(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066702
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/60 20180101AFI20220422BHJP
F21S 41/275 20180101ALI20220422BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220422BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220422BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20220422BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220422BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20220422BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S41/275
F21Y115:30
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y101:00 300
F21Y101:00 100
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175192
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】山本 大悟
(57)【要約】 (修正有)
【課題】融雪効果が高く、組付けが容易な、融雪機能を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具1において、ランプボディ2と、ランプボディ2に取付けられて灯室Sを区画するランプカバー4と、ランプカバー4に近接して灯室S内に配置され、ランプカバー4との対向面に透明フィルムヒーター30が設けられたインナーレンズ20とを備える。
【効果】融雪装置の主構成であるインナーレンズ20と透明フィルムヒーター30が透明部材で構成されるため、透光性と融雪機能が両立する。なおかつ、インナーレンズ20がランプカバー4に近接しても接しないため、融雪効果を高く保ちつつ、灯具としても組付けが容易な構成となっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと、
前記ランプボディに取付けられて灯室を区画するランプカバーと、
前記ランプカバーに近接して前記灯室内に配置され、前記ランプカバーとの対向面に透明フィルムヒーターが設けられたインナーレンズと、
を備える、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記透明フィルムヒーターは、上下幅が略一定であり、上縁部と下縁部にライン状の電極が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記インナーレンズは、上端部および下端部から、前記ランプカバーとの対向側とは逆側に向かって突出するフランジ部が設けられており、
前記透明フィルムヒーターの電極は、前記フランジ部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記インナーレンズは、窓部が設けられた枠形状であり、
前記透明フィルムヒーターは前記窓部を覆って、前記インナーレンズに設けられている、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記インナーレンズは、前記灯室内に配置されるランプユニットが照射する光が通過する光通過部にのみ配置される、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記インナーレンズと前記ランプカバーとの離間距離は3mm±0.5mmである、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両用灯具、特に融雪機能を備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具のランプカバーに付着した雪は、適切な光の照射の妨げとなる。このため、ランプカバーに発熱部材を取り付ける、あるいは別部材に発熱部材を取り付けてランプカバーに密着させ、発熱部材が発する熱で融雪する車両用灯具が公開されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-185988号
【特許文献2】特開2007-242291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、特許文献2では、ランプカバーに発熱部材を密着させることで融雪効果を高めているが、発熱部材をランプカバーに密着させるために手間がかかり、なおかつランプカバーに発熱部材が密着しているため、ランプカバーの着脱にも手間がかかる。即ち、ランプカバーの着脱および発熱部材の着脱を含めて、車両用灯具の組付け作業に工数がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、これに鑑みてなされたものであり、融雪効果が高く、組付けが容易な、融雪機能を備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本開示のある態様では、ランプボディと、前記ランプボディに取付けられて灯室を区画するランプカバーと、前記ランプカバーに近接して前記灯室内に配置され、前記ランプカバーとの対向面に透明フィルムヒーターが設けられたインナーレンズとを備える車両用灯具を提供する。
【0007】
この態様によれば、アウターレンズであるランプカバーに付着した雪は、インナーレンズに設けられた透明フィルムヒーターにより融かされる。インナーレンズおよび透明フィルムヒーターは透光性を有するため、灯室内に配置されるランプユニットから照射される光を邪魔しない。インナーレンズはランプカバーに接近しているため融雪効果が高く、なおかつ近接しても接触はしていないため、取付が容易である。融雪機能の組み込みはインナーレンズの装着だけであるため、組付けが容易である。融雪機能の有無を、インナーレンズを配置するか否かで設定できる。
【0008】
また、ある態様では、前記透明フィルムヒーターは、上下幅が略一定であり、上縁部と下縁部にライン状の電極が設けられるように構成した。この態様によれば、透明フィルムヒーターに印加される電圧が一定となり、透明フィルムヒーターは発熱ムラが抑制される。
【0009】
また、ある態様では、前記インナーレンズは、上端部および下端部から、前記ランプカバーとの対向側とは逆側に向かって突出するフランジ部が設けられており、前記透明フィルムヒーターの電極は、前記フランジ部に設けられるように構成した。フランジ部により電極が目立たなくなり、電極による光透過性能の低下も抑制できる。
【0010】
また、ある態様では、前記インナーレンズは、窓部が設けられた枠形状であり、前記透明フィルムヒーターは前記窓部を覆って設けられているように構成した。窓部を設けた分だけ、光の透過率の低下を抑制することができる。
【0011】
また、ある態様では、前記インナーレンズは、前記灯室内に配置されるランプユニットが照射する光が通過する光通過部にのみ配置されるよう構成した。必要最小限部分にのみ融雪機能を備えることで、作用効果が高く、なおかつ複雑な形状のランプカバーにも対応できる。
【0012】
また、ある態様では、前記インナーレンズと前記ランプカバーとの離間距離は3mm±0.5mmであるよう構成した。距離が離れることによる融雪機能の低下を最小限に抑え、曇りも抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、融雪効果が高く、組付けが容易な、融雪機能を備えた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る車両用灯具の概略正面図である。
【
図2】同車両用灯具の縦断面図である。
図1のII-II線に沿った縦断面図である。
【
図3】同車両用灯具のインナーレンズの斜視図である。
【
図6】第2の実施形態に係る車両用灯具の縦断面図である。
図2に対応する。
【
図7】同車両用灯具のインナーレンズの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具1の概略正面図である。
【0017】
車両用灯具1は前照灯であり、車両の前部の左右両側にそれぞれ装着される。車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプカバー4を備える。ランプボディ2は前方に開口部を有し、ランプボディ2の開口部に、透光性を有する樹脂やガラスなどで形成されたランプカバー4が取り付けられる。ランプボディ2とランプカバー4は、車両用灯具1の筐体であり、ランプボディ2とランプカバー4の内側には灯室Sが画成される。
【0018】
画成された灯室S内には、ハイビーム用のランプユニットHiと、ロービーム用のランプユニットLo1,Lo2と、インナーレンズ20が収容されている。
【0019】
ハイビーム用のランプユニットHiおよびロービーム用のランプユニットLo1,Lo2は、光を前方に照射し、車両前方にハイビーム配光/ロービーム配光を形成するよう構成された光学ユニットである。
【0020】
インナーレンズ20は、灯室S内で、各ランプユニットHi,Lo1,Lo2とランプカバーの間で、各ランプユニットHi,Lo1,Lo2から出射した光の通過部分を覆うように配置される。
【0021】
図2は、
図1のII-II線に沿った車両用灯具1の縦断面図である。
図2に示すように、ロービーム用のランプユニットLo2は、リフレクター11、発光素子である光源12、及び投影レンズ14を備える。
【0022】
リフレクター11、光源12、および投影レンズ14は、金属製の支持部材13に固定される。支持部材13の底面は光源12の点灯中の発熱を放熱するためのヒートシンクとなっている。
【0023】
光源12には、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの半導体発光素子や、電球、白熱灯(ハロゲンランプ)、放電灯(ディスチャージランプ)等を用いることができる。
【0024】
リフレクター11は、光源12から出射した光を投影レンズ14に導くように構成されており、内面が所定の反射面11aとなっている。
【0025】
投影レンズ14は、例えば、前方側表面及び後方側表面が自由曲面形状を有する自由曲面レンズからなる。灯室S内に設けられたエクステンションリフレクター5の前端開口部近傍に配置され、リフレクター11での反射光をランプカバー4に向けて透過させる。エクステンションリフレクター5は、ロービーム用のランプユニットLo2よりも前方に配置され、車両前方からこれが見えないように隠蔽している。
【0026】
本実施形態においては、ロービーム用のランプユニットLo2に、プロジェクタ型を採用したが、これに限らず、各ランプユニットには、従来周知の構成、例えばリフレクター型などの光学ユニットを用いて良く、その種類は問わない。
【0027】
インナーレンズ20は、投影レンズ14の前方に、ランプカバー4に近接して配置されている。インナーレンズ20のランプカバー4に対向する面には、透明フィルムヒーター30が設けられている。光源12から出射した光L1は、リフレクター11の反射面11aによって前方に反射され、投影レンズ14、インナーレンズ20およびその表面に設けられた透明フィルムヒーター30、ランプカバー4を順に通過して前方に出射し、車両前方にロービーム配光を形成する。
【0028】
(インナーレンズ20)
図3は、インナーレンズ20およびその表面に備えられる透明フィルムヒーター30を示す。
図4は透明フィルムヒーター30の構成を説明する概略図である。
【0029】
インナーレンズ20は、透明部材で構成される、ほぼ素通しの薄肉レンズである。
図2および
図3に示すように、インナーレンズ20の縦断面形状が逆コの字形状であり、上縁端部および下縁端部には、背面側に向かって伸びる立壁であるリブ24,25が形成されている。インナーレンズ20の上方および一方の側方には、取付部22,23が形成されており、インナーレンズ20は取付部22,23でランプボディ2に取付される。
【0030】
インナーレンズ20のランプカバー4と対向する表面21には、透明フィルムヒーター30が取り付けられる(
図2参照。なお、
図2においては、各部材をわかりやすく表現しおてり、厚みは実際の比率を反映していない)。
【0031】
透明フィルムヒーター30は、透光性を有する薄膜の発熱部材であり、導電膜31および電極32,33から主に構成される。
【0032】
導電膜31は、発熱本体であり、透明PETフィルムなどの透明部材の上に、視認できないほどの極細の銅線をメッシュ状に配置したもの、あるいは微粒子状の金属を蒸着させたものである。フィルム状の透明部材の表面に、金属が極薄く配置されており、光の透過率が非常に高い。
【0033】
ライン状の電極32,33が、導電膜31の上縁、下縁に沿って設けられており、電極32,33間に通電させることにより導電膜31が発熱する。導電膜31は略矩形に構成され、電極32,33は概ね平行に配置されているため、通電すると、導電膜31には電圧がムラなく均等にかかる。このため、透明フィルムヒーター30は発熱ムラが少なく、導通すると全面で概ね均一に発熱する。このように、透明フィルムヒーター30は、発熱性能と透明性能を高く両立させており、なおかつ屈曲性能および耐久性能も高い。
【0034】
透明フィルムヒーター30は、上記構成に限らず、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)による透明な発熱膜など、透光性を有する薄膜の発熱体であれば、他の構成を用いても良い。また、本実施形態においては、インナーレンズ20の表面21に透明フィルムヒーター30が接着されるが、インナーレンズ20の表面21に透明フィルムヒーター30がダイレクト成膜されても良い。
【0035】
インナーレンズ20に接着された透明フィルムヒーター30は、電極32,33部分が折り曲げられ、インナーレンズ20の上面、底面であるリブ24,25に沿って配置される(
図2参照)。このため、電極32,33は前方から視認されにくくなる。また、表面21に電極32,33が配置されないため、不透明な電極32,33によるインナーレンズ20の光の透過性能の低下が抑制される。電極32,33は、側方に設けられたコネクタ35を介して接続された車両バッテリーから給電される。電極32,33のコネクタ35は光の透過部分を外れるため、やはりインナーレンズ20の光の透過性能の低下が抑制される。
【0036】
図2に示すように、傾斜するランプカバー4に合わせてインナーレンズ20が傾斜している。表面21は、配置位置のランプカバー4の内面形状に概ね沿うように成形されている。このため、インナーレンズ20とランプカバー4との距離は、ほぼ距離Dで一定となり、均一に発熱する透明フィルムヒーター30により、ランプカバー4のインナーレンズとの対向部位は、ムラなく温められるため、融雪効率が良い。
【0037】
インナーレンズ20は、車両用灯具1の灯室S内に配置される三連のランプユニットHi,Lo1,Lo2の各投影レンズ前、即ち、照射される光の透過部分に配置される(
図1参照)。積雪されると配光形成の妨げとなる部分にのみインナーレンズ20が配置され、必要箇所が効率よく融雪される。例えば、ランプカバー4が非常に複雑な形状である場合や、非常に広面積である場合にも、光の通過部分という必要箇所のみにインナーレンズ20を配置するだけで、効率よくランプカバー4を温めて融雪させ、車両用灯具として必要な照度を確保することができる。
【0038】
(作用効果)
上記のように構成される車両用灯具1の作用効果を説明する。
【0039】
インナーレンズ20の表面21には透明フィルムヒーター30が設けられ、インナーレンズ20はランプカバー4と近接して配置されている。透明フィルムヒーター30の発生する熱によりランプカバー4に付着した雪や氷や曇りが融かされ、またランプカバー4の内外に生じた曇りが解消される。
【0040】
インナーレンズ20および透明フィルムヒーター30は透光性を有するため、背面に配置されたランプユニットLo2から照射された光L1は、インナーレンズ20、透明フィルムヒーター30、およびランプカバー4を通過して、車両前方へ照射される。
【0041】
インナーレンズ20はランプカバー4に近接するも接触していないため、ランプカバー4の着脱を妨げることがない。また、インナーレンズ20を取付部22,23でランプボディ2に固定するだけで取付けが完了するため、発熱部材をランプカバー4に密着/剥脱させる作業が無く、組付けおよび取り外しが容易である。
【0042】
ランプカバー4の融雪機能をランプカバー4に直接設けておらず、インナーレンズ20の有無により、車両用灯具1の融雪機能の有無が決定される。このため、同タイプの車両用灯具の寒冷地仕様の設定が容易である。
【0043】
インナーレンズ20はランプカバー4の近傍に配置されるため、融雪効果が高く、両者の間に空間があるため、曇りも抑制できる。発熱部材がランプカバーのあまりに近くに配置されると(密着含む)、逆に熱で曇りが発生するという問題があるが、これが抑制される。即ち、空気の対流スペースが確保され、ランプカバー4の曇りが防止される。このように、車両用灯具1の融雪機能は、換気性能と伝熱性能を両立させている。
【0044】
さらに、インナーレンズ20がランプカバー4から離れていることで、組付け時や、車両用灯具1の振動時にインナーレンズ20とランプカバー4の干渉が回避される。
【0045】
また、一般的に、車両用灯具のランプカバーの内面には、防曇塗装がなされる。融雪効果を高めるために、透明フィルムヒーターをランプカバー内面に接触させて設けてしまうと、防曇塗装の効果を抑制する、あるいは防曇塗装自体を施すことができなくなるという問題がある。インナーレンズ20をランプカバー4に密着させず近接させることで、このような問題も回避することができる。
【0046】
(試験データ)
図5は、透明フィルムヒーターが表面に取付けられたインナーレンズとランプカバーとの距離を変えながら、透明フィルムヒーターを通電した際のランプカバー外面の温度を計測した試験データのグラフである。グラフの横軸はインナーレンズとランプカバーの距離(
図2における距離D)を示す。グラフの縦軸は、インナーレンズとランプカバーとの距離が0(インナーレンズとランプカバーとが密着した状態)でのランプカバー外面の温度と、各距離におけるランプカバー外面の温度との比である。透明フィルムヒーターは、二種類のタイプで試験を行った。
【0047】
図5に示すように、透明フィルムヒーターの種類によらず、インナーレンズとランプカバーの距離が大きくなるほど、ランプカバー外面の温度比(即ちランプカバーの温度)が減少する。これは、発熱部材である透明フィルムヒーターがランプカバーから離れるほどに、ランプカバーを温める能力、即ち、融雪効果が低下することを示している。しかし、その距離が3mm程度までならば、密着した状態と比較して少なくとも80%の能力を発揮できるため、十分な着雪防止効果や融雪効果を持たせることができるといえる。このことから、インナーレンズ20とランプカバー4との距離Dは、3mm±0.5mm程度が好ましい。
【0048】
(第2実施形態)
図6は、第2の実施形態にかかる車両用灯具101の縦断面図である。
図7は車両用灯具101に備えられるインナーレンズ120である。第1の実施形態と同等の構成を備えるものは、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0049】
車両用灯具101は、インナーレンズ120の形態と、ロービーム用のランプユニットLo2の下方に光学装置150が配置されたこと以外は、第1の実施形態と同等の構成となっている。
【0050】
インナーレンズ120には、その表面121に大きく広がる孔である窓部126が形成されている。透明フィルムヒーター30は、窓部126を画成する四方の枠部127に、窓部126を覆うようにして接着されている。透明フィルムヒーター30の電極32,33は、インナーレンズ120の上下に形成されたリブ124,125に配置される。
【0051】
インナーレンズ120に設けられた取付部122,123で、インナーレンズ120はランプカバー4に近接して配置される。ランプユニットLo2から出射した光L2は、主に窓部126を通過して車両前方に照射される。
【0052】
インナーレンズ120の表面121に透明フィルムヒーター30が設けられており、融雪能力はそのままに、窓部126が形成された分だけ、光の透過率の低下が抑制される。
【0053】
光学装置150は、光の投光部または/および光の受光部を備えた装置である。例えば、可視光線、赤外線センサなどの光を前方に投光して、反射してきた光を受光する光学センサや、撮像装置などである。
【0054】
光学装置150は、支持部材13からは離間して、図示しない固定部材によりランプボディ2に固定されている。光学装置150の投光部/受光部の前方にインナーレンズ120は配置されており、光学装置150により投光された光L3/受光される光L4は、窓部126を通過する構成となっている。
【0055】
融雪地方では、光学装置を備えた車両用灯具は、融雪機能がない場合、ランプカバーに積雪して、光学装置による光の投受光が阻害されて、光学装置にエラーが生じてしまう懸念がある。これを回避するために、本実施形態では、光学装置150の光の光路上に、融雪装置であるインナーレンズ120を配置した。前述のように、インナーレンズ120およびこれに設けられる透明フィルムヒーター30は透光性を有しており、光学装置150による光の投受光を邪魔しない。このように、前照灯などの照度確保のために限らず、センサ類の光路確保にも、融雪装置としてインナーレンズ120は好適である。また、本開示の構成は、前照灯に限らず、標識灯や、リアランプなどにも好適である。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1、101 :車両用灯具
2 :ランプボディ
4 :ランプカバー
20 :インナーレンズ
21 :表面
24 :リブ
25 :リブ
30 :透明フィルムヒーター
32 :電極
33 :電極
126 :窓部
D :距離
L1 :光
Lo2 :ランプユニット
S :灯室