(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066670
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】薬歴データ送信システム、情報管理サーバ及び端末プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220422BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175153
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】502265688
【氏名又は名称】株式会社JMDC
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】原 一史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀実
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬局に対して新たな装置の導入を必要とせず、しかも患者の利便性を向上させた薬歴データ送信システム、情報管理サーバ及び端末プログラムを提供する。
【解決手段】薬歴データ送信システム100において、情報管理サーバ1は、患者端末の現在位置情報を取得する位置情報受信部11と、薬局情報DB(データベース)34を参照して、近傍の位置にある薬局を特定する薬局特定部12と、患者に処方された薬剤に関する薬歴データ記憶する薬歴データ記憶部33と、特定した薬局に患者に処方された薬剤に関する薬歴データの送信を依頼する薬データ送信依頼部18と、を具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が携行する患者端末と、
前記患者端末に対して通信可能に接続され情報管理サーバと、
を備えた薬歴データ送信システムであって、
前記患者端末は、患者を識別する患者識別情報と共に現在位置情報を前記情報管理サーバに送信する位置情報送信手段を備え、
前記情報管理サーバは、
患者に処方された薬剤に関する薬歴データを、前記患者識別情報に対応付けて記憶する薬歴データ記憶部と、
前記患者端末から前記現在位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報受信手段が受信した前記現在位置情報に基づいて、各薬局の住所及び送信先情報を含む属性情報を記憶した薬局情報データベースから前記患者端末の近傍位置にある薬局を特定する薬局特定手段と、
前記位置情報受信手段が受信した前記患者識別情報に基づいて、前記薬歴データ記憶部に記憶された前記患者端末の患者に対応する前記薬歴データを抽出する薬歴データ抽出手段と、
前記薬局特定手段により特定した前記薬局の前記送信先情報を、前記薬局情報データベースから取得する送信先情報取得手段と、
前記送信先情報取得手段により取得した前記送信先情報に対応する装置に、前記送信先情報を宛先にした、前記薬歴データ抽出手段により抽出した前記薬歴データの送信を依頼する薬歴データ送信依頼手段と、
を備える、薬歴データ送信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の薬歴データ送信システムにおいて、
前記患者端末は、
前記患者が医療機関から受け取った処方箋から処方データを取得する処方データ取得手段と、
前記処方データ取得手段により取得した前記処方データを、前記患者識別情報と共に前記情報管理サーバに送信する処方データ送信手段と、
を備え、
前記情報管理サーバは、前記患者端末から受信した前記処方データに含まれる前記薬歴データを、前記患者識別情報に対応付けて前記薬歴データ記憶部に登録する薬歴データ登録手段を備える、薬歴データ送信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の薬歴データ送信システムにおいて、
前記情報管理サーバは、
レセプトデータを記憶したレセプトデータベースから、前記患者のレセプトデータを受信するレセプトデータ受信手段と、
レセプトデータ受信手段により受信した前記レセプトデータに含まれる前記薬歴データを、前記患者識別情報に対応付けて前記薬歴データ記憶部に登録する薬歴データ登録手段と、
を備える、薬歴データ送信システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の薬歴データ送信システムにおいて、
前記情報管理サーバは、前記薬局特定手段が特定した前記薬局に係る薬局情報を、前記薬局情報データベースから取得して、前記患者端末に送信する薬局情報送信手段を備え、
前記患者端末は、
前記情報管理サーバから受信した前記薬局情報を出力する薬局情報出力手段と、
前記薬局情報に示される前記薬局への前記薬歴データの送信に係る指示情報を、前記情報管理サーバに送信する指示送信手段と、
を備え、
前記薬歴データ送信依頼手段は、前記指示情報を受け付けた場合に、前記薬歴データの送信を前記装置に依頼する、薬歴データ送信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の薬歴データ送信システムにおいて、
前記薬局情報送信手段は、前記患者端末の近傍位置にある複数の前記薬局の前記薬局情報を、前記患者端末に送信し、
前記薬局情報出力手段は、前記現在位置情報との距離に基づいて複数の前記薬局情報を出力し、
前記指示送信手段は、一の前記薬局の指定を含む前記指示情報を、前記情報管理サーバに送信する、薬歴データ送信システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の薬歴データ送信システムにおいて、
前記情報管理サーバは、
患者の既往歴及びアレルギー歴を含む患者情報を、前記患者識別情報に対応付けて記憶した患者情報記憶部と、
前記位置情報受信手段が受信した前記患者識別情報に基づいて、前記患者情報記憶部から前記患者情報を抽出する患者情報抽出手段と、
前記薬歴データ送信依頼手段による送信と共に、前記患者情報抽出手段が抽出した当該患者の前記患者情報の送信を、前記装置に対して依頼する患者情報送信依頼手段と、
を備える、薬歴データ送信システム。
【請求項7】
請求項6に記載の薬歴データ送信システムにおいて、
前記情報管理サーバは、
前記患者端末に前記患者情報を入力するための入力フォームを送信するフォーム送信手段と、
前記入力フォームにしたがって入力された前記患者情報を、前記患者端末から受信する患者情報受信手段と、
前記患者情報受信手段が受信した前記患者情報を、前記患者情報記憶部に記憶する患者情報更新手段と、
を備える、薬歴データ送信システム。
【請求項8】
患者が携行する患者端末に対して通信可能に接続され情報管理サーバであって、
患者に処方された薬剤に関する薬歴データを、患者を識別する患者識別情報に対応付けて記憶する薬歴データ記憶部と、
前記患者端末から前記患者識別情報と共に前記患者端末の現在位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報受信手段が受信した前記現在位置情報に基づいて、各薬局の住所及び送信先情報を含む属性情報を記憶した薬局情報データベースから前記患者端末の近傍位置にある薬局を特定する薬局特定手段と、
前記患者識別情報に基づいて、前記薬歴データ記憶部に記憶された前記患者端末の患者に対応する前記薬歴データを抽出する薬歴データ抽出手段と、
前記薬局特定手段により特定した前記薬局の前記送信先情報を、前記薬局情報データベースから取得する送信先情報取得手段と、
前記送信先情報取得手段により取得した前記送信先情報に対応する装置に、前記送信先情報を宛先にした、前記薬歴データ抽出手段により抽出した前記薬歴データの送信を依頼する薬歴データ送信依頼手段と、
を備える、情報管理サーバ。
【請求項9】
患者が携行する患者端末で実行する端末プログラムであって、
前記患者端末を、
前記患者に処方された薬剤に関する薬歴データを表示部に出力する薬歴データ出力手段と、
前記薬歴データを所定の薬局と共有するための指示を受け付けたことに応じて、現在位置情報を取得して、前記患者を識別する患者識別情報と共に前記現在位置情報を情報管理サーバに送信する位置情報送信手段と、
前記位置情報送信手段が送信した前記現在位置情報の近傍位置にある薬局に係る薬局情報を、前記情報管理サーバから受信して前記表示部に出力する薬局情報出力手段と、
前記薬局情報に示される前記薬局を前記所定の薬局として、前記薬歴データを共有するためのFAX送信に係る指示情報を、前記情報管理サーバに送信する指示送信手段と、
として機能させるための端末プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬歴データ送信システム、情報管理サーバ及び端末プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者が医療機関から受け取った処方箋を薬局の薬剤師に渡す際に、お薬手帳を一緒に渡すと、薬剤師は、お薬手帳を確認し、患者が今まで使用していた薬剤等を把握する。お薬手帳とは、薬の服用履歴の他、既往歴、アレルギー等の、医療関係者に必要な患者の情報を記載した手帳をいう。
しかし、患者によっては、お薬手帳を薬局に持っていくのを忘れる場合がある。このような現状を鑑み、お薬手帳のデータを、お薬手帳システムのセンターにデータベースとして有するようにしたシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載のシステムを薬局が使用するためには、システムに対応したレセプトコンピュータや薬局情報端末を設置する必要があり、特に小規模の薬局にとって負担のかかるものであった。
【0003】
また、お薬手帳を電子化した電子版のお薬手帳が普及しつつある。電子版のお薬手帳は、紙ベースのお薬手帳に代わり、患者が日常的に所持しているスマートフォン等の携帯端末に、お薬手帳の内容を表示させるものである。
しかし、患者が自身の携帯端末を薬剤師に渡してくれないと、薬剤師は、患者の携帯端末に表示されたお薬手帳の内容を見ることができない。そのため、実際には、薬剤師は、携帯端末にお薬手帳が表示されている、という状態のみの確認にとどまり、お薬手帳の内容を確認できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、薬局に対して新たな装置の導入を必要とせず、しかも患者の利便性を向上させた薬歴データ送信システム、情報管理サーバ及び端末プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者が携行する患者端末と、前記患者端末に対して通信可能に接続され情報管理サーバと、を備えた薬歴データ送信システムであって、前記患者端末は、患者を識別する患者識別情報と共に現在位置情報を前記情報管理サーバに送信する位置情報送信手段を備え、前記情報管理サーバは、患者に処方された薬剤に関する薬歴データを、前記患者識別情報に対応付けて記憶する薬歴データ記憶部と、前記患者端末から前記現在位置情報を受信する位置情報受信手段と、前記位置情報受信手段が受信した前記現在位置情報に基づいて、各薬局の住所及び送信先情報を含む属性情報を記憶した薬局情報データベースから前記患者端末の近傍位置にある薬局を特定する薬局特定手段と、前記位置情報受信手段が受信した前記患者識別情報に基づいて、前記薬歴データ記憶部に記憶された前記患者端末の患者に対応する前記薬歴データを抽出する薬歴データ抽出手段と、前記薬局特定手段により特定した前記薬局の前記送信先情報を、前記薬局情報データベースから取得する送信先情報取得手段と、前記送信先情報取得手段により取得した前記送信先情報に対応する装置に、前記送信先情報を宛先にした、前記薬歴データ抽出手段により抽出した前記薬歴データの送信を依頼する薬歴データ送信依頼手段と、を備える、薬歴データ送信システムに関する。
【0007】
また、薬歴データ送信システムにおいて、前記患者端末は、前記患者が医療機関から受け取った処方箋から処方データを取得する処方データ取得手段と、前記処方データ取得手段により取得した前記処方データを、前記患者識別情報と共に前記情報管理サーバに送信する処方データ送信手段と、を備え、前記情報管理サーバは、前記患者端末から受信した前記処方データに含まれる前記薬歴データを、前記患者識別情報に対応付けて前記薬歴データ記憶部に登録する薬歴データ登録手段を備えてもよい。
【0008】
また、薬歴データ送信システムにおいて、前記情報管理サーバは、レセプトデータを記憶したレセプトデータベースから、前記患者のレセプトデータを受信するレセプトデータ受信手段と、レセプトデータ受信手段により受信した前記レセプトデータに含まれる前記薬歴データを、前記患者識別情報に対応付けて前記薬歴データ記憶部に登録する薬歴データ登録手段と、を備えてもよい。
【0009】
また、薬歴データ送信システムにおいて、前記情報管理サーバは、前記薬局特定手段が特定した前記薬局に係る薬局情報を、前記薬局情報データベースから取得して、前記患者端末に送信する薬局情報送信手段を備え、前記患者端末は、前記情報管理サーバから受信した前記薬局情報を出力する薬局情報出力手段と、前記薬局情報に示される前記薬局への前記薬歴データの送信に係る指示情報を、前記情報管理サーバに送信する指示送信手段と、を備え、前記薬歴データ送信依頼手段は、前記指示情報を受け付けた場合に、前記薬歴データの送信を前記装置に依頼してもよい。
【0010】
また、薬歴データ送信システムにおいて、前記薬局情報送信手段は、前記患者端末の近傍位置にある複数の前記薬局の前記薬局情報を、前記患者端末に送信し、前記薬局情報出力手段は、前記現在位置情報との距離に基づいて複数の前記薬局情報を出力し、前記指示送信手段は、一の前記薬局の指定を含む前記指示情報を、前記情報管理サーバに送信してもよい。
【0011】
また、薬歴データ送信システムにおいて、前記情報管理サーバは、患者の既往歴及びアレルギー歴を含む患者情報を、前記患者識別情報に対応付けて記憶した患者情報記憶部と、前記位置情報受信手段が受信した前記患者識別情報に基づいて、前記患者情報記憶部から前記患者情報を抽出する患者情報抽出手段と、前記薬歴データ送信依頼手段による送信と共に、前記患者情報抽出手段が抽出した当該患者の前記患者情報の送信を、前記装置に対して依頼する患者情報送信依頼手段と、を備えてもよい。
【0012】
また、薬歴データ送信システムにおいて、前記情報管理サーバは、前記患者端末に前記患者情報を入力するための入力フォームを送信するフォーム送信手段と、前記入力フォームにしたがって入力された前記患者情報を、前記患者端末から受信する患者情報受信手段と、前記患者情報受信手段が受信した前記患者情報を、前記患者情報記憶部に記憶する患者情報更新手段と、を備えてもよい。
【0013】
また、本発明は、患者が携行する患者端末に対して通信可能に接続され情報管理サーバであって、患者に処方された薬剤に関する薬歴データを、患者を識別する患者識別情報に対応付けて記憶する薬歴データ記憶部と、前記患者端末から前記患者識別情報と共に前記患者端末の現在位置情報を受信する位置情報受信手段と、前記位置情報受信手段が受信した前記現在位置情報に基づいて、各薬局の住所及び送信先情報を含む属性情報を記憶した薬局情報データベースから前記患者端末の近傍位置にある薬局を特定する薬局特定手段と、前記患者識別情報に基づいて、前記薬歴データ記憶部に記憶された前記患者端末の患者に対応する前記薬歴データを抽出する薬歴データ抽出手段と、前記薬局特定手段により特定した前記薬局の前記送信先情報を、前記薬局情報データベースから取得する送信先情報取得手段と、前記送信先情報取得手段により取得した前記送信先情報に対応する装置に、前記送信先情報を宛先にした、前記薬歴データ抽出手段により抽出した前記薬歴データの送信を依頼する薬歴データ送信依頼手段と、を備える、情報管理サーバに関する。
【0014】
また、本発明は、患者が携行する患者端末で実行する端末プログラムであって、前記患者端末を、前記患者に処方された薬剤に関する薬歴データを表示部に出力する薬歴データ出力手段と、前記薬歴データを所定の薬局と共有するための指示を受け付けたことに応じて、現在位置情報を取得して、前記患者を識別する患者識別情報と共に前記現在位置情報を情報管理サーバに送信する位置情報送信手段と、前記位置情報送信手段が送信した前記現在位置情報の近傍位置にある薬局に係る薬局情報を、前記情報管理サーバから受信して前記表示部に出力する薬局情報出力手段と、前記薬局情報に示される前記薬局を前記所定の薬局として、前記薬歴データを共有するためのFAX送信に係る指示情報を、前記情報管理サーバに送信する指示送信手段と、として機能させるための端末プログラムに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薬局に対して新たな装置の導入を必要とせず、しかも患者の利便性を向上させた薬歴データ送信システム、情報管理サーバ及び端末プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る薬歴データ送信システムの全体概要図である。
【
図2】本実施形態に係る情報管理サーバの機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る患者端末の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る患者端末での表示例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る薬歴データ送信システムの薬歴データ提供処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る情報管理サーバの薬歴データ送信依頼処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係るFAX装置に送信されるFAX書面の構成例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るFAX書面の具体例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る薬歴データ送信システムの処方箋登録処理を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る薬歴データ送信システムの患者情報登録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(実施形態)
<薬歴データ送信システム100の全体構成>
図1は、本実施形態に係る薬歴データ送信システム100の全体概要図である。
図2は、本実施形態に係る情報管理サーバ1の機能ブロック図である。
図3は、本実施形態に係る患者端末4の機能ブロック図である。
【0018】
図1に示す薬歴データ送信システム100は、薬局Aに処方箋pを持参した患者が、例えば、患者自身が所持する端末である患者端末4を操作して、患者自身の薬歴データ等を薬局AのFAX装置8Aに送信するシステムである。薬歴データ送信システム100では、患者がいる場所にある薬局Aを、患者端末4に表示させる。患者は、表示された薬局Aを確認の上、指示の操作をすると、情報管理サーバ1が、患者の薬歴データと患者情報とを、薬局AのFAX装置8Aに送信するための処理を行う。
ここで、薬歴データとは、患者が受領した薬剤に関する薬剤服用歴(以下、薬歴ともいう。)のデータをいう。また、患者情報とは、薬局で初回来店時等に記入する問診票の内容を含むものであり、例えば、氏名、生年月日等の患者の属性情報の他、既往歴やアレルギー歴を含む情報をいう。
【0019】
図1に示すように、薬歴データ送信システム100は、情報管理サーバ1と、患者端末4と、FAXサーバ7aと、電子メールサーバ7bと、FAX装置8(8A,8B)と、PC(パーソナルコンピュータ)9(9C)とを備える。なお、以降の説明において、例えば、薬局Aのように特定の薬局を指定する場合には、FAX装置8Aと記載し、薬局を特定しない場合には、単にFAX装置8と記載する。PC9についても同様である。
情報管理サーバ1と、患者端末4と、FAXサーバ7aと、電子メールサーバ7bと、FAX装置8と、PC9とは、通信ネットワークNを介して接続可能になっている。通信ネットワークNは、インターネット回線等であり、有線であるか無線であるかを問わない。
【0020】
<情報管理サーバ1>
情報管理サーバ1は、薬局のFAX装置8に、患者の薬歴データ等をFAX送信等する処理を行う。また、情報管理サーバ1は、処方箋をデータ化した処方データや患者情報を、患者端末4から受信して記憶する処理を行う。
情報管理サーバ1は、例えば、当該薬歴データ送信システム100のサービスを運営する運営会社が有する。
【0021】
図2に示すように、情報管理サーバ1は、制御部10と、記憶部30と、データ通信IF(インタフェース)39とを備える。
制御部10は、情報管理サーバ1の全体を制御する中央処理装置(CPU)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0022】
制御部10は、位置情報受信部11(位置情報受信手段)と、薬局特定部12(薬局特定手段)と、薬局情報送信部13(薬局情報送信手段)と、共有指示受信部14と、薬歴データ抽出部15(薬歴データ抽出手段)と、患者情報抽出部16(患者情報抽出手段)と、送信先情報取得部17(送信先情報取得手段)と、データ送信依頼部18(薬歴データ送信依頼手段、患者情報送信依頼手段)と、薬歴データ登録部20(薬歴データ登録手段)と、患者情報処理部22(フォーム送信手段、患者情報受信手段、患者情報更新手段)とを備える。
【0023】
位置情報受信部11は、患者端末4の現在位置を示す現在位置情報を、患者ID(IDentification)と共に患者端末4から受信する。患者IDは、患者を識別する識別情報である。
薬局特定部12は、薬局情報DB(データベース)34のデータを参照して、位置情報受信部11が受信した現在位置情報に近傍の位置にある薬局を特定する。
薬局情報送信部13は、薬局特定部12が特定した薬局に係る薬局情報を、薬局情報DB34から取得して、患者端末4に送信する。ここで、薬局情報とは、例えば、薬局名、住所、営業時間等の情報をいう。
【0024】
共有指示受信部14は、薬局情報に示される薬局に対する薬歴データの共有に係る指示情報を、患者端末4から受信する。
薬歴データ抽出部15は、位置情報受信部11が受信した患者IDに基づいて、薬歴データ記憶部33に記憶された薬歴データを抽出する。薬歴データ抽出部15は、例えば、過去半年分や、過去3回分といった、予め定められた条件に合致する薬歴データを抽出する。
患者情報抽出部16は、位置情報受信部11が受信した患者IDに基づいて、患者情報記憶部32から患者情報を抽出する。
【0025】
送信先情報取得部17は、薬局特定部12により特定した薬局の送信先情報を、薬局情報DB34から取得する。ここで、薬局の送信先情報とは、例えば、当該薬局のFAX番号をいう。その他、薬局の送信先情報は、例えば、当該薬局の電子メールアドレスであってもよい。
【0026】
データ送信依頼部18は、送信先情報取得部17により取得した送信先情報がFAX番号の場合に、送信先情報に対応する装置であるFAXサーバ7aに、薬歴データ抽出部15により抽出した薬歴データと、患者情報抽出部16により抽出した患者情報との送信を依頼する。その際、データ送信依頼部18は、送信先情報取得部17により取得した送信先情報を、薬歴データ等を送信する宛先にする。そうすることで、FAXサーバ7aは、受信した薬歴データ等を、送信先情報が示す薬局のFAX装置8に送信する。
同様に、データ送信依頼部18は、送信先情報取得部17により取得した送信先情報が電子メールアドレスの場合には、送信先情報に対応する装置である電子メールサーバ7bに、薬歴データと患者情報との送信を依頼する。
【0027】
薬歴データ登録部20は、患者端末4から処方データを受信する。そして、薬歴データ登録部20は、受信した処方データに含まれる薬歴データを、患者IDに対応付けて薬歴データ記憶部33に登録する。ここで、処方データとは、処方箋を電子化したデータをいう。
患者情報処理部22は、患者端末4に患者情報を入力するための入力フォームを送信する。そして、患者情報処理部22は、入力フォームにしたがって入力された患者情報を、患者端末4から受信する。その後、患者情報処理部22は、受信した患者情報を、患者情報記憶部32に記憶する。
なお、これらの各機能の詳細な説明については、後述する。
【0028】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、情報管理サーバ1は、制御部10、記憶部30等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、患者情報記憶部32と、薬歴データ記憶部33と、薬局情報DB34とを記憶している。
【0029】
プログラム記憶部31は、各種のプログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部31は、例えば、情報管理サーバ1の制御部10が実行する各種の機能を行うためのプログラムを記憶する。
患者情報記憶部32は、患者情報を記憶する記憶領域である。患者情報は、例えば、患者IDをキーにして、患者の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号といった患者の属性情報の他、既往症、アレルギー歴といった情報である。患者情報記憶部32は、患者情報の登録日や、確認日及び更新内容を記憶してもよい。
薬歴データ記憶部33は、薬歴データを記憶する記憶領域である。
薬歴データは、患者端末4から受信された処方データに基づいて、例えば、患者IDをキーにして、薬歴データ、受信日といった情報を記憶する。
【0030】
薬局情報DB34は、薬局情報を記憶する記憶領域である。
薬局情報DB34は、例えば、都道府県ごとに薬局情報を有する医療機能情報提供制度(医療情報ネット)のサーバである薬局情報DBサーバ(図示せず)に記憶された薬局情報のうち、例えば、薬局名、住所、電話番号、FAX番号、電子メールアドレス、営業時間といった、少なくとも当該薬歴データ送信システム100で必要な項目の内容を、薬局情報DBサーバから取得して記憶する。
情報管理サーバ1の制御部10は、例えば、週に1回等の予め決められたタイミングで、薬局情報DBサーバをクローリングし、薬局情報DB34の各項目の内容を更新するようにしてもよい。
データ通信IF39は、通信ネットワークNを介して、患者端末4やFAXサーバ7a、電子メールサーバ7b、図示しない薬局情報DBサーバ等との通信を行うためのインタフェース部である。
【0031】
<患者端末4>
図1に戻り、患者端末4は、患者が所持する、例えば、スマートフォンに代表されるコンピュータの機能を併せ持った携帯電話機等や、タブレット端末等の携帯型の端末である。
図3に示すように、患者端末4は、制御部40と、記憶部50と、撮影部55と、GPS(Global Positioning System)受信部56と、タッチパネルディスプレイ57と、データ通信IF59とを備える。
制御部40は、患者端末4の全体を制御するCPUである。制御部40は、記憶部50に記憶されているOSやアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0032】
制御部40は、薬歴データ出力部41(薬歴データ出力手段)と、位置情報送信部42(位置情報送信手段)と、薬局情報出力部43(薬局情報出力手段)と、共有指示送信部44(指示送信手段)と、患者情報送信部46と、処方データ取得部48(処方データ取得手段)と、処方データ送信部49(処方データ送信手段)とを備える。
薬歴データ出力部41は、情報管理サーバ1から受信した薬歴データ等を、タッチパネルディスプレイ57に出力する。
【0033】
位置情報送信部42は、患者端末4の現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を患者IDと共に情報管理サーバ1に送信する。
薬局情報出力部43は、情報管理サーバ1から受信した薬局情報を、タッチパネルディスプレイ57に出力する。
共有指示送信部44は、薬局情報に示される薬局に対して薬歴データを共有するための指示情報を、情報管理サーバ1に送信する。
【0034】
患者情報送信部46は、患者情報を入力するための入力フォームにしたがって患者が入力した患者情報を、情報管理サーバ1に送信する。
処方データ取得部48は、患者が医療機関から受け取った処方箋p(
図1参照)から処方データを取得する。処方データ取得部48は、例えば、撮影部55により処方箋pを撮影することで、処方箋pの画像データを処方データとして取得してもよい。また、処方データ取得部48は、処方箋pに印刷されたQRコード(登録商標)等のコード(図示せず)を、例えば、撮影部55を介して読み取ることで、処方データを取得してもよい。
処方データ送信部49は、処方データ取得部48により取得した処方データを、情報管理サーバ1に送信する。
【0035】
記憶部50は、制御部40が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部50は、プログラム記憶部51を備える。
プログラム記憶部51は、各種のプログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部51は、お薬手帳アプリ51aを記憶する。お薬手帳アプリ51aは、患者端末4の制御部40が実行する各種の機能を行うためのアプリケーションプログラム(アプリ)である。
【0036】
撮影部55は、撮影した画像を電気的信号に変換するものであり、例えば、CMOSやCCD等の撮影素子を備えたカメラである。
GPS受信部56は、例えば、衛星から受信した電波を利用して、患者端末4の現在の位置情報(緯度及び経度)を計測するものである。
タッチパネルディスプレイ57は、液晶パネル等で構成される表示部としての機能と、患者の指等によるタッチ入力を検出する入力部としての機能とを有する。
データ通信IF59は、通信ネットワークNを介して、情報管理サーバ1等との通信を行うためのインタフェース部である。
【0037】
<FAXサーバ7a>
FAXサーバ7aは、情報管理サーバ1から送信先のFAX番号と、送信するデータとを受信すると、受信したFAX番号に対してデータを送信するサーバである。ここで、FAX番号は、薬局に設けられたFAX装置8の番号であり、データは、患者の薬歴データ等である。
【0038】
<電子メールサーバ7b>
電子メールサーバ7bは、情報管理サーバ1から送信先の電子メールアドレスと、送信するデータとを受信すると、受信した電子メールアドレスに対してデータを送信するサーバである。ここで、電子メールアドレスは、薬局に設けられたPC9を着信先にするアドレスである。
【0039】
<FAX装置8>
FAX装置8は、薬局に設置されているものである。
図1の例では、薬局Aには、複合機であるFAX装置8Aが設置されており、薬局Bには、電話機と一体になったFAX装置8Bが設置されている。FAX装置8は、薬局の規模によらず、多くの薬局に設置されている。
【0040】
<PC9>
PC9は、薬局に設置されているものである。
図1の例では、薬局Cには、ノート型のPC9Cが設置されている。PC9は、電子メールを受信し表示するプログラムがインストールされていればよく、デスクトップ型であっても、タブレット型であってもよい。また、PC9は、レセプトコンピュータ等、他の業務で使用するコンピュータを兼ねてもよい。
【0041】
<薬歴データ送信システム100の処理>
次に、薬歴データ送信システム100による処理を説明する。
図4は、本実施形態に係る患者端末4での表示例を示す図である。
患者は、患者端末4にインストールされているお薬手帳アプリ51aを起動させ、例えば、患者IDとパスワードを用いてログインする。患者が、図示しないログイン画面において、自身の患者ID及びパスワードを入力することで、薬歴データ送信システム100では、ログイン処理を行うことができる。
【0042】
ログインに成功すると、患者端末4の制御部40は、例えば、
図4(A)に示すメニュー画面61を、タッチパネルディスプレイ57に出力する。
ここで、
図4(A)のメニュー画面61について説明する。
メニュー画面61は、この例では、ボタン61aから61cまでの3つのボタンが設けられている。
ボタン61aは、お薬手帳を表示するためのボタンである。ボタン61aが選択されることで、患者端末4の制御部40(薬歴データ出力部41)は、例えば、
図4(B)に示すお薬手帳画面62を、タッチパネルディスプレイ57に出力する。
【0043】
ボタン61bは、情報管理サーバ1に処方箋を登録するためのボタンである。ボタン61bが選択されることで、患者端末4の制御部40(処方データ取得部48、処方データ送信部49)は、患者に交付された処方箋を読み取って、情報管理サーバ1に送信する処理を行う。
ボタン61cは、情報管理サーバ1に患者情報を登録するためのボタンである。ボタン61cが選択されることで、患者端末4の制御部40(患者情報送信部46)は、患者情報を登録するための入力フォームを出力し、入力フォームに患者が入力した患者情報を、情報管理サーバ1に送信する処理を行う。
なお、処方箋の登録及び患者情報の登録に係る処理については、後述する。
【0044】
患者は、処方箋pを持参して薬局に到着すると、お薬手帳アプリ51aを起動させる。そうすると、患者端末4の制御部40は、
図4(A)に例示したメニュー画面を出力する。そして、患者がボタン61aを選択することで、患者端末4の制御部40(薬歴データ出力部41)は、薬歴データ及び患者情報を「お薬手帳」として、タッチパネルディスプレイ57に出力させる(
図4(B)参照)。ここで、薬歴データ送信システム100は、ログインに成功すると、予め情報管理サーバ1の制御部10が、薬歴データ等を患者端末4に送信するものであってもよい。又は、患者がボタン61aを選択することで、患者端末4の制御部40が薬歴データ等を情報管理サーバ1に依頼し、情報管理サーバ1の制御部10が、依頼に応答して薬歴データ等を患者端末4に送信してもよい。
【0045】
図4(B)に示すお薬手帳画面62は、薬歴データ及び患者情報をタッチパネルディスプレイ57に出力したものである。お薬手帳画面62には、ボタン62aが設けられている。
ボタン62aは、タッチパネルディスプレイ57に出力された薬歴データ及び患者情報を、薬剤師と共有するためのボタンである。ボタン62aが選択されることで、薬歴データ送信システム100は、最寄りの薬局のFAX装置8に対してお薬手帳の内容である薬歴データ等を送信する処理を行う。
【0046】
ここで、お薬手帳の内容である薬歴データ等を患者端末4の最寄りにある薬局のFAX装置8に送信する処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る情報管理サーバ1の薬歴データ提供処理を示すフローチャートである。
図6は、本実施形態に係る情報管理サーバ1の薬歴データ送信依頼処理を示すフローチャートである。
【0047】
患者が、お薬手帳画面62にあるボタン62aを選択する操作をすることで、
図5のステップS(以下、「S」という。)11において、患者端末4の制御部40は、薬歴データの共有指示を受け付ける。
S12において、制御部40(位置情報送信部42)は、GPS受信部56を介して現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と、患者IDとを、情報管理サーバ1に送信する。
【0048】
S13において、情報管理サーバ1の制御部10(位置情報受信部11)は、現在位置情報及び患者IDを受信する。
S14において、制御部10(薬局特定部12)は、現在位置情報の近傍位置にある薬局を、薬局情報DB34から特定する。制御部10は、現在位置情報と、薬局情報DB34に記憶されている薬局情報の住所とに基づいて、例えば、距離が100m以内にある薬局を、現在位置の近傍の薬局として特定する。
S15において、制御部10(薬局情報送信部13)は、特定した薬局の薬局情報を薬局情報DB34から取得して、患者端末4に送信する。
S16において、患者端末4の制御部40(薬局情報出力部43)は、情報管理サーバ1から薬局情報を受信したことに応じて、受信した薬局情報を含む、例えば、
図4(C)に例示する確認画面63を、タッチパネルディスプレイ57に出力する。
【0049】
図4(C)の確認画面63は、薬局情報領域63aと、指示領域63bとを含む。薬局情報領域63aは、情報管理サーバ1から受信した薬局情報であり、薬局名、住所、営業時間等の各種情報を出力する領域である。指示領域63bは、薬局情報領域63aに示される薬局への薬歴データのFAX送信を指示するための操作領域である。患者が指示領域63bの「OK」ボタンを選択することで、制御部40は、データ送信の指示を受け付ける。また、患者が指示領域63bの「キャンセル」ボタンを選択することで、制御部40は、以降の処理を行わないように制御する。なお、確認画面63は、その他の薬局を検索するためのボタン等を含み、他の薬局を検索して出力するようにしてもよい。
また、図示していないが、確認画面63を出力する前に、患者がFAX送信か、電子メール送信かを指定する画面を出力してもよい。
さらに、薬局情報にある連絡先情報に基づいて、指示領域63bの文言を、FAX送信か、電子メール送信かのいずれかに切り替えてもよい。
【0050】
図5のS17において、制御部40(共有指示送信部44)は、データ送信の指示を受け付けたか否かを判断する。データ送信の指示を受け付けた場合(S17:YES)には、制御部40は、処理をS18に移す。他方、確認画面63(
図4(C))において何らの指示を受け付けていない場合(S17:NO)には、制御部40は、本処理にとどまり、指示がされるのを待つ。
【0051】
S18において、制御部40(共有指示送信部44)は、指示情報を、情報管理サーバ1に対して送信する。指示情報は、患者IDと、薬局を特定可能な情報と、送信指示に係る情報とを含む。
S19において、情報管理サーバ1の制御部10(共有指示受信部14)は、患者端末4から指示情報を受信する。
S20において、制御部10は、薬歴データ送信依頼処理を行う。
【0052】
ここで、薬歴データ送信依頼処理について、
図6に基づき説明する。
図6のS21において、制御部10(薬歴データ抽出部15)は、薬歴データ記憶部33から当該患者の薬歴データを抽出する。ここで、制御部10が抽出する薬歴データの数等については、例えば、患者によって、又は、当該薬歴データ送信システム100の設定として、任意に設定できるようにしてもよい。例えば、直近3回分の薬歴データといった、明細数を設定してもよいし、直近半年分の薬歴データといった、期間を設定してもよいし、その両方のAND条件であってもよい。
S22において、制御部10(患者情報抽出部16)は、患者情報記憶部32から当該患者の患者情報を抽出する。
なお、
図4(B)に示すお薬手帳画面62を表示させる際に抽出した薬歴データ及び患者情報を、制御部10が記憶部30に一時記憶させるようにしておけば、上記のS21及びS22の処理は不要である。
【0053】
S23において、制御部10(送信先情報取得部17)は、指示情報に対応する薬局の送信先を取得する。
S24において、制御部10(送信先情報取得部17)は、取得した連絡先がFAX番号であるか否かを判断する。FAX番号である場合(S24:YES)には、制御部10は、処理をS25に移す。他方、FAX番号ではない場合、つまり、電子メールアドレスである場合(S24:NO)には、制御部10は、処理をS26に移す。
S25において、制御部10(データ送信依頼部18)は、FAXサーバ7aに対して抽出した薬歴データと患者情報との送信を依頼する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
他方、S26において、制御部10(データ送信依頼部18)は、電子メールサーバ7bに対して、抽出した薬歴データと患者情報との送信を依頼する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0054】
上記したように、多くの薬局にはFAX装置8が設置されているので、情報管理サーバ1の制御部10は、FAX番号を送信先情報として取得することができる。しかし、一部の薬局において、電子メールでの受け取りを希望する場合(例えば、FAX番号が登録されていない場合等)には、情報管理サーバ1の制御部10は、電子メールアドレスを送信先情報として取得する。
よって、情報管理サーバ1は、FAX送信を基本とするが、電子メールによっても患者の薬歴データ等を送信でき、各薬局において使い勝手のよい機器(FAX装置8又はPC9)に出力されるので、利便性に優れたものになる。
【0055】
次に、薬歴データ送信システム100で薬局に送信されるFAXの内容について説明する。
図7は、本実施形態に係るFAX装置8に送信されるFAX書面80の構成例を示す図である。
図8は、本実施形態に係るFAX書面の具体例を示す図である。
【0056】
図7に示すFAX書面80は、領域81から83によって構成されている。
領域81は、FAX書面80の個人情報に関する取扱記入部であり、定型の文書が挿入される。
領域82は、患者基本情報部であり、患者情報が挿入される。
領域83は、服薬履歴部であり、薬歴データが挿入される。
ここで、FAXの枚数は、領域83のデータ量により変動する。
【0057】
図8は、領域82に挿入される患者情報と、領域83に挿入される薬歴データとの例である。
患者情報は、氏名、性別、生年月日、住所といった患者の属性情報と、アレルギー歴、既往歴といった情報とを含む。なお、当該患者情報の確認日として、患者が最新に当該内容を確認した日付を記載してもよい。
薬歴データは、処方調剤情報83aと、1つ以上の薬品情報83bとから構成されている。処方調剤情報83aは、調剤年月日と、処方箋の交付をした医療機関と、調剤をした薬局とを含む。薬品情報83bは、1つの薬剤についての用量や用法を含む。薬歴データには、処方された薬剤の種類の数だけの薬品情報83bが含まれる。
【0058】
FAX書面80に含まれる領域83には、1回分の薬歴データとして1つの処方調剤情報83aに対して1つ以上の薬品情報83bから構成されるものが、1つ以上含まれることになる。
なお、ここでは、FAX書面80を例に説明したが、電子メールによる送信においても、送られるデータの内容は、FAX書面80と同等である。
【0059】
薬局の薬剤師は、FAX書面80を見ながら、患者に対して服薬指導等を行うことができる。また、FAX書面80の場合、患者に対する服薬指導を終了した後は、当該FAX書面80を、シュレッダー等で破棄すればよく、個人情報の取り扱いの観点からも、優れたものになる。
【0060】
次に、処方箋を登録する処理について説明する。
図9は、本実施形態に係る薬歴データ送信システムの処方箋登録処理を示すフローチャートである。
図4(A)に示すメニュー画面61において、ボタン61bが選択されることで、
図9のS41において、患者端末4の制御部40は、処方箋登録を受け付ける。
S42において、制御部40(処方データ取得部48)は、撮影部55を起動させ、処方箋を読み取り可能な状態にする。
【0061】
S43において、制御部40(処方データ取得部48)は、患者端末4に対する患者の操作によって、処方箋p(
図1参照)を読み取る。
S44において、制御部40(処方データ送信部49)は、処方箋pを読み取って得られた処方データを、情報管理サーバ1に送信する。その後、制御部40は、例えば、処方箋の登録ができた旨を、タッチパネルディスプレイ57に出力し、本処理を終了する。
S45において、情報管理サーバ1の制御部10は、処方データを受信する。
S46において、制御部10(薬歴データ登録部20)は、受信した処方データに含まれる薬歴データを、患者IDに対応付けて薬歴データ記憶部33に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0062】
次に、患者情報を登録する処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る薬歴データ送信システムの患者情報登録処理を示すフローチャートである。
図4(A)に示すメニュー画面61において、ボタン61cが選択されることで、
図10のS51において、患者端末4の制御部40は、患者情報登録を受け付ける。
S52において、制御部40は、患者情報の照会を情報管理サーバ1に対して行う。具体的には、制御部40は、患者IDを送信し、患者情報記憶部32に記憶された当該患者のデータの送信を依頼する。
【0063】
S53において、情報管理サーバ1の制御部10(患者情報処理部22)は、患者情報記憶部32に記憶された当該患者の患者情報を抽出する。
S54において、制御部10(患者情報処理部22)は、所定の入力フォームに抽出した患者情報を反映させた入力フォームを生成し、患者端末4に送信する。なお、患者情報にデータが登録されていない項目の入力フォームは、ブランクになる。
S55において、患者端末4の制御部40は、情報管理サーバ1から入力フォームを受信し、タッチパネルディスプレイ57に出力する。
S56において、制御部40は、患者による入力フォームへの入力を受け付ける。
【0064】
S57において、制御部40(患者情報送信部46)は、患者による図示しない送信指示を受け付けたことに応じて、入力フォームに入力された患者情報を、情報管理サーバ1に送信する。その後、制御部10は、送信した旨をタッチパネルディスプレイ57に出力し、本処理を終了する。
S58において、情報管理サーバ1の制御部10(患者情報処理部22)は、患者端末4から患者情報を受信する。
S59において、制御部10(患者情報処理部22)は、患者情報記憶部32に受信した患者情報を記憶させる。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0065】
このような患者情報の登録の仕組みにより、情報管理サーバ1の患者情報記憶部32に記憶される患者情報は、患者の状態が反映されたものにできる。なお、お薬手帳アプリ51aに、処方箋を登録する際に、患者情報の登録を行わないとできない機能を加えたり、定期的な患者情報の登録を促すメッセージを出力する機能を加えたりしてもよい。
【0066】
このように、本実施形態の薬歴データ送信システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)患者端末4が現在位置情報を情報管理サーバ1に送信すると、情報管理サーバ1は、現在位置情報に基づいて、患者端末4の近傍位置にある薬局を特定し、FAXサーバ7aに、特定した薬局の送信先情報を宛先にした、患者端末4の患者の薬歴データの送信を依頼する。
よって、患者端末4から現在位置情報を受信するだけで、患者端末4の患者がいる薬局のFAX装置8に、患者の薬歴データを送信できる。薬局では、FAX装置8に届いたFAX書面を確認することで、患者に過去に処方された薬剤を確認できるので、便利である。
患者にとっても、煩雑な操作が不要であり、しかも、患者端末4を薬局の薬剤師に見せる必要がないため、利便性に優れたものにできる。
【0067】
(2)患者端末4は、患者が医療機関から受け取った処方箋を読み取って、取得した処方データを、情報管理サーバ1に送信すると、情報管理サーバ1は、処方データに含まれる薬歴データを、患者IDに対応付けて薬歴データ記憶部33に登録する。
よって、FAX装置8に送信する薬歴データを、患者が患者端末4を用いて読み取るだけで、薬歴データ記憶部33に登録することができる。また、薬歴データを、早いタイミングで薬歴データ記憶部33に登録することができる。
【0068】
(3)情報管理サーバ1は、患者端末4の現在位置情報により特定した薬局に係る薬局情報を、薬局情報DB34から取得して、患者端末4に送信し、患者端末4は、薬局情報を出力する。そして、患者端末4は、薬局情報に示される薬局への薬歴データの送信に係る指示情報を、情報管理サーバ1に送信することで、情報管理サーバ1は、指示情報を受け付けた場合に、薬歴データの送信を、当該薬局のFAX装置8に送信する。
よって、患者は、薬歴データを送信する薬局を確認した上で、薬局のFAX装置8に薬歴データを送信できるので、送信すべき薬局に確実に情報を送信できる。
【0069】
(4)情報管理サーバ1は、患者の既往歴及びアレルギー歴を含む患者情報を、患者IDに対応付けて記憶した患者情報記憶部32から患者情報を抽出し、抽出した当該患者の患者情報の送信を、薬歴データの送信と共にFAXサーバ7aに対して行う。
よって、薬局では、FAX装置8から患者の薬歴データと共に患者情報を見ることができるので、服薬指導等を行うのに有用な情報を、一緒に得ることができて便利である。
【0070】
(5)情報管理サーバ1は、患者端末4に患者情報を入力するための入力フォームを送信し、入力フォームにしたがって入力された患者情報を、患者端末4から受信して患者情報記憶部32に記憶する。
よって、患者は、入力フォームにしたがって患者情報を入力すればよく、入力がしやすいものにできる。また、患者が入力した患者情報を、患者情報記憶部32に記憶し、記憶された患者情報が、薬歴データと共に薬局に送信されるので、問診票と同様の役割を果たすことができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0072】
(変形形態)
(1)本実施形態では、薬歴データは、患者端末4が処方箋を読み取ることで処方データから得るものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、情報管理サーバが、レセプトデータを記憶したレセプトDBを備え、レセプトDBから各患者の薬歴データを得るようにしてもよい。但し、レセプトDBは、各健康保険組合等から得たレセプトデータを登録したものであるため、登録までにタイムラグが生じる。そのため、患者端末4から得られる処方データと、レセプトDBのレセプトデータとをマージして、薬歴データ記憶部に記憶してもよい。そのようにすれば、万が一患者が登録し忘れた場合であっても、後追いながらレセプトデータにより薬歴データが記憶されるため、データの漏れが少ないものにできる。
【0073】
(2)本実施形態では、患者端末の現在位置情報に近傍の薬局が1つに特定され、特定された薬局の薬局情報を患者端末に出力するのものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、患者端末の現在位置情報により複数の薬局が特定される場合には、情報管理サーバは、複数の薬局の薬局情報を、患者端末に送信し、薬局端末では、現在位置情報との距離に基づいて、例えば、距離が近い順に薬局情報を出力してもよい。そのようにすれば、患者は、複数の薬局の薬局情報から、自身のいる薬局を選んで、FAX送信の指示をすることができる。複数の薬局の薬局情報は、現在位置情報からの距離に基づいて出力されるので、患者がいる薬局を、見つけやすくすることができる。
【0074】
(3)本実施形態では、情報管理サーバが、FAXサーバや、電子メールサーバに薬歴データ等の送信を依頼するものを例に説明したが、これに限定されない。情報管理サーバに、FAXサーバや、電子メールサーバの機能を有するようにすれば、情報管理サーバから薬局の装置(FAX装置、PC等)に直接送信できる。
【0075】
(4)本実施形態では、患者端末の現在位置情報を、GPS受信部が受信した電波から得るものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、wi-fi基地局の電波等を用いて現在位置情報を取得してもよく、現在位置情報の取得方法については、どのような手段を使ってもよい。
【0076】
(5)本実施形態では、患者端末による処方データの取得方法として、撮影部を用いて取得するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、入力フォームにしたがって、患者が処方箋に記載された情報を入力する等であってもよい。
【0077】
(6)本実施形態では、薬局情報DB34を参照して、薬局情報を取得するものを例に説明したが、これに限定されない。情報管理サーバが薬局情報DBサーバから直接データを取得するようにしてもよい。
【0078】
(7)本実施形態では、患者が薬局にいることを前提として説明したが、これに限定されない。患者が薬局に向かっている間や、医療機関にいる間に、薬歴データ送信システム100を用いてもよい。その場合、現在位置情報から得られる薬局情報は、患者の現在位置に近傍の薬局に係る情報になるので、患者は、今いる場所に近い位置の薬局を知ることができる。また、他の薬局を検索する場合に、検索機能として、薬局情報に有する各種情報(例えば、バリアフリー、駐車場あり等)を条件として選ぶことができるようにすると、患者が希望する薬局が探せて便利である。
【0079】
(8)本実施形態では、患者端末にお薬手帳アプリをインストールしておき、アプリを起動することで処理を行うものを例に説明したが、これに限定されない。患者端末で、例えば、Webブラウザを起動させ、情報管理サーバとの間でWebを用いた通信をすることで、患者端末がお薬手帳アプリと同様の処理を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 情報管理サーバ
4 患者端末
7a FAXサーバ
7b 電子メールサーバ
8,8A,8B FAX装置
9,9C PC
10,40 制御部
11 位置情報受信部
12 薬局特定部
13 薬局情報送信部
15 薬歴データ抽出部
16 患者情報抽出部
17 送信先情報取得部
18 データ送信依頼部
20 薬歴データ登録部
22 患者情報処理部
30,50 記憶部
32 患者情報記憶部
33 薬歴データ記憶部
34 薬局情報DB
41 薬歴データ出力部
42 位置情報送信部
43 薬局情報出力部
44 共有指示送信部
48 処方データ取得部
49 処方データ送信部
51a お薬手帳アプリ
55 撮影部
56 GPS受信部
57 タッチパネルディスプレイ
100 薬歴データ送信システム
N 通信ネットワーク