(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066636
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】排水構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/262 20060101AFI20220422BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
E03C1/262 Z
E03C1/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175095
(22)【出願日】2020-10-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】矢田 敏徳
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061CA02
2D061CC05
2D061CC15
2D061DA01
2D061DE03
2D061DE05
2D061DE13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換可能であるとともに、衛生性の向上を図ることができる排水構造を提供する。
【解決手段】排水構造は、上方に向けて開口した凹部108を形成する凹部形成部と、凹部108を覆う位置に配置されることで凹部108の全部又は大部分が外部から隠れた状態であるカバー状態とすることが可能である一方、凹部108を覆う状態が解除されることで凹部108が外部から視認可能な状態である非カバー状態とすることが可能なカバー部4とを備える。カバー部4は、当該カバー部4の外縁側に位置する回動軸にて回動可能であり、カバー部4の回動によりカバー状態又は非カバー状態に切換可能とされる。カバー部を持ち上げて凹部に移動させたり凹部から外したりすることなく、カバー状態又は非カバー状態へと切換えることができるため、各状態へと容易に切換可能となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口した凹部を形成するとともに、当該凹部に排水が流入可能に構成され、かつ、流入した排水の流れ込む排水管が底部に接続されてなる、所定の設置対象部に凹設された凹部形成部と、
前記凹部を覆う位置に配置されることで当該凹部の全部又は大部分が外部から隠れた状態であるカバー状態とすることが可能である一方、前記凹部を覆う状態が解除されることで前記凹部が外部から視認可能な状態である非カバー状態とすることが可能なカバー部とを備え、
前記カバー状態及び前記非カバー状態の双方において、前記凹部へと排水が流入可能に構成された排水構造であって、
前記カバー部は、当該カバー部の外縁側に位置する回動軸にて回動可能な状態で支持されており、
前記回動軸とは反対側の外縁が上昇するように前記カバー部が回動することで、前記カバー状態から前記非カバー状態に切換可能に構成されている一方、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するように前記カバー部が回動することで、前記非カバー状態から前記カバー状態に切換可能に構成されていることを特徴とする排水構造。
【請求項2】
前記非カバー状態であるときに前記カバー部を停止状態で維持可能な非カバー状態維持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の排水構造。
【請求項3】
前記非カバー状態維持手段は、前記カバー部を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の排水構造。
【請求項4】
前記カバー部に対し、前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換える方向の付勢力を付与する付勢手段と、
前記付勢手段から加わる付勢力に抗して前記カバー部を回動が規制された状態でロック可能なロック手段とを備え、
前記カバー部の表面を押して前記非カバー状態から前記カバー状態へと切換えることで、前記ロック手段によって前記カバー部がロックされて、前記カバー状態が維持されるように構成されるとともに、
前記ロック手段に直接触れることなく、当該ロック手段による前記カバー部のロックを解除可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項5】
前記カバー部とは別に設けられた、前記カバー状態又は前記非カバー状態へと切換える際に使用者による操作対象となる操作部と、
前記カバー部を支持するとともに、前記操作部に対する操作に伴い回動可能に構成された回動駆動部とを備え、
前記カバー部は、前記回動駆動部の回動に伴い回動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項6】
前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換えるように前記カバー部を回動させることで、当該カバー部に連動して前記異物捕集部が持ち上げられた状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項7】
前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー部の裏面には、前記非カバー状態において前記異物捕集部が係止されることで、当該異物捕集部を持ち上げた状態で維持可能な捕集部保持手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項8】
前記カバー状態であるとき、前記カバー部と前記凹部形成部とが接触しないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項9】
前記回動軸にて回動可能であるとともに、前記カバー部を支持する回動支持部を備え、
前記カバー部は、前記回動支持部に対し着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水が流れ込む凹部を隠すためのカバー部を有してなる排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の設置対象部〔例えば、浴室の洗い場パンや槽体(例えば、キッチンのシンク等)〕に対し、排水の流れ込む凹部を形成するとともに、当該凹部に対応して排水構造を設置することがある。
【0003】
このような排水構造は、前記凹部の全部又は大部分を外部から隠れた状態とすることが可能なカバー部(カバー部材)を備えている(例えば、特許文献1等参照)。カバー部を前記凹部における上側開口部に配置することで、凹部の全部又は大部分が外部から隠れた状態(カバー状態)となる。カバー状態においては、凹部に存在する汚れやごみ等の異物が使用者から視認不能又は視認困難となり、外観品質の向上が図られることになる。一方、前記凹部からカバー部を取外すことで、凹部の全部又は大部分が外部から視認可能な状態(非カバー状態)となる。非カバー状態においては、凹部に存在する異物を取除いたり、設置対象部における前記凹部を形成する部位を清掃したりすることが容易に可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような排水構造において、カバー状態又は非カバー状態に切換えるためには、カバー部を持ち上げて移動させつつ前記凹部に置いたり、カバー部を前記凹部から外した上で持ち上げて移動させたりする必要がある。そのため、カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換えることができず、使用者にとっての利便性が不十分となるおそれがある。また、非カバー状態としたときに、外されたカバー部が設置対象部やその周辺部分に置かれることで、カバー部の汚れや異物が当該カバー部の置かれた部分に付着して、衛生性や清掃性の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換可能であるとともに、衛生性や清掃性の向上を図ることができる排水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.上方に向けて開口した凹部を形成するとともに、当該凹部に排水が流入可能に構成され、かつ、流入した排水の流れ込む排水管が底部に接続されてなる、所定の設置対象部に凹設された凹部形成部と、
前記凹部を覆う位置に配置されることで当該凹部の全部又は大部分が外部から隠れた状態であるカバー状態とすることが可能である一方、前記凹部を覆う状態が解除されることで前記凹部が外部から視認可能な状態である非カバー状態とすることが可能なカバー部とを備え、
前記カバー状態及び前記非カバー状態の双方において、前記凹部へと排水が流入可能に構成された排水構造であって、
前記カバー部は、当該カバー部の外縁側に位置する回動軸にて回動可能な状態で支持されており、
前記回動軸とは反対側の外縁が上昇するように前記カバー部が回動することで、前記カバー状態から前記非カバー状態に切換可能に構成されている一方、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するように前記カバー部が回動することで、前記非カバー状態から前記カバー状態に切換可能に構成されていることを特徴とする排水構造。
【0009】
上記手段1によれば、カバー部は、その外縁側に位置する回動軸にて回動可能な状態で支持されている。そして、前記回動軸とは反対側の外縁が上昇するようにカバー部が回動することで、カバー状態から非カバー状態に切換わり、一方、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するようにカバー部が回動することで、非カバー状態からカバー状態に切換わるようになっている。このようにカバー部を回動させることでカバー状態又は非カバー状態へと切換わるため、カバー状態又は非カバー状態へと切換えるにあたって、カバー部を持ち上げて移動させつつ前記凹部に置いたり、カバー部を前記凹部から外した上で持ち上げて移動させたりする必要がなくなる。これにより、カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換えることが可能となり、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0010】
また、上記手段1によれば、カバー状態又は非カバー状態へと切換えるにあたって、カバー部を外す必要はないから、外されたカバー部が設置対象部やその周辺部分に置かれることをより確実に防止できる。従って、カバー部における汚れや異物が当該カバー部の置かれた部分に付着するといった事態を抑えることができ、衛生性や清掃性の向上を図ることができる。
【0011】
手段2.前記非カバー状態であるときに前記カバー部を停止状態で維持可能な非カバー状態維持手段を備えることを特徴とする手段1に記載の排水構造。
【0012】
上記手段2によれば、手などを使うことなく、非カバー状態維持手段によって、カバー部を停止状態で維持して、非カバー状態を保つことができる。従って、凹部に存在する異物を取除いたり、凹部形成部を清掃したりすること等をより容易に行うことが可能となり、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。
【0013】
手段3.前記非カバー状態維持手段は、前記カバー部を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能に構成されていることを特徴とする手段2に記載の排水構造。
【0014】
上記手段3によれば、非カバー状態維持手段は、カバー部を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能とされている。従って、凹部形成部及びカバー部間に形成される隙間の開放程度について、複数の異なる程度で保つことができる。これにより、例えば、若干の前記隙間が形成される状態でカバー部を停止させることにより、凹部が外部から多少視認可能となるもののカバー部によって凹部をある程度隠しつつ、凹部へとごみ等や排水がより円滑に流れ込むようにすることや、美観をさほど損ねることなく、凹部内を比較的乾燥しやすい状態で維持すること等が可能となる。そのため、非カバー状態においてカバー部の回動角度を調節不能な構成と比べて、排水構造の使用方法に係る幅を広げることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。
【0015】
尚、カバー部の停止角度については、連続的に調節可能であってもよいし、段階的に調節可能であってもよい。
【0016】
手段4.前記カバー部に対し、前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換える方向の付勢力を付与する付勢手段と、
前記付勢手段から加わる付勢力に抗して前記カバー部を回動が規制された状態でロック可能なロック手段とを備え、
前記カバー部の表面を押して前記非カバー状態から前記カバー状態へと切換えることで、前記ロック手段によって前記カバー部がロックされて、前記カバー状態が維持されるように構成されるとともに、
前記ロック手段に直接触れることなく、当該ロック手段による前記カバー部のロックを解除可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の排水構造。
【0017】
上記手段4によれば、カバー部の表面を押して非カバー状態からカバー状態へと切換えることで、ロック手段によりカバー部をロックして、カバー状態を維持することができる。従って、意図せずカバー部が回動して、カバー状態が解除されるといった事態をより確実に防止することができる。
【0018】
また、上記手段4によれば、ロック手段によるカバー部のロックを解除することで、付勢手段から加わる付勢力によって、カバー状態から非カバー状態へと切換えることができる。従って、カバー部に対し、カバー状態から非カバー状態へと切換えるための力を使用者が加えずに済む。これにより、カバー状態から非カバー状態へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0019】
さらに、上記手段4によれば、例えばカバー部に所定の操作を加えること等によって、ロック手段に直接触れることなく、当該ロック手段によるカバー部のロックを解除することができる。従って、カバー部のロック解除を比較的容易に行うことができる。
【0020】
手段5.前記カバー部とは別に設けられた、前記カバー状態又は前記非カバー状態へと切換える際に使用者による操作対象となる操作部と、
前記カバー部を支持するとともに、前記操作部に対する操作に伴い回動可能に構成された回動駆動部とを備え、
前記カバー部は、前記回動駆動部の回動に伴い回動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水構造。
【0021】
尚、「前記操作部に対する操作に伴い回動可能に構成された回動駆動部」とあるのは、例えば、操作部に加えられた操作力によって回動するものや、操作部に対する操作を契機としてモータ等の通電動作部で生じた力によって回動するもの、操作部に対する操作を契機としてばね等の動力発生部で生じた力によって回動するもの等をいう。
【0022】
上記手段5によれば、操作部を操作することで回動駆動部が回動し、その結果、この回動駆動部に支持されたカバー部が回動して、カバー状態又は非カバー状態へと切換えられるようになっている。従って、カバー状態又は非カバー状態へと切換えるにあたって、汚れや異物の付着しやすいカバー部を直接触れずに済み、衛生性や安全性を高めることができる。また、操作部の設置位置を適切に設定することで、カバー部を操作対象とする場合と比べて、カバー状態又は非カバー状態への切換えに係る操作性をより向上させることができる。
【0023】
手段6.前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換えるように前記カバー部を回動させることで、当該カバー部に連動して前記異物捕集部が持ち上げられた状態となるように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水構造。
【0024】
上記手段6によれば、カバー状態から非カバー状態へと切換えるようにカバー部を回動させることで、カバー部に連動して異物捕集部を上昇させて持ち上げられた状態とすることができる。従って、異物捕集部に集積した異物の除去や異物捕集部の清掃などを行うときにおいて異物捕集部を凹部の外へと取外したい場合には、カバー部を回動させて非カバー状態とする必要があるが、上記手段6によれば、非カバー状態となるようにカバー部を回動させれば、自然と異物捕集部を凹部の外へと取外しやすい状態とすることができる。これにより、異物捕集部の取外しが非常に容易となり、利便性をより一層向上させることができる。
【0025】
また、異物捕集部を取外す際に、使用者が当該異物捕集部の設置部位(載置部位)やその周辺部に触れてしまうことをより確実に防止でき、より良好な衛生性や安全性を得ることができる。
【0026】
さらに、カバー部を非カバー状態で維持することにより、異物捕集部を持ち上げた状態(設置部位から浮かせた状態)で維持することができる。従って、カバー部や凹部形成部、異物捕集部などを乾燥させたいときにおいて、カバー部を非カバー状態として異物捕集部を浮かせることで、これらを乾燥させることが容易に可能となる。また、異物捕集部を排水構造の周囲などに置いて乾燥させる場合には、異物捕集部の置き場所を確保する必要があるが、上記手段6によれば、その必要がなくなるため、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0027】
手段7.前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー部の裏面には、前記非カバー状態において前記異物捕集部が係止されることで、当該異物捕集部を持ち上げた状態で維持可能な捕集部保持手段が設けられることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水構造。
【0028】
上記手段7によれば、捕集部保持手段により、異物捕集部を持ち上げた状態(設置部位から浮かせた状態)で維持することができる。従って、カバー部や凹部形成部、異物捕集部などを乾燥させたいときにおいて、カバー部を非カバー状態としつつ異物捕集部を浮かせることで、これらを乾燥させることが容易に可能となる。
【0029】
また、異物捕集部を排水構造の周囲などに置いて乾燥させる場合には、異物捕集部の置き場所を確保する必要があるが、上記手段7によれば、その必要がなくなるため、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0030】
手段8.前記カバー状態であるとき、前記カバー部と前記凹部形成部とが接触しないように構成されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の排水構造。
【0031】
従来のカバー部は、通常、カバー状態において、所定部分(例えば四隅に形成された脚部)が凹部形成部と接触することで、当該凹部形成部により支持された状態で設置されている。しかしながら、このような設置状態では、カバー部と凹部形成部との接触部に異物が引っ掛かって留まりやすくなる。そのため、清掃時などにおいて、使用者がこの異物に対する処理を別途行う手間が生じてしまい、利便性の低下を招くおそれがある。
【0032】
この点、上記手段8によれば、カバー状態においてカバー部と凹部形成部とが接触しないため、上記のように異物が留まるといった事態をより確実に防止できる。その結果、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。
【0033】
また、上記手段8によれば、排水の流れ阻害を生じにくくすることができ、より良好な排水性能を得ることができる。
【0034】
手段9.前記回動軸にて回動可能であるとともに、前記カバー部を支持する回動支持部を備え、
前記カバー部は、前記回動支持部に対し着脱自在に構成されていることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の排水構造。
【0035】
上記手段9によれば、カバー部は回動支持部に対し着脱自在とされている。従って、回動支持部からカバー部を取外して、カバー部を単体の状態で清掃することができ、利便性を一層向上させることができる。また、仮にカバー部に破損などが生じたときには、破損等に対する対応処理(例えばカバー部の修理や交換作業)をより容易なものとすることができる。さらに、排水構造の周囲環境や使用者のニーズなどに合わせて、色やデザイン等の異なるカバー部を適宜変更して利用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】第1実施形態において、“カバー状態”における排水構造の斜視図である。
【
図4】第1実施形態において、カバー部を取外した状態における排水構造の斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、“非カバー状態”における排水構造の斜視図である。
【
図6】第1実施形態において、“非カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図7】第1実施形態において、“非カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図8】第2実施形態において、“カバー状態”における排水構造の斜視図である。
【
図11】第2実施形態において、カバー部を取外した状態における排水構造の斜視図である。
【
図12】第2実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の斜視図である。
【
図13】第2実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図14】第2実施形態における操作装置の断面図である。
【
図15】第3実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図16】第3実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の斜視図である。
【
図17】第3実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図18】別の実施形態における排水構造の断面図である。
【
図19】別の実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図20】別の実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図21】別の実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図22】別の実施形態において、支持回動ユニットのみを示す
図21のN―N線断面図である。
【
図23】別の実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図24】別の実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図25】別の実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図26】別の実施形態におけるカバー部の斜視図である。
【
図27】別の実施形態における凹部形成部等の斜視図である。
【
図28】別の実施形態における回動駆動部やカバー部等を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、排水構造1は、設置対象部としての浴室の洗い場パン100(以下、単に「洗い場パン100」という)に設けられている。排水構造1は、後述するカバー部4等に加えて、洗い場パン100に形成された凹部形成部102を備えている。ここでは、まず、洗い場パン100の構成について説明する。
【0038】
洗い場パン100は、
図2,3に示すように、床基部101及び凹部形成部102を備えている。床基部101は、浴室における洗い場床部の大部分を構成する部位である。図示は省略するが、床基部101の上面の大部分には、凹部形成部102に向けて徐々に下がる緩やかな傾斜が設けられている。
【0039】
凹部形成部102は、浴槽(図示せず)と隣接する位置にて凹設されており、第一垂下部103、中間段部104、第二垂下部105及び底部106を備えている。
【0040】
第一垂下部103は、床基部101から垂下しており、全体として平面視矩形状の環状をなしている。中間段部104は、第一垂下部103の下端部からほぼ水平方向に突出している。中間段部104の少なくとも一部における上面は、後述する排水管2側に向けて排水を円滑に流すために、排水管2側に向けて徐々に下がる形状をなしている。また、中間段部104のうち前記浴槽とは反対側に位置する二隅には、平坦面状の受け部104aが形成されている。
【0041】
第二垂下部105は、中間段部104の内周部から下方に向けて垂下しており、円筒状をなしている。底部106は、凹部形成部102の底を構成する部位であり、第二垂下部105の下端部から水平方向に突出している。また、底部106の中央部には、排水口107が鉛直方向に貫通形成されている。
【0042】
加えて、第一垂下部103、中間段部104、第二垂下部105及び底部106で囲まれた凹部形成部102の内部空間によって、上方に向けて開口した凹部108が形成されている。そして、上述の通り、床基部101に前記傾斜が設けられていることにより、排水は凹部108に自然と流入するようになっている。
【0043】
次いで、排水構造1のうち凹部形成部102とは別の部位について説明する。排水構造1は、排水管2、操作支持ユニット3及びカバー部4を備えている。
【0044】
排水管2は、凹部108に流入した排水の流出路として機能する部品である。排水管2は、全体として円筒状をなしており、その一端部(上端部)において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下方の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。そして、排水口107に排水管2を挿通しつつ雄ねじ部22を図示しない所定の配管(例えば排水トラップ)に螺合し、鍔部21及び前記配管により底部106を挟み込むことで、排水管2が底部106に接続された状態となっている。
【0045】
尚、本実施形態において、鍔部21及び底部106間には、弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材5が配置されている。当該シール部材5によって、排水管2及び底部106間からの漏水防止が図られている。また、鍔部21の外周面は、第二垂下部105に対しほぼ隙間のない状態で近接配置されており、その結果、鍔部21及び第二垂下部105間における異物や汚れの付着防止が図られている。
【0046】
操作支持ユニット3は、カバー部4を動作させる際の操作対象を備えるとともに、カバー部4の支持部として機能する機構である。操作支持ユニット3は、中間段部104上であって第一垂下部103のうち前記浴槽側に位置する部位(一辺)の中央部に隣接配置されている(
図4参照)。操作支持ユニット3は、
図2~4に示すように、ケース部31、回動駆動部32、操作部33及び回動規制機構34を備えている。本実施形態において、回動駆動部32は「回動支持部」にも相当する。
【0047】
ケース部31は、回動駆動部32の中間部、操作部33及び回動規制機構34を内部に収容するとともに、凹部形成部102に対する操作支持ユニット3の取付部として機能する。ケース部31は、例えばねじ止め等の既知の取付手法を用いて、凹部形成部102に取付けられている(但し、この取付手法に関する部分は不図示)。ケース部31は、回動駆動部32の両端部や後述する被押圧部33bをケース部31外に露出させるための複数の孔部を備えるとともに、回動駆動部32を回動可能な状態で支持している。
【0048】
回動駆動部32は、カバー部4を支持するとともに、操作部33に対する操作により生じた駆動力(本実施形態では、操作部33に加えられた操作力)が付与されることで回動する。回動駆動部32は、全体として円柱状をなしており、その両端部がケース部31外に突出した状態で設置されている。
【0049】
回動駆動部32は、歯車部32a、第一切欠部32b、第二切欠部32c及び一対の連結部32dを備えている。歯車部32aは、回動駆動部32における長手方向中央部外周であって回動駆動部32の周方向に沿った一定の範囲に形成されており、ケース部31内に配置されている。
【0050】
第一切欠部32b及び第二切欠部32cは、回動駆動部32のうち当該回動駆動部32の回動軸方向に沿って歯車部32aから若干ずれた位置に形成されている。第一切欠部32b及び第二切欠部32cは、回動駆動部32の周方向に沿って所定距離だけ離れた位置にそれぞれ存在している。
【0051】
連結部32dは、回動駆動部32における長手方向端部に形成されており、回動駆動部32の回動軸方向に沿って見たとき、平行な二辺とこれら二辺を繋ぐ2つの円弧とを備えた形状をなしている。連結部32dは、カバー部4と連結されている。これにより、回動駆動部32の回動に伴い、カバー部4が回動するようになっている。
【0052】
操作部33は、カバー部4を回動させる際において、すなわち、後述する“非カバー状態”へと切換える際において、使用者による操作対象として機能するとともに、加えられた操作力を回動駆動部32へと伝える役割を有する。操作部33は、カバー部4とは別に設けられており、上下方向に往復移動可能な状態でケース部31内に挿通設置されている。操作部33は、ラック構成部33a及び被押圧部33bを備えている。
【0053】
ラック構成部33aは、操作部33の往復移動方向に沿って並んだ複数の歯を備えており、歯車部32aに噛合されている。
【0054】
被押圧部33bは、操作部33におけるその往復移動方向に沿った一端面(上面)により構成されており、ケース部31の上面に露出している。被押圧部33bは、カバー部4を回動させる際において、使用者によって押圧操作される部位であり、被押圧部33bを押圧することで操作部33が往動(下動)し、その結果、回動駆動部32が回動する。
【0055】
回動規制機構34は、それぞれ後述する“カバー状態”及び“非カバー状態”において、カバー部4を停止状態で維持するための機構である。本実施形態では、回動規制機構34が「非カバー状態維持手段」を構成する。回動規制機構34は、ピン34a及びピン押圧ばね34bを備えている。
【0056】
ピン34aは、ケース部31内にて往復移動可能な状態で設置されており、先端部が前記切欠部32b,32cに配置可能に構成されている。ピン押圧ばね34bは、圧縮状態で設けられており、回動駆動部32の外周に向けてピン34aを押し付けるためのものである。
【0057】
カバー部4は、凹部108を覆い、凹部108の全部又は大部分(本実施形態では、大部分)を外部から隠れた状態(視認不能又は視認困難な状態)とするための部品である。カバー部4は、
図5に示すように、カバー本体部41及び被連結部42を備えている。
【0058】
カバー本体部41は、矩形板状をなしており、上述した凹部108を隠す役割を主に担う部位である。カバー本体部41の裏面(凹部108側に位置する面)であって後述するカバー部4の回動軸とは反対側に位置する部位には、一対の脚部41aが突出形成されている。
【0059】
被連結部42は、カバー本体部41の端縁側中央部における裏面から一対突出形成されており、連結部32dが配置される連結用スリット42aを備えている。そして、連結用スリット42aに対し連結部32dが挿通されることにより、カバー部4が連結部32dに対し回動不能な状態で連結されている。これにより、カバー部4は、当該カバー部4の外縁側に位置する回動軸(本実施形態では、回動駆動部32の回動軸)にて回動可能に支持された状態となっている。
【0060】
また、本実施形態では、連結用スリット42aから連結部32dが引き抜かれるようにカバー部4を移動させることで、特段の工具などを用いることなく、カバー部4を連結部32dから取外可能となっている。従って、カバー部4は、回動駆動部32に対し着脱自在となっている。尚、カバー部4を取外すことで、カバー部4や凹部形成部102の清掃等を容易に行うことが可能である。
【0061】
さて、上述した排水構造1においては、カバー部4が凹部108を覆う位置(凹部108の開口部を閉じる位置)に配置されることで、当該凹部108の全部又は大部分が外部から隠れた状態である“カバー状態”(
図1~3参照)とすることができる。本実施形態では、“カバー状態”において、カバー本体部41のうち、操作支持ユニット3とは反対側に位置する外縁と、当該外縁と直交する平行な2つの外縁とが、第一垂下部103の内面に近接設置されるようになっており、凹部108を隠す機能がより効果的に発揮されるようになっている。
【0062】
また、“カバー状態”においては、カバー部4の表面と床基部101の表面(特にカバー部4側に位置する面)とが略面一(ほぼ同じ高さ)となり、美観の向上が図られるとともに、浴室を利用する使用者にとってカバー部4が邪魔にならないように構成されている(
図2,3参照)。
【0063】
さらに、“カバー状態”では、第一切欠部32bにロックピン34aの先端部が配置された状態となることで、回動駆動部32ひいてはカバー部4の回動が規制され、カバー部4が停止状態で維持されるようになっている。そして、“カバー状態”では、カバー部4と凹部形成部102とが接触しない状態となる。尚、本実施形態では、“非カバー状態”においても、カバー部4と凹部形成部102とが接触しない状態となる。但し、本実施形態では、“カバー状態”において、カバー部4を踏み付けたりカバー部4に重量物を載置したりすること等により、カバー部4に対し下向きの大きな力が加わった場合には、カバー部4が僅かに回動して、中間段部104(受け部104a)へと脚部41aが接触する。これにより、カバー部4における被支持部分側や回動駆動部32に加わる負荷の軽減が図られ、カバー部4等における破損や変形をより確実に防止可能となっている。
【0064】
一方、“カバー状態”においては、被押圧部33bを押圧することで、第一切欠部32bからロックピン34aの先端部が外れるとともに、カバー部4がその回動軸とは反対側の外縁を上昇させるようにして回動し、その結果、凹部108を覆う状態が解除される。これにより、“カバー状態”から、凹部108の全部又は大部分(本実施形態では大部分)が外部から視認可能な状態である“非カバー状態”(
図5~7参照)へと切換えることができる。そして、“非カバー状態”では、第二切欠部32cにロックピン34aの先端部が配置された状態となることで、回動駆動部32ひいてはカバー部4の回動が規制され、カバー部4が停止状態で維持されることとなる。
【0065】
また、本実施形態では、“カバー状態”において、凹部108からカバー部4が取外不可となるように、回動駆動部32(連結部32d)や被連結部42(連結用スリット42a)が構成されている。
【0066】
尚、本実施形態では、例えばカバー部4の表面を押すこと等により、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するようにカバー部4を回動させることで、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることが可能である。
【0067】
また、本実施形態では、“カバー状態”及び“非カバー状態”の双方において(“カバー状態”及び“非カバー状態”のいずれであっても)、凹部108へと排水が流入可能となっている。つまり、カバー部4は、浴槽などに設けられる栓蓋と異なり、排水可能状態と排水不能状態とを切換えるといった機能を備えないものである。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば、カバー部4を回動させることで“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えることができる。そのため、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えるにあたって、カバー部4を持ち上げて移動させつつ凹部108に置いたり、カバー部4を凹部108から外した上で持ち上げて移動させたりする必要がなくなる。これにより、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと容易に切換えることが可能となり、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0069】
また、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えるにあたって、カバー部4を外す必要はないから、外されたカバー部4が洗い場パン100やその周辺部分に置かれることをより確実に防止できる。従って、カバー部4における汚れや異物が当該カバー部4の置かれた部分に付着するといった事態を抑えることができ、衛生性や清掃性の向上を図ることができる。
【0070】
加えて、回動規制機構34によって、手などを使うことなく、カバー部4を停止状態で維持して、“非カバー状態”を保つことができる。従って、凹部108に存在する異物を取除いたり、凹部形成部102を清掃したりすること等をより容易に行うことが可能となり、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。
【0071】
さらに、操作部33を操作することで、“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、“非カバー状態”へと切換えるにあたって、汚れや異物の付着しやすいカバー部4を直接触れずに済み、衛生性や安全性を高めることができる。
【0072】
また、“カバー状態”においてカバー部4と凹部形成部102とが接触しないため、カバー部4と凹部接触部102との接触部に異物が引っ掛かって留まるといった事態をより確実に防止できる。その結果、清掃時などにおいて、このような異物を別途取除く手間がなくなり、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。さらに、排水の流れ阻害を生じにくくすることができ、より良好な排水性能を得ることができる。
【0073】
加えて、カバー部4は回動駆動部32に対し着脱自在とされている。従って、回動駆動部32からカバー部4を取外して、カバー部4を単体の状態で清掃することができ、利便性を一層向上させることができる。また、仮にカバー部4に破損などが生じたときには、破損等に対する対応処理(例えばカバー部4の修理や交換作業)をより容易なものとすることができる。さらに、排水構造1の周囲環境や使用者のニーズなどに合わせて、色やデザイン等の異なるカバー部4を適宜変更して利用することも可能となる。
【0074】
併せて、“カバー状態”において凹部108からカバー部4が取外不可とされるため、排水等の影響によってカバー部4が浮いて凹部108から外れることを防止できる。また、凹部108からの外れ防止のためにカバー部4の重量を増大させる必要がなくなり、カバー部4の軽量化を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について説明する。本第2実施形態において、排水構造11は、
図8に示すように、設置対象部としてのキッチンのシンク110(以下、単に「シンク110」という)に設けられている。排水構造11は、後述するカバー部17等に加えて、シンク110に形成された凹部形成部112を備えている。ここでは、まず、シンク110の構成について説明する。
【0075】
シンク110は、基部111及び凹部形成部112を備えている。基部111は、シンク110の底部の大部分を構成する部位である。図示は省略するが、基部111の上面の大部分には、凹部形成部112に向けて徐々に下がる緩やかな傾斜が設けられている。
【0076】
凹部形成部112は、
図9に示すように、第一垂下部113、中間段部114、第二垂下部115及び底部116を備えている。第一垂下部113、中間段部114、第二垂下部115及び底部116は、上記第1実施形態における第一垂下部103、中間段部104、第二垂下部105及び底部106とほぼ同様の構成を有している。但し、本第2実施形態では、第一垂下部113に対し、後述する支持回動ユニット16を設置するための取付孔113aが貫通形成されている。また、第一垂下部113における中間段部114の二隅に対応する部位には、“カバー状態”において後述するカバー部17に対し下向きの大きな力が加わり当該カバー部17が僅かに回動した場合に、当該カバー部17と接触してこれを支持する受け部113bが形成されている。
【0077】
そして、第一垂下部113、中間段部114、第二垂下部115及び底部116によって、上方に開口する凹部118が形成されており、上述の通り、基部111に前記傾斜が設けられていることによって、排水は凹部118に自然と流入するようになっている。また、底部116には、上記第1実施形態と同様に、排水口117が貫通形成されている。
【0078】
次いで、排水構造11のうち凹部形成部112とは別の部位について説明する。排水構造11は、排水管12、異物捕集部13(
図11,12では不図示)、操作装置14(
図14参照)、伝達部材15、支持回動ユニット16及びカバー部17を備えている。
【0079】
排水管12は、上記第1実施形態における排水管2と同様の機能を備えるものであり、鍔部12a及び雄ねじ部12b(
図9等ではねじ形状を不図示)を具備している。そして、上記第1実施形態と同様、図示しない配管(例えば排水トラップ)を利用することで、排水管12が底部116に接続された状態となっている。尚、図示は省略するが、鍔部12a及び底部116間や配管12及び底部116間には、漏水防止のためのシール部材が設けられている。
【0080】
異物捕集部13は、凹部118に設置されて使用されるものであり、凹部118に流入した異物(ごみ等)を捕集する。異物捕集部13は、収容部13a及び載置鍔部13bを備えている。
【0081】
収容部13aは、内部に異物が集積される部位であり、多数の通水孔(不図示)が貫通形成された籠状をなしている。載置鍔部13bは、収容部13aにおける上端部から外側に突出する鍔状をなしている。
【0082】
本第2実施形態において、異物捕集部13は、通常、収容部13aが第二垂下部115の内側に収められつつ、載置鍔部13bが凹部形成部112(中間段部114)に載置された状態となることで、凹部118に設置されるようになっている。但し、異物捕集部13の清掃などを行う場合には、異物捕集部13を持ち上げて凹部118外へと移動させることで、凹部118の外へと異物捕集部13を取外可能である。
【0083】
操作装置14は、カバー部17を回動させる際の操作対象を備えた装置である。操作装置14は、
図14に示すように、カバー部17からやや離間した部位〔本実施形態では、キッチンのカウンタ119のうち、シンク110へと水を供給する吐水装置(不図示)の近傍部位〕に設置されている。操作装置14は、往復移動可能な棒状の操作部14aを備えている。
【0084】
操作部14aは、カバー部17を回動させる際において、すなわち、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換える際において、使用者による操作対象となる部位である。操作部14aの端部には伝達部材15が連結されており、操作部14aの往復移動に伴い伝達部材15が往復移動可能となっている。
【0085】
伝達部材15は、操作部14aに対する操作に伴い生じた駆動力(本第2実施形態では、操作部14aに加えられた操作力)をカバー部17側へと伝達する。伝達部材15は、例えば金属製のワイヤ等により構成されており、
図9に示すように、筒状のチューブ部材18の内周に往復移動可能な状態で配置されている。チューブ部材18の一端部は、支持回動ユニット16(後述するチューブ保持部材165)に取付けられている。一方、チューブ部材18の他端部は、操作装置14に取付けられている(
図14参照)。
【0086】
支持回動ユニット16は、カバー部17を回動可能な状態で支持しつつ、操作部14a(伝達部材15)側から加わる駆動力を利用してカバー部17を回動させるための機構である。支持回動ユニット16は、第一垂下部113のうち、キッチンの使用者から見て奥側に位置する部位(一辺)の中央部に設置されている(
図11参照)。支持回動ユニット16は、
図9~11に示すように、ケース部161、回動駆動部162、停止状態維持部163、末端伝達部164及びチューブ保持部材165を備えている。本実施形態において、回動駆動部162は「回動支持部」にも相当する。
【0087】
ケース部161は、回動駆動部162の中間部及び停止状態維持部163等を内部に収容するとともに、凹部形成部112に対する支持回動ユニット16の取付部として機能する。ケース部161は、凹部配置部161a及び取付孔配置部161bを備えている。
【0088】
凹部配置部161aは、回動駆動部162及び停止状態維持部163等を収容するとともに、凹部118に配置される部位である。凹部配置部161aには所定の貫通孔が形成されており、当該貫通孔を通して回動駆動部162の両端部がケース部161外に突出した状態となっている。
【0089】
取付孔配置部161bは、凹部配置部161aから突出形成された円筒状をなし、チューブ保持部材165を収容するとともに、取付孔113aに挿通配置される部位である。取付孔配置部161bの外周には所定の雄ねじが形成されている。そして、当該雄ねじを所定のナット部材166の内周に形成された雌ねじに螺合し、凹部配置部161a及び前記ナット部材166によって凹部形成部112を挟み込んだ状態とすることで、支持回動ユニット16が凹部形成部112に取付けられた状態となっている。尚、凹部配置部161a及び凹部形成部112間には、取付孔113aを通った漏水を防止するためのシール部材19が設けられている。
【0090】
回動駆動部162は、カバー部17を支持するとともに、操作部14aに対する操作により生じた駆動力(本第2実施形態では、操作部14aに加えられた操作力)が付与されることで回動する。回動駆動部162は、ケース部161(凹部配置部161a)によって回動可能な状態で支持されており、歯車部162a及び一対の連結部162bを備えている。
【0091】
歯車部162aは、回動駆動部162における長手方向中央部外周であって回動駆動部162の周方向に沿った一定の範囲に形成されている。本第2実施形態において、回動駆動部162における歯車部162aの形成された部位は、回動駆動部162における当該歯車部162aに隣接する部位よりも小径とされている。これは、末端伝達部164との相互作用によって、ケース部161からの回動駆動部162の抜止めを図るためである。
【0092】
連結部162bは、回動駆動部162における長手方向端部に形成されており、上記第1実施形態と同様に、回動駆動部162の回動軸方向に沿って見たとき、平行な二辺とこれら二辺を繋ぐ2つの円弧とを備えた形状をなしている。連結部162bは、カバー部17と連結されている。これにより、回動駆動部162の回動に伴い、カバー部17が回動する。
【0093】
停止状態維持部163は、回動駆動部162が極めて容易に回動することを防止して、回動駆動部162ひいてはカバー部17を停止状態で維持するための部位である。本第2実施形態において、停止状態維持部163は、樹脂やゴム等からなり、回動駆動部162の外周に取付けられた複数(2つ)のOリングにより構成されている。停止状態維持部163は、ケース部161及び回動駆動部162で挟み込まれた状態となっており、ケース部161等との間で生じる摩擦力を利用して、回動駆動部162及びカバー部17を任意の回動角度にて停止状態で維持する。
【0094】
尚、本第2実施形態では、カバー部17の停止状態をより確実に維持すべく、Oリングが用いられているが、回動駆動部162やカバー部17の回動に係る円滑性を重視する場合には、Xリングを用いてもよい。本第2実施形態において、停止状態維持部163は、カバー部17を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能な「非カバー状態維持手段」に相当する。
【0095】
また、本第2実施形態において、停止状態維持部163は、取付孔配置部161b内に対する水の浸入を防ぎ、当該取付孔配置部161bを通った漏水を防止する機能も備えている。
【0096】
末端伝達部164は、伝達部材15の端部に接続されており、伝達部材15を介して操作部14aから伝えられた駆動力(操作力)を回動駆動部162へと伝達する。末端伝達部164は、凹部配置部161a内において往復移動可能な状態で設置されており、伝達部材15の往復移動に伴い往復移動する。また、末端伝達部164は、その往復移動方向に沿って並んだ複数の歯を備えており、これら歯が歯車部162aに噛合されている。これにより、操作部14aを往復移動させることで、伝達部材15及び末端伝達部164が往復移動し、その結果、回動駆動部162が回動するようになっている。
【0097】
チューブ保持部材165は、チューブ部材18の一端部を保持しつつ、ケース部161に取付けられる部品である。チューブ保持部材165は、円筒状をなしており、自身の内周にてチューブ部材18を保持した状態で取付孔配置部161bの内周に挿通されている。尚、チューブ保持部材165は、取付孔配置部161bの端部に取付けられた所定の抜止部材167によって、取付孔配置部161bからの抜止めが図られた状態となっている。
【0098】
カバー部17は、凹部118を覆い、凹部118の全部又は大部分(本第2実施形態では、大部分)を外部から隠れた状態(視認不能又は視認困難な状態)とするための部品である。カバー部17は、
図12に示すように、カバー本体部171及び被連結部172を備えている。
【0099】
カバー本体部171は、矩形板状をなしており、上述した凹部118を隠す役割を主に担う部位である。尚、本第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、カバー本体部171に脚部は設けられていないが、勿論、カバー本体部171に脚部を設けてもよい。
【0100】
被連結部172は、カバー本体部171の端縁側中央部における裏面から一対突出形成されており、連結部162bが配置される連結用スリット172aを備えている。そして、連結用スリット172aに対し連結部162bが挿通されることにより、カバー部17が連結部162bに対し回動不能な状態で連結されている。これにより、カバー部17は、当該カバー部17の外縁側に位置する回動軸(本実施形態では、回動駆動部162の回動軸)にて回動可能に支持された状態となっている。
【0101】
また、本第2実施形態においても、連結用スリット172aから連結部162bが引き抜かれるようにカバー部17を移動させることで、特段の工具などを用いることなく、カバー部17を連結部162bから取外可能となっている。従って、カバー部17は、回動駆動部162に対し着脱自在となっている。
【0102】
さて、上記のように構成された排水構造11においては、操作部14aが復動(上動)させられることで、カバー部17が凹部118を覆う位置(凹部118の開口部をほぼ閉じる位置)に配置されて、当該凹部118の全部又は大部分を外部から隠れた状態である“カバー状態”(
図8参照)とすることができる。本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、“カバー状態”において、カバー本体部171のうち、支持回動ユニット16とは反対側に位置する外縁と、当該外縁に直交する平行な2つの外縁とが、第一垂下部113の内面に近接設置されるようになっており、凹部118を隠す機能がより効果的に発揮されるようになっている。
【0103】
また、“カバー状態”においては、カバー部17の表面と基部111の表面(特にカバー部17側に位置する面)とが略面一(ほぼ同じ高さ)となり、美観の向上が図られるようになっている(
図9,10参照)。
【0104】
さらに、“カバー状態”では、停止状態維持部163により、カバー部17が停止状態で維持されるようになっている。そして、“カバー状態”では、カバー部17と凹部形成部112とが接触しないように構成されている。
【0105】
加えて、“カバー状態”において、凹部118からカバー部17が取外不可となるように、回動駆動部162(連結部162b)や被連結部172(連結用スリット172a)が構成されている。
【0106】
一方、“カバー状態”においては、操作部14aを往動(下動)させることで、停止状態維持部163等で生じる摩擦力に抗して回動駆動部162が回動し、カバー部17は、その回動軸とは反対側の外縁が上昇するようにして回動する。その結果、凹部118を覆う状態が解除されて、“カバー状態”から、凹部118の全部又は大部分(本第2実施形態では大部分)が外部から視認可能な状態である“非カバー状態”(
図12,13参照)へと切換えることができる。尚、“非カバー状態”においても、停止状態維持部163により、カバー部17を停止状態で維持することができる。
【0107】
また、“非カバー状態”から“カバー状態”への切換えは、操作部14aを復動させて、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するようにカバー部17を回動させることで行うことができる。尚、カバー部17を直接操作することによっても、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることができる。
【0108】
加えて、本第2実施形態では、停止状態維持部163が設けられているため、操作部14aの停止位置ひいてはカバー部17の停止角度を調節することで、“非カバー状態”において、カバー部17を複数種類の回動角度にて停止状態で維持することが可能である。これにより、“非カバー状態”において、凹部形成部112及びカバー部17間に形成される隙間の開放程度を複数の異なる程度で保つことが可能である。特に本第2実施形態において、カバー部17の停止角度は段階的ではなく連続的に調節可能であり、前記開放程度を任意に調節可能となっている。また、本第2実施形態では、カバー部17を操作対象としてカバー部17の停止角度を調節することもできる。カバー部17を操作対象とすることで、カバー部17の停止角度をより細かく調節することが可能である。
【0109】
尚、本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、“カバー状態”及び“非カバー状態”の双方において(“カバー状態”及び“非カバー状態”のいずれであっても)、凹部118へと排水が流入可能となっている。つまり、カバー部17は、排水可能状態と排水不能状態とを切換えるといった機能を備えないものである。
【0110】
以上、本第2実施形態によれば、基本的には、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0111】
加えて、本第2実施形態では、操作部14aを操作することで、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えるにあたって、汚れや異物の付着しやすいカバー部17を直接触れずに済み、衛生性や安全性をより高めることができる。
【0112】
また、本第2実施形態によれば、停止状態維持部163によって、カバー部17を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能とされている。従って、凹部形成部112及びカバー部17間に形成される隙間の開放程度について、複数の異なる程度で保つことができる。これにより、例えば、若干の前記隙間が形成される状態でカバー部17を停止させることにより、凹部118が外部から多少視認可能となるもののカバー部17によって凹部118をある程度隠しつつ、凹部118へとごみ等や排水がより円滑に流れ込むようにすることや、美観をさほど損ねることなく、凹部118内を比較的乾燥しやすい状態で維持すること等が可能となる。そのため、“非カバー状態”におけるカバー部17の回動角度を調節不能な構成と比べて、排水構造11の使用方法に係る幅を広げることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。
【0113】
さらに、操作装置14(操作部14a)は、キッチンのカウンタ119に設けられているため、カバー部17を操作対象とする場合と比べて、“カバー状態”又は“非カバー状態”への切換えに係る操作性をより向上させることができる。また、操作装置14(操作部14a)は、キッチンのカウンタ119という通常排水の至らない部位に設けられているため、衛生性や安全性を一層高めることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図15に示すように、本第3実施形態において、異物捕集部13は、収容部13a及び載置鍔部13bに加えて、アーム部13cを備えている。
【0114】
アーム部13cは、U字状をなしており、収容部13aや載置鍔部13bに対し回動可能な状態で載置鍔部13bに取付けられている。但し、アーム部13cは、回動可能ではあるものの、水平に寝た状態とはならず、ある程度(例えば、水平面に対し30°程度)だけ起きた状態(
図15にて示す状態)でその回動が規制されるように構成されている。また、アーム部13cは、樹脂や金属からなる比較的細いものであって、弾性変形可能となっている。
【0115】
さらに、本第3実施形態において、カバー部17(カバー本体部171)の裏面には、係止部171aが設けられている。係止部171aは、カバー本体部171の裏面(凹部118側の面)から下方に向けて突出形成されており、先端部(下端部)に前記アーム部13cが係止される突起を備えている。尚、係止部171aは、“カバー状態”において、収容部13aよりも上方に配置され、収容部13a内に入らないように構成されている。
【0116】
そして、本第3実施形態においては、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるようにカバー部17を回動させることで、係止部171aの前記突起に係止されたアーム部13cが上動する。その結果、
図16,17に示すように、カバー部17に連動して異物捕集部13が持ち上げられた状態となり、持ち上げられた異物捕集部13は、凹部118から容易に取外可能な状態となる。本第3実施形態では、係止部171aによって、“非カバー状態”において異物捕集部13(アーム部13c)が係止されることで、当該異物捕集部13を持ち上げた状態で維持可能な「捕集部保持手段」が構成されている。
【0117】
加えて、本第3実施形態では、“非カバー状態”にて載置鍔部13bを中間段部114に載置し、凹部118に異物捕集部13を設置した状態(この状態では係止部171aにアーム部13cは係止されていない)において、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させたとき、アーム部13cや係止部171aが若干弾性変形して、アーム部13cへと係止部171a(前記突起)が自然と係止されるように構成されている。従って、例えば異物捕集部13の清掃後に、異物捕集部13を凹部118に設置し、その後、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させると、係止部171a(前記突起)へとアーム部13cが自然と係止される。そのため、次に“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させたときには、カバー部17に連動して異物捕集部13が持ち上げられることとなる。
【0118】
以上、本第3実施形態によれば、基本的には、上記第2実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0119】
加えて、本第3実施形態では、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるようにカバー部17を回動させることで、カバー部17に連動して異物捕集部13を上昇させて持ち上げられた状態とすることができる。従って、異物捕集部13に集積した異物の除去や異物捕集部13の清掃などを行うときにおいて異物捕集部13を凹部118の外へと取外したい場合、カバー部17を回動させて“非カバー状態”とする必要があるが、本第3実施形態では、“非カバー状態”となるようにカバー部17を回動させれば、自然と異物捕集部13を凹部118の外へと取外しやすい状態とすることができる。これにより、異物捕集部13の取外しが非常に容易となり、利便性をより一層向上させることができる。
【0120】
また、異物捕集部13を取外す際に、使用者が当該異物捕集部13の設置部位(本第3実施形態では中間段部114)やその周辺部に触れてしまうことをより確実に防止でき、より良好な衛生性や安全性を得ることができる。
【0121】
さらに、“非カバー状態”においては、係止部171aによって、異物捕集部13を持ち上げた状態(設置部位から浮かせた状態)で維持することができる。従って、カバー部17や凹部形成部112、異物捕集部13などを乾燥させたいときにおいて、カバー部4を“非カバー状態”として異物捕集部13を浮かせることで、これらを乾燥させることが容易に可能となる。また、異物捕集部13を排水構造11の周囲などに置いて乾燥させる場合には、異物捕集部13の置き場所を確保する必要があるが、本第3実施形態によれば、その必要がなくなるため、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0122】
さらに、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させたとき、係止部171a(前記突起)へとアーム部13cが自然と係止されるため、使用者が係止部171aへとアーム部13cを係止させる必要がなく、使用者にとっての利便性をより一層高めることができる。
【0123】
また、係止部171aは、“カバー状態”において、収容部13aよりも上方に配置され、収容部13a内に入らないようになっている。従って、係止部171aが収容部13aに貯留された異物と接触することをより確実に防止でき、衛生性や清掃性をより一層高めることができる。
【0124】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0125】
(a)上記第2実施形態で説明した、操作装置14や伝達部材15を用いてカバー部17を回動させる手法を、上記第1実施形態の構成に適用してもよい。例えば、
図18に示すように、回動駆動部32の歯車部32aに対し、伝達部材15に連結された末端伝達部35が噛合されるように構成し、操作部14aの操作に伴い伝達部材15及び末端伝達部35が往復移動することで、カバー部4が回動するように構成してもよい。尚、本例では、装置を設置するための取付孔104bが中間段部104に貫通形成されているところ、図示は省略するが、当該取付孔104bを通った漏水を防止するためのシール部材が別途設置されている。
【0126】
(b)上記実施形態においては、カバー部4,17を回動させる際の操作対象として、操作部33,14aが設けられているが、操作部を設けずに、カバー部自体がカバー部を回動させる際の操作対象となるように構成してもよい。
【0127】
(c)上記実施形態では記載していないが、カバー部4を押圧する度に“カバー状態”又は“非カバー状態”に切換わるように構成してもよい。例えば、
図19に示すように、ラック36、ばね37、係合歯38及び摺動歯39を設けることで、カバー部4を押圧する度に“カバー状態”又は“非カバー状態”に切換わるように構成してもよい。尚、本例における回動駆動部32は、上記第1実施形態とほぼ同様の構成を有するものであるが、切欠部32b,32cを備えないものである。また、本例において、回動規制機構34は設けられていない。
【0128】
ラック36は、ケース部31内にて往復移動可能に構成されるとともに、歯車部32aに噛合される。また、ラック36の外周には、外側に突出する一対の突部を有する環状部品であるリング36aが回転可能な状態で配置される。ばね37は、ラック36に対し往動(下動)方向に付勢力を付与する。係合歯38は、ラック36の往復移動方向に沿って延びる複数の突条が相互に間隔をあけつつ周方向に沿って複数設けられてなる。係合歯38の上端部は、リング36aの前記突起が係合可能とされており、また、各係合歯38(突条)の間隔は、リング36aの前記突起が通過可能な大きさとされている。摺動歯39は、ラック36が復動(上動)した際に、リング36aの前記突部と接触することで、リング36aを所定量だけ回転させる。
【0129】
この例において、“カバー状態”では、ばね37からラック36に加わる付勢力によってリング36aの前記突部が係合歯38の上端部に押し付けられて係合された状態とされる。これにより、ばね37から加わる付勢力に抗してカバー部4は回動が規制された状態でロックされる(
図19参照)。本例において、ばね37は、カバー部17に対し“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える方向の付勢力を付与するものであり、「付勢手段」に相当する。一方、係合歯38及びリング36aは、ばね37から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動が規制された状態でロックするものであり、「ロック手段」に相当する。
【0130】
そして、“カバー状態”において、カバー部4のうちその回動軸とは反対側に位置する表面が押圧されると、ラック36が若干だけ復動(上動)して、リング36aの前記突部が摺動歯39と接触する。これにより、リング36aが所定量だけ回転する。そして、カバー部4の表面に対する押圧が解除されると、リング36aが所定量だけ回転したことで、ばね37から付勢力によって、リング36aの前記突部が各係合歯38の間に落ち込んで、係合歯38及びリング36aによるカバー部4のロックが解除されるとともに、ラック36が往動(下動)する。その結果、回動駆動部32及びカバー部4が回動して、“非カバー状態”へと切換えられる(
図20参照)。従って、本例では、カバー部4をロックする手段(係合歯38及びリング36a)に直接触れることなく、当該手段によるカバー部4のロックを解除可能となっている。
【0131】
尚、“非カバー状態”においては、カバー部4の前記表面を押して“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることで、係合歯38及びリング36aによって、カバー部4がロックされて、“カバー状態”が維持されることとなる。
【0132】
上記例のような構成によれば、カバー部4がロックされるため、意図せずカバー部4が回動して、“カバー状態”が解除されるといった事態をより確実に防止することができる。
【0133】
また、カバー部4のロックを解除することで、ばね37から加わる付勢力によって、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、カバー部4に対し、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるための力を使用者が加えずに済む。これにより、“カバー状態”から“非カバー状態”へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0134】
さらに、カバー部4を押圧することによって、カバー部4をロックする手段に直接触れることなく、当該手段によるカバー部4のロックを解除することができる。従って、カバー部4のロック解除を比較的容易に行うことができる。
【0135】
(d)上記実施形態では、操作部33,14aに加えられた操作力によって回動駆動部32,162が回動するように構成されている。これに対し、モータ等の通電動作部を設けるとともに、操作部に対する操作を契機として、通電動作部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。
【0136】
また、ばね等の動力発生部を設けるとともに、操作部に対する操作を契機として、動力発生部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。この構成は、例えば、
図21,22に示すような支持回動ユニット6を用いて実現することができる。
【0137】
支持回動ユニット6は、ケース部61、回動駆動部62、ばねカバー63、動力発生部としてのコイルばね64及び押圧動作部65を備えている。ケース部61は、複数の部品を組み合わせることで構成されており、回動駆動部62における後述する連結部62a以外の部位やばねカバー63、コイルばね64を内部にて収容した状態で、凹部形成部102に取付けられている。本例において、ケース部61は、中間段部104に貫通形成された取付孔104bに挿通されつつ、その外周に所定のナット部材66が螺合されることで、凹部形成部102に取付けられている。尚、図示は省略するが、取付孔104bを通った漏水を防止するためのシール部材が別途設置されている。また、ケース部61の内部には、ばねカバー63やコイルばね64の一端部が取付けられる円柱状の一端側接続部61aが形成されている。
【0138】
回動駆動部62は、ケース部61によって回動可能な状態で支持されている。本例において、回動駆動部62は、その回動軸方向に沿って2つの部品が直列的に連結されることにより構成されている。また、本例では、回動駆動部62における一端部のみに、上記実施形態における連結部32d,162bと同様の構成を有する連結部62aが設けられており、当該連結部62aがカバー部4(一方の被連結部42)と連結されている。尚、カバー部4における他方の被連結部42は、ケース部61により支持されている。一方、回動駆動部62の他端部は、円柱状をなしており、ケース部61によって支持されている。さらに、回動駆動部62は、その径方向に沿ってその回動軸から前記一端側接続部61aとは反対側にずれた位置に、コイルばね64の他端部が取付けられる円柱状の他端側接続部62bを備えている。
【0139】
ばねカバー63は、コイルばね64の下方から側方にかけて設けられており、コイルばね64の中心軸と直交する断面においてL字状をなしている。ばねカバー63の一端部は、前記一端側接続部61aの中心軸を回動軸として、当該一端側接続部61aに対し回動可能な状態で取付けられている。
【0140】
コイルばね64は、一端部が一端側接続部61aに取付けられ、他端部が他端側接続部62bに取付けられており、自然長よりも伸長した状態で設置されている。“カバー状態”において、コイルばね64は、回動駆動部62の回動軸方向に見たときに、その中心軸が当該回動軸と重なるようになっている。これにより、“カバー状態”では、コイルばね64からの付勢力による回動駆動部62の回動が生じないようになっている。一方、回動駆動部62の回動軸方向に見たときに、コイルばね64の中心軸が当該回動軸からずれた状態となったときには、コイルばね64から回動駆動部62に加わる付勢力によって、当該回動駆動部62が回動し得る。
【0141】
押圧動作部65は、伝達部材15の端部が接続されており、伝達部材15の往復移動に伴い往復移動可能とされている。尚、本例において、伝達部材15は、上記第2実施形態と同様に、操作部14aの往復移動に伴い往復移動するものである。押圧動作部65は、その先端部によってばねカバー63を押圧して当該ばねカバー63を回動させる機能を有する。尚、押圧動作部65の外周には、漏水防止のためのシール部材65aが設けられている。
【0142】
上記のように構成された支持回動ユニット6は、次のように動作する。すなわち、“カバー状態”(
図21参照)において、操作部14aを操作して伝達部材15を往動させると、押圧動作部65が往動(上動)し、その結果、押圧動作部65によってばねカバー63が上方に向けて押圧される。これにより、ばねカバー63が一端側接続部61aを中心として回動する。また、ばねカバー63に押されるようにして、コイルばね64が同様に回動する。そして、コイルばね64の回動に伴い、回動駆動部62の回動軸方向に見たときに、コイルばね64の中心軸が当該回動軸からずれた状態となることで、コイルばね64からの付勢力によって回動駆動部62が回動する。その結果、回動駆動部62(連結部62a)に連結されたカバー部4が回動して、“カバー状態”から“非カバー状態”(
図23参照)へと切換えられる。
【0143】
一方、“非カバー状態”においては、カバー部4の表面を押圧して、コイルばね64から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動させることで、“非カバー状態”から“カバー状態”に切換えることができる。尚、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることで、ばねカバー63やコイルばね64、押圧動作部65等は元の状態に戻る。
【0144】
上記例のような構成によれば、操作部14aを利用して、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができるため、良好な衛生性や安全性を得ることができる。
【0145】
また、コイルばね64から加わる付勢力によって、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、カバー部4に対し、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるための力を使用者が加えずに済む。これにより、“カバー状態”から“非カバー状態”へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0146】
尚、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換える際において、カバー部4が所定位置を過ぎる前と、カバー部4が所定位置を過ぎた後とで、コイルばね64から加わる付勢力による回動駆動部62の動作(回動)方向が反転するように構成してもよい。そして、“カバー状態”において、カバー部4を“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える方向とは反対方向の付勢力が、コイルばね64から回動駆動部62へと加わるように構成してもよい。このように構成した場合には、“カバー状態”から“非カバー状態”へと容易に切換え可能としつつ、“カバー状態”をより確実に維持することができ、“非カバー状態”へと意図せず切換わることをより確実に防止できる。
【0147】
また、上記例では、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える際に、押圧動作部65の往動を契機として、主としてコイルばね64からの付勢力によってカバー部4が回動するように構成されているが、主として操作部14aに対する操作に伴い押圧動作部65からばねカバー63等を介して回動駆動部62に加わる力によってカバー部4が回動し、その際にコイルばね64がカバー部4をより容易に回動させるためのアシスト力を回動駆動部62へと付与する構成であってもよい。この場合には、操作部14aに加える操作力が比較的小さなものであっても、“カバー状態”から“非カバー状態”へと円滑に切換えることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0148】
(e)上記(d)で挙げた構成に代えて、例えば、
図24に示すような支持回動ユニット7及びロック機構8を用いることで、操作部に対する操作を契機として、ばね等の動力発生部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。より詳しくは、操作部に対する操作を契機としてロック機構8によるロックが解除されることで、動力発生部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。
【0149】
支持回動ユニット7は、ケース部71、回動駆動部72、ラック73、並びに、動力発生部及び「付勢手段」としてのコイルばね74を備えている。
【0150】
ケース部71は、回動駆動部72の一部及びラック73等を内部に収容した状態で、凹部形成部102に取付けられている。回動駆動部72は、上記第1実施形態の回動駆動部32とほぼ同様の構成を有するものであって歯車部72aを備えているが、上記第1実施形態と異なり、切欠部32b,32cを備えないものである(本例では、回動規制機構34も設けられていない)。回動駆動部72は、上記第1実施形態と同様の構造によって、カバー部4を回動可能な状態で支持している。ラック73は、ケース部71内にて往復移動可能な状態で設けられており、歯車部72aに噛合されている。ラック73の往復移動に伴いカバー部4が回動する。コイルばね74は、圧縮状態で設けられており、ラック73に対し往動(下動)方向の付勢力を付与する。これにより、カバー部4に対し、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える方向の付勢力が付与される。
【0151】
ロック機構8は、排水管2の中心軸を挟んで支持回動ユニット7と相対向する位置に設けられており、機構ケース部81及びスライドロック部82を備えている。
【0152】
機構ケース部81は、全体として円筒状をなしており、その一端部において径方向外側に突出形成された鍔部81aと、当該鍔部81aよりも他端側の外周に形成された雄ねじ部81bとを備えている。そして、第一垂下部103に貫通形成された取付孔103aに機構ケース部81を挿通しつつ、雄ねじ部81bを所定のナット部材83の内周に螺合し、鍔部21及びナット部材83により第一垂下部103を挟み込むことで、機構ケース部81ひいてはロック機構8が第一垂下部103に取付けられた状態となっている。尚、鍔部81a及び第一垂下部103間には環状のシール部材84が配置されており、当該シール部材84によって、取付孔103aを通った漏水の防止が図られている。
【0153】
スライドロック部82は、機構ケース部81内において水平方向に往復移動可能な状態で設置されている。スライドロック部82は、伝達部材15の端部が接続されており、伝達部材15の往復移動に伴い往復移動可能とされている。スライドロック部82の先端部には、環状のカバー被係止部82aが設けられている。カバー被係止部82aは、“カバー状態”において、カバー部4の裏面に突出形成されたロック用係止突部43が係止される部位である。カバー被係止部82aに対しロック用係止突部43が係止されることで、“カバー状態”において、コイルばね74から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動が規制された状態でロックすることができる。
【0154】
尚、本例において、伝達部材15は、上記第2実施形態と同様に、操作部14aの往復移動に伴い往復移動するものである。但し、本例において、伝達部材15には、図示しないばね等によって、スライドロック部82を復動させる(スライドロック部82を
図24における左方向に移動させる)ための力が付与されており、当該力が伝達部材15を介してスライドロック部82に対し付与されるようになっている。
【0155】
上記のように構成された支持回動ユニット7及びロック機構8は、次のように動作する。すなわち、“カバー状態”(
図24参照)において、操作部14aを操作(例えば押圧)して伝達部材15を往動させると、スライドロック部82が往動(
図24の右方向に移動)し、カバー被係止部82aに対するロック用係止突部43の係止が解除される。これにより、ロック機構8によるカバー部4のロックが解除される。従って、本例では、ロック機構8に直接触れることなく、ロック機構8によるカバー部4のロックが解除される。そして、ロック解除に伴い、コイルばね74からの付勢力によって、回動駆動部72及びカバー部4が回動して、“カバー状態”から“非カバー状態”(
図25参照)へと切換えられる。尚、操作部14aに対する操作が解除されると、上述した図示しないばね等から加わる力により、伝達部材15及びスライドロック部82等は、復動して元の位置に戻る。
【0156】
一方、“非カバー状態”においては、カバー部4の表面を押圧して、コイルばね64から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動させることで、“非カバー状態”から“カバー状態”に切換えられる。“カバー状態”に切換えると、カバー被係止部82aにロック用係止突部43が係止される。すなわち、ロック機構8によってカバー部4がロックされて、“カバー状態”が維持される。
【0157】
上記例のような構成によれば、上記(d)で例示した構成による作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、良好な衛生性や安全性を得ることができる。また、コイルばね74から加わる付勢力によって“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができるため、“カバー状態”から“非カバー状態”へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0158】
(f)上記実施形態において、“カバー状態”では、カバー部4,17と凹部形成部102,112とが接触しないように構成されている。これに対し、“カバー状態”において、カバー部の少なくとも一部が凹部形成部における所定部位(例えば中間段部)と接触し、当該部位によってカバー部が支持されるように構成してもよい。
【0159】
例えば、
図26,27(尚、
図27では、“カバー状態”としたときにおける回動駆動部62等を示す)に示すように、カバー部4(カバー本体部41)の四隅に脚部41aを設けるとともに、中間段部104の四隅に受け部104aを設け、“カバー状態”において脚部41aが受け部104aと接触し、凹部形成部102(受け部104a)によってカバー部4が支持されるように構成してもよい。勿論、これは一例であって、必ずしも脚部41a及び中間段部104(受け部104a)を設ける必要はなく、“カバー状態”においてカバー部の少なくとも一部が凹部形成部における所定部位と接触し、カバー部が支持される構成であればよい。
【0160】
尚、上記構成を実現するにあたっては、少なくとも“カバー状態”であるときに、カバー部4がこれを回動可能に支持する部位(本例では回動駆動部62)に対し上下方向に移動可能となり、かつ、当該部位から浮いた状態となるように構成することが好ましい(
図28参照)。このように構成することで、“カバー状態”としたときに、カバー部4(脚部41a)を凹部形成部102に対しより確実に接触させることができ、カバー部4をより安定した状態で支持することが可能となる。また、カバー部4が踏まれたとき等、カバー部4に下向きの負荷が加わったときに、カバー部4からこれを回動可能に支持する部位(回動駆動部62)へと負荷が伝わることを防止でき、当該部位の破損や変形をより確実に防ぐことができる。
【0161】
尚、
図28では、“カバー状態”において、回動駆動部62の回動軸方向に沿って見たとき、連結部62aにおける平行な二辺が鉛直方向に延びるように構成されているが、カバー部4がこれを回動可能に支持する部位に対し上下方向に移動可能となり、かつ、当該部位から浮いた状態となる限り、これら二辺の延びる方向を適宜変更してもよい。従って、例えば、前記二辺が鉛直方向に対し所定角度(例えば30度以下)だけ傾いた方向に延びるように構成してもよい(この構成において、カバー部4はこれを回動可能に支持する部位に対し斜め上下方向に移動可能となる)。尚、スリット42aの角度については、連結部62aの構成に合わせて適宜変更してもよい。
【0162】
(g)上記第2実施形態において、カバー部17の停止角度は連続的に調節可能に構成されているが、カバー部の停止角度を段階的に調節可能に構成してもよい。例えば、“非カバー状態”において、凹部形成部及びカバー部間に形成される隙間が比較的大きく開放した状態と、前記隙間が比較的小さく開放した状態とが選択可能となるように、カバー部の停止角度を二段階で調節可能に構成してもよい。この構成は、例えば、上記第1実施形態における回動駆動部32において、第一切欠部32b及び第二切欠部32c間に、これらと同様の切欠部を設けることで実現することができる。勿論、カバー部の停止角度を三段階以上の多段階で調節可能に構成してもよい。
【0163】
(h)上記実施形態において、カバー部4,17は、その外縁側における中央部にて回動可能に軸支されているが、軸支位置については限定されるものではなく、例えば、カバー部は、その外縁側における両端部にて回動可能に軸支されていてもよい。また、カバー部の形状は、凹部の形状などに合わせて適宜変更してもよい。
【0164】
(i)上記第3実施形態において、係止部171aは、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるようにカバー部17を回動させたときに、カバー部17に連動して異物捕集部13を持ち上げる機能を備えているが、このような機能を備えないものであってもよい。すなわち、係止部として、上記機能を備えず、“非カバー状態”において異物捕集部13が例えば手で持ち上げられて係止されることで、当該異物捕集部13を持ち上げた状態で維持可能なものを設けてもよい。
【0165】
(j)上記第3実施形態において、アーム部13cは、ある程度(例えば、水平面に対し30°程度)だけ起きた状態でその回動が規制されるように構成されている。これに対し、アーム部13cを一方側に回動させたときに、当該アーム部13cがある程度だけ起きた状態でその回動が規制される一方、アーム部13cを他方側に回動させたときに、一方側に回動させたときと比べて当該アーム部13cがより寝た状態(例えば水平に寝た状態)でその回動が規制されるように構成してもよい。このように構成した場合には、異物捕集部13の配置向きを変更することで、カバー部17に連動して異物捕集部13が持ち上げられる状態、又は、カバー部17に連動せず異物捕集部13が持ち上げられない状態へと任意に切換えることができる。すなわち、使用者は、異物捕集部13の配置向きを変更することだけで、上記各状態のうち使用者にとってより好ましい状態を選択することができ、この選択した状態で排水構造11を利用することができる。従って、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。
【0166】
(k)上記実施形態では、“カバー状態”において、カバー部4,17により凹部108,118の大部分が外部から隠れた状態となるように構成されているが、凹部の全部が外部から隠れた状態となるように構成してもよい。例えば、凹部の開口部よりも一回り大きなカバー部を凹部の外に配置しつつ、当該カバー部によって凹部の全部を覆うように構成してもよい。
【0167】
(l)上記実施形態では、設置対象部として、洗い場パン100及びシンク110を挙げているが、設置対象部はこれらに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽や洗面器などを設置対象部としてもよい。
【0168】
(m)上記実施形態における凹部形成部102,112の形状は一例であって、凹部形成部の形状を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0169】
1,11…排水構造、2,12…排水管、4,17…カバー部、8…ロック機構(ロック手段)、13…異物捕集部、14a,33…操作部、32,162…回動駆動部(回動支持部)、34…回動規制機構(非カバー状態維持手段)、36a…リング(ロック手段)、37…ばね(付勢手段)、38…係合歯(ロック手段)、74…コイルばね(付勢手段)、100…洗い場パン(設置対象部)、102,112…凹部形成部、110…シンク(設置対象部)、108,118…凹部、171a…係止部(捕集部保持手段)、163…停止状態維持部(非カバー状態維持手段)。
【手続補正書】
【提出日】2021-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口した凹部を形成するとともに、当該凹部に排水が流入可能に構成され、かつ、流入した排水の流れ込む排水管が底部に接続されてなる、所定の設置対象部に凹設された凹部形成部と、
前記凹部を覆う位置に配置されることで当該凹部の全部又は大部分が外部から隠れた状態であるカバー状態とすることが可能である一方、前記凹部を覆う状態が解除されることで前記凹部が外部から視認可能な状態である非カバー状態とすることが可能なカバー部とを備え、
前記カバー状態及び前記非カバー状態の双方において、前記凹部へと排水が流入可能に構成された排水構造であって、
前記カバー部は、当該カバー部の外縁側に位置する回動軸にて回動可能な状態で支持されており、
前記回動軸とは反対側の外縁が上昇するように前記カバー部が回動することで、前記カバー状態から前記非カバー状態に切換可能に構成されている一方、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するように前記カバー部が回動することで、前記非カバー状態から前記カバー状態に切換可能に構成されており、
前記非カバー状態であるときに前記カバー部を停止状態で維持可能な非カバー状態維持手段を備えることを特徴とする排水構造。
【請求項2】
前記非カバー状態維持手段は、前記カバー部を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水構造。
【請求項3】
前記カバー部に対し、前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換える方向の付勢力を付与する付勢手段と、
前記付勢手段から加わる付勢力に抗して前記カバー部を回動が規制された状態でロック可能なロック手段とを備え、
前記カバー部の表面を押して前記非カバー状態から前記カバー状態へと切換えることで、前記ロック手段によって前記カバー部がロックされて、前記カバー状態が維持されるように構成されるとともに、
前記ロック手段に直接触れることなく、当該ロック手段による前記カバー部のロックを解除可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水構造。
【請求項4】
前記カバー部とは別に設けられた、前記カバー状態又は前記非カバー状態へと切換える際に使用者による操作対象となる操作部と、
前記カバー部を支持するとともに、前記操作部に対する操作に伴い回動可能に構成された回動駆動部とを備え、
前記カバー部は、前記回動駆動部の回動に伴い回動するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水構造。
【請求項5】
前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換えるように前記カバー部を回動させることで、当該カバー部に連動して前記異物捕集部が持ち上げられた状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項6】
前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー部の裏面には、前記非カバー状態において前記異物捕集部が係止されることで、当該異物捕集部を持ち上げた状態で維持可能な捕集部保持手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項7】
前記カバー状態であるとき、前記カバー部と前記凹部形成部とが接触しないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の排水構造。
【請求項8】
前記回動軸にて回動可能であるとともに、前記カバー部を支持する回動支持部を備え、
前記カバー部は、前記回動支持部に対し着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の排水構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水が流れ込む凹部を隠すためのカバー部を有してなる排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の設置対象部〔例えば、浴室の洗い場パンや槽体(例えば、キッチンのシンク等)〕に対し、排水の流れ込む凹部を形成するとともに、当該凹部に対応して排水構造を設置することがある。
【0003】
このような排水構造は、前記凹部の全部又は大部分を外部から隠れた状態とすることが可能なカバー部(カバー部材)を備えている(例えば、特許文献1等参照)。カバー部を前記凹部における上側開口部に配置することで、凹部の全部又は大部分が外部から隠れた状態(カバー状態)となる。カバー状態においては、凹部に存在する汚れやごみ等の異物が使用者から視認不能又は視認困難となり、外観品質の向上が図られることになる。一方、前記凹部からカバー部を取外すことで、凹部の全部又は大部分が外部から視認可能な状態(非カバー状態)となる。非カバー状態においては、凹部に存在する異物を取除いたり、設置対象部における前記凹部を形成する部位を清掃したりすることが容易に可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような排水構造において、カバー状態又は非カバー状態に切換えるためには、カバー部を持ち上げて移動させつつ前記凹部に置いたり、カバー部を前記凹部から外した上で持ち上げて移動させたりする必要がある。そのため、カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換えることができず、使用者にとっての利便性が不十分となるおそれがある。また、非カバー状態としたときに、外されたカバー部が設置対象部やその周辺部分に置かれることで、カバー部の汚れや異物が当該カバー部の置かれた部分に付着して、衛生性や清掃性の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換可能であるとともに、衛生性や清掃性の向上を図ることができる排水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.上方に向けて開口した凹部を形成するとともに、当該凹部に排水が流入可能に構成され、かつ、流入した排水の流れ込む排水管が底部に接続されてなる、所定の設置対象部に凹設された凹部形成部と、
前記凹部を覆う位置に配置されることで当該凹部の全部又は大部分が外部から隠れた状態であるカバー状態とすることが可能である一方、前記凹部を覆う状態が解除されることで前記凹部が外部から視認可能な状態である非カバー状態とすることが可能なカバー部とを備え、
前記カバー状態及び前記非カバー状態の双方において、前記凹部へと排水が流入可能に構成された排水構造であって、
前記カバー部は、当該カバー部の外縁側に位置する回動軸にて回動可能な状態で支持されており、
前記回動軸とは反対側の外縁が上昇するように前記カバー部が回動することで、前記カバー状態から前記非カバー状態に切換可能に構成されている一方、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するように前記カバー部が回動することで、前記非カバー状態から前記カバー状態に切換可能に構成されており、
前記非カバー状態であるときに前記カバー部を停止状態で維持可能な非カバー状態維持手段を備えることを特徴とする排水構造。
【0009】
上記手段1によれば、カバー部は、その外縁側に位置する回動軸にて回動可能な状態で支持されている。そして、前記回動軸とは反対側の外縁が上昇するようにカバー部が回動することで、カバー状態から非カバー状態に切換わり、一方、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するようにカバー部が回動することで、非カバー状態からカバー状態に切換わるようになっている。このようにカバー部を回動させることでカバー状態又は非カバー状態へと切換わるため、カバー状態又は非カバー状態へと切換えるにあたって、カバー部を持ち上げて移動させつつ前記凹部に置いたり、カバー部を前記凹部から外した上で持ち上げて移動させたりする必要がなくなる。これにより、カバー状態又は非カバー状態へと容易に切換えることが可能となり、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0010】
また、上記手段1によれば、カバー状態又は非カバー状態へと切換えるにあたって、カバー部を外す必要はないから、外されたカバー部が設置対象部やその周辺部分に置かれることをより確実に防止できる。従って、カバー部における汚れや異物が当該カバー部の置かれた部分に付着するといった事態を抑えることができ、衛生性や清掃性の向上を図ることができる。
【0011】
さらに、上記手段1によれば、手などを使うことなく、非カバー状態維持手段によって、カバー部を停止状態で維持して、非カバー状態を保つことができる。従って、凹部に存在する異物を取除いたり、凹部形成部を清掃したりすること等をより容易に行うことが可能となり、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。
【0012】
手段2.前記非カバー状態維持手段は、前記カバー部を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水構造。
【0013】
上記手段2によれば、非カバー状態維持手段は、カバー部を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能とされている。従って、凹部形成部及びカバー部間に形成される隙間の開放程度について、複数の異なる程度で保つことができる。これにより、例えば、若干の前記隙間が形成される状態でカバー部を停止させることにより、凹部が外部から多少視認可能となるもののカバー部によって凹部をある程度隠しつつ、凹部へとごみ等や排水がより円滑に流れ込むようにすることや、美観をさほど損ねることなく、凹部内を比較的乾燥しやすい状態で維持すること等が可能となる。そのため、非カバー状態においてカバー部の回動角度を調節不能な構成と比べて、排水構造の使用方法に係る幅を広げることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。
【0014】
尚、カバー部の停止角度については、連続的に調節可能であってもよいし、段階的に調節可能であってもよい。
【0015】
手段3.前記カバー部に対し、前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換える方向の付勢力を付与する付勢手段と、
前記付勢手段から加わる付勢力に抗して前記カバー部を回動が規制された状態でロック可能なロック手段とを備え、
前記カバー部の表面を押して前記非カバー状態から前記カバー状態へと切換えることで、前記ロック手段によって前記カバー部がロックされて、前記カバー状態が維持されるように構成されるとともに、
前記ロック手段に直接触れることなく、当該ロック手段による前記カバー部のロックを解除可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の排水構造。
【0016】
上記手段3によれば、カバー部の表面を押して非カバー状態からカバー状態へと切換えることで、ロック手段によりカバー部をロックして、カバー状態を維持することができる。従って、意図せずカバー部が回動して、カバー状態が解除されるといった事態をより確実に防止することができる。
【0017】
また、上記手段3によれば、ロック手段によるカバー部のロックを解除することで、付勢手段から加わる付勢力によって、カバー状態から非カバー状態へと切換えることができる。従って、カバー部に対し、カバー状態から非カバー状態へと切換えるための力を使用者が加えずに済む。これにより、カバー状態から非カバー状態へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0018】
さらに、上記手段3によれば、例えばカバー部に所定の操作を加えること等によって、ロック手段に直接触れることなく、当該ロック手段によるカバー部のロックを解除することができる。従って、カバー部のロック解除を比較的容易に行うことができる。
【0019】
手段4.前記カバー部とは別に設けられた、前記カバー状態又は前記非カバー状態へと切換える際に使用者による操作対象となる操作部と、
前記カバー部を支持するとともに、前記操作部に対する操作に伴い回動可能に構成された回動駆動部とを備え、
前記カバー部は、前記回動駆動部の回動に伴い回動するように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の排水構造。
【0020】
尚、「前記操作部に対する操作に伴い回動可能に構成された回動駆動部」とあるのは、例えば、操作部に加えられた操作力によって回動するものや、操作部に対する操作を契機としてモータ等の通電動作部で生じた力によって回動するもの、操作部に対する操作を契機としてばね等の動力発生部で生じた力によって回動するもの等をいう。
【0021】
上記手段4によれば、操作部を操作することで回動駆動部が回動し、その結果、この回動駆動部に支持されたカバー部が回動して、カバー状態又は非カバー状態へと切換えられるようになっている。従って、カバー状態又は非カバー状態へと切換えるにあたって、汚れや異物の付着しやすいカバー部を直接触れずに済み、衛生性や安全性を高めることができる。また、操作部の設置位置を適切に設定することで、カバー部を操作対象とする場合と比べて、カバー状態又は非カバー状態への切換えに係る操作性をより向上させることができる。
【0022】
手段5.前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー状態から前記非カバー状態へと切換えるように前記カバー部を回動させることで、当該カバー部に連動して前記異物捕集部が持ち上げられた状態となるように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水構造。
【0023】
上記手段5によれば、カバー状態から非カバー状態へと切換えるようにカバー部を回動させることで、カバー部に連動して異物捕集部を上昇させて持ち上げられた状態とすることができる。従って、異物捕集部に集積した異物の除去や異物捕集部の清掃などを行うときにおいて異物捕集部を凹部の外へと取外したい場合には、カバー部を回動させて非カバー状態とする必要があるが、上記手段5によれば、非カバー状態となるようにカバー部を回動させれば、自然と異物捕集部を凹部の外へと取外しやすい状態とすることができる。これにより、異物捕集部の取外しが非常に容易となり、利便性をより一層向上させることができる。
【0024】
また、異物捕集部を取外す際に、使用者が当該異物捕集部の設置部位(載置部位)やその周辺部に触れてしまうことをより確実に防止でき、より良好な衛生性や安全性を得ることができる。
【0025】
さらに、カバー部を非カバー状態で維持することにより、異物捕集部を持ち上げた状態(設置部位から浮かせた状態)で維持することができる。従って、カバー部や凹部形成部、異物捕集部などを乾燥させたいときにおいて、カバー部を非カバー状態として異物捕集部を浮かせることで、これらを乾燥させることが容易に可能となる。また、異物捕集部を排水構造の周囲などに置いて乾燥させる場合には、異物捕集部の置き場所を確保する必要があるが、上記手段5によれば、その必要がなくなるため、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0026】
手段6.前記凹部に流入した異物を捕集可能であるとともに、前記凹部の外に取外可能に構成された異物捕集部を備え、
前記カバー部の裏面には、前記非カバー状態において前記異物捕集部が係止されることで、当該異物捕集部を持ち上げた状態で維持可能な捕集部保持手段が設けられることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水構造。
【0027】
上記手段6によれば、捕集部保持手段により、異物捕集部を持ち上げた状態(設置部位から浮かせた状態)で維持することができる。従って、カバー部や凹部形成部、異物捕集部などを乾燥させたいときにおいて、カバー部を非カバー状態としつつ異物捕集部を浮かせることで、これらを乾燥させることが容易に可能となる。
【0028】
また、異物捕集部を排水構造の周囲などに置いて乾燥させる場合には、異物捕集部の置き場所を確保する必要があるが、上記手段6によれば、その必要がなくなるため、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0029】
手段7.前記カバー状態であるとき、前記カバー部と前記凹部形成部とが接触しないように構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の排水構造。
【0030】
従来のカバー部は、通常、カバー状態において、所定部分(例えば四隅に形成された脚部)が凹部形成部と接触することで、当該凹部形成部により支持された状態で設置されている。しかしながら、このような設置状態では、カバー部と凹部形成部との接触部に異物が引っ掛かって留まりやすくなる。そのため、清掃時などにおいて、使用者がこの異物に対する処理を別途行う手間が生じてしまい、利便性の低下を招くおそれがある。
【0031】
この点、上記手段7によれば、カバー状態においてカバー部と凹部形成部とが接触しないため、上記のように異物が留まるといった事態をより確実に防止できる。その結果、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。
【0032】
また、上記手段7によれば、排水の流れ阻害を生じにくくすることができ、より良好な排水性能を得ることができる。
【0033】
手段8.前記回動軸にて回動可能であるとともに、前記カバー部を支持する回動支持部を備え、
前記カバー部は、前記回動支持部に対し着脱自在に構成されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の排水構造。
【0034】
上記手段8によれば、カバー部は回動支持部に対し着脱自在とされている。従って、回動支持部からカバー部を取外して、カバー部を単体の状態で清掃することができ、利便性を一層向上させることができる。また、仮にカバー部に破損などが生じたときには、破損等に対する対応処理(例えばカバー部の修理や交換作業)をより容易なものとすることができる。さらに、排水構造の周囲環境や使用者のニーズなどに合わせて、色やデザイン等の異なるカバー部を適宜変更して利用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態において、“カバー状態”における排水構造の斜視図である。
【
図4】第1実施形態において、カバー部を取外した状態における排水構造の斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、“非カバー状態”における排水構造の斜視図である。
【
図6】第1実施形態において、“非カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図7】第1実施形態において、“非カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図8】第2実施形態において、“カバー状態”における排水構造の斜視図である。
【
図11】第2実施形態において、カバー部を取外した状態における排水構造の斜視図である。
【
図12】第2実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の斜視図である。
【
図13】第2実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図14】第2実施形態における操作装置の断面図である。
【
図15】第3実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図16】第3実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の斜視図である。
【
図17】第3実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図18】別の実施形態における排水構造の断面図である。
【
図19】別の実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図20】別の実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図21】別の実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図22】別の実施形態において、支持回動ユニットのみを示す
図21のN―N線断面図である。
【
図23】別の実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図24】別の実施形態において、“カバー状態”における排水構造の断面図である。
【
図25】別の実施形態において、“非カバー状態”の排水構造の断面図である。
【
図26】別の実施形態におけるカバー部の斜視図である。
【
図27】別の実施形態における凹部形成部等の斜視図である。
【
図28】別の実施形態における回動駆動部やカバー部等を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、排水構造1は、設置対象部としての浴室の洗い場パン100(以下、単に「洗い場パン100」という)に設けられている。排水構造1は、後述するカバー部4等に加えて、洗い場パン100に形成された凹部形成部102を備えている。ここでは、まず、洗い場パン100の構成について説明する。
【0037】
洗い場パン100は、
図2,3に示すように、床基部101及び凹部形成部102を備えている。床基部101は、浴室における洗い場床部の大部分を構成する部位である。図示は省略するが、床基部101の上面の大部分には、凹部形成部102に向けて徐々に下がる緩やかな傾斜が設けられている。
【0038】
凹部形成部102は、浴槽(図示せず)と隣接する位置にて凹設されており、第一垂下部103、中間段部104、第二垂下部105及び底部106を備えている。
【0039】
第一垂下部103は、床基部101から垂下しており、全体として平面視矩形状の環状をなしている。中間段部104は、第一垂下部103の下端部からほぼ水平方向に突出している。中間段部104の少なくとも一部における上面は、後述する排水管2側に向けて排水を円滑に流すために、排水管2側に向けて徐々に下がる形状をなしている。また、中間段部104のうち前記浴槽とは反対側に位置する二隅には、平坦面状の受け部104aが形成されている。
【0040】
第二垂下部105は、中間段部104の内周部から下方に向けて垂下しており、円筒状をなしている。底部106は、凹部形成部102の底を構成する部位であり、第二垂下部105の下端部から水平方向に突出している。また、底部106の中央部には、排水口107が鉛直方向に貫通形成されている。
【0041】
加えて、第一垂下部103、中間段部104、第二垂下部105及び底部106で囲まれた凹部形成部102の内部空間によって、上方に向けて開口した凹部108が形成されている。そして、上述の通り、床基部101に前記傾斜が設けられていることにより、排水は凹部108に自然と流入するようになっている。
【0042】
次いで、排水構造1のうち凹部形成部102とは別の部位について説明する。排水構造1は、排水管2、操作支持ユニット3及びカバー部4を備えている。
【0043】
排水管2は、凹部108に流入した排水の流出路として機能する部品である。排水管2は、全体として円筒状をなしており、その一端部(上端部)において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下方の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。そして、排水口107に排水管2を挿通しつつ雄ねじ部22を図示しない所定の配管(例えば排水トラップ)に螺合し、鍔部21及び前記配管により底部106を挟み込むことで、排水管2が底部106に接続された状態となっている。
【0044】
尚、本実施形態において、鍔部21及び底部106間には、弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材5が配置されている。当該シール部材5によって、排水管2及び底部106間からの漏水防止が図られている。また、鍔部21の外周面は、第二垂下部105に対しほぼ隙間のない状態で近接配置されており、その結果、鍔部21及び第二垂下部105間における異物や汚れの付着防止が図られている。
【0045】
操作支持ユニット3は、カバー部4を動作させる際の操作対象を備えるとともに、カバー部4の支持部として機能する機構である。操作支持ユニット3は、中間段部104上であって第一垂下部103のうち前記浴槽側に位置する部位(一辺)の中央部に隣接配置されている(
図4参照)。操作支持ユニット3は、
図2~4に示すように、ケース部31、回動駆動部32、操作部33及び回動規制機構34を備えている。本実施形態において、回動駆動部32は「回動支持部」にも相当する。
【0046】
ケース部31は、回動駆動部32の中間部、操作部33及び回動規制機構34を内部に収容するとともに、凹部形成部102に対する操作支持ユニット3の取付部として機能する。ケース部31は、例えばねじ止め等の既知の取付手法を用いて、凹部形成部102に取付けられている(但し、この取付手法に関する部分は不図示)。ケース部31は、回動駆動部32の両端部や後述する被押圧部33bをケース部31外に露出させるための複数の孔部を備えるとともに、回動駆動部32を回動可能な状態で支持している。
【0047】
回動駆動部32は、カバー部4を支持するとともに、操作部33に対する操作により生じた駆動力(本実施形態では、操作部33に加えられた操作力)が付与されることで回動する。回動駆動部32は、全体として円柱状をなしており、その両端部がケース部31外に突出した状態で設置されている。
【0048】
回動駆動部32は、歯車部32a、第一切欠部32b、第二切欠部32c及び一対の連結部32dを備えている。歯車部32aは、回動駆動部32における長手方向中央部外周であって回動駆動部32の周方向に沿った一定の範囲に形成されており、ケース部31内に配置されている。
【0049】
第一切欠部32b及び第二切欠部32cは、回動駆動部32のうち当該回動駆動部32の回動軸方向に沿って歯車部32aから若干ずれた位置に形成されている。第一切欠部32b及び第二切欠部32cは、回動駆動部32の周方向に沿って所定距離だけ離れた位置にそれぞれ存在している。
【0050】
連結部32dは、回動駆動部32における長手方向端部に形成されており、回動駆動部32の回動軸方向に沿って見たとき、平行な二辺とこれら二辺を繋ぐ2つの円弧とを備えた形状をなしている。連結部32dは、カバー部4と連結されている。これにより、回動駆動部32の回動に伴い、カバー部4が回動するようになっている。
【0051】
操作部33は、カバー部4を回動させる際において、すなわち、後述する“非カバー状態”へと切換える際において、使用者による操作対象として機能するとともに、加えられた操作力を回動駆動部32へと伝える役割を有する。操作部33は、カバー部4とは別に設けられており、上下方向に往復移動可能な状態でケース部31内に挿通設置されている。操作部33は、ラック構成部33a及び被押圧部33bを備えている。
【0052】
ラック構成部33aは、操作部33の往復移動方向に沿って並んだ複数の歯を備えており、歯車部32aに噛合されている。
【0053】
被押圧部33bは、操作部33におけるその往復移動方向に沿った一端面(上面)により構成されており、ケース部31の上面に露出している。被押圧部33bは、カバー部4を回動させる際において、使用者によって押圧操作される部位であり、被押圧部33bを押圧することで操作部33が往動(下動)し、その結果、回動駆動部32が回動する。
【0054】
回動規制機構34は、それぞれ後述する“カバー状態”及び“非カバー状態”において、カバー部4を停止状態で維持するための機構である。本実施形態では、回動規制機構34が「非カバー状態維持手段」を構成する。回動規制機構34は、ピン34a及びピン押圧ばね34bを備えている。
【0055】
ピン34aは、ケース部31内にて往復移動可能な状態で設置されており、先端部が前記切欠部32b,32cに配置可能に構成されている。ピン押圧ばね34bは、圧縮状態で設けられており、回動駆動部32の外周に向けてピン34aを押し付けるためのものである。
【0056】
カバー部4は、凹部108を覆い、凹部108の全部又は大部分(本実施形態では、大部分)を外部から隠れた状態(視認不能又は視認困難な状態)とするための部品である。カバー部4は、
図5に示すように、カバー本体部41及び被連結部42を備えている。
【0057】
カバー本体部41は、矩形板状をなしており、上述した凹部108を隠す役割を主に担う部位である。カバー本体部41の裏面(凹部108側に位置する面)であって後述するカバー部4の回動軸とは反対側に位置する部位には、一対の脚部41aが突出形成されている。
【0058】
被連結部42は、カバー本体部41の端縁側中央部における裏面から一対突出形成されており、連結部32dが配置される連結用スリット42aを備えている。そして、連結用スリット42aに対し連結部32dが挿通されることにより、カバー部4が連結部32dに対し回動不能な状態で連結されている。これにより、カバー部4は、当該カバー部4の外縁側に位置する回動軸(本実施形態では、回動駆動部32の回動軸)にて回動可能に支持された状態となっている。
【0059】
また、本実施形態では、連結用スリット42aから連結部32dが引き抜かれるようにカバー部4を移動させることで、特段の工具などを用いることなく、カバー部4を連結部32dから取外可能となっている。従って、カバー部4は、回動駆動部32に対し着脱自在となっている。尚、カバー部4を取外すことで、カバー部4や凹部形成部102の清掃等を容易に行うことが可能である。
【0060】
さて、上述した排水構造1においては、カバー部4が凹部108を覆う位置(凹部108の開口部を閉じる位置)に配置されることで、当該凹部108の全部又は大部分が外部から隠れた状態である“カバー状態”(
図1~3参照)とすることができる。本実施形態では、“カバー状態”において、カバー本体部41のうち、操作支持ユニット3とは反対側に位置する外縁と、当該外縁と直交する平行な2つの外縁とが、第一垂下部103の内面に近接設置されるようになっており、凹部108を隠す機能がより効果的に発揮されるようになっている。
【0061】
また、“カバー状態”においては、カバー部4の表面と床基部101の表面(特にカバー部4側に位置する面)とが略面一(ほぼ同じ高さ)となり、美観の向上が図られるとともに、浴室を利用する使用者にとってカバー部4が邪魔にならないように構成されている(
図2,3参照)。
【0062】
さらに、“カバー状態”では、第一切欠部32bにロックピン34aの先端部が配置された状態となることで、回動駆動部32ひいてはカバー部4の回動が規制され、カバー部4が停止状態で維持されるようになっている。そして、“カバー状態”では、カバー部4と凹部形成部102とが接触しない状態となる。尚、本実施形態では、“非カバー状態”においても、カバー部4と凹部形成部102とが接触しない状態となる。但し、本実施形態では、“カバー状態”において、カバー部4を踏み付けたりカバー部4に重量物を載置したりすること等により、カバー部4に対し下向きの大きな力が加わった場合には、カバー部4が僅かに回動して、中間段部104(受け部104a)へと脚部41aが接触する。これにより、カバー部4における被支持部分側や回動駆動部32に加わる負荷の軽減が図られ、カバー部4等における破損や変形をより確実に防止可能となっている。
【0063】
一方、“カバー状態”においては、被押圧部33bを押圧することで、第一切欠部32bからロックピン34aの先端部が外れるとともに、カバー部4がその回動軸とは反対側の外縁を上昇させるようにして回動し、その結果、凹部108を覆う状態が解除される。これにより、“カバー状態”から、凹部108の全部又は大部分(本実施形態では大部分)が外部から視認可能な状態である“非カバー状態”(
図5~7参照)へと切換えることができる。そして、“非カバー状態”では、第二切欠部32cにロックピン34aの先端部が配置された状態となることで、回動駆動部32ひいてはカバー部4の回動が規制され、カバー部4が停止状態で維持されることとなる。
【0064】
また、本実施形態では、“カバー状態”において、凹部108からカバー部4が取外不可となるように、回動駆動部32(連結部32d)や被連結部42(連結用スリット42a)が構成されている。
【0065】
尚、本実施形態では、例えばカバー部4の表面を押すこと等により、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するようにカバー部4を回動させることで、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることが可能である。
【0066】
また、本実施形態では、“カバー状態”及び“非カバー状態”の双方において(“カバー状態”及び“非カバー状態”のいずれであっても)、凹部108へと排水が流入可能となっている。つまり、カバー部4は、浴槽などに設けられる栓蓋と異なり、排水可能状態と排水不能状態とを切換えるといった機能を備えないものである。
【0067】
以上詳述したように、本実施形態によれば、カバー部4を回動させることで“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えることができる。そのため、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えるにあたって、カバー部4を持ち上げて移動させつつ凹部108に置いたり、カバー部4を凹部108から外した上で持ち上げて移動させたりする必要がなくなる。これにより、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと容易に切換えることが可能となり、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0068】
また、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えるにあたって、カバー部4を外す必要はないから、外されたカバー部4が洗い場パン100やその周辺部分に置かれることをより確実に防止できる。従って、カバー部4における汚れや異物が当該カバー部4の置かれた部分に付着するといった事態を抑えることができ、衛生性や清掃性の向上を図ることができる。
【0069】
加えて、回動規制機構34によって、手などを使うことなく、カバー部4を停止状態で維持して、“非カバー状態”を保つことができる。従って、凹部108に存在する異物を取除いたり、凹部形成部102を清掃したりすること等をより容易に行うことが可能となり、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。
【0070】
さらに、操作部33を操作することで、“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、“非カバー状態”へと切換えるにあたって、汚れや異物の付着しやすいカバー部4を直接触れずに済み、衛生性や安全性を高めることができる。
【0071】
また、“カバー状態”においてカバー部4と凹部形成部102とが接触しないため、カバー部4と凹部接触部102との接触部に異物が引っ掛かって留まるといった事態をより確実に防止できる。その結果、清掃時などにおいて、このような異物を別途取除く手間がなくなり、使用者にとっての利便性を一層高めることができる。さらに、排水の流れ阻害を生じにくくすることができ、より良好な排水性能を得ることができる。
【0072】
加えて、カバー部4は回動駆動部32に対し着脱自在とされている。従って、回動駆動部32からカバー部4を取外して、カバー部4を単体の状態で清掃することができ、利便性を一層向上させることができる。また、仮にカバー部4に破損などが生じたときには、破損等に対する対応処理(例えばカバー部4の修理や交換作業)をより容易なものとすることができる。さらに、排水構造1の周囲環境や使用者のニーズなどに合わせて、色やデザイン等の異なるカバー部4を適宜変更して利用することも可能となる。
【0073】
併せて、“カバー状態”において凹部108からカバー部4が取外不可とされるため、排水等の影響によってカバー部4が浮いて凹部108から外れることを防止できる。また、凹部108からの外れ防止のためにカバー部4の重量を増大させる必要がなくなり、カバー部4の軽量化を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について説明する。本第2実施形態において、排水構造11は、
図8に示すように、設置対象部としてのキッチンのシンク110(以下、単に「シンク110」という)に設けられている。排水構造11は、後述するカバー部17等に加えて、シンク110に形成された凹部形成部112を備えている。ここでは、まず、シンク110の構成について説明する。
【0074】
シンク110は、基部111及び凹部形成部112を備えている。基部111は、シンク110の底部の大部分を構成する部位である。図示は省略するが、基部111の上面の大部分には、凹部形成部112に向けて徐々に下がる緩やかな傾斜が設けられている。
【0075】
凹部形成部112は、
図9に示すように、第一垂下部113、中間段部114、第二垂下部115及び底部116を備えている。第一垂下部113、中間段部114、第二垂下部115及び底部116は、上記第1実施形態における第一垂下部103、中間段部104、第二垂下部105及び底部106とほぼ同様の構成を有している。但し、本第2実施形態では、第一垂下部113に対し、後述する支持回動ユニット16を設置するための取付孔113aが貫通形成されている。また、第一垂下部113における中間段部114の二隅に対応する部位には、“カバー状態”において後述するカバー部17に対し下向きの大きな力が加わり当該カバー部17が僅かに回動した場合に、当該カバー部17と接触してこれを支持する受け部113bが形成されている。
【0076】
そして、第一垂下部113、中間段部114、第二垂下部115及び底部116によって、上方に開口する凹部118が形成されており、上述の通り、基部111に前記傾斜が設けられていることによって、排水は凹部118に自然と流入するようになっている。また、底部116には、上記第1実施形態と同様に、排水口117が貫通形成されている。
【0077】
次いで、排水構造11のうち凹部形成部112とは別の部位について説明する。排水構造11は、排水管12、異物捕集部13(
図11,12では不図示)、操作装置14(
図14参照)、伝達部材15、支持回動ユニット16及びカバー部17を備えている。
【0078】
排水管12は、上記第1実施形態における排水管2と同様の機能を備えるものであり、鍔部12a及び雄ねじ部12b(
図9等ではねじ形状を不図示)を具備している。そして、上記第1実施形態と同様、図示しない配管(例えば排水トラップ)を利用することで、排水管12が底部116に接続された状態となっている。尚、図示は省略するが、鍔部12a及び底部116間や配管12及び底部116間には、漏水防止のためのシール部材が設けられている。
【0079】
異物捕集部13は、凹部118に設置されて使用されるものであり、凹部118に流入した異物(ごみ等)を捕集する。異物捕集部13は、収容部13a及び載置鍔部13bを備えている。
【0080】
収容部13aは、内部に異物が集積される部位であり、多数の通水孔(不図示)が貫通形成された籠状をなしている。載置鍔部13bは、収容部13aにおける上端部から外側に突出する鍔状をなしている。
【0081】
本第2実施形態において、異物捕集部13は、通常、収容部13aが第二垂下部115の内側に収められつつ、載置鍔部13bが凹部形成部112(中間段部114)に載置された状態となることで、凹部118に設置されるようになっている。但し、異物捕集部13の清掃などを行う場合には、異物捕集部13を持ち上げて凹部118外へと移動させることで、凹部118の外へと異物捕集部13を取外可能である。
【0082】
操作装置14は、カバー部17を回動させる際の操作対象を備えた装置である。操作装置14は、
図14に示すように、カバー部17からやや離間した部位〔本実施形態では、キッチンのカウンタ119のうち、シンク110へと水を供給する吐水装置(不図示)の近傍部位〕に設置されている。操作装置14は、往復移動可能な棒状の操作部14aを備えている。
【0083】
操作部14aは、カバー部17を回動させる際において、すなわち、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換える際において、使用者による操作対象となる部位である。操作部14aの端部には伝達部材15が連結されており、操作部14aの往復移動に伴い伝達部材15が往復移動可能となっている。
【0084】
伝達部材15は、操作部14aに対する操作に伴い生じた駆動力(本第2実施形態では、操作部14aに加えられた操作力)をカバー部17側へと伝達する。伝達部材15は、例えば金属製のワイヤ等により構成されており、
図9に示すように、筒状のチューブ部材18の内周に往復移動可能な状態で配置されている。チューブ部材18の一端部は、支持回動ユニット16(後述するチューブ保持部材165)に取付けられている。一方、チューブ部材18の他端部は、操作装置14に取付けられている(
図14参照)。
【0085】
支持回動ユニット16は、カバー部17を回動可能な状態で支持しつつ、操作部14a(伝達部材15)側から加わる駆動力を利用してカバー部17を回動させるための機構である。支持回動ユニット16は、第一垂下部113のうち、キッチンの使用者から見て奥側に位置する部位(一辺)の中央部に設置されている(
図11参照)。支持回動ユニット16は、
図9~11に示すように、ケース部161、回動駆動部162、停止状態維持部163、末端伝達部164及びチューブ保持部材165を備えている。本実施形態において、回動駆動部162は「回動支持部」にも相当する。
【0086】
ケース部161は、回動駆動部162の中間部及び停止状態維持部163等を内部に収容するとともに、凹部形成部112に対する支持回動ユニット16の取付部として機能する。ケース部161は、凹部配置部161a及び取付孔配置部161bを備えている。
【0087】
凹部配置部161aは、回動駆動部162及び停止状態維持部163等を収容するとともに、凹部118に配置される部位である。凹部配置部161aには所定の貫通孔が形成されており、当該貫通孔を通して回動駆動部162の両端部がケース部161外に突出した状態となっている。
【0088】
取付孔配置部161bは、凹部配置部161aから突出形成された円筒状をなし、チューブ保持部材165を収容するとともに、取付孔113aに挿通配置される部位である。取付孔配置部161bの外周には所定の雄ねじが形成されている。そして、当該雄ねじを所定のナット部材166の内周に形成された雌ねじに螺合し、凹部配置部161a及び前記ナット部材166によって凹部形成部112を挟み込んだ状態とすることで、支持回動ユニット16が凹部形成部112に取付けられた状態となっている。尚、凹部配置部161a及び凹部形成部112間には、取付孔113aを通った漏水を防止するためのシール部材19が設けられている。
【0089】
回動駆動部162は、カバー部17を支持するとともに、操作部14aに対する操作により生じた駆動力(本第2実施形態では、操作部14aに加えられた操作力)が付与されることで回動する。回動駆動部162は、ケース部161(凹部配置部161a)によって回動可能な状態で支持されており、歯車部162a及び一対の連結部162bを備えている。
【0090】
歯車部162aは、回動駆動部162における長手方向中央部外周であって回動駆動部162の周方向に沿った一定の範囲に形成されている。本第2実施形態において、回動駆動部162における歯車部162aの形成された部位は、回動駆動部162における当該歯車部162aに隣接する部位よりも小径とされている。これは、末端伝達部164との相互作用によって、ケース部161からの回動駆動部162の抜止めを図るためである。
【0091】
連結部162bは、回動駆動部162における長手方向端部に形成されており、上記第1実施形態と同様に、回動駆動部162の回動軸方向に沿って見たとき、平行な二辺とこれら二辺を繋ぐ2つの円弧とを備えた形状をなしている。連結部162bは、カバー部17と連結されている。これにより、回動駆動部162の回動に伴い、カバー部17が回動する。
【0092】
停止状態維持部163は、回動駆動部162が極めて容易に回動することを防止して、回動駆動部162ひいてはカバー部17を停止状態で維持するための部位である。本第2実施形態において、停止状態維持部163は、樹脂やゴム等からなり、回動駆動部162の外周に取付けられた複数(2つ)のOリングにより構成されている。停止状態維持部163は、ケース部161及び回動駆動部162で挟み込まれた状態となっており、ケース部161等との間で生じる摩擦力を利用して、回動駆動部162及びカバー部17を任意の回動角度にて停止状態で維持する。
【0093】
尚、本第2実施形態では、カバー部17の停止状態をより確実に維持すべく、Oリングが用いられているが、回動駆動部162やカバー部17の回動に係る円滑性を重視する場合には、Xリングを用いてもよい。本第2実施形態において、停止状態維持部163は、カバー部17を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能な「非カバー状態維持手段」に相当する。
【0094】
また、本第2実施形態において、停止状態維持部163は、取付孔配置部161b内に対する水の浸入を防ぎ、当該取付孔配置部161bを通った漏水を防止する機能も備えている。
【0095】
末端伝達部164は、伝達部材15の端部に接続されており、伝達部材15を介して操作部14aから伝えられた駆動力(操作力)を回動駆動部162へと伝達する。末端伝達部164は、凹部配置部161a内において往復移動可能な状態で設置されており、伝達部材15の往復移動に伴い往復移動する。また、末端伝達部164は、その往復移動方向に沿って並んだ複数の歯を備えており、これら歯が歯車部162aに噛合されている。これにより、操作部14aを往復移動させることで、伝達部材15及び末端伝達部164が往復移動し、その結果、回動駆動部162が回動するようになっている。
【0096】
チューブ保持部材165は、チューブ部材18の一端部を保持しつつ、ケース部161に取付けられる部品である。チューブ保持部材165は、円筒状をなしており、自身の内周にてチューブ部材18を保持した状態で取付孔配置部161bの内周に挿通されている。尚、チューブ保持部材165は、取付孔配置部161bの端部に取付けられた所定の抜止部材167によって、取付孔配置部161bからの抜止めが図られた状態となっている。
【0097】
カバー部17は、凹部118を覆い、凹部118の全部又は大部分(本第2実施形態では、大部分)を外部から隠れた状態(視認不能又は視認困難な状態)とするための部品である。カバー部17は、
図12に示すように、カバー本体部171及び被連結部172を備えている。
【0098】
カバー本体部171は、矩形板状をなしており、上述した凹部118を隠す役割を主に担う部位である。尚、本第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、カバー本体部171に脚部は設けられていないが、勿論、カバー本体部171に脚部を設けてもよい。
【0099】
被連結部172は、カバー本体部171の端縁側中央部における裏面から一対突出形成されており、連結部162bが配置される連結用スリット172aを備えている。そして、連結用スリット172aに対し連結部162bが挿通されることにより、カバー部17が連結部162bに対し回動不能な状態で連結されている。これにより、カバー部17は、当該カバー部17の外縁側に位置する回動軸(本実施形態では、回動駆動部162の回動軸)にて回動可能に支持された状態となっている。
【0100】
また、本第2実施形態においても、連結用スリット172aから連結部162bが引き抜かれるようにカバー部17を移動させることで、特段の工具などを用いることなく、カバー部17を連結部162bから取外可能となっている。従って、カバー部17は、回動駆動部162に対し着脱自在となっている。
【0101】
さて、上記のように構成された排水構造11においては、操作部14aが復動(上動)させられることで、カバー部17が凹部118を覆う位置(凹部118の開口部をほぼ閉じる位置)に配置されて、当該凹部118の全部又は大部分を外部から隠れた状態である“カバー状態”(
図8参照)とすることができる。本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、“カバー状態”において、カバー本体部171のうち、支持回動ユニット16とは反対側に位置する外縁と、当該外縁に直交する平行な2つの外縁とが、第一垂下部113の内面に近接設置されるようになっており、凹部118を隠す機能がより効果的に発揮されるようになっている。
【0102】
また、“カバー状態”においては、カバー部17の表面と基部111の表面(特にカバー部17側に位置する面)とが略面一(ほぼ同じ高さ)となり、美観の向上が図られるようになっている(
図9,10参照)。
【0103】
さらに、“カバー状態”では、停止状態維持部163により、カバー部17が停止状態で維持されるようになっている。そして、“カバー状態”では、カバー部17と凹部形成部112とが接触しないように構成されている。
【0104】
加えて、“カバー状態”において、凹部118からカバー部17が取外不可となるように、回動駆動部162(連結部162b)や被連結部172(連結用スリット172a)が構成されている。
【0105】
一方、“カバー状態”においては、操作部14aを往動(下動)させることで、停止状態維持部163等で生じる摩擦力に抗して回動駆動部162が回動し、カバー部17は、その回動軸とは反対側の外縁が上昇するようにして回動する。その結果、凹部118を覆う状態が解除されて、“カバー状態”から、凹部118の全部又は大部分(本第2実施形態では大部分)が外部から視認可能な状態である“非カバー状態”(
図12,13参照)へと切換えることができる。尚、“非カバー状態”においても、停止状態維持部163により、カバー部17を停止状態で維持することができる。
【0106】
また、“非カバー状態”から“カバー状態”への切換えは、操作部14aを復動させて、前記回動軸とは反対側の外縁が下降するようにカバー部17を回動させることで行うことができる。尚、カバー部17を直接操作することによっても、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることができる。
【0107】
加えて、本第2実施形態では、停止状態維持部163が設けられているため、操作部14aの停止位置ひいてはカバー部17の停止角度を調節することで、“非カバー状態”において、カバー部17を複数種類の回動角度にて停止状態で維持することが可能である。これにより、“非カバー状態”において、凹部形成部112及びカバー部17間に形成される隙間の開放程度を複数の異なる程度で保つことが可能である。特に本第2実施形態において、カバー部17の停止角度は段階的ではなく連続的に調節可能であり、前記開放程度を任意に調節可能となっている。また、本第2実施形態では、カバー部17を操作対象としてカバー部17の停止角度を調節することもできる。カバー部17を操作対象とすることで、カバー部17の停止角度をより細かく調節することが可能である。
【0108】
尚、本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、“カバー状態”及び“非カバー状態”の双方において(“カバー状態”及び“非カバー状態”のいずれであっても)、凹部118へと排水が流入可能となっている。つまり、カバー部17は、排水可能状態と排水不能状態とを切換えるといった機能を備えないものである。
【0109】
以上、本第2実施形態によれば、基本的には、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0110】
加えて、本第2実施形態では、操作部14aを操作することで、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換えるにあたって、汚れや異物の付着しやすいカバー部17を直接触れずに済み、衛生性や安全性をより高めることができる。
【0111】
また、本第2実施形態によれば、停止状態維持部163によって、カバー部17を複数種類の回動角度にて停止状態で維持可能とされている。従って、凹部形成部112及びカバー部17間に形成される隙間の開放程度について、複数の異なる程度で保つことができる。これにより、例えば、若干の前記隙間が形成される状態でカバー部17を停止させることにより、凹部118が外部から多少視認可能となるもののカバー部17によって凹部118をある程度隠しつつ、凹部118へとごみ等や排水がより円滑に流れ込むようにすることや、美観をさほど損ねることなく、凹部118内を比較的乾燥しやすい状態で維持すること等が可能となる。そのため、“非カバー状態”におけるカバー部17の回動角度を調節不能な構成と比べて、排水構造11の使用方法に係る幅を広げることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。
【0112】
さらに、操作装置14(操作部14a)は、キッチンのカウンタ119に設けられているため、カバー部17を操作対象とする場合と比べて、“カバー状態”又は“非カバー状態”への切換えに係る操作性をより向上させることができる。また、操作装置14(操作部14a)は、キッチンのカウンタ119という通常排水の至らない部位に設けられているため、衛生性や安全性を一層高めることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図15に示すように、本第3実施形態において、異物捕集部13は、収容部13a及び載置鍔部13bに加えて、アーム部13cを備えている。
【0113】
アーム部13cは、U字状をなしており、収容部13aや載置鍔部13bに対し回動可能な状態で載置鍔部13bに取付けられている。但し、アーム部13cは、回動可能ではあるものの、水平に寝た状態とはならず、ある程度(例えば、水平面に対し30°程度)だけ起きた状態(
図15にて示す状態)でその回動が規制されるように構成されている。また、アーム部13cは、樹脂や金属からなる比較的細いものであって、弾性変形可能となっている。
【0114】
さらに、本第3実施形態において、カバー部17(カバー本体部171)の裏面には、係止部171aが設けられている。係止部171aは、カバー本体部171の裏面(凹部118側の面)から下方に向けて突出形成されており、先端部(下端部)に前記アーム部13cが係止される突起を備えている。尚、係止部171aは、“カバー状態”において、収容部13aよりも上方に配置され、収容部13a内に入らないように構成されている。
【0115】
そして、本第3実施形態においては、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるようにカバー部17を回動させることで、係止部171aの前記突起に係止されたアーム部13cが上動する。その結果、
図16,17に示すように、カバー部17に連動して異物捕集部13が持ち上げられた状態となり、持ち上げられた異物捕集部13は、凹部118から容易に取外可能な状態となる。本第3実施形態では、係止部171aによって、“非カバー状態”において異物捕集部13(アーム部13c)が係止されることで、当該異物捕集部13を持ち上げた状態で維持可能な「捕集部保持手段」が構成されている。
【0116】
加えて、本第3実施形態では、“非カバー状態”にて載置鍔部13bを中間段部114に載置し、凹部118に異物捕集部13を設置した状態(この状態では係止部171aにアーム部13cは係止されていない)において、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させたとき、アーム部13cや係止部171aが若干弾性変形して、アーム部13cへと係止部171a(前記突起)が自然と係止されるように構成されている。従って、例えば異物捕集部13の清掃後に、異物捕集部13を凹部118に設置し、その後、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させると、係止部171a(前記突起)へとアーム部13cが自然と係止される。そのため、次に“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させたときには、カバー部17に連動して異物捕集部13が持ち上げられることとなる。
【0117】
以上、本第3実施形態によれば、基本的には、上記第2実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0118】
加えて、本第3実施形態では、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるようにカバー部17を回動させることで、カバー部17に連動して異物捕集部13を上昇させて持ち上げられた状態とすることができる。従って、異物捕集部13に集積した異物の除去や異物捕集部13の清掃などを行うときにおいて異物捕集部13を凹部118の外へと取外したい場合、カバー部17を回動させて“非カバー状態”とする必要があるが、本第3実施形態では、“非カバー状態”となるようにカバー部17を回動させれば、自然と異物捕集部13を凹部118の外へと取外しやすい状態とすることができる。これにより、異物捕集部13の取外しが非常に容易となり、利便性をより一層向上させることができる。
【0119】
また、異物捕集部13を取外す際に、使用者が当該異物捕集部13の設置部位(本第3実施形態では中間段部114)やその周辺部に触れてしまうことをより確実に防止でき、より良好な衛生性や安全性を得ることができる。
【0120】
さらに、“非カバー状態”においては、係止部171aによって、異物捕集部13を持ち上げた状態(設置部位から浮かせた状態)で維持することができる。従って、カバー部17や凹部形成部112、異物捕集部13などを乾燥させたいときにおいて、カバー部4を“非カバー状態”として異物捕集部13を浮かせることで、これらを乾燥させることが容易に可能となる。また、異物捕集部13を排水構造11の周囲などに置いて乾燥させる場合には、異物捕集部13の置き場所を確保する必要があるが、本第3実施形態によれば、その必要がなくなるため、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0121】
さらに、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えるべくカバー部17を回動させたとき、係止部171a(前記突起)へとアーム部13cが自然と係止されるため、使用者が係止部171aへとアーム部13cを係止させる必要がなく、使用者にとっての利便性をより一層高めることができる。
【0122】
また、係止部171aは、“カバー状態”において、収容部13aよりも上方に配置され、収容部13a内に入らないようになっている。従って、係止部171aが収容部13aに貯留された異物と接触することをより確実に防止でき、衛生性や清掃性をより一層高めることができる。
【0123】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0124】
(a)上記第2実施形態で説明した、操作装置14や伝達部材15を用いてカバー部17を回動させる手法を、上記第1実施形態の構成に適用してもよい。例えば、
図18に示すように、回動駆動部32の歯車部32aに対し、伝達部材15に連結された末端伝達部35が噛合されるように構成し、操作部14aの操作に伴い伝達部材15及び末端伝達部35が往復移動することで、カバー部4が回動するように構成してもよい。尚、本例では、装置を設置するための取付孔104bが中間段部104に貫通形成されているところ、図示は省略するが、当該取付孔104bを通った漏水を防止するためのシール部材が別途設置されている。
【0125】
(b)上記実施形態においては、カバー部4,17を回動させる際の操作対象として、操作部33,14aが設けられているが、操作部を設けずに、カバー部自体がカバー部を回動させる際の操作対象となるように構成してもよい。
【0126】
(c)上記実施形態では記載していないが、カバー部4を押圧する度に“カバー状態”又は“非カバー状態”に切換わるように構成してもよい。例えば、
図19に示すように、ラック36、ばね37、係合歯38及び摺動歯39を設けることで、カバー部4を押圧する度に“カバー状態”又は“非カバー状態”に切換わるように構成してもよい。尚、本例における回動駆動部32は、上記第1実施形態とほぼ同様の構成を有するものであるが、切欠部32b,32cを備えないものである。また、本例において、回動規制機構34は設けられていない。
【0127】
ラック36は、ケース部31内にて往復移動可能に構成されるとともに、歯車部32aに噛合される。また、ラック36の外周には、外側に突出する一対の突部を有する環状部品であるリング36aが回転可能な状態で配置される。ばね37は、ラック36に対し往動(下動)方向に付勢力を付与する。係合歯38は、ラック36の往復移動方向に沿って延びる複数の突条が相互に間隔をあけつつ周方向に沿って複数設けられてなる。係合歯38の上端部は、リング36aの前記突起が係合可能とされており、また、各係合歯38(突条)の間隔は、リング36aの前記突起が通過可能な大きさとされている。摺動歯39は、ラック36が復動(上動)した際に、リング36aの前記突部と接触することで、リング36aを所定量だけ回転させる。
【0128】
この例において、“カバー状態”では、ばね37からラック36に加わる付勢力によってリング36aの前記突部が係合歯38の上端部に押し付けられて係合された状態とされる。これにより、ばね37から加わる付勢力に抗してカバー部4は回動が規制された状態でロックされる(
図19参照)。本例において、ばね37は、カバー部17に対し“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える方向の付勢力を付与するものであり、「付勢手段」に相当する。一方、係合歯38及びリング36aは、ばね37から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動が規制された状態でロックするものであり、「ロック手段」に相当する。
【0129】
そして、“カバー状態”において、カバー部4のうちその回動軸とは反対側に位置する表面が押圧されると、ラック36が若干だけ復動(上動)して、リング36aの前記突部が摺動歯39と接触する。これにより、リング36aが所定量だけ回転する。そして、カバー部4の表面に対する押圧が解除されると、リング36aが所定量だけ回転したことで、ばね37から付勢力によって、リング36aの前記突部が各係合歯38の間に落ち込んで、係合歯38及びリング36aによるカバー部4のロックが解除されるとともに、ラック36が往動(下動)する。その結果、回動駆動部32及びカバー部4が回動して、“非カバー状態”へと切換えられる(
図20参照)。従って、本例では、カバー部4をロックする手段(係合歯38及びリング36a)に直接触れることなく、当該手段によるカバー部4のロックを解除可能となっている。
【0130】
尚、“非カバー状態”においては、カバー部4の前記表面を押して“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることで、係合歯38及びリング36aによって、カバー部4がロックされて、“カバー状態”が維持されることとなる。
【0131】
上記例のような構成によれば、カバー部4がロックされるため、意図せずカバー部4が回動して、“カバー状態”が解除されるといった事態をより確実に防止することができる。
【0132】
また、カバー部4のロックを解除することで、ばね37から加わる付勢力によって、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、カバー部4に対し、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるための力を使用者が加えずに済む。これにより、“カバー状態”から“非カバー状態”へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0133】
さらに、カバー部4を押圧することによって、カバー部4をロックする手段に直接触れることなく、当該手段によるカバー部4のロックを解除することができる。従って、カバー部4のロック解除を比較的容易に行うことができる。
【0134】
(d)上記実施形態では、操作部33,14aに加えられた操作力によって回動駆動部32,162が回動するように構成されている。これに対し、モータ等の通電動作部を設けるとともに、操作部に対する操作を契機として、通電動作部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。
【0135】
また、ばね等の動力発生部を設けるとともに、操作部に対する操作を契機として、動力発生部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。この構成は、例えば、
図21,22に示すような支持回動ユニット6を用いて実現することができる。
【0136】
支持回動ユニット6は、ケース部61、回動駆動部62、ばねカバー63、動力発生部としてのコイルばね64及び押圧動作部65を備えている。ケース部61は、複数の部品を組み合わせることで構成されており、回動駆動部62における後述する連結部62a以外の部位やばねカバー63、コイルばね64を内部にて収容した状態で、凹部形成部102に取付けられている。本例において、ケース部61は、中間段部104に貫通形成された取付孔104bに挿通されつつ、その外周に所定のナット部材66が螺合されることで、凹部形成部102に取付けられている。尚、図示は省略するが、取付孔104bを通った漏水を防止するためのシール部材が別途設置されている。また、ケース部61の内部には、ばねカバー63やコイルばね64の一端部が取付けられる円柱状の一端側接続部61aが形成されている。
【0137】
回動駆動部62は、ケース部61によって回動可能な状態で支持されている。本例において、回動駆動部62は、その回動軸方向に沿って2つの部品が直列的に連結されることにより構成されている。また、本例では、回動駆動部62における一端部のみに、上記実施形態における連結部32d,162bと同様の構成を有する連結部62aが設けられており、当該連結部62aがカバー部4(一方の被連結部42)と連結されている。尚、カバー部4における他方の被連結部42は、ケース部61により支持されている。一方、回動駆動部62の他端部は、円柱状をなしており、ケース部61によって支持されている。さらに、回動駆動部62は、その径方向に沿ってその回動軸から前記一端側接続部61aとは反対側にずれた位置に、コイルばね64の他端部が取付けられる円柱状の他端側接続部62bを備えている。
【0138】
ばねカバー63は、コイルばね64の下方から側方にかけて設けられており、コイルばね64の中心軸と直交する断面においてL字状をなしている。ばねカバー63の一端部は、前記一端側接続部61aの中心軸を回動軸として、当該一端側接続部61aに対し回動可能な状態で取付けられている。
【0139】
コイルばね64は、一端部が一端側接続部61aに取付けられ、他端部が他端側接続部62bに取付けられており、自然長よりも伸長した状態で設置されている。“カバー状態”において、コイルばね64は、回動駆動部62の回動軸方向に見たときに、その中心軸が当該回動軸と重なるようになっている。これにより、“カバー状態”では、コイルばね64からの付勢力による回動駆動部62の回動が生じないようになっている。一方、回動駆動部62の回動軸方向に見たときに、コイルばね64の中心軸が当該回動軸からずれた状態となったときには、コイルばね64から回動駆動部62に加わる付勢力によって、当該回動駆動部62が回動し得る。
【0140】
押圧動作部65は、伝達部材15の端部が接続されており、伝達部材15の往復移動に伴い往復移動可能とされている。尚、本例において、伝達部材15は、上記第2実施形態と同様に、操作部14aの往復移動に伴い往復移動するものである。押圧動作部65は、その先端部によってばねカバー63を押圧して当該ばねカバー63を回動させる機能を有する。尚、押圧動作部65の外周には、漏水防止のためのシール部材65aが設けられている。
【0141】
上記のように構成された支持回動ユニット6は、次のように動作する。すなわち、“カバー状態”(
図21参照)において、操作部14aを操作して伝達部材15を往動させると、押圧動作部65が往動(上動)し、その結果、押圧動作部65によってばねカバー63が上方に向けて押圧される。これにより、ばねカバー63が一端側接続部61aを中心として回動する。また、ばねカバー63に押されるようにして、コイルばね64が同様に回動する。そして、コイルばね64の回動に伴い、回動駆動部62の回動軸方向に見たときに、コイルばね64の中心軸が当該回動軸からずれた状態となることで、コイルばね64からの付勢力によって回動駆動部62が回動する。その結果、回動駆動部62(連結部62a)に連結されたカバー部4が回動して、“カバー状態”から“非カバー状態”(
図23参照)へと切換えられる。
【0142】
一方、“非カバー状態”においては、カバー部4の表面を押圧して、コイルばね64から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動させることで、“非カバー状態”から“カバー状態”に切換えることができる。尚、“非カバー状態”から“カバー状態”へと切換えることで、ばねカバー63やコイルばね64、押圧動作部65等は元の状態に戻る。
【0143】
上記例のような構成によれば、操作部14aを利用して、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができるため、良好な衛生性や安全性を得ることができる。
【0144】
また、コイルばね64から加わる付勢力によって、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができる。従って、カバー部4に対し、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるための力を使用者が加えずに済む。これにより、“カバー状態”から“非カバー状態”へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0145】
尚、“カバー状態”又は“非カバー状態”へと切換える際において、カバー部4が所定位置を過ぎる前と、カバー部4が所定位置を過ぎた後とで、コイルばね64から加わる付勢力による回動駆動部62の動作(回動)方向が反転するように構成してもよい。そして、“カバー状態”において、カバー部4を“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える方向とは反対方向の付勢力が、コイルばね64から回動駆動部62へと加わるように構成してもよい。このように構成した場合には、“カバー状態”から“非カバー状態”へと容易に切換え可能としつつ、“カバー状態”をより確実に維持することができ、“非カバー状態”へと意図せず切換わることをより確実に防止できる。
【0146】
また、上記例では、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える際に、押圧動作部65の往動を契機として、主としてコイルばね64からの付勢力によってカバー部4が回動するように構成されているが、主として操作部14aに対する操作に伴い押圧動作部65からばねカバー63等を介して回動駆動部62に加わる力によってカバー部4が回動し、その際にコイルばね64がカバー部4をより容易に回動させるためのアシスト力を回動駆動部62へと付与する構成であってもよい。この場合には、操作部14aに加える操作力が比較的小さなものであっても、“カバー状態”から“非カバー状態”へと円滑に切換えることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0147】
(e)上記(d)で挙げた構成に代えて、例えば、
図24に示すような支持回動ユニット7及びロック機構8を用いることで、操作部に対する操作を契機として、ばね等の動力発生部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。より詳しくは、操作部に対する操作を契機としてロック機構8によるロックが解除されることで、動力発生部にて生じる力によって回動駆動部が回動するように構成してもよい。
【0148】
支持回動ユニット7は、ケース部71、回動駆動部72、ラック73、並びに、動力発生部及び「付勢手段」としてのコイルばね74を備えている。
【0149】
ケース部71は、回動駆動部72の一部及びラック73等を内部に収容した状態で、凹部形成部102に取付けられている。回動駆動部72は、上記第1実施形態の回動駆動部32とほぼ同様の構成を有するものであって歯車部72aを備えているが、上記第1実施形態と異なり、切欠部32b,32cを備えないものである(本例では、回動規制機構34も設けられていない)。回動駆動部72は、上記第1実施形態と同様の構造によって、カバー部4を回動可能な状態で支持している。ラック73は、ケース部71内にて往復移動可能な状態で設けられており、歯車部72aに噛合されている。ラック73の往復移動に伴いカバー部4が回動する。コイルばね74は、圧縮状態で設けられており、ラック73に対し往動(下動)方向の付勢力を付与する。これにより、カバー部4に対し、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換える方向の付勢力が付与される。
【0150】
ロック機構8は、排水管2の中心軸を挟んで支持回動ユニット7と相対向する位置に設けられており、機構ケース部81及びスライドロック部82を備えている。
【0151】
機構ケース部81は、全体として円筒状をなしており、その一端部において径方向外側に突出形成された鍔部81aと、当該鍔部81aよりも他端側の外周に形成された雄ねじ部81bとを備えている。そして、第一垂下部103に貫通形成された取付孔103aに機構ケース部81を挿通しつつ、雄ねじ部81bを所定のナット部材83の内周に螺合し、鍔部21及びナット部材83により第一垂下部103を挟み込むことで、機構ケース部81ひいてはロック機構8が第一垂下部103に取付けられた状態となっている。尚、鍔部81a及び第一垂下部103間には環状のシール部材84が配置されており、当該シール部材84によって、取付孔103aを通った漏水の防止が図られている。
【0152】
スライドロック部82は、機構ケース部81内において水平方向に往復移動可能な状態で設置されている。スライドロック部82は、伝達部材15の端部が接続されており、伝達部材15の往復移動に伴い往復移動可能とされている。スライドロック部82の先端部には、環状のカバー被係止部82aが設けられている。カバー被係止部82aは、“カバー状態”において、カバー部4の裏面に突出形成されたロック用係止突部43が係止される部位である。カバー被係止部82aに対しロック用係止突部43が係止されることで、“カバー状態”において、コイルばね74から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動が規制された状態でロックすることができる。
【0153】
尚、本例において、伝達部材15は、上記第2実施形態と同様に、操作部14aの往復移動に伴い往復移動するものである。但し、本例において、伝達部材15には、図示しないばね等によって、スライドロック部82を復動させる(スライドロック部82を
図24における左方向に移動させる)ための力が付与されており、当該力が伝達部材15を介してスライドロック部82に対し付与されるようになっている。
【0154】
上記のように構成された支持回動ユニット7及びロック機構8は、次のように動作する。すなわち、“カバー状態”(
図24参照)において、操作部14aを操作(例えば押圧)して伝達部材15を往動させると、スライドロック部82が往動(
図24の右方向に移動)し、カバー被係止部82aに対するロック用係止突部43の係止が解除される。これにより、ロック機構8によるカバー部4のロックが解除される。従って、本例では、ロック機構8に直接触れることなく、ロック機構8によるカバー部4のロックが解除される。そして、ロック解除に伴い、コイルばね74からの付勢力によって、回動駆動部72及びカバー部4が回動して、“カバー状態”から“非カバー状態”(
図25参照)へと切換えられる。尚、操作部14aに対する操作が解除されると、上述した図示しないばね等から加わる力により、伝達部材15及びスライドロック部82等は、復動して元の位置に戻る。
【0155】
一方、“非カバー状態”においては、カバー部4の表面を押圧して、コイルばね64から加わる付勢力に抗してカバー部4を回動させることで、“非カバー状態”から“カバー状態”に切換えられる。“カバー状態”に切換えると、カバー被係止部82aにロック用係止突部43が係止される。すなわち、ロック機構8によってカバー部4がロックされて、“カバー状態”が維持される。
【0156】
上記例のような構成によれば、上記(d)で例示した構成による作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、良好な衛生性や安全性を得ることができる。また、コイルばね74から加わる付勢力によって“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えることができるため、“カバー状態”から“非カバー状態”へと一層容易に切換えることができ、使用者にとっての利便性をより一層向上させることができる。
【0157】
(f)上記実施形態において、“カバー状態”では、カバー部4,17と凹部形成部102,112とが接触しないように構成されている。これに対し、“カバー状態”において、カバー部の少なくとも一部が凹部形成部における所定部位(例えば中間段部)と接触し、当該部位によってカバー部が支持されるように構成してもよい。
【0158】
例えば、
図26,27(尚、
図27では、“カバー状態”としたときにおける回動駆動部62等を示す)に示すように、カバー部4(カバー本体部41)の四隅に脚部41aを設けるとともに、中間段部104の四隅に受け部104aを設け、“カバー状態”において脚部41aが受け部104aと接触し、凹部形成部102(受け部104a)によってカバー部4が支持されるように構成してもよい。勿論、これは一例であって、必ずしも脚部41a及び中間段部104(受け部104a)を設ける必要はなく、“カバー状態”においてカバー部の少なくとも一部が凹部形成部における所定部位と接触し、カバー部が支持される構成であればよい。
【0159】
尚、上記構成を実現するにあたっては、少なくとも“カバー状態”であるときに、カバー部4がこれを回動可能に支持する部位(本例では回動駆動部62)に対し上下方向に移動可能となり、かつ、当該部位から浮いた状態となるように構成することが好ましい(
図28参照)。このように構成することで、“カバー状態”としたときに、カバー部4(脚部41a)を凹部形成部102に対しより確実に接触させることができ、カバー部4をより安定した状態で支持することが可能となる。また、カバー部4が踏まれたとき等、カバー部4に下向きの負荷が加わったときに、カバー部4からこれを回動可能に支持する部位(回動駆動部62)へと負荷が伝わることを防止でき、当該部位の破損や変形をより確実に防ぐことができる。
【0160】
尚、
図28では、“カバー状態”において、回動駆動部62の回動軸方向に沿って見たとき、連結部62aにおける平行な二辺が鉛直方向に延びるように構成されているが、カバー部4がこれを回動可能に支持する部位に対し上下方向に移動可能となり、かつ、当該部位から浮いた状態となる限り、これら二辺の延びる方向を適宜変更してもよい。従って、例えば、前記二辺が鉛直方向に対し所定角度(例えば30度以下)だけ傾いた方向に延びるように構成してもよい(この構成において、カバー部4はこれを回動可能に支持する部位に対し斜め上下方向に移動可能となる)。尚、スリット42aの角度については、連結部62aの構成に合わせて適宜変更してもよい。
【0161】
(g)上記第2実施形態において、カバー部17の停止角度は連続的に調節可能に構成されているが、カバー部の停止角度を段階的に調節可能に構成してもよい。例えば、“非カバー状態”において、凹部形成部及びカバー部間に形成される隙間が比較的大きく開放した状態と、前記隙間が比較的小さく開放した状態とが選択可能となるように、カバー部の停止角度を二段階で調節可能に構成してもよい。この構成は、例えば、上記第1実施形態における回動駆動部32において、第一切欠部32b及び第二切欠部32c間に、これらと同様の切欠部を設けることで実現することができる。勿論、カバー部の停止角度を三段階以上の多段階で調節可能に構成してもよい。
【0162】
(h)上記実施形態において、カバー部4,17は、その外縁側における中央部にて回動可能に軸支されているが、軸支位置については限定されるものではなく、例えば、カバー部は、その外縁側における両端部にて回動可能に軸支されていてもよい。また、カバー部の形状は、凹部の形状などに合わせて適宜変更してもよい。
【0163】
(i)上記第3実施形態において、係止部171aは、“カバー状態”から“非カバー状態”へと切換えるようにカバー部17を回動させたときに、カバー部17に連動して異物捕集部13を持ち上げる機能を備えているが、このような機能を備えないものであってもよい。すなわち、係止部として、上記機能を備えず、“非カバー状態”において異物捕集部13が例えば手で持ち上げられて係止されることで、当該異物捕集部13を持ち上げた状態で維持可能なものを設けてもよい。
【0164】
(j)上記第3実施形態において、アーム部13cは、ある程度(例えば、水平面に対し30°程度)だけ起きた状態でその回動が規制されるように構成されている。これに対し、アーム部13cを一方側に回動させたときに、当該アーム部13cがある程度だけ起きた状態でその回動が規制される一方、アーム部13cを他方側に回動させたときに、一方側に回動させたときと比べて当該アーム部13cがより寝た状態(例えば水平に寝た状態)でその回動が規制されるように構成してもよい。このように構成した場合には、異物捕集部13の配置向きを変更することで、カバー部17に連動して異物捕集部13が持ち上げられる状態、又は、カバー部17に連動せず異物捕集部13が持ち上げられない状態へと任意に切換えることができる。すなわち、使用者は、異物捕集部13の配置向きを変更することだけで、上記各状態のうち使用者にとってより好ましい状態を選択することができ、この選択した状態で排水構造11を利用することができる。従って、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。
【0165】
(k)上記実施形態では、“カバー状態”において、カバー部4,17により凹部108,118の大部分が外部から隠れた状態となるように構成されているが、凹部の全部が外部から隠れた状態となるように構成してもよい。例えば、凹部の開口部よりも一回り大きなカバー部を凹部の外に配置しつつ、当該カバー部によって凹部の全部を覆うように構成してもよい。
【0166】
(l)上記実施形態では、設置対象部として、洗い場パン100及びシンク110を挙げているが、設置対象部はこれらに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽や洗面器などを設置対象部としてもよい。
【0167】
(m)上記実施形態における凹部形成部102,112の形状は一例であって、凹部形成部の形状を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0168】
1,11…排水構造、2,12…排水管、4,17…カバー部、8…ロック機構(ロック手段)、13…異物捕集部、14a,33…操作部、32,162…回動駆動部(回動支持部)、34…回動規制機構(非カバー状態維持手段)、36a…リング(ロック手段)、37…ばね(付勢手段)、38…係合歯(ロック手段)、74…コイルばね(付勢手段)、100…洗い場パン(設置対象部)、102,112…凹部形成部、110…シンク(設置対象部)、108,118…凹部、171a…係止部(捕集部保持手段)、163…停止状態維持部(非カバー状態維持手段)。