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特開2022-66640モータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップ
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  • 特開-モータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップ 図1
  • 特開-モータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップ 図2
  • 特開-モータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066640
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】モータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175102
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優佑
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604QB04
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】本発明は、セグメント型の輪状ステータに輪状基板を簡単に取付けることである。
【解決手段】本発明によるモータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及び絶縁キャップは、多数の分割ステータコア(2)からなる輪状ステータ(1)と、前記分割ステータコア(2)の内壁(3)に形成された第1取付け凹部(4)に固定された第1絶縁キャップ部(8)の第1突起(10)と、前記第1絶縁キャップ部(8)に対向して前記分割ステータコア(2)の内壁(3)に形成された第2取付け凹部(5)に固定された第2絶縁キャップ部(9)の第2突起(11)と、前記輪状ステータ(1)の軸方向(P)の外側に設けられた輪状基板(15)と、前記輪状基板(15)の外周(30)位置に形成され前記第1突起(10)を嵌合させるための凹部(31)と、を備え、前記輪状基板(15)は、前記輪状ステータ(1)の端面(2A)から軸方向(P)に沿って離間して固定されている構成である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の分割ステータコア(2)からなる輪状ステータ(1)と、前記分割ステータコア(2)の内壁(3)に形成された第1取付け凹部(4)に固定された第1絶縁キャップ部(8)の第1突起(10)と、前記第1絶縁キャップ部(8)に対向して前記分割ステータコア(2)の内壁(3)に形成された第2取付け凹部(5)に固定された第2絶縁キャップ部(9)の第2突起(11)と、前記輪状ステータ(1)の軸方向(P)の外側に設けられた輪状基板(15)と、前記輪状基板(15)の外周(30)位置に形成され前記第1突起(10)を嵌合させるための凹部(31)と、を備え、
前記輪状基板(15)は、前記輪状ステータ(1)の端面(2A)から軸方向(P)に沿って離間して固定されていることを特徴とするモータにおける絶縁キャップによる基板の取付け構造。
【請求項2】
前記第1突起(10)は、二又状に形成された一対の突出片(20,21)と、前記各突出片(20,21)の先端に形成された抜け防止の返し部(20A,21A)と、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のモータにおける絶縁キャップによる基板の取付け構造。
【請求項3】
前記第1絶縁キャップ部(8)の第1内端(8D)と第2絶縁キャップ部(9)の第2内端(9D)は、前記軸方向(P)に沿って互いに重合した状態で結合している構成よりなることを特徴とする請求項1又は2記載のモータにおける絶縁キャップによる基板の取付け構造。
【請求項4】
互いに結合し全体形状がコ字型をなす第1絶縁キャップ部(8)及び第2絶縁キャップ部(9)と、前記各絶縁キャップ部(8,9)の端部(8B,9B)に設けられた第1突起(10)及び第2突起(11)と、前記各突起(10,11)は互いに逆方向を向いて延設されていると共にその先端(10A)に形成された一対の突出片(20,21)と、前記突出片(20,21)に形成された返し部(20A,21A)と、前記各絶縁キャップ部(8,9)の外周に形成され、溝形状をなす第1、第2巻線保持部(8A,9A)と、からなり、
前記各巻線保持部(8A,9A)は互いに連接した状態で用いる構成としたことを特徴とする絶縁キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップに関し、特に、輪状ステータに対し、多数の絶縁キャップを介して、輪状基板を所定位置に簡単に取付けることができるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の絶縁キャップを用いた巻線構造としては、特許文献1に開示されている構成を挙げることができるが、セグメントコア(分割型ステータコア)におけるステータ巻線を整列巻きするために、分割コアの各立上げ壁間の周壁に多数の溝を構成し、この溝を介して、ステータ巻線の整列巻きを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-201957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の絶縁キャップを用いた巻線構造としては、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、各セグメントコアの各立上げ壁間の外周に形成された多数の溝内に、ステータ巻線を巻回しているだけで、基板の位置決めを行う構造は、何ら開示されていなかった。
そのため、モータ内に設置されるプリント基板の取付けは、基板自体の形状を馬蹄型として取付ける方法が採用され、多数の電子部品が搭載できる輪状の基板を用いることは困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、輪状ステータに対し、多数の絶縁キャップを介して、輪状基板を所定位置に簡単に取付けることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるモータにおける絶縁キャップによる基板の取付け構造は、多数の分割ステータコアからなる輪状ステータと、前記分割ステータコアの内壁に形成された第1取付け凹部に固定された第1絶縁キャップ部の第1突起と、前記第1絶縁キャップ部に対向して前記分割ステータコアの内壁に形成された第2取付け凹部に固定された第2絶縁キャップ部の第2突起と、前記輪状ステータの軸方向の外側に設けられた輪状基板と、前記輪状基板の外周位置に形成され前記第1突起を嵌合させるための凹部と、を備え、前記輪状基板は、前記輪状ステータの端面から軸方向に沿って離間して固定されている構成であり、また、前記第1突起は、二又状に形成された一対の突出片と、前記各突出片の先端に形成された抜け防止の返し部と、からなる構成であり、また、前記第1絶縁キャップ部の第1内端と第2絶縁キャップ部の第2内端は、前記軸方向に沿って互いに重合した状態で結合している構成であり、また、本発明による絶縁キャップは、互いに結合し全体形状がコ字型をなす第1絶縁キャップ部及び第2絶縁キャップ部と、前記各絶縁キャップ部の端部に設けられた第1突起及び第2突起と、前記各突起は互いに逆方向を向いて延設されていると共にその先端に形成された一対の突出片と、前記突出片に形成された返し部と、前記各絶縁キャップ部の外周に形成され、溝形状をなす第1、第2巻線保持部と、からなり、前記各巻線保持部は互いに連接した状態で用いる構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるモータにおける絶縁キャップによる基板の取付け構造は、多数の分割ステータコアからなる輪状ステータと、前記分割ステータコアの内壁に形成された第1取付け凹部に固定された第1絶縁キャップ部の第1突起と、前記第1絶縁キャップ部に対向して前記分割ステータコアの内壁に形成された第2取付け凹部に固定された第2絶縁キャップ部の第2突起と、前記輪状ステータの軸方向の外側に設けられた輪状基板と、前記輪状基板の外周位置に形成され前記第1突起を嵌合させるための凹部と、を備え、前記輪状基板は、前記輪状ステータの端面から軸方向に沿って離間して固定されていることにより、各絶縁キャップを組立てる時に、同時に輪状基板を組み上げることができ、輪状基板を所定位置に簡単に取付けることができる。
また、前記第1突起は、二又状に形成された一対の突出片と、前記各突出片の先端に形成された抜け防止の返し部と、から構成されていることにより、突起を基板に取付ける時に、前記各突出片が凹部に挿入後に開くため、各返し部も元のように開き、基板を所定位置に設けることができる。
また、前記第1絶縁キャップ部の第1内端と第2絶縁キャップ部の第2内端は、前記軸方向に沿って互いに重合した状態で結合している構成よりなることにより、各絶縁キャップ部の接続強度を十分な値に保つことができる。
また、本発明による絶縁キャップ部は、互いに結合し全体形状がコ字型をなす第1絶縁キャップ部及び第2絶縁キャップ部と、前記各絶縁キャップ部の端部に設けられた第1突起及び第2突起と、前記各突起は互いに逆方向を向いて延設されていると共にその先端に形成された一対の突出片と、前記突出片に形成された返し部と、前記各絶縁キャップ部の外周に形成され、溝形状をなす第1、第2巻線保持部と、からなり、前記各巻線保持部は互いに連接した状態で用いる構成としたことにより、分割ステータコアの内壁の取付け凹部内に各突起が嵌合し、前記各絶縁キャップ部からなる絶縁キャップによって輪状ステータの上方に輪状基板を取付けることができる。
また、輪状基板を輪状ステータと同軸に配置することによって、基板付き輪状ステータの軸方向の長さを短くした扁平モータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態によるモータにおける絶縁キャップによる基板の取付け構造を示す斜視図である。
図2図1の絶縁キャップの分離状態を示す斜視図である。
図3図1の要部を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるモータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップは、輪状ステータに対し、多数の絶縁キャップを介して、輪状基板を所定位置に簡単に取付けることができる構成である。
【実施例0010】
以下、図面と共に本発明によるモータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップの好適な実施の形態について説明する。
図1は、組立後の輪状ステータ1を有するモータ1Aであり、このモータ1Aの輪状ステータ1は、多数の分割ステータコア2を図示しない治具内において、円状の形となるように構成されている。
【0011】
前記各分割ステータコア2の内壁3の中央位置には、第1取付け凹部4が少なくとも1個又は複数個形成されている。
以上により、前記各分割ステータコア2の上部の内壁3の構成について述べたが、前記各分割ステータコア2の内壁3の下部の構成についても、第1取付け凹部4と同様の第2取付け凹部5が形成されている。
【0012】
前記各分割ステータコア2の内側には、前記各分割ステータコア2の内壁3から内側に一体に延設された内側ティース6が形成されている。
すなわち、前記分割ステータコア2と前記各内側ティース6とは、一点鎖線で示す接続部6Aを介して互いに対向して一体に形成され、前記各内側ティース6は、図1に示されるように、図示しないロータに対する磁極を構成し、ACサーボモータを構成するために円筒状に配設されている。
【0013】
前記輪状ステータ1の組立ては、前記各分割ステーコア2が図示しない治具内で輪状に配設されているため、前記輪状ステータ1には、図2及び図3で示される絶縁キャップ7及び電気的プリント配線パターンを有する輪状基板15が必ず必要である。
まず、前記絶縁キャップ7について述べる。
図2及び図3に示されるように、絶縁キャップ7は、第1、第2絶縁キャップ部8、9よりなり、前記各絶縁キャップ部8、9には、平面でみてコ字型をなすと共に、前記各コ字型に沿って、チャンネル状(溝状)をなす、第1、第2巻線保持部8A、9Aが形成されている。
【0014】
前記各絶縁キャップ部8、9の端部8B、9Bには、各々第1、第2突起10、11が設けられ、前記各突起10、11は、互いに逆方向に向くように設けられ、前記各絶縁キャップ部8、9は、互いに逆方向に向いて配設されている。
【0015】
前記各絶縁キャップ部8、9の前記各巻線保持部8A、9Aの内側には、凹状をなす空間部8C、9Cが形成され、前記各絶縁キャップ部8、9の各巻線保持部8A、9Aが前記接続部6Aを上下から跨って挟持し、前記各絶縁キャップ部8、9を矢印Aに沿って互いに各内端8D、9Dを接続することによって各絶縁キャップ部8、9を一体状に前記接続部6Aに固定することができる。
【0016】
前述の状態で、前記各巻線保持部8A、9Aは、互いに連接した一本のループ状の溝として形成され、予め巻回されたステータ巻線(図示せず)を各巻線保持部8A、9Aに装着するか、又は、特別仕様の自動巻線機による自動巻線によって、ステータ巻線が前記各巻線保持部8A、9Aに巻回されるように構成することができる。
【0017】
前記各絶縁キャップ部8、9の端部8B、9Bに設けられた前記各突起10、11の先端10Aには、一対の突出片20、21が二又状に分岐して形成され、前記各突出片20、21の先端には、抜け防止の返し部20A、21Aが互いに逆向きの瓜状となるように一体形成されている。
前記各突起10、11は、図2からも明らかなように、前記各巻線保持部8A、9Aの前記各端部8B、9Bの面よりもやや突出して形成されている。
【0018】
次に、前記輪状基板15の構成について述べる。前記輪状基板15は、図1で示されるように、前記輪状ステータ1の、図でみて、上方に前記各絶縁キャップ部7を介して浮いたような状態で保持されている。
前記輪状基板15の外周30すなわち周縁には、前記各内側ティース6及び各分割ステータコア2が位置する角度位置に対応して多数の凹部31が形成されている。前記各分割ステータコア2の端面2Aに形成された第1取付け凹部4に嵌合された前記第1突起10の先端10Aの前記各突出片20、21は、前記輪状基板15の凹部31内に嵌合している。前記各返し部20A、21Aは凹部31に係合して凹部31から抜けないように構成されている。
【0019】
前述のように、前記各第1絶縁キャップ部8の前記輪状基板15への取付けが完了すると、前記各第1絶縁キャップ部8の各第1空間部8Cは、前記各分割ステータコア2と前記各内側ティース6間を一体に結ぶ接続部6A上に跨って位置しており、この状態で、前記接続部6Aの下側(図示せず)から、前記各第2絶縁キャップ部9の第2内端9Dを、図2の矢印Aに沿って前記第1絶縁キャップ部8の第1内端8Dに重合させて嵌合させることにより、前記各絶縁キャップ部8、9は一体状に接続される。
【0020】
前述の場合、前記第2巻線保持部9Aの第2突起11は、前記各分割ステータコア2の前記各第1取付け凹部4に連通している各第2取付け凹部5内に嵌合し、矢印Aの方向に移動させることにより、第1、第2突起10、11は互いに当接する。
尚、図1の第2取付け凹部5は、分割ステータコア2の裏面に形成されている。
実際には、前記第2突起11は、図1に示すように、輪状ステータ1の各分割ステータコア2に取付け後は、そこから下方へ突出しているが、不要であるので、この突出部分はモータ1Aの組立て後、切り捨てることになる。
【0021】
前述のように、各分割ステータコア2からなる輪状ステータ1の内壁3に設けられた各第1取付け凹部4に対して各第1突起10の各突出片20、21を嵌合させることにより、前記輪状基板15は簡単に輪状ステータ1に取付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によるモータにおける絶縁キャップによる輪状基板の取付け構造及びその絶縁キャップは、分割ステータコアからなる輪状ステータに対して、複数の絶縁キャップを介して輪状基板を簡単に取付けることができ、偏平モータ等を簡単に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 輪状ステータ
1A モータ
2 分割ステータコア(セグメントコア)
2A 端面
3 内壁
4 第1取付け凹部
5 第2取付け凹部
6 内側ティース
6A 接続部
7 絶縁キャップ
8 第1絶縁キャップ部
8A 第1巻線保持部
8B 端部
8C 第1空間部
8D 第1内端
9 第2絶縁キャップ部
9A 第2巻線保持部
9B 端部
9C 第2空間部
9D 第2内端
10 第1突起
10A 先端
11 第2突起
15 輪状基板
20、21 突出片
20A、21A 返し部
30 外周(周縁)
31 凹部
P 軸方向
図1
図2
図3