(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066626
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】選別装置
(51)【国際特許分類】
B07B 4/02 20060101AFI20220422BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20220422BHJP
B03C 1/14 20060101ALI20220422BHJP
B07B 9/00 20060101ALI20220422BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20220422BHJP
B03C 1/30 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B07B4/02
B03C1/00 B
B03C1/14 101
B07B9/00 Z
B24C9/00 E
B03C1/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175073
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩昭
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021FA02
4D021GA02
4D021GA08
4D021GA13
4D021GA16
4D021GA18
4D021GB03
4D021HA10
(57)【要約】
【課題】コスト上昇を抑えつつ、磁性体と非磁性体との選別を、より確実に行う。
【解決手段】選別装置4は、磁性体からなる粒状体101と、非磁性体102との混合物100を、粒状体101と非磁性体102とに選別する。選別装置4は、磁力式選別機構5と、風力発生部61と、第一風力選別部70と、第二風力選別部80と、を備える。磁力式選別機構5は、混合物100から磁力により粒状体101を吸着することで、混合物100を、第一選別物200と、第二選別物300と、に選別する。第一選別物200は、粒状体101を主として含むとともに非磁性体102を含む。第二選別物300は、非磁性体102を主として含むとともに粒状体101を含む。風力発生部61は、風力を発生させる。第一風力選別部70は、風力により、第一選別物200を粒状体101と非磁性体102とに選別する。第二風力選別部80は、風力により、第二選別物300を非磁性体102と粒状体101とに選別する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体からなる粒状体と、非磁性体との混合物を、前記粒状体と前記非磁性体とに選別する選別装置であって、
前記混合物から磁力により前記粒状体を吸着することで、前記混合物を、前記粒状体を主として含むとともに前記非磁性体を含む第一選別物と、前記非磁性体を主として含むとともに前記粒状体を含む第二選別物と、に選別する磁力式選別機構と、
風力を発生させる風力発生部と、
前記風力により、前記第一選別物を前記粒状体と前記非磁性体とに選別する第一風力選別部と、
前記風力により、前記第二選別物を前記非磁性体と前記粒状体とに選別する第二風力選別部と、を備え、
前記第一風力選別部、及び前記第二風力選別部は、前記風力発生部によって発生される風の流路に沿って並べて配置されている
選別装置。
【請求項2】
前記第一風力選別部は、前記第二風力選別部に対し、前記風の流れ方向上流側に配置されている
請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記非磁性体は、前記粒状体よりも質量が小さいものであり、
前記第一風力選別部は、
前記磁力式選別機構から前記第一選別物が供給される第一選別物供給部の下方に配置され、前記第一選別物に含まれる前記粒状体を回収する第一粒状体回収部と、
前記第一粒状体回収部に対して前記風の流れ方向下流側に配置され、前記第一選別物に含まれる前記非磁性体を回収する第一非磁性体回収部と、
前記第一非磁性体回収部に対して前記風の流れ方向下流側に配置され、前記第一風力選別部と前記第二風力選別部とを仕切る仕切板と、を備える
請求項2に記載の選別装置。
【請求項4】
前記第一風力選別部は、前記第一粒状体回収部と前記第一非磁性体回収部との間に、前記第一粒状体回収部で回収される前記粒状体よりも粒径が小さく、かつ前記第一非磁性体回収部で回収される前記非磁性体よりも質量が大きい前記粒状体を回収する小径粒状体回収部、を更に備える
請求項3に記載の選別装置。
【請求項5】
前記仕切板は、前記第一粒状体回収部側から前記第一非磁性体回収部側に前記風が流入する流入部の上端よりも、上下方向において、上方に突出して延びている
請求項3または4に記載の選別装置。
【請求項6】
前記風力発生部において風力を発生するために空気を吸引する吸引部は、前記第一風力選別部及び前記第二風力選別部よりも前記風の流れ方向下流側、かつ上方に配置されている
請求項3から5のいずれか一項に記載の選別装置。
【請求項7】
前記第二風力選別部は、
前記磁力式選別機構から前記第二選別物が供給される第二選別物供給部の下方であって、前記仕切板に対して前記風の流れ方向下流側に配置され、前記第二選別物に含まれる前記粒状体を回収する第二粒状体回収部と、
前記第二粒状体回収部に対して前記風の流れ方向下流側に配置され、前記第二選別物に含まれる前記非磁性体を回収する第二非磁性体回収部と、を備える
請求項6に記載の選別装置。
【請求項8】
前記第二選別物供給部は、前記第一粒状体回収部側から前記第一非磁性体回収部側に前記風が流入する流入部の上端と前記吸引部の上部とを結んだ仮想線よりも、上下方向において、上方に定められた間隔をあけて配置されている
請求項7に記載の選別装置。
【請求項9】
前記定められた間隔は、前記粒状体が当該粒状体の最大粒径分だけ自由落下する時間を基準時間としたときに、前記基準時間をおいて連続して落下する前記粒状体間の間隔が前記最大粒径分の10倍となる距離以上に設定されている
請求項8に記載の選別装置。
【請求項10】
前記第二選別物供給部は、前記磁力式選別機構から前記風の流れ方向下流側に向けて開口する開口部を有し、前記第二選別物は前記磁力式選別機構から当該開口部を介して前記第二風力選別部へと供給され、
前記開口部の下側には、下方に向けて延在し、前記第二選別物が前記風の流れ方向の上流側へと向かうのを抑制する逆流抑制板が設けられている
請求項7から9のいずれか一項に記載の選別装置。
【請求項11】
前記第一風力選別部側から前記風の流れ方向下流側に向かって、前記風の流路の断面積が漸次増大している
請求項2から10のいずれか一項に記載の選別装置。
【請求項12】
前記第一風力選別部、または前記第二風力選別部における前記風の風速に基づいて、前記前記風力発生部で発生させる前記風の風速を調整する風速調整部、を更に備える
請求項1から11のいずれか一項に記載の選別装置。
【請求項13】
前記風速調整部は、
前記第一風力選別部、または前記第二風力選別部における前記風の風速を検出する風速検出部を更に備え、
前記風速調整部は、前記風速検出部で検出された前記風の風速に基づいて、前記風力発生部で発生させる前記風の風速を調整する
請求項12に記載の選別装置。
【請求項14】
前記風速調整部は、
前記第一風力選別部、または前記第二風力選別部で風力による前記第一選別物、及び前記第二選別物の選別を開始してからの経過時間に基づき、前記風力発生部で発生させる前記風の風速を調整する
請求項12に記載の選別装置。
【請求項15】
前記粒状体は、ワークに投射されるショット材であり、前記非磁性体は鋳砂である
請求項1から14のいずれか一項に記載の選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体から粒状体と、非磁性体との選別が求められる場合がある。
例えば、ショットブラスト加工では、磁性体からなる粒状体(いわゆるショット材)を投射または噴射(以下、単に投射と表記する)する。ショットブラスト加工は、粒状体を投射することで、例えば、鋳造における鋳造後の砂落とし等を行う。粒状体がワークの表面に投射されると、ワークの表面に付着した砂等の、非磁性体の粒子が、ワークから除去される。ショットブラスト加工が行われた後、粒状体及び非磁性体は、混合した状態で排出される。このようにして混合した状態で排出される粒状体と非磁性体との選別には、例えば、磁力や風力が用いられる。選別された粒状体は、ショットブラスト加工に再利用される。また、選別された粒状体のうち、ワークとの衝突による摩耗や破砕等によって、再利用に不向きなサイズとなった粒状体は除去される。
【0003】
例えば、特許文献1には、粒状体(投射材)と粉粒状の異物とを含む混合物から粒状体を選別するセパレータ装置が開示されている。このセパレータ装置は、磁力により混合物から磁性体の粒状体を選別する磁力式選別機構を有している。磁力式選別機構は、回転ドラムと、磁石と、ガイド部と、を有している。回転ドラムは、円筒状で、軸周りの一方向に回転駆動される。磁石は、回転ドラムの内部の少なくとも一方の側部の側から下端部側に対応する範囲に配置されている。ガイド部は、回転ドラムの一方の側部に間隙をあけて対向配置されている。磁力式選別機構は、磁石の力を用いて、混合物を、磁性体の粒状体と非磁性体の異物(鋳砂)とに選別する。磁力式選別機構は、回転ドラムの一方の側部に供給された混合物を、回転ドラムの下端部側に至る前にガイド部と回転ドラムとの間から落下する物(異物)と、磁石の磁力により吸着される物(粒状体)と、に選別する。
【0004】
しかしながら、上記したような磁力式選別機構では、粒状体と異物とを確実に選別することが難しい。例えば、非磁性体である異物は、磁石の磁力によって回転ドラムに吸着された複数の粒状体の間に挟み込まれてしまうことがある。すると、異物は、粒状体とともに回転ドラムに吸着されたまま搬送され、粒状体とともに選別されてしまう。また、粒状体の粒径に対して異物の粒径が小さい場合、粒状体の表面に、異物が汚れのように付着したまま、粒状体とともに選別されてしまうこともある。このようにして、磁力式選別機構で磁石の磁力により吸着されることで選別された物には、磁性体である粒状体だけでなく、磁力式選別機構で選別し切ることができなかった異物が含まれている。
【0005】
これに対し、特許文献1には、風力により混合物から粒状体を選別する風力式選別機構を更に備える構成が開示されている。風力式選別機構は、風の力を用い、磁力式選別機構で、磁石の磁力により吸着された物を、更に、再利用可能な粒状体と、磁力式選別機構で選別し切ることができなかった異物と、に選別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成でも、再利用可能な粒状体と非磁性体とに選別することができるが、さらなる選別の精度の向上が望まれている。粒状体と非磁性体との選別を、より確実に行うために、例えば磁力式選別機構を更に追加して、磁力式選別機構において非磁性体として選別された物を更に選別することも考えられるが、それには、設備コスト、ランニングコスト、エネルギーコスト等がかかる。
【0008】
本発明の目的は、コスト上昇を抑えつつ、磁性体と非磁性体との選別を、より確実に行うことができる選別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、磁性体からなる粒状体と、非磁性体との混合物を、前記粒状体と前記非磁性体とに選別する選別装置である。この選別装置は、磁力式選別機構と、風力発生部と、第一風力選別部と、第二風力選別部と、を備える。磁力式選別機構は、前記混合物から磁力により前記粒状体を吸着することで、前記混合物を、第一選別物と、第二選別物と、に選別する。第一選別物は、前記粒状体を主として含むとともに前記非磁性体を含む。第二選別物は、前記非磁性体を主として含むとともに前記粒状体を含む。風力発生部は、風力を発生させる。第一風力選別部は、前記風力により、前記第一選別物を前記粒状体と前記非磁性体とに選別する。第二風力選別部は、前記風力により、前記第二選別物を前記非磁性体と前記粒状体とに選別する。前記第一風力選別部、及び前記第二風力選別部は、前記風力発生部によって発生される風の流路に沿って並べて配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コスト上昇を抑えつつ、磁性体と非磁性体との選別を、より確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る選別装置を備えたショット処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図2】本実施形態に係る選別装置の概略構成を示す断面図である。
【
図3】本実施形態の第1変形例に係る選別装置の概略構成を示す断面図である。
【
図4】経過時間と共に、混合物に含まれる非磁性体(砂)の量が変動する場合の変動パターンの一例を示す図である。
【
図5】経過時間と共に、混合物に含まれる非磁性体(砂)の量が変動することを繰り返す場合の変動パターンの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の第2変形例に係る選別装置の概略構成を示す断面図である。
【
図7】本実施形態の第3変形例に係る選別装置の概略構成を示す断面図である。
【
図8】本実施形態の第4変形例に係る選別装置の概略構成を示す断面図である。
【
図9】本実施形態の第5変形例に係る選別装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明による選別装置を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
選別装置は、磁性体からなる粒状体と、非磁性体との混合物を、粒状体と非磁性体とに選別する。本実施形態の選別装置は、以下に説明されるように、ショット処理装置から排出される、ショット材と、ワークから剥がされた、粒状体よりも質量が小さい非磁性体を含む混合物から、粒状体であるショット材と、非磁性体とを選別する。しかし、選別装置は、ショット処理装置から排出される混合物を選別する目的以外の、他の目的に使用されても構わない。したがって、粒状体はショット材ではなく、磁性体である他の物体であってよい。
【0013】
図1は、本実施形態に係る選別装置を備えたショット処理装置の構成を示す模式的断面図である。
図1に示すように、ショット処理設備1は、ショット処理装置2と、循環部3と、選別装置4と、を主に備えている。
ショット処理装置2は、ワーク10に粒状体(本実施形態においてはショット材)101を投射することで、ワーク10に対してショットブラスト加工等のショット処理を施す。ショット処理装置2は、投射室21と、投射機22と、を備えている。投射室21は、その内部にショット処理対象であるワーク10を収容する。投射機22は、投射室21の上方に配置されている。投射機22は、粒状体101を投射室21内のワーク10に向けて投射する。粒状体101は、例えば鋳鋼、鋳鉄等の磁性体からなる粒状を成している。粒状体101の粒径は、例えば、0.1~2.5mmである。
このような粒状体101がワーク10に投射されることで、ワーク10に所定のショット処理が施される。ワーク10に粒状体101を投射すると、例えばワーク10に付着していた非磁性体102がワーク10から剥がれる。この非磁性体102は、例えば、ワーク10が砂型鋳造によって形成された鋳造品である場合には、鋳造品を覆っている砂型を構成する鋳砂である。投射された粒状体101と、ショット処理によって生じた粉粒状の非磁性体102とは、投射室21の下部に落下する。つまり、ショット処理装置2は、粒状体101と、非磁性体102とを含む、粉粒状の混合物100を排出する。
【0014】
循環部3は、ショット処理装置2から排出される混合物100を、選別装置4に循環させる。循環部3は、スクリュコンベア31と、バケットエレベータ32と、を備えている。
スクリュコンベア31は、投射室21の下部に配置されている。スクリュコンベア31は、投射室21から落下した混合物100を、バケットエレベータ32へ搬送する。
バケットエレベータ32は、無端状のチェーンまたはベルト33に、複数のバケット34が備えられた構成を有している。バケットエレベータ32は、チェーンまたはベルト33を循環駆動させることで、複数のバケット34で、スクリュコンベア31で搬送された混合物100を順次掬い上げる。各バケット34は、掬い上げた混合物100を上方に搬送する。各バケット34で上方に搬送された混合物100は、バケットエレベータ32の上端でバケット34からシュート(図示せず)に投げ出される。シュートに投げ出された混合物100は、選別装置4に供給される。
【0015】
図2は、本実施形態に係る選別装置の構成を示す断面図である。
図2に示すように、選別装置4は、磁性体からなる粒状体101と、非磁性体102との混合物100を、粒状体101と非磁性体102とに選別する。選別装置4は、磁力式選別機構5と、風力式選別機構6と、を備えている。
磁力式選別機構5は、選別装置4の上部に形成された第一選別室41内に配置されている。磁力式選別機構5は、混合物供給部51と、回転ドラム52と、磁石53と、仕切54と、第一選別物供給部55と、第二選別物供給部56と、を主に備えている。
【0016】
混合物供給部51は、循環部3のシュート(図示無し)から混合物100を受ける。混合物供給部51は、混合物100を、回転ドラム52に供給する。混合物供給部51は、傾斜板51pと、調整ゲート51Gとを備えている。
傾斜板51pは、上方から下方に向かって、回転ドラム52に接近するように傾斜している。傾斜板51p上には、シュート(図示無し)から混合物100が供給される。供給された混合物100は、傾斜板51pに沿って順次自然落下する。
調整ゲート51Gは、傾斜板51pの下端部の上方に配置されている。調整ゲート51Gは、
図2の紙面に直交する方向に延びる回転軸周りに揺動可能とされている。調整ゲート51Gは、調整ネジ(図示無し)等によって揺動角度を変更することで、調整ゲート51Gと傾斜板51pとの隙間の大きさが調整可能に構成されている。調整ゲート51Gは、隙間の大きさを調整することで、混合物供給部51から回転ドラム52に供給される混合物100の流量を調整する。
傾斜板51pの下方には、ガイド板57が配置されている。ガイド板57は、傾斜板51pの下端から連続して配置されている。ガイド板57は、回転ドラム52の外面に対し、回転ドラム52の径方向外側に所定の間隔を空けて配置されている。ガイド板57は、回転ドラム52の外面と同心状を成す円弧状に形成されている。
【0017】
回転ドラム52は、
図2の紙面に直交する中心軸に沿って延びる円筒状を成している。回転ドラム52は、調整ゲート51Gの延長線上に、回転ドラム52の上部の外面が位置するように配置されている。回転ドラム52は、モータ、減速機等を備えた適宜のドラム回転機構(図示無し)によって、中心軸回りの所定方向Rに回転駆動される。
磁石53は、回転ドラム52の内部に配置されている。磁石53は、回転ドラム52の内面に沿って円弧状に連続するように配置されている。本実施形態では、磁石53は、回転ドラム52の頂部から、傾斜板51p及びガイド板57側の側部を経て、回転ドラム52の下端部に至るまでの半円弧状の領域に磁気吸着力を付与するように固定されている。磁石53は移動不能に固定されており、回転ドラム52が回転駆動される際には、回転ドラム52は、磁石53に対して相対的に回転移動する。
仕切54は、回転ドラム52の下方に配置されている。仕切54は、上下方向に延びている。仕切54の上端は、回転ドラム52の外面との間に上下方向に間隔を空けて配置されている。
【0018】
このような磁力式選別機構5では、回転ドラム52の回転動作中に、混合物供給部51に混合物100が供給される。混合物100は、傾斜板51pに沿って滑り落ち、傾斜板51pと調整ゲート51Gとの隙間から、回転ドラム52の外面に接触する領域に供給される。
【0019】
回転ドラム52に接触した混合物100のうち、磁性体である粒状体101等は、磁石53の磁力によって、回転ドラム52の外面に磁気吸着される。磁気吸着された粒状体101は、矢印Rの方向に、回転ドラム52の回転に伴って搬送される。このとき、回転ドラム52の外面に磁気吸着された多数の粒状体101の間に、非磁性体102が抱き込まれる(挟み込まれる)ことがある。このため、回転ドラム52の外面には、粒状体101とともに、一部の非磁性体102が保持されている。このようにして回転ドラム52の外面に保持された粒状体101及び一部の非磁性体102は、磁石53が磁気吸着力を充分付与できる限界点である、回転ドラム52の下端部まで搬送された後、磁気吸着を解かれる。磁気吸着を解かれた粒状体101は、抱き込んでいた一部の非磁性体102とともに、回転ドラム52の外面から離れて搬送落下領域Qに自然落下する。搬送落下領域Qは、
図2の紙面幅方向(左右方向)で、仕切54に対し、混合物供給部51が設けられている側とは反対側(
図2の紙面右側)に位置している。このようにして、搬送落下領域Qには、粒状体101を主として含み、非磁性体102を一部に含む第一選別物200が落下する。
【0020】
また、回転ドラム52に供給された混合物100のうち、非磁性体102のほとんどは、回転ドラム52に磁気吸着されることなく、重力の作用によって、そのまま下方の自然落下領域Pに自然落下する。自然落下領域Pは、
図2の紙面幅方向(左右方向)で、仕切54に対し、混合物供給部51が設けられている側に位置している。このとき、回転ドラム52に磁気吸着されていた粒状体101の一部は、自然落下する多数の非磁性体102が衝突し、あるいは回転ドラム52の回転中に磁石53の磁力が弱い部分に到達して磁力から解放される等して、自然落下する。このため、自然落下領域Pには、非磁性体102を主として含み、粒状体101を一部に含む第二選別物300が落下する。
【0021】
このように、磁力式選別機構5は、磁力により粒状体101を吸着することで、混合物100を、第一選別物200と、第二選別物300と、に選別する。
【0022】
第一選別物供給部55は、
図2の紙面幅方向(左右方向)で、仕切54に対し、混合物供給部51が設けられている側とは反対側(
図2の紙面右側)に配置されている。第一選別物供給部55は、搬送落下領域Qの下方に配置されている。第一選別物供給部55は、搬送落下領域Qに落下した第一選別物200を、後述する第一風力選別部70に供給する。第一選別物供給部55は、第一シュート55sの下方に配置されている。第一シュート55sは、下方に向かって窄まるように形成されている。第一シュート55sは、搬送落下領域Qに落下した第一選別物200を、第一選別物供給部55に向けて集約させながら下方に案内する。
第一選別物供給部55は、その下端部に第一流量調整機構58を備えている。第一流量調整機構58は、板状で、第一選別物供給部55の下端に配置された底板55pの上側に配置されている。第一流量調整機構58は、
図2の紙面に直交する方向に延びる回転軸周りに揺動可能とされている。第一流量調整機構58は、調整ネジ(図示無し)等によって揺動角度を変更することで、第一流量調整機構58の下端と底板55pとの隙間の大きさが調整可能に構成されている。第一流量調整機構58は、隙間の大きさを調整することで、第一風力選別部70に供給される第一選別物200の量(流量)を調整する。
【0023】
第二選別物供給部56は、
図2の紙面幅方向(左右方向)で、仕切54に対し、混合物供給部51が設けられている側(
図2の紙面左側)に配置されている。第二選別物供給部56は、自然落下領域Pの下方に配置されている。第二選別物供給部56は、自然落下領域Pに落下した第二選別物300を、後述する第二風力選別部80に供給する。第二選別物供給部56は、第二シュート56sの下方に配置されている。第二シュート56sは、下方に向かって窄まるように形成されている。第二シュート56sは、自然落下領域Pに落下した第二選別物300を、第二選別物供給部56に向けて集約させながら下方に案内する。
第二選別物供給部56は、磁力式選別機構5から風Wの流れ方向下流側に向けて開口する開口部56oを有している。第二選別物300は、磁力式選別機構5から開口部56oを介して、第二風力選別部80へと供給される。
第二選別物供給部56は、その下端部に第二流量調整機構59を備えている。第二流量調整機構59は、板状で、第二選別物供給部56の下端に配置された底板56pの上側に配置されている。第二流量調整機構59は、
図2の紙面に直交する方向に延びる回転軸周りに揺動可能とされている。第二流量調整機構59は、調整ネジ(図示無し)等によって揺動角度を変更することで、第二流量調整機構59の下端と底板56pとの隙間の大きさが調整可能に構成されている。第二流量調整機構59は、隙間の大きさを調整することで、第二風力選別部80に供給される第二選別物300の量(流量)を調整する。
【0024】
風力式選別機構6は、選別装置4の下部に形成された第二選別室42内に配置されている。風力式選別機構6は、風力発生部61と、第一風力選別部70と、第二風力選別部80と、を備えている。
【0025】
風力発生部61は、第二選別室42内に、風Wを発生させる。この風Wにより、第一選別物200、第二選別物300の選別処理を行うための風力が発生される。風力発生部61は、吸引ダクト(吸引部)62を備えている。吸引ダクト62は、例えば集塵機(図示無し)に接続されている。第二選別室42には、吸引ダクト62が設けられている側とは反対側に吸気口63が形成されている。風力発生部61は、集塵機のファンで発生する負圧により、吸引ダクト62を通して第二選別室42内の空気を吸引する。すると、吸気口63を通して第二選別室42の外部の空気が吸い込まれる。これにより、風力発生部61は、第二選別室42内で、吸気口63から吸引ダクト62へと流れる風Wを発生させる。吸引ダクト62は、第一風力選別部70及び第二風力選別部80よりも風Wの流れ方向下流側、かつ上方に配置されている。
【0026】
第一風力選別部70は、風Wの風力により、第一選別物200を粒状体101と非磁性体102とに選別する。第二風力選別部80は、風力により、第二選別物300を非磁性体102と粒状体101とに選別する。第一風力選別部70、及び第二風力選別部80は、風力発生部61によって発生される風Wの流路に沿って並べて配置されている。第一風力選別部70は、第二風力選別部80に対し、風Wの流れ方向上流側に配置されている。
【0027】
第一風力選別部70は、第一粒状体回収部71と、小径粒状体回収部72と、第一非磁性体回収部73と、仕切板77と、を備えている。
【0028】
第一粒状体回収部71は、磁力式選別機構5から第一選別物200が供給される第一選別物供給部55の下方に配置されている。第一粒状体回収部71は、上方に向けて開口している。第一粒状体回収部71は、第一選別物200に含まれる粒状体101を回収する。第一粒状体回収部71の下部には、第一ホース91の上端が接続されている。第一ホース91の下端は、上記ショット処理装置2の投射機22に接続されている。
第一粒状体回収部71に対して、風Wの流れ方向下流側には、第一仕切り74が形成されている。第一仕切り74は、第二選別室42の下部から上方に向かって延びている。第一仕切り74は、第一粒状体回収部71と小径粒状体回収部72との間を区画している。第一仕切り74と第一選別物供給部55の底板55pとの間には、風Wの流入部75が形成されている。風Wは、流入部75を通って、第一粒状体回収部71側から小径粒状体回収部72側へと流れる。
【0029】
小径粒状体回収部72は、第一粒状体回収部71に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。小径粒状体回収部72に対して風Wの流れ方向下流側には、第二仕切り76が形成されている。第二仕切り76は、第二選別室42の下部から上方に向かって延びている。第二仕切り76は、小径粒状体回収部72と第一非磁性体回収部73との間を区画している。小径粒状体回収部72は、第一仕切り74と第二仕切り76との間で、上方に向かって開口している。小径粒状体回収部72の下部には、第二ホース92の上端が接続されている。第二ホース92の下端は、後に詳述する小径粒状体101sを回収する回収部(図示無し)に接続されている。
【0030】
第一非磁性体回収部73は、第一粒状体回収部71、及び小径粒状体回収部72に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。第一非磁性体回収部73に対して風Wの流れ方向下流側には、仕切板77が設けられている。仕切板77は、第二選別室42の下部から上方に向かって延びている。第一非磁性体回収部73は、第二仕切り76と仕切板77との間で、上方に向かって開口している。第一非磁性体回収部73は、第一選別物200に含まれる非磁性体102を回収する。
第一非磁性体回収部73の下部には、第三ホース93の上端が接続されている。第三ホース93の下端は、非磁性体102を回収する非磁性体回収部(図示無し)に接続されている。
仕切板77は、第一仕切り74および第二仕切り76よりも上方に突出するように形成されている。仕切板77は、流入部75の上端75tを形成する底板55pよりも、上下方向において、上方に突出して延びている。
【0031】
第二風力選別部80は、仕切板77に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。第二風力選別部80は、第二粒状体回収部81と、第二非磁性体回収部82と、を備えている。
【0032】
第二粒状体回収部81は、仕切板77に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。第二粒状体回収部81に対して風Wの流れ方向下流側には、第三仕切り83が形成されている。第三仕切り83は、第二選別室42の下部から上方に向かって延びている。第三仕切り83は、第二粒状体回収部81と第二非磁性体回収部82との間を区画している。第三仕切り83は、仕切板77とほぼ同じ高さに形成されている。第二粒状体回収部81は、仕切板77と第三仕切り83との間で、上方に向けて開口している。第二粒状体回収部81は、磁力式選別機構5から第二選別物300が供給される第二選別物供給部56の、ほぼ鉛直下方に配置されている。第二粒状体回収部81は、第二選別物300に含まれる粒状体101を回収する。
第二粒状体回収部81の下部には、第四ホース94の上端が接続されている。第四ホース94の下端は、上記ショット処理装置2の投射室21に接続されている。
【0033】
第二非磁性体回収部82は、第二粒状体回収部81に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。第二非磁性体回収部82は、第三仕切り83に対して風Wの流れ方向下流側で、上方に向かって開口している。第二非磁性体回収部82は、第二選別物300に含まれる非磁性体102を回収する。
第二非磁性体回収部82の下部には、第五ホース95の上端が接続されている。第五ホース95の下端は、非磁性体102を回収する非磁性体回収部(図示無し)に接続されている。
【0034】
このような構成において、第一選別物供給部55からは、第一選別物200が自然落下する。自然落下する第一選別物200には、風Wが当たる。すると、第一選別物200に含まれる粒状体101及び非磁性体102のうち、粒状体101よりも軽い非磁性体102が、風Wによって流れ方向の下流側に吹き飛ばされる。また、第一選別物200には、ショット処理の際の摩耗や破損等により、その粒径、及び質量が当初よりも小さくなった粒状体101(以下、これを小径粒状体101sと称する)が含まれている。第一選別物200に含まれる小径粒状体101sも、風Wによって吹き飛ばされる。これにより、第一粒状体回収部71には、再利用可能な粒径を有した粒状体101のみが自然落下して回収される。換言すれば、風Wの風速は、ショット処理に再利用可能な粒径及び質量を有した粒状体101を第一粒状体回収部71に自然落下させ、一定以下の粒径、質量となった小径粒状体101sを吹き飛ばすように設定されている。
第一粒状体回収部71で回収された粒状体101は、第一ホース91を通して投射機22に供給されてショット処理に再利用される。
【0035】
第一選別物200から小径粒状体101s及び非磁性体102を吹き飛ばした風Wは、流入部75を通って、第一粒状体回収部71側から小径粒状体回収部72側へと流れる。流入部75に対して流れ方向下流側で、風Wは、吸引ダクト62に向かって斜め上方へと流れていく。風Wの流路において、この流入部75の部分で流路の断面積が最も小さくなっている。流入部75よりも下流側で、風Wの流路の断面積は漸次拡大している。このため、風Wの風速は、流入部75の部分で最大となる。風Wの風速は、流入部75の通過後、漸次低下する。
【0036】
小径粒状体101s及び非磁性体102のうち、非磁性体102よりも質量が大きい小径粒状体101sは、風Wによって飛ばされる距離が非磁性体102よりも小さくなる。自重により風Wの流路から下方に逸脱した小径粒状体101sは、惰性によって風Wの流れ方向下流側に移動しつつ自然落下する。その結果、小径粒状体101sは、第一粒状体回収部71と第一非磁性体回収部73との間の小径粒状体回収部72に落下して回収される。小径粒状体回収部72で回収された小径粒状体101sは、第二ホース92を通して排出され、非磁性体102とは分別して廃棄処理される。
【0037】
小径粒状体101s及び非磁性体102のうち、小径粒状体101sよりも質量が小さい非磁性体102は、風Wによって飛ばされる距離が小径粒状体101sよりも大きい。これにより、非磁性体102は、小径粒状体回収部72を越える。その後、自重により風Wの流路から下方に逸脱した非磁性体102は、惰性によって風Wの流れ方向下流側に移動しつつ自然落下する。自然落下した非磁性体102は、第一非磁性体回収部73に落下して回収される。また、惰性により、第一非磁性体回収部73の上部の開口を通過した非磁性体102は、仕切板77に衝突する。仕切板77に衝突した非磁性体102は、惰性を失い、下方の第一非磁性体回収部73内に自然落下する。このようにして第一非磁性体回収部73で回収された非磁性体102は、第三ホース93を通して排出され、廃棄処理される。
【0038】
上記のようにして、第一風力選別部70で、第一選別物200に含まれる粒状体101、小径粒状体101s、及び非磁性体102を選別した風Wは、仕切板77を越えて、更に流れ方向下流側の第二風力選別部80に流れる。
【0039】
第二風力選別部80において、風Wは、上方に設けられた第二選別物供給部56から自然落下してくる第二選別物300に当たる。ここで、第二選別物供給部56は、流入部75の上端75tと吸引ダクト62の上部とを結んだ仮想線Kよりも、上下方向において、上方に定められた間隔Sをあけて配置されている。この、定められた間隔Sは、例えば以下のように設定される。第二選別物供給部56から供給された粒状体101が、当該粒状体101の最大粒径分だけ自由落下する時間を基準時間とする。ここで、粒状体101の最大粒径とは、粒状体101が摩耗していない当初の状態での粒径である。第二選別物供給部56から供給された粒状体101及び非磁性体102は、重力加速度により、落下するにしたがって、その落下速度が増大する。そこで、粒状体101が、自然落下し始めて加速していき、基準時間をおいて連続して落下する粒状体101間の間隔が最大粒径分の10倍となったときの距離を、定められた間隔Sとして設定する。つまり、このように間隔Sを設定することで、第二選別物供給部56から供給された第二選別物300(粒状体101、及び非磁性体102)は、落下しながら加速し、上下方向に分散する。上下方向に分散し、その密度が低下した状態の第二選別物300が、仮想線Kよりも下方で風Wに当たるようにする。これによって、風Wの風速が第二選別物300に当たることで極端に低下することを抑える。
【0040】
第二風力選別部80では、第二選別物供給部56から供給される第二選別物300に風Wが当たると、第二選別物300に主として含まれる非磁性体102が、風Wの流れ方向下流側へと吹き飛ばされる。これにより、第二選別物300に含まれる粒状体101は、下方の第二粒状体回収部81に落下して回収される。回収された粒状体101は、第四ホース94を通して投射室21に供給され、ショット処理に再利用される。
風Wによって吹き飛ばされた非磁性体102は、第二粒状体回収部81よりも風Wの流れ方向下流側に位置する第二非磁性体回収部82に落下して回収される。第二非磁性体回収部82で回収された非磁性体102は、第五ホース95を通して機外に排出される。
【0041】
上述したような構成によれば、選別装置4は、磁性体からなる粒状体101と、非磁性体102との混合物を、粒状体101と非磁性体102とに選別する。選別装置4は、磁力式選別機構5と、風力発生部61と、第一風力選別部70と、第二風力選別部80と、を備える。磁力式選別機構5は、混合物100から磁力により粒状体101を吸着することで、混合物100を、第一選別物200と、第二選別物300と、に選別する。第一選別物200は、粒状体101を主として含むとともに非磁性体102を含む。第二選別物300は、非磁性体102を主として含むとともに粒状体101を含む。風力発生部61は、風力を発生させる。第一風力選別部70は、風力により、第一選別物200を粒状体101と非磁性体102とに選別する。第二風力選別部80は、風力により、第二選別物300を非磁性体102と粒状体101とに選別する。第一風力選別部70、及び第二風力選別部80は、風力発生部61によって発生される風Wの流路に沿って並べて配置されている。
このような構成によれば、磁力式選別機構5で選別され、粒状体101を主として含む第一選別物200は、第一風力選別部70で、粒状体101と非磁性体102とに選別される。磁力式選別機構5で選別され、非磁性体102を主として含む第二選別物300は、第二風力選別部80で、非磁性体102と粒状体101とに選別される。このようにして、粒状体101を主として含む第一選別物200を風力で選別するのに加えて、非磁性体102を主として含む第二選別物300を風力で選別する。これにより、磁性体である粒状体101と非磁性体102との選別を、より確実に行うことができる。特に、磁力式選別機構5で選別された、非磁性体102を主として含む第二選別物300から、粒状体101を選別して回収することができる。この点において、粒状体101の消費量を抑えるとともに、粒状体101を含んだ非磁性体102の廃棄量を抑えることが可能となる。また、第一風力選別部70、第二風力選別部80は、風力発生部61で発生させた風力を用いるので、磁力式選別機構5を複数段階に備えることに比較すれば、設備コスト、ランニングコスト、エネルギーコスト等を抑えることができる。
また、風力発生部61によって発生された風Wが、第一風力選別部70、及び第二風力選別部80に順次流れるため、風力発生部61で発生した風Wを、第一風力選別部70、第二風力選別部80のそれぞれに個別に送る場合に比較し、簡便な構成で、効率良く選別を行うことが可能となる。したがって、このような構成では、コスト上昇を抑えつつ、磁性体と非磁性体との選別を、より確実に行うことが可能となる。
【0042】
また、第一風力選別部70は、第二風力選別部80に対し、風Wの流れ方向上流側に配置されている。
このような構成によれば、選別装置4を適切に実現することができる。
【0043】
また、非磁性体102は、粒状体101よりも質量が小さいものであり、第一風力選別部70は、第一粒状体回収部71と、第一非磁性体回収部73と、仕切板77と、を備える。第一粒状体回収部71は、磁力式選別機構5から第一選別物200が供給される第一選別物供給部55の下方に配置されている。第一粒状体回収部71は、第一選別物200に含まれる粒状体101を回収する。第一非磁性体回収部73は、第一粒状体回収部71に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。第一非磁性体回収部73は、第一選別物200に含まれる非磁性体102を回収する。仕切板77は、第一非磁性体回収部73に対して風Wの流れ方向下流側に配置されている。仕切板77は、第一風力選別部70と第二風力選別部80とを仕切る。
このような構成によれば、第一粒状体回収部71は、第一非磁性体回収部73よりも風Wの流れ方向上流側に配置されている。第一風力選別部70では、第一選別物供給部55から供給された第一選別物200に風Wが当たると、質量が粒状体101よりも小さい非磁性体102が、風Wによって吹き飛ばされる。これにより、質量が非磁性体102よりも大きい粒状体101は、風Wの流れ方向上流側に位置する第一粒状体回収部71に落下して回収される。風Wによって吹き飛ばされた非磁性体102は、第一粒状体回収部71よりも風Wの流れ方向下流側に位置する第一非磁性体回収部73に落下して回収される。また、第一非磁性体回収部73に対して風Wの流れ方向下流側には、仕切板77が設けられている。風Wによって吹き飛ばされた非磁性体102が第一非磁性体回収部73を越えて流れていこうとしても、仕切板77に衝突することで、非磁性体102は第一非磁性体回収部73に落下して回収される。このようにして、第一風力選別部70では、風力により粒状体101と非磁性体102とを効率良く選別することができる。
【0044】
また、第一風力選別部70は、第一粒状体回収部71と第一非磁性体回収部73との間に、小径粒状体回収部72を更に備えている。小径粒状体回収部72は、第一粒状体回収部71で回収される粒状体101よりも粒径が小さく、かつ第一非磁性体回収部73で回収される非磁性体102よりも質量が大きい粒状体101(小径粒状体101s)を回収する。
このような構成によれば、第一選別物供給部55から供給される第一選別物200には、摩耗や破損等によって小径化した、小径粒状体101sが含まれることがある。小径粒状体101sは、第一粒状体回収部71で回収される粒状体101よりも、質量が小さくなる。このような小径粒状体101sは、第一風力選別部70において、風Wによって、非磁性体102ととともに吹き飛ばされ、第一粒状体回収部71で回収されない。吹き飛ばされた小径粒状体101sが、第一非磁性体回収部73で回収される非磁性体102よりも質量が大きいので、この小径粒状体101sは、風Wによって飛ばされる距離が非磁性体102よりも小さくなる。その結果、小径粒状体101sは、第一粒状体回収部71と第一非磁性体回収部73との間の小径粒状体回収部72に落下して回収される。このようにして、第一選別物200に含まれる小径粒状体101sを、第一粒状体回収部71で回収される粒状体101、及び第一非磁性体回収部73で回収される非磁性体102と分けて選別することが可能となる。これにより、第一非磁性体回収部73で回収される非磁性体102に含まれる粒状体101の量を低減することが可能となる。その結果、粒状体101を含んだ非磁性体102の廃棄量を抑えることが可能となる。
【0045】
また、仕切板77は、第一粒状体回収部71側から第一非磁性体回収部73側に風Wが流入する流入部75の上端75tよりも、上下方向において、上方に突出して延びている。
これにより、第一選別物200から風Wによって吹き飛ばされた非磁性体102が、仕切板77を乗り越えて第二風力選別部80に侵入し、第二風力選別部80で選別される粒状体101に混入するのを抑えることができる。
【0046】
また、吸引ダクト(吸引部)62は、風力発生部61において風力を発生するために空気を吸引する。吸引ダクト62は、第一風力選別部70及び第二風力選別部80よりも風Wの流れ方向下流側、かつ上方に配置されている。
このような構成によれば、吸引ダクト62によって空気が吸引されることで発生する風Wは、第一風力選別部70から第二風力選別部80へと、風Wの流れ方向下流側に向かって斜め上方に流れることとなる。すなわち、上記の構成においては、第二風力選別部80は第一風力選別部70よりも上方に位置する。このため、第一風力選別部70において、質量の小さい非磁性体102が、風Wによって選別されて飛ばされたとしても、より上方に位置する次段の第二風力選別部80までは到達しにくい。このため、第一非磁性体回収部73で回収されるべき非磁性体102が、第二風力選別部80に到達して、第二風力選別部80で選別される粒状体101に混入することが抑制される。
【0047】
また、第二風力選別部80は、第二粒状体回収部81と、第二非磁性体回収部82と、を備える。第二粒状体回収部81は、磁力式選別機構5から第二選別物300が供給される第二選別物供給部56の下方に配置される。更に、第二粒状体回収部81は、仕切板77に対して風Wの流れ方向下流側に配置される。第二粒状体回収部81は、第二選別物300に含まれる粒状体101を回収する。第二非磁性体回収部82は、第二粒状体回収部81に対して風Wの流れ方向下流側に配置される。第二非磁性体回収部82は、第二選別物300に含まれる非磁性体102を回収する。
このような構成によれば、第二風力選別部80では、磁力式選別機構5から供給された第二選別物300が、第二選別物供給部56から落下する。落下した第二選別物300には、仕切板77を越えて流れてきた風Wが当たる。第二選別物300に風Wが当たると、質量が粒状体101よりも小さい非磁性体102は、風Wによって流れ方向下流側に吹き飛ばされる。風Wによって吹き飛ばされた非磁性体102は、第二粒状体回収部81よりも風Wの流れ方向下流側に位置する第二非磁性体回収部82に落下して回収される。質量が非磁性体102よりも大きい粒状体101は、第二選別物供給部56の下方に配置された第二粒状体回収部81に落下して回収される。このようにして、第二風力選別部80では、風力により粒状体101と非磁性体102とを効率良く選別することができる。
【0048】
また、第二選別物供給部56は、第一粒状体回収部71側から第一非磁性体回収部73側に風Wが流入する流入部75の上端75tと吸引ダクト62の上部とを結んだ仮想線Kよりも、上下方向において、上方に定められた間隔Sをあけて配置されている。
このような構成において、第二風力選別部80に供給される第二選別物300は、第二選別物供給部56から自由落下する。第二選別物供給部56から自由落下する第二選別物300を構成する粒状体101や非磁性体102は、重力加速度により、第二選別物供給部56からの落下寸法が大きくなるにつれて加速する。すると、第二選別物供給部56から落下し始めた直後では、多数の粒状体101や非磁性体102が高い密度で集合していても、落下寸法が大きくなるにつれて、これら多数の粒状体101や非磁性体102は、上下方向に分散し、その密度が低くなっていく。このようにして上下方向に分散して密度が低下した領域で粒状体101や非磁性体102に風Wを当てれば、密度の高い領域で風Wを当てた場合に比較すると、風Wの流路中の粒状体101や非磁性体102の数が少なくなるので、粒状体101や非磁性体102によって風速が弱まるのが抑制される。したがって、風速の変動が抑制され、この変動が粒状体101と非磁性体102との選別に及ぼす影響が低減される。
【0049】
また、定められた間隔Sは、粒状体101が当該粒状体101の最大粒径分だけ自由落下する時間を基準時間としたときに、基準時間をおいて連続して落下する粒状体101間の間隔が最大粒径分の10倍となる距離以上に設定されている。
このような構成によれば、第二選別物供給部56から落下し、粒状体101や非磁性体102の密度が十分に低くなった領域で、第二選別物300に風Wを当てることができる。したがって、第二風力選別部80における粒状体101と非磁性体102との選別を、より効率良く行うことができる。
【0050】
また、第一風力選別部70側から風Wの流れ方向下流側に向かって、風Wの流路の断面積が漸次増大している。
このような構成によれば、第一風力選別部70における風Wの風速を、第二風力選別部80よりも高くすることができる。第一風力選別部70で選別する第一選別物200は、粒状体101を主としている。このような第一選別物200に、風速が高い風Wを当てることによって、粒状体101中に、例えば粒状体101の表面に付着するようにして混在する非磁性体102を、粒状体101から引き離すようにして吹き飛ばすことができる。このようにして、第一風力選別部70における粒状体101と非磁性体102との風力による選別を、効率良く行うことができる。
更に、第一風力選別部70における風Wの風速を高くすることによって、非磁性体102よりも質量が大きい小径粒状体101sをも選別することができる。
また、第二風力選別部80において、第二選別物300に風速が低い風Wを当てることで、非磁性体102が周囲に舞い散るのを抑えつつ、第二選別物300に含まれる粒状体101から非磁性体102を引き離すことができる。このようにして、第二風力選別部80における粒状体101と非磁性体102との風力による選別を、効率良く行うことができる。
【0051】
また、粒状体101は、ワーク10に投射されるショット材であり、非磁性体102は鋳砂である。
このような構成によれば、特にショットブラスト加工から排出される混合物100に対して、ショット材101と鋳砂を適切に選別可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、粒状体101や非磁性体101を鉛直上方には移動させないので、必要なエネルギーが少なくてすむ。
【0053】
なお、本発明の選別装置は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0054】
(第1変形例)
例えば、
図3に示すように、ショット処理設備1Bの選別装置4Bにおいて、第二選別物300を選別する第二風力選別部80Bでは、第二選別物供給部56から供給される第二選別物300に対し、下方から鉛直上方に向けて風Wを当てるようにしてもよい。
第二風力選別部80Bは、第二粒状体回収部81の上方に、上方に向かって延びる流路85を有している。第二選別物供給部56は、流路85内に、第二選別物300を供給するように配置されている。
第二非磁性体回収部82Bは、流路85に隣接して配置されている。第二非磁性体回収部82Bは、流路85の上端で、流路85に連通している。
【0055】
このような構成の第二風力選別部80Bでは、仕切板77を越えて第二風力選別部80Bに流れ込んだ風Wは、吸引ダクト62からの吸引力によって、流路85に吸い込まれる。第二選別物供給部56から供給される第二選別物300は、流路85内で自然落下する過程で、下方から流れてくる風Wに当たる。すると、第二選別物300のうち、質量が大きい粒状体101は、風Wに逆らって自然落下し、下方の第二粒状体回収部81で回収される。第二選別物300のうち、質量が小さい非磁性体102は、風Wによって上方に運ばれ、第二非磁性体回収部82Bへと流れ込んで回収される。
【0056】
ところで、このような構成では、流路85内で、非磁性体102を風Wによって上方に運ぶ必要がある。このため、上記実施形態に比較すると、風Wの風速を高くする必要が有る。
例えば、ワーク10が砂型鋳造によって形成された鋳造品を覆っている砂型の鋳砂を、ショット処理で除去する場合、
図4に示すように、ショット処理の初期の段階では、ショット処理装置2から鋳砂が多く排出される。その後、時間の経過とともに、砂型の鋳砂の除去が進むと、鋳砂の排出量が減少していく。鋳造品を覆う鋳砂が概ね除去された後、鋳造品の表面にショット処理を施している段階では、鋳砂がほとんど排出されなくなる。これにともない、選別装置4Bに投入される混合物100に含まれる非磁性体102(砂)の量や、選別装置4Bに供給される混合物100に含まれる粒状体101と非磁性体102との割合が、時間の経過と共に変化する。混合物100の量や、粒状体101と非磁性体102との割合が変化すると、第一風力選別部70、第二風力選別部80Bに単位時間当たりに供給される第一選別物200、第二選別物300の量、粒状体101や非磁性体102の量が変化する。
ここで、第一風力選別部70、第二風力選別部80Bにおいて、第一選別物200、第二選別物300に風Wが当たると、その風速が低下する。このため、単位時間当たりに供給される第一選別物200、第二選別物300の量、粒状体101や非磁性体102の量が変化すれば、第一風力選別部70、第二風力選別部80Bで風速が低下する度合いも変化することになる。すると、時間の経過とともに、第一風力選別部70、第二風力選別部80Bにおける粒状体101と非磁性体102との選別状況が変わってしまう可能性がある。すなわち、風速が大きく低下すると、例えば第一風力選別部70において、粒状体101から選別されるべき小径粒状体101sや非磁性体102が十分に選別されずに、粒状体101に混在して、第一粒状体回収部71から排出される可能性が高まる。本変形例のように風Wの風速が高いと、風速の変化の程度も大きくなり、選別状況への影響も高いものとなる可能性がある。
【0057】
そこで、
図3に示すように、選別装置4Bに、風速調整部400を備えるようにしてもよい。風速調整部400は、第一風力選別部70、または第二風力選別部80Bにおける風Wの風速に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整する。
例えば、この変形例では、風速調整部400は、風Wの風速を検出する風速検出部401を備えている。風速検出部401は、例えば、第一選別物200や第二選別物300が接触して損傷することがないように、風Wの最も上流に位置する部分である、第一風力選別部70の吸気口63側に配置して、第一風力選別部70の風速を検出するのが望ましい。もちろん、風速検出部401は、これ以外の位置に設けてもよく、第二風力選別部80Bの風速を検出するように設けられてもよい。風速調整部400は、風速検出部401で検出された風Wの風速に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整する。具体的には、吸引ダクト62等に設けられたダンパの開度を調整する。
【0058】
このように、本第1変形例の選別装置4Bは、第一風力選別部70、または第二風力選別部80Bにおける風Wの風速に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整する風速調整部400を更に備えている。
このような構成によれば、第一選別物200や第二選別物300の選別を行う領域における風速を、風速調整部400で調整することができる。混合物100の種類によっては、選別装置4Bに混合物100を投入して選別を開始してから、時間の経過とともに、混合物100の量や、混合物100に含まれる粒状体101と非磁性体102との割合が変化することがある。このような場合、混合物100の量や、粒状体101と非磁性体102との割合が変化すると、第一風力選別部70、第二風力選別部80に単位時間当たりに供給される第一選別物200、第二選別物300の量、粒状体101や非磁性体102の量が変化する。第一風力選別部70、第二風力選別部80において、第一選別物200、第二選別物300に風Wが当たると、その風速が低下する。このため、単位時間当たりに供給される第一選別物200、第二選別物300の量、粒状体101や非磁性体102の量が変化すれば、第一風力選別部70、第二風力選別部80で風速が低下する度合いも変化することになる。すると、時間の経過とともに、第一風力選別部70、第二風力選別部80における粒状体101と非磁性体102との選別状況が変わってしまう可能性がある。これに対し、第一風力選別部70、または第二風力選別部80における風Wの風速に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整することによって、粒状体101と非磁性体102との風力による選別を安定した条件で行うことができる。
【0059】
また、風速調整部400は、第一風力選別部70、または第二風力選別部80における風Wの風速を検出する風速検出部401を更に備えている。風速調整部400は、風速検出部401で検出された風Wの風速に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整する。
このような構成によれば、風速検出部401で検出された風Wの風速に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を、自動的に調整することが可能となる。
【0060】
なお、上記第1変形例では、ダンパの開度を調整することで、風Wの風速を調整するようにしたが、これに代えて、集塵機のファンの回転数を調整することで、風Wの風速を調整するようにしてもよい。
【0061】
また、上記第1変形例では、風速検出部401で検出した風速に基づいて、風Wの風速を調整するようにしたが、これに限らない。
例えば
図4に示したように、選別装置4Bに混合物100を投入して選別を開始してから、時間の経過にともなう、混合物100の量や、混合物100に含まれる粒状体101と非磁性体102との割合が変化する度合いが既知である場合、風速調整部400は、経過時間に基づいて、予め設定したマップ等に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整するようにしてもよい。
すなわち、風速調整部400は、第一風力選別部70、または第二風力選別部80で風力による第一選別物200、及び第二選別物300の選別を開始してからの経過時間に基づき、風力発生部61で発生させる風Wの風速を調整するようにしてもよい。
このような構成によれば、選別装置4Bに混合物100を投入して選別を開始してから、時間の経過とともに、混合物100の量や、混合物100に含まれる粒状体101と非磁性体102との割合が変化する度合いが既知である場合がある。このような場合に、選別を開始してからの経過時間に基づいて風速を調整すれば、風速の検出などを行わず、簡易な構成で風速調整を行うことができる。
【0062】
また、複数のワーク10のショット処理を順次連続的に行う場合等においても、
図5に示すような、混合物100(に含まれる非磁性体102)の量の経過時間に対する変動パターンが既知であれば、風速調整部400は、予め設定したマップ等に基づいて、風力発生部61で発生させる風Wの風速を経過時間に対して調整することを、順次繰り返すようにしてもよい。
【0063】
(第2変形例)
また、
図6に示すように、ショット処理設備1Cの選別装置4Cにおいて、仕切板77Cを、壁として、第一風力選別部70と第二風力選別部80Cとを完全に区画するように設けてもよい。仕切板77Cの上部には、第一風力選別部70から第二風力選別部80Cへと風Wが流れ込む連通孔77hを形成する。これにより、第一風力選別部70においては、流入部75から連通孔77hに向かって、上記実施形態と同様に、風Wが斜め上方に流れていく。
第二風力選別部80Cでは、吸引ダクト62が、連通孔77hと略同等の高さに設けられている。第二選別物300に含まれる非磁性体102が、吸引ダクト62に到達しないように、第二非磁性体回収部82Bの上方に、障壁89が設けられている。
【0064】
(第3変形例)
また、
図7に示すように、ショット処理設備1Dの選別装置4Dにおいて、仕切板77Dを、壁として、第一風力選別部70と第二風力選別部80Dとを完全に区画するように設けてもよい。仕切板77Dの上部には、第一風力選別部70から第二風力選別部80Dへと風Wが流れ込む連通孔77gを形成する。吸引ダクト62は、連通孔77gよりも高い位置に配置する。これにより、第二選別物300に含まれる非磁性体102の、吸引ダクト62への到達が抑制される。
【0065】
(第4変形例)
また、
図8に示すように、ショット処理設備1Eの選別装置4Eにおいて、仕切板77Eを、壁として、第一風力選別部70と第二風力選別部80Dとを完全に区画するように設けてもよい。仕切板77Eの上部には、第一風力選別部70と第二風力選別部80Dとを連通する筒77pを配置する。この筒77pにより、第一風力選別部70から第二風力選別部80Dに流れ込む風Wを整流することができる。
【0066】
また、上記実施形態および各変形例において、磁力式選別機構5の第二選別物供給部56では、回転ドラム52に対して一方の側に排出される第二選別物300を第二風力選別部80、80B、80C、80Dに供給するようにしたが、これに限らない。例えば、磁力式選別機構5が、回転ドラム52の下側に第一選別物200を排出しつつ、回転ドラム52の両側に、すなわち
図2における自然落下領域P側と搬送落下領域Q側の双方に、第二選別物300を排出する構成も考えられる。このような場合には、搬送落下領域Q側に排出される第二選別物300を自然落下領域P側へと誘導して、自然落下領域P側に排出される第二選別物300と混在させたうえで、第二選別物供給部56から、第二風力選別部80、80B、80C、80Dに供給するようにしてもよい。
【0067】
(第5変形例)
例えば、
図2を用いて上記実施形態として説明した構成において、粒状体101が第一非磁性体回収部73へと入ることにより、非磁性体102中に粒状体101が混入する可能性がある。これは、例えば、第二選別物供給部56から第二風力選別部80へと供給される、第二選別物300に含まれる粒状体101が、第二選別物供給部56からの落下中に互いに衝突し、粒状体101が第一風力選別部70側へと弾かれることにより生じ得る。
本変形例においては、
図9に示されるように、第二風力選別部80の下側に、下方に向けて延在する逆流抑制板56pが設けられている。第二選別物300の、風Wの流れ方向の上流側へと向かう移動は、第二選別物300が逆流抑制板56pに接触することにより、抑制される。
すなわち、本変形例においては、第二選別物供給部56は、磁力式選別機構5から風Wの流れ方向下流側に向けて開口する開口部56oを有している。第二選別物300は、磁力式選別機構5から開口部56oを介して、第二風力選別部80へと供給される。開口部56oの下側には、下方に向けて延在し、第二選別物300が風Wの流れ方向の上流側へと向かうのを抑制する逆流抑制板56pが設けられている。
上記のような構成によれば、第二選別物300に含まれる粒状体101が、風Wの流れ方向の上流側へと向かうのを抑制できる。したがって、第一非磁性体回収部73から排出される非磁性体102中への、粒状体101の混入を抑制可能である。
【0068】
なお、第二選別物供給部56を実現するに際し、
図9として示されている形態以外にも、他の構成が考えられ得る。例えば、第二選別物供給部56を水平板により実現し、当該水平板に開口を設け、水平板の上方に堆積した第二選別物300を、開口から下側に落とすことが考えられ得る。あるいは、第二選別物供給部56を、軸線方向が鉛直方向となるように設けられた筒体により実現し、当該筒体を通して上方から第二選別物300を下方へとガイドしつつ供給することも考えられ得る。
しかし、これらの場合においては、第二選別物供給部56から排出される第二選別物300は、落下中に横方向に移動し、例えば本来であれば第二粒状体回収部81に向けて落下する粒状体101が、第一非磁性体回収部73に入る可能性がある。
例えば、第二選別物供給部56を水平板により実現した場合においては、粒状体101は安定して鉛直下方へは落下しない。水平板の上に堆積した第二選別物300は、開口へと向かうに際し、少なからず横方向へ移動する。したがって、横方向へと移動しつつ開口へ到達した粒状体101は、横方向への移動を維持しつつ開口から下方へ排出され得る。あるいは、粒状体101が鉛直下方へ落下しようとしても、横方向へ移動する他の粒状体101がこれに衝突し、結果として横方向へ移動する可能性がある。
また、第二選別物供給部56を筒体により実現した場合においては、筒体内を落下中の粒状体101が筒体の内壁に接触して反射し、筒体から下方に排出される際に、横方向への移動を伴う可能性が有る。
このため、第二選別物300に含まれる粒状体101の、第一非磁性体回収部73への混入を抑制するには、これらのような構成よりも、
図9として示される第5変形例の構成の方がより望ましい。
【0069】
また、第一風力選別部70及び第二風力選別部80によって選別される粒状体101の、小径粒状体回収部72、第一非磁性体回収部73等の他の回収部への混入を抑制するために、第一仕切り74、第二仕切り76等の形状や高さを調整することが、非常に有効であるのは言うまでもない。
したがって、
図9として示される構成としつつ、これら仕切りの高さや位置を調整するのがより望ましい。
【0070】
(他の変形例)
これ以外にも、例えば、風力発生部61、第一風力選別部70、第二風力選別部80の配置については、上記実施形態および各変形例で示した構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、第二風力選別部80を第一風力選別部70の上流側に設け、風力発生部61で発生した風Wを、第二風力選別部80側から第一風力選別部70側に供給するようにしてもよい。
【0071】
また、既に説明したように、上記実施形態および各変形例では、粒状体としてショット材101を例示したが、粒状体は、磁性体からなるのであれば、その材質、用途等を問うものではない。また、非磁性体102についても、ブラスト加工に限らず、他の加工や処理によって生じるものであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、鋳造後の製品からショットブラストによって鋳物砂を除去した際に発生する粉粒体から砂と磁性粒子とを分離する場合について記載したが、これに限定されない。上記のような選別装置は、ショットブラストに限らず、大量の被処理物を処理する際に好適に用いることができる。例えば、鋳型(砂型)を解砕することで発生した粉粒体から磁性粒子と非磁性粒子(鋳物砂)とに分離することにも用いることができる。また、例えば、製鉄所で発生したスラグを破砕した後、磁性粒子と非磁性粒子とに分離することにも用いることができる。
【0073】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
4、4B、4C、4D、4E 選別装置
5 磁力式選別機構
55 第一選別物供給部
56 第二選別物供給部
56o 開口部
56p 逆流抑制板
61 風力発生部
62 吸引ダクト(吸引部)
70 第一風力選別部
71 第一粒状体回収部
72 小径粒状体回収部
73 第一非磁性体回収部
75 流入部
75t 上端
77、77C、77D、77E 仕切板
80、80B、80C、80D 第二風力選別部
81 第二粒状体回収部
82、82B 第二非磁性体回収部
85 流路
100 混合物
101 粒状体
101s 小径粒状体
102 非磁性体
200 第一選別物
300 第二選別物
400 風速調整部
401 風速検出部
K 仮想線
S 間隔
W 風