とにより構成されている。
【0040】
図13に示すように、開口孔57は、略正方形状をなし、外方変位規制壁部56の中央部に設けられている。図15に示すように、開口孔57の上下の幅は、外方変位規制壁部56の上下の幅よりも短く、開口孔57の上方、及び、下方の両方に、外方変位規制壁部56の壁面が残存するようになっている。また、図19に示すように、開口孔57の左右の幅は、表示部材41(ベースプレート42)の横幅の半分の長さよりも短く構成され、さらに、外方変位規制壁部56の横幅の1/3の長さよりも短く構成されている。
【0041】
これに対し、表示部材41の表示部43には、図20に示すように、当該表示部43の左半分の領域に対し、ベースプレート42の着色とは異なる色のシール46が貼着されている。ちなみに、図16図19に示すように、表示部43は、開口孔57を介して視認可能とされる部位であって、シール46が外方変位規制壁部56と擦れることを回避するべく凹状に構成されている。そして、表示部材41をスライド変位させ、開口孔57(視認開口部52)を介して、シール46が視認される状態(図22参照)と、シール46が視認されない状態(図23参照)とに切替えることで、収容物が存在するか否かを教示する(例えば、シール46が外部から視認されることで、収容物の存在を教示する)ようになっている。
【0042】
本実施形態では、扉部材7を裏面側(内壁部31側)から視認した場合に、表示部材41は、係止保持部51の左側にスライドされることで、容器1(扉部材7)の前方から、開口孔57(視認開口部52)を介して、シール46が視認される在中教示位置とされる。その一方で、表示部材41は、扉部材7の裏面視で係止保持部51の右側にスライドされることで、容器1の前方から開口孔57を介して、表示部43のうちシール46が貼着されていない部位が視認される空教示位置とされる。さらに、表示部材41のベースプレート42の着色は、扉部材7の着色と同じであり、表示部材41が空教示位置にある場合には、扉部材7の前面側がほぼ単色に統一され、表示部材41が在中教示位置にある場合には、扉部材7の前面側において表示部材41の色がその周りの色と異なるようになっている。
【0043】
また、図1図16図19に示すように、視認開口部52は、開口孔57から開放孔58側に向けて漸次拡幅している。つまり、開口孔57の面積よりも、開放孔58の面積の方が広く、開放壁部59は、開口孔57の周縁部から、開放孔58の周縁部に向けて、ほぼ直線状に延びている。特に、図1図16に示すように、開放壁部59のうち上部は、開放壁部59のその他の部位(両側部、及び、下部)よりも、外壁部32に対して垂直な方向に対する角度が大きくなるように構成されている。これにより、開放孔58は上下に長い略矩形状をなしている(開口孔57の下縁部と、開放孔58の下縁部との間の高低差よりも、開口孔57の上縁部と、開放孔58の上縁部との間の高低差の方が大きくなっている)。尚、本実施形態の容器1は、高さが、例えば、1000mm程度となっている。このため、表示装着部35を極力上側に配置したとしても、使用者は、基本的に、表示装着部35を見下ろすような格好で、表示部材41の表示態様を視認(確認)することとなる。
【0044】
加えて、図20に示すように、表示部材41のベースプレート42の表面側には、ベースプレート42の横幅方向中央部、かつ、表示部43の上方位置、及び、下方位置において、上下一対の係止突起47が設けられている。これに対し、図13図14図17に示すように、外方変位規制壁部56の内壁部31側の面には、開口孔57の両側方位置において、それぞれ上下一対の係止凹部60が設けられている。そして、図22図23に示すように、表示部材41が、在中教示位置、及び、空教示位置のそれぞれの位置にある場合に、表示部材41の係止突起47が、対応する係止凹部60に挿入され、表示部材41の不要な位置ずれが抑止されるようになっている。
【0045】
尚、表示装着部35は、扉部材7のブロー成形に際して、内壁部31側を構成する部位と、外壁部32側を構成する部位とが圧着されるとともに、当該圧着部位において、ブロー成形後に、開口孔57が形成されることにより構成されている。これにより、図15に示すように、表示装着部35(係止保持部51、及び、視認開口部52)は、内壁部31と、外壁部32との間を連結するとともに、内壁部31の内面側と、外壁部32の外面側との間を連通させるようになっている。
【0046】
また、図1図4図11図12に示すように、扉部材7には、扉部材7の上下方向略中央部、かつ、正面視で左側の側部(容器本体2に軸支された側辺部とは反対側の側辺部)の近傍部位において、錠前61が設置される錠前設置部62が設けられている。本実施形態では、扉部材7の前面側に開口する鍵穴に図示しない鍵を差し込んで回動操作を行うことにより、扉部材7の裏面側に配置される鉤部63(図4参照)が回動変位するタイプの錠前61が取付けられている。また、錠前設置部62は、錠前設置部62に設置された錠前61が扉部材7の前面(外壁部32)よりも前方に突出しないように凹状に構成されている。
【0047】
これに対し、図4図7に示すように、容器本体2のうち正面視で左側の側板15の内側面には、錠前61の鉤部63が挿入される受穴64が設けられている。そして、扉部材7が閉位置にある状態において錠前61の鍵穴に差し込まれた鍵の操作を行うことにより、鉤部63が受穴64に挿入され、扉部材7の開放が規制される施錠状態と、鉤部63が受穴64から抜け出して、扉部材7の開放が許容される解錠状態とに状態変化するようになっている。本実施形態では、錠前61、受穴64、及び、鍵により施錠手段が構成されている。
【0048】
また、図1等に示すように、扉部材7の前面側(外壁部32側)には、錠前設置部62の上方、及び、下方に隣接して、開口部6を開放する開位置とされた扉部材7を閉位置側に変位させる際等に指先を掛けることのできる指掛け凹部65が設けられている。さらに、図1図4に示すように、左側の側板15の外面側には、前側辺部の上下方向中間位置において、閉位置にある扉部材7の裏面に指先を掛けられるようにする指掛け補助凹部66が設けられている。加えて、各側板15の外面側の上部には、容器1を持ち上げる際に指先を掛けることのできる手持ち凹部67が設けられている。
【0049】
尚、図24に示すように、本実施形態の容器1は、物品70(例えば、発泡樹脂製容器に収納された食品等)の受け渡しに際し、物品を一時的に保管する容器として利用される。使用例としては、容器1のオーナーと、商品納入業者とが容器1の鍵を持ち、注文を受けた業者が容器1を開状態として商品(物品70)を容器1に収容する。さらに、開位置にある扉部材7の裏側から表示部材41を操作して在中教示位置に変位させる(図22図24参照)。その後、扉部材7を閉位置として、鍵をかける。これに対し、オーナーは、帰宅時等に、容器1の外方から、表示部材41の表示態様を確認する。表示部材41の表示態様がシール46になっている場合、容器1を開状態として、開位置にある扉部材7の裏側から表示部材41を操作して空教示位置に変位させる。そして、商品を取出し、扉部材7を閉位置とし(図4図23参照)、鍵をかける。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、扉部材7の表示装着部35に装着された表示部材41の操作部44は、容器1の閉状態において容器1の内側に配置される。これにより、表示部材41の表示態様を切替えるためには、容器1を開状態とする必要が生じる。従って、表示部材41の表示態様の切替えを容器1の外側から簡単に行えるような構成に比べ、表示部材41の表示態様が、いたずらにより切替えられたり、意図せずに切替わったりしてしまうといった事態を抑止することができる。特に、容器1は、鍵操作により施錠される錠前61を備えていることから、表示部材41の不要な切替操作を防止するといった作用効果がより確実に奏される。
【0051】
また、扉部材7はブロー成形により形成され、表示装着部35は、内壁部31、及び、外壁部32と一体的に形成されている。このため、例えば、表示装着部35(係止保持部51)が扉部材7に対してねじ等で取付けられる別部材として構成されるような場合等に比べ、表示部材41を扉部材7へ装着する際の作業性の向上等を図ることができる。また、表示装着部35により、内壁部31と、外壁部32との間が連結され、かつ、内壁部31の内面側と、外壁部32の外面側とが連通するような格好となる。従って、例えば、表示装着部35において内壁部31側と、外壁部32側とが連結されていないような構成に比べ、表示装着部35、及び、その周辺部における強度(剛性)を高めることができる。さらに、扉部材7を(ブロー用開口部以外を)閉じた中空状とすることができ、保温性の向上等を図ることができる。
【0052】
加えて、表示装着部35に装着された表示部材41の表面(前面)と当接する外方変位規制壁部56は、扉部材7の内壁部31の内面、及び、外壁部32の外面と平行して延びている。このため、係止保持部51に保持された表示部材41は、内壁部31の内側面と平行にスライド可能となり、例えば、在中教示位置と空教示位置との間を変位する表示部材41が扉部材7の厚み方向に変位してしまうような場合に比べ、表示部材41の操作性の向上等を図ることができる。さらに、係止保持部51に保持された表示部材41は、外壁部32の外側面(前面)と平行にスライド可能となり、容器1の外側(前方)からの表示部材41の視認性の向上等を図ることができる。
【0053】
また、係止保持部51に外方変位規制壁部56が設けられることにより、表示部材41の厚みを扉部材7の厚みに対応させなくても、表示部材41を係止保持部51において好適に保持することができる。特に、表示部材41を内壁部31側に寄せることができ、内壁部31側からの表示部材41の操作を行い易くすることができる。また、視認開口部52が、開口孔57から開放孔58側に向けて漸次拡幅している(開放孔58の面積が開口孔57の面積よりも広く、開放壁部59が、開口孔57の周縁部から、開放孔58の周縁部にかけて、ほぼ屈曲及び湾曲することなく延びている)ことから、外壁部32側から表示部材41の表示部43を見え易くすることができる。
【0054】
さらに、視認開口部52は、上方により大きく拡張されている。このため、容器1を開閉する関係者が、容器1の外周面(前面)側に配置される表示装着部35を見下ろすような状況となる場合(例えば、容器1の高さが関係者の背に比べて低い場合等)であっても、表示部材41の表示部43を容器1の上方からより見易くすることができる。従って、表示部43の確認作業をより行い易くすることができる。
【0055】
加えて、表示部材41は、各補助突片部45から、ベースプレート42にかけて、連続する曲面形状とされている。このため、表示部材41を表示装着部35へ装着する際の作業性の向上を図ることができる。さらに、表示部材41を表示装着部35へ装着する際の表示部材41、及び、係止保持部51の損傷等を抑制することができる。
【0056】
さらに、係止保持部51の上下一対のスライド案内壁部54は、後方に向けて互いに近接するように傾斜して延びている。このため、当該スライド案内壁部54により、表示装着部35に装着された表示部材41の内壁部31側への変位、すなわち、表示部材41の係止保持部51(表示装着部35)からの脱落についても規制することができる。従って、係止保持部51を成形の比較的容易な形状としつつ、表示装着部35に装着された表示部材41を確実に保持することができる。
【0057】
また、スライド案内壁部54から、内壁部31にかけて、連続する曲面形状とされている。このように、取付操作孔53の周縁部が曲面形状とされることで、表示部材41を表示装着部35へ装着する際の作業性の向上を図るとともに、取付操作孔53の周縁部、及び、表示部材41の損傷等を抑制することができる。
【0058】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0059】
(a)上記実施形態では、容器本体2が側方に開口する箱状をなし、容器本体2の開口部6を開閉する「開閉部材」としては、容器本体2に対して回動可能に連結された扉部材7に具体化されているが、特にかかる構成に限定されるものではない。例えば、容器本体が上方に開口する箱状をなし、開閉部材としては、容器本体の開口部を閉塞可能であって、容器本体に対して着脱自在に構成された(回動変位可能に連結されていてもよい)蓋部材に具体化することとしてもよい。また、例えば、容器本体と、開閉部材とがほぼ同様の形状とされ、一方の開口周縁部に設けられた係止部と、他方の開口周縁部に設けられた被係止部とが係止可能に構成され、容器本体と開閉部材との間に物品を収納したり、収納された物品を取出したりすることができる容器に適用してもよい。
【0060】
(b)さらに、表示装着部35を容器1のどの位置に設けるかについても特に限定されるものではなく、容器本体2の天板パネル5や側板パネル4に設けられることとしてもよい。但し、扉部材7等の開閉部材に表示装着部35が設けられることで、表示部材41の操作部44への操作を行い易くすることができる。また、上記実施形態では、底板パネル3、天板パネル5、側板パネル4、及び、扉部材7の全てがブロー成形により中空形状に形成されているが、少なくとも表示装着部35が設けられる部位が、内壁部31と外壁部32とを具備する中空形状に構成されていればよい。例えば、天板パネル5を射出成形により構成したり、底板パネル3を金属製としたりすることとしてもよい。
【0061】
加えて、上記実施形態では、視認開口部52の上下幅、及び、横幅が前方に向けて漸次拡幅しており、特に、上方に比較的大きく拡張されるようになっているが、例えば、表示装着部が天板パネルに設けられ、容器を開閉する関係者が主に容器の前方から表示装着部の表示態様を確認することが想定される場合には、視認開口部を前方に比較的大きく拡張するように構成してもよい。また、視認開口部52の上下幅、及び、横幅が前方に向けて拡幅しない構成とすることも可能である。尚、開口孔57をブロー成形に際して同時に形成することとしてもよい。
【0062】
(c)上記実施形態では、錠前61、受穴64、及び、鍵により施錠手段が構成されているが、別の施錠機構(例えば、着脱自在の鍵が不要なもの)を採用することとしてもよい。尚、施錠手段を省略することも可能である。但し、施錠手段を省略する構成を採用する場合においても、扉部材7を閉位置で保持することのできる機構(例えば、ラッチボルト、マグネット等)を具備することが望ましい。
【0063】
(d)上記実施形態において、表示部材41の表示部43で教示される情報の内容や数については特に限定されるものではなく、例えば、表示部材41の表示態様を内容物の種類に応じて変更可能なように、3パターン以上に切替表示可能に構成してもよい。例えば、表示部材、及び、それを受入れる係止保持部の内側空間が円盤状をなし、表示部材の表示部には、「要冷蔵の食品」、「冷蔵不要の食品」、「食品以外」、「収容物なし」を意味するそれぞれの表示がプリントされたシールが貼着され、表示部材が内壁部、及び、外壁部と略平行して回動変位することで、視認開口部を介して視認される表示部材の表示態様が変更されるように構成してもよい。
【0064】
尚、表示部材41と、外方変位規制壁部56との間に、表示部材41とともに、係止保持部51に収容される透明な板状体(例えば、樹脂製のシート等)を装着するように構成してもよい。係止保持部51に装着された透明な板状体は、外方変位規制壁部56と平行する方向への変位が規制されることが望ましく、さらに、表示部材41との圧接が回避されることが望ましい。この場合、容器1の外側からの表示部材41への直接の接触を防止することができ、表示部材41(表示部43)の保護を図ることができる上、容器1の外側から表示部材41をスライドさせることをより確実に防止することができる。
【0065】
(e)上記実施形態では、容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の合成樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、扉部材7、底板パネル3、天板パネル5、及び、側板パネル4の内側空間に発泡材を充填・発泡させることで発泡樹脂層(断熱層)を設けることとしてもよい。この場合、容器1の保温性の向上等をより一層図ることができる。尚、ブロー成形により形成される扉部材7、底板パネル3、天板パネル5、及び、側板パネル4は、(ブロー用開口部以外を)閉じた中空状とすることができることから、内側空間に対し発泡材を外部へはみ出すことなく充填・発泡させるといった作業を比較的容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1…容器、2…容器本体、3…底板パネル、4…側板パネル、5…天板パネル、6…開口部、7…扉部材、31…内壁部、32…外壁部、35…表示装着部、41…表示部材、43…表示部、44…操作部、45…補助突片部、51…係止保持部、52…視認開口部、53…取付操作孔、54…スライド案内壁部、56…外方変位規制壁部、57…開口孔、58…開放孔、59…開放壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図15
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図24